JP2007052039A - 重合トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、トナーの保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭を発生させず周囲の環境を悪化させない、また、耐久印字を高温高湿下で行なった際の耐久性に優れる重合トナーを製造する方法を提供することにある。
【解決手段】水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色重合体粒子からなる重合トナーを製造する方法において、該重合開始剤が、分子量が205以下であり、かつ純度が90%以上の有機過酸化物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置の現像に用いることが出来る重合トナーに関するものである。
電子写真法を用いた印刷では、感光体上に形成された静電潜像が、トナーにより現像されトナー像を形成し、トナー像が紙などの転写材上に転写される。転写されたトナー像は、熱圧ロールにより加熱加圧されて、転写材に定着される。
トナーは、従来、重合性単量体を重合して得られた結着樹脂、及び着色剤等を溶融混練した後、粉砕、分級して得られる粉砕法によるトナー(粉砕トナー)が、一般に用いられてきた。しかし、粉砕法では、特に小粒径のトナーを製造する場合、収率の低下や、粉砕に多くのエネルギーを消費する等の問題があり、これらを解決するため、重合法によるトナー(重合トナー)が提案されている。
重合トナーの製造方法としては、懸濁重合法や乳化凝集法等がある。
例えば、懸濁重合法では、まず、重合性単量体、並びに、着色剤、必要に応じ帯電制御剤、及び分子量調整剤等の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定剤を有する水系媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけ、重合性単量体組成物の液滴を形成し、その後、重合開始剤の存在下に重合し、濾過、洗浄、乾燥を経て、乾燥した着色重合体粒子を得る。さらに、この着色重合体粒子に、キャリア及び/又は、無機微粒子等の外添剤を混合し、重合トナーとしている。
しかし、上記の添加物の中には重合を阻害するものもあり、着色重合体粒子には、未反応の重合性単量体が、残留しすい。さらに、重合性単量体以外にも、重合開始剤により副生する化合物や分子量調整剤が残留することがある。
これらのものが残留した重合トナーは、トナーの保存性が低くなりやすく、このトナーを印刷に用いると、定着時の加熱により、残留低分子量成分が揮発して、毒性のある揮発成分や悪臭が発生し周囲の環境を悪化させる。さらには、耐久印字、とくに高温高湿条件下で耐久印字を行なった場合、耐久性の低下が起こりやすいという問題がある。
上記の問題に対して、重合後のトナーに残留する重合性単量体を除去する方法として、懸濁重合後の着色重合体粒子を含む分散液を減圧ストリッピング法で処理後、乾燥するトナーの製造方法が提案されており、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(分子量216)を用いたトナーが開示されている(特許文献1)。また、重合後のトナーに残留する重合性単量体を除去する方法として、特定の攪拌条件下、減圧ストリッピング法で処理する製造方法が提案され、t−ブチルパーオキシイソブチレート(日本油脂社製、商品名「パーブチルIB」、分子量160、純度74%)を重合開始剤として用いたトナーが開示されている(特許文献2)
しかし、これらのトナーでは、未反応の重合性単量体の量が減少してトナー中に残留する重合性単量体量が減るが、十分とはいえず、重合開始剤により副生する化合物などが多く残留し、得られるトナーは、印字の耐久性、特に高温高湿下での印字の耐久性が十分ではなかった。
また、残留低分子量成分をより一層除去するために過度の処理を行なうと、処理中に着色重合体粒子が凝集したり、得られるトナーの印字の耐久性が低下しやすかったりして、限界があった。
重合後のトナーに残留する重合開始剤の分解物や残存モノマー(重合性単量体)量を減らす方法として、重合開始剤として、芳香族過酸化物である、ジシンナモイルパーオキシド及び炭素数4〜8の第3級アルキルパーオキシシンナメート(これらの中で分子量が最も小さいものの分子量が220)からなる群から選ばれる1種以上を用いるトナー用樹脂の製造方法が提案されている(特許文献3)。この方法による重合開始剤を用いると、得られるトナーに残留する重合性単量体量や重合開始剤により副生する化合物などが多く残留し、得られるトナーは、印字の耐久性、特に高温高湿下での印字の耐久性が十分ではなかった。
特開2000−321809 特開2001−117272 特開2000−3076
本発明の課題は、トナーの保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭等を発生せず周囲の環境を悪化させない、また、耐久印字を高温高湿下で行なった際の耐久性に優れる重合トナーを製造する方法を提供することである。
本発明者らは、重合トナーの製造に用いる重合開始剤の性状について鋭意検討を重ねた結果、重合開始剤として、分子量が205以下であり、かつ不純物や希釈剤が少ない純度が90%以上の有機過酸化物を用いて重合トナーを製造することにより、上述の問題を解決出来ることを見出した。
すなわち、本発明によれば、水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色重合体粒子からなる重合トナーを製造する方法において、該重合開始剤が、有機過酸化物であり、該有機過酸化物の分子量が205以下、かつ該有機過酸化物の純度90%が以上であることを特徴とする重合トナーの製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、該有機過酸化物が、下記式(1)
Figure 2007052039
(式中、R及びR’は任意のアルキル基をあらわす。)で表されるパーオキシエステルであることがより好ましい。
また、式(1)におけるRが、炭素数6以下のアルキル基であること、式(1)におけるRが、2級のアルキル基であることがより好ましい。
さらに、該有機過酸化物の1時間半減期温度が、70℃以上95℃以下であることが好ましい。
本発明によって、トナーの保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭を発生させず周囲の環境を悪化させない、また、耐久印字を高温高湿下で行なった際の耐久性に優れる重合トナーが提供される。
以下、本発明の重合トナーの製造方法について説明する。
本発明の重合トナーは、以下のように製造される。まず、重合性単量体、着色剤、必要に応じて帯電制御剤等のその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とする。この重合性単量体組成物を、水系媒体に入れ、そこへ重合開始剤として分子量が205以下でありかつ純度が90%以上の有機過酸化物を添加し、液滴形成した後、重合を行ない、着色重合体粒子の水分散液が得られる。この水分散液を、洗浄・脱水・乾燥し、必要に応じて分級を行ない、さらに必要に応じて、外添剤または/及びキャリアを添加して、重合トナーを得る。
(1)重合性単量体組成物
本発明で重合性単量体は、重合可能な化合物をいう。
重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等の二トリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びフッ化ビニル等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、及びビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、及びメチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、及びN−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
モノビニル単量体は、それを重合して得られる、重合体のガラス転移温度(以下、Tgと表す)が80℃以下になるように選択することが好ましい。モノビニル単量体を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することにより、重合体のTgを所望の範囲に調整することができる。
ホットオフセット改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコールにカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる、重合体のTgよりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜1重量部用いる。
本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラック、シアン、イエロー、マゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.Pigmentブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.Pigmentイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.Pigmentレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigmentバイオレット19等が挙げられる。
着色剤の量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは1〜10重量部、である。
その他の添加物として、帯電制御剤を用いることができ、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を用いる。カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、及びニグロシン等の樹脂でない帯電制御剤;4級アンモニウム基又は4級アンモニウム塩基含有共重合体、スルホン酸基又はスルホン酸塩基含有共重合体、及びカルボン酸又はカルボン酸塩基含有共重合体等の帯電制御樹脂;等を用いることができる。トナーの印字耐久性が良好になることから、帯電制御剤は、帯電制御樹脂を含むことが好ましい。帯電制御剤のうち、樹脂でない帯電制御剤と、帯電制御樹脂を併用しても良いし、帯電制御樹脂を単独で用いても良い。帯電制御樹脂を単独で用いることがより好ましい。帯電制御樹脂として、4級アンモニウム基又は4級アンモニウム塩基含有共重合体、又はスルホン酸基又はスルホン酸塩基含有共重合体を用いることが、さらに、好ましい。
帯電制御剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜8重量部の割合で用いられる。
その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。分子量調整剤としては、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラム化合物;ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸化合物;が挙げられる。これらの分子量調整剤のうち、メルカプタン化合物、及びチウラム化合物が好ましい。
上記の分子量調整剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、重合性単量体0.05〜10部、好ましくは0.1〜5部、更に好ましくは、0.2〜3部である。分子量調整剤は、重合開始前または重合途中に添加する。
また、その他の添加物として、定着時におけるトナーの定着ロールからの離型性を改善できるので、離型剤を添加することが好ましい。
離型剤としては、一般にトナーの離型剤として用いられるものであれば、特に制限無く用いることができる。例えば、低分子量ポリオレフィンワックスや、その変性ワックス;ホホバ等の植物系天然ワックス;パラフィン等の石油ワックス;オゾケライト等の鉱物系ワックス;フィッシャートロプシュワックス等の合成ワックス;ジペンタエリスリトールエステル等の多価アルコールエステル;等が挙げられ、トナーの保存性と低温定着性のバランスを取れることから、多価アルコールエステルが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記離型剤は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部用いられ、更に好ましくは1〜20重量部用いられる。
(2)重合開始剤
本発明では、以上のようにして得られた、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含む水系媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行なう。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型)乳化分散機(株式会社荏原製作所製、商品名「マイルダー」)、高速乳化分散機(特殊機化工業製、商品名「T.K.ホモミクサー MARK II型」)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なう。
本発明では、重合開始剤として、分子量が205以下であり、かつ純度が90%以上の有機過酸化物を用いる。この特定の条件を満たす重合開始剤を用いることにより、得られるトナーに残留する未反応の重合性単量体、重合開始剤により副生する化合物、または重合開始剤に含有する希釈剤やその他の不純物が少なくなると考えられる。その結果、本発明の課題である、トナーの保存性に優れ、印字を行なった際、悪臭を発生させず周囲の環境を悪化させない、また、耐久印字を高温高湿下で行なった際の耐久性に優れる重合トナーを得ることが出来る。
有機過酸化物を用いた重合は、例えば、パーオキシエステルの場合、パーオキシエステルが熱分解を起こすと、対応するアルコールラジカルとカルボン酸ラジカルにまず分解し、その後これらのラジカル、およびカルボン酸ラジカルの脱炭酸により生成するアルキルラジカル等がモノマーへ付加することにより重合反応が進行する。しかし、これらのラジカルが、再結合や水素の引抜きにより、様々な副生化合物が生じる場合がある。
また、純度の低い有機過酸化物には、主成分の有機過酸化物と異なる有機過酸化物や希釈剤等のその他の化合物が不純物として含まれる。有機過酸化物の中でも、とくに、衝撃や加熱による発火の危険性が高い有機過酸化物では、希釈剤の添加の必要がある。不純物の有機過酸化物は主成分の有機過酸化物とは好適な反応条件が異なるため開始剤効率を低下させること、及び希釈剤等のその他の化合物の存在により、得られるトナーの、未反応の重合性単量体や副生化合物や希釈剤などの不純物自体の残留量が増加しやすくなる。
有機過酸化物の中では、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることが出来ることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。
また、該有機過酸化物が、下記式(1)
Figure 2007052039
(式中、R及びR’は任意のアルキル基をあらわす。)で表されるパーオキシエステルであることがより好ましい。式中のRは、炭素数6以下のアルキル基であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、イソプロピル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、及び1−エチルプロピル等の2級のアルキル基であることがさらに好ましく、1−メチルプロピル、1−エチルプロピルが特に好ましい。
また、式中、R’は、炭素数8以下のアルキル基が好ましく、t−ブチル、及びt−ヘキシルがより好ましく、t−ブチルが特に好ましい。式(1)のパーオキシエステルの具体例としては、t−ヘキシルパーオキシピバレート(t−ヘキシルパーオキシ−2,2−ジメチル−アセテート)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート、t−ブチルパーオキシ−2−メチルブタノエート等が挙げられる。
本発明において、主成分の有機過酸化物の分子量は、より好ましくは170以上200以下、であり、さらに好ましくは、175以上195以下である。
また、本発明において、有機化酸化物の純度は、該有機過酸化物に対する主成分の有機過酸化物の重量%を表し、より好ましくは、92%以上、さらに好ましくは、95%以上である。
該有機過酸化物の1時間半減期温度は、印字耐久性の良いトナーが得られることから、70℃以上95℃以下であることが好ましく、75℃以上95℃以下であることがより好ましく、85℃以上95℃以下がさらに好ましい。
ここで、半減期温度とは、重合開始剤の開裂の起こりやすさを表す指標であり、該重合開始剤を一定温度下に保持したとき、これが分解して一定時間後に元の開始剤量の1/2となる温度を示す。例えば、1時間半減期温度では、この一定時間が1時間の半減期温度である。
重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系媒体中へ分散された後、液滴形成前に、添加されても良いが、水系媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。
重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部であり、さらに好ましくは0.3〜15重量部であり、最も好ましくは1〜10重量部である。
本発明において、水系媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。
本発明において、水系媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子;アニオン性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、洗浄後の分散安定化剤残存量が少ないので、得られる重合トナーは、画像を鮮明に再現することができ、環境安定性を悪化させないことから、上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。
(4)着色重合体粒子
上記のようにして、液滴形成を行ない、得られた水系分散媒体を加熱し、重合開始剤の存在下に重合を行ない、着色重合体粒子を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
着色重合体粒子は、そのままで又は外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色重合体粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(または、「カプセル型」ともいう)の着色重合体粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色重合体粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。
上述した、上記着色重合体粒子を用いて、コアシェル型の着色重合体粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。
in situ重合法によるコアシェル型の着色重合体粒子の製造法を以下に説明する。
着色重合体粒子が分散している水系媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色重合体粒子を得ることができる。
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して、好ましくは、0.1〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。
重合により得られた、着色重合体粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、濾過、分散安定化剤の除去を行なう洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色重合体粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色重合体粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
脱水、濾過の方法は、種々の公知の方法などを用いることが出来、特に限定されない。例えば、遠心濾過法、真空濾過法、加圧濾過法などを挙げることが出来る。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
本発明の製造方法により得られる重合トナーを構成する、着色重合体粒子、またはコアシェル型の着色重合体粒子について述べる(以下の着色重合体粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む)。
着色重合体粒子の体積平均粒径Dvが好ましくは3〜15μmであり、更に好ましくは4〜12μmである。Dvがこれらの範囲未満であると重合トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、カスレが発生したり、印字濃度が低下する場合があり、これらの範囲を超えると画像の解像度が低下する場合がある。
また、着色重合体粒子は、その体積平均粒径Dvと個数平均粒径Dpとの比Dv/Dpが、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dpがこれらの範囲を超えると、カスレが発生したり、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こったりする場合がある。着色重合体粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名「マルチサイザー」)等を用いて測定することができる。
さらに、また、着色重合体粒子は、その球形度Sc/Srが1.0〜1.3であるものを用いることが好ましく、球形度Sc/Srが1.0〜1.2であるものを用いることが更に好ましい。球形度Sc/Srがこれらの範囲を超えると、転写性が低下したり、トナーの流動性が低下し、カスレ易くなったりする場合がある。着色重合体粒子の球形度Sc/Srは、以下のように求められる。着色重合体粒子を電子顕微鏡で撮影し、得られた写真を画像処理解析装置(ニレコ製、商品名:ルーゼックスIID)により、フレーム面積に対する粒子の面積率を最大2%、トータル処理数を100個の条件で測定する。得られた100個の着色重合体粒子の球形度Sc/Srを平均することにより求められる。
球形度=Sc/Sr
Sc:着色重合体粒子の絶対最大長を直径とした円の面積
Sr:着色重合体粒子の実質投影面積
(5)重合トナー
本発明の製造方法により得られる重合トナーは、着色重合体粒子そのままで電子写真の現像に用いることもできるが、重合トナーの帯電性、流動性、保存性等を調整するために、ヘンシェルミキサー等の高速撹拌機を用いて着色重合体粒子、外添剤、及び必要に応じてその他の粒子を混合し一成分重合トナーとすることができる。また、着色重合体粒子、外添剤及び必要に応じてその他の粒子に加えて、さらに、公知となっている種々の方法により、フェライト、鉄粉等のキャリア粒子を混合し、二成分重合トナーとすることもできる。本発明の技術を適用した場合、本発明の効果がより発揮されることから、非磁性の重合トナーとすることが好ましく、非磁性の一成分重合トナーとすることがより好ましい。
外添剤としては、通常、流動性や帯電性を向上させる目的で使用されている無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。例えば、無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等が挙げられ、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メラミン樹脂、及びコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコアシェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、シリカや酸化チタンが好適であり、この表面を疎水化処理した粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカがより好ましい。2種類以上の疎水化処理されたシリカを併用することがさらに好ましい。
外添剤の添加量は、特に限定されないが、着色重合体粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
本発明の製造方法を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例において行った試験方法は以下のとおりである。
(1)粒径
体積平均粒径Dv、粒径分布即ち体積平均粒径と個数平均粒径Dpとの比Dv/Dp、及び粒径が4μm以下の着色粒子の個数%は粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:アイソトンII、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
(2)トナーの平均円形度
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、さらに着色重合体粒子0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行った。測定時の着色重合体粒子濃度を3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、1μm以上の円相当径の着色重合体粒子1,000〜10,000個についてフロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、製品名:FPIA−2100)を用いて測定した。測定値から平均円形度を求めた。円形度は下記式に示され、平均円形度は、その平均を取ったものである。
(円形度)=(粒子の投影面積に等しい円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
(3)保存性評価
トナー20gを容器に入れて、密閉した後、温度を55℃にした恒温水槽の中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュの篩いの上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、機種名:PowderTester)にセットした。篩いの振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩い上に残ったトナーの重量を測定し、これを凝集したトナーの重量とした。この凝集したトナーの重量と測定したトナーの重量の比から、トナーの保存性(重量%)を算出した。トナーの保存性(重量%)は、数値が小さい程、凝集したトナーが少なく、保存性が良いことを示す。
評価A・・・1%未満以上
評価B・・・1%以上5%未満
評価C・・・5%以上
(4)臭気評価
重合トナーの臭気評価は、10人のモニターをランダムに選択し、下記の印字耐久試験(NN環境カブリ)において、1,000枚印刷時のプリンター排気部の臭気を評価した。
評価A・・10人中9人以上が、臭気が気にならなかった。
評価B・・10人中7人以上が、臭気が多少気になるが、不快な程ではないと感じた。
評価C・・10人中5人以上が、臭気に不快を感じた。
(5)印字耐久試験(NN環境カブリ発生枚数、HH環境カブリ発生枚数)
トナーを市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(印刷速度18枚(A4用紙)/分)に入れて、温度23℃、湿度50%の環境(NN環境)下で一昼夜放置した後、同じNN環境下で、5%印字濃度で連続印字を行ない、1,000枚ごとにカブリを測定した。カブリが1%以上になった枚数をNN環境カブリ発生枚数とした。印字耐久は13,000枚まで行ない、途中でカブリが発生した場合はその時点で印字耐久を中止した。
なお、試験結果に、>13,000枚とあるのは、13,000枚連続で印字しても、上記基準を満たしていることを示す。
カブリは以下のように測定した。
まず、白ベタ印字を行ない、途中で、上記プリンターを停止させ、現像後の感光体上の非画像部のトナーを、粘着テープ(住友スリーエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)で剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けた。非画像部のトナーが付着している個所について、分光色差計(日本電色社、機器名:SE−2000)で色調を測定した。同様に、リファレンスとして、未使用の粘着テープをその印字用紙に貼り付け、同様に色調を測定し、それぞれの色調をL*a*b*空間の座標として表し、測定サンプルと基準サンプルの色調から色差ΔEを算出してカブリ値を求めた。カブリ値は小さい方が、カブリが少なく、画質が良好であることを示す。
同様の印字耐久試験を、温度28℃、湿度80%の環境(HH環境)でも行ない、HH環境カブリ発生枚数を得た。
(実施例1)
スチレン75部及びn−ブチルアクリレート25部からなる重合性単量体(得られる共重合体の計算Tg=60℃)と、着色剤として銅フタロシアニン5部、帯電制御剤(スチレン/アクリル樹脂、藤倉化成株式会社製、商品名「FCA−207P」)1部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1部、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.25部とを、撹拌装置で撹拌した後、メディア型分散機により、均一分散した。ここに、離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート(溶解度は10g/100gスチレン、以上、吸熱ピークは65℃、分子量は1514)5部を添加、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。重合性単量体組成物の調製はすべて室温で行った。
他方、室温で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)8.6部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)4.8部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。この分散液の調製はすべて室温で行った。上記コロイドの粒径分布を粒径分布測定器(島津製作所、商品名:SALD)で測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.36μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.80μmであった。
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記重合性単量体組成物を投入し、撹拌し、そこに重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート(式(1)でRが1−エチルプロピル、R’がt−ブチルの構造のパーオキシエステル、アクゾノーベル製、商品名「Torigonox27」、純度98%、分子量188、1時間半減期温度94℃、10時間半減期温度75℃)4.4部を添加後、商品名:TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて12,000rpmの回転数で高剪断撹拌して、重合性単量体組成物の液滴を液滴形成した。
次に、液滴形成した重合性単量体組成物の水分散液を、反応器上部から入れた。90℃に昇温し、重合反応を行なった。重合添加率が95%に達したときに、反応器内温度を90℃に維持しながら、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部及びイオン交換水10部に溶解した水溶性開始剤として2,2′−アゾビス(2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.1部を添加した。更に3時間、温度を90℃に維持し、重合を継続した後、水冷して反応を停止し、着色重合体粒子のスラリーを得た。
このスラリーは、攪拌しながら、硫酸によりスラリーのpHを6.5以下にして酸洗浄を行ない、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。その後、再度、脱水と水洗浄を、室温で、数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、真空乾燥機の容器内に入れ、圧力30torr、温度50℃で一昼夜72hr真空乾燥した。
得られた着色重合体粒子の、体積平均粒径Dvは9.5μm、体積平均粒径/個数平均粒径Dv/Dpは1.16であった。また、得られた着色重合体粒子の、シェル用単量体量とコア粒径から算定したシェル厚は0.03μm、平均円形度は0.98、DSC測定によるガラス転移温度は63℃であった。
上記により得られた着色重合体粒子100部に、疎水化処理されたシリカ微粒子(平均一次粒径7nm)0.8部と、疎水化処理されたシリカ微粒子(BET比表面積50m/g)1.0部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して非磁性一成分の重合トナーを調製した。
得られた評価結果を表1に示す。
(実施例2)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂製、商品名「パーヘキシルPV」、純度91%、分子量202、1時間半減期温度71℃、10時間半減期温度53℃)を5部とした以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例1)
重合開始剤をt−ヘキシルパーオキシピバレート(実施例2の重合開始剤をイソパラフィンで希釈したもの、純度70%、分子量202、1時間半減期温度71℃、10時間半減期温度53℃)を5.7部とした以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例2)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシ−2−エチルブタノエート(実施例1の重合開始剤をイソパラフィンで希釈したもの、純度70%、分子量188、1時間半減期温度94℃,10時間半減期温度75℃)を6.1部とした以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例3)
重合開始剤をt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製、商品名「パーブチルO」、純度98%、分子量216、1時間半減期温度92℃、10時間半減期温度72℃)を5部とした以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
(比較例4)
重合開始剤を1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂製、商品名「パーオクタO」純度90%、分子量272、1時間半減期温度84℃、10時間半減期温度65℃)を6.8部とした以外は、実施例1と同様にして、重合トナーを調製した。試験結果を表1に示す。
Figure 2007052039
本発明により得られた重合トナーは、ファクシミリ、複写機、及びプリンター等の電子写真法による画像形成装置において、現像剤として用いることができる。

Claims (5)

  1. 水系分散媒体中で、重合性単量体及び着色剤を含有する重合性単量体組成物を、重合開始剤の存在下に重合することにより得られる着色重合体粒子からなる重合トナーを製造する方法において、
    該重合開始剤が、有機過酸化物であり、
    該有機過酸化物の分子量が205以下、かつ
    該有機過酸化物の純度が90%以上
    であることを特徴とする重合トナーの製造方法。
  2. 該有機過酸化物が、下記式(1)
    Figure 2007052039
    (式中、R及びR’は任意のアルキル基をあらわす。)で表されるパーオキシエステルであることを特徴とする請求項1に記載の重合トナーの製造方法。
  3. 式(1)におけるRが、炭素数6以下のアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載の重合トナーの製造方法。
  4. 式(1)におけるRが、2級のアルキル基であることを特徴とする請求項2または3に記載の重合トナーの製造方法。
  5. 該有機過酸化物の1時間半減期温度が、70℃以上95℃以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の重合トナーの製造方法。
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