JP2007036444A - 写真フィルム用スキャナと撮影画像読取方法 - Google Patents

写真フィルム用スキャナと撮影画像読取方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来プレスキャンと本スキャンで取得されていた低解像度と高解像度の撮影画像が、できるだけ同じ読み取り条件で写真フィルムから読み取る技術を提供する。
【解決手段】読取位置52を通る共通の光軸を有する照明光学系20と撮像光学系30と光電変換部40とからなる画像読取ユニットとこの画像読取ユニットを制御するモジュールを備えた写真フィルム用スキャナ1。搬送方向に関して読取位置の上流側に画像読み取りに先立って撮影画像コマの濃度情報を検出する濃度センサ3が備えられ、濃度情報に基づいて決定された読み取り条件に基づいて撮影画像コマ毎に前記制御モジュールが照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つを制御する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、読取位置を通る共通の光軸を有する照明光学系と撮像光学系と光電変換部とからなる画像読取ユニットとこの画像読取ユニットを制御するモジュールを備え、前記読取位置を順次通過する写真フィルムの撮影画像コマから撮影画像を読み取る写真フィルム用スキャナと、このような写真フィルムスキャナのための撮影画像読取方法に関する。
従来のこのような写真フィルムスキャナは、現像済みの写真フィルムの撮影画像コマを読み取るためのライン走査型の光電変換センサとその写真フィルムとを相対移動させることにより、プレジャッジ画像のモニタ表示目的ために撮影画像コマを低解像度で読み取るプレスキャンとプリント目的のために撮影画像コマを高解像度で読み取る本スキャンが行われるように構成されており、写真プリントを出力する写真プリント装置に組み込まれている。写真プリント装置では、プレスキャンにおいて読み取られた撮影画像コマの画像がモニタに表示され、オペレータはその表示された画像をみて、適切なプリント仕上がりになるように、必要に応じて色・濃度の補正情報を入力する。このような工程がプレジャッジ作業工程と呼ばれる。本スキャンはプリントデータとして用いられる高解像度の画像データを取得するためのものであり、この本スキャンで取得された高解像度画像データはプレジャッジ工程で入力された補正情報に基づいて画像処理され、プリントデータに変換される。
光電変換センサによって写真フィルムから撮影画像を取得した場合実際のフィルム上での撮影画像濃度(入力濃度値)とデジタル化された撮影画像の濃度(出力濃度値)との関係は傾き1の直線で表されるのが理想的であるが、実際には高濃度領域や低濃度領域においてその直線性が崩れてしまう。このため、このような光電変換センサを用いた撮影画像のデジタル化では、直線性を維持している領域のみを利用することが重要である。これを実現するには、写真フィルムに形成されている撮影画像の濃度レベルに応じて写真フィルムに照射する光の光量を調節したり、光電変換センサの電荷蓄積時間を調節したりするとよい。このためには予め写真フィルムの撮影画像コマを濃度測定する必要があるので、撮影画像が記録された写真フィルムをその撮影画像がプレスキャン用読取位置及びファインスキャン(本スキャン)用読取位置を順次通過するように搬送する搬送手段と、前記プレスキャン用読取位置で前記画像に光を照射するプレスキャン用光源を備えると共に前記撮影画像を透過した光又は前記撮影画像から反射された光に基づいて、測光条件を固定して前記撮影画像を読み取って画像データとして出力するプレスキャン用画像センサを備えたプレスキャン用測光系と、前記ファインスキャン用読取位置で前記撮影画像に光を照射するファインスキャン用光源を備えると共に前記撮影画像を透過した光又は前記画像から反射された光に基づいて前記撮影画像を読み取って画像データとして出力する電荷蓄積型のファインスキャン用画像センサを備えたファインスキャン用測光系と、前記プレスキャン用画像センサから出力された画像データに基づいて前記ファインスキャン用光源から照射される光の光量及び前記ファインスキャン用画像センサの電荷蓄積時間の少なくとも一方を変化させて前記撮影画像を読み取るように前記ファインスキャン用測光系を制御する制御手段とを備えている画像読取装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この提案によれば、プレスキャンで得られた画像データに基づいてファインスキャン用光源の光量及びファインスキャン用画像センサの電荷蓄積時間の少なくとも一方を変化させることで、各測光系の構成が複雑となることを避けている。
特開2000−147674号公報(段落番号0009−0015、0099、図2、図7)
最近の写真プリント装置では、プレスキャンで取得された撮影画像を画質チェックや補正パラメータの決定などに利用するため、プレスキャンで取得された低解像度の撮影画像の画像品質の向上、及びプレスキャンで取得された高解像度の撮影画像と本スキャンで取得された撮影画像の一致性も要求されるようになってきている。このため、特許文献1による技術のように、プレスキャンと本スキャンで異なる読み取り条件(照射光量や電荷蓄積時間)が異なることは好ましくない。
上記実状に鑑み、本発明の課題は、従来プレスキャンと本スキャンで取得されていた低解像度と高解像度の撮影画像が、できるだけ同じ読み取り条件で写真フィルムから読み取る写真フィルム用スキャナと撮影画像読取方法を提供することである。
上記課題を解決するため、読取位置を通る共通の光軸を有する照明光学系と撮像光学系と光電変換部とからなる画像読取ユニットとこの画像読取ユニットを制御するモジュールを備え、前記読取位置を順次通過する写真フィルムの撮影画像コマから撮影画像を読み取る、本発明による写真フィルム用スキャナでは、前記写真フィルムを前記画像読取ユニットに投入する搬送方向に関して前記読取位置の上流側に前記画像読取ユニットによる画像読み取りに先立って撮影画像コマの濃度情報を検出する濃度センサが備えられ、当該撮影画像コマの読み取り条件を前記モジュールが前記濃度情報に基づいて決定し、前記読み取り条件に基づいて撮影画像コマ毎に前記モジュールが照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つを制御するように構成されている。
この構成によれば、写真フィルムに形成されている撮影画像コマを画像読取ユニットで読み取ってデジタル化する前に、読取位置の手前にある濃度センサによって読取対象となっている撮影画像コマの濃度情報を検出し、この濃度情報から決定された読取条件に基づいて照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つが制御される。ここでいう読取条件とは、光電変換部の直線性ができるだけ維持できるような読取濃度が得られる照射光量や電荷蓄積時間を規定するものである。従って、各撮影画像コマ毎に決定される読取条件に基づいて調整された画像読取ユニットで順次読み取られた各撮影画像コマは安定した読取特性で保証されたデジタル化撮影画像となる。
本発明による好適な実施形態の1つでは、前記読取位置は単一であり、前記撮影画像コマを低解像度で読み取るプレスキャンモードと前記撮影画像コマを前記プレスキャンモードよりも高い高解像度で読み取る本スキャンモードの2つのスキャンモードが備えられ、同一の撮影画像コマは前記プレスキャンモードと前記本スキャンモードで共通の読み取り条件で読み取られる。本発明による写真フィルム用スキャナでは読取位置が単一であり、従って画像読取ユニットも単一であるので、この画像読取ユニットをプレスキャンモードと本スキャンモードで駆動させることにより、低解像度撮影画像データと高解像度撮影画像データを取得する。これらの2つのスキャンモードでの撮影画像コマ読み取りは、各撮影画像コマ毎に決定される読取条件に基づいて設定された画像読取ユニットによって行われる。プレスキャンを写真フィルムの往路搬送で行い、本スキャンを写真フィルムの復路搬送で行うことは、トータルスキャン時間の短縮に効果的である。その際、画像読取ユニットによる撮影画像コマの読み取りの前に順次得られた撮影画像コマ毎の読み取り条件は、プレスキャン時に用いるとともにメモリに順次格納し、本スキャン時には先入れ後出し方式でメモリから読み出しながら利用するとよい。
本発明による写真フィルム用スキャナは、前記撮影画像コマを高解像度で読み取る本スキャンモードのみで前記撮影画像コマを読み取る写真フィルム用スキャナにも適用されるが、その際には、低解像度撮影画像は高解像度撮影画像から画像処理で生成される。本スキャンのみの撮影画像コマの読み取りにおいても、画像読取ユニットによる撮影画像コマの読み取りの前にその読み取り対象となっている撮影画像コマの濃度測定に基づいて決定された読み取り条件で画像読取ユニットが調整されるので、本発明の利益を享受することができる。
上記課題を解決するために、本発明によって提案されている写真フィルム用スキャナのための撮影画像読取方法では、読取位置に搬送される直前の撮影画像コマの濃度情報を検出し、当該撮影画像コマの読み取り条件を前記検出された濃度情報に基づいて決定し、前記決定された読み取り条件に基づいて前記モジュールが撮影画像コマ毎に照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つを制御し、前記読取位置に達した当該撮影画像コマを前記読み取り条件通りに制御された画像読取ユニットが読み取る。この方法においても、先の本発明による写真フィルム用スキャナにおいて述べた作用効果が得られる。また、この撮影画像読取方法においても、前記撮影画像コマを低解像度で読み取るプレスキャンモードと前記撮影画像コマを前記プレスキャンモードよりも高い高解像度で読み取る本スキャンモードの2つのスキャンモードが用意されている場合、単一の画像読取ユニットであっても、同一の撮影画像コマを同一の読み取り条件(照射光量や電荷蓄積時間)で読み取ることができ、実質的に同一な濃度特性をもつ高解像度撮影画像データと低解像度撮影画像データを得ることができる。
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
図1に、本発明による写真フィルム用スキャナ(以後単にスキャナと略称する)1を組み込んだ写真プリント装置の一例が模式的に示されている。この写真プリント装置には、スキャナ1の制御やスキャナ1によって取得された読取信号から生成された撮影画像データ(以下単に画像データと略称する)を処理するコントローラ60や画像データから変換されたプリントデータに基づいて印画紙を露光・現像して写真プリントを出力するプリントステーション90が備えられている。なお、ここでは、スキャナ1のための種々の機能要素が写真プリント装置のための他の機能要素とともにコントローラ60に構築されているが、スキャナ1に専用コントローラを設けて、スキャナ1のための機能要素はその専用コントローラに構築してもよい。
スキャナ1は、画像読取ユニットとして、照明光学系20、撮像光学系30、ラインCCDセンサを用いた光電変換部40を備えるとともに、フィルム2に対する光の照射範囲を決定するとともにフィルム2を光電変換部40によるスキャニングのために副走査方向に搬送するフィルムキャリアユニット50を装着可能に備えている。このフィルムキャリアユニット50は、135フィルムやIX240フィルム(APSフィルム)やブローニフィルムなどのフィルムの種類毎に用意されており、この実施形態では135フィルム用のフィルムキャリアユニット50が装着されているとする。
フィルムキャリアユニット50によって作り出されるフィルム搬送路と照明光学系20からの光ビームの光軸とが交わる領域にはフィルム搬送方向を横断する方向(主走査方向)に延びている読取位置としてのスリット状のスキャンゲート52が形成されている。さらに、フィルムキャリアユニット50のフィルム投入部50Aとこのスキャンゲート52との間に搬送されるフィルム2の各撮影画像コマの濃度値(濃度情報)を検出する濃度センサ3が設けられており、この濃度センサ3によって検出された濃度値はコントローラ60に送られる。濃度センサ3は、フィルム搬送路を挟んで一方側に配置されるLED素子などによる照明素子3aと、他方側に配置されるフォトトランジスタなどによる受光素子によって構成される。濃度センサ3は、主走査方向に複数設けることにより、撮影画像コマ全体の濃度分布を検出できるように構成することが好ましいが、1個だけでも可能である。
照明光学系20は、光源部21と光源部21からの光ビームを調整する平行化レンズ22、ミラー23、NDフィルタ24、ディフューザ25などから構成されている。光源部21は、主に赤色成分(以下単にRと略称する)の光ビームを放射するLED素子列からなるR光源21aと、主に緑色成分(以下単にGと略称する)の光ビームを放射するLED素子列からなるG光源21bと、主に青色成分(以下単にBと略称する)の光ビームを放射するLED素子列からなるB光源21cを備えている。フィルム2からの透過光ビームを処理する撮像光学系30は、ズームレンズユニット31とこの撮像光学系30を通過して光電変換部40に入射する光ビームの光量を制限する絞り32から構成されているが、必要に応じて投射光の方向を変える方向変換光学系が追加される。
撮像光学系30によって導かれた光ビームを光電変換する光電変換部40は、R・G・Bの各色を検出するために割り当てられた、R光電変換センサ41a、G光電変換センサ41b、B光電変換センサ41cを備えており(色成分別に特に区別する必要がない場合には単に光電変換センサ41となる)、この実施形態では各光電変換センサ41は多数(例えば5000個)のCCD素子が主走査方向、つまりフィルム2の幅方向に配列されるラインアレイ型のCCDセンサであり、センサ駆動回路42により主走査時に電荷蓄積動作や電荷蓄積時間の制御が行われる。このため、以後光電変換センサはCCDセンサと言い換えることにする。
R・CCDセンサ41aの撮像面には写真フィルム(以下単位フィルムと略称する)2を透過した光の主に赤色成分のみを通過させるカラーフィルタが、G・CCDセンサ41bの撮像面にはフィルム2を透過した光の主に緑色成分のみを通過させるカラーフィルタが、B・CCDセンサ41cの撮像面にはフィルム2を透過した光の主に青色成分のみを通過させるカラーフィルタが設けられており、それぞれ、透過光のうちの赤色成分、緑色成分、青色成分のみを光電変換する。それぞれのCCDセンサ41から出力される各画素信号はサンプルホールドされ各画素信号が連続した画像信号となり、この各画素信号は所定のビット数(例えば12ビット)のデジタル信号に変換される。このようにデジタル信号化された画像信号は画像データ(R・G・B輝度データ)としてコントローラ60に送り込まれる。
このコントローラ60にはプリントステーション90が接続されているので、コントローラ60内で処理された画像データに基づいて生成されたプリントデータによってレーザ露光エンジンを有する露光処理部が駆動されることでフィルム2の撮影画像コマに対応する写真プリントが出力される。もちろん、プリントステーション90としてインクジェットプリントエンジンなどの異なるプリント出力方式のものを採用することができる。
次に、スキャナ1の具体的な構造を図2と図3を用いて説明する。
図2に示すように、照明光学系20を下部に内蔵するとともに撮像光学系30と光電変換部40を上部に内蔵する筐体10によりスキャナ1の外観が構築されており、筐体10の中央部に形成されている凹部の下面にフィルムキャリアユニット50が装着されるベース面10aが形成されている。
フィルムキャリアユニット50は、フィルム読み取り作業の最初にフィルム1の先端が差し込まれるフィルム投入部50Aと主走査方向に延びている読取位置としてのスリット状のスキャンゲート52が形成されたケース51を備えるとともに、そのケース51内に、写真フィルム2をフィルム搬送方向(副走査方向)に往復搬送するための複数の圧着型の搬送ローラ53と、ベース面10aに対向している集光レンズ54とを備えている。
照明光学系20は、樹脂成形品で成る上壁部11と、アルミニウム合金で成る側壁部12と、同じくアルミニウム合金で成る底壁部13とでケース状に形成されている。前記上壁部11の内部には、基板にチップ状の多数の赤色のLED素子を主走査方向に直線状に配列して構成されたR光源21a(R−LED素子列)と、基板にチップ状の多数の緑色のLED素子を主走査方向に直線状に配列して構成されたG光源(G−LED素子列)21bと、基板にチップ状の多数の青色のLED素子を主走査方向に直線状に配列して構成されたB光源(B−LED素子列)21cとが取り付けられている。夫々のLED素子列に対応する位置に夫々のLED素子列からの光線を平行光線化する平行化レンズ22を介して送り出された光ビームを合流させるダイクロイック型のミラー23として第1ミラー23aと第2ミラー23bが用意されている。
G光源21bからの光ビームを上方に送る縦向き姿勢の第1光軸L1上に平行化レンズ22と第1ミラー23aとが配置され、B光源21cからの光ビームを上方に送る縦向き姿勢の第2光軸L2上に平行化レンズ22と第2ミラー23bとが配置され、R光源21aからの光ビームを水平方向に送る横向き姿勢の第3光軸L3上に平行化レンズ22と前記第1・第2ミラー23a、23bとが位置するようになっている。また、第1光軸L1の延長上で上壁11部の壁面の近傍位置には光線を拡散させて光量の分布を平均化させるディフューザ25が配置されている。つまり、第1、第2、第3光軸L1、L2、L3は、各色の光源21の形成方向(主走査方向)での中央位置で、かつ、基板に垂直となる仮想直線として設定されたものであり、第1光軸L1の延長上方にフィルムキャリアユニット50の集光レンズ54とスキャンゲート52が位置し、第2光軸L2は第2ミラー23bにおいて第3光軸L3と合流する位置となっている。
図3に示すように、第1光軸L1に沿って上方に送り出される光線の光量を低減する減光フィルタとしてのNDフィルタ24がフィルムキャリアユニット50の集光レンズ54と向き合うように第1光軸L1上に選択的に位置決め可能に設けられている。このため、NDフィルタ24を支持する作動プレート14と、この作動プレート14に往復作動力を揺動アーム15を介して伝える駆動部としての電気モータ16が配置されている。このNDフィルタ24を図3に示す如く照明光学系20の光路中(第1光軸L1中)の減光位置にセットすることにより、照明光学系20から送り出される光線の光量を大きく減じ、このNDフィルタ24を光路外の待避位置に待避させることにより、照明光学系20からの光ビーム全てを送り出せる。光源光量調整作業時などでは、CCDセンサに過大な光量が入り込まないようにする光量制限素子としてのNDフィルタ24が光路中にセットされる。
なお、図3では、フィルム2がスキャンゲート52の近傍位置に存在する状態を示しており、一般にはこの状態ではNDフィルタ24が待避位置に設定されるべきものであるが、NDフィルタ24よって光量を制限する状態を理解しやすくするため、同図では、NDフィルタ24を減光位置にセットした状態を示している。
前記第1ミラー23aはG光源21bからの波長(520〜560nm)の光線を透過し、これ以外の光線を反射する性能のものであり、前記第2ミラー23bはR光源21aからの波長(620〜750nm)の光線を透過し、B光源21cからの波長(400〜480nm)の光線を反射する特性のものを使用している。
このような照明光学系20のレイアウトから、G光源21bから第1光軸L1に沿って送り出される光線は、平行化レンズ22で平行光線化した後に、第1ミラー23aを透過
して第1光軸L1に沿って上方に送られ、B光源21cから第2光軸L2に沿って送り出される光線は、平行化レンズ22で平行光線化した後に、第2ミラー23bで反射して第3光軸L3と合流し、R光源21aから第3光軸L3に沿って送り出される光線は、平行化レンズ22で平行光線化した後に第2ミラー23bを透過するものとなり、このように第3光軸L3に沿って送られる赤色成分の光ビームと、青色成分の光ビームとは第1ミラー23aで反射され、第1光軸L1に沿って上方に送られる結果、この第1光軸L1ではR・G・Bの各光ビームが合流した白色の光ビームが送られ、ディフューザ25で拡散され、スキャンゲート52に導かれる。
このスキャナ1でスキャニングを行う際には、取り込む画像の画素数に基づいてズームレンズ31による拡大率(主走査方向での画素数)を設定し、取り込む画像の画素数に基づいて搬送速度(副走査方向での画素数)を設定した後に、フィルムキャリアユニット50にフィルム2をセットし、フィルム2に対して照明光学系20からの光ビームを照射する状態で、搬送ローラ53の駆動でフィルム2を設定された速度で搬送し、この搬送速度と同期したタイミングで光電変換部40の各CCDセンサ41において主走査方向に沿うライン状に画像を取り込み、画像データ(輝度データ)として取得され、コントローラ60に送り込まれる。送り込まれた画像データ、つまりR画像データとG画像データとB画像データに対しては、前処理を経て種々の画像処理が施される。
コントローラ60は、CPUを中核部材として、種々の動作を行うための機能部をハードウエア又はソフトウエアあるいはその両方で構築しているが、図4に示すように、スキャナ1に関連するものとして、スキャナ1の光電変換部40から送られてくる読取信号としての画像データをメモリ61に展開する画像入力部62と、フィルムキャリアユニット50の搬送ローラ53の制御や光電変換部40の駆動制御を含むスキャナ1のスキャニング動作を制御することでプレスキャンモードと本スキャンモードでフィルムスキャナ2を駆動させるスキャニング制御部63と、スキャナ1の濃度センサ3から送られてくる検出信号をI/Oインターフェースを介して受け取って、撮影画像コマ単位の濃度情報として取り扱う濃度情報評価モジュール70と、スキャナ1の照明光学系20や撮像光学系30や光電変換部40における照射光量や受光光量に関する制御を行う制御モジュール80などが挙げられる。さらに、スキャナ1に直接関係しない機能要素として、このコントローラ60には、多数コマ表示された低解像度の撮影コマ画像を見ながら各撮影画像コマの画像データに対してオペレータの指令に基づいて画像処理コマンドやプリント枚数などの属性データを付与するプレジャッジ管理モジュール64、キーボードやマウスなどの操作入力部4を通じての操作入力信号に対応する画像処理コマンドなどの操作コマンドを割り当てる操作入力処理部65、プレジャッジ時に補正対象撮影コマの画像をモニタ5に表示するビデオ制御部66と、本スキャンモードで取り込まれた高解像度画像データに対して種々の画像処理を行う画像処理部67、最終的に得られた撮影画像のための高解像度の画像データをプリントステーション90の露光処理部(プリントエンジンの一例)91に対応するプリントデータに変換生成するプリントデータ生成部68などが構築されている。
濃度情報評価モジュール70には、濃度センサ3を通じて取得した撮影画像コマ毎の濃度分布から、その最大値、平均値、最小値といった統計学上の数値(代表値)の少なくとも1つを演算する濃度代表値演算部71と、演算によって得られた濃度代表値からスキャナ1の読み取り条件である照射光量又は電荷蓄積時間あるいはその両方を決定する読み取り条件決定部72と、プレスキャン前に決定された撮影画像コマに対する読み取り条件をプレスキャン時に反映させるために順次各読み取り条件を制御モジュール80に転送するとともに続く本スキャン時にもこの読み取り条件を制御モジュール80に転送するためにこの読み取り条件を読み取り条件格納部74に格納する読み取り条件転送部73とが構築されている。
制御モジュール80には、シェーディング補正テーブル82に記録されている補正量を参照しながら照明光学系20の照明光源を調節する光量制御部81と、撮像光学系30を通過する光ビームの光量を制限する絞り32の絞り量を調節する絞り制御部83と、光電変換部40の蓄積時間を調節する蓄積時間制御部84とが構築されている。プレスキャン時及び本スキャン時には、光量制御部81と絞り制御部83と蓄積時間制御部84のうちの少なくとも1つは、読み取るべき撮影画像コマために濃度情報評価モジュール70から与えられる読み取り条件に基づいて、それぞれの調整動作を行うことで、該当撮影画像コマに適した光量と蓄積時間でもって該当撮影画像コマが読み取られる。
前記プレジャッジ管理モジュール64には、プレスキャンモードで取り込まれた低解像度画像データ(プレスキャン画像データ)から濃度差を考慮してコマ位置を示すコマ位置データを生成するとともにこのコマ位置データを用いてフィルム全体をカバーするプレスキャン画像データからコマ画像単位のプレジャッジ用画像データを作り出すプレジャッジ画像処理部64a、プレジャッジ用画像データから予想されるプリント出力画像に対応するシミュレート画像データを使用されているモニタ5や露光処理部91などの色出力特性を格納している機器特性テーブルを参照しながら生成するシミュレート画像生成部64b、プレジャッジ時に操作入力処理部65を通じて各コマ画像に設定された画像処理コマンドあるいは画像処理コマンド列を管理する画像処理コマンド列管理部64cが備えられている。
写真プリント装置において、現像済みのフィルム2から撮影画像コマをスキャナ1を用いて読み取り、写真プリントを出力する際のこの処理手順が図5〜図7のフローチャートに、そしてその際に決定される撮影画像コマ単位の読み取り条件とこの読み取り条件下で読み取られた撮影画像コマ単位の画像データの流れが図8に示されている。
まず、顧客から受けたプリントオーダの内容から必要な情報、例えばプリント枚数やプリントサイズなどを入力する(#10)。写真プリント装置の各種制御パラメータを規定している制御チャンネルを入力されたプリントオーダ情報に基づいて設定する(#20)。制御チャンネルに含まれる制御パラメータとしては使用する印画紙のメーカや種別、作成すべき写真プリントのプリントサイズなどが挙げられる。処理対象となるフィルム2をスキャナ1に装着されているフィルムキャリアユニット50のフィルム投入部50Aに投入して濃度センサ3による濃度検出を行った撮影画像コマから順次プレスキャンを行う(#30)。
プレスキャンプロセスでは、図6に示されているように、まず最初の撮影画像コマの濃度を濃度センサ3を用いて測定する(#31)。濃度センサ3から送られてきた濃度データから濃度代表値演算部71がこの撮影画像コマの濃度代表値を演算し、この濃度代表値に基づいて読み取り条件決定部72が読み取り条件、例えば適正光源光量値や適正電荷蓄積時間を決定する(#32)。決定された読み取り条件は読み取り条件転送部73によって制御モジュール80に転送され、光量制御部81と絞り制御部83と蓄積時間制御部84のうちの少なくとも1つを調整することで該当読み取り条件にスキャナ1が設定される(#33)。続いて、読取位置であるスキャンゲート52に達した撮影画像コマを低解像度(例えば、256x384ピクセル)で読み取る(#34)。このようなステップ#31からステップ#34までのルーチンをフィルム2に含まれている全ての撮影コマ画像に対して実行され、全ての撮影コマ画像のプレスキャンが終了すると、このプレスキャンサブルーチンから元のメインルーチンに戻る。なお、ステップ#33において読み取り条件転送部73が読み取り条件を制御モジュール80に送るとともに、この読み取り条件を順次読み取り条件格納部73に格納していく。この読み取り条件は先入れ後出し方式で読み出され、本スキャン時に利用されるので、読み取り条件格納部73はスタック方式のメモリで構成されるとよい。
プレスキャンが終わると、それ自体はよく知られているプレジャッジ作業が行われるととともに、プレジャッジ作業においてプリント開始が確定された撮影画像コマは本スキャンされる。まず、プレスキャンで取得された低解像度の画像データを用いてプレジャッジ画像データが作成される(#40)。プレジャッジ画像データはプレスキャン画像データから周辺領域との濃度差と予め知られているコマ画像サイズに基づいて各コマ画像に相当するエリアを切り取ることによって得られる。プレジャッジ画像データが得られるとモニタ5にプレジャッジ画像を表示しながら、プレジャッジ作業が行われ、必要に応じて、補正処理コマンドが設定される(#60)。プレジャッジ作業においてプリント開始が確定された撮影画像コマが生じると(#70Yes分岐)本スキャンプロセスが開始される。
本スキャンプロセスでは、図8に示されているように、フィルム2から撮影画像コマを読み取る方向はプレスキャンプロセスの反対となる。つまり、フィルム2をプレスキャンとは逆の方向に搬送しながら本スキャンが行われる。これは、この実施形態では、プレスキャン時のフィルム搬送方向を往路とすると本スキャン時のフィルム搬送方向は復路となっているからである。このため、図8から読み取れるように、読み取り条件転送部73は、読み取り条件格納部74から先入れ後出し方式で読み取り条件を読み出す(#81)。読み出された読み取り条件は制御モジュール80に転送され、光量制御部81と絞り制御部83と蓄積時間制御部84のうちの少なくとも1つを調整することで該当読み取り条件にスキャナ1が設定される(#82)。続いて、読取位置であるスキャンゲート52に達した撮影画像コマを高解像度(例えば、2048x3072ピクセル)で読み取る(#34)。このようなステップ#81からステップ#83までのルーチンはプレジャッジ作業でプリントすべきと決定された全ての撮影コマ画像に対して実行される。続くプリント処理プロセスでは、プレジャッジ作業で設定された補正処理コマンドに基づく画像処理は本スキャンで得られた対応する高解像度のコマ画像データに対して画像処理部67で行われ、画像処理済みのコマ画像データはプリントデータに変換され、プリントステーション90の露光処理部91に送られ、そこで印画紙に対して撮影画像の露光が行われ、現像処理を経て写真プリントが作成される(#90)。
上記の実施の形態では、プレスキャン時にはフィルムの第1方向の移動、つまり往路移動によってフィルム2に含まれている撮影画像コマを読み取り、本スキャン時には第1方向とは逆の移動、つまり復路移動によって撮影画像コマを読み取っていたが、本スキャンの前にフィルム2を巻き戻し、再度第1方向移動、つまり往路移動によって撮影画像コマを読み取る構成を採用してもよい。この場合、本スキャン時において読み取り条件格納部74から読み取り条件を読み出す方式は先入れ先出し方式となる。
さらに上記の実施の形態では、低解像度の画像データをプレスキャンで読み取り、高解像度の画像データを本スキャンで読み取っていたが、撮影画像コマを高解像度で読み取る本スキャンモードのみで撮影画像コマを読み取り、低解像度撮影画像は高解像度撮影画像から画像処理で生成する構成を採用してもよい。この場合、濃度情報の取得と濃度情報に基づく読み取り条件の決定は本スキャン時の各撮影画像コマの読み取り前に順次実施される。
また、スキャナ1としてラインCCDセンサを用いたものを取り上げたが、エリアCCDセンサを用いてもよいし、光電変換センサとしてCCD以外のタイプ、例えばCMOSセンサを用いてもよい。ここで重要なことは、各撮影画像コマの読み取り、特にプレスキャンに先だって各撮影画像コマの濃度情報を取得して、その撮影画像コマを読み取る際のスキャナ2の読み取り条件をその都度設定し直すことである。
本発明による写真フィルム用スキャナを組み込んだ写真プリント装置の一例を模式的に示す模式図 図1による写真プリント装置に用いられたスキャナの外観を示す斜視図 スキャナの照明光学系を示す断面図 写真プリント装置のコントローラ内に構築された主要な機能要素を説明する機能ブロック図 写真フィルムから撮影画像コマを読み込んで、写真プリントを出力するプリント処理を示すフローチャート 濃度検出を含むプレスキャンプロセスを示すフローチャート 本スキャンプロセスを示すフローチャート スキャナによって読み取られた撮影画像コマ単位の画像データの流れを示す説明図
符号の説明
1:フィルムスキャナ(スキャナ)
20:照明光学系
24:NDフィルタ(減光フィルタ)
30:撮像光学系
40:光電変換部
52:スキャンゲート(読取位置)
60:コントローラ
63:スキャニング制御部
70:濃度情報評価モジュール
71:濃度代表値演算部
72:読み取り条件決定部
73:読み取り条件転送部
74:読み取り条件格納部
80:制御モジュール
81:光量制御部
82:絞り制御部
83:蓄積時間制御部

Claims (5)

  1. 読取位置を通る共通の光軸を有する照明光学系と撮像光学系と光電変換部とからなる画像読取ユニットとこの画像読取ユニットを制御するモジュールを備え、前記読取位置を順次通過する写真フィルムの撮影画像コマから撮影画像を読み取る写真フィルム用スキャナにおいて、
    前記写真フィルムを前記画像読取ユニットに投入する搬送方向に関して前記読取位置の上流側に前記画像読取ユニットによる画像読み取りに先立って撮影画像コマの濃度情報を検出する濃度センサが備えられ、当該撮影画像コマの読み取り条件を前記モジュールが前記濃度情報に基づいて決定し、前記読み取り条件に基づいて撮影画像コマ毎に前記モジュールが照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つを制御することを特徴とする写真フィルム用スキャナ。
  2. 前記読取位置は単一であり、前記撮影画像コマを低解像度で読み取るプレスキャンモードと前記撮影画像コマを前記プレスキャンモードよりも高い高解像度で読み取る本スキャンモードの2つのスキャンモードが備えられ、同一の撮影画像コマは前記プレスキャンモードと前記本スキャンモードで共通の読み取り条件で読み取られることを特徴とする請求項1に記載の写真フィルム用スキャナ。
  3. 前記撮影画像コマを高解像度で読み取る本スキャンモードのみで前記撮影画像コマが読み取られ、低解像度撮影画像は高解像度撮影画像から画像処理で生成されることを特徴とする請求項1に記載の写真フィルム用スキャナ。
  4. 読取位置を通る共通の光軸を有する照明光学系と撮像光学系と光電変換部とからなる画像読取ユニットとこの画像読取ユニットを制御するモジュールを備え、前記読取位置を順次通過する写真フィルムの撮影画像コマから撮影画像を読み取る写真フィルム用スキャナのための撮影画像読取方法において、
    前記読取位置に搬送される直前の撮影画像コマの濃度情報を検出し、
    当該撮影画像コマの読み取り条件を前記検出された濃度情報に基づいて決定し、
    前記決定された読み取り条件に基づいて前記モジュールが撮影画像コマ毎に照明光学系の照射光量と撮像光学系の通過光量と光電変換部の電荷蓄積時間のうちの少なくとも1つを制御し、
    前記読取位置に達した当該撮影画像コマを前記読み取り条件通りに制御された画像読取ユニットが読み取る、
    ことを特徴とする撮影画像読取方法。
  5. 前記撮影画像コマを低解像度で読み取るプレスキャンモードと前記撮影画像コマを前記プレスキャンモードよりも高い高解像度で読み取る本スキャンモードの2つのスキャンモードにおいて、同一の撮影画像コマは同一の前記読み取り条件で読み取られることを特徴とする請求項4に記載の撮影画像読取方法。
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