JP2007055546A - ステアリングロック機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】省スペース化を図ることができ、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現する。
【解決手段】ブラケット3をキーシリンダ17に取り付けるにあたり、軸26と、キーシリンダ17に設けられ、軸26が挿通される軸受け部22と、ブラケット3に設けられ、軸26により係止される係止部23とを有するヒンジ構造である取付部21を採用し、取付部21の少なくとも一部には軸26による係止部23の係止状態が解除されることを防止する係止解除防止部を設ける。
【選択図】図3

Description

本発明は、ステアリングシャフトの回動を規制するステアリングロック機構に関する。
従来、ステアリングホイールの回動軸を構成するステアリングシャフトの外周面に形成した凹部にロック部材を嵌合させることにより、ステアリングシャフトの回動を規制し、車輌の盗難を防ぐためのステアリングロック機構が広く知られている。
より具体的には、ステアリングシャフトは、管状部材であるステアリングコラム内に収容されており、当該ステアリングコラムはロック部材を内側に備えたキーシリンダと、ブラケットによって挟持されている。また、当該キーシリンダとブラケットには、ステアリングコラムを挟持した場合に、当該キーシリンダとブラケットとが互いに当接する部分に、各々フランジ部が形成されている。また、キーシリンダのフランジ部の一部には、螺子孔が形成され、一方、ブラケットのフランジ部の一部には、ブラケットをキーシリンダに固定するボルトを挿通するための孔部が形成されている。また、ブラケットの外周縁には、ロック部材の長手方向において、キーシリンダと反対の方向に折れ曲がった折曲部が形成されている。そして、ボルトがブラケットの孔部に挿通されるとともに、キーシリンダの螺子孔に螺入され緊締されることによって、ブラケットがキーシリンダに取り付けられる構成をしている。(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、近年、視認性向上の目的でメータパネル等の搭載位置が下がる傾向にあり、それに伴いステアリングロックの搭載スペースが減少し、ステアリングロック機構の小型化が求められている。
そこで、従来、図10に示したように、ブラケット53をキーシリンダ67に取り付けるにあたり、ヒンジ構造を採用した構成がある。より具体的には、ブラケット53をキーシリンダ67に取り付けるための取付部71には、軸76が挿通される軸受け部72が形成され、ブラケット53の係止部73が当該軸76に係止されている。したがって、取付部71においては、取付部81に形成された、フランジ部83の上面83a位置L1と取付部71の軸受け部72の上面72a位置L2により表される、ボルト86の取付スペースLが不要となるため、省スペースが図られている。
特開2005−162053号公報
しかし、上記従来のステアリングロック機構においては、図10に示すように、ステアリングシャフト59がロック部材70によって回転を規制されている状態において、ステアリングホイール(図示せず)を無理に回した場合に、強い回転トルクがステアリングシャフト59にかかってしまうため、ステアリングシャフト59が矢印Xの方向に撓み変位する場合がある。
この場合、ブラケット53にも矢印Xの方向へ応力が加わるため、図11(a)に示すように、ブラケット53の係止部73にも矢印Yの方向に応力が加わり、図11(b)に示すように、ブラケット53が変形してしまう場合がある。この状態においてさらに過大な回転トルクがステアリングホイールにかけられると、ブラケット53のキーシリンダ67への取付状態が解除されてしまい、その結果、ロック部材70によるステアリングシャフト59の回動規制状態が解除されてしまう場合があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、省スペース化を図ることができ、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することを目的としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングホイールが装着されるステアリンリングシャフトと、ステアリングシャフトを回動自在に支持するステアリングコラムと、ステアリングコラムの外周面と当接するキーシリンダと、キーシリンダの内側に移動自在に設けられ、ステアリングシャフトの回動を規制する回動規制部材と、ステアリングコラムの外周面を覆うように、キーシリンダに取り付けられたブラケットとを備え、キーシリンダとブラケットによりステアリングコラムが挟持されるステアリングロック機構において、軸と、キーシリンダに設けられ、軸が挿通される軸受け部と、ブラケットに設けられ、軸により係止される係止部とを有し、前記ブラケットを前記キーシリンダに取り付けるための取付部をさらに備え、取付部の少なくとも一部には軸による係止部の係止状態が解除されることを防止する係止解除防止部が設けられることを特徴とする。
本構成によれば、当該取付部に、軸による係止部の係止状態の解除を防止する係止解除防止部が設けられる構成をしている。したがって、ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつ強い回転トルクがステアリングシャフトにかかった場合に、軸による係止部の係止状態が解除されて、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。そうすると、回動規制部材によるステアリングシャフトの回動規制状態が解除されることもない。その結果、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
また、ブラケットをキーシリンダに取り付ける取付部は、軸と、軸が挿通される軸受け部と、軸により係止される係止部とを有している。つまり、取付部においては、軸により係止部が係止されるヒンジ構造が採用されている。これにより、従来のステアリングロック機構においてボルトの取り付けに必要なスペースが、本構成の取付部においては不要となるため、ステアリングロック機構の省スペース化を図ることができ、結果として、ステアリングロック機構の小型化に対応することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のステアリングロック機構において、係止解除防止部が、係止部からブラケット内周面に向けて延設されているとともに、ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合に、軸受け部に当接することを特徴とする。
本構成によれば、係止部を変形させて、軸による係止部の係止状態を解除させるように作用する応力が、軸を支点にブラケットの係止部に対し加えられる場合であっても、係止解除防止部が軸受け部と当接することでブラケットの変位を規制するため、係止部の変形は抑制されることとなる。そのため、軸による係止部の係止状態が解除され、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。また、本構成においては、係止解除防止部を係止部からブラケット内周面にむけて延設するのみで、係止部が変形して、軸による係止部の係止状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。その結果、簡単な構成で、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のステアリングロック機構において、係止解除防止部が、軸の長手方向において係止部から突出して設けられており、軸の長手方向における係止解除防止部の突出長さが、軸の長手方向における、軸受け部と係止解除防止部とが当接する部分の長さと略同一であることを特徴とする。
本構成によれば、ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合に、係止解除防止部および軸受け部を介して、係止部にかかる応力を効率よく分散することができるため、係止部の変形を一層効果的に抑制することができる。したがって、軸による係止部の係止状態が解除されて、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生を一層効果的に抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のステアリングロック機構において、軸受け部には、ブラケットをキーシリンダに取り付けた場合に、係止解除防止部が嵌合される溝部が設けられていることを特徴とする。
本構成によれば、ブラケットをキーシリンダに取り付けた際に、係止解除防止部が溝部に嵌合し、係止解除防止部は軸受け部に確実に固定される。したがって、軸による係止部の係止状態が解除されて、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生をより一層効果的に抑制することができる。また、部品点数を増やすことなく、簡単な構成で上述の作用効果を奏することができるという利点もある。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のステアリングロック機構において、係止解除防止部が、ブラケットの外周面側において、係止部に近設されるとともに、前記ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつ前記ステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合に、係止部と接触することを特徴とする。
本構成によれば、ステアリングシャフトに回転トルクがかかり、係止部に応力が加えられた場合でも、係止解除防止部が係止部と接触して係止部の変位を規制する。そのため、軸による係止部の係止状態が解除されて、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のステアリングロック機構において、ブラケットが圧延鋼板で形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、ブラケットは、圧延鋼板をプレス加工して造られており、強度の高い素材が用いられているため、応力による変形に対し耐性を有している。したがって、ブラケットを薄型に加工できるため、より省スペース化を図ることができる。また、ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合においても、応力による変形に対し耐性を有しているため、係止部の変形は抑制される。そのため、軸による係止部の係止状態が解除されて、ブラケットのキーシリンダへの取付状態が解除されるという問題の発生を一層効果的に抑制することができる。
省スペース化を図ることができ、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施形態におけるステアリングロック機構を、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における、図の左方向を車両の前側とみなしたときに、上部から見下ろしたステアリング装置の断面図である。図1に示すように、支持ブラケット4は、ダッシュボード(図示せず)の下面等において、車体に対し固定され、この支持ブラケット4には揺動ブラケット15が、左右1対の横軸7により枢支されている。また、この揺動ブラケット15の後端側に設けられた支持壁16の図示する左右方向における中央付近には、上部ステアリングコラム5がこの支持壁16を貫通した状態で設けられ、この上部ステアリングコラム5は溶接等により支持壁16に対し固定されている。そして、上部ステアリングコラム5の内側には、上部ステアリングシャフト8が、前後1対の転がり軸受11を介して、回動自在に支持されている。
一方、支持ブラケット4の前壁18の図示する左右方向における中央付近には、下部ステアリングコラム6が、この前壁18を貫通した状態で設けられており、溶接等により、前壁18に対し固定されている。また、この下部ステアリングコラム6の内側には、下部ステアリングシャフト9が、回動自在に支持されている。そして、上部ステアリングシャフト8の前端8a側と、下部ステアリングシャフト9の後端9a側とは、自在継手10により互いに結合されている。この自在継手10は、横軸7を中心とする上部ステアリングシャフト8の変位に関らず、上部ステアリングシャフト8、下部ステアリングシャフト9間での回転力の伝達が自在となる構成としている。
また、下部ステアリングコラム6の内側において、下部ステアリングシャフト9の外周面9bには、キーロックカラー12が固定されている。このキーロックカラー12は、下部ステアリングシャフト9の長手方向(すなわち、図1の前後方向)に長いキーロック孔13を有する。
また、下部ステアリングコラム6の一部であって、このキーロック孔13に対向する部分には、通孔14が形成されており、当該通孔14の内側にキーシリンダ17が支持されている。当該キーシリンダ17は、支持ブラケット4の側壁19を貫通して、図中の矢印で示す右側に向けて突出している。また、キーシリンダ17の内側には、下部ステアリングシャフト9の回動を規制する回動規制部材であるロック部材20が移動自在に設けられている。当該ロック部材20は、イグニションキー(図示せず)の操作に基づいて、キーロックカラー12に押圧自在とされているとともに、キーロック孔13と当該ロック部材20とが対向する位置にある場合に、キーロック孔13に進入する。
そして、下部ステアリングコラム6を挟んでキーシリンダ17と対向する位置には、下部ステアリングコラム6の外周6aを覆うように、ブラケット3が設けられており、当該ブラケット3は、キーシリンダ17とともに下部ステアリングコラム6を挟持する態様で、キーシリンダ17に取り付けられている(後述の図3参照。)。このブラケット3は、圧延鋼板をプレス加工することで造られている。
次に、本実施形態のステアリングロック機構における、キーシリンダ17とブラケット3の取付構造を詳説する。図2は、本発明の第1の実施の形態におけるステアリングロック機構の各構成要素を分解して示した斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態におけるステアリングロック機構の断面図である。
図2、図3に示すように、ブラケット3は、取付部21および取付部31においてキーシリンダ17に取り付けられる構成をしている。より具体的には、取付部31は、キーシリンダ17に形成されたフランジ部32と、このフランジ部32に形成された螺子孔37を有している。また、取付部31は、ブラケット3に形成されたフランジ部33と、当該フランジ部33の一部に形成された孔部35を有している。当該孔部35はキーシリンダ17の螺子孔37と整合する位置にある。そして、取付部31においては、ボルト36がブラケットの孔部35に挿通されるとともに、螺子孔37に螺入され緊締されることで、取付部31において、ブラケット3はキーシリンダ17に取り付けられている。
次に、本発明のステアリングロック機構における特徴的な部分、すなわち、取付部21の構成について以下に詳説する。図4は、本発明の第1の実施形態におけるステアリングロック機構を、図2における矢印A方向から見た場合の正面図である。図5は、本発明の第1の実施形態におけるステアリングロック機構のブラケットとキーシリンダの取付部の部分拡大図である。
図2〜図5に示すように、取付部21は、キーシリンダ17に形成された軸受け部22を有する。当該軸受け部22には、軸26を挿通するための孔部25が形成されている。また、取付部21は、ブラケット3を湾曲することにより、ブラケット3に形成された係止部23を有している。当該係止部23は、軸26により係止される。つまり、取付部21においては、軸26によりブラケット3の係止部23が係止されるヒンジ構造が採用されている。
また、係止部23からブラケット3の内周面3bに向けて、軸26による係止部23の係止状態の解除を防止するための係止解除防止部である突出部24が延設されている。そして、図4に示すように、軸26の長手方向(すなわち、図中の矢印Dの方向)において、突出部24は係止部23から突出しているとともに、突出部24の突出長さE(E=E1+E2)は、キーシリンダ17の軸受け部22と突出部24が当接する部分29の長さF(F=F1+F2)と略同一である。なお、図4に示すように、突出部24は略長方形の形状に加工されている。
また、図4では軸26の長手方向における、左右の突出部24の各々の突出長さE1とE2が各々略同一である構成となっているが、当該突出長さE1とE2が異なる構成でもよい。この場合、突出部24の突出長さE1は軸受け部22と突出部24が当接する部分29の長さF1と略同一とし、突出部24の突出長さE2は軸受け部22と突出部24が当接する部分29の長さF2と略同一とする。
ここで、上述した図10で示したように、従来のステアリングロック機構においては、イグニションキーが抜かれると、ロック部材70がキーロック孔63に進入し、ステアリングシャフト59の回動が規制される。そして、ステアリングシャフト59の回動がロック部材70により規制されている状態で、ステアリングホイール(図示せず)を無理に回そうとした場合、ステアリングシャフト59に強い回転トルクがかかるため、ステアリングシャフト59が矢印Xの方向に撓み変位する。その結果、ブラケット53の係止部73においても、矢印Yの方向に応力が加わることとなり、図11(b)で示したように、係止部73が変形してしまう可能性があった。
しかし、本実施形態のステアリングロック機構においては、図4、図5に示すように、矢印Yで示した応力が係止部23にかかった場合であっても、ブラケット3に設けられた突出部24が、軸受け部22の図における上面22aの位置に該当するL2の位置で軸受け部22と当接する。そのため、係止部23に対し、軸26による係止部23の係止状態を解除させるように変形させる応力が加えられる場合においても、上述したような係止部23の変形が抑制される。その結果、強い回転トルクをステアリングホイールにかけた場合であっても、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されず、ロック部材20による下部ステアリングシャフト9の回動規制状態も解除されないこととなる。
以上に説明した第1の実施の形態のステアリングロック機構によれば以下のような効果が得られるようになる。
(1)取付部21に、軸26による係止部23の係止状態の解除を防止する突出部24が設けられる構成としている。したがって、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ強い回転トルクが下部ステアリングシャフト9にかかった場合に、軸26による係止部23の係止状態が解除されて、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。そうすると、下部ステアリングシャフト9のキーロック孔13からロック部材20が抜けて、ロック部材20による下部ステアリングシャフト9の回動規制状態が解除されることもない。その結果、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
(2)また、ブラケット3をキーシリンダ17に取り付ける取付部21は、軸26と、キーシリンダ17に設けられ、軸26が挿通される軸受け部22と、ブラケット3に設けられ、軸26により係止される係止部23とを有している。つまり、取付部21においては、軸26によりブラケット3の係止部23が係止されるヒンジ構造が採用されている。これにより、図3で示すように、上述の図10で示した取付部81(図3における取付部31に相当。)に形成された、フランジ部83の上面83aの位置L1と取付部71の軸受け部72の上面72aの位置L2により表される、ボルト86の取付スペースLが取付部21において不要となる。そのため、ステアリングロック機構の省スペース化が図ることができ、結果として、ステアリングロック機構の小型化に対応することができる。
(3)また、突出部24はブラケット3の内周面3bに向けて係止部23から延設されるとともに、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合に、軸受け部22に当接する構成をしている。この場合、ブラケット3の係止部23に対し、係止部23を変形させて、軸26による係止部23の係止状態を解除させるように作用する応力が軸26を支点に加えられる場合であっても、突出部24が軸受け部22と当接することで係止部23の変位を規制するため、図11(b)とは異なり、係止部23の変形は抑制される。そのため、係止部23の軸26による係止状態が解除されて、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。また、本構成においては、係止解除防止部である突出部24を係止部23からブラケット3の内周面3bに向けて延設するのみで、係止部23が変形して、軸26による係止部23の係止状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。その結果、簡単な構成で、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
(4)また、軸26の長手方向における突出部24の突出長さEは、キーシリンダ17の軸受け部22と突出部24が当接する部分29の長さFと略同一である構成をしている。これにより、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合に、突出部24および軸受け部22を介して、係止部23にかかる応力を効率よく分散することができるため、係止部23の変形を一層効果的に抑制できることになる。したがって、係止部23の軸26よる係止状態が解除されて、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生を一層効果的に抑制することができる。
(5)また、ブラケット3は、圧延鋼板をプレス加工して造られており、強度の高い素材が用いられているため、応力による変形に対し耐性を有している。したがって、ブラケット3を薄型に加工できるため、より省スペース化を図ることができる。また、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合においても、応力による変形に対し耐性を有しているため、係止部23の変形は抑制される。そのため、係止部23の軸26による係止状態が解除されて、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生を一層効果的に抑制することができる。
なお、本実施形態においては、以下に示すような構成に変形して実施することもできる。
・突出部24の形状を略長方形状に加工したが、形状はこれに限定されず略台形等の他の形状においても、上記に挙げた作用効果を奏することができる。
・図6に示すように、突出部24が嵌合される溝部27を軸受け部22に設ける構成にすることもできる。この構成においては、ブラケット3をキーシリンダ17に取り付けた際に、突出部24が溝部27に嵌合し、突出部24は軸受け部22に確実に固定される。したがって、係止部23の軸26による係止状態が解除されて、ブラケット3のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生をより一層効果的に抑制することができる。また、部品点数を増やすことなく、簡単な構成で上述の作用効果を奏することができるという利点もある。
・係止部23は、ブラケット3の内周面3b側に折り曲げられる形状で構成したが、これをブラケット3の外周面3a側に折り曲げる構成にしてもよい。この場合であっても、突出部24が係止部23から外周面3a側に向けて延設され、図3と同様に軸受け部22と当接自在に設ければ、上述した作用効果を奏することができる。
(第2の実施形態)
次に、この発明にかかるステアリングロック機構の第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態におけるブラケットとキーシリンダの斜視図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての説明は省略する。また、本実施形態におけるステアリングロック機構を備えたステアリング装置の構成は図1で示したものと同一であり、ブラケット3およびキーシリンダ17を除くステアリングロック機構の構成は図2〜図5で示したものと同一であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
図3および図7に示すように、本実施形態においては、軸26による係止部23の係止状態の解除を防止する係止解除防止部である移動規制部28が設けられている。より具体的には、当該移動規制部28は、軸受け部22の一部であり、ブラケット43の外周面43a側において、係止部23と近設されているとともに、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合に、係止部23と接触する。
このようなステアリングロック機構の構成によれば、下部ステアリングシャフト9の回動が規制されている場合であって、かつ下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合に、当該移動規制部28が係止部23と接触することにより、係止部23の変位を規制する。
以上に説明した第2の実施の形態のステアリングロック機構によれば第1の実施形態における(1)、(2)および(5)の効果に加え、以下のような効果が得られる。
(6)下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかり、係止部23に図5で示した矢印Yの応力が加えられた場合であっても、移動規制部28が係止部23と接触して係止部の変位を規制する。そのため、軸26による係止部23の係止状態が解除されて、ブラケット43のキーシリンダ17への取付状態が解除されるという問題の発生を抑制することができる。
また、図8に示すように、本実施形態においては、ブラケット43に代え、第1の実施形態において示した、突出部24が形成されたブラケット3を用いることもできる。この場合、移動規制部28を設けたことによる効果に加え、第1の実施形態において示した(3)〜(4)の突出部24を設けたことによる効果も奏することができる。そのため、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し、より一層有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。
また、図9に示すように、本実施形態の移動規制部28と併用して、ブラケット43の係止部23が軸26の外周を巻回している構成を利用すれば、軸26による係止部23の係止状態が一層解除されにくくなる。そのため、強い回転トルクをかけてステアリングシャフトの回動規制状態を解除しようとする盗難行為に対し、より一層有効に機能するステアリングロック機構を実現することができる。なお、この場合、巻回された係止部23の先端部23aとブラケット43の内周面43bとを溶接または接着することで、応力による変形に対する係止部23の耐性は向上する。したがって、軸26による係止部23の係止状態が解除される可能性がより一層効果的に抑制されることとなる。
なお、本実施形態においては、以下に示すような構成に変形して実施することもできる。
・移動規制部28と係止部23とは、ブラケット43がキーシリンダ17に取り付けられた時点で接触するように設けられていることが望ましい。これにより、移動規制部28は、係止部23の変形を抑制することができるとともに、係止部23の変位をより確実に規制することができる。
・また、移動規制部28は軸受け部22の一部として設けられている構成を示したが、例えば、下部ステアリングシャフト9に回転トルクがかかった場合に係止部23と接触する位置に、別部材を移動規制部28として溶接等することで設ける構成にしてもよい。本構成においても、上述した(6)に準じた効果を奏することができる。
本発明の第1の実施形態における図の左方向を車両の前側とみなしたときに、上部から見下ろしたステアリング装置の断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるステアリングロック機構の各構成要素を分解して示した斜視図である。 本発明の第1の実施の形態におけるステアリングロック機構の断面図である。 本発明の第1の実施形態におけるステアリングロック機構を、図2における矢印A方向から見た場合の正面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるステアリングロック機構の、ブラケットとキーシリンダとの取付部の部分拡大図である。 本発明の第1の実施の形態における別例のキーシリンダ17の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態におけるステアリングロック機構のブラケットおよびキーシリンダの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態における別例のステアリングロック機構のブラケットおよびキーシリンダの斜視図である。 本発明の第2の実施の形態における別例のステアリングロック機構の断面図である。 従来例におけるステアリングシャフト回転時に、ステアリングロック機構にかかる応力を示したステアリングロック機構の断面図である。 (a)は従来例におけるステアリングロック機構のブラケット変形前の部分拡大図であり、(b)は従来例におけるステアリングロック機構のブラケット変形後の部分拡大図である。
符号の説明
1…ステアリングロック機構、3…ブラケット、6…下部ステアリングコラム、9…下部ステアリングシャフト、10…自在継手、17…キーシリンダ、20…ロック部材、21…取付部、22…軸受け部、23…係止部、24…係止解除防止部(突出部)、26…軸、27…溝部、28…係止解除防止部(移動規制部)、31…取付部、43…ブラケット

Claims (6)

  1. ステアリングホイールが装着されるステアリングシャフトと、
    前記ステアリングシャフトを回動自在に支持するステアリングコラムと、
    前記ステアリングコラムの外周面と当接するキーシリンダと、
    前記キーシリンダの内側に移動自在に設けられ、前記ステアリングシャフトの回動を規制する回動規制部材と、
    前記ステアリングコラムの外周面を覆うように、前記キーシリンダに取り付けられたブラケットと、を備え、前記キーシリンダと前記ブラケットにより前記ステアリングコラムが挟持されるステアリングロック機構において、
    軸と、前記キーシリンダに設けられ、前記軸が挿通される軸受け部と、前記ブラケットに設けられ、前記軸により係止される係止部とを有し、前記ブラケットを前記キーシリンダに取り付けるための取付部をさらに備え、前記取付部の少なくとも一部には前記軸による前記係止部の係止状態が解除されることを防止する係止解除防止部が設けられていることを特徴とするステアリングロック機構。
  2. 前記係止解除防止部は、前記係止部から前記ブラケットの内周面に向けて延設されるとともに、前記ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつ前記ステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合に、前記軸受け部に当接することを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック機構。
  3. 前記係止解除防止部は、前記軸の長手方向において前記係止部から突出して設けられており、前記軸の長手方向における前記係止解除防止部の突出長さが、前記軸の長手方向における、前記軸受け部と前記係止解除防止部とが当接する部分の長さと略同一であることを特徴とする請求項2に記載のステアリングロック機構。
  4. 前記軸受け部には、前記ブラケットを前記キーシリンダに取り付けた場合に、前記係止解除防止部が嵌合される溝部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載のステアリングロック機構。
  5. 前記係止解除防止部は、前記ブラケットの外周面側において前記係止部に近設されているとともに、前記ステアリングシャフトの回動が規制されている場合であって、かつ前記ステアリングシャフトに回転トルクがかかった場合に、前記係止部と接触することを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック機構。
  6. 前記ブラケットは圧延鋼板で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のステアリングロック機構。

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