JP2007067143A - 研磨パッド用感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の研磨パッドに比較して、コンディショニング条件等の影響を受けにくく経時的に安定して高い研磨速度を発現し、また耐磨耗性に優れ、しかも製品内あるいは製品間の品質や性能のバラツキが小さい研磨パッドの提供。特に、ダマシン配線の銅配線パターンあるいはアルミニウム配線パターン等の厚い導電体パターンの研磨に適する平坦化能力の高い研磨パッドの提供。
【解決手段】光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂を10〜59.9質量%、光重合性モノマーを30〜79.9質量%、光重合開始剤を0.1〜10質量%、及び、モノマー及び水のいずれに接触しても実質的に溶解や膨潤を起こさない有機高分子微粒子を1〜29.9質量%含む感光性樹脂組成物の硬化物からなる研磨パッド。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体集積回路作成用のウエハ表面の凹凸をケミカルメカニカル研磨法で平坦化する工程に使用される研磨パッド、研磨パッドの製造方法及び、それに使用される樹脂組成物、並びに研磨パッドを用いた研磨方法に関する。
半導体集積回路の製造工程には、ウエハ表面に導電性膜を形成した後フォトリソグラフィー及びエッチングによって配線パターンを形成する工程や、該配線パターンの上に層間絶縁膜を形成する工程が存在するが、その際ウエハ表面には導電体及び絶縁体からなる凹凸が発生する。近年、半導体集積回路の高密度化に伴い配線パターンの微細化や多層化が進んでいるが、フォトリソグラフィー工程における焦点深度を確保するためウエハ表面凹凸の平坦化技術が重要視されており、その方法としては現在、ケミカルメカニカル研磨(以下、CMPと記す)法が主流となっている。CMP法は、砥粒をスラリー状に分散させた加工液(以下、スラリーと記す)を用いて、加工液による化学的作用と砥粒による機械的作用とを併せて湿式研磨する方法である。
CMP法で使用する研磨装置は、プラテン、ウエハキャリアヘッド(以下、ヘッドと記す)、スラリー供給ノズル、ドレッサー等から構成される。研磨パッドはプラテン上に貼り付けられ、ウエハはヘッドに取り付けられる。そして研磨は、プラテン及びヘッドを回転させながらウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付け、スラリーを研磨面上に供給して被研磨面との間に巻き込ませることによってなされる。
研磨工程中、或いは研磨工程に先立って、通常は主にダイヤモンドが貼り付けられたドレッサーで研磨パッド表面のコンディショニング処理が行なわれる。これは、研磨クズを除去し清浄なパッド表面を復活させたり、パッド表面にスラリーの移送に役立つ細かいキメを形成する役割を果たす。
スラリーは、研磨される材料やプロセスによって異なるが、一般的に過酸化水素水(H)や硝酸第二鉄(Fe(NO)等の酸化剤や溶解剤等の溶液である加工液と、20質量%以下のシリカ(SiO)・セリア(CeO)・アルミナ(Al)等の砥粒とからなる。研磨工程においては、加工液中の酸化剤等による溶解や脆化という化学的研磨作用と、砥粒による物理的研磨作用とが併せて起こる。
CMP法による研磨工程において、研磨パッドに対して第一に要求されるのは、研磨速度が高いことである。このために研磨パッドの研磨面には、スラリー供給ノズルより研磨面上に供給されたスラリーを研磨パッドの全面にわたって効率的に移送し、研磨部位で発生した研磨生成物やパッドくずを排出できるように、同心円状やスパイラル状の溝など、パッド全面にわたる凹凸構造が通常形成されている。
第二に要求されるのは、研磨パッドの寿命が長いこと、すなわち研磨パッドを交換せず連続して研磨できるウエハの枚数が多いことである。このためには、研磨パッドは耐磨耗性が高い必要がある。
第三に要求されるのは、平坦化能力が高いことである。特に、ダマシン配線における銅メッキ配線の研磨工程においては、1000nm以上の厚みを持つ銅配線を研磨する必要があるので、メッキプロセスでメッキ表面にトレンチから転写されている凹凸を解消するために高い平坦化性能が要求される。銅・層間絶縁膜・バリアメタルといった異なる材料からなる被研磨面の研磨においては、ディッシングやエロージョンと呼ばれる平坦化不良が発生しやすいが、研磨パッド自体の均一性が高く研磨面が変形しにくいものを使用することで、平坦化不良を抑える必要がある。
研磨パッド用樹脂の材質は、発泡ポリウレタンやエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリブタジエンなどの架橋ゴム、ポリフッ化ビニリデンなどの熱可塑性樹脂、(メタ)アクリレート化合物や不飽和ポリエステルなどの感光性樹脂など、従来より多岐にわたる樹脂が提案されている。
これらのうち、熱硬化性樹脂や架橋ゴムは、加熱硬化(架橋)反応に際して反応温度の均一性の確保が難しく、従って研磨パッド全面にわたって均一な製品を製造することが困難である。また、熱可塑性樹脂は3次元架橋していないため、研磨パッドを研磨工程で使用中に温度が上がると熱変形を起こし、研磨性能を安定して発揮できない問題がある。一方、感光性樹脂は熱によらず紫外線や可視光線で3次元架橋させるため、研磨パッドの製造や使用に関わる上記のごとき問題とは無縁で、品質のバラツキが小さく熱変形を起こさない製品を容易に得ることができ、実用上優れるものである。
また、研磨パッド用樹脂に特に求められる性質として、高いウエハ研磨速度を発揮するため、パッド表面により多くのスラリーを保持できる構造であることが挙げられ、従来種々の工夫がなされている。
例えば、独立発泡構造の研磨パッドとして、ポリウレタンの発泡体からなる研磨パッドが知られている。該研磨パッドは通常、バッチ式反応によってブロック状のウレタン発泡体を製造し、これをパッド形状にスライスした後、パッド全面にわたって溝などの凹凸構造を切削加工により形成して製造される。該研磨パッドは局所的な凹凸構造としてスライスされた気泡に由来する半球状の窪みを持ち、ウエハ研磨時にはこの窪みにスラリーを保持することで高い研磨速度を発揮させる狙いがある。しかしながら、製造時の反応温度、ひいては発泡倍率の均一性を反応容器全体にわたって確保することは困難であるため、研磨パッドの製品内あるいは製品間で発泡状態のバラツキは避けがたく、研磨性能のバラツキの原因となる。
また、ポリエステル製のフェルト状繊維シートにポリウレタンを含浸させた連続発泡構造の研磨パッドが提案されている。該研磨パッドは、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどの溶媒に溶解させた熱硬化性のウレタンをフェルト状繊維シートに含浸させ、乾燥によって溶媒を蒸発させた後ウレタンを加熱硬化させる工程によって製造される。該研磨パッドは局所的な凹凸構造としてフェルトに由来する連続気泡を持つ。またスラリーが該連続気泡を通して研磨パッド全体に染み込み、被研磨面の圧力によって染み出る機構によって移送されるので、通常は研磨パッド全面にわたる溝等を形成せずに使用される。しかしながら、上記の製造工程は乾燥工程、熱反応工程を主としており、反応組成物が凝集しやすい状態に置かれることになるため、研磨パッド材料の組成や物性をミクロなレベルに至るまで均一に保つことは困難である。また、連続発泡構造それ自体に起因する問題として、圧縮性を有するため平坦化性能が劣り、また空隙率が高いため耐磨耗性に劣る。さらに、フェルト状繊維シートの繊維間の隙間にウエハ研磨で発生した研磨クズが絡まり、被研磨製品にスクラッチを生じさせる危険性が高いと考えられる。
一方、無発泡構造の研磨パッドとして、ポリウレタン等の均質重合体や、光硬化樹脂による無発泡構造体(特許文献1参照)が提案されている。これらの研磨パッドはポリウレタン発泡体や連続発泡構造と異なり本質的な凹凸構造を持たないため、コンディショニング処理等により局所的な凹凸構造(キメ)を形成することが必須である。また、溝等の研磨パッド全面にわたる凹凸構造を切削加工(光硬化樹脂の場合はフォトリソグラフィー法も可能)により形成して使用される。しかし、このような構造の研磨パッドは研磨速度がコンディショニング条件やドレッサーの粗化能力に大きく依存するため、ドレッサーの使用に伴う粗化能力の経時的低下の影響は避けがたく、研磨パッド表面の粗化状態、ひいてはウエハ研磨速度を安定に保つのは困難である。また、研磨パッド表面に適切な粗さのキメを簡便に形成する必要上、ある程度磨耗しやすい素材を用いざるを得ず、耐磨耗性の点で不利である。
一方、研磨特性の改良のため樹脂中に有機または無機の微粒子を分散させた研磨パッドが知られており、例えば、研磨パッド樹脂に研磨粒子自体を分散させておき、研磨時にウエハ表面に供給されるようにする(特許文献2参照)、パッド表面に現われた高分子微粒子が研磨時に硬度低下および磨耗して新たな研磨面を生ずる(特許文献3参照)、パッド樹脂に水溶性の微粒子を分散させ、パッド表面がスラリーに接触することで微粒子が溶解して生じた空孔にスラリーを保持させる(特許文献4参照)など、種々の手法が提案されている。
米国特許第5965460号明細書 特開平11−151659号公報 特許第3425894号公報 特開2001−334455号公報
本発明の目的は、コンディショニング条件等の影響を受けにくく経時的に安定して高い研磨速度を発現し、また耐磨耗性に優れ、しかも製品内あるいは製品間の品質や性能のバラツキが小さい、実用性において真に優れる研磨パッドを提供することである。
本発明者は、研磨パッドを構成する樹脂への微粒子の分散による表面の微細構造形成という技術に着目して鋭意研究を重ねた結果、特に光重合技術と組み合わせることで、コンディショニング条件等の影響を受けにくく経時的に安定して高い研磨速度を発現し、また耐磨耗性に優れ、しかも製品内あるいは製品間の品質や性能のバラツキが小さい研磨パッドが得られることを見出した。
すなわち、本発明の一は、光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂を10〜59.9質量%、光重合性モノマーを30〜79.9質量%、光重合開始剤を0.1〜10質量%、並びに該光重合性モノマー及び水のいずれに接触しても実質的に溶解や膨潤を起こさない有機高分子微粒子を1〜29.9質量%含むことを特徴とする研磨パッド用感光性樹脂組成物である。
該研磨パッド用感光性樹脂組成物において、光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂及び光重合性モノマーが有する光重合性官能基が(メタ)アクリロイル基であり、光重合開始剤が水素引き抜き型もしくは分子内開裂型のラジカル系重合開始剤であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂に付加された光重合性官能基のモル当量が500〜50000g/モルであることが好ましい。また、熱可塑性樹脂への光重合性官能基の付加が、熱可塑性樹脂の持つ水酸基への(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートの付加反応によるものであることが好ましい。また、有機高分子微粒子が球状であり、その平均粒径が0.5〜50μmであることが好ましい。また、有機高分子微粒子の材質が架橋ポリウレタンであることが好ましい。また、有機高分子微粒子が、その分子中に光重合性官能基を持つことが好ましい。
本発明のニは、本発明の一の研磨パッド用感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする研磨パッドである。
本発明の三は、本発明の一の研磨パッド用感光性樹脂組成物に、紫外線または可視光線を照射し硬化させることを特徴とする研磨パッドの製造方法である。
本発明の四は、本発明のニの研磨パッドを用いることを特徴とする、半導体集積回路作製用ウエハ表面に形成された配線の研磨方法である。
本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物、及び製造方法によって、従来の研磨パッドに比較して、コンディショニング条件等の影響を受けにくく経時的に安定して高い研磨速度を発現し、また耐磨耗性に優れた研磨パッドが提供される。また、本発明においては、半導体集積回路作成用ウエハの表面に形成された銅やアルミニウム等からなる配線パターンを上述の研磨パッドを用いて研磨する方法が提供される。
以下、本発明を具体的に説明する。
<研磨パッド用感光性樹脂組成物>
以下、本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物を構成する各成分について、順次説明する。
(a)光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂
本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物の成分である光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂に用いられる熱可塑性樹脂は、光重合性モノマーに可溶である必要があり、具体的には、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレタン結合、ニトリル基、フェニル基、ハロゲン原子のいずれかを主鎖もしくは側鎖に持つものが好ましい。また、後述の通り光重合性官能基を付加して用いるために、末端または分子鎖中に水酸基を持つ必要がある。このような熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン等)、ポリ酢酸ビニルの部分加水分解物、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリビニルブチラール、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレングリコール、ポリブタジエンの末端水酸化物、ポリイソプレンの末端水酸化物等が挙げられる。
上に述べた熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、5千〜50万の範囲にあることが望ましい。5千未満では本発明の効果を十分に発現せず、50万を超えると研磨パッド用感光性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎたり光重合性モノマーへの溶解性が低いなど取り扱いに支障を生ずる。
本発明においては、上に述べた熱可塑性樹脂に光重合性官能基を付加して用いる。すなわち、熱可塑性樹脂は研磨パッドの耐磨耗性向上を目的として添加されるが、光重合性官能基を持たないから、これをそのまま成分として用いても、光重合反応に際して研磨パッド用感光性樹脂組成物中の光重合性モノマーと共有結合で結ばれず3次元架橋構造に組み込まれない。従って、光重合性官能基を付加しない熱可塑性樹脂と光重合性モノマーを含む組成物を硬化させて製造した研磨パッドには、熱可塑性樹脂の特性がその含有率に応じて反映される。すなわち、熱可塑性樹脂の含有率が高いと、研磨装置の放熱性が低いなど高温の使用環境において熱変形(塑性変形)を起こし所期の研磨性能を発揮できない可能性が生ずる。特に、本発明に述べる有機高分子微粒子を添加した場合、硬化物中に占める3次元架橋構造の割合がさらに低下するため熱変形の可能性はさらに高まる。これを防ぐ手段としては、熱可塑性樹脂を共有結合で3次元架橋構造に組み込む、すなわち熱可塑性樹脂に予め光重合性官能基を付加しておくことが最も効果的である。
熱可塑性樹脂への光重合性官能基の付加は、熱可塑性樹脂中の水酸基のウレタン化反応による方法が最も望ましい。すなわち、(X)光重合性官能基を持つモノイソシアネート化合物を直接付加するか、または(Y)複数のイソシアネート基を持つ化合物を介して水酸基を持つ光重合性モノマーを付加するかのいずれかの方法である。
光重合性官能基を持つモノイソシアネート化合物としては(メタ)アクリロキシエチルイソシアネート等が挙げられ、複数のイソシアネート基を持つ化合物としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メタンジフェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。また、水酸基を持つ光重合性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EOまたはPO付加フタル酸モノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレートないしそのエチレンオキシド(以下、「EO」ともいう。)またはプロピレンオキシド(以下、「PO」ともいう。)付加物等が挙げられる。
ウレタン化反応の手順は以下の通りである。まず、熱可塑性樹脂を付加しようとする光重合官能基を有する光重合性モノマーに加温溶解する。上記(Y)の方法による場合、水酸基を持つ光重合性モノマーも加えておく。この溶液にイソシアネート化合物およびウレタン化反応触媒(ジラウリン酸ジ−n−ブチルすず等)を添加し、温度調節しながら攪拌し、ウレタン化反応を進行させる。
光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂が研磨パッド用感光性樹脂組成物に占める割合は、10〜59.9質量%の範囲にあることが好ましく、15〜49.9質量%の範囲にあることがより好ましい。10質量%未満では本発明の効果を十分に発現せず、59.9質量%を超えると研磨パッド用感光性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて取り扱いに支障を生ずる可能性がある。また、熱可塑性樹脂に付加する光重合性官能基の数は、モル当量(1モルの光重合性官能基を含む熱可塑性樹脂の質量)として500〜50000g/モルの範囲にあることが好ましく、1000〜25000g/モルの範囲にあることがより好ましい。500g/モル未満では硬化物の架橋度が高すぎて可撓性や柔軟性に欠けるなど研磨パッドの取り扱いに支障を生じ、50000g/モルを超えると架橋度が低すぎて本発明の効果を十分に発現しない。
(b)光重合性モノマー
本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物に用いられる光重合性モノマー(以下、単に「モノマー」とも称する。)としては、エチレン性不飽和基を持つ化合物、具体的には(メタ)アクリレート化合物を好適に用いることができるが、熱可塑性樹脂の溶解力の高いモノマーを用いることが特に好ましい。熱可塑性樹脂に対するモノマーの溶解力はモノマーのエステル濃度が大きく影響し、エステル濃度の高い、すなわちエステル当量の低いモノマーほど溶解力に優れる。ここでエステル当量とは、モノマーの分子量を、該モノマー1分子中のエステル基の数で割った値である。そして、概ねエステル当量200以下のモノマーが溶解力に特に優れる。なお、モノマー1分子中のエステル基の数は3以下であることが望ましく、3を超えるとモノマーが結晶化しやすいため熱可塑性樹脂の溶解力は低下する。
本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物においては、エステル当量200以下でかつ1分子中のエステル基の数が3以下のモノマーが、合計10質量%以上の割合を占めることが望ましい。10質量%未満では研磨パッド用感光性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂が析出しやすく、取り扱いに支障を生ずる。
なおエステル当量200以下のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の研磨パッド感光性樹脂組成物においては、上記以外のモノマーを光硬化物の物性調整のため用いても良い。具体的には、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、フェノールEOまたはPO付加(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEOまたはPO付加(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEOまたはPO付加(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EOまたはPO付加フタル酸モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートないしそのEOまたはPO付加物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートないしそのカプロラクトン付加物、イソシアヌル酸EOまたはPO付加トリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEOまたはPO付加ジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAのEOまたはPO付加ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレートないしそのEOまたはPO付加物などが挙げられる。
さらに、光硬化物の靭性向上のため分子内にアミド結合を持つモノマーを加えても良く、取り扱い性などの点で変性(メタ)アクリルアミドが優れる。具体的には、ジアセトンアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、トリアクリルホルマールなどが挙げられる。本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物において、分子内にアミド結合を持つモノマーの占める割合は15質量%以下に抑えることが望ましく、15質量%を超えると光硬化物の耐水性や可撓性が悪化する。
上に述べたモノマーの合計量が研磨パッド用感光性樹脂組成物に占める割合は、30〜79.9質量%の範囲にあることが望ましく、40〜74.9質量%の範囲にあることがより好ましい。79.9質量%を超えると本発明の効果を十分に発現せず、30質量%未満では感光性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて取り扱いに支障を生じる可能性がある。
(c)光重合開始剤
上に列挙した(メタ)アクリレート化合物と組み合わせて用いられる光重合開始剤としては、水素引き抜き型もしくは分子内開裂型のラジカル系重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルアルキルケタール類、キサントン類、チオキサントン類、アントラキノン類などが好適である。具体的には、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、クロルベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、キサントン、ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノンなどが挙げられる。なお光重合開始剤が研磨パッド用感光性樹脂組成物に占める割合は、0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲にあることがより好ましい。
以上に述べたモノマーおよび光重合開始剤はいずれもラジカル重合型のものであるが、モノマーおよび光重合開始剤としてカチオン重合型のものを用いることもできる。この場合、モノマーとしては、先述したモノマーの(メタ)アクリロイル基をグリシジル基に置換した構造の化合物を用い、モノマーの溶解力の指標としてはエステル当量の代わりにエーテル当量(モノマーの分子量を、該モノマー1分子中のエーテル基の数で割った値)を用いれば良い。本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物においては、エーテル当量200以下でかつ1分子中のエーテル基の数が3以下のモノマーが、合計10質量%以上の割合を占めることが望ましい。10質量%未満では感光性樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂が析出しやすく、取り扱いに支障を生ずる。
またこのときの光重合開始剤としては、ブレンステッド酸発生型もしくはルイス酸発生型のカチオン系重合開始剤が用いられる。例えば、トリアリルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェイト、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニルアイアンヘキサフルオロフォスフェイトなどが挙げられる。
(d)有機高分子微粒子
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる有機高分子微粒子(以下、「フィラー」ともいう。)は、実質的に研磨能力を持たず、また、パッドの製造においてモノマーに分散させたときやパッドの研磨時にスラリーに接触しても、実質的に溶解や膨潤を起こさないものである。本発明においてこのような性質のフィラーを用いるのは、研磨時にパッドの表面構造をスラリーを保持しやすい適度な粗度に安定的に維持することを主たる目的としているが、本発明と類似の「微粒子分散構造」を提案している特許文献2〜4と比較した場合、フィラーを分散させることの技術的意味が異なる。
すなわち、特許文献2においてはフィラーが研磨能力を持つ砥粒であるため研磨用途(研磨対象の材質)ごとに該微粒子の材質の異なる種々の研磨パッドを用意する必要があるが、本発明においてはフィラーは有機高分子であり実質的に研磨能力を有さず、スラリーをかえることにより種々の研磨用途に供することができる。また、特許文献3や4に示されるフィラーはスラリーに接触することで溶解・膨潤してスラリー保持に適したパッド表面を生ずるものであるが、本発明のパッドはスラリーに接触してもフィラーが実質的に溶解や膨潤を起こさず実質的に表面物性が変化しないため、研磨性能がより安定化すると期待される。
本発明の効果を奏するため用いられるフィラーの材質としては、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、架橋ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、ポリエチレン、またはポリプロピレン等の有機高分子が挙げられ、これらのうち架橋ポリウレタンが最も好ましく用いられる。
また、フィラーはモノマーへの分散性を増すため、材質の異なる(モノマーとの親和性のより高い)樹脂で表面を被覆されていても構わない。被覆する場合は、この表面被覆樹脂も、モノマー及び水のいずれに接触しても実質的に溶解や膨潤を起こさない材質であることがより好ましい。
また、フィラーを構成する有機高分子は光重合性官能基を持っていても良い。この場合、フィラーとこれを分散するモノマー等の樹脂との結合力が高まるため、コンディショニング時にフィラーが脱落しにくく研磨パッド表面の凹凸構造を維持しやすくなり、また高温の使用環境においても研磨パッドの熱変形がいっそう起こりにくくなるなど、研磨特性の安定性の点で好ましい。このようなフィラーは、例えば、水酸基、アミン、ウレタン結合等の反応性基を含む材質のフィラーに光重合性官能基を持つモノイソシアネート化合物を付加することにより得られるが、この方法に限定されるものではない。
上に述べたフィラーは、研磨パッド表面をコンディショニング処理したときにスラリーを保持できる凹凸の形成に寄与できる限りはどのような形状でも構わないが、研磨パッド品質の安定性の点から球状であることが望ましい。また、膨潤による形状変化やそれに伴う研磨性能の不安定を防ぐため、フィラーは実質的に空孔を持たないことが望ましい。
フィラーのサイズは、平均径として0.5〜100μmの範囲にあることが好ましく、1〜50μmの範囲にあることがより好ましい。0.5μm未満では研磨パッド表面にスラリーを保持できる程度の凹凸を形成しにくくなり、100μmを超えると表面粗度が大きくなりすぎ研磨性能が不安定になる。また、フィラーが研磨パッド用感光性樹脂組成物に占める割合は、1〜29.9質量%の範囲にあることが好ましく、2〜15質量%の範囲にあることがより好ましい。1質量%未満では本発明の効果を十分に発現せず、29.9質量%を超えると製造した研磨パッドの強度が低下し取扱い性などに支障を生ずる。
(e)その他の添加物
さらに、本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の効果を損ねない範囲で他の添加物を適宜加えることができる。すなわち、可塑剤、減粘剤、光増感剤、重合禁止剤、熱安定剤などである。
<研磨パッド及びその製造方法>
次に、本発明の研磨パッドについて説明する。
本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物を光架橋させて得られる硬化物は、光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂とモノマーとが3次元架橋してなるマトリックス樹脂に、フィラーが均一に分散した構造を持つ。このような硬化物からなる研磨パッドは、表面をコンディショニングすることでフィラーが露出し、微細な凹凸が形成されて研磨時にウエハと研磨パッドとの間に適度の隙間が確保されるため、スラリーの保持能力が向上し高い研磨速度を発現する。
本発明の研磨パッドの好ましい態様の一つは、内部に実質的に空隙を持たない構造(以下、「無発泡構造」と記す。)のものであり、これは、本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物に、紫外線または可視光線を照射し硬化させることにより製造される。
本発明の研磨パッドの別の好ましい態様は、布帛からなる基材とその構成繊維間の間隙を埋める非多孔質の樹脂とからなる構造(以下、「布帛含浸構造」と記す。)であり、これは、本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物を布帛からなる基材に含浸させた後、これに紫外線または可視光線を照射し硬化させることにより製造される。
布帛含浸構造において、基材として使用される布帛は、織布でも不織布でもかまわないが不織布が好ましく用いられ、吸水率の高い繊維、あるいは多孔質または極細の繊維からなる不織布が特に好ましい。その構成繊維としては、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、セルロース、羊毛、絹等の天然繊維などが挙げられ、これらは単独であっても混紡であっても良い。なお上記布帛は、研磨パッド用感光性樹脂組成物を含浸させた後、これに紫外線や可視光線を照射し硬化させるため、布帛単体では不透明であっても、実際に研磨パッド用感光性樹脂組成物を含浸させた状態で十分に光硬化反応を起こせる程度の透明性が得られるものであれば、本発明に使用できる。
本発明の布帛含浸構造の研磨パッドを製造する場合、研磨パッド用感光性樹脂組成物の粘度は取り扱い温度において0.2〜20Pa・sの範囲にあることが望ましい。0.2Pa・s未満では含浸した研磨パッド用感光性樹脂組成物が布帛の外に流出しやすく安定製造が困難であり、20Pa・sを超えると含浸速度が著しく低下する。
また、研磨パッドにおける布帛と樹脂の割合は、以下に定義される布帛の面積比が5〜80%となるように構成するのが望ましい。すなわち、研磨パッドの研磨に使用される部分からサンプルを10点採取し、任意の方向からスライスして断面を露出し、光学顕微鏡または電子顕微鏡で写真を撮る。縦1mm×横1mmの断面積に占める布帛の面積割合を画像処理等で求め、10点の平均値を布帛の面積比と定義する。
本発明の研磨パッドの別の好ましい態様は独立発泡構造を持つものであり、これは、本発明の研磨パッド用感光性樹脂組成物を機械的に発泡させた後、これに紫外線または可視光線を照射し硬化させることにより製造される。
ここで、機械発泡の方法としては、均一な気泡径に発泡させられるものであれば何でも良い。具体的には、研磨パッド用感光性樹脂組成物と、窒素など不活性で光硬化を阻害しないガス(以下、「不活性ガス」と記す。)とを攪拌タンク内で攪拌羽根にてバッチ混合する方式、研磨パッド用感光性樹脂組成物と高圧の不活性ガスとを連続的に攪拌ミキサーに通じ混合攪拌したうえ大気開放して発泡させる方式、感光性樹脂組成物と不活性ガスとを交互に細管に通じ高圧で押し出す方式(例:サンスター技研(株)製フォームプライ)などが挙げられる。さらに、発生させた気泡の安定化のため、予め研磨パッド用感光性樹脂組成物にフュームドシリカ等の核材(例:日本アエロジル(株)製RX200)を添加しておいても良い。
本発明の独立発泡構造の研磨パッドを製造する場合、研磨パッド用感光性樹脂組成物の粘度は取り扱い温度において2〜200Pa・sの範囲にあることが望ましい。2Pa・s未満では機械発泡後の気泡の安定性が悪く破泡しやすいため均一な構造のパッドを製造することが困難であり、200Pa・sを超えると製造時の取り扱い性が悪化する。
また、研磨パッドにおける平均気泡径は5〜200μmの範囲にあることが望ましく、空隙率は10〜50%の範囲にあることが望ましい。ここで空隙率とは、発泡体の全体積のうち樹脂の存在しない部分の占める割合であり、以下の手順により測定される。(A)空隙率を求めたい光硬化物の発泡体、および(B)Aと同じ組成で空隙を持たない光硬化物のそれぞれについて見かけ比重を測定する。ここで見かけ比重とは、(測定サンプルの質量)÷(測定サンプルを水に沈めたとき排除される水の体積)である。このとき、空隙率(%)=100×(1−(Aの見かけ比重)÷(Bの見かけ比重))により算出される。
<研磨パッドによる配線の研磨方法>
本発明の研磨パッドを用いて半導体集積回路作製用ウエハ表面に形成された配線の研磨を行なうに当たっての好ましい一態様を例示する。
まず、表面に切削加工によりスラリー循環用の溝を形成した研磨パッドをCMP研磨装置のプラテン上に貼り付ける。次に、ドレッサーによって研磨面表面にコンディショニング処理を施す。一方、ウエハをヘッドに取り付ける。ヘッドとプラテンを回転させながらウエハを研磨パッドに押し付けた状態で、スラリー供給ノズルからスラリーを研磨面に供給することで研磨が行なわれる。研磨速度が低下してきた場合は、研磨面にコンディショニング処理を行ない新たな研磨面を出して使用する。研磨面は研磨工程およびコンディショニング処理によって磨耗していくので、上述の溝の残部が無くなる前に研磨パッドを新しいものに交換する。
なお、必要に応じて本発明の研磨パッドの片面に別の材料を貼り付け、2層構造の研磨パッドとして使用することも可能である。この場合には、本発明の研磨パッドの側を研磨面として使用することで本発明の効果が得られる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。
各実施例および比較例の感光性樹脂組成物に用いた原材料は、下記の通りである。
(P)熱可塑性樹脂:
(P−1)ポリカプロラクトン、平均分子量約7万(ダイセル化学工業(株)製プラクセルH7)
(P−2)ポリカプロラクトン、平均分子量約1万(ダイセル化学工業(株)製プラクセルH1P)
(P−3)フェノキシ樹脂、平均分子量約5万8千(東都化成(株)製フェノトートYP−50)
(M)光重合性モノマー:
(M−1)ポリエステルアクリレート(東亞合成(株)製アロニックス(登録商標)M−6200)
(M−2)ビスフェノールAのPO4モル付加ジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートBP−4PA)
(M−3)ジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル2G)
(M−4)ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルAPG−700)
(M−5)フェノールEO2モル付加アクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルAMP−20GY)
(U)ウレタン化反応原料:
(U−1)光重合性官能基を持つモノイソシアネート化合物、メタクリロキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製カレンズMOI(登録商標))
(U−2)ウレタン化反応触媒、ジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(東京化成工業(株)製)
(I)光重合開始剤:
(I−1)ベンジルジメチルケタール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガキュア(登録商標)651)
(F)有機高分子微粒子:
(F−1)架橋ポリウレタン真球状微粒子、平均粒径6μm(根上工業(株)製アートパールC−800T)
各実施例においては、研磨パッド用感光性樹脂組成物を下記(a)〜(c)の手順で作製した。なお、比較例1および2においては(b)を、比較例3においては(c)をそれぞれ省略した。
(a)まず、調合容器に(P)熱可塑性樹脂、(M)光重合性モノマー、(I)光重合開始剤を所定量はかり取り、70℃に加温しながら攪拌し、熱可塑性樹脂および光重合開始剤を完全に溶解させる。
(b)この溶液に(U)ウレタン化反応原料を所定量添加し、引き続き70℃で2時間攪拌し、ウレタン化反応させる。
(c)さらに、(F)有機高分子微粒子を所定量添加し、引き続き70℃で攪拌し、均一に分散させる。
次に、各実施例および比較例の研磨パッドを以下の手順で作製した。
研磨パッド用感光性樹脂組成物の溶液を、静置して完全に泡の抜けた後ガラス板に塗り広げ、空気を噛み込まないよう保護用PETフィルムをかぶせながらブレードコーターで一定厚みにラミネートし、両面より紫外線を照射し硬化させた。硬化物はPETフィルムを剥がした後、直径50cm、厚み2mmの円盤状に切り出し、研磨パッドとした。
作製したパッドは、研磨面にスラリー循環用の溝を切削加工し、また反対側の面全体に両面テープをラミネートして評価に供した。
以下に、作製した研磨パッドの評価項目および評価方法を記す。
(1)ウエハ研磨速度
研磨パッドを研磨装置のプラテンに貼り付け、純水を滴下しながら100番のダイヤモンドサイズのドレッサーにて15分間コンディショニングを行なった。その後、シリカ膜を積層したシリコンウエハをヘッドに取り付け、ヘッドおよびプラテンをそれぞれ90rpmの速度で回転させながらウエハを研磨パッドに5psi(34.5kPa)の圧力で押し付け、シリカ含有スラリーを研磨面に供給し1分間研磨を行なった。研磨前後のシリカ膜の厚みをX線膜厚測定装置にて測定し、研磨速度を下記の3段階で判定した。研磨速度が高いほど、研磨パッドとして優れる。
○:研磨速度が250nm/分を超える
△:研磨速度が200nm/分を超え250nm/分以下
×:研磨速度が200nm/分以下
(2)研磨パッド磨耗速度
研磨パッドを研磨装置のプラテンに貼り付け、純水を滴下しながら100番のダイヤモンドサイズのドレッサーにて15分間コンディショニングを行なった。コンディショニングの前後それぞれにおいて、研磨パッドの中心と外周とのちょうど中間付近の厚みを6点測定し、1分間当たりの厚み変化(磨耗速度)について6点の平均値を算出し、下記の3段階で判定した。磨耗速度が小さいほど研磨パッドとして優れる。
○:磨耗速度が1μm/分以下
△:磨耗速度が1μmを超え2μm/分以下
×:磨耗速度が2μm/分を超える
実施例1〜2および比較例1〜3としてそれぞれ、表1の上段に示した組成および粘度の研磨パッド用感光性樹脂組成物を評価した。
実施例はいずれも本特許の要件を満たしている一方、比較例は研磨パッド用感光性樹脂組成物の組成において本特許の要件を欠く。すなわち、比較例1は熱可塑性樹脂を含まず、比較例2は熱可塑性樹脂は含むものの該樹脂に光重合性官能基が付加されておらず、比較例3は有機高分子微粒子を含まない。
実施例および比較例の研磨パッド用感光性樹脂組成物をそれぞれ用いて、研磨パッドを前述の方法に従い作製した。上記(1)(2)の各項目について行なった研磨パッドの評価結果を表1の下段に示した。本特許の要件を満たしている実施例の研磨パッドは、研磨速度が高くまた耐磨耗性にも優れる一方、比較例の研磨パッドは、各評価項目のいずれかにおいて実施例の研磨パッドに劣ることが判る。
Figure 2007067143
本発明の感光性樹脂組成物、及び研磨パッドの製造方法は、半導体集積回路作成用ウエハの研磨用パッドの製造に好適に使用することができる。また、本発明の研磨パッド、及び研磨方法は半導体集積回路作成用ウエハの銅やアルミニウム等からなる配線パターンの研磨に好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. 光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂を10〜59.9質量%、光重合性モノマーを30〜79.9質量%、光重合開始剤を0.1〜10質量%、並びに該光重合性モノマー及び水のいずれに接触しても実質的に溶解や膨潤を起こさない有機高分子微粒子を1〜29.9質量%含むことを特徴とする研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  2. 光重合性官能基を付加した熱可塑性樹脂及び光重合性モノマーが有する光重合性官能基が(メタ)アクリロイル基であり、光重合開始剤が水素引き抜き型もしくは分子内開裂型のラジカル系重合開始剤である、請求項1に記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性樹脂に付加された光重合性官能基のモル当量が500〜50000g/モルである、請求項1または2に記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂への光重合性官能基の付加が、熱可塑性樹脂の持つ水酸基への(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートの付加反応によるものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  5. 有機高分子微粒子が球状であり、その平均粒径が0.5〜50μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  6. 有機高分子微粒子の材質が架橋ポリウレタンである、請求項1〜5のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  7. 有機高分子微粒子が、その分子中に光重合性官能基を持つことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物の硬化物からなることを特徴とする研磨パッド。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の研磨パッド用感光性樹脂組成物に、紫外線または可視光線を照射し硬化させることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
  10. 請求項8に記載の研磨パッドを用いることを特徴とする、半導体集積回路作製用ウエハ表面に形成された配線の研磨方法。
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