JP3794187B2 - 液晶装置、電子機器、投射型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ,携帯型ゲーム機等の電子機器の表示装置などに用いられる液晶装置およびそれらの電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノート型パーソナルコンピュータ,携帯型ゲーム機や電子手帳などの種々の電子機器には表示部として薄型軽量で消費電力の少ない液晶装置が多用されている。
【0003】
液晶装置としては、電界効果型の旋光モードおよび複屈折モードによる液晶表示を応用したものが一般的であり、いずれもガラス基板に対して垂直方向の縦電界によって液晶分子の動きを制御していた。
【0004】
しかしながら、ガラス基板に対して垂直方向の縦電界で液晶分子を制御する方式においては、液晶分子が斜めに立ち上がった状態では、視認する者の見る角度によって光学特性が変わってしまい、階調反転を生じたり、コントラストの低下を起こすなど、視野角依存性があるという不都合があった。
【0005】
そこで、上記不都合を解決すべく、ガラス基板に対して水平方向の横電界を生成し、その横電界で液晶分子を制御する動作モード(IPS:In-Plane Switchingモード)を応用した液晶装置が開発されてきている。
【0006】
図11は、IPSモードの表示原理を示す概略図である。このIPSモードでは、一対の対向するガラス基板40a,40b間に液晶層43を挟持し、ガラス基板40aの液晶層側に形成される画素電極42aと対向電極42bとの間に横電界D(D1,D2,D3)を生成するように構成されている。
【0007】
図上、(a)は電極42a,42b間に電界がない状態を示し、(b)は電極42a,42b間に横電界Dがある状態をそれぞれ示している。この様子から分かるように電界Dがない状態では、液晶分子43aは基板面と平行に同じ方向に配向し、電界Dがある状態では、電界方向に液晶分子が配列する。このようにして、電極42a,42b間に電圧を印加したとき、上方から入射した光Lは液晶43を透過して下方へ出射するノーマリ・ブラックモードとすることができる。
【0008】
このIPSモードによれば、液晶分子はガラス基板に対して平行に回転されるため、視認する者の見る角度によって光学特性が変化する視野角依存性が抑制され、どの方向から見ても良好な画像が得られるようになった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のIPSモードでは、櫛歯状の電極がガラス基板40a上に形成されており、電極の真上に位置する液晶は電界によって制御することができない。電界により液晶の傾きを変えて光の透過状態を制御できるのは画素電極間だけである。このため開口率を大きくとることができずコントラスト等の光学特性の改善を妨げる要因の一つとなっていた。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決すべく案出されたものであり、ガラス基板に対して水平方向の均一な横電界を生成して液晶分子を正確に制御することができるとともに、散乱型の液晶装置においては、セル厚を十分にとって光学特性を高めることのできる液晶装置およびその液晶装置を備えた電子機器を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る液晶装置は、一対の基板間に液晶層を挟持し、表示用の画素を有する液晶装置において、前記一対の基板のうち一方の基板に複数の柱状電極が形成されており、前記柱状電極は第1の電極と第2の電極とからなり、
前記第1の電極は前記画素が多角形状になるように該画素の各頂点に配置されてなる。なお、前記複数の柱状電極は前記液晶層内の液晶分子の配列を制御するものである。
【0012】
これによれば、柱状電極間で生成される均一な横電界によって、液晶層の液晶分子を上記基板と水平に回転させて正確に制御することができるので、視認する者の見る角度によって光学特性が異なるという現象を大幅に低減することができ視野角依存性を改善することができる。
【0013】
また、前記柱状電極の高さは、前記液晶層の厚さにほぼ等しいように構成するとよい。これによれば、横電界の強さは基板からの距離によらず均一かつ高い平行性を保つことができるため、セル厚を厚くすることができ、IPS方式に比べて開口率を高くでき、TN方式よりも視角を広くできる。さらに、散乱モードに適用することができ、かつ散乱層を厚くとることができるため表示を明るくすることができる。
【0015】
また、前記第2の電極は前記画素のほぼ中央に配置されてなるようにするとよい。
【0016】
これにより、画素内の横電界を均一に生成することができ、また、横電界は画素の各頂点に配置される第1の電極と、前記画素の略中央に配置される第2の電極の間で発生して画素領域から漏洩するおそれが低いため、隣接する画素間で横電界が影響し合う事態を避けることができ、コントラスト等を高めることができる。
【0017】
なお、より具体的には、上記画素の形状は四角形であり、前記第1の電極はその四角形上の4つの頂点に相当する位置に配置されてなり、前記第2の電極は上記四角形の対角上の頂点を結ぶ線分の交点に相当する位置に配置されてなるように構成することができる。これにより、従来の画素形状を踏襲しつつ視野角依存性の解消し、セル厚を厚くして開口率等の光学特性を一層高めることができる。
【0018】
また、前記画素の形状が六角形であり前記第1の電極はその六角形上の6つの頂点に相当する位置に配置されてるようにすることができる。
【0019】
また、前記第2の電極は上記六角形の対角上の頂点を結ぶ線分の交点に相当する位置に配置されてなるように構成することができる。
【0020】
これにより、視野角依存性を解消し、セル厚を厚くして開口率等の光学特性を一層高めることができる。
【0021】
一対の基板のうちいずれか一方の基板にマイクロレンズが配置されてなるように構成することができる。これにより、集光率を高めることができる。
【0022】
また、前記柱状電極の前記一方の基板側の端面には遮光膜を形成することにより、表示画面上に電極の影が見えないようにすることが可能である。
【0023】
また、前記柱状電極のうち上記第2の電極の前記一方の基板側の端面に、遮光膜が形成することにより、表示画面上に第2の電極の影が見える事態を回避することが可能である。
【0024】
また、上記第1の電極は、互いに同電位となる共通電極とすることが望ましく、その場合には隣接する画素間で電位が影響する事態を未然に防止することができる。
【0025】
なお、上記柱状電極は、クロムまたはアルミニウムをスパッタ法で堆積させて形成したり、あるいはAu,Ag,Cuで形成された球状部材で構成して当該球状部材をシール材で所定位置に固定して形成することができる。これにより、所望の柱状電極を容易に形成することが可能である。
【0026】
また、上記液晶層をネマティック液晶とし、上記基板の少なくとも一方には偏光板が設けられるように構成したり、あるいは上記液晶層を高分子と液晶とからなる複合層とすることもできる。
【0027】
そして、上述のような液晶装置を各種電子機器の表示装置として応用することにより、視野角依存性が少なく明るく鮮明な液晶表示を提供することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
図1に本実施形態に係る液晶装置(液晶パネルP1)の構成例を示す。図1(a)は液晶装置の平面図、(b)は(a)のH−H’断面における断面透視図である。図2は第1実施形態に係る液晶装置としての液晶パネルP1の要部の概略構成および表示原理を示す概略説明図、図3は実施形態に係る液晶装置の画素形状および電極の配置例を示す説明図である。
【0030】
本液晶装置は、アクティブマトリクス基板1aと対向基板1bとをシール材40で貼り合せ、これらの2枚の基板間に例えばネマティック液晶が注入され、液晶層2が形成される。
【0031】
ガラスからなるアクティブマトリクス基板1a上には、例えばスイッチング素子としてポリシリコンからなる薄膜トランジスタ(TFT)(図示省略)、および薄膜トランジスタに接続する配線としてAl、TaもしくはAlやTaを主成分とする複合材料を積層した配線層(図示省略)が形成されている。また、各基板1a,1bの液晶層2と反対側の面には偏光板3a,3bがそれぞれ配置されている。
【0032】
アクティブマトリクス基板1a上に、例えば図3の(a)に示すような四角形状の画素領域G1が形成される場合には、その4つの各頂点に第1の電極としての柱状電極A1がそれぞれ形成される。
【0033】
また、画素領域G1の略中央、即ち対角上の頂点を結ぶ線分の交点に相当する位置に第2の電極としての柱状電極A2が配置されている。
【0034】
各柱状電極A1およびA2は、例えばCrやAlをスパッタ法で堆積させ形成する。
【0035】
なお、柱状電極A2の基板1b側の端面には、電極の存在を目立たなくするための遮光膜(ブラックマスク)4が設けられている。また、基板1a,1bの液晶層2側の面にはポリイミド樹脂、またはシランカップリング剤等からなる垂直配向膜6a,6bが形成されている。
【0036】
また、柱状電極A1,A1・・・は互いに同電位に設定され、コモン電極(共通電極)とされる。なお、柱状電極A1,A2間に印加される電圧によって液晶の配列におけるオン/オフ状態は、例えばガラス基板1a上に形成されるTFT等のスイッチング素子によって制御されるようになっている。
【0037】
このように構成された液晶パネルP1において、柱状電極A1,A2間に電圧を印加しない状態(図2の(a))では、液晶分子2a,2a・・・は基板面に対してほぼ垂直に配向し、偏光板3a,3bの働きにより外光Lが透過しない状態となっている。
【0038】
一方、図2の(b)に示すように、柱状電極A1,A2間に所定電圧を印加した場合には、基板に対して水平方向の横電界Fが発生し、液晶分子2a,2a・・・は、この横電界Fによってガラス基板1a,1bに対してほぼ平行に配向する。
【0039】
これにより、上方から入射した光Lは液晶層2を透過して下方へ出射するノーマリ・ブラックモードの表示を行うことができる。
【0040】
この場合に、液晶分子2aは、、図3で示される画素中央に配置された柱状電極A2を中心に放射線状で、対称に配向するため、液晶パネルP1を視認する者の見る角度が変わっても光学特性が変化せず、どの角度から見ても反転表示を起こしたり、コントラストが低下することなく常に良好な画像を得ることができる。
【0041】
即ち、横電界Fによる液晶分子2aの制御により、視野角依存性を大幅に低減することができる。
【0042】
しかも、横電界Fは、柱状電極A1,A2間において、電極の何れの位置においても電界を均一に印加することができるため、従来のIPS方式のように、電極からの距離が離れるほど電界強度が弱くなって液晶分子の制御性が低下する(図11参照)という難点を解消することができる。
【0043】
したがって、本実施形態に係る液晶装置によれば、基板1a,1bの距離(セル厚)を十分にとっても、柱状電極A1,A2間のいずれの位置でも均一に横電界Fを印加することができ、液晶分子2aを正確に制御することができる。更に、液晶層の厚さによる設計上の規制がなくなるため設計マージン広くなるという効果もある。
【0044】
なお、画素領域G1は、図3の(b)に示すように、マトリクス状に縦横に複数配置させて、所定面積の画面を構成することができる。
【0045】
この場合に、コモン電極としての柱状電極A1,A1・・・は、各画素領域G1,G1・・・の各頂点に各一つずつ形成され、また、柱状電極A2は各画素領域G1,G1・・・の略中央にそれぞれ配置される。
【0046】
ここで、図4を参照して柱状電極A1およびA2の配線構造を簡単に説明する。図4は、各画素領域G1における柱状電極A1およびA2の配線構造を示す概略断面図である。
【0047】
図4(a)は、コモン電極となる柱状電極A1の構成を示すものであり、ガラス基板1aの下面には偏光板3aが設けられている。
【0048】
アクティブマトリックス基板1a上には、例えばCrやAl等をスパッタ法で堆積させて径が約5μm,高さが約20μmの柱状電極A1が形成される。
【0049】
また、アクティブマトリックス基板1aの上面には、ポリイミド樹脂、またはシランカップリング剤からなる垂直配向膜6aが形成される。
【0050】
ガラス基板1bの上面には偏光板3bが設けられ、ガラス基板1bの下面側の表面には、カラーフィルタ5が配置される。
【0051】
カラーフィルタ5の表面には、ITOからなる透明電極7が形成され、上記柱状電極A1の上面と電気的に接触されている。
【0052】
また、透明電極7の表面には、ポリイミド樹脂、またはシランカップリング剤からなる垂直配向膜6bが形成されるようになっている。
【0053】
概略上記のような構成により、画素領域G1の各頂点に配置される柱状電極A1,A1・・・は、互いに接続される透明電極7を介して同電位に保たれるようになっている。
【0054】
一方、図4の(b)は、画素領域G1の略中央に形成される柱状電極A2の構成を示すものである。なお、図4(a)と同一の構成については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
アクティブマトリックス基板1aの上面には、Cr等をスパッタ法などで形成した接続線8が形成されている。この接続線8は、図5に示すようにソース線500およびゲート線501に接続するTFT等のスイッチング素子に接続している。そして、電極A2に印加される電圧により液晶分子が制御されるようになっている。
【0056】
アクティブマトリックス基板1a上には接続線8と電気的に接続される柱状電極A2が、例えばCrやAlをスパッタ法で堆積させて径が約5μm,高さが約5μmに形成される。ガラス基板1bの構成は、上記透明電極7が無い構成となっている。
【0057】
これにより、TFT等のスイッチング素子のオン/オフにより接続線8を介して柱状電極A2の所定の電圧が印加されると、柱状電極A1,A1・・・との間に均一な横電界Fが形成され、液晶分子2aを正確に制御することができる。
【0058】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る液晶装置としての液晶パネルP2の要部の概略構成および表示原理を示す概略説明図である。なお、上記第1実施形態と同一の構成については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0059】
この第2実施形態に係る液晶パネルP2においては、上記第1実施形態におけるネマティック液晶の液晶層2に代えて液晶と高分子とからなる複合層を挟持した構成について説明する。ここでは、複合層として高分子分散型液晶(PDLC)20a,20a・・・をアクティブマトリックス基板1aと対向基板1bの間に挟持した構成を一例としてあげる。
【0060】
このようにPDLCを用いる場合には、PDLCの特性から第1実施形態における偏光板3a,3bは不要である。
【0061】
柱状電極A1,A1・・・は互いに同電位のコモン電極(共通電極)とされ、柱状電極A1,A2間の電圧のオン/オフは、例えばアクティブマトリックス基板1a上に作り込まれるTFT等のスイッチング素子によって制御されるようになっている。
【0062】
即ち、電圧無印加状態では「透過状態」、電圧印加状態では液晶分子20aの配向が中心の柱状電極A1を中心として放射線状に配列するため「散乱状態」となる(図6(a),(b)参照)。
【0063】
概略このように構成された液晶パネルP2において、柱状電極A1,A2間に電圧を印加しない状態(図6の(a))では、液晶分子20a及び高分子20bは基板面に対してほぼ垂直に配向し、液晶分子20aと高分子20bの境界における屈折率がほぼ一致しているため外光Lは透過状態となる。
【0064】
一方、図6の(b)に示すように、柱状電極A1,A2間に所定電圧を印加した場合には、基板に対して水平方向の横電界Fが発生し、液晶分子20a,20a・・・はこの横電界Fによってガラス基板1a,1bに垂直に配向する。
【0065】
高分子20bは電圧が印加されてもほとんど配列は変化しないため、液晶分子20aと高分子20bの境界で屈折率に差が生じ外光Lは散乱し、これにより透過状態と散乱状態、即ち表示のオン、オフを制御することができる。
【0066】
この場合に、液晶の駆動に必要な電圧がセル厚に依存していないため、基板1a,1bの距離(セル厚)を十分にとっても、柱状電極A1,A2間に均等に生成される横電界Fによって液晶分子20aを正確に制御することができる。
【0067】
液晶層での吸収の影響がないとすると、液晶層が厚いほど散乱は強くなるので、液晶層20による散乱層を十分厚くすることによって、高い散乱効果を得ることができ、明るく見易い表示が可能である。
【0068】
なお、ここでは、リバースモード(電圧印加時に散乱、無印加時に透明)の高分子分散型液晶を用いた例について説明したが、ノーマルモード(電圧印加時に透明、無印加時に散乱)を用いても同様の効果を得ることができる。また、ノーマルモードを用いた場合、配向膜6a、6bが不要となる。
【0069】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る液晶装置の画素領域の形状を示す概略説明図である。
【0070】
本実施形態では、上記第1,第2実施形態における四角形の画素領域G1に代えて、六角形の画素領域G2を採用したものである。
【0071】
図7に示すように画素領域G2の形状を六角形とした場合には、6つの各頂点にコモン電極としての柱状電極A1,A1・・・を形成し、略中央には柱状電極A2を配置する。
【0072】
これにより、柱状電極A1とA2に横電界Fを生成することができ、上記実施形態の場合と同様にして液晶分子を横電界Fで正確に制御することが可能である。 また、図7(b)に示すように、六角形状の画素領域G2を縦横に複数配置して所定面積の画面を構成することができる。
【0073】
なお、このように画素領域G2の形状を六角形とした液晶パネルを透過型のライトバルブとして用いる場合には、図7(c)に示すような平面図、及び図7(d)に示すような断面図に記載したように、各画素領域G2に対応してそれぞれマイクロレンズMを配置することにより集光率を向上させることができる。
【0074】
また、画素領域の形状は上記実施形態に示す四角形や六角形に限られるものではなく、その他の多角形であってもよい。その場合には、多角形の各頂点に柱状電極A1,A1・・・を形成し、略中央には柱状電極A2を配置することとなる。
【0075】
また、マイクロレンズの形状が円形であるため、多角形にすればするほど円形に近くなるため集光率も一層向上する。
【0076】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態に係る液晶装置の概略断面図である。
【0077】
第4実施形態においては、柱状電極A1,A2を第1,第2,第3実施形態のようにCrやAlをスパッタ法で堆積させて形成するのに代えて、例えばAu,AgやCuで形成した金属球をガラス基板間に挟持して電極としたものである。
【0078】
即ち、図8に示すように、偏光板3a,3bをそれぞれ備えるガラス基板1a,1bと間に、直径約5μmのAu,AgまたはCuで形成した球状部材9,9・・・を、例えば図3の四角形状または図7の六角形状などの画素領域の各頂点およびその略中央の位置に配置して、柱状電極A1,A2を構成する。
【0079】
この場合に、ガラス基板1a,1bの液晶層2側の各面に固定材10a,10bを塗布し、この固定材10a,10bの固化によって各球状部材9,9・・・を固定させる。これにより、簡易かつ迅速に柱状電極A1,A2を構成することが可能となる。
【0080】
なお、その他、ガラス基板1a,1b間にわたる高さの柱状電極A1,A2を形成することができる方法ならば何れをも採用することが可能である。
【0081】
(第5実施形態)
図9は、第5実施形態に係る反射型の液晶装置の要部の概略拡大断面図であり、図10はその液晶装置の概略平面図である。
【0082】
なお、第1実施形態の説明で参照した図4と同一の構成については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
図9の(a)に示す構成例では、垂直配向膜6bの表面にAl,Crまたは誘電体多層膜600を形成して、対向基板1b側に反射膜を形成したものである。この場合には、アクティブマトリックス基板1a側から光を入射させることにより反射型の液晶装置(液晶パネルP3a)として機能する。
【0084】
また、Al,Crまたは誘電体多層膜600を形成するかわりに、透明電極7をAl、Crの反射電極膜に変えることによっても、同じく反射型の液晶装置を得ることができる。
【0085】
また、図9の(b)に示す構成例では、垂直配向膜6aの表面にAl,Crまたは誘電体多層膜601を形成して、アクティブマトリックス基板1a側に反射膜を形成したものである。この場合には、対向基板1b側から光を入射させることにより反射型の液晶装置(液晶パネルP3b)として機能する。
【0086】
なお、以上説明した液晶装置の構成では、初期状態における液晶分子が垂直に配向したモードについて説明したが、液晶分子が基板に対して水平に配向したモードも本発明を適用することができる。
【0087】
液晶分子が水平に配向したモードとして、液晶分子がほぼ90度にねじれ配向したTNモードや、120度以上にねじれ配向したSTNモード、液晶分子にねじれがなく平行に配向したモード、などを適用することができる。
【0088】
これらのモードにおいて、柱状電極に電界を印加した際、前述の実施形態と同様に画素内に配置された電極を中心に放射線状に液晶分子が配列する。このような初期状態と電圧印加状態とにより表示のオフ状態とオン状態とを制御する。
【0089】
次に上記実施形態に係る液晶装置を応用した電子機器等の構成例について説明する。
【0090】
上記液晶装置を用いて構成される電子機器は、図12に示す表示情報出力源1010、表示情報処理回路1011、表示駆動回路1012、上記液晶装置としての液晶パネルPなどの表示パネル1013、クロック発生回路1014、ROM,RAMなどのメモリ、テレビ信号を同調して出力する同調回路などを含んで構成され、クロック発生回路1014からのクロックに基づいて、ビデオ信号などの表示情報を出力する。
【0091】
表示情報処理回路1011は、クロック発生回路1014からのクロックに基づいて表示情報を処理して出力する。この表示情報処理回路1011は、例えば増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路あるいはクランプ回路等を含むことができる。表示駆動回路1012は、走査側駆動回路およびデータ側駆動回路を含んで構成され、液晶パネル1013を表示駆動する。電源回路1015は、上述の各回路に電力を供給する。
【0092】
このような構成の電子機器としては、図13に示す透過型の液晶パネルP1,P2を用いた液晶プロジェクタ、図14に示す反射型の液晶パネルP3a,P3bを用いた液晶プロジェクタ、図15に示す上記液晶装置(液晶パネル)をディスプレイとして備えた電子機器等がある。
【0093】
図13は、透過型の液晶パネルP1またはP2を用いた液晶プロジェクタの要部を示す概略構成図である。図中、1020は光源、1023a,1023bはダイクロイックミラー、1024a,1024b,1024cは反射ミラー、1025a,1025b,1025cはリレーレンズ、1026R,1026G,1026Bは透過型の液晶ライトバルブ、1500はマイクロレンズアレイ、1027はクロスダイクロイックプリズム、1028は投射レンズを示す。
【0094】
上記3つの透過型の液晶ライトバルブ1026R,1026G,1026Bには、それぞれ前述のように例えば図3の四角形状または図7の六角形状などの画素領域の各頂点およびその略中央の位置に柱状電極A1,A2を形成した透過型の液晶パネルP1,P2が用いられている。
【0095】
マイクロレンズアレイ1500は、図7(c)で示したマイクロレンズMを各画素に対応して縦横に配列したものである。このマイクロレンズアレイ1500は、特に円形に近似した六角形状の画素領域G2と組み合わせることにより集光率を一層向上させることが期待できる。
【0096】
光源1020は、メタルハライド等のランプ1021とランプの光を反射するリフレクタ1022とからなる。青色光・緑色光反射のダイクロイックミラー1023aは、光源1020からの白色光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー1024cで反射されて、マイクロレンズアレイ1500を介して赤色光用液晶ライトバルブ1026Rに入射される。
【0097】
一方、ダイクロイックミラー1023aで反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー1023bによって反射され、マイクロレンズアレイ1500を介して緑色光用液晶ライトバルブ1026Gに入射される。
【0098】
また、青色光は第2のダイクロイックミラー23bも透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ1025a、リレーレンズ1025b、出射レンズ1025cを含むリレーレンズ系からなる導光手段1030が設けられ、これとマイクロレンズアレイ1500を介して青色光が青色光用液晶ライトバルブ1026Bに入射される。
【0099】
各ライトバルブにより変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム1027に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1028によってスクリーン1029上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0100】
この例に係る電子機器は、透過型の液晶ライトバルブ1026R,1026G,1026Bとして、上述の実施形態に示すように柱状電極A1,A2を形成した透過型の液晶パネルP1またはP2を用いているので、均一な電界強度の横電界によって液晶分子を正確に制御することができ、開口率を高めること、及び、散乱型においてはセル厚を十分に厚くして散乱性能を高めることで明るく高品質の画像を提供することができる。
【0101】
図14は、反射型の液晶パネルを用いた液晶プロジェクタの要部を平面的に見た概略構成図である。
【0102】
図中1110はシステム光軸Lに沿って配置した光源部、1120はインテグレータレンズ、1130は偏光変換素子を示し、光源部1110、インテグレータレンズ1120、偏光変換素子1130から偏光照明装置1100が構成される。
【0103】
また、図中1150はS偏光光束反射面、1140は偏光ビームスプリッタ、1160a,1160bはダイクロイックミラー、1170R,1170G,1170Bは反射型の液晶ライトバルブ、1180は投射レンズ、1190はスクリーンを示す。
【0104】
上記3つの反射型の液晶ライトバルブ1170R,1170G,1170Bには、それぞれ前述のように例えば図2の四角形状または図4の六角形状などの画素領域の各頂点およびその略中央の位置に柱状電極A1,A2を形成した反射型の液晶パネルP3aまたはP3bが用いられている。
【0105】
光源部1110から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレータレンズ1120により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子1130により偏光方向がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッタ1140に至る。
【0106】
偏光変換素子1130から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッタ1140のS偏光光束反射面1150によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロイックミラー1160aの青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ1170Bによって変調される。
【0107】
また、ダイクロイックミラー1160aの青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロイックミラー1160bの赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ1170Rによって変調される。
【0108】
一方、ダイクロイックミラー1160bの赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ1170Gによって変調される。このようにして、それぞれの反射型液晶ライトバルブ1170R,1170G,1170Bによって色光の変調がなされる。これらの反射型液晶パネルの画素から反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ1140を透過せず、また、P偏光成分は透過する。
【0109】
この偏光ビームスプリッタ1140を透過した光により画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1180によってスクリーン1190上に投射され、画像が拡大されて表示される。
【0110】
この例に係る電子機器は、反射型の液晶ライトバルブ1026R,1026G,1026Bとして、上述の実施形態に示すように柱状電極A1,A2を形成した反射型の液晶パネルP3a,P3bを用いているので、均一な電界強度の横電界によって液晶分子を正確に制御することができ、開口率を高めること、及び、散乱型においてはセル厚を十分に厚くして散乱性能を高めることで明るく高品質の画像を提供することができる。
【0111】
また、透過型および反射型の液晶パネルをディスプレイとして備える電子機器としてパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、ページャ、携帯電話、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、腕時計、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などを挙げることができる。
【0112】
図15の(a)は携帯電話を示す斜視図である。200は携帯電話本体を示し、そのうちの201は本発明に係る反射型の液晶パネルを用いた液晶表示部である。
【0113】
図15の(b)はワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等の携帯型情報処理装置を示す図である。300は情報処理装置を示し、301はキーボード等の入力部、302は本発明に係る液晶装置としての反射型液晶パネルを用いた表示部、303は情報処理装置本体を示す。
【0114】
図15の(c)は、腕時計型電子機器400を示す斜視図である。401は本実施形態に係る液晶装置を用いた液晶表示部である。
【0115】
各々の電子機器は、表示部として上述の実施形態に示すように柱状電極A1,A2を形成した透過型の液晶パネルPを用いているので、均一な電界強度の横電界によって液晶分子を正確に制御することができ、開口率を高めること、及び、散乱型においてはセル厚を十分に厚くして散乱性能を高めることで明るく見易い表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶装置の実施形態の平面図および縦断面透視図である。
【図2】本発明に係る液晶装置の第1実施形態としての液晶パネルの概略構成および表示原理を示す概略説明図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の画素形状および電極の配置例を示す説明図である。
【図4】各画素領域G1における柱状電極A1およびA2の配線構造を示す概略断面図である。
【図5】各画素領域G1における柱状電極A1およびA2の配線構造を示す概略平面図である。
【図6】本発明に係る液晶装置の第2実施形態としての液晶パネルの概略構成および表示原理を示す概略説明図である。
【図7】第3実施形態に係る液晶装置の他の画素形状および電極の配置例を示す説明図である。
【図8】第4実施形態に係る液晶装置の柱状電極A1およびA2の配線構造を示す概略断面図である。
【図9】第5実施形態に係る反射型の液晶装置の各画素領域における柱状電極A1およびA2の配線構造を示す概略断面図である。
【図10】第5実施形態に係る反射型の液晶装置の概略構成を示す平面図である。
【図11】IPSモードの表示原理を示す概略図である。
【図12】本発明に係る液晶装置を用いた電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【図13】実施形態に係る液晶装置を透過型のライトバルブとして応用した投射型表示装置の例としてビデオプロジェクタの概略断面図である。
【図14】実施形態に係る液晶装置を反射型のライトバルブとして応用した投射型表示装置の例としてビデオプロジェクタの概略断面図である。
【図15】(a),(b),(c)は、それぞれ本発明に係る液晶装置を使った電子機器の例を示す外観図である。
【符号の説明】
P1,P2,P3a,P3b 液晶装置(液晶パネル)
A1 第1の柱状電極(共通電極)
A2 第2の柱状電極
F 横電界
L 光線
1a,1b ガラス基板
2 液晶層
2a 液晶分子
3a,3b 偏光板
G1 四角形状の画素領域
5 カラーフィルタ
6a,6b 垂直配向膜
7 透明電極
8 信号線
G2 六角形状の画素領域
9 球状部材
10a,10b 固定材
40 シール材
Claims (18)
- 一対の基板間に液晶層を挟持し、表示用の画素を有する液晶装置において、
前記一対の基板のうち一方の基板に複数の柱状電極が形成されており、
前記柱状電極は第1の電極と第2の電極とからなり、
前記第1の電極は前記画素が多角形状になるように該画素の各頂点に配置されてなることを特徴とする液晶装置。 - 前記複数の柱状電極は前記液晶層内の液晶分子の配列を制御することを特徴とする請求項1記載の液晶装置。
- 前記柱状電極の高さが前記液晶層の厚さにほぼ等しいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶装置。
- 前記第2の電極は前記画素のほぼ中央に配置されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記画素の形状は四角形であり、前記第1の電極は前記四角形上の4つの頂点に相当する位置に配置されてなり、
前記第2の電極は前記四角形の対角上の頂点を結ぶ線分の交点に相当する位置に配置されてなることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。 - 前記画素の形状が六角形であり、前記第1の電極はその六角形上の6つの頂点に相当する位置に配置されてなることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
- 前記第2の電極は前記六角形の対角上の頂点を結ぶ線分の交点に相当する位置に配置されてなることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
- 一対の基板のうちいずれか一方の基板にマイクロレンズが配置されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記柱状電極の前記一方の基板側の端面には遮光膜が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記柱状電極のうち上記第2の電極の前記一方の基板側の端面に、遮光膜が形成されてなることを特徴とする請求項9に記載の液晶装置。
- 前記第1の電極が共通電極であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記柱状電極はクロム、またはアルミニウムからなることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記柱状電極は、Au,AgまたはCuからなる球状部材により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 前記液晶層はネマティック液晶により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 上記基板の少なくとも一方には偏光板が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 上記液晶層は、高分子と液晶とからなる複合層であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の液晶装置。
- 請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の液晶装置を表示装置として備えることを特徴とする電子機器。
- 光源と、
前記光源からの光を変調して透過もしくは反射する請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の液晶装置と、
前記液晶装置の前方側または後方側に配置されて光の集光率を高めるマイクロレンズアレイと、
前記液晶装置により変調された光を集光し拡大投射する投射光学手段と
を少なくとも備えていることを特徴とする投射型表示装置。
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