JP4775881B2 - 研磨パッド - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハなどの被研磨体表面の凹凸をケミカルメカニカルポリシング(CMP)で平坦化する際に使用される研磨パッドに関し、詳しくは、研磨状況等を光学的手段により検知するための窓を有する研磨パッド、及び該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体装置を製造する際には、半導体ウエハ(以下、ウエハともいう)表面に導電性膜を形成し、フォトリソグラフィー、エッチング等をすることにより配線層を形成する形成する工程や、配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が行われ、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じる。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでいるが、これに伴い、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となってきた。
ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にCMP法が採用されている。CMPは、ウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付けた状態で、砥粒が分散されたスラリー状の研磨剤(以下、スラリーという)を用いて研磨する技術である。
CMPで一般的に使用する研磨装置は、例えば、図1に示すように、研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、被研磨体(ウエハなど)4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えている。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と被研磨体4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、被研磨体4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。
このようなCMPを行う上で、ウエハ表面平坦度の判定の問題がある。すなわち、希望の表面特性や平面状態に到達した時点を検知する必要がある。従来、酸化膜の膜厚や研磨速度等に関しては、テストウエハを定期的に処理し、結果を確認してから製品となるウエハを研磨処理することが行われてきた。
しかし、この方法では、テストウエハを処理する時間とコストが無駄になり、また、あらかじめ加工が全く施されていないテストウエハと製品ウエハでは、CMP特有のローディング効果により、研磨結果が異なり、製品ウエハを実際に加工してみないと、加工結果の正確な予想が困難である。
そのため、最近では上記の問題点を解消するために、CMPプロセス時に、その場で、希望の表面特性や厚さが得られた時点を検出できる方法が望まれている。このような検知については、様々な方法が用いられている。現在、提案されている検知手段としては、
(1)ウエハとパッド間の摩擦係数をウエハ保持ヘッドや定盤の回転トルクの変化として検出するトルク検出法(特許文献1)
(2)ウエハ上に残る絶縁膜の厚さを検出する静電容量法(特許文献2)
(3)回転定盤内にレーザー光による膜厚モニター機構を組み込んだ光学的方法(特許文献3、特許文献4)
(4)ヘッドあるいはスピンドルに取り付けた振動や加速センサーから得る周波数スペクトルを解析する振動解析方法
(5)ヘッド内に内蔵した差動トランス応用検出法
(6)ウエハと研磨パッドとの摩擦熱やスラリーと被研磨対象物との反応熱を赤外線放射温度計で計測する方法(特許文献5)
(7)超音波の伝播時間を測定することにより被研磨対象物の厚みを測定する方法(特許文献6、特許文献7)
(8)ウエハ表面の金属膜のシート抵抗を計測する方法(特許文献8)
などが挙げられる。現在、(1)の方法が多く用いられているが、測定精度や非接触測定における空間分解能の点から(3)の方法が主流となりつつある。
(3)の方法である光学的検知手段とは、具体的には光ビームを窓(光透過領域)を通して研磨パッド越しにウエハに照射して、その反射によって発生する干渉信号をモニターすることによって研磨の終点を検知する方法である。
現在、光ビームとしては、600nm付近の波長光を持つHe―Neレーザー光や380〜800nmに波長光を持つハロゲンランプを使用した白色光が一般的に用いられている。
このような方法では、ウエハの表面層の厚さの変化をモニターして、表面凹凸の近似的な深さを知ることによって終点が決定される。このような厚さの変化が凹凸の深さに等しくなった時点で、CMPプロセスを終了させる。また、このような光学的手段による研磨の終点検知法およびその方法に用いられる研磨パッドについては様々なものが提案されてきた。
例えば、固体で均質な190nmから3500nmの波長光を透過する透明なポリマーシートを少なくとも一部分に有する研磨パッドが開示されている(特許文献9)。また、段付の透明プラグが挿入された研磨パッドが開示されている(特許文献3)。さらに、ポリシング面と同一面である透明プラグを有する研磨パッドが開示されている(特許文献10)。
さらに、スラリーが研磨領域と光透過領域との境界(継ぎ目)から漏れ出さないための提案(特許文献11、12)もなされている。しかし、これら透明な漏れ防止シートを設けた場合でも、スラリーが研磨領域と光透過領域との境界(継ぎ目)から研磨層下部に漏れ出し、この漏れ防止シート上にスラリーが堆積して光学的終点検知に問題が生じる。
今後、半導体製造における高集積化・超小型化において、集積回路の配線幅はますます小さくなっていくことが予想され、その際には高精度の光学的終点検知が必要となるが、従来の終点検知用窓は、上記スラリー漏れの問題を十分に解決できていない。
米国特許第5069002号明細書 米国特許第5081421号明細書 特開平9−7985号公報 特開平9−36072号公報 米国特許第5196353号明細書 特開昭55−106769号公報 特開平7−135190号公報 米国特許第5559428号明細書 特表平11−512977号公報 特開平10−83977号公報 特開2001−291686号公報 特表2003−510826号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、研磨を行っている状態で高精度の光学終点検知を可能とし、長期間使用した場合であっても研磨領域と光透過領域との間からのスラリー漏れを防止することができる研磨パッドを提供すること、及び該研磨パッドを用いた半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述のような現状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、下記構造の研磨パッドを用いることにより、たとえ長期間使用した場合であっても研磨領域と光透過領域との間からのスラリー漏れを防止することができることを見出した。
すなわち本発明は、研磨領域及び光透過領域を有する研磨パッドにおいて、前記研磨領域及び光透過領域の片面に透水防止層が設けられており、かつ光透過領域と透水防止層とが同一材料により一体形成されていることを特徴とする研磨パッド、に関する。
従来の研磨領域および光透過領域を有する研磨パッドは、図2のような構造をしている。CMPでは、研磨パッドとウエハなどの被研磨対象物とが共に自転・公転し、加圧下での摩擦によって研磨が実行される。研磨中においては、光透過領域9および研磨領域8に種々(特に、水平方向)の力が働いているため、両部材の境界で引き剥がし状態が常に生じている。従来の研磨パッド1は両部材の境界で剥がれやすく、境界に隙間が生じてスラリー漏れが発生すると考えられる。このスラリー漏れが光検出器における曇りなどの光学的問題を起こし、終点検出精度を低下又は不能にすると考えられる。
本発明の研磨パッドは、研磨中に光透過領域と研磨領域とを引き剥がす力が働いて、両部材の境界からスラリーが漏れた場合であっても、下層に透水防止層が設けられているため光検出器付近にスラリーが漏れることがない。また、透水防止層は光透過領域と同一材料によって形成されており、光透過性を有するため光学終点検知に支障をきたすこともない。さらに、光透過領域と透水防止層とを同一材料で一体形成することにより、屈折率の相違による光の散乱を抑制することができ、高精度の光学終点検知が可能である。ここで、一体形成とは、光透過領域と透水防止層と間に他の材料が介在しないことをいう。
本発明においては、光透過領域と透水防止層と間に界面が存在しないことが好ましい。その場合には、屈折率の相違による光の散乱をさらに抑制することができ、高精度の光学終点検知が可能である。
本発明においては、前記透水防止層がクッション性を有することが好ましい。透水防止層がクッション性を有することにより、別途クッション層を設ける工程を省略することができる。
また、前記光透過領域及び透水防止層の形成材料は無発泡体であることが好ましい。無発泡体であれば光の散乱を抑制することができるため、正確な反射率を検出することができ、研磨の光学終点の検出精度を高めることができる。
また、前記光透過領域の研磨側表面に研磨液を保持・更新する凹凸構造を有しないことが好ましい。凹凸構造とは、切削加工等により部材表面に施した溝や孔をいう。光透過領域の研磨側表面にマクロな表面凹凸があると、凹部に砥粒等の添加剤を含有したスラリーが溜まり、光の散乱・吸収が起こり、検出精度に影響を及ぼす傾向にある。さらに、透水防止層の表面もマクロな表面凹凸を有しないことが好ましい。マクロな表面凹凸があると、光の散乱が起こりやすく、検出精度に影響を及ぼすおそれがあるからである。
本発明においては、前記研磨領域の形成材料が、微細発泡体であることが好ましい。
また、前記研磨領域の研磨側表面に研磨液を保持・更新する凹凸構造が設けられていることが好ましい。
また、前記微細発泡体の平均気泡径は、70μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以下である。平均気泡径が70μm以下であれば、プラナリティ(平坦性)が良好となる。
また、前記微細発泡体の比重は、0.5〜1.0であることが好ましく、さらに好ましくは0.7〜0.9である。比重が0.5未満の場合、研磨領域の表面の強度が低下し、被研磨対象物のプラナリティが低下し、また、1.0より大きい場合は、研磨領域表面の微細気泡の数が少なくなり、プラナリティは良好であるが、研磨速度が小さくなる傾向にある。
また、前記微細発泡体の硬度は、アスカーD硬度で35〜65度であることが好ましく、さらに好ましくは40〜60度である。アスカーD硬度が35度未満の場合には、被研磨対象物のプラナリティが低下し、65度より大きい場合には、プラナリティは良好であるが、被研磨対象物のユニフォーミティ(均一性)が低下する傾向にある。
また、前記微細発泡体の圧縮率は、0.5〜5.0%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3.0%である。圧縮率が前記範囲内にあれば十分にプラナリティとユニフォーミティを両立させることが可能となる。なお、圧縮率は下記式により算出される値である。
圧縮率(%)={(T1―T2)/T1}×100
T1:微細発泡体に無負荷状態から30kPa(300g/cm)の応力の負荷を60秒間保持した時の微細発泡体の厚み。
T2:T1の状態から180kPa(1800g/cm)の応力の負荷を60秒間保持した時の微細発泡体の厚み。
また、前記微細発泡体の圧縮回復率は、50〜100%であることが好ましく、さらに好ましくは60〜100%である。50%未満の場合には、研磨中に繰り返しの荷重が研磨領域にかかるにつれて、研磨領域の厚みに大きな変化が現れ、研磨特性の安定性が低下する傾向にある。なお、圧縮回復率は下記式により算出される値である。
圧縮回復率(%)={(T3―T2)/(T1―T2)}×100
T1:微細発泡体に無負荷状態から30kPa(300g/cm)の応力の負荷を60秒間保持した時の微細発泡体の厚み。
T2:T1の状態から180kPa(1800g/cm)の応力の負荷を60秒間保持した時の微細発泡体の厚み。
T3:T2の状態から無負荷状態で60秒間保持し、その後、30kPa(300g/cm)の応力の負荷を60秒間保持した時の微細発泡体の厚み。
また、前記微細発泡体の40℃、1Hzにおける貯蔵弾性率が、150MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは250MPa以上である。貯蔵弾性率が150MPa未満の場合には、研磨領域の表面の強度が低下し、被研磨対象物のプラナリティが低下する傾向にある。なお、貯蔵弾性率とは、微細発泡体に動的粘弾性測定装置で引っ張り試験用治具を用い、正弦波振動を加え測定した弾性率をいう。
本発明は、光透過領域を設けるための開口部を研磨領域に形成する工程、光透過領域及び透水防止層の形状を有する型に材料を注入して硬化させることにより光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を作製する工程、前記研磨領域の開口部に前記光透過領域を嵌合して研磨領域と透明部材とを積層する工程を含む前記研磨パッドの製造方法、に関する。
また本発明は、光透過領域を設けるための開口部を研磨領域に形成する工程、前記開口部及び透水防止層の形状を有する空間部に材料を注入して硬化させることにより光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成する工程を含む前記研磨パッドの製造方法、に関する。
さらに本発明は、前記記載の研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を含む半導体デバイスの製造方法、に関する。
本発明の研磨パッド1は、図3に示すように、研磨領域8及び光透過領域9を有しており、前記研磨領域8及び光透過領域9の片面に透水防止層10が設けられており、かつ光透過領域9と透水防止層10とが同一材料により一体形成されているものである。
光透過領域及び透水防止層の形成材料は特に制限されないが、研磨を行っている状態で高精度の光学終点検知を可能とし、波長400〜700nmの全範囲で光透過率が20%以上である材料を用いることが好ましく、さらに好ましくは光透過率が50%以上の材料である。そのような材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、及びオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などの熱可塑性樹脂、ブタジエンゴムやイソプレンゴムなどのゴム、紫外線や電子線などの光により硬化する光硬化性樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、熱硬化性樹脂は比較的低温で硬化するものが好ましい。光硬化性樹脂を使用する場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。
光透過領域及び透水防止層の形成材料は、研磨領域に用いられる材料との接着性(密着性)、研磨領域の熱安定性や製造装置を考慮して選択することが好ましい。
光硬化性樹脂は、光により反応して硬化する樹脂であれば特に制限されない。例えば、エチレン性不飽和炭化水素基を有する樹脂が挙げられる。具体的には、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヘキサプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びオリゴブタジエンジオールジアクリレートなどの多価アルコール系(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA又はエピクロルヒドリン系エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物などのエポキシ(メタ)アクリレート、無水フタル酸−ネオペンチルグリコール−アクリル酸の縮合物などの低分子不飽和ポリエステル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの(メタ)アクリル酸付加物、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2価アルコールと(メタ)アクリル酸モノエステルとの反応で得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
光硬化性樹脂の光硬化性を高めるために、光重合開始剤や増感剤等を添加する事ができる。これらは、特に制限されるものではなく、用いる光源、波長域に応じて選択して使用する。
i線(365nm)付近の紫外線を光源に用いる場合には、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−エチルアントラキノン、及びフェナントレンキノンなどの芳香族ケトン類、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾイン類、ベンジルジメチルケタールなどのベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などのイミダゾール類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体、N−フェニルグリシンなどが挙げられる。これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
感光性樹脂としては、光により化学反応する樹脂であれば特に制限されず、具体的には、(1)活性エチレン基を含む化合物や芳香族多環化合物を高分子の主鎖や側鎖に導入したもの;ポリビニルシンナメート、p−フェニレンジアクリル酸をグリコールと縮重合した不飽和ポリエステル、シンナミリデン酢酸をポリビニルアルコールでエステル化したもの、シンナモイル基、シンナミリデン基、カルコン残基、イソクマリン残基、2,5−ジメトキシスチルベン残基、スチリルピリジニウム残基、チミン残基、α−フェニルマレイミド、アントラセン残基、及び2−ピロン等の感光性官能基を高分子の主鎖や側鎖に導入したものなどが挙げられる。
(2)ジアゾ基やアジド基を高分子の主鎖や側鎖に導入したもの;p−ジアゾジフェニルアミンのパラホルムアルデヒド縮合物、ベンゼンジアゾジウム−4−(フェニルアミノ)−ホスフェートのホルムアルデヒド縮合物、メトキシベンゼンジアゾジウム−4−(フェニルアミノ)の塩付加物のホルムアルデヒド縮合物、ポリビニル−p−アジドベンザル樹脂、アジドアクリレートなどが挙げられる。
(3)主鎖または側鎖中にフェノールエステルが導入された高分子;(メタ)アクリロイル基等の不飽和炭素−炭素二重結合が導入された高分子、不飽和ポリエステル、不飽和ポリウレタン、不飽和ポリアミド、側鎖にエステル結合で不飽和炭素−炭素二重結合が導入されたポリ(メタ)アクリル酸、エポキシ(メタ)アクリレート、及びノボラック(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、種々の感光性ポリイミド、感光性ポリアミド酸、感光性ポリアミドイミド、またフェノール樹脂とアジド化合物との組み合わせで使用できる。また、エポキシ樹脂や化学架橋型部位の導入したポリアミドと光カチオン重合開始剤との組み合わせで使用できる。さらに、天然ゴム、合成ゴム、又は環化ゴムとビスアジド化合物との組み合わせで使用できる。
光透過領域に用いる材料は、研磨領域に用いる材料よりも研削性が同じか大きいものが好ましい。研削性とは、研磨中に被研磨対象物やドレッサーにより削られる度合いをいう。上記のような場合、光透過領域が研磨領域より突き出ることがなく、被研磨対象物へのスクラッチや研磨中のデチャックエラーを防ぐことができる。
また、研磨領域に用いられる形成材料や研磨領域の物性に類似する材料を用いることが好ましい。特に、研磨中のドレッシング痕による光透過領域の光散乱を抑制できる耐摩耗性の高いポリウレタン樹脂が望ましい。
前記ポリウレタン樹脂は、有機イソシアネート、ポリオール(高分子量ポリオールや低分子量ポリオール)、及び鎖延長剤からなるものである。
有機イソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機イソシアネートとしては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。これら3官能以上のポリイソシアネート化合物は、単独で使用するとプレポリマー合成に際して、ゲル化しやすいため、ジイソシアネート化合物に添加して使用することが好ましい。
高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるポリエ−テルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、及びポリヒドキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ポリオールとして上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオールを併用してもよい。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオール類、あるいは2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、3 ,5 −ジエチル−2 ,4 −トルエンジアミン、4,4’−ジ−sec−ブチルージアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビスーメチルアンスラニレート、4,4’−メチレン−ビスーアンスラニリックアシッド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジエチルジフェニルメタン、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、トリメチレングリコールージ−p−アミノベンゾエート、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン等に例示されるポリアミン類を挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。ただし、ポリアミン類については自身が着色していたり、これらを用いてなる樹脂が着色する場合も多いため、物性や光透過性を損なわない程度に配合することが好ましい。また、芳香族炭化水素基を有する化合物を用いると短波長側での光透過率が低下する傾向にあるため、このような化合物を用いないことが特に好ましい。また、ハロゲン基やチオ基などの電子供与性基又は電子吸引性基が芳香環等に結合している化合物は、光透過率が低下する傾向にあるため、このような化合物を用いないことが特に好ましい。ただし、短波長側要求される光透過性を損なわない程度に配合してもよい。
前記ポリウレタン樹脂における有機イソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量やこれらから製造される光透過領域の所望物性などにより適宜変更できる。ポリオールと鎖延長剤の合計官能基(水酸基+アミノ基)数に対する有機イソシアネートのイソシアネート基数は、0.95〜1.15であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.10である。前記ポリウレタン樹脂は、溶融法、溶液法など公知のウレタン化技術を応用して製造することができるが、コスト、作業環境などを考慮した場合、溶融法で製造することが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂の重合手順としては、プレポリマー法、ワンショット法のどちらでも可能であるが、研磨時のポリウレタン樹脂の安定性及び透明性の観点から、事前に有機イソシアネートとポリオールからイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が好ましい。また、前記プレポリマーのNCO重量%は2〜8重量%程度であることが好ましく、さらに好ましくは3〜7重量%程度である。NCO重量%が2重量%未満の場合には、反応硬化に時間がかかりすぎて生産性が低下する傾向にあり、一方NCO重量%が8重量%を超える場合には、反応速度が速くなり過ぎて空気の巻き込み等が発生し、ポリウレタン樹脂の透明性や光透過率等の物理特性が悪くなる傾向にある。なお、光透過領域に気泡がある場合には、光の散乱により反射光の減衰が大きくなり研磨終点検出精度や膜厚測定精度が低下する傾向にある。したがって、このような気泡を除去して光透過領域を無発泡体にするために、前記材料を混合する前に10Torr以下に減圧することにより材料中に含まれる気体を十分に除去することが好ましい。また、混合後の撹拌工程においては気泡が混入しないように、通常用いられる撹拌翼式ミキサーの場合には、回転数100rpm以下で撹拌することが好ましい。また、撹拌工程においても減圧下で行うことが好ましい。さらに、自転公転式混合機は、高回転でも気泡が混入しにくいため、該混合機を用いて撹拌、脱泡を行うことも好ましい方法である。
光透過領域の形状、大きさは特に制限されるものではないが、研磨領域の開口部と同様の形状、大きさにすることが好ましい。
光透過領域の厚さ(d)は特に制限されるものではないが、研磨領域の厚みと同一厚さ、またはそれ以下にすることが好ましい。具体的には、0.5〜6mm程度であり、好ましくは0.6〜5mm程度である。光透過領域が研磨領域より厚い場合には、研磨中に突き出た部分によりシリコンウエハを傷つける恐れがある。また、研磨の際にかかる応力により光透過領域が変形し、光学的に大きく歪むため研磨の光学終点検知精度が低下する恐れがある。一方、薄すぎる場合には耐久性が不十分になったり、光透過領域の上面に大きな凹部が生じて多量のスラリーが溜まり、光学終点検知精度が低下する恐れがある。
また、光透過領域の厚みのバラツキは、100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以下である。厚みのバラツキが100μmを越える場合には、大きなうねりを持ったものとなり、ウエハに対する接触状態が異なる部分が発生するため研磨特性に影響を及ぼす傾向にある。
厚みのバラツキを抑える方法としては、光透過領域の表面をバフィングする方法が挙げられる。バフィングは、粒度などが異なる研磨シートを用いて段階的に行うことが好ましい。なお、光透過領域をバフィングする場合には、表面粗さは小さければ小さい程良い。表面粗さが大きい場合には、光透過領域表面で入射光が乱反射するため光透過率が下がり、検出精度が低下する傾向にある。
また、透水防止層の厚さも特に制限されるものではないが、通常0.01〜5mm程度である。透水防止層の片面にクッション層を積層する場合には、0.01〜1.5mm程度であることがより好ましく、一方、透水防止層にクッション性を付与して別途クッション層を積層しない場合には、0.5〜5mm程度であることがより好ましい。
また、透水防止層の厚みのバラツキは、50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは30μm以下である。厚みのバラツキが50μmを越える場合には、大きなうねりを持ったものとなり、ウエハに対する接触状態が異なる部分が発生するため研磨特性に影響を及ぼす傾向にある。厚みのバラツキを抑える方法としては、上記のように透水防止層の表面をバフィングする方法が挙げられる。
研磨領域の形成材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、エポキシ樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、研磨領域の形成材料は、光透過領域と同組成でも異なる組成であってもよいが、光透過領域に用いられる形成材料と同種の材料を用いることが好ましい。
ポリウレタン樹脂は耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性を有するポリマーを容易に得ることができるため、研磨領域の形成材料として特に好ましい材料である。
前記ポリウレタン樹脂は、有機イソシアネート、ポリオール(高分子量ポリオールや低分子量ポリオール)、鎖延長剤からなるものである。
使用する有機イソシアネートは特に制限されず、例えば、前記有機イソシアネートが挙げられる。
使用する高分子量ポリオールは特に制限されず、例えば、前記高分子量ポリオールが挙げられる。なお、これら高分子量ポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、得られるポリウレタンの弾性特性等の観点から500〜2000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、これを用いたポリウレタンは十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなる。そのためこのポリウレタンから製造される研磨パッドは硬くなりすぎ、ウエハ表面のスクラッチの原因となる。また、摩耗しやすくなるため、パッド寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いたポリウレタンは軟らかくなりすぎるため、このポリウレタンから製造される研磨パッドは平坦化特性に劣る傾向にある。
また、ポリオールとしては、高分子量ポリオールの他に、前記低分子量ポリオールを併用することもできる。
また、ポリオール中の高分子量ポリオールと低分子量ポリオールの比は、これらから製造される研磨領域に要求される特性により決められる。
鎖延長剤としては、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン樹脂における有機イソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量やこれらから製造される研磨領域の所望物性などにより種々変え得る。研磨特性に優れる研磨領域を得るためには、ポリオールと鎖延長剤の合計官能基(水酸基+アミノ基)数に対する有機イソシアネートのイソシアネート基数は0.95〜1.15であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.10である。
前記ポリウレタン樹脂は、前記方法と同様の方法により製造することができる。なお、必要に応じてポリウレタン樹脂に酸化防止剤等の安定剤、界面活性剤、滑剤、顔料、中実ビーズや水溶性粒子やエマルション粒子等の充填剤、帯電防止剤、研磨砥粒、その他の添加剤を添加してもよい。
研磨領域に用いられるポリウレタン樹脂は、微細発泡体であることが好ましい。微細発泡体にすることにより表面の微細孔にスラリーを保持することができ、研磨速度を大きくすることができる。
前記ポリウレタン樹脂を微細発泡させる方法は特に制限されないが、例えば中空ビーズを添加する方法、機械的発泡法、及び化学的発泡法等により発泡させる方法などが挙げられる。なお、各方法を併用してもよいが、特にポリアルキルシロキサンとポリエーテルとの共重合体であって活性水素基を有しないシリコン系界面活性剤を使用した機械的発泡法が好ましい。該シリコン系界面活性剤としては、SH−192(東レダウコーニングシリコン製)等が好適な化合物として例示される。
研磨領域に用いられる独立気泡タイプのポリウレタン樹脂発泡体を製造する方法の例について以下に説明する。かかるポリウレタン樹脂発泡体の製造方法は、以下の工程を有する。
1)イソシアネート末端プレポリマーの気泡分散液を作製する撹拌工程
イソシアネート末端プレポリマーにシリコン系界面活性剤を添加し、そして非反応性気体と撹拌し、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。イソシアネート末端プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
2)硬化剤(鎖延長剤)混合工程
上記の気泡分散液に鎖延長剤を添加し、混合撹拌する。
3)硬化工程
鎖延長剤を混合したイソシアネート末端プレポリマーを注型し、加熱硬化させる。
微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的にも最も好ましい。
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコーン系界面活性剤を含むイソシアネート末端プレポリマーに分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置を特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用すると微細気泡が得られるため好ましい。
なお、撹拌工程において気泡分散液を作成する撹拌と、混合工程における鎖延長剤を添加して混合する撹拌は、異なる撹拌装置を使用することも好ましい態様である。特に混合工程における撹拌は気泡を形成する撹拌でなくてもよく、大きな気泡を巻き込まない撹拌装置の使用が好ましい。このような撹拌装置としては、遊星型ミキサーが好適である。撹拌工程と混合工程の撹拌装置を同一の撹拌装置を使用しても支障はなく、必要に応じて撹拌翼の回転速度を調整する等の撹拌条件の調整を行って使用することも好適である。
前記ポリウレタン微細発泡体の製造方法においては、気泡分散液を型に流し込んで流動しなくなるまで反応した発泡体を、加熱、ポストキュアすることは、発泡体の物理的特性を向上させる効果があり、極めて好適である。金型に気泡分散液を流し込んで直ちに加熱オーブン中に入れてポストキュアを行う条件としてもよく、そのような条件下でもすぐに反応成分に熱が伝達されないので、気泡径が大きくなることはない。硬化反応は、常圧で行うと気泡形状が安定するため好ましい。
前記ポリウレタン樹脂の製造において、第3級アミン系、有機スズ系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。触媒の種類、添加量は、混合工程後、所定形状の型に流し込む流動時間を考慮して選択する。
前記ポリウレタン樹脂発泡体の製造は、容器に各成分を計量して投入し、撹拌するバッチ方式であってもよく、また撹拌装置に各成分と非反応性気体を連続して供給して撹拌し、気泡分散液を送り出して成形品を製造する連続生産方式であってもよい。
研磨層となる研磨領域は、以上のようにして作製されたポリウレタン樹脂発泡体を、所定のサイズに裁断して製造される。
本発明の研磨領域は、ウエハと接触する研磨側表面に、スラリーを保持・更新するための凹凸構造(溝や孔)が設けられていることが好ましい。研磨領域が微細発泡体により形成されている場合には研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持する働きを持っているが、更なるスラリーの保持性とスラリーの更新を効率よく行うため、またウエハの吸着によるデチャックエラーの誘発やウエハの破壊や研磨効率の低下を防ぐためにも、研磨側表面に凹凸構造を有することが好ましい。凹凸構造は、スラリーを保持・更新する表面形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝、及びこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、溝ピッチ、溝幅、溝深さ等も特に制限されず適宜選択して形成される。さらに、これらの凹凸構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
前記凹凸構造の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば、所定サイズのバイトのような治具を用い機械切削する方法、所定の表面形状を有した金型に樹脂を流しこみ硬化させる方法、所定の表面形状を有したプレス板で樹脂をプレスして形成する方法、フォトリソグラフィーを用いて形成する方法、印刷手法を用いて形成する方法、及び炭酸ガスレーザーなどを用いたレーザー光により形成する方法などが挙げられる。
研磨領域の厚みは特に限定されるものではないが、光透過領域と同程度の厚さ(0.5〜6mm程度)であることが好ましく、さらに好ましくは0.6〜5mmである。前記厚みの研磨領域を作製する方法としては、前記微細発泡体のブロックをバンドソー方式やカンナ方式のスライサーを用いて所定厚みにする方法、所定厚みのキャビティーを持った金型に樹脂を流し込み硬化させる方法、及びコーティング技術やシート成形技術を用いた方法などが挙げられる。
また、研磨領域の厚みのバラツキは、100μm以下であることが好ましく、特に50μm以下であることが好ましい。厚みのバラツキが100μmを越える場合には、研磨領域が大きなうねりを持ったものとなり、ウエハに対する接触状態が異なる部分ができ、研磨特性に悪影響を与える傾向にある。また、研磨領域の厚みのバラツキを解消するため、一般的には研磨初期に研磨領域の表面をダイヤモンド砥粒を電着、又は融着させたドレッサーを用いてドレッシングするが、上記範囲を超えたものは、ドレッシング時間が長くなり、生産効率を低下させることになる。また、厚みのバラツキを抑える方法としては、所定厚みにした研磨領域表面をバフィングする方法もある。バフィングする際には、粒度などが異なる研磨シートで段階的に行うことが好ましい。
本発明の研磨領域、光透過領域、及び透水防止層を有する研磨パッドの製造方法は特に制限されず、種々の製造方法が考えられる。その具体例を以下に説明する。
図4は、開口部11が設けられた研磨領域8の概略構成図であり、図5は、光透過領域9と透水防止層10とが一体形成された透明部材12の概略構成図である。
研磨領域の一部に、開口部を形成する方法としては、例えば、1)製造した樹脂ブロックをバンドソー方式やカンナ方式のスライサーを用いて所定厚みの樹脂シートを作製する。そして、切削治具を用いてプレスすることなどにより該シートに開口部を形成する方法、2)開口部の形状を備えた金型に研磨領域形成材料を流し込んで硬化させて形成する方法、などが挙げられる。なお、開口部の大きさ及び形状は特に制限されない。
一方、光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を製造する方法としては、例えば、光透過領域及び透水防止層の形状を有する型(図7参照)に樹脂材料を注入して硬化させる方法、コーティング技術やシート成形技術を用いた方法などが挙げられる。該製造方法によると光透過領域と透水防止層との間に界面が存在しないため、光の散乱を抑制することができ、高精度の光学終点検知が可能となる。なお、前記方法で形成する場合、温度を制御して最適な粘度で行うことが好ましい。また、溶剤に樹脂材料を溶解して最適粘度の溶液を作り、注入等した後に溶剤を留去することも好ましい方法である。
そして、研磨領域の開口部に透明部材の光透過領域を嵌合して、研磨領域と透明部材とを積層することなどにより本発明の研磨パッドを作製することができる。
研磨領域と透明部材とを積層する手段としては、例えば、研磨領域と透明部材を両面テープで挟み、プレスする方法が挙げられる。また、接着剤を表面に塗布して貼り合わせてもよい。
両面テープは、不織布やフィルム等の基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を有するものである。接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は金属イオン含有量が少ないため好ましい。
また、図6は、注型成形法により研磨パッドを作製する概略工程図である。
前記と同様の方法で、開口部11を形成した研磨領域8を作製する。次に、研磨領域8の研磨表面側に離型フィルム13を仮止めし、型枠14内に設置する。その後、光透過領域9及び透水防止層10を形成するための空間部15に樹脂材料16を注入して硬化させることにより、光透過領域9と透水防止層10とが一体形成された透明部材12を形成する。そして、型枠内から取り出して、離型フィルムを剥離することなどにより本発明の研磨パッドを作製することができる。該製造方法によると光透過領域と透水防止層との間に界面が存在しないため、光の散乱を抑制することができ、高精度の光学終点検知が可能となる。また、該製造方法によると、研磨領域と透明部材とを密着させることができるためスラリー漏れを効果的に防止することができる。
その他の製造方法としては、以下の方法が挙げられる。まず開口部を形成した研磨領域を作製し、その裏面側に光透過領域と同一材料で形成された透水防止層を貼り合わせる。貼り合わせには、両面テープや接着剤などを用いる。ただし、開口部と透水防止層とが接する部分には両面テープや接着剤などは設けない。その後、開口部に光透過領域形成材料を注入して硬化させることにより、光透過領域と透水防止層とを一体形成して研磨パッドを作製する。
研磨領域と透水防止層とは同じ大きさであることが好ましい。また、透水防止層の大きさが研磨領域の大きさより小さく、透水防止層の側面を研磨領域が覆う形態も好ましい。このような形態の場合、研磨中に側面からスラリーが浸入することを防止することができ、その結果、研磨領域と透水防止層の剥がれを防止することができる。
本発明の研磨パッドは、透水防止層の片面にクッション層を積層した積層研磨パッドであってもよい。透水防止層がクッション性を有さない場合には、別途クッション層を設けることが好ましい。
クッション層は、研磨層(研磨領域)の特性を補うものである。クッション層は、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために必要なものである。プラナリティとは、パターン形成時に発生する微小凹凸のあるウエハを研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、ウエハ全体の均一性をいう。研磨層の特性によって、プラナリティを改善し、クッション層の特性によってユニフォーミティを改善することを行う。本発明の研磨パッドにおいては、クッション層は研磨層より柔らかいものを用いることが好ましい。
前記クッション層の形成材料は特に制限されないが、例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布、ポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。
透水防止層とクッション層とを貼り合わせる手段としては、例えば、透水防止層とクッション層を両面テープで挟み、プレスする方法が挙げられる。終点検出精度に影響を与えるような低透過率のクッション層や両面テープには、光透過領域と同一形状の貫通孔を形成しておくことが好ましい。
両面テープは、不織布やフィルム等の基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を有するものである。接着層の組成としては、例えば、ゴム系接着剤やアクリル系接着剤等が挙げられる。金属イオンの含有量を考慮すると、アクリル系接着剤は金属イオン含有量が少ないため好ましい。また、透水防止層とクッション層は組成が異なることもあるため、両面テープの各接着層の組成を異なるものとし、各層の接着力を適正化することも可能である。
透水防止層又はクッション層の他面側には、プラテンに貼り合わせるための両面テープが設けられていてもよい。透水防止層又はクッション層と両面テープとを貼り合わせる手段としては、透水防止層又はクッション層に両面テープをプレスして接着する方法が挙げられる。なお、終点検出精度に影響を与えるような低透過率の該両面テープにも、光透過領域と同一形状の貫通孔を形成しておくことが好ましい。
前記両面テープは、上述と同様に不織布やフィルム等の基材の両面に接着層を設けた一般的な構成を有するものである。研磨パッドの使用後に、プラテンから剥がすことを考慮すると、基材にフィルムを用いるとテープ残り等を解消することができるため好ましい。また、接着層の組成は、上述と同様である。
本発明の研磨パッドは、被研磨体表面の凹凸を平坦化する際に使用される。被研磨体としては、レンズや反射ミラー等の光学材料、半導体デバイスに用いられるシリコンウエハ、プラズマディスプレイやハードディスク用のガラス基板、情報記録用樹脂板やMEMS素子等の高度な表面平坦性を要求される材料が挙げられる。本発明の研磨パッドは、特にシリコンウエハや、その上に酸化物層、金属層、低誘電体(low−k)層、及び高誘電体(high−k)層等が形成されたデバイスの研磨に有効である。
半導体デバイスに用いられる半導体ウエハの表面を研磨する場合、半導体ウエハ上に形成された絶縁層や金属層を研磨する。絶縁層としては、現在酸化シリコンが主流であるが、半導体の高集積化に伴う配線間距離の縮小による遅延時間の問題から、低誘電率の有機及び無機材料や、これらを発泡させることによって更に低誘電率化したものが挙げられる。これら絶縁層としては、STIや金属配線部の層間絶縁膜などが挙げられる。金属層としては、銅、アルミ、タングステンなどがあり、プラグ、(デュアル)ダマシンなどによって構造される。金属層の場合、バリア層が設けられており、これも研磨対象となる。
研磨に使用されるスラリーとしては、被研磨体の研磨、平坦化を可能とするものであればよく、特に限定されるものではない。シリコンウエハを研磨する場合、砥粒として、SiO、CeO、Al、ZrO、又はMnOなど含有した水溶液を用いる。砥粒は、被研磨体の種類によって換える。被研磨体がシリコンウエハ上のシリコン酸化物である場合は、一般的にSiOを含んだアルカリ性水溶液やCeOを含んだ中性水溶液が用いられる。また、シリコンウエハ上の研磨対象物がアルミ、タングステン、及び銅等の金属の場合には、それら金属表面を酸化させることができる酸性水溶液に砥粒を添加したものが用いられる。また、金属層は脆く、スクラッチと呼ばれる傷がつきやすいため、砥粒を含まない酸性水溶液を用いて研磨する場合もある。ウエハと研磨パッドの摩擦抵抗の低減、スクラッチの低減、及び研磨速度を制御する目的で、界面活性剤を滴下しながら研磨してもよい。界面活性剤は、それ単独で研磨パッド上に滴下してもよく、前記スラリー中に予め混合して滴下してもよい。
被研磨体を研磨パッドに押しつける圧力や、研磨パッドを固着した研磨定盤(プラテン)と被研磨体を固着させたポリシングヘッドの相対速度が被研磨体の研磨量に大きな影響を与える。相対速度や圧力は、被研磨体の種類やスラリーの種類によって異なり、研磨量と平坦性等の両立する点を研磨条件として用いる。
また、研磨パッドの研磨面は被研磨体によって平滑化され、研磨特性の低下を招くため、研磨パッドの平滑化を抑制することが好ましい。その方法としては、例えば、ダイヤモンドを電着させたドレッサーで定期的にドレッシングするなどの機械的方法、化学的に研磨表面を溶解させるなどの化学的方法が挙げられる。
半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、図1に示すように研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、半導体ウエハ4を支持する支持台5(ポリシングヘッド)とウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤3の供給機構を備えた研磨装置などを用いて行われる。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と半導体ウエハ4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。研磨に際しては、研磨定盤2と支持台5とを回転させつつ半導体ウエハ4を研磨パッド1に押し付け、アルカリ性や酸性のスラリーを供給しながら研磨を行う。
これにより半導体ウエハ4の表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定した。
(平均気泡径測定)
厚み1mm程度になるべく薄くミクロトームカッターで平行に切り出した研磨領域を平均気泡径測定用試料とした。試料をスライドガラス上に固定し、画像処理装置(東洋紡績社製、Image Analyzer V10)を用いて、任意の0.2mm×0.2mm範囲の全気泡径を測定し、平均気泡径を算出した。
(比重測定)
JIS Z8807−1976に準拠して行った。4cm×8.5cmの短冊状(厚み:任意)に切り出した研磨領域を比重測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定には比重計(ザルトリウス社製)を用い、比重を測定した。
(アスカーD又はA硬度測定)
JIS K6253−1997に準拠して行った。2cm×2cm(厚み:任意)の大きさに切り出した研磨領域、光透過領域、又は発泡層を硬度測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で16時間静置した。測定時には、試料を重ね合わせ、厚み6mm以上とした。硬度計(高分子計器社製、アスカーD又はA型硬度計)を用い、硬度を測定した。
(圧縮率および圧縮回復率測定)
直径7mmの円(厚み:任意)に切り出した研磨領域(研磨層)を圧縮率および圧縮回復率測定用試料とし、温度23℃±2℃、湿度50%±5%の環境で40時間静置した。測定には熱分析測定器TMA(SEIKO INSTRUMENTS製、SS6000)を用い、圧縮率と圧縮回復率を測定した。圧縮率と圧縮回復率の計算式を下記に示す。また、光透過領域及び発泡層についても同様の方法で測定した。
圧縮率(%)={(T1―T2)/T1}×100
T1:研磨層に無負荷状態から30kPa(300g/cm2)の応力の負荷を60秒間保持した時の研磨層厚み。
T2:T1の状態から180kPa(1800g/cm2)の応力の負荷を60秒間保持した時の研磨層厚み。
圧縮回復率(%)={(T3―T2)/(T1―T2)}×100
T1:研磨層に無負荷状態から30kPa(300g/cm2)の応力の負荷を60秒間保持した時の研磨層厚み。
T2:T1の状態から180kPa(1800g/cm2)の応力の負荷を60秒間保持した時の研磨層厚み。
T3:T2の状態から無負荷状態で60秒間保持し、その後、30kPa(300g/cm2)の応力の負荷を60秒間保持した時の研磨層厚み。
(貯蔵弾性率測定)
JIS K7198−1991に準拠して行った。3mm×40mmの短冊状(厚み:任意)に切り出した研磨領域を動的粘弾性測定用試料とし、23℃の環境条件で、シリカゲルを入れた容器内に4日間静置した。切り出した後の各シートの正確な幅および厚みの計測は、マイクロメータにて行った。測定には動的粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所製、現アイエス技研)を用い、貯蔵弾性率E’を測定した。その際の測定条件を下記に示す。
<測定条件>
測定温度 : 40℃
印加歪 : 0.03%
初期荷重 : 20g
周波数 : 1Hz

(水漏れ評価)
研磨装置としてSPP600S(岡本工作機械社製)を用い、作製した研磨パッドを用いて、水漏れ評価を行った。8インチのダミーウエハを研磨して、所定時間ごとに光透過領域の裏面側に水漏れがあるかどうかを目視にて観察した。水漏れと研磨時間との関係を表1に示す。研磨条件としては、アルカリ性スラリーとしてシリカスラリー(SS12、キャボット マイクロエレクトロニクス社製)を研磨中に流量150ml/minにて添加し、研磨荷重350g/cm、研磨定盤回転数35rpm、及びウエハ回転数30rpmとした。また、ウエハの研磨は、♯100ドレッサーを用いて研磨パッド表面のドレッシングを行いながら実施した。ドレッシング条件は、ドレス荷重80g/cm、ドレッサー回転数35rpmとした。
〔研磨領域の作製〕
トルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)14790重量部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3930重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:1006、分子量分布:1.7)25150重量部、ジエチレングリコール2756重量部を入れ、80℃で120分間、加熱攪拌し、イソシアネート等量2.10meq/gのプレポリマーを得た。反応容器内に、前記プレポリマー100重量部、及びシリコーン系ノニオン界面活性剤(東レ・ダウシリコーン社製、SH192)3重量部を混合し、温度を80℃に調整した。撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように約4分間激しく撹拌を行った。そこへ予め120℃で溶融した4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製、イハラキュアミンMT)26重量部を添加した。約1分間撹拌を続けた後に、パン型のオープンモールドへ反応溶液を流し込んだ。この反応溶液の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、110℃で6時間ポストキュアを行いポリウレタン樹脂発泡体ブロックを得た。このポリウレタン樹脂発泡体ブロックをバンドソータイプのスライサー(フェッケン社製)を用いてスライスし、ポリウレタン樹脂発泡体シートを得た。次にこのシートをバフ機(アミテック社製)を使用して、所定の厚さに表面バフをし、厚み精度を整えたシートとした(シート厚み:1.27mm)。このバフ処理をしたシートを所定の直径(61cm)に打ち抜き、溝加工機(東邦鋼機社製)を用いて表面に溝幅0.25mm、溝ピッチ1.50mm、溝深さ0.40mmの同心円状の溝加工を行った。その後、この溝加工したシートの所定位置に光透過領域を設けるための開口部(厚み1.27mm、57.5mm×19.5mm)を打ち抜いて研磨領域を作製した。作製した研磨領域の各物性は、平均気泡径45μm、比重0.86、アスカーD硬度53度、圧縮率1.0%、圧縮回復率65%、貯蔵弾性率275MPaであった。
実施例1
液状のウレタンアクリレート(Actilane290、AKCROS CHEMICALS社製)100重量部とベンジルジメチルケタール1重量部を自転公転式ミキサー(シンキー社製)を用いて、回転数800rpmで約3分間撹拌し、液状の光硬化性樹脂組成物を得た。作製した研磨領域表面に剥離フィルムを仮止めし、該研磨領域を型枠内に設置した。その後、開口部及び透水防止層を形成するための空間部に前記光硬化性樹脂組成物を流し込んだ。型枠温度は40度にした。その後、紫外線照射することにより光硬化性樹脂組成物を硬化させ、光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。バフ機を用いて透水防止層表面をバフがけし、厚み精度を整えた。光透過領域の厚さは1.27mmであり、透水防止層の厚さは25μmであった。その後、透水防止層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度70度、圧縮率3.9%、圧縮回復率96.8%であった。
実施例2
透水防止層の厚さを0.8mmにした以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。
実施例3
実施例1と同様の方法により、光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。その後、透水防止層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせた。そして、表面をバフがけし、コロナ処理したポリエチレンフォーム(東レ社製、トーレペフ、厚さ:0.8mm)からなるクッション層を前記両面テープに貼り合わせた。さらにクッション層表面に前記両面テープを貼り合わせた。その後、光透過領域に合わせた位置で、51mm×13mmの大きさで両面テープ及びクッション層を除去して研磨パッドを作製した。
実施例4
実施例1と同様の方法により、光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。また、前記液状のウレタンアクリレート100重量部とベンジルジメチルケタール1重量部を撹拌翼を用いて、回転数900rpmで気泡を取り込むように約4分間激しく撹拌し、発泡液状の光硬化性樹脂組成物を得た。そして、光透過領域部分に流れ込まないようにフッ素系樹脂シートで光透過領域を覆い、該光硬化性樹脂組成物を透水防止層上に流し込んだ。型枠温度は40度にした。その後、紫外線照射することにより光硬化性樹脂組成物を硬化させ、発泡層(クッション層)を形成した。バフ機を用いて発泡層表面をバフがけし、厚み精度を整えた。発泡層の厚さは0.8mmであった。その後、発泡層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。発泡層の各物性は、アスカーA硬度68度、圧縮率5.6%、圧縮回復率94.5%であった。
実施例5
実施例1において、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、AKCROS CHEMICALS社製)100重量部の代わりに、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、Aczo Nobeles社製)80重量部、及び液状のウレタンアクリレート(UA−101H、共栄社化学製)20重量部を用いた以外は実施例1と同様の方法で研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度87度、圧縮率1.3%、圧縮回復率94.3%であった。
実施例6
実施例2において、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、AKCROS CHEMICALS社製)100重量部の代わりに、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、Aczo Nobeles社製)80重量部、及び液状のウレタンアクリレート(UA−101H、共栄社化学製)20重量部を用いた以外は実施例2と同様の方法で研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度87度、圧縮率1.3%、圧縮回復率94.3%であった。
実施例7
実施例3において、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、AKCROS CHEMICALS社製)100重量部の代わりに、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、Aczo Nobeles社製)80重量部、及び液状のウレタンアクリレート(UA−101H、共栄社化学製)20重量部を用いた以外は実施例3と同様の方法で研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度87度、圧縮率1.3%、圧縮回復率94.3%であった。
実施例8
実施例4において、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、AKCROS CHEMICALS社製)100重量部の代わりに、液状のウレタンアクリレート(Actilane290、Aczo Nobeles社製)80重量部、及び液状のウレタンアクリレート(UA−101H、共栄社化学製)20重量部を用いた以外は実施例4と同様の方法で研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度87度、圧縮率1.3%、圧縮回復率94.3%であった。発泡層の各物性は、アスカーA硬度80度、圧縮率3.4%、圧縮回復率93.1%であった。
実施例9
反応容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)14790重量部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3930重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:1006、分子量分布:1.7)25150重量部、ジエチレングリコール2756重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマー(イソシアネート当量:2.1meq/g)を得た。このプレポリマー100重量部を減圧タンクに計量し、減圧(約10Torr)によりプレポリマー中に残存している気体を脱泡させた。脱泡した上記プレポリマーに、予め120℃で溶融させておいた4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)29重量部を添加し、自転公転式ミキサー(シンキー社製)を用いて、回転数800rpmで約3分間撹拌した。作製した研磨領域表面に剥離フィルムを仮止めし、該研磨領域を型枠内に設置した。その後、開口部及び透水防止層を形成するための空間部に前記混合物を流し込んだ。このとき型枠温度は100度にした。真空脱泡した後、110℃のオーブン中で9時間ポストキュアを行い光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。バフ機を用いて透水防止層表面をバフがけし、厚み精度を整えた。光透過領域の厚さは1.27mmであり、透水防止層の厚さは25μmであった。その後、透水防止層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度94度、圧縮率0.9%、圧縮回復率73%であった。
実施例10
アジピン酸とヘキサンジオールとエチレングリコールからなるポリエステルポリオール(数平均分子量2050)128重量部、及び1,4−ブタンジオール30重量部を混合し、70℃に温調した。この混合液に、予め70℃に温調した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100重量部を加え、自転公転式ミキサー(シンキー社製)を用いて、回転数800rpmで約3分間撹拌した。作製した研磨領域表面に剥離フィルムを仮止めし、該研磨領域を型枠内に設置した。その後、開口部及び透水防止層を形成するための空間部に前記混合物を流し込んだ。このとき型枠温度は100度にした。真空脱泡した後、100℃のオーブン中で8時間ポストキュアを行い光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。バフ機を用いて透水防止層表面をバフがけし、厚み精度を整えた。光透過領域の厚さは1.27mmであり、透水防止層の厚さは25μmであった。その後、透水防止層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度93度、圧縮率1.1%、圧縮回復率87.9%であった。
実施例11
アジピン酸とヘキサンジオールとエチレングリコールからなるポリエステルポリオール(数平均分子量2050)128重量部、及び1,4−ブタンジオール30重量部を混合し、70℃に温調した。この混合液に、予め70℃に温調した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100重量部を加え、自転公転式ミキサー(シンキー社製)を用いて、回転数800rpmで約3分間撹拌して混合物を得た。そして、光透過領域及び透水防止層の形状を有する金型(図7参照)に前記混合物を流し込んだ。金型の温度は100度にした。真空脱泡した後、100℃のオーブン中で8時間ポストキュアを行い光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材を形成した。バフ機を用いて透水防止層表面をバフがけし、厚み精度を整えた。光透過領域の厚さは1.27mmであり、透水防止層の厚さは25μmであった。透水防止層の研磨領域側にアクリル系接着剤を均一な厚みに塗布し、作製した研磨領域と貼り合わせて研磨パッドを作製した。その後、透水防止層表面にラミ機を使用して両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度93度、圧縮率1.1%、圧縮回復率87.9%であった。
比較例1
反応容器にトルエンジイソシアネート(2,4−体/2,6−体=80/20の混合物)14790重量部、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート3930重量部、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量:1006、分子量分布:1.7)25150重量部、ジエチレングリコール2756重量部を入れ、80℃で120分間、加熱撹拌し、イソシアネート末端プレポリマー(イソシアネート当量:2.1meq/g)を得た。このプレポリマー100重量部を減圧タンクに計量し、減圧(約10Torr)によりプレポリマー中に残存している気体を脱泡させた。脱泡した上記プレポリマーに、予め120℃で溶融させておいた4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)29重量部を添加し、自転公転式ミキサー(シンキー社製)を用いて、回転数800rpmで約3分間撹拌した。そして該混合物を型に流し込み、真空脱泡した後、110℃のオーブン中で9時間ポストキュアを行い、ポリウレタン樹脂シートを得た。その後、該ポリウレタン樹脂シートの両面をバフ研磨し、光透過領域(縦57mm、横19mm、厚さ1.25mm)を作製した。光透過領域の各物性は、アスカーA硬度94度、圧縮率0.9%、圧縮回復率73%であった。
前記作製した研磨領域の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、ダブルタックテープ)を貼り合わせた。次に、表面をバフがけし、コロナ処理したポリエチレンフォーム(東レ社製、トーレペフ、厚さ:0.8mm)からなるクッション層を前記両面テープの粘着面にラミ機を用いて貼り合わせた。さらにクッション層表面に両面テープを貼り合わせた。その後、研磨領域の開口部のうち、51mm×13mmの大きさでクッション層及び両面テープを打ち抜き、穴を貫通させた。その後、前記作製した光透過領域を嵌め込んで研磨パッドを作製した。
Figure 0004775881
表1から明らかなように、本発明の研磨パッドを用いることにより、研磨領域と光透過領域との間からのスラリー漏れを長時間防止することができる。
CMP研磨で使用する研磨装置の一例を示す概略構成図。 従来の研磨パッドの一例を示す概略断面図。 本発明の研磨パッドの一例を示す概略断面図。 開口部が設けられた研磨領域の一例を示す概略断面図。 光透過領域と透水防止層とが一体形成された透明部材の一例を示す概略構成図。 注型成形法により本発明の研磨パッドを作製する概略工程図。 光透過領域及び透水防止層の形状を有する金型の一例を示す概略断面図。
符号の説明
1:研磨パッド(研磨シート)
2:研磨定盤
3:研磨剤(スラリー)
4:被研磨材(半導体ウエハ)
5:支持台(ポリシングヘッド)
6、7:回転軸
8:研磨領域
9:光透過領域
10:透水防止層
11:開口部
12:透明部材
13:離形性フィルム
14:型枠
15:空間部
16:樹脂材料
17:金型
d:光透過領域の厚さ

Claims (1)

  1. 光透過領域を設けるための開口部を研磨領域に形成する工程、光透過領域及び透水防止層の形状を有する型に材料を注入して硬化させることにより光透過領域とクッション性を有さない透水防止層とが一体形成された透明部材を作製する工程、前記研磨領域の開口部に前記光透過領域を嵌合して研磨領域と透明部材とを積層する工程、透明部材の片面にクッション層を積層する工程を含む研磨パッドの製造方法。
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