ところで、NC工作機のような製造機械は、主として刃具を交換することで長期に亘る継続使用が可能となり、そのように長期間使用することで製造される金型等の製造コストを抑制することができる。しかしながら一般の加工ラインにおいては、いわゆる新旧のNC工作機、すなわち近時のDNC機能を備えたNC工作機とそのようなDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ライン上に混在している場合が多い。また、一般にDNC機能を備えたNC工作機の管理データは、DNC機能を備えていないNC工作機の管理データと比較して相対的に情報量が多いことから、中央コンピュータが入手できる情報にも差異が生じていて、たとえば中央コンピュータがモニタ等の表示手段を備えていたとしても、そのままの形態では双方の管理データを同画面上に表示することができないという問題がある。
たとえば、DNC機能を備えていないNC工作機をDNC機能を備えたNC工作機に交換し、特許文献1や特許文献2で開示されているように、DNC機能を備えた複数のNC工作機を中央コンピュータで群管理し、それら群管理されたNC工作機の管理情報を同一の表示手段に同時に表示することも考えられる。しかし、そのような群管理のためのNC工作機のシステム交換には多額の費用を要することから、金型等の製造コストの高騰に繋がる可能性がある。
また、特許文献3で開示されている生産監視システムの表示方法においては、工作機械毎の異常内容が生産管理表示手段に表示されるため、その異常が工作機械自身に起因するのか、たとえばその前段階の工程に起因するのかを判別することができず、作業者等は迅速に適切な復旧作業に着手することができない。また、生産管理表示手段に表示される表示内容の色や点滅方法に基づいて作業者自身がその復旧作業に適しているかどうかを判断することから、ある復旧作業に割り当てられた作業者がその過去の作業履歴等から判断して、その復旧作業に不適切であるといった事象が生じたり、割り当てられた作業者がその復旧作業に適しているかどうかの判断に時間がかかり、迅速に復旧作業に着手することができないといった問題が生じ、これらの問題が、迅速且つ適切に復旧作業に着手して確実に生産性を向上させるための障害となっている。さらに、復旧作業に従事するかどうかを作業者等の判断に委ねているため、必要以上の管理者や作業者がNC工作機の復旧作業に携わる可能性があり、他の作業の遅れの要因ともなり得る。
特許文献4で開示されている設備監視方法においては、予め把握している監視者の位置や要求させる復旧作業の種類に基づいて最適な人材を順次呼び出すことができる。しかしながら、その復旧作業に複数の対応者を要する場合にも、監視制御手段から予め登録された無線受信機に順に自動発信されることから、管理者や作業者の迅速な呼び出しを行うことができず、依然として生産性の向上や金型等の製造コストの低減を図ることができない。
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、加工ライン上にDNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機が混在することを許容しながら、それら複数のNC工作機の管理データを同画面上で表示する加工管理用表示システムとその表示方法を提供することを目的とする。また、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生した場合には、その遅れの要因を的確に表示し、さらに、NC工作機に異常が発生した場合には、そのNC工作機の異常の解消に適切な対応者を迅速に呼び出すことができる表示内容を表示することで、復旧時間の短縮と生産性の向上を図ることができ、製造コストの低減を実現することのできる加工管理用表示システムとその表示方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の加工管理用表示システムは、少なくともDNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機からなる複数のNC工作機と、該複数のNC工作機の稼働を制御する制御装置とを備え、該制御装置が、それぞれのNC工作機の加工計画に対する進捗状況と稼働状態を表示する表示手段を備える加工管理用表示システムであって、前記制御装置は、さらに前記NC工作機のDNC機能の有無を判定する第1の判定手段を備え、前記表示手段は、前記第1の判定手段の判定結果を表示するものである。
ここで、「DNC機能」とは、中央の制御装置が複数のNC工作機を一括して同時制御するためにそれぞれのNC工作機に組み込まれる機能である。すなわち、NC工作機が当該機能を備えていることで、たとえば、制御装置がそれぞれのNC工作機のNCプログラムを管理して分配したり、NC工作機の進捗状況によって加工計画を制御したり、それぞれのNC工作機の工具の使用状況を管理したりすることができ、DNC機能を備えていないNC工作機と比較して相対的に大容量の管理データを処理して、複数のNC工作機を群管理することができる。
上記する加工管理用表示システムによれば、DNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ラインに混在する場合であっても、制御手段が備える第1の判定手段によって、それら複数のNC工作機の加工計画に対する進捗状況と稼働状態を、制御手段が備える表示手段を構成する画面上で同時に表示することができ、システム変更等による製造コストの高騰を抑制しながら、複数のNC工作機の進捗状況と稼働状態を管理することができる。
さらに、前記制御装置は、データを格納する格納手段を備え、前記表示手段は、NC工作機がDNC機能を備えている場合とNC工作機がDNC機能を備えていない場合とで異なる稼働状態データに基づいて前記判定結果を表示することが好ましい。
上記する形態によれば、NC工作機がDNC機能を備えている場合には、たとえばDNC機能を備えたNC工作機を一括管理する装置を介して制御装置に入力されたNC工作機の稼働状態に関する稼働状態データを判定結果として表示手段に表示できると共に、NC工作機がDNC機能を備えていない場合には、たとえば予め制御装置に入力され、格納手段に格納された稼働状態データから所望のデータを選択したり、稼働状態に関するコメント等を稼働状態データとして格納手段に格納したりすることで、それらの稼働状態データを判定結果として制御装置の表示手段に表示することができる。したがって、DNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ラインに混在する場合であっても、それら複数のNC工作機の稼働状態を、更に詳細に表示手段に表示することができる。
また、本発明の加工管理用表示システムの他の実施の形態においては、前記制御装置の格納手段には、さらに加工計画データが格納されており、前記制御装置は、さらに、それぞれのNC工作機の加工計画データに基づいてそれぞれのNC工作機の加工計画に対する遅れを検知する遅れ検知手段と、前記遅れ検知手段によって検知される遅れが、該NC工作機の加工工程に起因する遅れか、あるいは該NC工作機の加工工程より前の工程に起因する遅れかを判定する第2の判定手段とを備え、前記表示手段は、前記第2の判定手段の判定結果を表示するものである。
上記する形態によれば、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生した場合であっても、それに対応する対応者が、表示手段の表示内容によって、その遅れがNC工作機の加工工程に起因しているのか、NC工作機の加工工程より前の工程に起因しているのかを判断することができ、迅速且つ適切に遅れの復旧作業に着手することができる。
ここで、前記第2の判定手段の判定結果を、前記表示手段の画面背景色および画面文字色の少なくともいずれか一方を変更することで表示していれば、NC工作機の加工計画に対する遅れに対応する対応者は、表示手段の表示内容から、NC工作機の加工計画に対する遅れの要因を簡便に判断することができる。
また、本発明の加工管理用表示システムのさらに他の実施の形態においては、前記制御装置の格納手段には、さらに、前記NC工作機の過去の異常内容に関する異常データ、異常の際にその解消に要した仕事量データ、および過去の異常に対応した対応者に関する対応者データが少なくとも格納されており、前記制御装置は、さらに、それぞれのNC工作機の異常を検知する異常検知手段と、前記異常検知手段によって検知される現在の異常内容に関する異常データと前記格納手段に格納されたデータに基づいて、該NC工作機の現在の異常の解消に適切な呼び出し者を特定する特定手段を備え、前記表示手段は、前記特定手段によって特定される前記呼び出し者および該呼び出し者の数の少なくともいずれか一方に応じて表示内容を変更させる表示変更機能を備えているものである。
上記する形態によれば、呼び出し者や呼び出し者の数に応じて表示手段の表示内容が変更されることから、管理者や作業者等の対応者は異常が発生したNC工作機に対応すべき対応者やその対応者の人数を迅速に認識することができる。また、管理者等はその表示内容に基づいて呼び出し者を呼び出すことができることから、確実に最適な呼び出し者を呼び出すことができる。さらに、その異常内容に対応する対応者が複数存在する場合には、それぞれの対応者が復旧作業に必要な対応者の人数を迅速に判断でき、自ら行うべきNC工作機の復旧作業を迅速に把握できることから、迅速且つ適切にNC工作機の復旧作業に着手することもできる。
さらに、前記制御装置は、前記格納手段に格納された過去の異常内容に関する異常データの中から、前記異常検知手段によって検知された前記NC工作機の現在の異常内容に関する異常データと同一内容の異常データを検索する検索手段と、現在の異常内容に関する異常データ、該検索手段によって検索された過去の異常内容に関する異常データ、およびその過去の異常の解消に要した仕事量データに基づいて、現在の異常の解消に必要な仕事量を演算する演算手段とを備え、前記制御装置の格納手段には、さらに、現在の異常に対応可能な対応者に関する別途の対応者データが格納されており、前記演算手段によって演算された前記仕事量、前記対応者データ、および前記別途の対応者データに基づいて、前記特定手段が前記呼び出し者を特定するようになっていることが好ましい。
上記する形態によれば、制御装置によって現在の異常の解消に必要な仕事量を算出できると共に、その算出された仕事量や過去の異常に対応した対応者に関する対応者データと、たとえば勤務形態や勤務時間等を考慮した現在の異常に対応可能な対応者に関する別途の対応者データに基づいて、現在のNC工作機の異常の解消に最適な呼び出し者を特定することができる。なお、異常の解消に複数の対応者が必要となる場合には、現在の異常に対応可能な対応者データの中から複数の呼び出し者を特定することもできる。
ここで、「同一内容の異常データ」とは、たとえば、異常データが、刃具、刃具を走査させる駆動手段、金型等の対象物を載置ための冶具、加工プログラム等のカテゴリー毎に分類されていて、そのカテゴリーが同一の異常データや、NC工作機の異常に対応した対応者が同一、もしくはその対応者の少なくとも一人が同一である異常データ等、様々な形態の異常データ構成を適用することができる。
また、本発明の加工管理用表示方法は、少なくともDNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機からなる複数のNC工作機と、該複数のNC工作機の稼働を制御する制御装置とを備え、該制御装置が、それぞれのNC工作機の加工計画に対する進捗状況と稼働状態を表示する表示手段を備える加工管理用表示方法であって、前記制御装置が前記NC工作機のDNC機能の有無を判定するステップと、前記表示手段が、DNC機能の有無に関する第1の判定結果を表示するステップとからなるものである。
上記する加工管理用表示方法によれば、DNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ラインに混在する場合であっても、制御手段がそれら複数のNC工作機のDNC機能の有無を判定し、制御手段が備える表示手段にその判定結果を表示することができる。たとえば、表示手段の同一画面上でDNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機の進捗状況と稼働状態を管理することができる。
さらに、前記制御装置にはデータが格納されており、前記表示手段は、NC工作機がDNC機能を備えている場合とNC工作機がDNC機能を備えていない場合とで異なる稼働状態データに基づいて前記第1の判定結果を表示することが好ましい。
上記する形態によれば、NC工作機がDNC機能を備えている場合には、たとえばDNC機能を備えたNC工作機を一括管理する装置を介して制御装置に入力されたNC工作機の稼働状態に関する稼働状態データを判定結果として表示手段に表示できると共に、NC工作機がDNC機能を備えていない場合には、たとえば予め制御装置に入力され、格納手段に格納された稼働状態データから所望のデータを選択したり、稼働状態に関するコメント等を稼働状態データとして格納手段に格納したりすることで、それらの稼働状態データを判定結果として制御装置の表示手段に表示することができる。したがって、DNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ラインに混在する場合であっても、それら複数のNC工作機の稼働状態を、更に詳細に表示手段に表示することができる。
また、本発明の加工管理用表示方法の他の実施の形態においては、前記制御装置には、さらに加工計画データが格納されており、前記制御装置が、それぞれのNC工作機の加工計画データに基づいてそれぞれのNC工作機の加工計画に対する遅れを検知するステップと、前記制御装置によって検知される遅れが、前記NC工作機の加工工程に起因する遅れか、あるいは該NC工作機の加工工程より前の工程に起因する遅れかを判定するステップと、前記表示手段が、加工計画に対する遅れに関する第2の判定結果を表示するステップをさらに含んでいるものである。
上記する方法によれば、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生した場合に、それに対応する対応者が、表示手段に表示される第2の判定結果によって、その遅れがNC工作機の加工工程に起因しているのか、NC工作機の加工工程より前の工程に起因しているのかを判断することができ、迅速且つ適切に遅れの復旧作業に着手することができる。
ここで、前記表示手段の画面背景色および画面文字色の少なくともいずれか一方を変更することで、前記表示手段が前記第2の判定結果を表示していれば、NC工作機の加工計画に対する遅れに対応する対応者は、表示手段の第2の判定結果から、簡便にNC工作機の加工計画に対する遅れの要因を判断することができる。
また、本発明の加工管理用表示方法のさらに他の実施の形態においては、前記制御装置には、さらに、前記NC工作機の過去の異常内容に関する異常データ、異常の際にその解消に要した仕事量データ、および過去の異常に対応した対応者に関する対応者データが格納されており、前記制御装置がそれぞれのNC工作機の異常を検知するステップと、前記制御装置が、検知された現在の異常内容に関する異常データと格納されたデータに基づいて、検知されたNC工作機の現在の異常の解消に適切な呼び出し者を特定するステップと、前記表示手段が、特定された前記呼び出し者および該呼び出し者の数の少なくともいずれか一方に応じて表示内容を変更するステップをさらに含んでいるものである。
上記する方法によれば、制御装置によってNC工作機の現在の異常の解消に適切な呼び出し者が特定され、その特定された呼び出し者や呼び出し者の数に応じて表示手段の表示内容が変更されることから、管理者や作業者等の対応者は異常が発生したNC工作機に対応すべき対応者やその対応者の人数を迅速に認識できる。また、管理者等はその表示内容に基づいて呼び出し者を呼び出すことができることから、確実に最適な呼び出し者を呼び出すことができる。さらに、その異常に対応する対応者が複数存在する場合には、それぞれの対応者は復旧作業に必要な対応者の人数を迅速に判断することができ、自ら行うべきNC工作機の復旧作業を迅速に把握できることから、迅速且つ適切にNC工作機の復旧作業に着手することができる。
さらに、本発明の加工管理用表示方法においては、前記特定するステップが、格納された過去の異常内容に関する異常データの中から、検知されたNC工作機の現在の異常内容に関する異常データと同一内容の異常データを検索するステップと、現在の異常内容に関する異常データ、検索された過去の異常内容に関する異常データ、およびその過去の異常の解消に要した仕事量データに基づいて、現在の異常の解消に必要な仕事量を演算するステップとを含み、前記制御装置には、さらに、現在の異常に対応可能な対応者に関する別途の対応者データが格納されており、演算された前記仕事量、前記対応者データ、および前記別途の対応者データに基づいて、前記制御装置が前記呼び出し者を特定することが好ましい。
上記する方法によれば、制御装置によって現在の異常の解消に必要な仕事量を算出すると共に、その算出された仕事量や過去の異常に対応した対応者に関する対応者データと、たとえば勤務形態や勤務時間等を考慮した現在の異常に対応可能な対応者に関する別途の対応者データに基づいて、現在のNC工作機の異常の解消に最適な呼び出し者を特定することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の加工管理用表示システムとその表示方法によれば、DNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機とが加工ラインに混在することを許容しながら、制御手段が備える表示手段の同画面上に、機能の異なる複数のNC工作機の加工計画に対する進捗状況と稼働状態を表示することができる。また、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生した場合には、その遅れがNC工作機の加工工程に起因するのか、あるいはNC工作機の加工工程より前の工程に起因するのか制御手段が判定し、その判定結果を表示手段に表示することで、復旧時間の短縮を図ることができる。また、NC工作機に異常が発生した場合には、異常の対応に最適な呼び出し者を特定し、その特定された呼び出し者や呼び出し者の数に応じて表示手段の表示内容を変更することで、管理者等による迅速且つ確実な対応者の呼び出しが可能となり、NC工作機の復旧時間を短縮して、金型等の生産性を格段に向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の加工管理用表示システムの実施の形態1を説明する概略図である。図示する加工管理用表示システム100を構成するNC工作機や表示手段の基数は、製造する金型や加工ラインの本数等によって適宜変更可能である。また、図示する加工管理用表示システム100に対し、たとえば金型の製作日程やスケジュールを管理するための生産計画サブシステム、部品や外注加工の発注や調達を管理するための調達サブシステム、作業工数を含めた金型製作コストを管理するための経営管理サブシステム等を含めることもできる。
図1で示す加工管理用表示システム100は、表示手段20を備えた制御装置10と、DNC機能31,31',…を備えたNC工作機30,30',…からなる複数のNC工作機と、DNC機能を備えていないNC工作機50,50',…からなる複数のNC工作機とから大略構成されており、NC工作機30,30',50,50',…の進捗状況や稼働状態等の管理データが制御装置10に送信され、その管理データが表示手段20に表示されるようになっている。なお、制御装置10には、NC工作機30,30',50,50',…の進捗状況や稼働状態等の管理データを格納するためのデータ格納手段(不図示)が備えられている。
ここで、DNC機能31,31',…を備えたNC工作機30,30',…はそれぞれDNC手段32に接続されていて、DNC手段32を介して収集したNC工作機30,30',…の管理データが制御装置10に送信される。また、制御装置10のデータがそれぞれのNC工作機30,30',…に送信され、NC工作機30,30',…同士の管理データが相互のNC工作機30,30',…で送受信されることで、DNC機能31,31',…を備えたNC工作機30,30',…が一括管理されるようになっている。また、DNC手段32がCADやCAM(不図示)と接続されていれば、金型等の設計データをDNC手段32を介してそれぞれのNC工作機30,30',…に一括送信することもできる。
制御装置10が備える表示手段20は、加工ラインに配置された複数のNC工作機30,30',50,50',…の進捗状況や稼働状態等の管理データを同一画面上で表示するものであり、たとえば、工程管理者や作業責任者等の詰め所、作業者全員が視認できる工場内のメイン通路脇やその頭上、加工ライン毎の頭上等に配置され、NC工作機に遅れや異常が発生した際に迅速に対応できるようになっている。
なお、図示するように、それぞれのNC工作機30,30',50,50',…が、NC工作機の稼働状態等を個別に確認できる表示手段40,40',60,60',…を備えていてもよい。それぞれのNC工作機30,30',50,50',…が個別の表示手段40,40',60,60',…を備えていれば、たとえば、NC工作機の異常等に対応する作業者がNC工作機の異常の解消に更なる対応者が必要であると判断した場合にも、表示手段40',40,60,60',…を用いて、それぞれのNC工作機の位置で迅速に適切な対応者を呼び出すことができる。
また、図示する実施の形態における制御装置10は、NC工作機の管理データを効率的に収集できるPOP手段11を備えている。その一方で、NC工作機の管理データを直接データ格納手段(不図示)等に送信することもできる。なお、POP手段11を実績収集サブシステム、制御装置10のその他の構成を進捗管理サブシステムと称することができる。
なお、図示を省略するが、POP手段11や後述する各種手段の制御はCPUやMPU等で実行される。また、制御装置に入力される情報はROM等の記憶媒体に記憶することもできる。
図示する制御装置10は第1の判定手段13を備えており、制御装置10に送信されたNC工作機の管理データは、POP手段11を介して第1の判定手段13に送信される。第1の判定手段13では、その管理データに基づいて、たとえばデータベースにおいて設定されたDNC連携フラグによって、加工ライン選択時やNC工作機選択時に、それぞれのNC工作機のDNC機能の有無を判定する。そして、表示手段20では、たとえば、表示手段20の稼働状態の行(図7参照)の記載や画面背景色を、DNC機能を備えるNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機で異なる表示とすることで、その判定結果を表示する。このように表示手段20に判定結果が表示されることで、表示手段20の画面上で異なる機能を備えたNC工作機を一括管理できると共に、管理者や作業者等がその表示内容からそれぞれNC工作機のDNC機能の有無を一時に判別することができる。なお、第1の判定手段13では、データベースにおけるDNC連携フラグ設定に代えて、NC工作機30,30',50,50',…やDNC手段32に信号の送受信機能を設定し、送信信号に対する応答の有無によってNC工作機のDNC機能の有無を判定することもできる。
図2及び図3を参照して、実施の形態1の具体的な表示手段への判定結果の表示方法について説明する。図2は、たとえばNC工作機の稼働開始時やNC工作機に異常が発生した際に、作業者等がNC工作機に到着し、NC工作機30,30',50,50',…が備える個別の表示手段40,40',60,60',…の表示画面内の所定のボタン(たとえば「作業者着完ボタン」)を押すことで、その個別の表示手段40,40',60,60',…に表示される作業仕掛画面41の一例である。これにより、各NC工作機の作業仕掛けの情報や稼働状態等を入力することができる。なお、同様の画面を表示手段20に表示し、その表示手段20を使用して同様の処理を実施することもできる。また、情報の入力については、たとえばキーボード等の他の情報入力手段を用いて行われる形態や、表示手段40,40',60,60',…が、たとえばタッチパネル等の、情報を表示する機能と情報を入力する機能を兼ね備えていて、当該表示手段から直接行われる形態等、様々な形態を適用することができる。
既述するように、各NC工作機30,30',50,50',…が備える表示手段40,40',60,60',…には、各種の情報入力用の表示画面(不図示)が表示されており、その画面内の所定のボタンを押すことで、図2で示す作業仕掛け情報や稼働状態等を入力できる作業仕掛画面41が表示される。図3で示すように、制御装置10では、まず、その作業仕掛画面41の作業仕掛ボタン411が押されたか否かを判定する(STEP30)。ここで、作業仕掛ボタン411が押されていない場合には処理を終了し、表示手段20や表示手段40,40',60,60',…には作業仕掛けの情報は表示されない。
作業仕掛ボタン411が押されていると判定した(STEP30)場合には、第1の判定手段13(図1参照)で、たとえばデータベースにおいて設定されたDNC連携フラグやNC加工機等への信号の送信に対すると応答によって、NC工作機のDNC機能の有無を判定する(STEP31)。ここで、DNC機能が無いと判定した場合には、表示手段20や表示手段40,40',60,60',…にはDNC機能の有無の情報を表示しない(STEP33)。それによって、管理者等は、各NC工作機のDNC機能の有無を判別することができる。なお、DNC機能が無いと判定された場合にも、たとえば、「DNC機能無し」等の文字表記等を、表示手段20の稼働状態の行や表示手段40,40',60,60',…のそのNC工作機に対応する箇所に表示することもできる。
また、第1の判定手段13で、NC工作機のDNC機能が有ると判定した(STEP31)場合には、たとえば「DNC機能有り」等の文字表記等を表示手段20や表示手段40,40',60,60',…に表示する(STEP32)。なお、文字表記に代えて、表示手段20の稼働状態の行の背景色を変更することで、DNC機能の有無に関する判定結果を表示手段に表示することもできる。
次いで、図4を参照して、実施の形態1の更に好ましい表示手段への判定結果の表示方法について説明する。
まず、制御装置10では、図3で示す処理と同様に、作業仕掛ボタン411が押されているか否かを判定し(STEP40)、その作業仕掛ボタン411が押されている場合には、第1の判定手段13(図1参照)で、NC工作機のDNC機能の有無を判定する(STEP41)。ここで、DNC機能が有ると判定した場合には、DNC機能を備えたNC工作機30,30',…やDNC手段32からの稼働状態データに基づいて、それらの詳細な稼働状態に関する情報を表示手段20の稼働状態の行や表示手段40,40',60,60',…のそのNC工作機に対応した箇所に表示する(STEP42)。この稼働状態に関する情報としては、たとえば「DNC運転/運転外」、「電源自体のON/OFF」、「オペ停止/異常停止/一時停止/完全停止」等の停止の種別分け等の情報を挙げることができ、これらの情報が、予めNC工作機30,30',…やDNC手段32、制御装置10等に格納されている。また、これらの情報は、DNC機能が有ると判定した場合に、DNC機能を備えたNC工作機30,30',…やDNC手段32から制御装置10に入力される形態や、予めDNC機能を備えたNC工作機30,30',…やDNC手段32から制御装置10に適宜入力され、DNC機能が有ると判定した場合に、制御装置10が格納手段等(不図示)に格納されたそれらの情報を読み込んで表示する形態等を適用することができる。
また、第1の判定手段13で、NC工作機のDNC機能が無いと判定された(STEP41)場合には、その判定結果に基づく情報を表示手段20や表示手段40,40',60,60',…に表示することとなる。すなわち、制御装置10では、図2で示す稼働仕掛画面41の稼働状態選択ボタン412のうちのいずれかが選択されているか否かを判定する(STEP43)。仮に、いずれのボタンも選択されていないと判定した場合には、表示手段20の稼働状態の行や表示手段40,40',60,60',…の対応する箇所に、たとえば「加工中」等の文字表記を表示する(STEP47)。また、稼働状態選択ボタン412のうち、いずれかのボタンが選択されていると判定した(STEP43)場合には、その選択されたボタンに対応する稼働状態の情報を表示手段20や表示手段40,40',60,60',…の対応する箇所に表示する(STEP44)。さらに、制御装置10では、そのSTEP44で表示される稼働状態の情報についての更に詳細な情報のコメントが入力されているか否かを判定し(STEP45)、コメント入力が有ると判定した場合には、上記稼働状態の情報と共に、そのコメントも表示手段20の稼働状態の行(図7参照)や表示手段40,40',60,60',…の対応する箇所に表示する(STEP46)。なお、コメント入力については、キーボード等の別途の情報入力手段を用いて行われる形態や、表示手段のタッチパネルを用いて行われる形態等、種々の形態を適用することができる。
このように、第1の判定手段13でDNC機能が無いと判定された場合には、予め設定された稼働状況選択ボタン412から稼働状態を選択したり、コメントを入力して格納したりすることで、それらの稼働状態データを制御装置10の表示手段20に表示することができる。すなわち、NC工作機がDNC機能を備えている場合とNC工作機がDNC機能を備えていない場合とで、たとえば異なる入力手段で入力され、あるいは異なる選択方法で選択された異なる形態の稼働状態データを表示手段20や表示手段40,40',60,60',…に表示することができ、したがって、DNC機能を備えたNC工作機からの各種詳細情報を表示手段に表示できると共に、DNC機能を備えていないNC工作機が存在する場合にも、そのNC工作機の稼働状態等に関する詳細情報を表示手段20や表示手段40,40',60,60',…に表示することができる。
[実施の形態2]
図5は、本発明の加工管理用表示システムの実施の形態2を説明する概略図である。なお、後述する遅れ検知手段14Aによって検知されるNC工作機の加工計画に対する遅れの要因としては、NC工作機の刃具の走査遅れ、刃具交換等の追加工程による加工計画に対する遅れ、NC工作機毎の金型の移動時間の遅れ等を挙げることができる。以下、特に実施の形態1と異なる構成について説明する。
図示する制御装置10Aは、データ格納手段12Aと遅れ検知手段14Aと第2の判定手段15Aを備えており、データ格納手段12AにはそれぞれのNC工作機の加工計画データが格納されている。遅れ検知手段14Aでは、制御装置10Aに送信されたNC工作機の管理データとデータ格納手段12Aに格納された加工計画データを比較し、特定のNC工作機について加工計画に対する遅れが検知された場合には、その情報を第2の判定手段15Aに送信する。第2の判定手段15Aでは、その特定のNC工作機についての遅れが、そのNC工作機の加工工程に起因するのか、あるいはそのNC工作機の加工工程より前の工程に起因するのかを判定する。そして、表示手段20Aでは、たとえば、NC工作機の遅れの要因に応じて、表示画面の進捗状況や仕掛予定日時の行(図7参照)の画面背景色や画面文字色を変更して表示することで、その判定結果を表示する。このように判定結果が表示手段20Aに表示されることで、NC工作機の加工計画に対する遅れに対応する対応者は、迅速且つ簡便に遅れの要因を判断できる。すなわち、その遅れがNC工作機の加工工程に起因すると判定された場合には、対応者は、たとえば加工プログラムや加工ステップ、工具交換等を含む加工速度等の変更を行い、その遅れがNC工作機の加工工程より前の工程に起因すると判定された場合には、対応者は、NC工作機の割付、別金型や別部品とのスケジュール調整等を行うことができる。
ここで、表示手段20Aの画面背景色や画面文字色の変更として、たとえば、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生している場合には画面文字色のみを変更し、その遅れが前工程に起因する場合には、さらに画面背景色をそれぞれ変更する等、NC工作機の加工計画に対する遅れを画面背景色や画面文字色の組み合わせで表現することもできる。それにより、対応者がより簡便に遅れの要因を判別することができ、迅速にNC工作機の復旧作業に着手して、金型等の生産性の更なる向上を図ることができる。
さらに、制御装置10Aのデータベースに遅れ発生の理由のデータテーブルや字体/フォント/外国語のデータテーブルを設定し、NC工作機30A,30A',50A,50A',…やDNC手段32Aから受信した異常内容毎の異なる信号とそれらを関連付けることで、たとえば工具破損、工作機の故障、段取りミス等の詳細な遅れ発生の要因毎に字体/フォント/表示言語を変更することもできる。これにより、たとえば使用言語の異なる対応者が対応する場合にも、より迅速に遅れ発生の要因等を認識することができ、復旧時間の短縮を図ることができる。
[実施の形態3]
図6は、本発明の加工管理用表示システムの実施の形態3を説明する概略図である。以下、特に実施の形態1,2と異なる構成について説明する。
図示する制御装置10Bのデータ格納手段12Bには、実施の形態2のデータ格納手段12Aに格納されたデータのほか、さらにNC工作機の過去の異常内容に関する異常データ、異常の際にその解消に要した仕事量データ、過去の異常に対応した対応者に関する対応者データが格納されている。そして、制御装置10Bは、それぞれのNC工作機の異常を検知する異常検知手段16Bと、異常検知手段16Bによって検知される現在の異常内容に関する異常データとデータ格納手段12Bに格納されたデータに基づいて、NC工作機の現在の異常の解消に適切な呼び出し者を特定する特定手段17Bとを備えている。また、表示手段20Bは、特定手段17Bによって特定される呼び出し者や呼び出し者の数に応じて表示内容を変更させる表示変更機能を備えている。
特定手段17Bによって特定される呼び出し者や呼び出し者の数に応じて、表示手段20Bに表示される表示内容や後述する呼び出し選択画面等の表示内容が変更されることで、NC工作機の異常に対応する管理者や作業者等の対応者は、適切な対応者やその人数を迅速に把握することができる。また、管理者等が、呼び出し者や呼び出し者の数に応じて変更された表示内容に基づいて呼び出し者を呼び出すことができることから、確実に最適な人数の呼び出し者を呼び出すこともできる。また、対応者が複数存在する場合には、その表示内容からそれぞれの対応者が自ら行うべき作業内容を迅速に認識することもできることから、迅速に適切な復旧作業に着手することができ、更なる復旧時間の短縮を図ることができる。
さらに、制御装置10Bは検索手段18Bと演算手段19Bを備えている。検索手段18Bでは、データ格納手段12Bに格納された過去の異常内容に関する異常データの中から、異常検知手段16Bによって検知されたNC工作機の現在の異常内容に関する異常データと同一内容の異常データを検索し、演算手段19Bでは、現在の異常内容に関する異常データ、検索手段18Bによって検索された過去の異常内容に関する異常データ、その過去の異常の解消に要した仕事量データに基づいて、現在の異常の解消に必要な仕事量を演算する。なお、演算手段19Bに入力されるデータは、データ格納手段12Bから直接演算手段19Bに入力される形態や検索手段18Bで使用されたデータが演算手段19Bに入力される形態等を適用できる。そして、演算手段19Bによって演算された仕事量、データ格納手段12Bに格納された対応者データ、現在の異常に対応可能な対応者に関する対応者データが特定手段17Bに送信され、その情報が表示手段20Bの表示内容に反映される。ここで、現在の異常に対応可能な対応者に関する対応者データには、たとえば対応者の勤務形態や勤務時間等のデータが含まれていることから、勤務時間から算出した対応者の対応可能時間等を考慮しながら適切な呼び出し者を特定することもできる。
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態1〜3の加工管理用表示システム100,100A,100Bを構成する表示手段20,20A,20Bの表示画面21の一実施の形態について説明する。同図横軸は同一の加工ラインに配置されたNC工作機、同図縦軸はそれぞれのNC工作機の稼働状態や進捗状況等の現在仕掛けのデータ、仕掛け予定等の次仕掛けのデータ、オペレータや作業責任者への呼び出し状況等を示している。
図7で示す表示画面21の上段の行211には、たとえば図1で示すNC工作機30,30',50,50',…のようなDNC機能を備えたNC工作機とDNC機能を備えていないNC工作機が混在して表示されている。図1を参照して説明したように、第1の判定手段13によってそれぞれのNC工作機のDNC機能の有無が判定されると、その判定結果が稼動状態の行212に表示されることとなる。たとえば、図示するように稼動状態の行212を上下に分割し、その一方にDNC機能の有無を文字によって表記することができる。さらに、図4で示すSTEP46でコメントが入力されている場合には、この行212の下段にそのコメントを表示することで、管理者等がNC工作機の詳細な稼働状態を判別することができる。また、DNC機能を備えたNC工作機に対応する行212の画面表示色を所定の色で配色して表示することもできる。
なお、図示する表示画面21の行211の所望のNC工作機に対応する箇所を指定することで、たとえば図1における表示手段40,40',60,60',…のような各NC工作機の個別の表示手段に表示されている画面を表示手段20に表示し、この表示手段20を用いて、既述するような、各NC工作機に対する作業仕掛けの情報や稼働状態等の情報を入力することもできる。
また、図5を参照して説明したように、第2の判定手段15Aによって判定されたそれぞれのNC工作機の加工計画に対する遅れのデータは、たとえば現在仕掛けの加工進捗状況の行213や次仕掛けの仕掛け予定の行216に表示される。すなわち、NC工作機の加工計画に対する遅れが発生すると、加工進捗状況の行213では実際の遅れの時間が表示されると共に、仕掛け予定の行216では、現在の時間より前の既に完了しているべき仕掛け予定が表示される。その際、加工計画に対する遅れが発生したNC工作機に対応する加工進捗状況の行213や仕掛け予定の行216の文字色や背景色を、その遅れの要因に応じて変更して表示することができる。
また、図6を参照して説明したように、特定手段17Bによって呼び出し者が特定されると、その情報が呼出の行215や下段の呼出中の欄217に表示される。なお、下部の呼出中の欄217に呼び出し者が表示されることで、たとえば画面を横方向にスクロールし、呼び出し中のNC工作機が非表示となったとしても、下段の呼出中の欄217には呼び出し者が表示されている。それにより、管理者や作業者等は呼び出し者を常時認識することができ、確実に呼び出し者をNC工作機に呼び出すことができる。また、呼び出し者が複数存在する場合には、それら複数の呼び出し者が呼出の行215や呼出中の欄217に表示されることとなる。さらに、実際に呼び出し者が介入して復旧作業に着手すると、その情報がオペ介入の行214に表示されることとなる。
ここで、図7で示すAラインのNC工作機とは異なる加工ラインのNC工作機を表示手段に表示させる場合には、ライン切替210を用いることができる。すなわち、ライン切替210を押圧することで、図8で示す入力画面22が表示され、そのライン欄221で所望の加工ラインを選択することで、表示手段の表示を変更して所望の加工ラインのNC工作機の管理データを表示することができる。また、NC工作機の稼働開始時には、初期画面として図8で示す入力画面22を表示させ、所望の加工ラインを選択することで、NC工作機の稼働開始時に所望の加工ラインの管理データを表示手段に表示させることもできる。
また、加工ラインに配置されるNC工作機の数が多いために表示手段の一画面上で全てのNC工作機の管理データを表示することができない場合には、表示手段の表示画面を所定時間毎にページ単位で横スライド等させることで、所望の時間の間に全てのNC工作機の管理データを表示させることもできる。また、所定時間毎に最新の管理データをNC工作機から取得し、それを表示手段の表示内容に反映することで、表示画面の管理データの更新を行うこともできる。
次に、図9〜図11を参照して、図6で示す実施の形態3における対応者を呼び出すための呼び出し者選定画面について説明する。図9は、単数の対応者を呼び出すための呼び出し者選定画面(単独者表示)、図10aは、単数および複数の対応者を呼び出すための呼び出し者選定画面(標準表示)、図10bは、図10aの複数呼び出しボタンが押圧された際に呼び出し者を選択するための呼び出し者一覧画面、図11は、複数の対応者を呼び出すための呼び出し者選定画面(複数者表示)である。なお、図9〜図11で示す呼び出し選択画面は、異常検知手段16BによってNC工作機の異常が検知され、特定手段17Bによってその異常に対応する呼び出し者が特定された場合に、自動的に表示手段20Bや表示手段40B,40B',60B,60B',…に表示される形態や、たとえばNC工作機に個別に設置された表示手段40B,40B',60B,60B',…に表示される臨時呼び出しボタン(不図示)を管理者等が押圧することで、表示手段20Bや表示手段40B,40B',60B,60B',…に表示される形態等、様々な形態を適用することができる。また、呼び出し選択画面に表示される呼び出し者(対応者)のデータは、たとえばキーボードを用いて入力したり、勤怠管理システムと関連付けたりすることで、予め制御装置10Bに登録してデータ格納手段12Bに格納することができる。
図6で示す特定手段17Bによって単数の呼び出し者が特定された場合には、図9で示す呼び出し者選定画面23を表示することができる。この呼び出し者選定画面23が表示され、管理者等によって呼び出し画面表示23の呼び出し者ボタン231が押されると、呼び出し者の情報が表示手段20Bの呼出の行215や呼出中の欄217に表示され、対応者はその表示内容に応じてNC工作機の復旧作業に着手することができる。そして、対応者によるNC工作機の復旧作業が完了し、対応者等が呼び出し解除ボタン232を押すことで、呼び出し者選定画面23の表示が非表示となると共に、表示手段20Bの呼び出し者の表示も非表示となる。
なお、より明確に管理者等にNC工作機の異常を認知させるために、呼び出し者選定画面23の表示と共に、音声や警報、携帯端末(電話等)を用いて対応可能な対応者にNC工作機の異常を認識させてもよい。
また、図6で示す特定手段17Bによって複数の呼び出し者が特定された場合には、図10aで示す呼び出し者選定画面24を表示することができる。図9で示す呼び出し者選定画面23に対して、図10aで示す呼び出し者選定画面24は、呼び出し者ボタン241に複数呼び出しボタン241'を追加したものである。なお、図10aで示す呼び出し者選定画面24は、図6で示す特定手段17Bによって単数の呼び出し者が特定された場合にも使用することができ、この呼び出し者選定画面24を本システムにおける標準的な仕様として使用することができる。
図示する呼び出し者選定画面24の複数呼び出しボタン241'を管理者等が押すことで、図10bで示す呼び出し者を選択するため呼び出し者一覧画面25が表示される。そして、その呼び出し者一覧画面25から呼び出し者を選択すると、その呼び出し者の情報が表示手段20Bの呼出の行215や呼出中の欄217に表示され、対応者はその表示内容に応じてNC工作機の復旧作業に着手することができる。なお、呼び出し者一覧画面25中のAペアボタン251については、たとえば「新人+指導/教育者のペア」等、予め制御装置10等に設定しておくことで、個人名を表示させることもできる。また、たとえば図6で示す演算手段19Bによって最適な呼び出し者やその人数を算出された場合に、その演算結果に基づいて、たとえば、呼び出し者一覧画面25の押圧可能なボタンを特定したり、その異常の対応に必要な人数を呼び出し者一覧画面25に表示し、その人数が選択されるまで呼び出し者一覧画面25を継続して表示したりすることもできる。そして、対応者によるNC工作機の復旧作業が完了し、対応者等が呼び出し解除ボタン242を押すことで、呼び出し者選定画面24の表示が非表示となると共に、表示手段20Bの呼び出し者の表示も非表示となる。
また、図6で示す特定手段17Bによって複数の呼び出し者が特定された場合には、図10aで示す呼び出し者選定画面24に代えて、図11で示す呼び出し者選定画面26を表示することもできる。図示する呼び出し者選定画面26は、たとえば図6で示す演算手段19Bの演算結果に基づいて、予め呼び出しボタン261にNC工作機の復旧作業に対応可能な呼び出し者の組み合わせを表示するものである。この呼び出し者選定画面26が表示され、管理者等によって呼び出し者選定画面26の呼び出し者ボタン261が押されると、それに対応する呼び出し者の組み合わせの情報が表示手段20Bの呼出の行215や呼出中の欄217に表示され、対応者はその表示内容に応じてNC工作機の復旧作業に着手することができる。そして、対応者によるNC工作機の復旧作業が完了し、対応者等が呼び出し解除ボタン262を押すことで、呼び出し者選定画面26の表示が非表示となると共に、表示手段20Bの呼び出し者の表示も非表示となる。
なお、本システムに対して電話回線と連携させたホットライン機能を付加し、図9〜図11で示す呼び出し者選定画面23,24,26に工作機メーカーの窓口者や担当者等を追加することで、NC工作機に異常が発生した場合には工作機メーカーの窓口者や担当者等との回線を接続し、必要に応じて担当者等を呼び出すこともできる。
次に、図12を参照して、実施の形態3においてNC工作機に個別に設置された表示手段40B,40B',60B,60B',…に表示される臨時呼び出しボタン(不図示)が押された際に、表示手段20Bや表示手段40B,40B',60B,60B',…に図9〜図11で示す呼び出し選定画面を表示する方法について説明する。
ここで、制御装置10Bのデータ格納手段12Bには、対応者データ、過去の故障や不具合等の異常内容に関する異常データ、仕事量データが予め格納されている。対応者データとしては、個人の技能レベルや勤務形態、勤務時間等のデータを挙げることができる。また、異常データとしては、NC工作機毎の故障や不具合の発生部位やその内容に関するデータ、過去の故障や不具合の解消に要した時間、過去の故障や不具合の解消に対応した対応者(作業者や管理者)のデータを挙げることができる。また、仕事量データとしては、たとえばΣ(対応時間×対応者の技能レベル×人数)等の算出方法によって算出された、過去の異常の解消に必要となった仕事量、責任者や管理者等の特定の対応者が必要となった事例に関するデータを挙げることができる。なお、責任者や管理者等の特定の対応者が必要となった事例には、制御装置10Bのデータベースにおいてフラグを付与しておくことが好ましい。また、各NC工作機やDNC手段は、故障や不具合等の異常発生部位やその異常内容に応じた信号を制御装置10Bに送信できるようになっている。
まず、制御装置10Bは、各NC工作機やDNC手段から送信された信号に基づいて、臨時呼び出しボタンが押されたか否かを判定する(STEP120)。ここで、臨時呼び出しボタンが押されていない場合には処理を終了し、表示手段20Bや表示手段40B,40B',60B,60B',…に呼び出し者選択画面は表示されない。
臨時呼び出しボタンが押されていると制御装置10Bが判定した(STEP120)場合には、各NC工作機やDNC手段から送信される故障や不具合等の異常発生部位やその異常内容に応じた信号の有無を判定する(STEP121)。仮に、その信号がないと判定した場合には、図10aで示す標準の呼び出し者選定画面24(標準表示)を表示する(STEP128)。
故障や不具合等の異常発生部位やその異常内容に応じた信号が有ると制御装置10Bが判定した場合には、その受信した信号に基づいて、過去の異常内容に関する異常データから、受信した現在の異常内容に関する異常データと同一内容の異常データを検索する(STEP122)。なお、ここで、検索される同一内容の異常データとは、たとえば異常データが異常部位や異常内容等のカテゴリー毎に分類されていて、そのカテゴリーが同一である異常データや、異常に対応した対応者が同一である異常データ等、様々な異常データの構成を含むことができる。仮に、制御装置10Bが、過去の異常内容に関する異常データから同一内容の異常データを検索することができない場合には、STEP121と同様に、図10aで示す標準の呼び出し者選定画面24を表示する(STEP128)。
制御装置10Bが、過去の異常内容に関する異常データから同一内容の異常データを検索することができた(STEP122)場合には、各NC工作機やDNC手段から受信した現在の異常内容に関する異常データの信号と、過去の異常内容に関する異常データと、過去の異常の解消に必要となった仕事量データから、現在の異常の解消に必要な仕事量を算出する(STEP123)。
そして、制御装置10Bは、その算出された仕事量と、過去の故障や不具合の解消に対応した対応者データ、さらに対応者データに含まれる現在の異常に対応可能な対応者データ、技能レベルや作業者等の残り勤務時間等のデータに基づいて、現在の異常の解消に対応すべき呼び出し者を特定する(STEP124)。その際、複数の対応者による作業が適切であると判断する場合には、複数の対応者の組み合わせを選定することもできる。たとえば、「技能レベルが、Aさん30、Bさん20、Cさん10」、「算出された仕事量が90」、「残り勤務時間が4.0h(時間)」である場合には、「Aさん×3.0h」、「(Aさん+Bさん)×1.8h」、「(Aさん+Cさん)×2.25h」、「(Bさん+Bさん)×3.0h」、「(Aさん+Bさん+Cさん)×1.5h」のような組み合わせが考えられ、そのうちの最適な組み合わせを、過去の故障や不具合の解消に対応した対応者データ等から選択することができる。なお、現在の異常内容が、制御装置10Bのデータベースでフラグが付与されている特定の対応者が必要となった事例の場合には、そのフラグの有無を考慮して呼び出し者を特定することもできる。
次いで、制御装置10Bは、選定された呼び出し者が単数かもしくは複数かを判定し(STEP125)、呼び出し者が単数である場合には、図9で示す複数呼び出しボタンを備えていない呼び出し者選定画面23(単数者表示)を表示する(STEP126)。
一方で、選定された呼び出し者が単数かもしくは複数かを判定し(STEP125)、呼び出し者が複数である場合には、再度単数でその異常に対応不可か否かを判定する(STEP127)。仮にその異常に対し単数でも対応可能であると判定した場合には、図10aで示す単数および複数の対応者を呼び出すことができる標準の呼び出し者選択画面24を表示する(STEP128)。それにより、NC工作機の異常を確認した管理者等が、その異常内容や作業者の勤務形態等を考慮して最適な人数の呼び出し者を選定することができる。
制御装置10Bが再度単数でその異常に対応不可か否かを判定した結果、やはり単数では対応不可であると判定した(STEP127)場合には、図11で示す複数の対応者の組み合わせを呼び出すことができる呼び出し者表示画面26(複数者表示)を表示する(STEP129)。なお、既述するように、図11で示す呼び出し者選定画面26に代えて、図10aで示す呼び出し者選択画面24を表示し、複数の呼び出しが可能な複数呼び出しボタン241のみを選択可能に表示することもできる。
このような方法によって表示された呼び出し者選定画面の呼び出しボタンを管理者等が押すことで、その異常に対応する呼び出し者が表示手段20Bの呼出の行215や呼出中の欄217に表示されることとなる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。