JP2007056284A - 鋼製成形品及び亜鉛系めっき鋼材 - Google Patents

鋼製成形品及び亜鉛系めっき鋼材 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた耐食性と成形性を有する、亜鉛系めっき鋼材からなる、鋼製成形品を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、亜鉛系めっき層を有する鋼材であって、基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在することを特徴とする。本発明において、前記亜鉛拡散相中の亜鉛量が片面当り1g/m以上60g/m以下であることが望ましい。本発明において、前記亜鉛拡散相の厚みが1μm以上30μm以下であることが望ましい。本発明において、前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、前記めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で1〜100%であることが望ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼製成形品及び亜鉛系めっき鋼材に関し、詳しくは、良好な耐食性と加工性を有する亜鉛系めっき鋼材からなる成形品に関するものである。
近年、自動車の高級化を反映し、耐食性及び外観を向上させることを目的として、自動車部材のめっき化が進んでいる。現在では、車内に装着される特定の部材を除いて、亜鉛系めっき鋼板が用いられている。同時に、環境保護と地球温暖化を防止する観点から自動車の燃費向上、車体の軽量化が強く求められ、高い機械強度を持つ材料の使用比率が上がっている。しかし、高い強度を有する材料は、加工時の形状凍結性に問題があり、また、複雑な形状になると、成形そのものが困難となる。これらの問題を解決するために、鋼材を800℃以上の高温に加熱し、プレス加工を行うと同時に急速冷却する方法が有望である(例えば、特許文献1参照)。この手法によれば、良好な形状凍結性と高強度を実現することが可能となる。
また、加熱時の鋼材表面に生成する酸化物(スケール)を抑制するために、Al系の金属被覆をした鋼板を用いる方法も示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この方法では、目的とする材料強度は得られるものの、加熱によるFeとAlの合金化の進展による表面の荒れ、Al酸化物の生成による塗装耐食性の低下等が問題となる。また、コスト面からも、AlめっきはZnめっきと比べて不利である。
Znめっきの利用は、各方面で鋭意検討が進められている。ZnはAlと比べて沸点が低く、加熱時に蒸発する恐れがある。そのため、蒸発防止のZn酸化層を設ける方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、特許文献3に記載の技術では、Zn酸化層は融点が高く、蒸発防止機能は持つものの、酸素バリアとしては機能せず、Znの酸化が進み、耐食性の低下が著しいと言う欠点がある。耐食性を維持するために、めっき層の合金化・固溶を利用する方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、特許文献4に記載の技術では、成形性と耐食性を両立できる範囲が狭く、また、ばらつきも大きく、実用化には不十分であることがわかった。
特開2000−234153号公報 特開2000−038640号公報 特開2003−073774号公報 特開2003−126921号公報
そこで、本発明は、めっき層ではなく、鋼材中へ亜鉛拡散相を生成し得る亜鉛系めっき鋼材、及び、鋼材中へ生成する亜鉛拡散相を制御することにより、優れた耐食性と成形性を有する、亜鉛系めっき鋼材からなる、鋼製成形品を提供するものである。
本発明者等は、加熱処理された亜鉛系めっき鋼板のめっき組成、鋼板成分、めっき目付量が耐食性、加工性に与える影響を調査した結果、Znの分布が特許文献4に開示されているものとは異なり、これまで存在が明確に認識されていなかった亜鉛拡散相を良好に制御することで、耐食性と加工性を安定的に両立することができることを見出した。即ち、耐食性の向上にはめっき相に存在するZnの存在が重要であり、加工性にはめっき相ではない鋼材側に亜鉛拡散相が存在することが有効であることを見出した。
本発明の特徴とするところは、以下の通りである。
(1) 本発明は、亜鉛系めっき層を有する鋼材であって、基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在することを特徴とする亜鉛系めっき鋼材に関する。
(2) 本発明は、前記亜鉛拡散相中の亜鉛量が片面当り1g/m以上60g/m以下である(1)記載の亜鉛系めっき鋼材に関する。
(3) 本発明は、前記亜鉛拡散相の厚みが1μm以上30μm以下である(1)又は(2)に記載の亜鉛系めっき鋼材に関する。
(4) 本発明は、前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、前記めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で1〜100%である(1)〜(3)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材に関する。
(5) 本発明は、前記鋼材の成分として、質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Mn:0.3〜3.5%、又は、Cr:0.1〜2.5%の少なくとも一つを含む(1)〜(4)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材に関する。
(6) 本発明は、亜鉛系めっき層を有する鋼材を、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上600秒未満加熱した後に、さらにAc点以上Ac点以下の温度で1秒以上60秒未満保持し、その後、直ちに冷却することにより、前記鋼材と前記めっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相を存在せしめることを特徴とする亜鉛系めっき鋼材の製造方法に関する。
(7) 本発明は、亜鉛系めっき層を有する鋼製成形品であって、該成形品の基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在することを特徴とする鋼製成形品に関する。
(8) 本発明は、前記亜鉛拡散相中の亜鉛量が片面当り1g/m以上60g/m以下であることを特徴とする(7)記載の鋼製成形品に関する。
(9) 本発明は、前記亜鉛拡散相の厚みが1μm以上30μm以下であることを特徴とする(7)又は(8)に記載の鋼製成形品に関する。
(10) 本発明は、前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、前記めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で1〜100%であることを特徴とする(7)〜(9)のいずれかに記載の鋼製成形品に関する。
(11) 本発明は、前記鋼材の成分として、質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Mn:0.3〜3.5%、又は、Cr:0.1〜2.5%の少なくとも一つを含むことを特徴とする(7)〜(10)のいずれかに記載の鋼製成形品に関する。
(12) 本発明は、亜鉛系めっき層を有する鋼材を、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上600秒未満、加熱した後に、さらにAc点以上Ac点以下の温度で1秒以上60秒未満保持し、その後、直ちにプレス加工して鋼製成形品とすることを特徴とする鋼製成形品の製造方法に関する。
本発明により、良好な耐食性と加工性を有する亜鉛系めっき鋼材、及び、良好な耐食性と加工精度を有する成形品を提供できる。
以下に本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
本発明に係る実施形態の鋼製成形品は、亜鉛系めっき層を有する鋼材であって、基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在するものである。
まず、本発明で述べる亜鉛拡散相について定義する。
図1は、後述する実施例の表2の上から10番目に記載された条件で得られた本発明に係る鋼製成形品試料の断面観察結果であり、亜鉛拡散相の存在が確認できた。
本発明に係る鋼製成形品においては、めっき層だけではなく、鋼材中に「亜鉛拡散相」が存在する。ここで述べるめっき層とは、インヒビター(酸洗腐食抑制剤)入りの酸(例えば、朝日化学工業(株)の酸洗腐食抑制剤イビットを1mL、HClを140mL、それらを1Lの純水に溶解して作成したHCl溶液)に常温で数分間浸漬することにより、溶解可能な領域であり、鋼材とはこの酸で溶解不可能な領域である。このため、めっき層と「亜鉛拡散相」は分離し、それぞれに含まれる亜鉛量を定量することが可能である。
例えば、めっき層をインヒビター(酸洗腐食抑制剤)入りの酸に浸漬して溶解除去し、鋼材表面部に残る亜鉛拡散相を亜鉛元素分析するならば、亜鉛拡散相の存在を定量することができる。図1(a)に示す鋼材表面部分の断面写真はインヒビター入り塩酸で溶解する前の状態であり、図1(b)に示す鋼材表面部分の断面はインヒビター入り塩酸で溶解した後の状態であるが、この溶解した後の鋼材表面部分を亜鉛元素分析した結果を示す図1(c)では亜鉛拡散相の存在を確認することができる。
めっき層に含まれる亜鉛は、鉄よりも極めて溶解し易い、即ち、亜鉛の特徴である犠牲防食性を持ち、耐食性には極めて有効である。一方で、亜鉛を含むメッキ層は、成形時の割れや剥離につながる恐れがある。前記した特許文献4に開示されている方法では、亜鉛を含むメッキ層は、鉄との特性の相違がまだ大きく、不十分である。
本発明で規定する亜鉛拡散相は、インヒビター(酸洗腐食抑制剤)入りの酸で溶解できないことから、溶解し易さが鉄にかなり近くなっており、耐食性への寄与は小さいものと思われる。しかし、前記特許文献4に開示されている固溶相よりさらに鉄に近い機械的特性を持ち、そのため、本実施形態に係る鋼製成形品は、その表面部分の深さ方向において、めっき層−亜鉛拡散相−鉄と特性が漸変するため、めっき層と鋼材の密着性向上には有効で、成形性に大きく寄与する。
本実施形態の鋼製成形品における亜鉛拡散相中の亜鉛量は、1g/m以上、60g/m以下の範囲であればよい。亜鉛量がこの範囲より少ないと、特性を漸変させることができず、成形性が低下する。この範囲より亜鉛量が多いと、前述の効果が飽和してしまう。よって亜鉛拡散相中の亜鉛量について望ましくは、2g/m〜30g/mの範囲である。
前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で、1〜100%であることが望ましい。亜鉛拡散相は、元々めっき層に存在した亜鉛が拡散して生成するものであり、100%を超えて存在すると、当初の亜鉛の過半量が亜鉛拡散相に行ってしまい、耐食性を損なうことになる。また、亜鉛拡散層に含まれる亜鉛量が1%を下回ると特性を漸変させることができず、成形性が低下してしまう。
この亜鉛拡散相の厚みは、1μm〜30μmの範囲(1μm以上、30μm以下の範囲)であることが望ましい。この範囲より亜鉛拡散相が薄いと、特性を漸変させることができず、成形性が低下する。この範囲より亜鉛拡散相が厚いと、効果が飽和してしまう。
本発明に関わる鋼材の成分は、C、Si等を特に限定はしない。成分元素の内、Ni、Mn、Crは、亜鉛拡散相の生成を制御するのに有効である。Ni、Mn、Crについては、それぞれ望ましい成分範囲が存在し、Ni:0.1〜2.5%、Mn:0.3〜3.5%、Cr:0.1〜2.5%の少なくとも1種類以上を含むことが望ましい。これらの範囲より多く添加すると、亜鉛拡散相が容易には生成し難くなる。これらの範囲より少ないと、亜鉛拡散相が必要以上に生成し、耐食性の低下につながる可能性が高い。
この亜鉛拡散相の生成機構は十分に解明されていないが、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上、600秒未満加熱した後に、さらにAc点以上、Ac点以下の温度で1秒以上、60秒未満保持し、その後、直ちに冷却することによって適量が形成できる。
前記亜鉛拡散相の生成理由として、以下のような機構が推測できる。亜鉛の拡散は、温度が高い方が当然早いと考えることができる。一方で、オーステナイト組織よりもフェライト組織の方が、亜鉛が拡散し易い、もしくは、存在し易いのではないかと言うことが考えられる。そのため、Ac点以下の温度でかつ拡散が起こるために十分な温度で保持した場合には、適量を超えた拡散が急速に進行してしまい、亜鉛拡散相を制御し難い。
Ac点以上に加熱することは、フェライト組織を完全に無くすことによって亜鉛の拡散を制御し易くする目的によるものであり、10秒以上の保持が必要である。加熱処理時間の上限は、実用性を考えて600秒未満とする。また、Ac点以上の温度で加熱後、Ac点以上、Ac点以下の温度で保持される時間が1秒未満の場合には、亜鉛が鋼の組織中に円滑に分散せず、冷却後に亜鉛が著しく偏在し、拡散相を形成できなくなる恐れがある。また、60秒以上保持した場合には前述の効果が飽和する。そのため、上記範囲で保持されることが必要であると考えられる。また、冷却速度は、上記保持によってできた亜鉛拡散相を維持するために早い方が望ましく、5℃/秒以上の冷却速度であることが望ましい。
本実施形態に係る鋼製成形品に適用する加熱前の亜鉛系めっき相の組成は特に制限は無い。純亜鉛めっきでも、Fe、Al、Ni、Mn、Cr、Co、Mg等の合金元素を添加したものであっても構わない。また、めっき後に合金化処理されたものでも構わない。めっき法の限定も特に無い。溶融亜鉛めっきの他、電気めっき、蒸着等いずれの方法でも良い。
本発明における鋼製成形品を製造する際の加熱方法は、特に制限は無く、電気炉、ガス炉、高周波加熱炉等が使用できる。また、加熱時の雰囲気にも、特に制限は無く、大気雰囲気中で行うことがコスト的には最も有利と言える。
本発明における鋼製成形品を製造する場合に適用するプレス加工の方法も特に制限は設けない。プレス加工機を加熱炉近傍に設置し、加熱後、所定に時間保持した後、直ちにプレスできるように配置されていることが実用上望ましい。冷却速度を稼ぐためにプレス金型が過熱しないように水冷か空冷等の冷却機構を有することが望ましい。
このようにして、本発明は、鋼材中に亜鉛拡散相を含むことにより、耐食性、成形性に優れた特性を示す亜鉛めっき鋼材からなる成形品を提供できる。
次に、実施例によって、本発明の作用効果を具体的に説明する。
以下の表1に示す成分の鋼を、常法に従い溶製、熱延、冷延を行い、1.0mm厚の鋼板とした。その鋼板を800℃の窒素−水素雰囲気で焼鈍後、目付量60g/mの溶融亜鉛めっきを施した。一部、合金化処理を行い、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とした。
合金化処理とは、めっき後の鋼材を窒素雰囲気中で520℃、20秒保持するものとした。
Figure 2007056284
めっき後の各試験片を、大気雰囲気の電気炉で加熱試験を行った。加熱時間は、熱電対をつけた鋼材を同時に炉中に入れて測温し、加熱温度に達してから所定時間保持した時間である。鋼材は、炉から取り出した後、保持温度まで圧縮空気噴き付けで冷却し、この温度で所定時間(保持時間と称する)保持後、プレス試験機で加工成形した。
得られた鋼製成形品は、一部を切り出し、それを、インヒビター(朝日化学工業(株):酸洗腐食抑制剤イビット):1mL、HCl:140mLを1Lの純水に溶解して作成したインヒビター入りの5%HClに常温で10分浸漬して溶解し、溶液をICP法で分析して、めっき層中のZn量を求めた。溶解後の切り出し試験片は、さらにインヒビター無しの5%HClで溶解した。蛍光X線で鋼材表面にZnが測定されなくなるまで溶解し、溶解後の溶液をICPで分析して、亜鉛拡散層中のZn量を求めた。亜鉛拡散相の厚みは断面観察(EPMA元素分析)から求めた。
成形性(加工性)は、電気炉から各試験片を取り出し、所定時間保持された後に、50mmφの円筒加工試験で評価した。ブランクサイズは140mmφ、ポンチ径80mmφ、ポンチ肩R5mm、ダイス肩R5mm、成形高さ30mm、しわ押え力49kNにて成形及び冷却を同時に行った。その後、表面の外観を観察した。成形性(加工性)の評価基準は下記のとおりである。△以上を良好と判断した。
◎:成形可能で表面に割れ、剥離なし。
○:表面に面積比で1%未満の割れ、剥離有り。
●:表面に面積比で1%以上3%未満の割れ、剥離有り。
△:表面に面積比で3%以上5%未満の割れ、剥離有り。
×:表面に面積比で5%以上の割れ、剥離がある。
耐食性は、加熱後試験片を脱脂した後、化成処理(日本ペイント:SD5350、膜厚2μm)後、電着塗装(日本ペイント:パワーニクス110、塗膜厚20μm)を行い、カット傷を付与した後、下記に示すCCT試験180サイクルを行った後、膨れ幅を測定した。
CCT試験条件:塩水噴霧(5%NaCl、35℃)6時間→乾燥(50℃、45%RH)1時間→湿潤(50℃、95%RH)14時間→乾燥(50℃、45%RH)1時間を1サイクルとした繰り返し。
また、耐食性の評価基準は下記のとおりである。△以上を良好と判断した。
◎:膨れ幅1.0mm以下、
○:膨れ幅1.0mm以上、2.0mm未満
●:膨れ幅2.0mm以上、3.0mm未満
△:膨れ幅3.0mm以上、4.0mm未満
×:膨れ幅4.0mm以上、
表1に示す鋼種の種別、合金化処理の有無、加熱条件、亜鉛拡散相のZn量、Zn拡散相厚、Zn拡散相のZn量と評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2007056284
表2から分かるように、本発明例は、いずれも耐食性、成形性共に優れた特性を示している。一方、比較例は、耐食性と成形性の両立ができていない。
表2の比較例において、鋼種Aで加熱温度850℃とした試料はAc点を越えない温度で加熱したものであるが、亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Gで加熱温度800℃とした試料はAc点を越えない温度で加熱したものであるが、亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Bで加熱時間8秒とした試料は加熱時間が10秒より短いので亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Gで加熱時間5秒とした試料は加熱時間が10秒より短いので亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Aで保持時間0の試料、鋼種Bで保持時間0の試料、鋼種Cで保持時間0.5秒の試料、鋼種Gで保持時間0.5秒の試料はいずれも、保持時間が1秒よりも短いので亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Cで保持温度780℃の試料はAc点を越える温度で保持しているので亜鉛拡散相が生じていない。鋼種Gで保持温度500℃の試料はAc点未満の温度で保持しているので亜鉛拡散相が生じていない。
以上の比較例の試験結果から、亜鉛系めっき層を有する鋼材を、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上600秒未満加熱した後に、さらにAc点以上Ac点以下の温度で1秒以上60秒未満保持することが、本発明に係る亜鉛拡散相を生成する場合に重要な条件であることがわかる。
本発明に係る鋼製成形品試料において表2の10番目の試料を選んで表面分析した。その鋼材表面部分組織のSEM写真を図1(a)に示す。
次いでこの試料に対し、インヒビター(酸洗腐食抑制剤)入りの酸として、朝日化学工業(株)の酸洗腐食抑制剤イビットを1mL、HClを140mL、それらを1Lの純水に溶解して作成したHCl溶液を用い、前記試料をこの酸に常温で10分間浸漬することにより、めっき層を溶解除去した。その状態の鋼材表面部分組織のSEM写真を図1(b)に示す。
このようにめっき層を除去した状態の鋼材表面部分は分析可能であるので、EPMA法により亜鉛元素分析した結果を図1(c)に示す。この図1(c)に示す如く、本発明に係る試料では亜鉛拡散相の存在を確認することができた。また、図1(b)と図1(c)の観察から、亜鉛拡散相の厚さは約16μmと同定できる。
図1(a)は本発明に係る亜鉛系めっき鋼材に対し、インヒビター入りの塩酸で溶解する前の鋼材表面部の断面組織を示すSEM写真、図1(b)は同鋼材に対し、インヒビター入りの塩酸で溶解した後の鋼材表面部の断面組織を示すSEM写真、図1(c)は同溶解後の鋼材表面部の亜鉛元素分析結果を示す図である。

Claims (12)

  1. 亜鉛系めっき層を有する鋼材であって、基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在することを特徴とする亜鉛系めっき鋼材。
  2. 前記亜鉛拡散相中の亜鉛量が片面当り1g/m以上60g/m以下である請求項1記載の亜鉛系めっき鋼材。
  3. 前記亜鉛拡散相の厚みが1μm以上30μm以下である請求項1又は2に記載の亜鉛系めっき鋼材。
  4. 前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、前記めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で1〜100%である請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材。
  5. 前記鋼材の成分として、質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Mn:0.3〜3.5%、又は、Cr:0.1〜2.5%の少なくとも一つを含む請求項1〜4のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼材。
  6. 亜鉛系めっき層を有する鋼材を、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上600秒未満加熱した後に、さらにAc点以上Ac点以下の温度で1秒以上60秒未満保持し、その後、直ちに冷却することにより、前記鋼材と前記めっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相を存在せしめることを特徴とする亜鉛系めっき鋼材の製造方法。
  7. 亜鉛系めっき層を有する鋼製成形品であって、該成形品の基材である鋼材とめっき層界面の鋼材側に亜鉛拡散相が存在することを特徴とする鋼製成形品。
  8. 前記亜鉛拡散相中の亜鉛量が片面当り1g/m以上60g/m以下であることを特徴とする請求項7記載の鋼製成形品。
  9. 前記亜鉛拡散相の厚みが1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の鋼製成形品。
  10. 前記亜鉛拡散相に含まれる亜鉛量が、前記めっき層に含まれる亜鉛量と比べて、質量%で1〜100%であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋼製成形品。
  11. 前記鋼材の成分として、質量%で、Ni:0.1〜2.5%、Mn:0.3〜3.5%、又は、Cr:0.1〜2.5%の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の鋼製成形品。
  12. 亜鉛系めっき層を有する鋼材を、Ac点の温度を超えて1000℃未満で、10秒以上600秒未満、加熱した後に、さらにAc点以上Ac点以下の温度で1秒以上60秒未満保持し、その後、直ちにプレス加工して鋼製成形品とすることを特徴とする鋼製成形品の製造方法。




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