以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る監視システムの一実施の形態の全体構成及びブロック構成を示す図である。図1には、監視センタ10及びサーバセンタ20がイントラネット1で接続された構成が示されている。本実施の形態における監視システムは、全国を複数のエリアに分割し、エリア毎に監視センタ10を設けている。監視センタ10では、担当エリア内のビルオーナー等の顧客からの電話に対応するなどの業務が行われる。なお、各監視センタ10は、同等の業務を行うので、図1には1つの監視センタ10のみ図示している。サーバセンタ20は、複数のサーバコンピュータが設置され、各監視センタ10が使用するデータベース等を複数のサーバコンピュータを用いて一括管理する。
本実施の形態における監視センタ10は、オペレータ端末11及びPBX(構内交換機:Private Branch eXchange)12をLAN(Local Area Network)13に接続した構成を有している。LAN13は、ルータ14を介してイントラネット1に接続される。なお、監視センタ10には、その他にも例えばエレベーターのかご内に設置されたインターフォンを接続するための装置等が設けられているが、本実施の形態の説明に用いない構成要素に関しては図1から省略している。
オペレータ端末11は、本発明に係る情報端末装置に相当し、顧客からの電話に対応するオペレータにより使用される専用の端末装置である。オペレータ端末11には、電話機が対応付けして接続されている。本実施の形態では、オペレータ端末及び電話機の組を単に「オペレータ端末」と総称することにする。オペレータ端末11は、複数台用意されているが、それぞれ同等の機能を持っているので図面では1台のみ示した。PBX12は、図示しない電話回線網に接続されており、顧客からの電話(外線)をオペレータ端末11につなげる。
図2は、本実施の形態におけるオペレータ端末11のハードウェア構成図である。本実施の形態におけるオペレータ端末11は、コンピュータを搭載している。すなわち、オペレータ端末11は、CPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)35、更にヘッドセット36、入力手段として設けられたマウス37とキーボード38及び表示手段として設けられたディスプレイ39をそれぞれ接続する入出力コントローラ40を内部バス41に接続して構成される。
図1に戻り、オペレータ端末11は、電話処理部111、ユーザインタフェース(UI)部112、入力受付部113、表示処理制御部114、アクション追加処理部115、アクション予約処理部116及び制御部117を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素は図1から省略している。電話処理部111は、回線接続、対話処理、また対話の内容の記録処理等電話機を用いた処理全般を行う。ユーザインタフェース部112は、ディスプレイ39により実現され、各種画面の表示を行う。入力受付部113は、オペレータにより表示画面から入力された情報を受け付ける。表示処理制御部114は、ユーザインタフェース部112への各種画面の表示処理及び表示制御を行う。本実施の形態では、特に監視対象となる建物の設備に発生した故障への対応の内容を時系列順に故障対応画面における経緯表示領域に表示させ、またユーザによる対応追加指示に応じて設備に発生する故障に対して取り得る対応が定義されている対応マスタ情報を対応リスト画面に表示させるなどの表示制御を行う。
ところで、故障対応画面には、各案件に対応する情報がまとめて表示される。本実施の形態における「案件」というのは、顧客のビル設備に発生した不具合な事象のことをいう。本実施の形態では、どのビルでどのような不具合な事象(故障)が発生したか、すなわち、建番で特定されるビルと故障とにより案件が特定される。なお、「建番」とは、建物番号の略称であり、建物毎に付与される識別番号のことをいう。案件に対して何らかの対応が実施されると、その対応のログとしてアクション情報が生成される。本実施の形態では、この「対応」と「アクション」とをほぼ同義に用いるが、アクション追加処理部115は、オペレータ等により何らかの対応が行われると、当該対応に対応させてアクション情報を生成し、経緯情報記憶部21に登録する。
アクション予約処理部116は、設備に故障が発生すると、その設備に対して行うべき対応の内容を取得する、この取得した情報は、表示処理制御部114により、故障対応画面における予約対応領域に表示される。 制御部117は、各構成要素111〜117と連携動作してそれぞれに機能を発揮させるなど、オペレータ端末11における全体の制御を行う。
オペレータ端末11における各構成要素111〜117は、オペレータ端末11に搭載されるコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。
サーバセンタ20は、複数のサーバコンピュータを用いて経緯情報記憶部21、アクションマスタ22、アクション予約マスタ23及び顧客マスタ24を管理している。図3は、本実施の形態における経緯情報記憶部21に記憶される経緯情報のデータ構成の一例を示す図である。経緯情報は、ビルの設備に発生した一の故障毎(案件毎)にまとめられて生成される情報であり、案件ID及び建番に1又は複数のアクション情報が対応付けられる。アクション情報は、前述したようにオペレータ等により当該案件に対して何らかの対応(アクション)が行われる度に生成され、当該故障の経緯情報に追加登録される。アクション情報には、アクションが実施された日時情報であるアクション日時、行われた対応の種類を示すアクション種別、対応したオペレータのオペレータID、オペレータが人と対応した場合にはその対応した相手、対応の詳細情報、電話を用いたアクションの場合は相手の電話番号及び電話の対話の内容が記録された録音データを識別する録音IDが含まれている。このように、経緯情報記憶部21には、アクションが実施されたことで対応のログ(アクション情報)が生成され、そのアクション情報がアクション日時によって時系列的に扱われることで、一の故障(案件)への対応の経緯を示す情報(経緯情報)として蓄積されることになる。
図4は、本実施の形態におけるアクションマスタ22に記憶される対応マスタ情報のデータ構成の一例を示す図である。対応マスタ情報には、故障に対して取り得る対応が定義されており、分類、アクション及びデフォルトという各項目により構成される。アクションは、故障に対して取り得る対応(アクション)であり、分類は、アクションを種類によって区分けしたときの分類名である。アクションが選択されたとき、そのアクションについて次にフォローすることを忘れないようにしたい場合があり、入力された日時からの経過時間によってアラームが出力される。その日時は、オペレータによって入力指定される。デフォルトには、その初期値が設定される。
図5は、本実施の形態におけるアクション予約マスタ23に記憶される対応予約情報のデータ構成の一例を示す図である。対応予約情報は、顧客との契約に従い設備毎に、当該設備に故障が発生したときに行うべき対応が予め設定されている。対応予約情報には、顧客から要望に応じて通常の故障の対応に付加的に実施される対応が設定される。対応予約情報は、分類、実施タイミング及び内容で構成される。なお、各情報には、通し番号(No.)が付けられている。内容には、行うべき対応(アクション)の内容が記述されている。実施タイミングは、その対応の実施タイミングである。分類は、当該対応の内容を種類によって区分けしたときの分類名である。
顧客マスタ24には、契約先となる顧客のビルを特定する建番に、顧客名称、電話番号、契約内容を含む情報及び当該顧客の警備等を行う警備会社に関する情報等を対応付けして含む顧客情報が設定される。
サーバセンタ20における各記憶手段21〜24は、サーバセンタ20の各サーバコンピュータに搭載されたHDD又はRAMにて実現される。
図6は、本実施の形態におけるオペレータ端末11のディスプレイ39に表示される故障対応画面の画面構成図である。故障対応画面は、電話情報エリア42、遠隔監視エリア43、建物情報エリア44、警備情報エリア45、設備情報エリア46及び故障対応エリア47という各表示領域に分割されており、本実施の形態では、各種情報を分類して該当する表示領域に表示する。
電話情報エリア42には、電話の発信元の電話番号、電話を受け付けたオペレータ端末11の端末ID等、着信及び発信に関連する電話情報が表示される。遠隔監視エリア43には、遠隔監視対象のビルから発せられた信号や情報が表示される。建物情報エリア44には、顧客との対話により特定した契約先の顧客の住所、所在地、建番等、顧客及び建物に関する情報が表示される。警備情報エリア45には、警備会社名、電話番号、警備時間帯等、当該顧客が契約している警備会社に関する情報が表示される。設備情報エリア46には、当該顧客の監視対象とする設備及び契約内容に関する情報が表示される。故障対応エリア47には、当該案件における故障への対応の内容が表示される。この故障対応エリア47のレイアウト構成の一例を図7に示す。
故障対応エリア47は、対応経緯表示領域51と対応予約表示領域52とを含む。故障対応画面には、ビルの設備に発生した一の故障(案件)毎に関連する情報が表示されるが、対応経緯表示領域51には、経緯情報記憶部21に蓄積されている当該案件の経緯情報が抽出されて、その経緯情報に含まれるアクション情報が時系列順にリスト表示される。また、対応予約表示領域52には、アクション予約マスタ23に設定されている対応予約情報のうち当該故障が発生した設備に対応して設定されている対応予約情報から得られる、当該故障に対して行うべき対応の内容が表示される。
なお、故障に対して行った対応の数も故障に対して行うべき対応の数も可変であるため、本実施の形態では、同じテーブルに表示し、通し番号(No.)を付けることにした。各表示領域51,52において表示可能なアクション数は固定してもよいし変えてもよい。本実施の形態では、故障の対応の経緯、すなわち故障への対応実績をテーブルの上方に、予約された対応、すなわちこれから行うべき対応の内容をテーブルの下方に、それぞれまとめて表示するようにした。
対応経緯表示領域51には、経緯情報記憶部21から読み出したアクション情報を参照して、アクション日時、アクション種別、相手、オペレータIDから特定されるオペレータ名及び詳細情報が表示される。
対応予約表示領域52には、アクション予約マスタ23から読み出した当該顧客の設備に設定されている対応予約情報を参照するなどして、以下の情報が表示される。日時には、アクション予約マスタ23から読み出された日時が表示される。アクションには、予約の対応であることを示す"<to>特記"が表示される。詳細には、当該対応の実施タイミング及び対応予約情報から得られる分類(対応の種類)が表示される。
次に、本実施の形態におけるオペレータ端末11の動作について説明する。
オペレータは、オペレータ端末11からオペレータID及びパスワードを入力することによって監視システム及びPBX12にログインし、業務を開始する。そして、オペレータが顧客からかかってきた電話を受けると、電話処理部111は、オペレータと顧客との対話の内容の録音を開始する。なお、電話回線が切断されると、電話処理部111は、録音データをサーバセンタ20にて保持管理させる。また、電話処理部111は、録音データに割り当てた録音IDをオペレータ端末11へ送る。アクション追加処理部115は、制御部117による制御のもと録音IDをアクション情報に含めることで、「着信」アクションと録音データとを対応付ける。
オペレータは、電話により顧客のビル(建番)を特定するための情報を聞き出し、所定の検索画面(図示せず)から聞き出した顧客の情報を入力する。そして、表示処理制御部114は、オペレータによる所定の操作に応じて故障対応画面をユーザインタフェース部112に表示させる。表示された故障対応画面の電話情報エリア42には発信者の電話番号が表示され、建物情報エリア44には、顧客の情報に基づき顧客マスタ24を検索して取得した顧客の建物情報が、それぞれ表示される。
ここでは、顧客の設備に不具合な事象として故障が新たに発生したことにより、顧客から電話がかかってきたとする。この場合、制御部117は、新たな案件IDを発行する。なお、このときは当該案件の経緯情報は存在しない。そして、アクション追加処理部115は、アクション種別が「受信」のアクション情報を自動生成する。この例のように、各案件の最初のアクション情報は、基本的には「受信」アクションによって生成され、これにより当該案件の経緯情報が生成される。より詳細には、オペレータが保存ボタン53を選択することで当該アクションのアクション情報が生成される。また、アクション追加処理部115がアクション情報を経緯情報記憶部21に登録すると、表示処理制御部114は、経緯情報記憶部21から当該案件のアクション情報を読み出して対応経緯表示領域51に表示する。
なお、故障は、顧客からの電話以外にも、例えばエレベーターのかご内に設置のインターフォンを乗客が操作することで発信される電話でも検出されうるが、インターフォンは顧客の設備(エレベーター)の一部なので、本実施の形態では、便宜的に顧客からの電話と総称している。
更に、故障は、顧客からの連絡だけでなく、遠隔監視を行ってビルから送信されてきた信号の解析にて自動検知される場合もある。この場合、制御部117は、アクション追加処理部115と連携して、信号の解析によって得られた故障の内容を受信の領域に自動設定し、また経緯情報を自動生成する。
以上のように、新たな故障の電話連絡を受けると、オペレータは、故障の修復に取りかかる。そのために、オペレータは、エンジニアに現地への派遣を要請したりする。この場合、オペレータは、エンジニアに電話をかけることになるが、電話をかけると、アクション追加処理部115は、着信の場合と同様に「発信」アクションのアクション情報を自動生成する。このようにして生成されたアクション情報は、経緯情報記憶部21に登録される。なお、電話処理部111は、オペレータとエンジニアとの対話も顧客との対話の場合と同様に処理する。
ところで、オペレータによる電話での対応(「着信」及び「発信」アクション)の場合、アクション情報は、上記の通り自動生成されるが、それ以外の対応は、オペレータ主導の手作業で行われる。例えば、エンジニアへの電話をかけ忘れないようにアラームを設定しておくような場合である。この場合、オペレータは、アクション追加ボタン54を選択する。
アクション追加ボタン54が選択されると、表示処理制御部114は、アクション追加処理部115からの指示に従い、アクションマスタ22から対応マスタ情報を読み出し、図6に例示したように対応マスタ情報エリア48に表示する。もちろん、対応マスタ情報エリア48を対応マスタ情報の表示領域とする必要はなく、例えば、対応マスタ情報の表示画面を別途生成して表示するようにしてもよい。
オペレータは、対応マスタ情報エリア48に表示されている対応の中から所望の対応を選択する。本実施の形態では、図4に示すように、着信後、対応中等の状況に応じて各対応を分類して表示するので、オペレータは、現在の状況に応じて行う対応を探し出しやすい。オペレータが所望の対応を選択すると、その選択された対応を実施する上で何らかのパラメータの設定が必要の場合、表示処理制御部114は、そのパラメータを設定するためのポップアップ画面を表示し、オペレータにパラメータを設定させる。例えば、受信に分類された通報者登録を選択すると、名前と電話番号を入力するポップアップ画面が表示される。
ポップアップ画面からパラメータが設定されると、アクション追加処理部115は、その対応に応じたアクション情報を生成して該当する経緯情報に追加登録する。これにより、表示処理制御部114は、追加登録されたアクション情報から得られる対応の内容を対応経緯表示領域51に追加表示する。このようにして、対応経緯表示領域51には、故障に対して行われた対応の内容が時系列順に表示されることによって対応の経緯が示されることになる。
1つの案件に対してオペレータが行うアクションというのは、ある程度決められている。そこで、実施の形態においては、設備に発生する故障に対して取り得る対応をマスタ化し、オペレータがアクションを追加したいときには(アクション追加ボタン54の選択時)、そのマスタ化した対応を提示するようにした。これにより、提示した対応の中から実施する若しくは実施した対応をオペレータに選択させるようにしたので、記録する対応の表現にばらつきが発生しない。
以上のようにして、故障対応画面の対応経緯表示領域51に故障への対応の経緯が表示されることになるが、この経緯の表示と共に対応予約表示領域52には対応予約情報が表示される。
すなわち、オペレータが新たな故障の電話連絡を受け、これに伴い「着信」のアクション情報が生成されると、アクション予約処理部116は、当該顧客に対応する対応予約情報をアクション予約マスタ23から読み出す。表示処理制御部114は、この読み出された対応予約情報を対応予約表示領域52に表示する。オペレータは、対応予約表示領域52に表示された内容を参照することで、行うべき対応、その対応の実施タイミングを知ることができる。例えば、新たな故障発生の電話を受けたときには管理会社にFAX送信するなどである。
図7に示すようにアクション情報及び対応予約情報の詳細の欄には、プルダウンボタン55が表示されている。オペレータがプルダウンボタン55を選択することで表示されるプルダウンメニューには、当該アクション情報及び対応予約情報に関連して実施可能な処理がリスト表示される。対応予約情報に対応するプルダウンメニューには、「実施した」、「実施不要」、「詳細表示」などの選択項目が含まれている。
オペレータは、「詳細表示」を選択すると対応予約情報の詳細を参照できる。また、予約されている対応を実際に実施した場合、対応するプルダウンボタン55を選択して表示させたプルダウンメニューの中から「実施した」という項目を選択する。アクション追加処理部115は、この選択操作に応じて、操作対象の対応予約情報に基づきアクション情報を生成して経緯情報記憶部21に登録する。これに伴い、表示処理制御部114は、対応予約表示領域52に表示されている対応の内容を対応経緯表示領域51に移動させる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、故障が発生した顧客の設備に対して行うべき対応を予約という形式にて表示し、オペレータに気づかせるようにしたので、行うべき対応の漏れを抑えることができる。また、本実施の形態では、設備が故障から復旧し故障への完了が完了すると、オペレータは、対応終了ボタン56を選択することによって当該案件をクローズするが、予約が残っていると対応終了ボタン56を選択しても完了できないようにブロックしてもよい。
なお、本実施の形態では、監視対象の設備としてビルに設置したエレベーター等の設備を例にして説明したが、他の設備の監視目的に利用してもよい。