JP2007058669A - 安全作業支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 作業内容を作業環境に応じて日々高度化し、労働災害のない職場環境を実現可能にするための安全作業支援システムを提供する。
【解決手段】 ネットワーク環境下で1又は2以上の設備の安全関連情報の入力及び入力し蓄積された安全関連情報の取得を可能にするユビキタス設備関連情報処理部11、及びネットワーク環境下で音声及び他形態の情報のやりとりができる同時多極通話部12を備える災害防止支援手段13と、ユビキタス設備関連情報処理部11から収集される設備の安全関連情報と、法令集をベースとした社内規定集、過去の事故例集、類似災害事例といった安全関連情報を記憶し、誰もが参照できるようになっているデータベース19を備えて作業指示書14を作成する作業手順策定手段15とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、労働災害のない職場環境を実現可能にするための安全作業支援システムに関する。
労働災害のない職場を実現すべく、これまで種々努力が積み重ねられてきた。
例えば、鉄鋼業界では、連続鋳造装置の鋳型と、その直下に設置された小径ロール群を固定するロールセグメントとを有する連続鋳造設備において、その装置構成を創意工夫することで、ロールの交換作業を容易にしている(例えば、特許文献1参照)。そして、ロールの交換作業に際し、労働災害を防止するため、作業指揮者はその作業に応じた適切な作業指示書をワープロで作成し、この作業指示書を作業者に示して明確な作業指示を与え、作業者にその作業指示書を遵守して作業を遂行させている。なお、作業指示書は、作業指揮者により定期的に更新されている。
これにより、長期間無災害を継続する職場が増加している。
特開平9−52157号公報
しかしながら、作業環境(例えば、作業タイミング、作業者、又は天候)は変化するものであるため、従来のようにワープロを使用して作業指示書を更新していたのでは、必ずしも足下での個々の作業環境に則した作業指示が行えない。
また、作業条件の変化に即して作業指示書は定期的に見直し更新される。このとき、従来のワープロを使用した作業指示書では、指示書としての明確で作業者に分かり易い表現をとるため、一つ一つの作業指示の裏にある当初策定時に配慮していた重要な思いに気づかず更新してしまい、更新が改悪につながる場合がある。また、作業指示書を策定する作業管理者の安全に関する知識、又は技術のレベルに応じて作成した作業指示書のレベルに個人差が発生し、十分な安全管理を徹底できない恐れもある。
更に、作業指揮者と作業者との関係を、職場風土としては厳格な規律が前面にありながらも、自分の意見を自由に陳述できる拓かれた職場環境にできなければ、作業者側から作業指示書の不備を指摘する声が小さくなり、作業指示書が形式的になる恐れがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、作業内容を作業環境に応じて日々高度化し、労働災害のない職場環境を実現可能にするための安全作業支援システムを提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る安全作業支援システムは、ネットワーク環境下で1又は2以上の設備の安全関連情報の入力及び入力された前記安全関連情報の取得を可能にするユビキタス設備関連情報処理部、及び該ユビキタス設備関連情報処理部を通じて、前記安全関連情報を前記ネットワーク環境下で音声を主体として得ることができる同時多極通話部を備える災害防止支援手段と、
前記ユビキタス設備関連情報処理部から収集される前記設備の安全関連情報と法令集をベースとした社内規定集、過去の事故例集、類似災害事例といった安全関連情報とを記憶し、誰もが参照できるようになっているデータベースをもって、作業指示書を作成する作業手順策定手段とを有するものである。
ここで、災害防止支援手段とは、例えば、作業に使う設備(装置)が破損すれば災害発生に繋がる危惧があるが、作業中は毀損していない状態に維持されるようにすること、また万が一、設備がトラブルを発生したら、作業者が速やかにその作業を中止して職場退避を可能とする仕組みを有するものである。また、作業者が何らかの作業を行うとき、作業者が作業に必要な情報の入出力を行うことを支援するものである。
この災害防止支援手段のユビキタス設備関連情報処理部とは、作業遂行に当たって考慮すべき3つの設備、即ち「生産設備(製造現場のようにモノを直接製造する設備に限らず、対価を得る作業に使う設備を全て総称する)」、「防災設備(例えば、高圧ガス又は消防法のような法律で規制対象となる設備であり、直接作業遂行に使用する設備に限らず、遂行作業場の周辺に設置されていて、作業の不具合によっては二次災害の発生の惧れがあるものすべてを対象とする)」、「環境設備(例えば、大気、水質、又は騒音の規制対象設備であり、直接作業に使用するものと、作業場周辺に設置されている設備で作業の不具合で法律違反になる惧れのある設備も対象とする)」の情報を把握し、作業中に設備を使用可能な状態に維持するためのものである。なお、ユビキタスとは、「いつでも、何処でも、誰とでも」という情報伝達のネットワーク及び情報収集のネットワークが具備されていることで、情報の高度活用を可能にすることを意味する言葉である。このようなネットワーク環境下では、伝達される情報に制約がなく、例えば、音声、画像、又は文字データ全てが行き来することが可能となっている。
そして、災害防止支援手段の同時多極通話部とは、これまで主であった1対1(例えば、電話)、又は1対n(例えば、ページング)の通話設備に対して、同じ作業をする全員が、グループウエアとして活用できる機能を有する通話設備のことであり、全員参加すると同時に相互に応答して、正しい瞬時の情報を共有するものであり、これにより安全な作業を可能にするものである。
また、ここでは音声が作業連絡として必須のものであるため、同時多極通話部としているが、情報のメディアについては、音声だけではなく他のメディア(例えば、テキスト、画像、又は映像)を併用することにより、情報共有のレベルが上がるためより望ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る安全作業支援システムは、現場の作業者が行うべき作業手順を明確に規定する作業指示書の作成を支援する作業手順策定手段を有する。
ここで、作業手順策定手段は、法令集をベースとした社内規定集、過去の事故例集、又は類似災害事例といった誰もが参照できるようになっているデータベースと、設備管理データ(例えば、図面、取扱説明書、又は設備管理データ)の2本建てのデータベース(以下、2本のデータベースの内容を「安全関連情報」、本データベースを「安全関連情報データベース」と呼ぶ)を基に、作業指示書を作成できるようにするものである。また、作業の遂行にあたり、前記のユビキタス設備関連情報処理部を利用して、前記の作業遂行にあたって考慮すべき3つの設備の情報を正しく把握すると共に、作業指示に従い正しく活用することが支援される。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、問い掛け機能を有していることが特徴で、当該作業手順策定の既入力内容に基づいて問い掛け内容が変えられることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、新たな問い掛け及び安全関連情報の新規登録ができると共に、問い掛けと作業手順策定過程での入力した内容との関係の設定、問い掛けと前記安全関連情報との関係設定、前記作業手順策定過程での入力と前記安全関連情報との関係設定等、問い掛け情報及び前記安全関連情報と前記作業指示書の情報(作業環境条件、作業指示、又は入力すべき項目)との相互関係を設定できることが望ましい。
なお、環境条件と境界条件については、随時追加登録を行うことができる。このように、環境条件と境界条件について随時追加登録を行い、更に問い掛け情報に関連付けていくことにより、環境条件と境界条件の入力時に問い掛けによる確認ができるので、例えば、発生頻度が少ないトラブルが発生しても、そのトラブルに対する対応を確実に行うことができ、また、トラブルからの復旧方法を自動的に伝承していくことができる。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、前記全ての入力された情報に基づいて複数の作業内容を決定するための前記作業指示書の様式が保存され、これを使用して前記作業指示書を作成することが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、前記作成した作業指示書の作成過程が保存可能であることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、作業指示書の改訂履歴が保存可能であることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、予め蓄積された安全関連情報と全ての入力された情報とを整合し、その結果に基づいて作成した前記作業指示書の評価を行う機能を有することが好ましい。
ここで行う評価は、特に境界条件と比較して評価することが好ましい。例えば、作業者の体格別に場合分けして記載したり、また多くの注意事項を記載したりすることにより、高い評価が得られることになる。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、前記作業指示書の内容を音声で出力可能な機能を有し、その出力速度が調整可能であることが好ましい。これにより、作業環境の変化(特に、経験の浅い作業者が多いとき)に対応して、例えば、一問一答式の作業指示及びそれに対する応答で、次の作業に進むことにより、確実な安全作業を可能にできる。
なお、出力速度は、作業者間の作業速度の差を考慮して調整するものであるが、作業が遅い者に合わせることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、前記作業指示書に基づいて作業を行う複数の作業者の作業能力が蓄積されていることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、予め作成され蓄積された作業指示書を検索する作業指示書検索機能と、設備に関する用語又は前記安全関連情報の用語から過去の類似災害又は操業トラブルの対処履歴を検索する災害操業検索機能とを有し、該各機能を使用して事前に想定されていない状況下で使用する前記作業指示書を作成支援することが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、事前に災害を回避するための作業指示が的確に出せるようなガイダンス機能を有していることが好ましい。
第2の発明に係る安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、事前に想定されていない状況下で使用する前記作業指示書の作成過程を保存可能であり、該作成過程の情報を次回以降に作成する作業指示書の作成に使用可能にする機能を有することが好ましい。
請求項1記載の安全作業支援システムは、例えば、無線LANのようなネットワーク環境下においてユビキタス設備関連情報処理部を使用することにより、例えば、作業指揮者又は作業者による設備の新しい安全関連情報の入力、及び入力し蓄積された安全関連情報の取得を瞬時に実施可能な状態にできる。また、作業遂行にあたって関連する設備の情報を正しく把握すると共に、作業指示に従い正しく活用することができる。
また、上記したネットワーク環境下において同時多極通話部を使用することにより、例えば、2人又は3人以上の複数人の作業者(時には、作業者群と作業管理者)間で、安全関連情報の送受信、及び本安全作業支援システムの作業手順策定手段により策定された作業の作業者への指示と応答の送受信が可能になる。
そして、作業手順策定手段により、漏れの少ない的確な作業指示を、より的確な作業要因の割り当てのもとで、作業環境の状態にあわせて行うことができる。
また、本作業手順策定手段により、作業手順の策定した考え方、それに関連した法規、安全規則、及び同種の作業環境における災害事例等の情報とリンクして参照でき、かつ作業手順の改訂過程を全て残すことができる。
これにより、作業内容を作業環境に応じて日々高度化すると共に、作業手順策定を行う作業管理者(作業手順策定者)の知識及び技術が向上し、労働災害のない職場環境を実現できる。
請求項2〜13記載の安全作業支援システムは、作業手順策定の上で考えるべき考慮事項をガイダンス(以下、問い掛けとも呼ぶ)してくれ、また必要に応じて当該作業に関する例えば、類似災害事例、法規、又は設備装置の情報を提供してくれるので、作業手順策定者のレベル差の解消に役立つと共に、作業手順策定者の知識及び技術の向上が期待できる。
請求項4記載の安全作業支援システムは、新たな問い掛け及び安全関連情報の新規登録ができるので、作業手順を策定する過程で作業手順策定者の持つ知識及びノウハウを本システムに蓄積していくことが可能となる。
請求項5記載の安全作業支援システムは、予め保存された作業指示書の様式を使用し、これに作業内容を埋めて作業指示書を作成するので、作業指示書の様式を統一でき、作業指示書の作成を容易にできる。
請求項6記載の安全作業支援システムは、作業指示書の作成過程を保存できるので、どのような考えで当該作業手順が作成されたのか、作業管理者の考えが、例えば、法的根拠又は類似災害事例の情報と併せて理解できる。これにより、後任の作業管理者が作業指示書を修正する場合に、不用意な書き換えを防止できると共に、技能及び技術の伝承の一助となる。
請求項7記載の安全作業支援システムは、作業指示書の改訂履歴を保存できるので、例えば、新旧の作業指示書の内容比較を行ってその問題点を検討でき、より好ましい作業指示書の作成に寄与できる。
請求項8記載の安全作業支援システムは、作成した作業指示書の評価を行うので、例えば、その作業指示書の作成レベルが分かり、これに応じて必要な修正を実施できる。
請求項9記載の安全作業支援システムは、作業指示書の内容を音声で出力でき、その出力速度が調整可能であるので、内容の出力速度を、例えば、作業者の熟練度又は状態に応じて調整できる。これにより、例えば、作業者が初心者であったり、また睡眠不足で注意が散漫していると思われる状態であっても、作業指示のステップ毎の応答があって次の作業ステップに進むような出力速度を調整することで、作業者に作業確認を確実にとらせながら、より安全な作業指示を行うことができる。
請求項10記載の安全作業支援システムは、複数の作業者の作業能力が蓄積されているので、その作業に適した作業者を選定し決定できる。
請求項11記載の安全作業支援システムは、事前に想定されていない状況下で使用する作業指示書を作成するので、そのような状況に遭遇した場合においても、この作業手順策定手段を使用することにより、例えば、トラブルの復旧に時間的に迫られていても、冷静かつ沈着な判断で、しかも最適な手順で、トラブルに対する復旧を安全に実施できる。
請求項12記載の安全作業支援システムは、例えば、非定常作業手順策定で、まず必要になる境界条件確認の作業指示時において、事前に災害を回避するための的確な作業指示を策定するためのガイダンス機能を有しているので、例えば、危惧される二次災害を防止しながら、トラブルに対する復旧を更に安全に実施できる。
請求項13記載の安全作業支援システムは、例えば、事前に想定されていない状況下で、過去に類似の本安全作業支援システム活用事例がある場合、その事例を引出し参照することで、より好ましい内容の作業指示書を作成できる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムの構成図、図2は同安全作業支援システムの作業手順策定手段の説明図、図3は同安全作業支援システムの使用状態を示す説明図である。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システム10は、ネットワーク環境下で1又は2以上の設備の安全関連情報の入力、及び入力し蓄積された安全関連情報の取得を可能にするユビキタス設備関連情報処理部(以下、単に情報処理部ともいう)11、及び情報処理部11を通じて安全関連情報をネットワーク環境下で音声を主体として情報のやりとりができる同時多極通話部12を備える災害防止支援手段13と、情報処理部11から収集される設備の安全関連情報と、法令集をベースとした社内規定集、過去の事故例集、類似災害事例を含む安全関連情報とを記憶し、作業指示書14を作成する作業手順策定手段15とを有し、作業内容を作業環境に応じて日々高度化し、労働災害のない職場環境を実現可能にするシステムである。構造的に無災害職場を実現するには、上記した災害防止支援手段13と作業手順策定手段15の両輪の高度化が必須である。言い換えれば、この2つの手段が具備されて始めて、構造的に無災害職場の構築が可能となる。以下、詳しく説明する。
本発明の安全作業支援システム10を使用して作成する作業指示書14の作業とは、業種や業務形態によってその形が異なるが、定常作業と非定常作業とに区分される。
この定常作業とは、予め全ての条件を想定でき、事前に作業手順が規定可能な作業であり、具体的には、作業指示書14通りに作業を遂行すれば、災害を防止して所定の作業を完遂させることができる作業を意味する。
また、非定常作業とは、必ずしも予め全ての条件を想定して作業手順を規定し得ない作業で、現場の状況を把握しながら適切な作業指示を出すことで遂行する作業であり、具体的には、作業指示書として規定する際に後述する作業境界条件を想定できないことが多く、従って、その境界条件を一つずつ確認しながら作業手順を策定し、その手順に沿って行う作業を意味している。
また、作業指示書14で作業内容が規定できるか否かの観点を重視すると、作業指示書14を策定するための作業への関わり方に対して、作業環境条件と作業境界条件という2種類の条件を考慮しなければならない。
この作業環境条件とは、個々の作業を遂行しようとするときに、必ず直面する条件のことである。作業者個人に帰する事項といえば、例えば、その個人の熟練度又は体型といったものであり、作業者のそのような条件差に応じて、その時々に作業指示書を規定するという考え方もないわけではないが非現実的である。そこで、ある程度の条件の違いに許容幅を持たせ、その幅の範囲に入っている条件は同一と看做して作業指示書を規定し(言い換えれば同一の作業指示書とし)、個々の条件に幅を持たせて、作業開始前のミーティングで注意喚起を促すことが一般的である。
この作業環境条件として考慮すべき事項は、個人に関するもの以外に、例えば、作業チームに起因する事項、作業タイミングに関する事項、作業時間に関する事項、天候に関する事項、作業スピードに関する事項、又は作業位置に関する事項が考えられる。この作業チームに起因する事項としては、例えば、作業チームとしての熟練度はいうまでもなく、作業者のチーム内の緊密度又はチーム間の知己度があり、作業タイミングに関する事項としては、例えば、同じ作業でも就業して間もないときに遂行するのか、又は就業時間の終わりにとりかかるかによって、作業者の集中度がばらつかないかというのがある。また、作業時間に関する事項としては、例えば、昼間作業又は夜間作業があり、天候に関する事項としては、例えば、熱中症になりやすい夏場と、身体がかじかむ冬場で、条件が同じかというのがある。作業スピードに関する事項としては、例えば、比較的作業密度に余裕があるか、又は緊張の連続が強いられるかということであり、作業位置としては、例えば、地上で行う作業又は地上より1mの高さ位置で行う作業がある。
これらの作業環境条件は、作業指示書に規定するときに、明確に定義される必要がある。例えば、屋外作業で雨風に関係なく同一作業手順で作業する場合には、「降雨量毎分10mm以下、風速毎秒10m以下の条件を外れたときは、この作業指示書では作業してはならない」という記述が必要になるということである。
また、作業境界条件とは、一連の時間経過で展開される個々の作業ステップに対して、その作業に着手して良いかどうかの判断に影響する外部条件のことを意味している。
どの作業(仮に、XXX作業と称する)も、多数の作業ステップx1、x2、x3、・・・で構成されているのが一般的である。ここで、XXX作業として、例えば、鉄鋼業での大型連続鋳造装置の鋳型とその直下に設置された小径ロール群を固定するロールセグメントとを一体にし、短時間で同時に交換できるように考案されたQCスタンドの交換作業を行う作業を例に挙げて説明する。
QCスタンドの交換作業というのは、現在まで使用していた古いQCスタンドを何らかの理由で連続鋳造装置から引き出して、新しく整備されたQCスタンドを装着するという作業である。
このQC交換作業群は、QCスタンド引き抜き準備作業XX1、QCスタンド引き抜き作業XX2、連続鋳造装置内清掃作業XX3、及び新QCスタンド装着作業XX4という4つの作業群から構成される。このように作業群を分けておくことで、それぞれの作業群単位で作業するチームが交替しても、作業の引継ぎに伴う責任の所在が明確になるという点で重要である。このQCスタンド引き抜き準備作業XX1とは、QCスタンドを専用吊り具を使用してクレーンで引き上げることが可能となるように準備することである。作業の内容は、通常の鋳造作業においては、オペレーターが鋳型のそばに近寄っても作業の安全が実現できるように種々の工夫が施されている。従って、鋳造作業を中断してQCスタンドを引き抜くということは、鋳造作業のための安全対策設備類を取り外して、QCスタンドが上方に引き抜けるように空間を確保することであり、それと同時に、QC交換作業中に鋳造作業中にはなかった空間に作業者が墜落することのないように、墜落防止柵を取付けることである。
定常作業としてのQC交換作業のXX1の最初の作業ステップx1は、QCスタンドに組み込まれている鋳型から、鋳造作業中に流出溶鋼でオペレーターが火傷にならないようにするため覆っている鋳型カバーを取り外すことである。
この事例を作業環境条件で説明すると、例えば、鋳型又はロールセグメントといった装置が長時間の使用によって劣化したり、また装置の部品が破損して機能しなくなったといった設備起因によるQC交換作業である。この場合、鋳型カバーを取り外す作業手順を決めることは極めて容易である。
ところが、溶鋼が鋳型からオーバーフローして、鋳型が継続使用できなくなったので交換するというような操業トラブル起因によるQCスタンド交換作業となると、上述した鋳型カバーの取り外しと作業ステップx1とが異なった作業となる。即ち、鋳型上部から流出した溶鋼がどのように固まっているかの状況把握が、作業ステップの最初となる。言い換えれば、予めこうなるはずだと想定して作業設計をすることができない条件が作業境界条件となる。
災害に繋がらないようにして、いかに状況を確認するかということが最初の作業ステップとなり、次の作業ステップが、災害にならぬような作業方案でトラブル起因の障害を取り除く作業となる。言い換えるなら、作業境界条件とは、想定外作業が発生したとき、過去の災害事例を参考に、そのような二次災害が発生しないような作業設計をして、状況把握や障害除去作業を実行する手順を策定するための検討視点である。
以上を要約すると、作業は作業指示書で規定された通りに作業を遂行すれば災害防止が約束される定常作業と、必ずしも予め全ての条件を想定して作業手順を規定し得ない作業で、現場の状況を把握しながら適切な作業指示を出すことで作業遂行を期する非定常作業との2種類を有する。また、これらに対して、作業手順を検討するときに考慮すべき条件であり、その条件のばらつきの範囲を規定して、そのばらつきを作業者の個人的努力又はチームとしての相互支援によって吸収させる作業環境条件と、作業に着手する前に予め過去の災害事例を参考にして、二次災害の発生が伴わない作業手順を検討すべき検討の切り口となる作業境界条件がある。
本発明の安全作業支援システム10のネットワーク環境とは、例えば、無線LAN、IPフォンネットワーク、又はコンピュータネットワークを意味する。
ユビキタス設備関連情報処理部11としては、例えば、従来公知のRFID(データを管理する「RFIDタグ」と、それを認識又は制御する「リーダライタ」と、「アンテナ」とで構成されており、RFIDタグが、リーダライタから出力する電波又は磁界を受けて交流することで、ICチップにデータを登録、又はデータを返送する仕組みで動作するもの、即ち、ICチップを物体に近づけるだけで、その物体が何であるかという情報の取得、またその付属情報を入手できるもの)を使用できる。これを使用することにより、物体が何であるかを認識できれば、ネットワーク環境下での情報交換により、それに関するあらゆる情報(例えば、過去の点検データ、稼働履歴、故障歴、修理方法、分解手順、又は安全上の注意)を、最も望ましい形態(例えば、テキスト、音声、画像、又は映像)で、しかもこのネットワーク環境下のどこでも入手することができる。なお、ユビキタス設備関連情報処理部として、例えば、コンピュータ又は携帯電話を使用することもでき、これにより安全関連情報の入力、及び入力し蓄積された安全関連情報の出力ができる。
同時多極通話部12とは、ネットワーク環境下において、ユビキタス設備関連情報処理部11を使用し、例えば音声により、作業指揮者と作業者間、各作業者間、又は作業手順策定手段15と作業管理者及び作業者間で、相互に送受信可能に情報交換を行うものである。
作業手順策定手段15とは、1又は2以上の設備の安全関連情報が予め蓄積され、所定の入力情報に基づき安全関連情報から必要な情報を使用して、設備のうち入力情報に示された特定の設備を保全するための作業指示書を作成するものである。この作業手順策定手段15は、ネットワーク環境下に配置され、災害防止支援手段13のユビキタス設備関連情報処理部11及び同時多極通話部12に、安全関連情報を送受信可能なものであり、例えば、コンピュータを使用できる。この作業手順策定手段15は、作業指示書策定支援部(以下、定常作業化支援部ともいう)16、非定常作業の作業手順策定支援部17、及び非定常作業の定常作業化支援部18の3つを有している。以下、各支援部の構成とその動作状態について説明する。
まず、作業手順策定手段15の作業指示書策定支援部16は、例えば、作業指揮者が実際に作業指示する作業者又は作業チームを想定して、同一作業と考えることができる作業環境条件の許容ばらつきを決められるように、種々の作業条件データを入力する手段と、それを格納するメモリ領域を有している。
また、作業指示書策定支援部16は、作業指示書作成上参考となる安全関連情報データベースと、安全関連情報を安全関連情報抽出エンジンが使用可能な例えば、作業環境条件、作業境界条件、又は設備の分類情報に付与し入力する手段とを有している。なお、安全関連情報データベースは、例えば、(1)装置メーカーが装置を納入するときに提出する操作手順書、設計基本方針、運転方案、又は図面の設備装置に関するデータベース、(2)過去の類似災害又は操業トラブルの検討結果データベース、(3)労働安全衛生法、公害関連法規、消防法、又は高圧ガス法令集のように参照すべき法規集を有している。
そして、作業指示書策定支援部16は、例えば、作業手順、作業の要点、安全の急所、又はこれらに付随する情報を入力する手段と、それを格納するメモリ領域を有している。また、例えば、作業条件又は作業手順入力時に、当該内容に問い掛ける問い掛けデータベース、問い掛けを入力する手段、又はこの問い掛けを、例えば、作業環境条件、作業境界条件、設備、又は作業のキーワードに関連づけて入力が可能な手段を有している。そして、例えば、入力された当該作業の作業条件、作業環境条件、又は作業指示の入力された特定のキーワード、又は問い掛け情報に基づき、安全関連情報データベースから参考となる必要な情報を検索する安全関連情報抽出エンジンと、抽出した安全関連情報を表示する手段とを有する。更に、例えば、入力された当該作業の作業条件、作業環境条件、又は作業指示の入力された特定のキーワードに基づいて、問い掛けデータベースから問い掛けを抽出する問い掛け抽出エンジンと、抽出された問い掛け情報を表示する手段とを有している。
以上に示した各データベースによって、一つのデータベース19を構成し、また各抽出エンジンによって、一つの抽出エンジン20を構成している。
なお、作業指示書策定支援部16は、前記した各構成を使用して作成した作業指示書14の格納場所、作業指示書データベース、作業手順の検索機能、検索結果表示機能、及び所定のフォーマットに即時編集した作業指示書をアウトプットする機能を有している。
このように構成することで、1又は2以上の設備のうちの特定の設備の作業指示書14の作成にあたり、作業条件データを入力する手段を通してコンピュータに作業条件を入力すると、入力された作業条件項目、及び入力された内容に含まれるキーワードに基づいて、問い掛け抽出エンジンが、当該項目又は当該内容の作業条件を考える上で考慮すべき事項の問い掛けを行い、作業手順策定者に抽出された問い掛け情報を表示する手段を介して表示する。
また、同時に安全関連情報抽出エンジンが働き、当該作業に関連した設備の運転方案、図面、操作手順の設備関係情報、クレーン(以下、Crと表記することもある)を使用するためのクレーン則、当該関連作業、設備(作業環境条件)に関連した事故、又は操業トラブル事例を抽出できる。なお、作業手順策定者は、表示手段により抽出された安全関連情報を参照できる。
次に、作業手順及びそれに付随する情報を入力する手段を通じて、具体的な作業手順を入力すると、既入力済みの作業条件と入力された作業手順の中のキーワードから、問い掛け抽出エンジンが働き、当該作業条件下で、当該作業を実施する上で考慮すべき事項の問い掛けを行い、作業手順策定者に抽出された問い掛け情報を表示する手段を介して表示する。
そして、同時に安全関連情報抽出エンジンが働き、当該作業に関連した設備の運転方案、図面、操作手順の設備関係情報、クレーン則、当該関連作業、設備又は作業環境条件に関連した事故、又は操業トラブル事例を抽出する。
この抽出の演算ロジックの一例としては、各条件が同一軸上にあると考え、例えば、安全に関する事故事例、法令、又は問い掛けの各情報が、その軸上のあるポジション(位置情報)に位置すると想定する方法がある。ここで、ある作業条件を与えたときに、各情報がその作業条件の位置からどれだけ離れているかを演算し、距離の近いものから順に抽出する。なお、紐付け情報が得られている場合、その距離をゼロとする。
これにより、作業手順策定者は、表示手段により抽出された安全関連情報を参照できる。
ここで、上記した抽出方法の具体例を示す。
例えば、「QCスタンド巻き上げを指示する」との入力を行った場合、「巻き上げ」のキーワードに対して、Crの巻き上げ条件はよいか、このCrに対して適切な吊具、又はワイヤーを使用しているか、荷重にあったワイヤーを使用しているか、ワイヤーのキンクはないか、作業員は適格か、又は配置連絡はOKかという問い掛けを、予め入力され蓄積されている問い掛けデータベースから抽出して表示する。なお、「Crの巻き上げ条件はよいか」の問い掛けに対しては、クレーン則の当該関連条文が安全関連情報抽出エンジンにより抽出紐付けされており、作業手順策定者は必要に応じて参照可能になっている。
また「荷重に合ったワイヤーを使用しているか」という問い掛けに対しては、例えば、当該工場でのCrワイヤー選定基準のローカルルールが定められ、これが安全関連情報データベースに入っているなら、抽出して紐付けされる。更に、例えば、Crのワイヤー選定ミスでの事故事例、又は災害に至ることなく済む(即ち、ヒヤリハット)事例は、安全関連情報データベースから安全関連情報抽出エンジンにより抽出紐付けされる。
そして、作業手順策定者はそれらの情報を参照して、作業指示に漏れがないか、何故この作業指示が作成されてきたかの意味合いを深く理解できる。
このような手順で、作業指示書14を順次仕上げ、一連の手順の固まりとしてまとまった作業指示書を、作業指示書データべースにドラフトとして格納する。そして、この作業の関係者の承認を得て、正式の作業標準書として登録され、これを作業指揮者(例えば、現場監督)を介して作業者に提示し、作業者がこれに基づいた作業ができるように訓練を行う。
なお、作業指示書データべースに格納された作業指示書は、検索機能と表示機能により、現場の作業指示に活用される。
特に、この作業指示書策定支援部16で考慮すべき事項は、例えば、過去の類似災害事例又は操業トラブル事例をデータベース化するときに、事例の内容もさることながら、作業環境条件との関連を定量的に評価できるように加工して格納することにある。超ベテランの集団であれば、作業手順に少々のミスが発生しても、作業に影響を及ぼさない事態で切り抜けられ、ヒヤリハットで済むことがあるかもしれない。しかし、些細な作業手順ミスで手痛い災害に繋がることは多々ある。また、作業手順を遵守しなかったという論外なケースを除けば、作業環境条件の考慮不足を起因にした作業指示書の曖昧さが原因となっているケースが多いと推定されている。
また、作業手順策定手段15は、作業手順策定者の入力情報(所定の入力情報の一例)を基にして、問い掛け内容の有意又は無意味を判断し、作業手順策定者に更に詳細な設備に関する情報の入力を要求するか否かの判断を行い、問い掛け内容を変える機能を有する。この判断としては、例えば、コンピュータのデータベース19に蓄積された問い掛け内容から、作業指示の既入力内容に基づいて、更に具体的な問い掛け内容を要求する必要がある場合を「有意」、また具体的な問い掛け内容を要求する必要がない場合を「無意味」とする。
この作業手順策定手段15は、作業手順策定者に更に詳細な設備に関する情報の入力を要求した場合、その要求に応じて作業手順策定者が入力した情報を蓄積できるメモリ領域を有する。
ここで、作業手順策定者が具体的作業指示文章を入力した際、特定の用語に対して、安全上の考慮事項、又は作業指示を作成する上での具体性を与えるために配慮すべき項目を、作業手順策定者に問い掛け、それに対する入力情報を蓄えていくことで、問い掛けを適切に抽出するための条件を揃えていくことができる。
例えば、作業手順策定者が「運搬する」と入力したときに、「運搬」が特定の用語としてデータベース19に蓄積されていれば、「屋内か屋外か」という問い掛けを作業手順策定者に行い、作業手順策定者に更に詳細な情報の入力を要求して、これをデータベース19に蓄積する。
作業手順策定手段15には、作業手順策定者に入力情報を要求し、入力情報に基づいて複数の作業内容を決定するための作業指示書14の様式、即ち必要最小限記載しなければならない作業(要素作業)の問い掛けのテンプレートが保存されている。これにより、作業で具体的に決定される事項を入力していくことで、作業指示書14を作成できる。
また、作業手順策定手段15は、作業指示書の作成過程が保存可能である。作業手順策定者が具体的な作業指示文章を入力したとき、特定の用語に対して、安全上の考慮事項、又は作業指示書を作成する上での具体性を与えるために配慮すべき項目を、作業手順策定者に問い掛ける。
作業手順策定手段15は、作業手順策定者が作業手順策定手段15からの問い掛けに対して、以下のような情報の登録又は情報の関係設定を行なえる機能を有する。
(1)問い掛けに対する作業手順策定者の判断入力ができる。
(2)当該作業指示を生み出した新たな問い掛けを生成できる。
(3)作成した作業指示と問い掛けとの紐付け設定(即ち、関係設定)ができる。
(4)参考とした事例、法令、又は安全の要諦の紐付け(即ち、関係設定)ができる。
そして、このやりとりをデータベース19に保存することで、作業指示作成時の作業手順策定者の思考過程が記録でき、後でどういう問い掛けに対して、どのような作業思考過程を経て、どういう理由で本作業指示が作成されたかをバックトレースできる。
このことで、作業手順策定手段15内に、安全作業に関する知識、ノウハウ、又は技術を蓄積していくことができる。
作業手順策定手段15は、作業指示書14の改訂履歴が保存可能である。
作業内容の改訂履歴を、作業指示書データべースに全て残しておくことで、新旧の内容比較ができる。
そして、作業手順策定手段15は、予め蓄積された安全関連情報と作業手順策定者の入力情報とを整合し、その結果に基づいて作成した作業指示書14の評価を行う機能を有する。
このように、問い掛けに対する作業指示の適合度を判断することで、重要な問い掛けに対する応え(作業指示)が抜けて入る場合には、それを注意(例えば、警告音)すると共に、問い掛けへの適合度合いをカウントして数量化し、出来上がった作業指示書の評点をつけることができる。
作業手順策定手段15は、作業指示書14の内容を音声で出力可能な機能を有し、その出力速度が調整可能である。作業指示書の内容に従って作業を進める業務において、作業者の熟練度、その状態、作業指示の量、又は応答に対する作業指示の出し方の速度を変えることにより、作業の速度を制御する。
このように、作業のテンポをコントロールすることで、例えば、作業者が初心者だとか、また睡眠不足で注意が散漫していると思われる状態であるとかの作業環境条件に合わせて、一つ一つの作業において、確実に「呼称」させる等の作業確認を確実にとらせながら、より安全な作業指示が行える。
これにより、個人又はチームとしての熟練度又は知己度に関しての留意事項を、単に「ゆっくりやれ」、又は「合図及び連絡を蜜にとって」という注意喚起に止めるのではなく、例えば、上述した同時多極通話部12を活用して、作業手順の内容を音声で流し、作業者からの応答で次の作業ステップに進むことが可能になる。
このような仕組みを構成する作業指示応答部は、作業指示書14が格納されている作業指示書データベース、作業指示書を現場に指示する機能、指示に対する応答を受ける機能、作業指示のテンポを入力する機能、及び作業のテンポを制御する作業テンポ制御エンジンを有している。
なお、作業指示書14を現場に指示する機能及び指示に対する応答を受ける機能は、音声でも、ヘッドセットのような表示と音声の組み合わせのように、現場で作業と併存可能な手段であれば何でも良い。
これにより、作業指揮者は、実際の作業指示にあたり、作業環境条件(例えば、作業者の習熟レベル、作業チームの状況、又は作業を行うタイミング)を考慮して、作業をゆっくり確実にやることを指示したい場合、「ゆっくり確認をとりながら作業を進めよ」と単に口頭で伝えるだけでなく、確実に作業をさせることができる。具体的には、作業名と作業の指示テンポを、作業指示のテンポを入力する手段を通じて作業指示応答部に入力する。作業指示応答部は、作業指示書データベースから当該作業指示書を抽出し、作業テンポ制御エンジンに渡す。作業テンポ制御エンジンは、先ず、最初の作業指示項目を出力し、作業者(複数者であったり、一人であったりする)から返答が返ってきたことを認知して、次の作業項目に移行し、その作業内容を伝達する。このように、「一仕事一片付」のパターンで作業を遂行していくと、作業者に無理がかからず、確実に(手抜き無く)作業が実行されていく。
作業手順策定手段15には、作業指示書14に基づいて作業を行う複数の作業者の作業能力を蓄積する作業者選択支援機能を有しており、作業の役割分担を決める際、各人の役割分担と個人別の属性のつきあわせを行い、配置適合度をチェックし、問題があるときは問い掛けを行うことができる。
この作業者選択支援機能は、作業者の属性情報(例えば、保有技能レベル、業務経験、作業経験、又は身体的特徴のような個人の属性情報)データベース、作業指示書データベース、作業者割り当て入力機能、作業者割り当て及びチェック機能、作業者割り当て問い掛けの出力機能、作業者問い合わせ入力、適格作業者検索機能、及び検索結果表示機能を有している。
これにより、定常作業時においては、作業指揮者が作業指示を行う場合、作業指示書14に記載された作業役割から具体的な作業者を決めて、作業者選択支援機能の作業者割り当て入力機能を通じて作業者割り当て入力を行う。作業者選択支援機能は、作業者割り当て、チェック機能が働き、割り当てられた作業者の作業経験、又は技能レベルのような作業者の属性情報を作業者の属性情報データベースから引き出し、作業指示書データベースから得られる作業内容との突き合わせを行って整合性チェックを行い、問題があれば、作業者割り当て問い掛けの出力機能を用いて作業指揮者に警告する。
また、非定常作業時には、要請される作業内容を作業者問い合わせ入力を通じて入力すると、作業者の属性情報データベースを適格作業者検索機能が検索し、作業経歴、技能レベル、又は身体的条件を考慮して、当該作業に適した候補者を検索結果表示機能を通じて出力する。
非定常作業の作業手順策定支援部17は、二次災害を防止して状況把握する作業手順策定支援機能21、誰にその作業を行なわせるかを選定する作業者選択支援機能(前記した作業者選択支援機能と同様の構成)22、及び実際の復旧作業の手順を策定支援する復旧作業手順支援機能23の3つの機能によって構成される。
この支援部の最大の狙いは、トラブル復旧等の時間的に迫られている時点で、冷静かつ沈着な判断で最適な手順を指示できるように、過去の類似トラブル、災害事例をデータベースとして蓄えておき、必要に応じて引き出せるようにしておくことである。その機能を果たすためには、過去の事例集が、作業環境条件と作業境界条件との関連で蓄積されていることが必須である。このようなマトリックスデータとなっていれば、過去の経験を有機的に活用できることになり、目の前の状況把握や復旧作業を性急に進めなければ、必ず無災害で作業を遂行できるようになる。この作業の性急さを排除する方策として、例えば、同時多極通話部12の活用、又は作業指示に画像を取り入れることが考えられ、その結果、作業者が納得して作業を遂行することで、災害を防止でき、またこれら一連の作業プロセスが、作業手順策定者をも含めて、作業に携わった全員の明日への貴重な財産となって残っていく。
この非定常作業の作業手順策定支援部17は、設備に関する用語又は安全関連情報の用語を有する非定常な作業条件(例えば、作業環境又は作業境界条件)を入力する手段と格納メモリを有している。また、過去の類似災害、操業トラブル、その対処履歴、又は災害事例の各データを格納した類似トラブル及び災害事例データベースと、各データを抽出する類似トラブル抽出エンジン(災害操業検索機能の一例)が使用可能な、例えば、作業環境条件、作業境界条件、又は設備の分類情報を付与し入力する手段を有している。なお、類似トラブル抽出エンジンは、入力された非定常な作業条件の格納メモリを用いて、作業環境条件又は作業境界条件をキーに、格納されている過去の類似トラブル及び災害事例データベースを検索するものであり、検索結果は、類似トラブル及び災害事例表示機能を通じて表示される。この類似トラブル及び災害事例表示機能は、現場のネットワーク環境下において、ユビキタス設備関連情報処理部11を用い、現場の作業者にマルチメディア(テキスト、画像、又は音声)を用いて、最もわかりやすい形で現場の作業指揮者と作業者との間で共有できる。
また、非定常作業の作業手順策定支援部17は、非定常作業において作業手順を入力する手段と、格納メモリと、作業条件と、作業入力時に当該入力に対して安全上の配慮事項を問い掛ける内容を保存した問い掛けデータベースを有している。また、問い掛けを入力する手段と、問い掛けを、例えば、作業環境条件、作業境界条件、設備、又は作業のキーワードに関連付け可能な入力手段とを有している。そして、入力された当該作業の作業条件、作業環境条件、又は作業指示の入力された特定のキーワードに基づき、問い掛けデータベースから問い掛けを抽出する問い掛け抽出エンジンと、抽出された問い掛け情報を表示する手段とを有している。更に、利用履歴管理機能、定常作業手順データベース、作業指示書の格納場所、作業指示書データベース、作業指示書の検索機能、及び検索結果表示を有している。
これにより、以下のように起動できる。
事前に、過去の類似災害、操業トラブル、又は災害事例の各データを、作業環境条件又は作業境界条件にキーを付与して、条件、作業境界条件、又は設備の分類情報を付与し入力する手段を通じて、類似トラブル及び災害事例データベースに蓄積しておく。
非定常作業発生時は、本支援部の非定常な作業条件を入力する手段を通じて、作業環境条件又は作業境界条件を入力し、類似トラブル抽出エンジンを用いて、類似トラブル又は災害事例を抽出し参考にする。
なお、非定常作業の場合、作業境界条件が未確定であるため、先ず作業境界条件の確認作業から入る。このとき、二次災害を防止して状況把握する作業手順策定支援機能21が重要となる。
本支援部17では、過去のトラブル事例を参考に、何をどの様に確認しなければならないかの参考情報を得て、具体的な作業境界条件の確認のための作業を、非定常作業において作業手順を入力する手段を通じて入力する。この入力に対して問い掛けを抽出する問い掛け抽出エンジンが働き、当該作業を行う上での留意事項をガイダンスする。
このとき、非定常な状態での特有の問い掛けが配慮される点が、作業指示書策定支援部16の問い掛けと異なってくる。
例えば、「AからBに行ってXXXの状態を確認する」という作業指示を考えた場合でも、作業環境条件又は作業境界条件によっては、「AからBに行く道筋は確保されているのか」、また「酸欠のおそれはないのか」、といった問い掛けのように、定常作業の問い掛けとは違った問い掛けが必要となる。この問い掛けが、事前に災害を回避するための作業指示の策定を支援する。また、作成された作業指示は、前記した作業指示応答部を使用して、作業指示が的確に出せるようなガイダンス(問い掛け)機能を有しており、音声出力できる。
そして、非定常作業の場合、作業境界条件の確認、次の作業の決定、作業の実施のサイクルの繰り返しとして作業策定が進行する。
また、作業を決定した場合、どの作業者を当該作業に割り当てれば良いかも、非常に重要なポイントとなる。過去に類似の作業を経験している人がいれば、彼に託すのがベターである。狭い場所での作業では、大きな人、太った人は適していない。こうしたことも非常の場合に作業指揮者に支援することは価値あることである。本支援部17に作業者選択支援機能22が付加されることも、本支援部17の価値を高める。
また、作業境界条件の認識の結果、非定常作業においても、定常作業の作業指示書が使用可能となる場合もある。必要により定常作業データベースから、作業指示書検索機能によって定常作業を検索し、作業指示を表示し活用する。
この過程の類似トラブル事例の参照、作業境界条件の確認、次の作業の決定、作業の実施のサイクルは、利用履歴管理機能に蓄積され、本情報も、過去の類似トラブル及び災害事例データとして格納され、次の非定常作業策定に役立てられる。なお、作成した作業指示書の作成過程を保存し、この作成過程の情報を次回以降に作成する作業指示書の作成に使用することも可能である。
作業手順策定手段15の非定常作業の定常作業化支援部18とは、これまでは非定常作業として整理していたものを、定常作業とする標準化支援のための機能である。
非定常作業は、作業境界条件が十分想定されるレベルに至っていないために、作業指示書として規定できていないのである。この作業境界条件をある程度幅を持たせた形で「標準化」できれば、定常作業化は進展させることができるが、この作業境界条件の標準化が、作業環境条件によって左右される可能性が大きいので、安易に定常作業化することは回避すべきである。しかし、定常作業化を検討するという業務プロセスが、仮に、定常作業化に繋がらなくても、その組織の災害防止に対する知識と経験を増大させる起動力となる。
特に、作業境界条件の限定したものに対して、作業環境条件が限定対応可能なものを対象とするものである。
次に、前記した本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムを使用して、1又は2以上の設備のうちの特定の設備、即ち前記したQCスタンド交換作業の作業指示書を作成する方法について説明する。ここで、図4〜図7は本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムを使用してQCスタンド交換作業を進める場合の業務のフローチャートである。これは、QCスタンド交換という作業を考えた場合に、作業環境条件が予め想定可能な定常作業と、境界条件が定められない非定常作業のケースを想定している。また、図8、図9は既存のワープロで作成されたQCスタンド定期交換作業を行うための従来の作業指示書の一例の説明図、図10〜図15は本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図、図16〜図18は同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用して作成したQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の一例の説明図である。
図4に示すように、ステップ1(ST1)で、作業手順策定者(例えば、作業管理者)は、コンピュータのディスプレイ画面上(以下、単に画面上ともいう)で「QCスタンド交換の作業手順の検索」を指示する。これにより、ステップ2(ST2)で、コンピュータの画面上に、装置起因によるものか否かの問い掛けの表示がされる。なお、装置起因による不具合の場合は、定常作業の作業指示書の作成が指示され、操業起因による設備トラブルの場合は、非定常作業の作業指示書の作成が指示される。
以下、まず、非定常作業への本安全作業支援システムの適用例について説明する。
この場合は、安全作業支援システム10の非定常作業の作業手順策定支援部17を中心に活用することとなる。ケースとして、ブレークアウトトラブルが発生した場合を想定して説明する。
ブレークアウトという操業トラブルは、連続鋳造作業での典型的なトラブルの一つで、鋳片外側の凝固殻の一部が破孔し、鋳片内部の未凝固の溶鋼がセグメントロール群にまき散らされて、鋳造作業を中止せざるを得なくなるトラブルである。
この場合、ステップ2(ST2)において、操業起因による設備トラブルと判断されるため、図5のステップ16(ST16)へ進む。ブレークアウトである場合、溶鋼の飛散状況によって現場の状況が異なるし、復旧の仕方も異なってくる。従って、こういったケースでは、作業指示書が無い。このとき、作業手順策定者の助けになるのは、過去に類似トラブル事例でどう対処したかという情報である。
ステップ17(ST17)で示すように、安全作業支援システム10を使用して、作業手順策定者は、XX連鋳設備、ブレークアウト、QCスタンド交換といったキーワードで、類似トラブル事例を安全関連情報データベースから引き出し参考にする。例えば、過去の類似トラブルにおいて、飛散した地金でQCスタンドが、例えば、ガイドバー又はQCスタンドに後続する連鋳機に据え付けられているセグメントロールの機体と一体となり、そのままではQCスタンドが巻き上げられない場合、又はそれほど地金が飛散していないのでQCスタンドが巻き上げ可能な場合があれば、そのときの状況又は復旧手順の情報が入手でき、作業手順策定者を助けることができる。
いずれにせよ、この場合、まず地金の飛散状態と確認し、QCスタンドを巻き上げることができるかどうかの判断が作業手順策定者に求められる。
従って、作業手順策定者の最初の作業指示は、地金の飛散状況の確認と、QCスタンドが飛散地金によってガイドバー又は機内の機体(機内スタンド)と一体になっていないかの点検指示を行うこととである。この作業は、ステップ18(ST18)に相当する。このとき、作業手順策定者が、「QCスタンド点検」という作業指示を安全作業支援システム10に(例えば、コンピュータ端末のキーボードを通じて)入力すると、安全作業支援システム10は、例えば、XX連鋳設備、操業トラブル、ブレークアウト、又はQCスタンド交換といったここまでの業務の流れの中で入力されてきた作業条件から、問い掛け抽出エンジンが予め登録されている問い掛けデータベースより問い掛けを抽出しガイダンスを行う。例えば、「溶鋼の流出の停止していることは確認済みか」、「確認のためのルート、確認の場所は確保されているのか」、又は「溶鋼の想定流出量から、地金に危険のない状況まで冷えていると想定できるか」等の問い掛けが行われる。
これを参考に、作業手順策定者は、ブレークアウトという操業トラブルの切迫した状況の中で、安全上の配慮事項のアドバイスを安全支援システム10から得ることができ、より的確な「QCスタンド点検」の作業手順構築が可能となる。
もし、過去に類似操業トラブル事例があり、そこで同じように「QCスタンド点検」の作業内容が記載されているなら、それを参考にする。また、今回の操業トラブルと作業境界条件が似ていると判断されれば、それを使って「この通りの作業手順で、QCスタンドが、飛散地金によって、ガイドバーや機内の機体と一体になっていないかの点検を行え」と指示することも可能である。このとき、安全作業支援システム10の持つ安全関連情報が、同時多極通話部12を通じて各作業者に共有されているということが大きな効果を発揮する。作業手順策定者の「この事例のこの作業手順」といった指示が、具体的な安全関連情報データベースから抽出され、各作業者がその内容を見ることができる。本トラブルの復旧作業に従事している作業手順策定者、一人ないしは複数の作業者間で同じ情報を共有し見ていることが、安全作業を遂行していく上で極めて重要である。過去の事例に、状況の写真等が添付されていれば、作業遂行又は状況把握により一層役立つ。
ここでは、具体的に作業に着手する作業者の割付が必要になる。この場合、安全作業支援システム10の作業者選択支援機能22を使用することで、作業者のより適格な割付支援が可能となる。
この作業の遂行結果、QCスタンドがガイドバー又は機内の機体と一体になっているか否かの判断情報を、作業手順策定者が得ることができる。
このケースにおいて、QCスタンドが機内の機体と一体になっており、地金切りを行わないとQCスタンドの巻き上げが不可能だったとする。次にしなければならない作業は、QCスタンドと機内スタンドが溶着している地金の溶断作業であり、これを立案するため業務フローチャートのステップ22(ST22)に進むことになる。
「QCスタンド点検」の作業指示策定と同じ様に、安全作業支援システム10の非定常作業の作業手順策定支援部17に「地金溶断作業」と入力すると、既に入力された例えば、XX連鋳設備、操業トラブル、ブレークアウト、QCスタンド交換、QCスタンド点検、又は点検作業指示内容と結果の情報から、作業手順策定者の留意事項のガイダンス(問い掛け)を行う。
作業手順策定者は、過去の類似トラブルでの作業手順を使用可能なら、それを使用できるし、使用できない場合は、安全作業支援システム10のガイダンスを参考にして作業手順を考え、作業指示を入力し、作業者の割付を実施し作業指示を出す。この作業では、地金溶断作業をうまく遂行し、QCスタンドが巻き上げ可能な状態になるか否かで、以降の作業手順が変わってくる。
先に述べたように、非定常作業の場合、作業の境界条件が決まっていないので、必ず上記したような作業境界条件の確認、作業指示の立案、作業の実施、その結果をふまえて、次の作業境界条件の確認、作業の立案、作業の実施が行われる。このサイクルの繰り返しを行うことで、作業手順が策定されていく。作業境界条件にあたる作業条件は操業トラブルの状況により千差万別であるため、事前に作業手順を策定しておくことは不可能なので、非定常作業としてその場の状況を確認しながら作業立案を支援していく非定常作業の作業手順策定支援部17の役割が重要となる。
地金溶断作業が終えた段階で、QCスタンドが巻き上げ可能か否かの判断であるステップ23(ST23)に進む。巻き上げ可能な場合は、ステップ24(ST24)に進み、今まで得られた情報から、作業手順策定者がQCスタンド巻き上げ作業の作業手順を策定指示することになる。
このときも、操業トラブルでない場合を想定して作られた「QCスタンド交換」の作業手順がそのまま使えない場合が多い。それは、それまでの作業で確認している例えばQCスタンドの地金の付着状況又は吊上可否の現場確認を行うためのデッキの状況を勘案して、QCスタンド巻き上げ作業の立案を行わねばならない。例えば、QCスタンドに地金が付着している場合は、QCスタンドの重量が変化しているし、荷重の分布も変化しており、通常のセンターリング確認で吊り上げるとQCスタンドが傾く恐れもあり、作業条件が変わってくる。
QCスタンド巻き上げの作業手順策定に入ると、安全作業支援システム10は、例えば、「QCスタンドの地金の付着量を勘案してワイヤー、吊具の選定を行なう」、「偏荷重の対応を考慮せよ」、「そのためクレーン巻き上げ作業の確認作業員の増員」、又は「過去の事例配置」をガイダンスする。
こうしたガイダンスを受けながら、作業条件の確認と作業手順の追加を行っていくのがステップ24(ST24)及びステップ25(ST25)のループである。なお、QCスタンドがガイドバー又は機内の機体と一体になっていない場合も、上記したような作業条件の確認と作業手順を追加するため、ステップ19(ST19)及びステップ20(ST20)のループを行う。
ある点まで条件又は作業手順を追加し、既存の定常作業の作業指示書が使用可能となれば、定常作業の手順書が格納されているデータベースから引き出し、前記で作成した追加の作業条件又は作業指示と組み合わせて、作業指示の実行を指示し、ステップ21(ST21)に進む。そして、一人ないしは複数の作業者は、この作業指示に基づいて、QCスタンド巻き上げ作業を、ステップを確認しながら遂行していく(ステップ39)。
このときの作業は、同時多極通話部12を使用して、作業手順策定者と一人ないしは複数の作業者との間で、全員参加すると同時に相互に応答することにより、正しい瞬時の情報を共有しながら進める。特に、巻き上げ吊り荷の偏荷重があり、その予測が必ずしも正しいと保証されないような状況下で、クレーンの巻き上げ作業を進めるような場合に効果を発揮する。
なお、境界条件が確定して、既存の作業指示書が使える場面では、勿論それを使用して作業を進めることも可能である。
もし、地金切りが成功せず、QCスタンドが巻き上げ不可能な状態になると、ステップ23(ST23)の判断箇所でNoに進み、図7に示すステップ41(ST41)に進む。当フローチャートでも想定していない状況であり、今まで得られている状況の確認から、新たに何をどの順番で確認し、どういう作業手順で復旧していくかを考えていく必要がある。
このとき、安全作業支援システム10は、例えば、災害事例、類似トラブル情報の提供、設備の図面、取扱い説明、設計の考え方、設備の点検情報、故障履歴等、又は安全関連情報として蓄えられている情報提供サービスを行う。また、新たな作業指示を起案した際には、留意すべき事項をガイダンスすることで、作業手順策定者が新たな復旧作業の立案を行なうことを支援する。そうした重大災害の場合、作業手順策定者の上司も含めて、各関係箇所の専門家が復旧作業に参画してくることも大いにあり得る。この場合でも、本安全作業支援システム10に、今までの作業手順又は確認情報が蓄えられ、当操業トラブルの経緯が速やかに共有されるので、多人数の知恵を結集して生かす効果も期待できる。
前述したように安全作業支援システム10からガイダンス(問い掛け)を受けながら、ステップ41(ST41)及びステップ42(ST42)のループで新たな作業立案を行い、ステップ43(ST43)で作業指示を出力し、ステップ44(ST44)で作業を遂行する。こういった非定常な全ての作業条件が確定していない状況で作業を進める時は、先に述べたように、作業手順策定者と一人ないしは複数の作業者との間で、同時多極通話部12の機能を使用して、全員参加すると同時に相互に応答することで、正しい瞬時の情報を共有しながら進めることが重要である。想定していない状況が現れれば、直ちにその情報は作業管理者に連絡され、作業を中断し、新たに判明した条件を織り込んだ作業手順の策定が行われることになる。これがステップ40(ST40)の作業実行中の評価に相当する。実行中の評価とは、作業チームが現在の作業環境が作業手順に定められた作業環境に合致しているかを観ている部分である。作業指示が現在の状況にマッチしない(想定していた作業環境条件をはずれてしまった)場合は、ステップ41(ST41)及びステップ42(ST42)のループに戻り作業手順を見直すことになる。
復旧作業を完遂すると、ステップ45(ST45)の作業完了に移行する。通常は操業トラブルの反省会を実施し、どのときの作業指示又は判断が正しく、どれが間違いであったか検討することになる。
結果として、作業環境条件を規定でき、定常作業として登録可能であれば、安全作業支援システム10の非定常作業の定常作業化支援部18の機能を使用して、このときの状況又は条件から作業環境条件を規定し、実施した作業手順をよりリファインした形に修正して定常作業へ分類し、定常作業指示書として活用することができる。これが、ステップ46(ST46)及びステップ47(ST47)のフローチャートとして示されている。
また、境界条件が、作業環境条件としてまとめることができないような(いろんな状況が想定される)場合は、後知恵も加え、類似災害事例として、例えば、XX連鋳設備、ブレークアウト、QCスタンド交換、地金付着しQCスタンド巻き上げ不可、地金切り困難、・・・、天候、時間帯、又は作業員等の作業環境条件をキー情報として付与し、類似災害事例として安全関係情報データベースに登録する。そして、今後、同種のトラブルが発生した場合に、先に述べたように、安全作業支援システム10の非定常作業の作業手順策定支援部17を使用して活用する。この流れは、ステップ47(ST47)又はステップ48(ST48)に示されている。
以上、非定常作業において、安全作業支援システム10がいかに使われるかを、業務のフローチャートを使用して、ブレークアウトのトラブルが発生した場合を中心に説明した。
なお、他のケース、例えば、溶鋼オーバーフローのケースは、図6に示すステップ26(ST26)からステップ30(ST30)までのフローを経由し、鋼片噛み込みトラブルの場合は、ステップ32(ST32)からステップ35(ST35)のフローに沿って進む。また、その他の条件は、ステップ36(ST36)からステップ38(ST38)までのフローを経由し、ステップ41(ST41)で新規の作業手順の策定を行うか、又はステップ21(ST21)へ進み、作業環境条件をいくつか追加し、それに見合った作業指示を追加することで、既存の定常作業指示を活用可能にする。
なお、以上のケースの説明は、ブレークアウトの時の説明と略同様の手順で進められるため省略する。
操業トラブルでなく、例えば、設備の定期交換、セグメントロールに曲がりが発生、又は鋳型に不具合が発生のように、装置起因による場合は、作業環境条件及び境界条件を既定できるので、定常作業として登録可能なケースが多い。これは、ステップ2(ST2)でYesと判断した後のステップ3(ST3)からステップ15(ST15)のフローで示される。
この場合は定常作業指示作成となる場合が多いので、以下安全作業支援システム10の定常作業化支援部16を使用して、定常作業手順策定の例を説明する。
定常作業手順策定の場合も、非定常作業手順策定で使用した安全関連情報の提供と、手順策定での留意事項をガイダンス(問い掛け)することは、作業手順策定者のレベルの個人差解消に役立つと共に、例えば、作業手順策定者の知識、ノウハウ、又は技能及び技術の伝承に役立つものである。
続いて、QCスタンドの定期交換作業を行うための作業指示書を作成する場合について、図10〜図15を参照しながら説明する。ここでは、説明を分かり易くするため、既存のワープロで作成されたQCスタンド定期交換作業を行うための従来の作業指示書を示す図8、図9の内容を参照しながら、安全作業支援システム10の作業指示書策定支援部16を使用して作成したQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書である図16〜図18を作成する場合について説明する。
まず、作業手順策定者は、コンピュータのディスプレイ画面上(以下、単に画面上ともいう)に、図16に示す「安全衛生作業標準」というフォーマット(内容が記載されていないもの)を出力する。そして、作業手順策定者は、図10に示すように、フォーマットの系列に「鋳込」を、工程に「2CC鋳込」を、予め入力されているアイテム中から、例えばマウスを使用して選択し入力する。これにより、この各条件が、「安全衛生作業標準」の空欄にそれぞれ入力される。
なお、マウスを使用して選択することなく、キーボードを使用して文字の入力を行ってもよい(以下、同じ)。
この入力が終了した後、「単位作業」の入力フィールドに入力カーソルがきた時、画面上に「この作業の境界条件は?」という問い掛けが表示される。なお、この間い掛けは、文章の入力中に表示されてもよく、またその表示位置は画面上のいずれの位置でもよい。また、問い掛けと共に、画面上に確認ボタンが表示され、文章の入力後に、確認ボタンをクリックすることで、次の入力を実施できる。この間い掛けの文章中の重要単語には、リンクが貼り付けられており、それをクリックすることで、その説明が表示される(以下、同じ)。
そして、この間い掛けに対して、作業手順策定者は、単位作業に「QCスタンド交換作業」を、要素作業に「QC抜き出し作業」を入力する。
作業の入力が終了した後、画面上に「目的は何か?」という問い掛けが表示される。ここで、作業手順策定者が「QCスタンドの整備、トラブル復旧のためQCスタンド交換を行う」と入力することで、コンピュータの画面上には、更に詳細な情報を得るため、以下の問い掛けが表示される。
・設備起因か
(1)定期交換か
(2)セグメントロールに不具合(例えば、ロール曲がり)が発生した場合か
(3)鋳型に不具合が発生した場合か
・操業起因か
(1)ブレークアウトか
(2)溶鋼オーバーフローか
(3)鋳込噛み込みか
この間い掛けに対して、作業手順策定者が設備起因の作業手順を策定しているなら、操業起因、例えばブレークアウトの時に使えるかを考えることになる。ブレークアウトの場合を想定したら、今考えている作業手順ではその条件が全く不足するので、これは、作業手順策定者が想定している設備起因の場合しか使えないことを明確にしておかねばならないことに気が付く。更に、設備起因でも、定期交換の場合しか想定していないで、例えば、セグメントロールに不具合が発生した場合、又は鋳型に不具合が発生している場合も、異なる作業条件を付与して作業手順を見直す必要があると気付けば、作業手順策定者は、作業条件に新たに、「設備起因の定期交換作業のみ適用(操業異常(ブレークアウト等)には使用できない)」と追加入力することになる。
その他の項目については、既存の作業手順の内容でよければ、図10と同じ内容、即ち、使用工具に「なし」、保護具に「なし」、作業条件に「8m床の作業が完了していること、鋳込床の作業が完了していること、及び安全手摺がセットされていること」、人員に「3名」、配置Aに「鋳込方(合図者)」、配置Bに「Cr(クレーン)運転者」、配置Cに「鋳込方」、安全の基本(ポイント)に「上部作業中はチャンバー内に立ち入らないこと」、及び予想される災害に「階段昇降時にグリスで滑り転倒する。QCスタンドガイドにて挟まれる。」を、それぞれ入力し、「安全衛生作業標準」の空欄を順次埋めていく。例えば、Cr運転者と入力されると、定常作業化支援部16の抽出エンジンが働き、例えば、安全関連情報データベースに登録されているクレーン則、又は本連鋳設備でのクレーンに関する安全ルールの情報がリンクされる。
これにより、作業手順策定者の要求で当該情報を表示参照することができる。
また、予想される災害という入力項目アイテムについては、今まで入力された、例えば、鋳込、2CC、QCスタンド交換作業、又はQC抜き出し作業の情報から、定常作業化支援部16の抽出エンジンが働き、安全関連情報データベースに登録されている例えば類似災害事例又はヒヤリハット事例を抽出して、本作業指示とのリンクを設定してくれる。
作業手順策定者は、その事例を要求により表示参照することが可能であり、本作業手順を策定する上でどのような事に注意しなければならないかを知ることができる。特に代表的に注意を喚起したい事があれば、予想される災害事例に入力する。
反対に、作業手順策定者が、抽出エンジンでは事例として上がってこなかったが、本作業で特に注意したい事例を知っている場合において、例えば、「階段昇降時にグリスで滑り転倒する」という事例を抽出エンジンが抽出しなかったが、これは是非入れておきたい項目であると考えるなら、予想される災害に「階段昇降時にグリスで滑り転倒する」と入力し、かつ作業手順策定者が例示としてあげたい災害事例、もしくはヒヤリハット事例を安全関連情報データベースに登録する。そして、本入力との間でリンクを張ることで、他の人がこの作業指示書を見直した時、当該災害事例を参照することで、当初の作業手順策定者がどんな事故事例を想定して、本作業指示書を策定したかが分かる。
このようにして、作業指示書の中に、例えば、作業手順策定者の知識、ノウハウ、又は技能を埋め込んでいくことができることが、作業手順策定手段15の大きな特徴である。
次に、具体的手順の策定の説明を行う。
図9に示される手順1の「連絡する」、及び作業の要点の「QCスタンド抜き取り準備完了した旨をページングにて鋳込床に連絡する」という語句を、図11に示すように入力した場合、例えば、「準備完了」という言葉に対して、「準備作業の作業指示は明確か」という問い掛けが行われる。これは、例えば、「準備完了」又は「確認」の言葉が問われる時、必ずしも具体性を帯びていない事が多いので、そのような「問い掛け」を行うように設定されている。どういう作業条件の時、どのような言葉に対してどのような問い掛けをするかは、問い掛けのデータベースへの登録内容と問い掛け抽出エンジンの構成の仕方で決まってくる。単純な場合は、「準備完了」と言う言葉に対して、「準備作業の作業指示は明確か」を必ず問い掛けるようにも設定できる。
本作業手順策定者が、準備作業そのものを明確に規定していない事に気が付けば、この問い掛けに対して、準備完了作業の追加記入を行う。図11で、「準備作業の作業指示は明確か?」の問い掛けに対して、枠で囲まれた「専用吊り具の「整備点検簿」を調べ、使用条件を云々」以下の作業指示を、問い掛けを受けながら、具体性を持たせて明確な作業指示を作成して入力していく。
次に、図9の作業の要点の2番目の「QCスタンド巻き上げする旨をページングにて8m床に連絡する」という語句を、図12に示すように入力した場合、例えば、「連絡」という言葉に対して、「連絡者に漏れはないか」、「連絡内容は明確か」といった問い掛けが行われる。この場合、合図者Aは、鋳込方Cにしか連絡しない事で想定していたが、クレーン運転方Bにも伝えた方が良い事に気が付き、図12に示すように、連絡はBとCに、作業指示内容はより具体的に「合図者Aは、Cr運転者Bと鋳込方Cに「QCスタンド巻き上げ作業、OKか」と呼称する。」と修正する。さらに、Bが連絡を確認したことを合図者Aが把握するため、次の「運転手Bは呼称で応える。」というBへの作業指示を付け加える。
こうして作業指示内容が漏れることなく、より明確になっていく。この連絡と応答を適格に行うために、同時多極通話部12がいかに有効であるか、説明の余地がないことが理解できるはずである。
更に、図13に示す手順2の「QCスタンド巻き上げを開始する」という作業手順の作成を行う。
1番目の作業の要点、「鋳込床OS1操作盤の「吊上げ可」SL点灯を確認する」との入力に対して、例えば、「確認」という言葉に「確認する内容は具体的か?」と問い掛けを行う。この場合、作業手順策定者は、確認内容が具体的に述べられているので何もしないで次に進む。なお、作業手順策定手段15が、文章解析した結果具体性がすでに備わっていると判断した場合は、本質問を行わない。これが、当該作業手順策定の既入力内容から、問い掛けの内容を変える場合の一例である。また、鋳込床OS1操作盤について作業手順策定者が、どんな盤配置レイアウトか知りたいと思った場合、例えば、「鋳込床OS1操作盤」の範囲を選んで、マウスの右クリックでメニュを出して設備詳細を要求することで、安全関連情報データベースに蓄えられている情報の中から、鋳込床OS1操作盤の図面、操作説明書等を作業手順策定者の要請により、抽出参照できる。
このように、本作業手順策定手段15を用いることにより、作業手順策定時に必要になる、設備の図面、操作説明書が手順策定と同時に参照できる。
次に、2番目の作業の要点、「QCスタンド巻き上げの指示をする」を入力すると、例えば、「指示する」という言葉に対して「指示内容は明確か?」、「指示する相手に不足はないか?」、及び「指示内容は確実に相手に伝わるか?」の問い掛けが行われる。当初、クレーン運転者Bにのみ巻き上げ指示をしているが、鋳込方Cにも巻き上げ開始することを伝えておくべきと作業手順策定者が気付き、本作業指示を「Cr運転手Bと鋳込方Cに「QC巻き上げ作業開始」を指示する」と変更入力する。前の問い掛けを終了させると、更に入力された「巻き上げ」という言葉に応答し、これはクレーンを使用した作業であることから、クレーン作業での要点の問い掛けを行う。例えば、「クレーンの巻き上げ条件は良いか?」、「正しいクレーンを使用?」、「荷重にあったワイヤーを使用?」、及び「配置、連絡はOK?」といった留意事項の問い掛けが行われる。
これについては、作業手順策定者は、図11の準備完了作業の追加で、詳細に作業指示をしているので、次の入力内容に進むことができる。なお、ここでも、作業手順策定手段15が前の入力内容を解析し、本問い掛けがこの場面で大きな意味を持たないと判断すれば行わない。
同様に、4番目の「地切り前に一旦停止する」という作業指示に対して、例えば、「停止する意味は明確か」と問い掛けが行われる。作業手順策定者は、自分は了解していても、作業者に意図が正しく伝わらないおそれがあると判断し、同作業指示を「専用吊り具のフックが、QCスタンドの吊り具ピンにかかったことを確認して、低速での巻き上げを行い、一旦Crを停止する。」と変更入力する。
同様に、5番目の作業の要点、「再度、低速にて巻き上げる」に対して、本行為に対する指示が一連の入力から現れてこないので、作業手順策定手段15は、「この作業のトリガーは?」と問い掛けを行う。作業手順策定者は、クレーン運転者Bの勝手な判断で巻き上げるのは好ましくないと判断して、「Cr運転手B、8m床の監視者鋳込方Cに、傾き、異音発生等の異常発生の有無を問いただし、異常なきことを確認して、Cr運転手Bに地切り位置までの低速巻上げを指示する」と言う指示作業を付け加える。
以下、図14及び図15についても、図9の作業手順の要点部分を順次入力していき、問い掛けとその結果修正した内容が入力される。
図14において、11番目の作業の要点入力で「QCスタンドの吊り具ピン落下防止ナットを締めこむ」との入力に対し、作業手順策定手段15から特に問い掛けがなかった場合、作業手順策定者が、吊り具ピン落下防止ナットを絞めこむ時、クレーンの電源を切っていないで作業して、ワイヤーに挟まれ事故のヒヤリハットを経験していたとした場合、「吊り具ピン落下防止ナットを締めこむ」という言葉に対して、「クレーンの電源は切っているか」、「吊り具ピン防止ナットを締めこむ時の注意は」、及び「必要箇所締めこんでいるか」といった問い掛けを行うように作業手順策定手段15に登録することができる。
また、作業手順策定者は、作業指示として本作業の前に、「クレーン電源を切りテレコンを仮置き場におく」という作業を追加し、「クレーン電源は切っているか」と言う問い掛けと「クレーン電源を切りテレコンを仮置き場におく」のリンク設定をおこなう事ができる。また、この問い掛けに対して、作業手順策定者が知っているヒヤリハット事例が、安全関係情報データベースに入っていない場合は登録し、入っているならその情報とのリンクの設定をしておく。これにより、次回に他の人がこの手順書を見たとき、「クレーン電源を切りテレコンを仮置き場におく」という作業指示が、なぜこの位置に入っているか、入らないといけないのかが良く理解できる。
このようにして、作業手順策定者の安全作業に関する知識、ノウハウ、技能を本作業手順策定手段15に蓄積していくことができる。反対に、この作業手順策定手段15を使う事により、作業手順策定者は作業手順策定手段15に蓄えられた技能、ノウハウを吸収でき、知識、ノウハウ、技能の伝承を図っていくことが可能となる。
以上の作業を通じて、QCスタンドの定期交換作業のあらたな作業指示書ができあがる。
図16〜図18に示すように、作業手順策定手段15を使うことにより、図8及び図9に示す従来の作業指示書と比較して、作業指示書がより明確で分かり易くなり、かつ作業手順策定者の個人差が解消される方向に働くことが理解できる。本作業指示書策定手段15を通して作業指示書を参照すれば、問い掛けと作業指示との関係(リンク)、安全関係情報(例えば、類似災害事例)との関係(リンク)設定がなされているため、なぜ、こういった作業手順になっているのか、なぜこの作業指示が必要なのかが良く理解できる。また、先に述べたように、作業手順策定者の安全作業に関する知識、ノウハウ、技能を本作業手順策定手段15に蓄積していくことができ、反対に、この作業手順策定手段15を使うことにより、作業手順策定者は作業手順策定手段15に蓄えられた知識、ノウハウ、技能を吸収でき、知識、ノウハウ、技能の伝承を図っていくことが可能となる。
このように、本発明の安全作業支援システムを使用することで、作業内容を作業環境に応じて日々高度化でき、労働災害のない職場環境が実現可能になる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の安全作業支援システムを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
また、本実施の形態においては、安全作業支援システムを、作業手順策定者が操作した場合について説明したが、プログラムにより自動的に起動して使用することも勿論可能である。
本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムの構成図である。 同安全作業支援システムの作業手順策定手段の説明図である。 同安全作業支援システムの使用状態を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムを使用してQCスタンド交換作業を進める場合の業務のフローチャートである。 同安全作業支援システムを使用してQCスタンド交換作業を進める場合の業務のフローチャートである。 同安全作業支援システムを使用してQCスタンド交換作業を進める場合の業務のフローチャートである。 同安全作業支援システムを使用してQCスタンド交換作業を進める場合の業務のフローチャートである。 既存のワープロで作成されたQCスタンド定期交換作業を行うための従来の作業指示書の一例の説明図である。 既存のワープロで作成されたQCスタンド定期交換作業を行うための従来の作業指示書の一例の説明図である。 本発明の一実施の形態に係る安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用してQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の策定を行った場合の実施例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用して作成したQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の一例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用して作成したQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の一例の説明図である。 同安全作業支援システムの作業指示書策定支援部を使用して作成したQCスタンド定期交換作業を行うための作業指示書の一例の説明図である。
符号の説明
10:安全作業支援システム、11:ユビキタス設備関連情報処理部、12:同時多極通話部、13:災害防止支援手段、14:作業指示書、15:作業手順策定手段、16:作業指示書策定支援部、17:非定常作業の作業手順策定支援部、18:非定常作業の定常作業化支援部、19:データベース、20:抽出エンジン、21:作業手順策定支援機能、22:作業者選択支援機能、23:復旧作業手順支援機能

Claims (13)

  1. ネットワーク環境下で1又は2以上の設備の安全関連情報の入力及び入力し蓄積された前記安全関連情報の取得を可能にするユビキタス設備関連情報処理部、及び前記ネットワーク環境下で音声及び他形態の情報のやりとりができる同時多極通話部を備える災害防止支援手段と、
    前記ユビキタス設備関連情報処理部から収集される前記設備の安全関連情報と、法令集をベースとした社内規定集、過去の事故例集、類似災害事例といった安全関連情報を記憶し、誰もが参照できるようになっているデータベースを備えて作業指示書を作成する作業手順策定手段とを有することを特徴とする安全作業支援システム。
  2. 現場の作業者が行うべき作業手順を明確に規定する作業指示書の作成を支援する作業手順策定手段において、入力された当該手順策定作業の環境条件、境界条件、作業手順等の情報をもとに、予め蓄積された安全関連情報(操作手順書、安全法規、災害事例等、及び作業手順策定上での考慮すべき事項)から、作業手順策定上考慮すべき事項をガイダンス(以下、問い掛けと呼ぶ)すると共に、前記安全関連情報を抽出してガイダンスすることを特徴とする安全作業支援システム。
  3. 請求項2記載の安全作業支援システムにおいて、問い掛け内容は、当該作業手順策定の既入力内容に基づいて変えることを特徴とする安全作業支援システム。
  4. 請求項2記載の安全作業支援システムにおいて、新たな問い掛け及び安全関連情報の新規登録ができると共に、問い掛けと作業手順策定過程での入力した内容との関係の設定、問い掛けと前記安全関連情報との関係設定、前記作業手順策定過程での入力と前記安全関連情報との関係設定等、問い掛け情報及び前記安全関連情報と前記作業指示書の情報(作業環境条件、作業指示、又は入力すべき項目)との相互関係を設定できることを特徴とする安全作業支援システム。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、前記全ての入力された情報に基づいて複数の作業内容を決定するための前記作業指示書の様式が保存され、これを使用して前記作業指示書を作成することを特徴とする安全作業支援システム。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、前記作業指示書の作成過程が保存可能であることを特徴とする安全作業支援システム。
  7. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、前記作業指示書の改訂履歴が保存可能であることを特徴とする安全作業支援システム。
  8. 請求項2〜7のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、予め蓄積された前記安全関連情報と前記全ての入力された情報とを整合し、その結果に基づいて作成した前記作業指示書の評価を行う機能を有することを特徴とする安全作業支援システム。
  9. 請求項2〜8のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、前記作業指示書の内容を音声で出力可能な機能を有し、その出力速度が調整可能であることを特徴とする安全作業支援システム。
  10. 請求項2〜9のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、前記作業指示書に基づいて作業を行う複数の作業者の作業能力が蓄積されていることを特徴とする安全作業支援システム。
  11. 請求項2〜10のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、予め作成され蓄積された作業指示書を検索する作業指示書検索機能と、設備に関する用語又は前記安全関連情報の用語から過去の類似災害又は操業トラブルの対処履歴を検索する災害操業検索機能とを有し、該各機能を使用して事前に想定されていない状況下で使用する前記作業指示書を作成することを特徴とする安全作業支援システム。
  12. 請求項11記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段には、事前に災害を回避するための作業指示が的確に出せるようなガイダンス(問い掛け)機能を有していることを特徴とする安全作業支援システム。
  13. 請求項11及び12のいずれか1項に記載の安全作業支援システムにおいて、前記作業手順策定手段は、事前に想定されていない状況下で使用する前記作業指示書の作成過程を保存可能であり、該作成過程の情報を次回以降に作成する作業指示書の作成に使用可能にする機能を有することを特徴とする安全作業支援システム。
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