JP2004197316A - 階段排水構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】踏み面部21の表面に滑り止めの突起1を設けた合成樹脂製の床材2を、階段下地3の踏み面31から蹴込み33にかけ貼り付けた階段構造において、階段下地3の入り隅34に、前記床材2の端部に当接して階段を横断する横溝材4を設けるとともに、階段下地3の側部に、前記床材2の側部に当接し、横溝材4と連通して階段を縦断する縦溝材5を設け、さらに、階段下地3の蹴込み33の側部に、前記横溝材4及び縦溝材5と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材6を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に屋外に設置する階段の排水構造に関し、特に、防食性を備えて排水能力が高く、防滑性に優れた階段排水構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、屋外に設置する階段の排水構造として、例えば屋外階段の排水構造があり、この階段排水構造は、屋外階段の防護柵が、複数の防護柵材によって構成され、該防護柵材のうち少なくとも1本には、屋根部から地上まで配設されて、排水路が形成されるとともに、該排水路には、前記屋根部上の水が流入する流入口部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の階段排水構造として、左右一対のササラ桁の間に、上下方向に貫通した複数の水抜き孔が略一面に開設された平面部を有する支持部材を取り付け、この支持部材の平面部上には、骨材間に空隙部を形成した状態で結合される透水性コンクリートを板状に成型した透水板を一体的に取り付け、この透水板の上面から内部にしみ込んだ雨水を、支持部材の水抜き孔を通して下方に排水処理するようにした階段排水構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、耐水性に優れる等の理由により、階段に貼り付ける合成樹脂製の床材も、マンション等の屋外階段で広く使用されている。
この床材は、踏み面部と蹴上げ部とのコーナ部が裏面側に略90°折れ曲がり、そのコーナ部表面に肉盛り部が形成され、踏み面部表面に突起が形成され、蹴上げ部表面に一定の間隔で縦リブが形成されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2831526号公報
【特許文献2】
特開2000−120243号公報
【特許文献3】
特許第3189203号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許第2831526号公報に記載の階段排水構造は、雨水を防護柵材の幅を通して排水する構造についての発明であり、金属製の柵材の中に水を通すことから腐食の問題が残るという問題を有している。
【0007】
また、特開2000−120243号公報に記載の階段排水構造は、同様に、金属製支持部材の上下方向の貫通孔を通して雨水を直下に排水することから、やはり腐食の問題が残り、かつ階段下の空間を有効に利用できないという問題を有している。
【0008】
一方、特許第3189203号公報に記載の床材は、主に屋外階段に貼り付けて使用する床材についての発明であり、床材に設けた突起で雨水を下段方向に排水させる仕組みを有してはいるが、上段に比べ下段での水量が著しく多くなり、排水能力の観点で問題を残している。
【0009】
本発明は、上記従来の階段排水構造が有する問題点に鑑み、防食性を備えて排水能力が高く、防滑性に優れた階段排水構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明の階段排水構造は、踏み面部の表面に滑り止めの突起を設けた床材を、階段下地の踏み面から蹴込みにかけ貼り付けた階段構造において、階段下地の入り隅に、前記床材の端部に当接して階段を横断する横溝材を設けたことを特徴とする。
【0011】
この階段排水構造は、階段下地の入り隅に、前記床材の端部に当接して階段を横断する横溝材を設けることから、床材の踏み面部の突起間に溜まる水を横溝材から排水することができ、これにより、突起の水没を防止し、階段の昇降時の防滑性を向上させることができる。
【0012】
この場合において、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接し、横溝材と連通して階段を縦断する縦溝材を設けることができる。
【0013】
これにより、横溝材に排水された水を縦溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0014】
また、階段下地の蹴込みの側部に、前記横溝材又は縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けることができる。
【0015】
これにより、縦溝材に排水された水を段溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0016】
一方、本第2発明の階段排水構造は、踏み面部の表面に滑り止めの突起を設けた床材を、階段下地の踏み面から蹴込みにかけ貼り付けた階段構造において、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接して階段を縦断する縦溝材を設けたことを特徴とする。
【0017】
この階段排水構造は、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接して階段を縦断する縦溝材を設けることから、床材の踏み面部の突起間に溜まる水を縦溝材から排水することができ、これにより、突起の水没を防止し、階段の昇降時の防滑性を向上させることができる。
【0018】
この場合において、階段下地の蹴込みの側部に、前記縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けることができる。
【0019】
これにより、縦溝材に排水された水を段溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0020】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、階段下地の蹴込み又は側壁に沿って立ち上がる側壁部を形成することができる。
【0021】
これにより、各溝材から階段下地への水漏れがより減少し、階段下地の各部で腐食をより防止することができる。
【0022】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂により形成することができる。
【0023】
これにより、階段下地の略全表面が合成樹脂により覆われることから、階段下地の水による腐食を大幅に減少させることができる。
【0024】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂を主成分とする塗膜により形成することができる。
【0025】
これにより、階段下地の略全表面が合成樹脂により覆われることから、階段下地の水による腐食を大幅に減少させることができる。
【0026】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、床材2と一体に形成することができる。
【0027】
これにより、階段下地の腐食を防止するとともに、床材を階段下地に貼り付ける際に、各溝材を階段下地に同時にしかも隙間なく貼り付けることができ、作業効率を著しく向上させることができる。
【0028】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つの表面に、親水性を付与することができる。
【0029】
これにより、各溝材に流れ込んだ水をより速やかに排水することができる。
【0030】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つと床材との間隙に、耐水性に優れた接着剤を床材の厚み以下となるように充填することができる。
【0031】
これにより、各溝材と床材及び階段下地がもれなく接着され、階段下地の腐食をさらに防止し、かつ床材表面の水の滞留を防止することができる。
【0032】
また、突起間の隙間部を、縦横方向に少なくとも水平面で連続するように設けることができる。
【0033】
これにより、床材の表面の水を縦横方向いずれかに設けられている各溝材に速やかに流入させることができる。
【0034】
また、段鼻部の突起の高さを、すべての突起の高さの平均以上に設けることができる。
【0035】
これにより、段鼻部の突起が水没する可能性を減じ、防滑機能をより高めて、昇降時の安全性を大きく向上させることができる。
【0036】
また、床材の踏み面部を、その端部又は側部に行くに従い漸次低くなるように形成することができる。
【0037】
これにより、床材の表面に溜まる水は、縦横方向いずれかの端部に設けられている各溝材により速やかに流れ込むことになる。
【0038】
また、突起間の隙間部、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、直線状に蓄光性を付与することができる。
【0039】
これにより、夜間の昇降時において階段の格段の視認がより可能になり、踏み外し等のトラブルが減少し、階段の安全性が向上する。また、隙間部が摩減されることは極めて稀であることから蓄光性は長期に亘って維持されることになる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の階段排水構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0041】
図1〜図2に、本発明の階段排水構造の一実施例を示す。
この階段排水構造は、踏み面部21の表面に滑り止めの突起1を設けた合成樹脂製の床材2を、階段下地3の踏み面31から蹴込み33にかけ貼り付けるもので、階段下地3の入り隅34に、前記床材2の端部に当接して階段を横断する横溝材4を設けるとともに、階段下地3の側部に、前記床材2の側部に当接し、横溝材4と連通して階段を縦断する縦溝材5を設け、さらに、階段下地3の蹴込み33の側部に、前記横溝材4及び縦溝材5と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材6を設けている。
【0042】
横溝材4は、階段下地3の入り隅34に沿い、側壁部40を床材2の端部に当接させて、踏み面31を横断するように形成されている。
また、この横溝材4は、その厚みM1を床材2の端部の厚みL未満で設けられている。
【0043】
縦溝材5は、前記横溝材4の一端と連通するように、階段下地3の蹴込み33から段鼻32にかけて、階段を縦断するように形成されている。
また、この縦溝材5は、側壁部50を床材2の側端部と階段下地3の側壁30に当接させて形成されており、階段の全段に亘り設けられている。
この場合、縦溝材5は、その厚みM2が横溝材4の厚みM1未満で設けられている。
【0044】
段溝材6は、階段下地3の側壁30と床材2との間で、階段下地3の蹴込み33に、横溝材4と縦溝材5とにそれぞれ連通するように形成されている。
また、この段溝材6は、前記縦溝材5の厚みM2と同等な厚みM3で設けられている。
【0045】
そして、本実施例では、段鼻部22の突起1の高さHは、図2(b)に示すように、すべての突起1の高さHの平均以上となっている。
このような床材2では、段鼻部22の突起1が水没する可能性を特に減少させ、防滑機能がより高まることで、昇降時の安全性を大きく向上させることができる。
【0046】
図3(a)〜(c)に、本実施例の横溝材4、縦溝材5、段溝材6の断面形状を示す。
各溝材4、5、6はそれぞれの長さを通してその両端に側壁部40を設けており、図3(a)〜(c)に示すように、床材2の厚みL、横溝材4の厚みM1、縦溝材5の厚みM2、段溝材6の厚みM3は、床材2と各横溝材4、縦溝材5、段溝材6が互いに当接するそれぞれ各溝材の端部の厚みを示すものであり、この場合、床材2の端部に当接する各溝材4、5、6の側壁部40、50、60がそれぞれの厚みM1、M2、M3となる。
【0047】
また、図1は、横溝材4、縦溝材5及び段溝材6をすべて備える階段排水構造を示しているが、本発明の階段排水構造では、横溝材4だけを設けたり、縦溝材5だけを設けたりしてもよく、また、横溝材4と縦溝材5の両方を設けたり、横溝材4と縦溝材5と段溝材6のすべてを設けることも可能である。
この場合、床材2、横溝材4、縦溝材5及び段溝材6の厚みの関係は、それぞれL>M1、L>M2、L>M1>M2、L≧M3となるが、横溝材4と縦溝材5と段溝材6とを設ける場合は、L>M1>M2≧M3が好ましい関係になる。
【0048】
また、図4(a)の部分拡大断面図は、横溝材4の他の実施例を示すもので、階段下地3の入り隅34側において、横溝材4の側壁部40を、上段の床材2の蹴込み部23に当接するまでその長さを通して高く設けている。
なお、図示しないが、縦溝材5や段溝材6にもその長さを通して階段下地3の側壁30側に同様な側壁部50、60を設けることができる。
【0049】
また、図4(b)は、断面が矩形状の横溝材4、縦溝材5又は段溝材6を断面形状を示し、図4(c)は、断面が幅方向中央部に向かい曲面状に窪んでいる横溝材4、縦溝材5又は段溝材6の断面形状を示している。
このように、横溝材4、縦溝材5又は段溝材6の断面形状は、階段下地と床材の一部を利用して排水路を形成できる形状であればよく、種々の断面形状も採用することができる。
【0050】
一般的な床材2を形成する合成樹脂には、その成形性の良さから熱可塑性樹脂が好適に使用されており、特に汎用性の高い、ビニル系の塩化ビニルや酢酸ビニル等、オレフィン系のポリエチレン、ポリプロピレン等が多く、また、これら合成樹脂の混合体、これらの合成樹脂とエチレン−酢酸ビニル等の共重合体類やエラストマ−類や変性ポリオレフィン類等のとの混合物等も使用することができる。
【0051】
また、横溝材4や縦溝材5、段溝材6を形成する材料として、金属やゴムや合成樹脂等が使用できるが、腐食性や耐水性等の観点から、上記と同様な合成樹脂類が好適に使用できることになる。
【0052】
このように、本実施例の階段排水構造は、床材2の貼り付けられていない階段下地3の余部を自由に選択して横溝材4、縦溝材5、段溝材6を設けることができ、階段排水構造の表面に溜まる水をその突起1間の間隙部9から流出させ、次いで、横溝材4、縦溝材5、段溝材6等を順次流し、最終的に予め地上に設けられている側溝10に排出することができる。
また、階段下地3の余部からの腐食を防止し、ひいては、階段下地3の腐食をより長期に亘って防止することができ、さらに、合成樹脂は自由に着色できることから、床材2の意匠性と相俟って階段構造の意匠性を著しく高めることが可能になる。
【0053】
また、本発明の階段排水構造では、横溝材4、縦溝材5及び段溝材6が、合成樹脂を主成分とする塗膜であってもよく、この場合、合成樹脂類は上記樹脂類の他に、アクリル樹脂系、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂系、シリコーン系樹脂等が好適に使用できることになる。
この場合、合成樹脂を主成分とする塗膜も同様に耐水性や耐食性で優れることから、前記合成樹脂製の溝材と同様な効果が得られることになる。
【0054】
一方、図5(a)に示すように、本発明の階段排水構造は、横溝材4や縦溝材5、段溝材6と、床材2及び階段下地3とが隣接する各間隙7に、耐水性に優れた接着剤8(充填厚み:N)を床材2の厚みL以下となるよう充填し、該接着剤8を介して溝材4や縦溝材5、段溝材6と、床材2及び階段下地3とを当接させることができる。
【0055】
上記のような接着剤8には、アクリル樹脂系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、シリコーン系のものが適宜その粘度を調整して好適に使用することができ、なかでも1成分型ポリウレタン系の接着剤8は、空気中の水分で硬化することから最適に使用できることになる。
また、このような形態においても、接着剤8が耐水性に優れていることで、階段下地3の腐食を防止することができる。
【0056】
また、図5(b)は、横溝材4を、床材2の端部に一体に形成した実施例を示すものである。
また、図示省略するが、階段排水構造は、種々の断面形状の横溝材4や縦溝材5、段溝材6を、個々に床材2に一体して設けることができ、そのような場合は、別途横溝材4や縦溝材5、段溝材6を設置する必要がなくなり、その作業は格段に楽なものになる。
このような形態は、床材2と各溝材4、5、6との接着や融着でも可能であるが、床材2の製造時に床材2と一体に設ければ、より強く一体化されることになる。
【0057】
また、本発明の階段排水構造では、床材2表面の突起1間の隙間部9を、縦横方向で互いに、少なくとも水平面で連続するよう設けることができ、このような形態は、床材2の表面に溜まる水を床材2のいずれかの端部に流出させ、各溝材に床材2の表面の水をより速く排出させることになる。
【0058】
さらに、床材2表面の突起1を縦横方向にそれぞれ行列をなすように設けることにより、床材2の表面に溜まる水をいずれかの床材2の端部、すなわち各溝材により速く排出させることになる。
【0059】
また、図5(c)(d)は、床材2の踏み面部21のそれぞれ横方向と縦方向の厚みの状態を示す断面図であり、床材2の各部において、少なくともその1つの端部に向かい、床材2の厚みLが薄くなるように、又は突起1の高さHが低くなるように床材2を形成している。
このように形成された階段排水構造は、床材2の表面に溜まる水を床材2の縦横方向いずれかの端部に設けられている各溝材に、より速やかに流出させることができる。
【0060】
一般的に、屋外階段においては、階段下地3にコンクリートや鋼材が使用されている場合が多く、コンクリートや鋼材の雨水による腐食や滑りが心配されるが、屋外階段に本発明の階段排水構造を適用することにより、雨水による階段下地3の滑り、汚れ及び腐食を長期に亘って防止することができる。
また、図5(c)又は(d)に示すように、床材2を傾斜するように形成すれば、踏み面部21と段鼻部22の表面の突起1が大雨時においても水没することはなく、階段の防滑性は著しく高まり、昇降時の安全性は大幅に解消されることになる。
【0061】
また、図示省略するが、本実施例の階段排水構造において、その横溝材4や縦溝材5、段溝材6に親水性を付与することにより、流速を高めて排水機能をより高めることになる。
【0062】
このような親水性を付与する手段として、界面活性剤(親水性物質)を、横溝4や縦溝5が合成樹脂製の場合は直接練り込むことができ、他に界面活性剤を塗料に分散しこれを溝面に塗布する等、また、横溝4や縦溝5を親水性樹脂で形成することもでき、親水性樹脂で薄いシートを形成しこれを溝面に貼着する等があり、適宜最良の手段を選択すればよいことになる。
【0063】
界面活性剤としては、具体的に多価アルコールと高級脂肪酸類とから誘導された多価アルコール部分エステルが好適に使用でき、また、親水性樹脂としては、エチレンビニルアルコールやポリビニルアルコール等の水酸基を有する合成樹脂が好適に使用できることになる。
【0064】
同様に図示省略するが、本実施例の階段排水構造において、突起1間の隙間部9の少なくとも一部に蓄光性を付与することにより、夜間の昇降時において階段の格段の視認がより可能になり、踏み外し等のトラブルが減少し、階段の安全性が向上する。
また、隙間部9が摩減することは極めて稀であることから、蓄光性は長期に亘って維持されることになる。
【0065】
このような蓄光性を付与する手段としては、蓄光剤8(例えば、根本特殊化学株式会社製、商品名「N−夜光」や商品名「ピカリコ」等)を、床材2表面層突起1間の隙間6の少なくとも一部に直接練り込んだり、床材2突起1間の隙間6の少なくとも一部にこれを塗料化して塗布する等あるが、これらの蓄光剤8を合成樹脂製の薄いテープに分散させ、これを床材2突起1間の隙間6の少なくとも一部に貼着することが、最も合理的な手段となる。
【0066】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明の階段排水構造は、この実施例の記載に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0067】
【発明の効果】
本第1発明の階段排水構造によれば、階段下地の入り隅に、前記床材の端部に当接して階段を横断する横溝材を設けることから、床材の踏み面部の突起間に溜まる水を横溝材から排水することができ、これにより、突起の水没を防止し、階段の昇降時の防滑性を向上させることができる。
【0068】
この場合、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接し、横溝材と連通して階段を縦断する縦溝材を設けることにより、横溝材に排水された水を縦溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0069】
また、階段下地の蹴込みの側部に、前記横溝材又は縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けることにより、縦溝材に排水された水を段溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0070】
一方、本第2発明の階段排水構造によれば、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接して階段を縦断する縦溝材を設けることから、床材の踏み面部の突起間に溜まる水を縦溝材から排水することができ、これにより、突起の水没を防止し、階段の昇降時の防滑性を向上させることができる。
【0071】
この場合、階段下地の蹴込みの側部に、前記縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けることにより、縦溝材に排水された水を段溝材を通じて地上部まで排出し、上の階段から下の階段への水の流出を効果的に防止することができる。
【0072】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、階段下地の蹴込み又は側壁に沿って立ち上がる側壁部を形成することにより、各溝材から階段下地への水漏れがより減少し、階段下地の各部で腐食をより防止することができる。
【0073】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂で形成することにより、階段下地の略全表面が合成樹脂により覆われることから、階段下地の水による腐食を大幅に減少させることができる。
【0074】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂を主成分とする塗膜で形成することにより、階段下地の略全表面が合成樹脂により覆われることから、階段下地の水による腐食を大幅に減少させることができる。
【0075】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、床材2と一体に形成することにより、階段下地の腐食を防止するとともに、床材を階段下地に貼り付ける際に、各溝材を階段下地に同時にしかも隙間なく貼り付けることができ、作業効率を著しく向上させることができる。
【0076】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つの表面に、親水性を付与することにより、各溝材に流れ込んだ水をより速やかに排水することができる。
【0077】
また、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つと床材との間隙に、耐水性に優れた接着剤を床材の厚み以下となるように充填することにより、各溝材と床材及び階段下地がもれなく接着され、階段下地の腐食をさらに防止し、かつ床材表面の水の滞留を防止することができる。
【0078】
また、突起間の隙間部を、縦横方向に少なくとも水平面で連続するように設けることにより、床材の表面の水を縦横方向いずれかに設けられている各溝材に速やかに流入させることができる。
【0079】
また、段鼻部の突起の高さを、すべての突起の高さの平均以上に設けることにより、段鼻部の突起が水没する可能性を減じ、防滑機能をより高めて、昇降時の安全性を大きく向上させることができる。
【0080】
また、床材の踏み面部を、その端部又は側部に行くに従い漸次低くなるように形成することにより、床材の表面に溜まる水は、縦横方向いずれかの端部に設けられている各溝材により速やかに流れ込むことになる。
【0081】
また、突起間の隙間部、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、直線状に蓄光性を付与することにより、夜間の昇降時において階段の格段の視認がより可能になり、踏み外し等のトラブルが減少し、階段の安全性が向上する。また、隙間部が摩減されることは極めて稀であることから蓄光性は長期に亘って維持されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の階段排水構造の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同実施例の階段排水構造を示し、(a)は床材の部分拡大斜視図、(b)は階段排水構造の断面図、(c)は同正面図である。
【図3】同実施例の階段排水構造を示し、(a)は横溝材の拡大断面図、(b)は縦溝材の拡大断面図、(c)は段溝材の拡大断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、横溝材、縦溝材又は段溝材の例を示す拡大断面図である。
【図5】(a)〜(b)は、横溝材、縦溝材又は段溝材の例を示し、(c)〜(d)は床材に傾斜を設けた例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 突起
2 床材
21 踏み面部
22 段鼻部
23 蹴込み部
3 階段下地
30 側壁
31 踏み面
32 段鼻
33 蹴込み
34 入り隅
4 横溝材
40 横溝材の側壁部
5 縦溝材
50 縦溝材の側壁部
6 段溝材
60 段溝材の側壁部
7 間隙
8 接着剤
9 突起間の隙間部
10 側溝
H 突起の高さ
L 床材の厚み
M1 横溝材の厚み
M2 縦溝材の厚み
M3 段溝材の厚み
N 接着剤の充填厚み
Claims (15)
- 踏み面部の表面に滑り止めの突起を設けた床材を、階段下地の踏み面から蹴込みにかけ貼り付けた階段構造において、階段下地の入り隅に、前記床材の端部に当接して階段を横断する横溝材を設けたことを特徴とする階段排水構造。
- 階段下地の側部に、前記床材の側部に当接し、横溝材と連通して階段を縦断する縦溝材を設けたことを特徴とする請求項1記載の階段排水構造。
- 階段下地の蹴込みの側部に、前記横溝材又は縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の階段排水構造。
- 踏み面部の表面に滑り止めの突起を設けた床材を、階段下地の踏み面から蹴込みにかけ貼り付けた階段構造において、階段下地の側部に、前記床材の側部に当接して階段を縦断する縦溝材を設けたことを特徴とする階段排水構造。
- 階段下地の蹴込みの側部に、前記縦溝材と連通して階段を高さ方向に縦断する段溝材を設けたことを特徴とする請求項4記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、階段下地の蹴込み又は側壁に沿って立ち上がる側壁部を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂により形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、合成樹脂を主成分とする塗膜により形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つを、床材2と一体に形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つの表面に、親水性を付与したことを特徴とする請求項1、2、4、5、6、7、8又は9記載の階段排水構造。
- 横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つと床材との間隙に、耐水性に優れた接着剤を床材の厚み以下となるように充填したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の階段排水構造。
- 突起間の隙間部を、縦横方向に少なくとも水平面で連続するように設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の階段排水構造。
- 段鼻部の突起の高さを、すべての突起の高さの平均以上に設けたことを特徴とする請求項1、2、4、5、6、7、8、9、10、11又は12記載の階段排水構造。
- 床材の踏み面部を、その端部又は側部に行くに従い漸次低くなるように形成したことを特徴とする請求項1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の階段排水構造。
- 突起間の隙間部、横溝材、縦溝材、段溝材の少なくとも1つに、直線状に蓄光性を付与したことを特徴とする請求項1、2、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の階段排水構造。
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