JP2007041264A - 液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電極面に配向制御構造物として突起部を設けた場合に、その突起部に起因する漏れ光の発生を抑制することができる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供する。
【解決手段】 対向する一対の基板間に、負の誘電率異方性を有する液晶層30を挟持してなる液晶装置1の製造方法であって、前記一対の基板の対向する面側に下側電極11及び上側電極21を形成すると共に、その下側電極11又は上側電極21に誘電体突起12,22を形成する工程と、下側電極11、上側電極21及び誘電体突起12,22の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜について多孔質処理して配向膜(陽極酸化膜)を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 対向する一対の基板間に、負の誘電率異方性を有する液晶層30を挟持してなる液晶装置1の製造方法であって、前記一対の基板の対向する面側に下側電極11及び上側電極21を形成すると共に、その下側電極11又は上側電極21に誘電体突起12,22を形成する工程と、下側電極11、上側電極21及び誘電体突起12,22の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜について多孔質処理して配向膜(陽極酸化膜)を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器に関するものである。特に、本発明は、誘電体突起等の突起部により垂直配向液晶を制御するMVA(Multidomain Vertical Alignment)液晶装置において、突起部上の光漏れを抑制し、高コントラストな表示を実現することができる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器に関する。
近年、垂直配向した液晶モードを備えた液晶装置が実用化されている。この種の液晶装置では、基板に対して垂直配向した液晶が電圧印加時に倒れる方向を適切に制御する必要がある。その配向制御をするために従来の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板の対向面に電極を設け、その電極に、スリット(切欠部)又は突起からなる配向制御構造物を設けることがなされている。
また、従来の液晶装置は、対向表面側に電極を有した2枚の基板が、負の誘電率異方性を有する液晶よりなる液晶層を挟んで上下に貼り合わされ、これら両電極の対向部分において形成された表示画素が複数配置されてなる液晶装置において、前記基板の液晶層との接触表面には、液晶の初期配向を垂直にする垂直配向膜が形成されており、前記基板の前記表示画素内には、前記液晶層との接触表面が隆起または陥没されてなる配向制御傾斜部が設けられ、該配向制御傾斜部により液晶の配向方向を制御したことを特徴とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許第3005418号公報
しかしながら、上記従来の液晶装置は、配向制御手段を有し、液晶配向のマルチドメイン化を行い、広視野角な液晶装置を図っているが、配向制御傾斜部は液晶分子が基板面に対して傾斜配向しているので、クロス偏光板間で複屈折を生じ漏れ光が発生するという問題点があった。この漏れ光により、従来の液晶装置は、コントラストの低下及び視角の低減が生じてしまう。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、電極面に配向制御構造物として突起部を設けた場合に、その突起部に起因する漏れ光の発生を抑制することができる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、高コントラストかつ広視角な液晶装置であって、耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、高コントラストかつ広視角な液晶装置であって、耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置の製造方法は、対向する一対の基板間に、負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の対向する面側に電極を形成すると共に、該一対の基板の少なくとも一方の電極に、前記液晶層に対して突起した誘電体(絶縁体)からなる突起部を形成する工程と、前記電極および前記突起部の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜を多孔質処理する工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、多孔質処理する工程により、金属膜に多数の微細孔を形成することができ、その多数の微細孔によって液晶の配向を制御する構造とすることができる。さらに本発明の多孔質を処理する工程では、金属膜における誘電体(絶縁体)の突起部の近傍では微細孔が形成されるが、金属膜全ては陽極酸化されず、突起部の近傍以外の領域に微細孔が形成されることとすることができる。これにより、突起上の透過率を低く抑え、漏れ光を減少することができる。
すなわち、電極上の金属膜は、下地の電極と電気的に良好に接続しているので、多孔質を処理する工程(陽極酸化など)で多数の微細孔を形成することができる。一方、突起部上の金属膜は、下地の電極の間に絶縁体の突起部があり、その電極と電気的に接続していないので、多孔質を処理する工程(陽極酸化など)では微細孔が形成されない島状の領域とすることができる。
これにより、突起部では光の透過率が突起部以外の領域に比べて大幅に小さくなり、その突起部での漏れ光の量を大幅に低減することができる。したがって、本発明は、従来よりも、高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。
本発明によれば、多孔質処理する工程により、金属膜に多数の微細孔を形成することができ、その多数の微細孔によって液晶の配向を制御する構造とすることができる。さらに本発明の多孔質を処理する工程では、金属膜における誘電体(絶縁体)の突起部の近傍では微細孔が形成されるが、金属膜全ては陽極酸化されず、突起部の近傍以外の領域に微細孔が形成されることとすることができる。これにより、突起上の透過率を低く抑え、漏れ光を減少することができる。
すなわち、電極上の金属膜は、下地の電極と電気的に良好に接続しているので、多孔質を処理する工程(陽極酸化など)で多数の微細孔を形成することができる。一方、突起部上の金属膜は、下地の電極の間に絶縁体の突起部があり、その電極と電気的に接続していないので、多孔質を処理する工程(陽極酸化など)では微細孔が形成されない島状の領域とすることができる。
これにより、突起部では光の透過率が突起部以外の領域に比べて大幅に小さくなり、その突起部での漏れ光の量を大幅に低減することができる。したがって、本発明は、従来よりも、高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記金属膜を多孔質処理する工程においては、該多孔質処理の後期に処理されない金属膜を部分的に残す工程を含むことが好ましい。
本発明によれば、多孔質処理の後期に処理されない金属膜を部分的に残す工程により、突起部近傍の金属膜が部分的に残り、突起上の透過率を低く抑え、漏れ光を減少することができる。
本発明によれば、多孔質処理の後期に処理されない金属膜を部分的に残す工程により、突起部近傍の金属膜が部分的に残り、突起上の透過率を低く抑え、漏れ光を減少することができる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記電極が透明電極であり、前記突起部が、ノボラック系樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂のいずれかからなることが好ましい。
本発明によれば、誘電体の突起部を金属膜に形成することができ、その突起部での漏れ光を大幅に低減した液晶装置を簡便に製造することができる。
また、本発明においては、液晶層を挟持する一対の基板の一方基板の電極は、透明電極に代えて、高反射率の金属電極であってもよい。
本発明によれば、誘電体の突起部を金属膜に形成することができ、その突起部での漏れ光を大幅に低減した液晶装置を簡便に製造することができる。
また、本発明においては、液晶層を挟持する一対の基板の一方基板の電極は、透明電極に代えて、高反射率の金属電極であってもよい。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記多孔質処理が、電解液を用いて前記金属膜を陽極酸化することにより、前記基板の表面に、前記液晶を配向させるための複数の微細孔を有する陽極酸化膜を形成する処理であることが好ましい。
一般に、金属膜を陽極酸化した場合、その陽極酸化の条件を変えることによって緻密で欠陥のない膜から多孔質な膜まで様々な膜を形成することができる。例えば大きな電流で短時間陽極酸化を行なった場合には、多数の微細孔がランダムに開孔した多孔質膜が形成され、逆に小さな電流で長時間陽極酸化を行なった場合には、緻密で欠陥のない膜が形成される。また、その中間の条件をとった場合には、多数の微細孔が規則的に配列した2次元配列構造を有する多孔質膜が形成されるようになる。本方法は、陽極酸化法を用いて基板の表面に多孔質の陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜の表面に形成された多数の微細孔によって液晶の配向を制御するようにしたものである。
本方法によれば、液晶が微細孔の内周面に沿って確実に配向されるため、高い配向能力を実現することができる。また、この配向膜は無機材料からなるため、ポリイミド等の有機配向膜に比べて耐光性や耐溶剤性に優れており、又、微細孔で液晶配向を実現している(即ち、形状配向膜の一種である)ので、安定した配向が得られる。さらに、陽極酸化法を用いることで製造装置を小型化でき、斜方蒸着のように蒸着源からの角度依存性がないので配向ムラが生じることもない。また、陽極酸化法を用いた場合には、前記微細孔のピッチ,サイズ,形状,深さ等を陽極酸化の条件によって調節することができるため、最適化によって安定な配向状態を容易に実現することが可能である。
さらに、本発明によれば、誘電体(絶縁体)の突起部の近傍では微細孔が形成されるが、突起部の近傍以外の領域に微細孔が形成されることとすることができる。そこで、本発明は、突起部での漏れ光の量を大幅に低減することができ、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を製造することができる。
一般に、金属膜を陽極酸化した場合、その陽極酸化の条件を変えることによって緻密で欠陥のない膜から多孔質な膜まで様々な膜を形成することができる。例えば大きな電流で短時間陽極酸化を行なった場合には、多数の微細孔がランダムに開孔した多孔質膜が形成され、逆に小さな電流で長時間陽極酸化を行なった場合には、緻密で欠陥のない膜が形成される。また、その中間の条件をとった場合には、多数の微細孔が規則的に配列した2次元配列構造を有する多孔質膜が形成されるようになる。本方法は、陽極酸化法を用いて基板の表面に多孔質の陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜の表面に形成された多数の微細孔によって液晶の配向を制御するようにしたものである。
本方法によれば、液晶が微細孔の内周面に沿って確実に配向されるため、高い配向能力を実現することができる。また、この配向膜は無機材料からなるため、ポリイミド等の有機配向膜に比べて耐光性や耐溶剤性に優れており、又、微細孔で液晶配向を実現している(即ち、形状配向膜の一種である)ので、安定した配向が得られる。さらに、陽極酸化法を用いることで製造装置を小型化でき、斜方蒸着のように蒸着源からの角度依存性がないので配向ムラが生じることもない。また、陽極酸化法を用いた場合には、前記微細孔のピッチ,サイズ,形状,深さ等を陽極酸化の条件によって調節することができるため、最適化によって安定な配向状態を容易に実現することが可能である。
さらに、本発明によれば、誘電体(絶縁体)の突起部の近傍では微細孔が形成されるが、突起部の近傍以外の領域に微細孔が形成されることとすることができる。そこで、本発明は、突起部での漏れ光の量を大幅に低減することができ、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を製造することができる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記金属膜が、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、又はこれらのいずれかの合金からなることが好ましい。
前記金属膜としては、この他にタングステン(Ta)、チタン(Ti)等のいわゆるバルブ金属と呼ばれるものやその合金を使用することができるが、この中でもアルミニウムは前記のような微細孔を形成しやすい。また、金属膜として、例えば、アルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナの陽極酸化皮膜(配向膜)は無機膜であるため、従来技術の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を実現することができる。
前記金属膜としては、この他にタングステン(Ta)、チタン(Ti)等のいわゆるバルブ金属と呼ばれるものやその合金を使用することができるが、この中でもアルミニウムは前記のような微細孔を形成しやすい。また、金属膜として、例えば、アルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナの陽極酸化皮膜(配向膜)は無機膜であるため、従来技術の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を実現することができる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記電解液が、シュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸などの酸性の電解液からなることが好ましい。
本発明によれば、前記陽極酸化を良好に実行でき、高い配向能力をもつ微細孔を金属膜に形成することができる。
本発明によれば、前記陽極酸化を良好に実行でき、高い配向能力をもつ微細孔を金属膜に形成することができる。
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記一対の基板における一方の基板の電極の表面に、有機配向膜を形成する工程を備えたことが好ましい。
本発明によれば、例えば、液晶層を挟持する一対の基板における一方の基板の電極には有機配向膜を形成し、他方の基板の電極には金属膜を多孔質処理してなる配向膜を形成することができる。そこで、他方の基板の配向膜では、耐溶液性、耐光性などの信頼性を高めながら、突起部での漏れ光の量を大幅に低減でき、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を製造することができる。
本発明によれば、例えば、液晶層を挟持する一対の基板における一方の基板の電極には有機配向膜を形成し、他方の基板の電極には金属膜を多孔質処理してなる配向膜を形成することができる。そこで、他方の基板の配向膜では、耐溶液性、耐光性などの信頼性を高めながら、突起部での漏れ光の量を大幅に低減でき、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を製造することができる。
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置は、前記製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする。
本発明によれば、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。また、例えば、金属膜としてアルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナの陽極酸化皮膜は無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を提供することができる。
本発明によれば、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。また、例えば、金属膜としてアルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナの陽極酸化皮膜は無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を提供することができる。
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置は、対向する一対の基板間に、負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持してなる液晶装置であって、前記一対の基板の対向する面側に形成された電極と、前記電極における液晶層側に形成された誘電体(絶縁体)からなる突起部と、前記電極および前記突起部の表面上に、液晶を配向させるための複数の微細孔が形成された金属膜とを有し、前記金属膜は、前記突起部の表面上に多孔質処理されない部分を有することを特徴とする。
本発明によれば、突起部での漏れ光の量を大幅に低減でき、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。また、例えば、金属膜としてアルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナ陽極酸化皮膜は無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を提供することができる。
本発明によれば、突起部での漏れ光の量を大幅に低減でき、従来よりも高コントラストかつ広視角の液晶装置を実現することができる。また、例えば、金属膜としてアルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナ陽極酸化皮膜は無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を提供することができる。
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記液晶装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、高コントラストかつ広視角の液晶装置を備え、また、耐溶剤性、耐光性などの信頼性にも優れた電子機器を提供することができる。
本発明によれば、高コントラストかつ広視角の液晶装置を備え、また、耐溶剤性、耐光性などの信頼性にも優れた電子機器を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層及び各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層及び各部材毎に縮尺を相違させてある。
[第1実施形態][液晶装置]
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。図1に示す液晶装置1は、ガラス等からなる2枚の基板(下側基板10と上側基板20)、該基板の内面に設けられた液晶駆動用の透明電極であるITO電極(下側電極11と上側電極21)、液晶制御用のノボラック系樹脂からなる誘電体突起(突起部:配向制御構造物)12,22、Al(アルミニウム)を酸溶液中で陽極酸化することで作成したポーラスアルミナの配向膜13,23、誘電率異方性が負のネマティック液晶Lからなる。すなわち、ネマティック液晶Lからなる液晶層30は、下側基板10と上側基板20とで挟持されている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。図1に示す液晶装置1は、ガラス等からなる2枚の基板(下側基板10と上側基板20)、該基板の内面に設けられた液晶駆動用の透明電極であるITO電極(下側電極11と上側電極21)、液晶制御用のノボラック系樹脂からなる誘電体突起(突起部:配向制御構造物)12,22、Al(アルミニウム)を酸溶液中で陽極酸化することで作成したポーラスアルミナの配向膜13,23、誘電率異方性が負のネマティック液晶Lからなる。すなわち、ネマティック液晶Lからなる液晶層30は、下側基板10と上側基板20とで挟持されている。
なお、誘電体突起12、22は、例えば幅が5μm、突起の高さが0.5μm程度のものである。また、誘電体突起12,22は、その材質が絶縁体であればよい。
このような構成により、下側電極11と上側電極21との間に電圧を印加すると、誘電体突起12,22によって液晶の倒れる方向(動作方向)を制御することができる。
つまり、係る構成の液晶装置1では、液晶層30を構成する液晶分子Lは、両電極11,21に電圧が印加されていない状態(非選択状態、初期配向状態)では、配向膜13,23の配向規制力によって基板10,20に対して概ね垂直方向に配向し、前記両電極間に電圧が印加される(選択状態とされる)と、基板10,20の面方向に向かって倒れるように動作する。よって、この液晶装置1を、偏光方向をクロスした2枚の偏光板で挟み込めば、非選択状態において黒表示、選択状態において白表示を実現することができる。
しかしながら、従来技術のように、突起部にポリイミドからなる垂直配向性配向膜を形成すると、突起傾斜部では液晶分子が基板面に対して傾いて配向するので、この液晶パネルをクロス偏光板間に配置すると複屈折により漏れ光が生じてしまう。
そこで、本発明の液晶装置では、誘電体突起12,22を形成したITO電極(下側電極11と上側電極21)上にAl膜(金属膜)をスパッタ法で形成した後、例えば、硫酸水溶液中で陽極酸化してポーラスアルミナの配向膜(陽極酸化膜)13,23を形成している。この場合、ITO電極11,21上のAl膜は、下地のITO電極11,21と電気的に接続しているので、Al膜の全てが陽極酸化によりアルミナになる。このポーラスアルミナ膜は光透過率が例えば98%である。しかし、誘電体突起12,22上のAl膜は、陽極酸化の終期に島状に孤立(電気的に絶縁されて)してしまいAl膜の全てがアルミナにならず、Alのままの部分が残る。このため表面はポーラスアルミナであるが誘電体突起12,22の表面近傍はAl膜が島状の薄膜として残り、その光透過率は40%程度となる。このため、液晶装置1は、誘電体突起12,22の近傍の光漏れ部Aにおける光漏れを低減することが可能になる。
例えば、一例として、従来のポリイミド配向膜を用いたときは光漏れによりコントラスト比が1:208であったが、本発明の液晶装置ではコントラスト比が1:333とすることができた。
また、誘電体突起部分を遮光膜で覆い、漏れ光を遮蔽する方法もあるが、この遮光膜を使用する方法では、遮光膜と誘電体突起部分との位置合わせが必要となる。しかしながら、本発明においては、配向膜(陽極酸化膜)の生成時に、誘電体突起の表面部分に金属膜を残し遮光するので、位置合わせの必要がない利点がある。
なお、誘電体突起12,22の誘電率と液晶Lの誘電率とが所定の関係を持つようにすることにより、液晶Lの配向制御を良好に行うことができるが、これについては、本発明の主眼とする所ではないので、その説明は省略する。
[液晶装置の製造方法]
次に、図2、図3を参照しながら、本発明の液晶装置の製造方法の一例について説明する。図2は基板に配向膜を形成する工程の一例を示す模式図、図3は陽極酸化膜の構造を示す模式図である。
次に、図2、図3を参照しながら、本発明の液晶装置の製造方法の一例について説明する。図2は基板に配向膜を形成する工程の一例を示す模式図、図3は陽極酸化膜の構造を示す模式図である。
本方法ではまず、図2に示すように、下側電極(ITO電極)11と誘電体突起12を備えた基板10の全面に陽極酸化可能な金属膜M1を形成し、アセトン等で脱脂処理を行なった後、所定の電解液Eを用いて前記金属膜M1を陽極酸化する。
ここで、基板10や電極11としては公知のものを用いることができる。本例では、透過表示を行なうために、例えば基板10をガラス等の透光性基板とし、電極11をITO等の透光性導電膜とする。基板10には、必要に応じて、画素スイッチング用の回路やカラーフィルタ等を形成することができる。金属膜M1としては、アルミニウム(Al),タングステン(Ta),チタン(Ti),マグネシウム(Mg)等のいわゆるバルブ金属と呼ばれるものやその合金を使用することができる。中でもアルミニウムは規則的な細孔配列構造を形成し易いため、本例では前記金属膜M1としてアルミニウムを用いる。この金属膜M1は、例えば、純度99.99%のアルミニウムをスパッタ等により基板10上に200nm程度堆積させることにより得られる。また、前記電解液Eとしては、シュウ酸,リン酸,硫酸,クロム酸等の弱酸性の電解液が好適である。本例では、0.3M(mol/l)の硫酸水溶液を用いる。
陽極酸化は、例えば以下の条件で行なう。電解液Eの液温:20℃、印加電圧:直流10mA/dm2を流す電圧V、陰極M2:白金(Pt)、陽極酸化時間:1時間。このような陽極酸化処理を行なうと、金属膜M1の表面には、電気分解反応によって微細な孔が垂直に開いていく。そして、反応の進行に伴って、金属膜M1(Al)の表面にナノメートルスケールの小さな孔(ナノホール)が規則的に配列した酸化アルミニウムの薄い陽極酸化膜13aが形成される。これは、酸化によってアルミニウム膜(陽極酸化膜)13aの体積が増加し、これによって生じた膜中のストレスを緩和するように、前記孔が自己組織的に再配列されることによる。そして更に反応を進めていくと、前記孔は孔径を広げながら下層側に延びていき、最終的に、下地の層(ITO電極11)まで貫通したナノホールアレイ(ポーラスアルミナの配向膜13,23)が形成される。
図3は、陽極酸化膜13aの概略構造を示す模式図である。この陽極酸化膜13aは、セルと呼ばれる一定サイズの円柱状のアルミナ層Cが細密充填した構造からなる。各セルCの中心には均一な径の微細孔(ポア)Pが開孔しており、この微細孔Pが膜面に垂直に配向して配列するという特異な幾何学構造となっている。各微細孔Pのピッチ(即ち、セルCのサイズ),サイズ,深さ、下地のアルミニウムの残存率は、電解液Eの濃度,温度、陽極酸化時の電圧,電流密度,時間を変えることによって制御することができる。また、適切な条件を選択することで、これらの微細孔Pが、形状,サイズ,深さ等において均一で、且つこれらが長距離にわたって一定のピッチで規則配列したホールアレイ構造を形成することが可能である。このような構造を作ることで、均一な配向が得られるようになる。なお、図4は、陽極酸化膜の実例を示す図であり、陽極酸化膜13aの構造をSEM写真で示したものである。図4(a)は、陽極酸化膜の断面形状を示し、図4(b)は、陽極酸化膜の表面形状を示している。
ところで、誘電体突起12の表面に接する金属膜M1の部分の陽極酸化については、上述した説明とは事情が異なる。誘電体突起12に接するAl膜の部分は、下側電極(ITO電極)11に直接接しておらず、周囲の金属膜(Al膜)M1から電流の供給を受けて陽極酸化を行うことになる。このため、陽極酸化の初期には、周囲のAl膜の陽極酸化が十分になされていないため(絶縁体になっていないため)、誘電体突起12に接するAl膜の部分は、周囲から電流の供給を受けて陽極酸化を行うことができるが、陽極酸化の終期では、周囲のAl膜が十分に陽極酸化され、電流の供給を受けることができなくなる。
従って、誘電体突起12上のAl膜は、陽極酸化終期には島状に孤立してしまい、Al膜の全てが陽極酸化されず、Al部分が残る。このため、誘電体突起12に接する金属膜M1は、表面は陽極酸化されているが誘電体突起12の表面近傍はAlのままとなる。
次に、同様の方法を用いて上基板20に配向膜23を形成する。そして、これらの基板10,20を用いて空セルを作製し、この空セルの中に誘電異方性が負の液晶を充填(例えば真空注入)する。以上により、液晶装置1が製造される。
このように、本実施形態の液晶装置1においては、誘電体突起12,22における光透過率を低下させるようにポーラスアルミナの配向膜13,23を形成するようにしたので、これにより、高コントラストかつ広視角の液晶装置1を実現することができる。また、ポーラスアルミナの配向膜13,23は無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置1を提供することができる。
[第2実施形態][液晶装置]
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る液晶装置2を示す模式断面図である。本実施形態において、前記第1実施形態の液晶装置1(図1参照)と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶装置について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る液晶装置2を示す模式断面図である。本実施形態において、前記第1実施形態の液晶装置1(図1参照)と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示す液晶装置2においては、第1実施形態と同様な方法で徴細孔を持つポーラスアルミナの配向膜13を形成した下側基板10と、部分的にITO電極である上側電極21にスリットを形成し垂直配向性ポリイミド配向膜24を形成した上側基板20とで液晶装置を形成する。
例えば、上下基板にポリイミド配向膜を形成した液晶装置をクロス偏光板間に配置したときのコントラスト比は1:303であり、これに対して、本実施形態の液晶装置2をクロス偏光板間に配置したときのコントラスト比は1:417とすることができる。
本実施形態においても、誘電体突起12での透過率を低下させるポーラスアルミナの配向膜13を形成したので、高コントラストかつ広視角の液晶装置2を実現することができる。また、液晶装置2は、ポーラスアルミナの配向膜13が無機膜であるため、従来の液晶装置で用いられるポリイミド有機膜の配向膜よりも、耐溶液性、耐光性などの信頼性を高めることができる。
また、本実施形態の液晶装置2は、一方の基板の配向膜を配向能力に優れるポリイミド等の有機配向膜としているので、信頼性を高めながら、第1実施形態の液晶装置1よりもコントラスト比及び視角を高めることができる。
また、本実施形態の液晶装置2は、一方の基板の配向膜を配向能力に優れるポリイミド等の有機配向膜としているので、信頼性を高めながら、第1実施形態の液晶装置1よりもコントラスト比及び視角を高めることができる。
[第3実施形態][液晶装置]
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶装置について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置3を示す模式断面図である。本実施形態において、前記第1実施形態の液晶装置1(図1参照)と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、液晶装置3において、下側基板10側の電極を高反射率の金属電極14とした点のみである。このような構成により、反射型の液晶装置に本発明を適用することができる。
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶装置について説明する。図6は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置3を示す模式断面図である。本実施形態において、前記第1実施形態の液晶装置1(図1参照)と同様の部材又は部位については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施形態において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、液晶装置3において、下側基板10側の電極を高反射率の金属電極14とした点のみである。このような構成により、反射型の液晶装置に本発明を適用することができる。
[第4実施形態][電子機器]
図7は、本発明の実施形態に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図7(a)に示す携帯電話100は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部101として備えて構成されている。図7(b)に示す腕時計110は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部111として備えて構成されている。図7(c)に示すパーソナルコンピュータ120は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部121として備えて構成されている。このような構成により、高コントラストかつ寿命の長い液晶表示部を備えた電子機器を提供できる。
図7は、本発明の実施形態に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図7(a)に示す携帯電話100は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部101として備えて構成されている。図7(b)に示す腕時計110は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部111として備えて構成されている。図7(c)に示すパーソナルコンピュータ120は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部121として備えて構成されている。このような構成により、高コントラストかつ寿命の長い液晶表示部を備えた電子機器を提供できる。
図8は、本発明の第1実施形態の液晶装置1(図1参照)を使用した投射型表示装置の一例である3板式のカラー液晶プロジェクタの概略構成を示す図である。この図において、210は光源、213,214はダイクロイックミラー、215,216,217は反射ミラー、218は入射レンズ、219はリレーレンズ、220は出射レンズ、222,223,224は透過型液晶ライトバルブ、225はクロスダイクロイックプリズム、226は投射レンズを示す。
光源210はメタルハライド等のランプ211とランプの光を反射するリフレクタ212とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー213は、光源210からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー217で反射されて、前記第1実施形態の液晶装置1を備えた赤色光用液晶ライトバルブ222に入射される。
一方、ダイクロイックミラー213で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー214によって反射され、前記第1実施形態の液晶装置1を備えた緑色光用液晶ライトバルブ223に入射される。
なお、青色光は第2のダイクロイックミラー214も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ218、リレーレンズ219、出射レンズ220を含むリレーレンズ系からなる導光手段221が設けられ、これを介して青色光が前記第1実施形態の液晶装置1を備えた青色光用液晶ライトバルブ224に入射される。赤色光用液晶ライトバルブ222、緑色光用液晶ライトバルブ223、青色光用液晶ライトバルブ224の前後にはそれぞれ入射側偏光板と出射側偏光板が設置されている。入射側偏光板で直線偏光となった光は液晶ライトバルブにより変調された後、出射側偏光板を通過するが、この時決められた振動方向の光しか透過できないため調光が可能となる。
各液晶ライトバルブと2枚の偏光板により調光された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム225に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ226によってスクリーン227上に投写され、画像が拡大されて表示される。
本例の投射型表示装置は、前記第1実施形態の液晶装置1を備えたものであるので、高コントラストな画像の投射を可能とすることができ、耐光性などの信頼性を高めることもできる。なお、図8に示す例では、赤色光用,緑色光用,青色光用の各液晶ライトバルブに前記第1実施形態の液晶装置1を用いたが、係る液晶装置は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、耐光性の向上等を図ることができる。この場合、特に光のエネルギーが高い青色光用の液晶ライトバルブに適用するのが効果的である。
プロジェクタのように非常に強い光が入射する液晶セルの配向膜を本発明の陽極酸化皮膜にすることによって、長寿命化を図ることができる。特に光のエネルギーが高い青(B)に用いれば、非常に効果が大きい。従来、ポリイミド有機膜を配向膜に用いた場合は2000時間であった寿命を10000時間以上にすることができる。また、同時に高コントラストな表示を実現できる。
図9は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置3を使用した投射型表示装置の一例である3板式のカラー液晶プロジェクタの概略構成を示す図である。
本例の液晶プロジェクタは、システム光軸Lに沿って配置した光源部310,インテグレータレンズ320、偏光変換素子330から概略構成される偏光照明装置300、この偏光照明装置300から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面341により反射させる偏光ビームスプリッタ340、偏光ビームスプリッタ340のS偏光光束反射面341から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロックミラー342、分離された青色光(B)を変調する反射型液晶ライトバルブ345B、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロックミラー343、分離された赤色光(R)を変調する反射型液晶ライトバルブ345R、ダイクロックミラー343を通過する残りの光の緑色光(G)を変調する反射型液晶ライトバルブ345G、3つの反射型液晶ライトバルブ345R,345G,345Bにて変調された光をダイクロックミラー343,342、偏光ビームスプリッタ340にて合成し、この合成光をスクリーン360に投写する投写レンズからなる投写光学系350から構成されている。前記3つの反射型液晶ライトバルブ345R,345G,345Bには、それぞれ前述の第3実施形態の液晶装置3(図6参照)が用いられている。
光源部310から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレータレンズ320により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子330により偏光光束がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッタ340に至るようになっている。偏光変換素子330から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッタ340のS偏光光束反射面341によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロックミラー342の青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ345Bによって変調される。また、ダイクロックミラー342の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロックミラー343の赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ345Rによって変調される。一方、ダイクロックミラー343の赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ345Gにより変調される。以上のようにして反射型液晶ライトバルブ345R,345G,345Bによって色光の変調がなされる。
これらの液晶パネルの画素から反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ340を通過せず、P偏光成分は通過する。この偏光ビームスプリッタ340を透過した光により画像が形成される。
本例の投射型表示装置は、前記第3実施形態の液晶装置3を備えたものであるので、高コントラストな画像の投射を可能とすることができる。なお、図9に示す例では、赤色光用、緑色光用、青色光用の各液晶ライトバルブに前記第3実施形態の液晶装置を用いたが係る液晶装置は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、耐久性の向上を図ることができる。この場合、特に光のエネルギーが高い青色光用の液晶ライトバルブに適用するのが効果的である。
プロジェクタのように非常に強い光が入射する液晶セルの配向膜を本発明の陽極酸化皮膜にすることによって、長寿命化を図ることができる。特に光のエネルギーが高い青(B)に用いれば、非常に効果が大きい。従来、ポリイミド有機膜を配向膜に用いた場合は2000時間であった寿命を10000時間以上にすることができる。また、同時に高コントラストな表示を実現できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。例えば、前記各実施形態の液晶装置は、前述した例に限らず、その他の種々の電子機器に搭載することができる。この電子機器としては例えば、電子ブック、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等があり、前記液晶装置はこれらの画像表示手段として好適に用いることができる。また、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態の液晶装置1,2,3は、アクティブマトリクス型若しくはパッシブ型のいずれの構造をとってもよい。アクティブマトリクス型の構造を採る場合には、画素スイッチング素子として、TFT(Thin Film Transistor;三端子素子)又はTFD(Thin Film Diode;二端子素子)のいずれを用いることもできる。また、上記実施形態の液晶装置1,2,3は、透過型若しくは反射型のいずれの構造であってもよく、さらに、これらの基板には必要に応じてカラーフィルタを設けた構成としてもよい。
1,2,3…液晶装置、10…下側基板、11…下側電極(ITO電極)、12,22…誘電体突起(突起部)、13,23…配向膜(陽極酸化膜)、14…金属電極(反射電極)、20…上側基板、21…上側電極(ITO電極)、24…垂直配向性ポリイミド配向膜、30…液晶層
Claims (10)
- 対向する一対の基板間に、負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板の対向する面側に電極を形成すると共に、該一対の基板の少なくとも一方の電極に、前記液晶層に対して突起した誘電体からなる突起部を形成する工程と、
前記電極および前記突起部の表面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を多孔質処理する工程とを含むことを特徴とする液晶装置の製造方法。 - 前記金属膜を多孔質処理する工程においては、該多孔質処理の後期に処理されない金属膜を突起部の表面に残す工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。 - 前記電極は、透明電極であり、
前記突起部は、ノボラック系樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂のいずれかからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置の製造方法。 - 前記多孔質処理は、電解液を用いて前記金属膜を陽極酸化することにより、前記基板の表面に、前記液晶を配向させるための複数の微細孔を有する陽極酸化膜を形成する処理であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記金属膜は、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらのいずれかの合金からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記電解液は、シュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸などの酸性の電解液からなることを特徴とする、請求項4又は5に記載の液晶装置の製造方法。
- 前記一対の基板における一方の基板の電極の表面に、有機配向膜を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする液晶装置。
- 対向する一対の基板間に、
負の誘電率異方性を有する液晶層を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板の対向する面側に形成された電極と、
前記電極における液晶層側に形成された誘電体からなる突起部と、
前記電極および前記突起部の表面上に、液晶を配向させるための複数の微細孔が形成された金属膜とを有し、
前記金属膜は、前記突起部の表面上に多孔質処理されない部分を有することを特徴とする液晶装置。 - 請求項1から7のいずれかの請求項に記載の製造方法を用いて製造された液晶装置、あるいは請求項8又は9に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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