JP2007056549A - 階段用床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外階段に施工して階段に雨水が流れても階段の蹴上げ部あるいはこれに配設された階段用床材の垂直部に、雨だれの筋を生じさせない階段用床材を提供する。
【解決手段】
階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部とにそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、床材の前垂れ部の表面に水平方向に連続する水切り突起を形成することによって、階段の蹴上げ部に雨水が伝って流れることがなく、雨だれの筋ができるのを防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、階段の蹴上げ部又は階段用床材の垂直部に雨だれの筋を生じさせない階段用床材または階段構造に関する。
従来から階段の段鼻部に防滑性階段用部材を設置し、階段の昇降の安全性が確保されるようになされている。このような部材は、一般的には、金属枠体に滑り防止用桟を嵌め込むものであり、長期間の使用により隙間ができ、ごみがたまりやすいという問題があった。
このような問題に対処するために、断面略L字状の補助固定板と滑り防止部材によって、隙間が発生するのを防止する階段構造が提案されている(特許文献1参照)。
特開2003−184253号公報
しかしながら、このような階段構造に使用される階段用床材であっても、階段の蹴上げ部に雨水が滴り落ちて雨だれの筋ができるという問題が残されていた。すなわち、雨水が降り込むような階段では、踏み面部の汚れを含んだ雨水が段鼻部を越えて階段の蹴上げ部に流下し、これが続くと流下し続けた箇所に、雨だれの筋ができていた。
この雨だれの筋は、階段の蹴上げ部のコンクリート表面に、あるいは階段の蹴上げ部が階段用床材水平部から延設された階段用床材の垂直部で覆われている場合には、当該階段用床材の垂直部表面にできるのであるが、一般にコンクリートの方が階段用床材に比べて表面が平滑ではないので汚れが付きやすく、早期に雨だれの筋が目立つようになる。
しかし、何れの場合にも、長期的な使用による雨水流下の結果、雨だれの筋ができるので、階段の蹴上げ部または階段用床材の垂直部の美観を損ねるという問題があった。
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、階段の蹴上げ部又はこれに配設された階段用床材の垂直部に、雨だれの筋を生じさせない階段用床材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の階段用床材は、階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部とにそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、床材の前垂れ部の表面に水平方向に連続する水切り突起を形成したことを特徴とするものである。
また、本発明の他の階段用床材は、階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部とにそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、該床材の前垂れ部の下端に水切り突起を有する水切り部材を固定してなることを特徴とするものである。
本発明に係る階段用床材においては、水切り突起が、床材の前垂れ部の表面から1.5〜15mm突出していることが望ましい。
そして、水切り突起を、床材の前垂れ部の上端部に有することが望ましい。
さらに、床材の水平部に凹凸が形成されていることも望ましい。
床材の前垂れ部の下端縁が前方鋭角に形成されていることも望ましい。
また、本発明の階段構造は、上記の各階段用床材を階段に固定させたことを特徴とするものである。
本発明の階段用床材は、階段に配設された床材の前垂れ部に水平方向に連続する水切り突起を形成してあるので、靴底などにより汚れた階段の踏み面部または踏み面部に配設された床材の水平部に雨水が降り注ぎ、この雨水が段鼻部に配設された床材の屈曲部を通って前垂れ部に流下しても、前記水切り突起によって雨水が階段の蹴上げ部又は階段用床材の垂直部へと伝い流れずに、水切り突起の先端から下方の踏み面に直接或いは階段用床材の水平部に直接落下するので、階段の蹴上げ部又は階段用床材の垂直部に雨だれの筋ができるのを防ぐことが出来る。
本発明の第2の階段用床材は、前垂れ部の下端に水切り突起を有する水切り部材を固定しているので、階段の蹴上げ部又は、階段用床材の垂直部に雨水による雨だれの筋ができるのを防ぎ、かつ当該床材の製造も容易である。
本発明の階段用床材において、床材の前垂れ部の表面から水切り突起の先端までの水平距離が1.5mm以上15mm未満であると、水切り突起によって雨水が下方の踏み面或いは階段用床材の水平部に直接落下して、階段の蹴上げ部又は階段用床材の垂直部の表面を伝って流れることがないようにすることができると共に、歩行者がつま先を水切り突起に引っかける心配が少ない。
そして、水切り突起が床材の前垂れ部の上端部に形成されていると、当該水切り突起による水切り作用が床材の前垂れ部の上端部で行われるので、床材の前垂れ部の全面で雨水による雨だれの筋がなくなる。
また、水平部に凹凸が形成されていると、凹凸が靴底と引っ掛かりあうので、階段が雨水で濡れていても防滑性を発揮することができる。
床材の前垂れ部の端縁が前方鋭角に形成されていると、前垂れ部に水切り突起を有する場合と同じように、当該端縁において水切りがなされて、階段の蹴上げ部又は階段用床材の垂直部に雨だれの筋ができるのを防ぐことができる。
本発明の階段用床材を階段に固定した階段構造であると、階段の蹴上げ部又は床材の垂直部に雨だれの筋ができない階段構造とすることができ、長期間に亘り美しさを保つことができて、掃除等の回数を少なくすることができる。
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
[実施例1]
図1は本発明の実施例1に係る階段用床材を階段に配設した状態を示す断面図である。
図1における階段用床材1は、階段Sの踏み面部S1と略直角に曲がった段鼻部S2と垂直である蹴上げ部S3に沿わせて固定される階段用床材であって、階段Sの踏み面部S1に沿わせる水平部3と、段鼻部S2に沿わせる略直角に曲がった屈曲部4と、蹴上げ部S3に沿わせる略垂直な前垂れ部5とからなる略L字状をなしている。
そして、床材1の水平部3は、階段Sの踏み面部S1の全体を覆う事なく、踏み面部の一部である段鼻部S2近くのみを覆い、また、床材1の前垂れ部5も蹴上げ部3の一部である上部を覆っている。
なお、階段Sの踏み面部S1、蹴上げ部S3のいずれか一方、あるいは両方の全面を覆うように階段用床材を形成して配設しても良い。
水平部3の上側の表面には上方に突出した防滑突起31が設けられていて、防滑性を有する床材となしている。この防滑突起31は、屈曲部4の近くの水平部3に設けられ、人が階段の昇降時に踏みやすくして、防滑性を高めることが好ましい。
防滑突起31は、幅方向に連続的に形成されていても良いが、断続的に形成されても良い。防滑突起31が幅方向に断続的に形成された階段用床材1は突起31のない部分が雨水の流路として機能するので、特に良好な排水性を有する点で好ましい。
床材1の前垂れ部5の表面側の上部には、前方に突出した水切り突起2が設けられている。この水切り突起2は、図1においては屈曲部4から連なる前垂れ部5の上端部に設けられている。
水切り突起2は、水切りの機能、即ち屈曲部4から流下してきた雨水が、水切り突起2の先端から落下して蹴上げ部S3に接しないようにする機能を有すれば、特に形状を限定されるものではないが、例えば図2の拡大図に示すように、前垂れ部5の表面から前方へ三角形状に突出し、その先端が鋭角になされ且つ下方を向くように、その三角形状水切り突起2の先端である突起先端23を下側の突起根本25よりも下方に位置するようにすることが好ましい。このような形状であると、雨水が突起2の上斜辺21を勢いよく前下方に流れ落ちるので、突起先端23から突起根本25へと伝い流れることがなくて、蹴上げ部S3に雨だれの筋が効果的に予防できる。
三角形状水切り突起2の上斜辺21と突起上部26の表面との角度αは5°〜70°が好ましく、70°より小さいと水が上斜辺の途中で止まることなく、スムーズに滑り落ち、5°より大きいと突起先端23と前垂れ部5の表面との距離を一定以上に保つことができて突起先端23から突起下部24に回り込むことがないからである。
そして、水切り突起2の下斜辺22と突起下部24の表面とのなす角度βは90°未満に、さらには、70°未満にすることが好ましい。この角度βが90°未満であると、水切り突起2から雨水が落下する水切り機能が発揮し易く、さらに70°未満であると多少の風が吹き込んでも突起先端23から突起根本25の方向へと下斜辺22を水滴が伝い流れることがなく、確実に水切りを行うことが出来る。
床材1の突起下部24の表面から突起先端23までの突出の距離Hが、1.5mm以上であると突起先端23から落下する水滴が水切り突起2より下に位置する突起下部24や蹴上げ部S3を濡らすことがなく、当該距離Hが15mm以下であると歩行者のつま先が水切り突起2の先端に引っ掛かってつまずく恐れもないので、1.5〜15mmが好ましく、更に好ましくは2〜8mmである。
水切り突起2は、突起より下に雨水を伝い流さず、雨だれの筋ができるのを防ぐから、雨水が流下しない部分を広くする点において前垂れ部5の上部に設ける事が好ましく、上端部即ち屈曲部4と前垂れ部5との連接部分に設けると、雨水が流下しない部分を最大にすることができる点で、より好ましい。
なお、本実施例においては、階段の蹴上げ部S3には、表面に化粧材が貼付されていないが、前垂れ部の裏面と蹴上げ部表面との間において蹴上げ部の上端から下端まで化粧材を貼付することもでき、その場合に水切り突起2は、蹴上げ面に貼付された化粧材の表面に雨だれ筋ができるのを防ぐ。
このような水切り突起2を有する階段用床材1は、材料において特に限定されるものではないが、合成樹脂製であることが好ましく、屋外で使用されるために高い耐候性を有する塩化ビニル製であることがより好ましい。
階段用床材1は、塩化ビニルなどの合成樹脂を異形押出成形などによって、略L字状に押し出したり、平板状に押出成形して折り曲げたりすることで、容易に成形することが出来る。
本発明にかかる階段用床材1は、従来の床材と同様の方法で施工をすることができる。すなわち、階段の踏み面部S1や蹴上げ部S3に接着剤(不図示)を塗布し、段鼻部には床材と階段の間にできる空隙を埋めるためにシーリング剤6を充てんし、その後に階段用床材1を配設して、接着剤或いはシーリング剤6が固化することにより貼り付ける。この際、前垂れ部と蹴上げ部上部の間には、接着剤やシーリング剤が硬化するまでの間、階段用床材の仮固定のために両面粘着テープ7を使用することが好ましい。また、シーリング剤6を使用することなく、接着剤のみで貼り合わせることもできる。
上記のような階段用床材1であると、雨水が段鼻部S2に配設された床材1の屈曲部4を通って前垂れ部5に流下しても、水切り突起2によって雨水が階段Sの蹴上げ部S3へと伝い流れずに、突起先端23から下方の踏み面S1に直接或いは階段用床材1の水平部3に直接落下するので、階段の蹴上げ部S3に雨だれの筋ができるのを防ぐことが出来る。
[実施例2]
図3は本発明の実施例2の階段用床材を示す断面図である。この床材11は、その水平部3を後方に延設し、階段の踏み面全面を覆うようにした点、前垂れ部5を下方に延設すると共に薄肉化した点以外は、実施例1の階段用床材1と同じであるので、説明を省略する。
この階段用床材11の前垂れ部5は、実施例1のそれよりも下方に延設されていて、階段の蹴上げ部S3の中位まで延びている。なお、前垂れ部5は階段の蹴上げ部S3の下端即ち踏み面S2に達するまで延設することもできる。そして、この前垂れ部5の厚みは、実施例1に比べ、薄くなされている。これは床材11の水平部3や屈曲部4に比べて前垂れ部5は必要とされる強度が低いこと、人が踏み付けることがないことなどから、十分な強度を有する範囲で厚みを薄くして使用材料の減量を目的とするものである。通常の使用では、水平部3及び屈曲部4の厚みは2〜5mmとされているが、前垂れ部5は0.5〜2mmでも十分に使用に耐えうる。
この実施形態の床材11は、雨水が屈曲部4を通って前垂れ部5に流下しても、水切り突起2によって雨水が階段の蹴上げ部S3あるいは蹴上げ部に化粧材が貼付された場合の化粧材の表面または床材11の突起下部24へと伝い流れず、雨だれの筋ができるのを防ぐことが出来ると共に踏み面全面が階段用床材の水平部3で被覆されているので、美観に優れ、歩行時にクッション性を与えるという効果も有している。
〔実施例3〕
図4は本発明の実施例3の階段用床材を示す断面図である。この床材12は、その水平部3を後方にさらに延設して、階段への配設固定時に上方に折り曲げて階段の蹴上げ部S3を覆う垂直部32が形成できるようにした点以外は、実施例2の階段用床材11と同じであるので、説明を省略する。
この階段用床材12は、図4に示すように、下側の階段用床材12の水平部3を折り曲げて垂直部32を形成して階段の下段側から階段Sに配設固定した後に、上段の階段用床材12を配設するのであるが、その際に、下段の床材12の垂直部32の表面に上段の床材12の前垂れ部5が重なるように配設して接着することで、階段Sに配設固定できるのである。
この階段用床材12では、水切り突起2によって、雨水が階段用床材12の突起下部24と床材12の垂直部32へと伝い流れず、雨だれの筋ができるのを防ぐことが出来る。
[実施例4]
図5は本発明の階段用床材の実施例4を示し、階段用床材本体131の前垂れ部5に水切り具8を接合することによって成形されたものである。
階段用床材本体131は、階段の踏み面部S1と段鼻部S2と蹴上げ部S3に沿わせて固定される略L字状の床材であって、踏み面部S1に配設される水平部3に滑り止め用の突起31が形成され、蹴上げ部S3に配設される前垂れ部5の下側は薄肉とされているが、水切り突起2は形成されていない。なお、水平部3は階段の踏み面部S1の一部又は全面を覆っても良いし、前垂れ部5は蹴上げ部S3の一部又は全部を覆ってもよい。
水切り具8は、図5に示されるように、水切り突起部81と床材本体131と接合するための平坦状の鍔部82とからなるものであり、鍔部82が前垂れ部5に接合されることにより、階段用床材131に水切り突起2が形成されて、本発明の階段用床材13となる。水切り具8の材質は、特に限定されるものではないが、接着剤を使用する場合には、床材本体と同系統の材料にすることが、良好な接着強度の点で好ましい。
なお、水切り突起部81の形状や突出の距離などは、実施例1の水切り突起2と同様であるので説明を省略する。
この実施形態の床材13であれば、雨水が床材13の屈曲部4を通って前垂れ部5に流下しても、水切り突起2によって雨水が階段の蹴上げ部S3あるいは蹴上げ部S3に化粧材が貼付された場合の該化粧材の表面又は床材13の前垂れ部5の突起下部24へと伝い流れず、雨だれの筋ができるのを防ぐことが出来ると共に、床材本体131に水切り具8を接合するだけであるので、床材本体131を水切り具8を接合することなく配設することもできるし、水切り具8を接合した床材13としても使用できるし、或いは床材本体131を階段Sに配設固定した後に水切り具8を接合することもできるので、用途或いは要望に応じたものとすることができる、という利点を有する。
[実施例5]
図6は本発明の階段用床材の実施例5を示し、図7にこの階段用床材14が施工された階段構造を、図8に本実施例に用いる水切り部材9を示す。この実施例5の階段用床材14は、実施例4で用いた階段用床材本体131の前垂れ部5の下端に水切り部材9を取り付けて形成されたものである。階段用床材本体131は、実施例4で用いられたものと同じであるので説明を省略する。
この階段用床材14に取り付けられる水切り部材9は、水切り突起2が形成された部材であって、図6及び図8に示すように、水切り部材9の下部に水切り突起2が形成されていると共に上部にU字状の溝部95を形成してある。上記水切り突起2は、三角形状をなし、その頂点である先端93が前方に突出すると共に下方に垂れ下がって鋭角となされている。また、溝部95は水切り部材9の上部壁部94の中央に連続する溝として設けられているものである。このような水切り部材9は、水切り突起2が階段の前方に突き出るように、溝部95を前垂れ部5の下端を差し込んで接合するものである。このような水切り部材9は、合成樹脂を異形押出成形することにより容易に得ることができる。
上記溝部95の幅は前垂れ部5の厚さと同じ0.5〜2.0mmとし、溝部95の両側の側壁の厚さは強度保持と薄肉化との兼ね合いから0.5〜2mmとすることが好ましい。
水切り突起2の上面である水切り斜辺91の角度α2(上部壁部表面と水切り斜辺のなす角度)、水切り突起2の下面である水切り下面92の角度β2(上部壁部裏面と水切り下面のなす角度)、及び水切り部材9の先端93の突出の距離H2(上部壁部裏面と先端93との距離)は、それぞれ先述した実施例1の水切り突起2の上斜辺21の角度α、下斜辺22の角度β、及び先端23の突出距離Hと同様の寸法と角度を有するものであるので、説明を省略する。
水切り部材9は、階段用床材14の前垂れ部5の下端に取り付けられるため、通常は段鼻部S2の下方の10〜60mmのところに水切り部材9が取り付けられる。
上記階段用床材14は、水切り部材9の水切り突起2が歩行者のつま先にほとんど引っかかることがなく、水切り突起2より下側にある階段の蹴上げ部S3あるいは蹴上げS3に化粧材が貼付される場合には該化粧材の表面に雨だれの筋ができるのを防ぐ効果を有する。
また、本実施例5に係る階段用床材14は、上記水切り部材9を階段用床材本体131の前垂れ部5の下端に差し込んで接合することによって得ることができるので、床材本体131を水切り部材9を差し込むことなく階段に配設することもできるし、水切り部材9を差し込んだ床材14としても使用できるし、或いは床材本体131を階段Sに配設固定した後に水切り部材9を差し込むこともできるので、用途或いは要望に応じたものとすることができる、という利点を有する。
また、すでに階段に施工されている階段用床材であっても前垂れ部は粘着剤で固定している場合には、前垂れ部を一時的に捲り上げ、水切り部材9を前垂れ部の下端に取り付けることにより、実施例4に係る階段用床材13を使用した階段構造を形成することができる。よって、階段に新規に水切り突起を有する階段用床材を設置する場合のみならず、既設の階段用床材からも形成することができる点で特徴を有する。
[実施例6]
図9は本発明の階段用床材の実施例6を示す。この実施例6の階段用床材15は、前垂れ部の下端縁28が前方鋭角に形成されたものである。下端縁28が前方鋭角とは、図9において下端縁28と前垂れ部5の表面とのなす角度が鋭角となっていることをいうが、この角度は、通常下端縁28と前垂れ部裏面とのなす角度β3と同じであるため、β3によって表す。角度β3は、80°未満に、さらには70°未満にすることが好ましい。この角度β3が80°未満であると下端縁の先端27から雨水が落下する水切り機能が発揮しやすく、さらに70°未満であると多少の風が吹き込んでも下端縁の先端27から前垂れ部裏面の方向へと下端縁28を水滴が伝い流れることがなく、確実に水切りを行うことが出来る。
そして、端縁の先端27から床材裏面までの水平距離H3は、前垂れ部の厚みと同じであって、1mm以上であると下端縁の先端27から落下する水滴が階段の蹴上げ部又は床材の垂直部を濡らすこともなく、10mm以下であると歩行者のつま先が下端縁の先端27に引っ掛かってつまずく恐れもないので、1〜10mmが好ましく、さらに好ましくは、2〜6mmである。
前垂れ部の長さは、5〜80mmの範囲で選択されうるが、水切りを蹴上げ部の上部で行うことが好ましいことから、50mm未満にすることがより好ましい。
水平部3は、階段の踏み面部S1の一部又は全面を覆っても良い。また、水平部3からさらに延設して垂直部32を形成しても良い。
実施例1ないし実施例5の階段用床材1,11,12,13,14は、ネジ、接着剤などの周知の方法によって階段に固定されうるが、中でも接着剤により階段に貼着されると階段用床材の全体が強固に固定されるので好ましい。
以上、本発明の階段用床材について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明の実施例1に係る階段用床材を階段に施工した状態を示す断面図である。 本発明の実施例1の階段用床材の水切り突起部分の拡大図である。 本発明の実施例2に係る階段用床材を階段に施工した状態を示す断面図である。 本発明の実施例3に係る階段用床材を階段に施工した状態を示す断面図である。 本発明の実施例4に係る階段用床材の側面図である。 本発明の実施例5に係る階段用床材の側面図である。 本発明の実施例5に係る階段用床材を施工した状態を示す断面図である。 本発明の実施例5の階段用床材にかかる水切り部材の側面図である。 本発明の実施例6の階段用床材にかかる水切り部材の側面図である。
符号の説明
1,11,12,13,14 階段用床材
2 水切り突起
3 水平部
31 防滑突起
32 垂直部
4 屈曲部
5 前垂れ部
8 水切り具
9 水切り部材
S 階段
S1 踏み面部
S2 段鼻部
S3 蹴上げ部

Claims (7)

  1. 階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部の一部若しくは全部にそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、該床材の前垂れ部の表面に水平方向に連続する水切り突起を形成したことを特徴とする階段用床材。
  2. 階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部とにそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、該床材の前垂れ部の下端に水切り突起を有する水切り部材を固定してなることを特徴とする階段用床材。
  3. 水切り突起が、床材の前垂れ部の表面から1.5〜15mm突出していることを特徴とする請求項1ないし2に記載の階段用床材。
  4. 水切り突起を、床材の前垂れ部の上端部に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の階段用床材。
  5. 水平部に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の階段用床材。
  6. 階段の踏み面部と段鼻部と蹴上げ部の一部若しくは全部にそれぞれに配設される水平部と屈曲部と前垂れ部とを有する略L字形状の床材であって、該床材の前垂れ部の下端縁が前方鋭角に形成されていることを特徴とする階段用床材。
  7. 請求項1ないし6に記載のいずれかの階段用床材を、階段に固定させたことを特徴とする階段構造。

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