JP2007044632A - 水性二液ウレタン塗料の供給装置及び方法 - Google Patents

水性二液ウレタン塗料の供給装置及び方法 Download PDF

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信之 林
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Abstract


【課題】 水性二液ウレタン塗装において塗装が中断している間に主剤と硬化剤が硬化するのを防止する。
【解決手段】 主剤用供給路の下流端と硬化剤用供給路の下流端を共用供給路に接続し、共用供給路の上流端に、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続可能な撹拌装置を設けた。主剤の供給と硬化剤の供給が停止したときに、共用供給路の上流端において少量の主剤と大量の硬化剤が混在した状態になっても、共用供給路の上流端では撹拌装置に作動によって主剤と硬化剤が撹拌されるので、少量の主剤と大量の硬化剤が接触したまで停滞することがなく、主剤との硬化剤が短時間で硬化してしまうことが防止される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水性二液ウレタン塗料の供給装置及び方法に関するものである。
特許文献1には、主剤と硬化剤からなる塗料を塗装ガンに供給する手段として、この液剤を二液混合装置へ交互に供給し、その二液混合装置内で2つの液剤を混合することによって得られた多液塗料を塗装ガン側へ送り出す方法が開示されている。
従来、この種の塗料としては油性の二液ウレタン塗料が用いられ、主剤の硬化剤を混合する手段として、主剤と硬化剤を交互に供給しつつ撹拌するスタティックミキサが用いられていた。
特開2004−141800公報
近年は自然環境保護を考慮して、水性の二液ウレタン塗料の使用量が増えつつあるが、水性の二液ウレタン塗料の混合手段としてスタティックミキサを用いると、次のような不具合が生じる。
水性二液ウレタン塗料は、主剤と硬化剤が適切な混合比で混合されたときには比較的長時間(数時間)に亘って液体状を維持するが、主剤の量が少なくて硬化剤の量が多い状態で両剤が接触すると、短時間(例えば、20分程度)で急速に硬化するという特性がある。そのため、スタティックミキサ内における上流端、即ち撹拌度が低い領域においては、塗装を中断したときに大量の硬化剤と少量の主剤が接触したままで停滞し、塗装中断の間に硬化してしまう。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、水性二液ウレタン塗装において塗装が中断している間に主剤と硬化剤が硬化するのを防止することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、主剤と硬化剤を混合して得られた水性二液ウレタン塗料を塗装ガンに供給する装置であって、主剤専用の主剤用供給路の下流端と硬化剤専用の硬化剤用供給路の下流端が共用供給路に接続され、前記共用供給路の上流端に、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続可能な撹拌装置が設けられているところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記撹拌装置は、内部に主剤と硬化剤を一方向に流通させるための撹拌空間が設けられている筒状部材と、駆動側磁石を有し、前記撹拌空間内における主剤及び硬化剤の流通方向と略平行な軸を中心として前記筒状部材の外周に沿って回転駆動する駆動側回転部材と、従動側磁石と撹拌片とを有し、前記駆動側回転部材と略同軸に回転し得るように前記筒状部材内に設けられた従動側回転部材とを備え、前記駆動側磁石と前記従動側磁石との間の磁気吸引力により、前記従動側回転部材が前記回転駆動部材と一体となって回転することで、前記撹拌片が前記撹拌空間内で主剤及び硬化剤の流通方向と交差する方向に回転する構成とされているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、主剤と硬化剤を混合して得られた水性二液ウレタン塗料を塗装ガンに供給する方法であって、主剤専用の主剤用供給路の下流端と硬化剤専用の硬化剤用供給路の下流端を共用供給路に接続する構造とした上で、前記共用供給路の上流端において、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続するところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
主剤の供給と硬化剤の供給が停止したときに、共用供給路の上流端において少量の主剤と大量の硬化剤が混在した状態になっても、共用供給路の上流端では撹拌装置に作動によって主剤と硬化剤が撹拌されるので、少量の主剤と大量の硬化剤が接触したまで停滞することがない。これにより、主剤との硬化剤が短時間で硬化してしまうことが防止される。
<請求項2の発明>
筒状部材内に収容されている従動側回転部材に回転力を伝える手段として、従動側回転部材に一体回転するように設けた伝達部材を筒状部材の外部へ貫通させ、この伝達部材に回転力を付与する構造が考えられるが、このように回転する伝達部材が筒状部材を貫通する構造の場合、伝達部材の貫通部分の隙間に浸入した混合液体が高粘度化して固着することや、この隙間に浸入した硬化剤が装置外の水分との接触によって硬化することが原因となり、従動側回転部材の回転に支障を来たすことが懸念される。
これに対し本発明では、従動側回転部材に回転力を付与する手段として、磁力を利用しているので、上記のような混合液体の高粘度化や硬化剤の硬化に起因する従動側回転部材の回転不良を回避することができる。
<請求項3の発明>
主剤の供給と硬化剤の供給が停止したときに、共用供給路の上流端において少量の主剤と大量の硬化剤が混在した状態になっても、共用供給路の上流端では主剤と硬化剤が撹拌されるので、少量の主剤と大量の硬化剤が接触したまで停滞することがない。これにより、主剤との硬化剤が短時間で硬化してしまうことが防止される。
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図9を参照して説明する。本実施形態で説明するのは、主剤と硬化剤を混合して得られた水性二液ウレタン塗料を塗装ガンGに供給する装置であって、主剤専用の主剤用供給路Aaの下流端と硬化剤専用の硬化剤用供給路Abの下流端を共用供給路Bに接続し、この共用供給路Bの上流端に、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続可能な撹拌装置Mを設け、共用供給路Bの下流端に塗装ガンGを接続した水性二液ウレタン塗料の供給装置である。
主剤用供給路Aaの上流端には、必要に応じて主剤と洗浄剤のいずれかを圧送するための周知構造の主剤用圧送装置Caが接続され、主剤用供給路Aaの途中には、流量計Daが設けられている。硬化剤用供給路Abの上流端には、必要に応じて硬化剤と洗浄剤のいずれかを圧送するための周知構造の硬化剤用圧送装置Cbが接続され、硬化剤用供給路Abの途中には、流量計Dbが設けられている。塗装を行う際には、主剤と硬化剤が所定の比率で交互に撹拌装置Mに供給されるようになっている。また、共用供給路Bにおける撹拌装置Mよりも下流側にはスタティックミキサmが設けられている。
次に、撹拌装置Mについて説明する。
撹拌装置Mは、筒状部材10と駆動ギヤ30(本発明の構成要件である駆動側回転部材)とロータ50(本発明の構成要件である従動側回転部材)とを備えて構成されている。
筒状部材10は、非磁性材料からなる円筒状の筒体11と、筒状の上部支持体12とからなる。筒体11は軸線を上下方向に向けており、筒体11の上面の開口部に上部支持体12が同心状に嵌合されている。また、筒体11の下面の開口部にはブロック状の下部支持体13が嵌合されている。この筒状部材10と下部支持体13は、上部ベース板40と下部ベース板41との間で上下に挟まれた状態で固定されている。筒状部材10の内部空間のうち概ね上半分領域は収容空間14となっており、概ね下半分領域は撹拌空間15となっている。
撹拌空間15内には、3枚の区画板16と2つのスペーサ20が上下方向に交互に重ねられて設けられている。区画板16は、筒体11の軸線と直角な円板状をなし、筒体11の内周に径方向及び周方向のガタ付きなく嵌合されて固定されている。スペーサ20は、円筒状をなし、筒体11の内周に径方向のガタ付きなく嵌合されて固定されている。区画板16には、周方向に等角度間隔を空けた円形をなす4つの流通孔17と、区画板16と同心円形をなすとともに4つの流通孔17と連通する中心孔18とが上下に貫通して形成されている。また、区画板16のうち流通孔17及び中心孔18以外の4つの残留領域は、楔状(略三角形状)をなす遮断部19となっている。3つの区画板16はスペーサ20により上下に間隔を空けるように位置決めされている。また、3つの区画板16は、周方向において流通孔17同士が同じ位置となるように、換言すると流通孔17同士が上下に対応するように配置されている。流通孔17においては、筒体11内に流入した主剤と硬化剤が上向きに流通するようになっている。また、遮断部19においては、主剤及び硬化剤の流通が遮られるようになっている。そして撹拌空間15内には、この3つの区画板16により筒状部材10の回転軸方向に区画された2室の撹拌室21が、スペーサ20と同じ高さに設けられている。
上部支持体12には、軸線を上下方向に向けた筒状の流出側継手24が固着され、流出側継手24の上向きに開口する流入口24aには、スタティックミキサmが接続されている。下部支持体13には、筒体11(撹拌室21)の下端に開口する左右一対のL字形をなす流入孔22a,22bが形成され、各流入孔22a,22bには、夫々、軸線を水平に向けた筒状の流入側継手23a,23bが固着されている。各流入側継手23a,23b内には、ボール状の弁体と圧縮コイルバネとからなる周知構造の逆止弁25a,25bが設けられている。一方の流入側継手23aには主剤用供給路Aaの下流端が接続され、もう一方の流入側継手23bには硬化剤用供給路Abの下流端が接続されている。尚、図1と図2は撹拌装置Mの向きが上下反対となっているが、撹拌装置Mの説明における上下方向については、図2の向きを基準とする。各流入側継手23a,23bから流入孔22a,22bを介して筒状部材10内に交互に供給された主剤と硬化剤は、筒状部材10内を上方へ(筒状部材10の軸線とほぼ平行に)流れ、流出口24aから筒状部材10外(スタティックミキサm側)へ流出するようになっている。したがって、主剤と硬化剤が合流する筒状部材10の内部空間(撹拌室21)は、共用供給路Bの上流端となっている。
上部支持体12の外周には、筒状部材10と同心の円筒形をなす非磁性材料からなる駆動ギヤ30が、ベアリング31により、上下方向(駆動ギヤ30の軸線方向)への相対移動を規制され、且つ筒状部材10と同軸の回転を許容された状態で支持されている。駆動ギヤ30は、円筒形のギヤ本体32と、同じく円筒形の磁石保持体33とをボルト34により一体回転可能に組み付けたものであり、磁石保持体33には、偶数数の駆動側磁石35が、周方空に間隔を空け、且つ磁石保持体33の内周面にN極とS極が交互に並ぶように取り付けられている。これらの駆動側磁石35は、筒状部材10の筒体11の外周面に対して接近して対向しており、駆動ギヤ30が回転するのに伴ない、これら複数の駆動側磁石35が筒体11の外周面に沿って回転移動するようになっている。
上部ベース板40には、モータ42が固定されている。モータ42の下向きの出力軸43には、出力ギヤ44が一体回転するように固着されている。この出力ギヤ44は上記駆動ギヤ30に噛み合わされており、モータ42が回転すると、そのモータ42の回転力が出力ギヤ44を介して駆動ギヤ30に伝達され、駆動ギヤ30が回転駆動するようになっている。
筒状部材10の内部空間には、ロータ50が収容されている。ロータ50は、非磁性材料からなり、略上半分領域が円形の磁石保持部51となっており、略下半分領域が概ね円形をなす撹拌機能部59となっている。磁石保持部51の外径は筒体11の内径よりも僅かに小さい寸法とされ、磁石保持部51には、その外周を凹ませた形態の保持空間52が駆動側磁石35と同じ数だけ形成されている。この複数の保持空間52には、駆動側磁石35と対応する複数の従動側磁石53が、外周面側にN極とS極が交互に並ぶように収容されている。尚、従動側磁石53は、保持空間52の開口部に取り付けたカバー54により主剤及び硬化剤と接触しないように覆い隠されている。
磁石保持部51内には、磁石保持部51と同心の円形であって磁石保持部51の上端面に開口する導出孔55が形成されている。磁石保持部51の下端部は、外径を同心状に小さくした小径部56となっている。この小径部56には、その外周面から中心に向かって径方向に穿孔した形態の4つの連通孔57が形成されており、各連通孔57は、小径部56の中心において導出孔55の下端と連通している。また、磁石保持部51の上端面には、導出孔55を包囲するように4枚の平板状をなす、羽根板58が上方へ突出するように形成されている。各羽根板58の板面は、概ね径方向に沿っているため、ロータ50が回転すると羽根板58がその板面と略直角に回転移動するようになっている。
撹拌機能部59は、磁石保持部51と同心であって小径部56よりも外径の小さい円柱状の支持脚部60と、この支持脚部60の外周に形成した複数の撹拌片61とからなる。支持脚部60の上端が磁石保持部51の小径部56の下端面に連なることで、撹拌機能部59と磁石保持部51とが一体的に回転するようになっている。支持脚部60の下端には、ボール62が、その略上半分領域を埋設する形態で固着されている。撹拌片61は、ロータ50の軸線方向(上下方向)に間隔を空けた2箇所に分けて合計8片配置されており、上側の4片の撹拌片61は周方向に等角度間隔を空けて配置され、下側の4片の撹拌片61も周方向に等角度間隔を空けて配置されている。また、各撹拌片61は平板状をなしているが、その板面は、支持脚部60の外周上において螺旋状をなすように斜めを向いている。換言すると、撹拌片61の板面は、支持脚部60の軸線方向に対して僅かに斜めに傾いている。
かかるロータ50は、ボール62を下部支持体13の上面に当接させることにより、筒体11(筒状部材10)内において筒状部材10及び駆動ギヤ30と略同心の姿勢を保ちつつ筒体11と同軸状に自由回転し得るように支持されている。かかるロータ50の磁石保持部51(小径部56を含む)は、筒体11内の磁石収容空間14内に収容され、N極を外周側に向けている従動側磁石53は、S極を内周側に向けている駆動側磁石35に対して同じ高さで対応し、S極を外周側に向けている従動側磁石53は、N極を内周側に向けている駆動側磁石35に対して同じ高さで対応している。そして、これらの対応する駆動側磁石35と従動側磁石53との間に生じる径方向の磁気吸引力により、ロータ50が駆動ギヤ30と一体となって回転するようになっている。また、この磁気吸引力は周方向において等角度間隔で作用するので、ロータ50は傾くことなく筒体11と同心の姿勢を保つ。
一方、撹拌機能部59は、撹拌空間15内に収容され、支持脚部60は、3つの中心孔18を貫くように位置している。上段側の撹拌片61は、上側のスペーサ20と対応する高さ(最も上の区画板16と中央高さの区画板16との間の高さ)の撹拌室21内に水平方向に回転し得るように収容され、下段側の撹拌片61は、下側のスペーサ20と対応する高さ(中央高さの区画板16と最も下の区画板16との間の高さ)の撹拌室21内に水平方向に回転し得るように収容されている。この状態では、撹拌片61よりも上側(主剤及び硬化剤の流れ方向における下流となる側)の近傍位置に、主剤及び硬化剤の上向きの流通を許容する流通孔17と、主剤及び硬化剤の流通を遮断する遮断部19とが周方向に隣り合うように位置していることになる。
次に、撹拌装置Mの作動を説明する。
主剤と硬化剤を混合する際には、まず、モータ42により駆動ギヤ30を回転させ、筒状部材10内でロータ50を回転させておき、この状態で、筒状部材10の収容空間14の下端部に主剤と硬化剤を交互に供給する。供給された主剤と硬化剤は、ロータ50の外側において最下段の区画板16の流通孔17、下側のスペーサ20で囲まれた撹拌室21、中央高さの区画板16の流通孔17、上側のスペーサ20で囲まれた撹拌室21、最上段の区画板16の流通孔17を順に通り、連通孔57からロータ50内の導入出孔55に流入し、流出口24aから筒状部材10(撹拌空間15)の外部へ(スタティックミキサmに向けて)流出される。
主剤と硬化剤が撹拌室21を通過する間、主剤と硬化剤が流れる方向(筒状部材10の軸線と平行な方向)に対してほぼ直角な水平方向に回転移動している複数の撹拌片61が、主剤と硬化剤の流れをほぼ直角に横切る。これにより、主剤と硬化剤は、撹拌片61により剪断されるように撹拌され、所定の比率で混合されて水性二液ウレタン塗料となる。
また、撹拌空間15内における撹拌片61よりも上流側近傍位置には、主剤と硬化剤の流通を許容する流通孔17と、主剤と硬化剤の流通を遮断する遮断部19とが周方向に隣り合うように設けられている。これにより、主剤と硬化剤は、流通孔17内を流れる間に概ね層流状となり、流通孔17を通過した直後に、撹拌片61によって流れをほぼ直角に横切るように剪断されつつ撹拌されるので、撹拌片61による剪断効果が高く、主剤と硬化剤が良好に混合される。
しかも、撹拌片61が回転移動する領域は、撹拌室21として区画されているので、撹拌室21においては、撹拌片61からの撹拌力を受けた主剤と硬化剤が撹拌室21の外部に逃げ難くなっている。これにより、主剤と硬化剤を効率良く撹拌することができる。
このようにして撹拌された水性二液ウレタン塗料は、スタティックミキサmを通過する間に更に撹拌された後、塗装ガンGに送られ、塗装ガンGから被塗物(図示せず)に塗布される。
さて、本実施形態装置によって供給される水性二液ウレタン塗料は、主剤と硬化剤が適切な混合比で混合されたときには比較的長時間(数時間)に亘って液体状を維持するが、主剤の量が少なくて硬化剤の量が多い状態で両剤が接触すると、短時間(例えば、20分程度)で急速に硬化するという特性がある。そのため、主剤用供給路Aaの下流端の流入孔22aと硬化剤用供給路Abの下流端の流入孔22bとが合流する共用供給路Bの上流端、即ち撹拌度が低い撹拌室21の下端部においては、塗装を中断したときに大量の硬化剤と少量の主剤が接触したままで停滞し、塗装中断の間に硬化してしまうことが懸念される。
しかし、本実施形態の撹拌装置Mは、塗装が停止している間も、ロータ50の回転が継続されるので、撹拌室21の下端部において少量の主剤と大量の硬化剤が混在した状態になっても、この撹拌室21内ではロータ50の回転によって主剤と硬化剤が撹拌され続けられる。したがって、少量の主剤と大量の硬化剤が接触したまで停滞することがなく、主剤との硬化剤が短時間で硬化してしまうことが防止される。
また、撹拌装置Mにおいては、筒状部材10内に収容されているロータ50に回転力を伝える手段として、ロータ50に一体回転するように設けた伝達部材を筒状部材10の外部へ貫通させ、この伝達部材に回転力を付与する構造が考えられる。しかし、このように回転する伝達部材が筒状部材10を貫通する構造では、伝達部材の貫通部分の隙間に浸入した混合塗料が高粘度化して固着することや、この隙間に浸入した硬化剤が装置外の水分との接触によって硬化することが原因となり、ロータ50の回転に支障を来たすことが懸念される。
その点、本実施形態では、ロータ50に回転力を付与する手段として、磁力を利用しているので、上記のような混合塗料の高粘度化や硬化剤の硬化に起因するロータ50の回転不良を回避することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では撹拌片よりも上流側近傍位置に、主剤及び硬化剤の流通を許容する流通孔と、主剤及び硬化剤の流通を遮断する遮断部とを周方向に隣り合うように設け、流通孔内を概ね層流状に流れた主剤及び硬化剤が流通孔を通過した直後に、撹拌片が概ね層流状の主剤及び硬化剤を横切るようにしたが、本発明によれば、このような流通孔と遮断部を設けない構成としてもよい。
(2)上記実施形態では撹拌片を主剤及び硬化剤の流通方向に間隔を空けて複数設けたが、本発明によれば、撹拌片は、主剤及び硬化剤の流通方向における1箇所のみに設けてもよい。
(3)上記実施形態では複数の撹拌片と複数の遮断部(流通孔)を主剤及び硬化剤の流通方向において交互に配置したが、本発明によれば、撹拌片と遮断部(流通孔)のうち少なくともいずれか一方は1つだけとしてもよい。
(4)上記実施形態では撹拌片を従動側回転部材の外周面に設けたが、本発明によれば、従動側回転部材を筒状にしてその内周に撹拌片を設けてもよい。
(5)上記実施形態では流通孔と遮断部の数を4つずつしたが、本発明によれば、これらの数は、3つ以下でもよく、5つ以上でもよい。
(6)上記実施形態では撹拌装置の下流側にスタティックミキサを設けたが、本発明によれば、スタティックミキサを設けない構成としてもよい。
実施形態1の全体構成図 撹拌装置の断面図 筒状部材を構成する筒体の断面図 筒体の平面図 駆動側回転部材(駆動ギヤ)を構成する磁石保持体の断面図 従動側回転部材(ロータ)の正面図 従動側回転部材(ロータ)の断面図 従動側回転部材(ロータ)の平面図 従動側回転部材(ロータ)の底面図
符号の説明
Aa…主剤用供給路
Ab…硬化剤用供給路
B…共用供給路
G…塗装ガン
M…撹拌装置
10…筒状部材
15…撹拌空間
30…駆動側回転部材(駆動ギヤ)
35…駆動側磁石
50…従動側回転部材(ロータ)
53…従動側磁石
61…撹拌片

Claims (3)

  1. 主剤と硬化剤を混合して得られた水性二液ウレタン塗料を塗装ガンに供給する装置であって、
    主剤専用の主剤用供給路の下流端と硬化剤専用の硬化剤用供給路の下流端が共用供給路に接続され、
    前記共用供給路の上流端に、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続可能な撹拌装置が設けられていることを特徴とする水性二液ウレタン塗料の供給装置。
  2. 前記撹拌装置は、
    内部に主剤と硬化剤を一方向に流通させるための撹拌空間が設けられている筒状部材と、
    駆動側磁石を有し、前記撹拌空間内における主剤及び硬化剤の流通方向と略平行な軸を中心として前記筒状部材の外周に沿って回転駆動する駆動側回転部材と、
    従動側磁石と撹拌片とを有し、前記駆動側回転部材と略同軸に回転し得るように前記筒状部材内に設けられた従動側回転部材とを備え、
    前記駆動側磁石と前記従動側磁石との間の磁気吸引力により、前記従動側回転部材が前記回転駆動部材と一体となって回転することで、前記撹拌片が前記撹拌空間内で主剤及び硬化剤の流通方向と交差する方向に回転する構成とされていることを特徴とする請求項1記載の水性二液ウレタン塗料の供給装置。
  3. 主剤と硬化剤を混合して得られた水性二液ウレタン塗料を塗装ガンに供給する方法であって、
    主剤専用の主剤用供給路の下流端と硬化剤専用の硬化剤用供給路の下流端を共用供給路に接続する構造とした上で、
    前記共用供給路の上流端において、主剤の供給と硬化剤の供給が停止した状態においても撹拌動作を継続することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水性二液ウレタン塗料の供給方法。
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