以下、本発明の一実施形態に係る現像処理液管理システム、及び測定装置について、添付図面を参照して説明する。本実施形態において、現像処理液管理システム及び測定装置は、感光材料としての印画紙に対して露光処理及び現像処理を行う写真処理装置に組み込まれているため、以下の説明において、写真処理装置全体を通じて説明することとする。
本実施形態に係る写真処理装置は、図1に示す如く、該写真処理装置の操作を行う操作部1と、印画紙に露光処理を施す露光処理部2と、該露光処理部2で露光処理された印画紙を現像処理する現像処理部3と、該現像処理部3で現像処理された印画紙を乾燥処理する乾燥処理部4と、乾燥処理された印画紙をオーダー、及びサイズ毎に仕分けて回収する回収部5とを備えている。
前記操作部1は、各処理の処理状況や操作案内等を表示するモニター10と、該モニター10の表示に基づいて入力操作を行うキーボード110、及びマウス111等の入力装置11と、CD−R/RWやメモリーカード等のメディアMから画像データを読み込むメディアドライブ12と、写真フィルムに形成された駒画像を読み込むフィルムスキャナー13と、入力装置11からの入力データ、メディアドライブ12やフィルムスキャナー13で読み込んだ画像データ等を適宜演算処理し、露光処理部2の動作等を制御する演算処理装置14(コンピュータ)とを備えている。
前記演算処理装置14は、図2に示す如く、制御の主体となるCPU140や、各種処理を行うためのソフトウェア等を記憶したROM141、各種処理に対するワークエリア等に使用されるRAM142等により構成されており、本実施形態において、前記モニター10、入力装置11(キーボード110、マウス111)、メディアドライブ12、及びフィルムスキャナー13がI/Oインターフェイス143を介して接続されている。
前記露光処理部2は、ロール状にされた長尺な印画紙Eを収納するマガジン20と、該マガジン20から引き出された印画紙Eを所定の長さで切断する切断装置21と、該切断装置21により切断された印画紙Eを下流に向けて搬送する搬送装置22と、該搬送装置22により搬送されてきた印画紙Eに露光処理を施す露光ユニット23とで構成されている。
本実施形態に係る露光ユニット23は、ハロゲンランプ等の光源230に光ファイバ束231を介して接続された透光性電圧セラミックス(いわゆるPLZT)からなる光シャッター232を備え、該光シャッター232を介して印画紙EにRGB各色の光を照射して露光処理する露光エンジンが採用されている。なお、露光ユニット23には、印画紙Eに向けてRGB各色のレーザー光を照射して露光処理するレーザーエンジンを採用することもできる。
前記現像処理部3は、現像処理液Wが貯留された複数の液槽30,30…と、各液槽30,30…の現像処理液Wに対して印画紙Eを浸漬して引き上げる動作を繰り返すように搬送する搬送系31とを備えている。各液槽30,30…には、印画紙Eに対して現像処理、漂白処理、定着処理、安定処理を行うための現像処理液Wが貯留されており、上流側から順に現像液(CD)、漂白・定着液(BF)、安定液(ST)、洗浄液が貯留されている。
また、各液槽30,30…には、貯留した現像処理液Wの温度調整を行うべく、ヒータ(図示しない)を備えると共に、現像処理液Wの濃度を調整すべく、希釈水や現像処理液Wの原液を注入する現像液注入手段(図示しない)を備えている。該現像処理部3の最上流の部分(露光処理部2との境界近傍)には、後述するシート状のコントロールストリップスを外部から搬送系31で構成される搬送経路に導入するための導入路(図示しない)が形成されている。即ち、導入路は、露光処理部2を経ることなく、コントロールストリップスに対して現像処理のみを行えるように、露光処理部2と現像処理部3とを結ぶ搬送経路に接続されている。
前記乾燥処理部4は、現像処理部3から送られてきた印画紙Eを乾燥させる乾燥室40と、該乾燥室40内に熱風を送り出す熱風発生装置41を収容した熱風発生装置収容部42とに区画されている。前記乾燥室40には、現像処理部3から送られてくる印画紙Eを受け取って下流側(回収部5)に向けて搬送する搬送系43が内装されている。
前記回収部5は、前記乾燥処理部4で乾燥処理された印画紙Eをサイズ毎に振り分ける振分装置50と、該振分装置50で振り分けた印画紙Eをオーダー毎に仕分ける仕分装置51とで構成されている。
前記仕分装置51は、印画紙Eの搬送方向に対して直交方向に移動する前記コンベア52と、該コンベア52によって運ばれてくる印画紙Eをオーダー毎に仕分ける仕分機構(図示しない)とで構成されている。仕分機構は、上下方向に移動可能に配設された複数の受皿53…を備えており、該受皿53…が上下方向に移動することで、コンベア52によって搬送されてくる印画紙Eを各受皿53…にオーダー毎に振り分けるように構成されている(図1参照)。
本実施形態に係る写真処理装置は、上記構成に加え、現像処理部3における現像処理液Wの管理を行う現像処理液管理システム6が組み込まれている。
かかる現像処理液管理システム6は、現像処理液Wで現像処理されたコントロールストリップスCa,Cbに形成される複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…(図3参照)の状態を測定し、その測定結果と基準データ(リファレンスストリップスから得られる標準的な値)とを基に現像処理液Wの状態の可否の判断を行うように構成されている。なお、ここで露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態とは、色調、即ち、色彩の強弱、濃淡、階調等である。
ここでコントロールストリップスCa,Cbについて説明すると、コントロールストリップスCa,Cbは、感光材料或いは現像処理液の各メーカーから提供されるもので、感光材料(本実施形態においては印画紙)の小片に、メーカーが予め何段階かの露光を与えた複数の露光パターンが設定されたものである。
該コントロールストリップスCa,Cbは、該コントロールストリップスCa,Cbと同一条件且つ同一露光パターンで露光されると共に、標準(基準)の現像処理液Wで現像処理されたリファレンスストリップスの複数の露光パターンの状態(測定結果)を基準データとして扱い、該基準データとコントロールストリップスCa,Cbにおける複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の測定結果と比較して、コントロールストリップスCa,Cbを現像処理した現像処理液Wの適否を判断するためのものである。
該コントロールストリップスCa,Cbは、提供するメーカーによって複数の露光パターンの配置(配列の間隔)、形態等が異なっている。ここでメーカーA社及びメーカーB社のコントロールストリップスを一例に挙げて説明すると、図3(イ)に示す如く、A社から提供されるコントロールストリップスCaは、露光条件の異なる複数の露光パターンPa,Pb…が略等間隔で一列に配置されると共に、この複数の露光パターンPa,Pb…が平面視略長方形状をなす感光材料(印画紙)の幅方向(短手方向)の略中央で長手方向に配列されているのに対し、図3(ロ)に示す如く、B社から提供されるコントロールストリップスCbは、露光条件の異なる複数の露光パターンPa’,Pb’…のそれぞれがA社の露光パターンPa,Pb…よりも狭い領域に設定されると共に不等間隔で一列に配置され、しかも、この複数の露光パターンPa’,Pb’…が平面視略長方形状をなす感光材料(印画紙)の幅方向(短手方向)の一端側に変位した位置で長手方向に配列されている。このように各社が提供するコントロールストリップスに形成される複数の露光パターンが異なっている。なお、図3に示したコントロールストリップスCa,Cbは、現像処理が行われて各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…が発色した状態(測定される状態)を示している。
かかる現像処理液管理システム6について具体的に説明すると、現像処理液管理システム6は、図2に示す如く、コントロールストリップスCa,Cbに形成される複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定する測定装置7と、コントロールストリップスCa,Cbの測定結果との比較の対象となる基準データを記憶した記憶手段と、前記測定装置7によるコントロールストリップスCa,Cbと測定結果と前記基準データとを比較する比較手段と、測定結果が基準データと不一致、又は基準データを基準とした所定範囲外であると判断した場合に、現像処理液Wに対する対処を表示する表示手段とを備えている。本実施形態においては、現像処理液管理システム6は、写真処理装置の一構成として一体的に構成されているため、前記記憶手段は、操作部1におけるROM141、RAM142により構成され、前記比較手段は、ROM141に記憶されたソフトウェアに基づいて作動するCPU140により構成され、表示手段は、操作部1のモニター10により構成されている。
前記測定装置7は、図4に示す如く、露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定するセンサー70を備えている。即ち、本実施形態に係る測定装置7は、感光材料である印画紙Eに画像を形成する写真処理装置に組み込まれているため、印画紙に形成された画像(露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…)の発色(色調)状態を測定するセンサー(測色センサー)70を備えた測色装置として構成されている。
該測色装置7は、測色センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置が変更可能に構成され、測色センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置を変更し、測色センサー70で各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定して測定結果を得るように構成されている。
該測色装置7は、作業者が操作を行う操作部1の入力装置11及びモニター10と同様に、作業者がアクセスすることができる領域(当該写真処理装置の正面)に設けられている。なお、本実施形態に係る測色装置7は、図1に示す如く、前記入力装置11が載置されるテーブルTの上面を構成すると共に開閉可能に構成されたカバーC内に収容され、後述する挿入口のみが写真処理装置の正面に露呈しており、該測色装置7を手動で操作したり、測定の対象となるコントロールストリップスCa,Cb等を取り出したりする場合に、カバーCを開くことで該測色装置7の適宜箇所にアクセスできるようになっている。
該測色装置7は、電気的にも写真処理装置に一体的に組み込まれており、当該写真処理装置の一構成として操作可能にすると共に、測定結果の記憶やこれに基づく各種処理(例えば、現像処理液Wの条件設定等)を行えるように、前記I/Oインターフェイス143を介して操作部1の演算処理装置14に接続されている(図2参照)。
図4に戻り、該測色装置7は、コントロールストリップスCa,Cb及び測色センサー70が直交する二軸方向で相対移動可能に構成され、異なるメーカーのコントロールストリップスCa,Cbの各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…を測色センサー70で適正に測定できるように構成されている。
該測色装置7について具体的に説明すると、該測色装置7は、コントロールストリップスCa,Cbを搬送する搬送手段71と、該搬送手段71によって搬送されるコントロールストリップスCa,Cbの露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…(画像)の色調を測定するための測色センサー70と、搬送手段71によるコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向と直交する方向に測色センサー70を往復動させるための測色センサー用駆動系720が装着されたケース本体72とを備えている。
前記ケース本体72は、ベースとなる下フレーム部721aと、コントロールストリップス(プリント)Ca,Cbを搬送する搬送経路を形成すべく、前記下フレーム部721aに対して所定間隔を有して対向配置された上フレーム部721bと、搬送経路でのコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向と直交する下フレーム部721a及び上フレーム部721bの両端部同士を連結する一対の連結部721cとで構成されている。
前記下フレーム部721aの上面には、コントロールストリップスCa,Cbの両側端を案内するための一対の側端ガイド体722,722が設けられている。前記上フレーム部721bは、搬送経路上でのコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向に間隔を有して一対設けられており、該一対の上フレーム部721b間に前記測色センサー70(測色センサー70を装備したケーシング728)を収容する収容空間723を形成している。該収容空間723は、前記搬送経路と連通状態にあり、該収容空間723内に収容された測色センサー70で搬送経路上のコントロールストリップスCa,Cbに形成された複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…(画像)を測定できるようになっている。また、該収容空間723は、収容したケーシング728をコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向と直交する方向に移動できるように形成されている。
これにより、下フレーム部721aと搬送方向の上流側の上フレーム部721bとの間には、コントロールストリップスCa,Cbを挿入する挿入口724が形成される一方、下フレーム部721aと搬送方向の下流側の上フレーム部721bとの間には、搬送経路を介して前記挿入口724と対向し、挿入されたコントロールストリップスCa,Cbを排出する排出口725が形成されている。なお、搬送方向上流側の上フレーム部721bの下面には、コントロールストリップスCa,Cbの上面(露光パターンの形成された面)を案内するための上面案内ガイド板726が設けられている。該上面案内ガイド板726は、上流側の端部が下フレーム部721aの上面に対して離間するように傾斜して形成され、前記挿入口724にコントロールストリップスCa,Cbを円滑に挿入できるようになっている。
また、下フレーム部721a又は上フレーム部721bには、挿入口724からコントロールストリップスCa,Cbが挿入されたことを検知する検知センサー(図示しない)が設けられており、該検知センサーがコントロールストリップスCa,Cbを検知して所定時間経過後、或いは所定距離搬送した後に、測色センサー70による測定が開始されるようになっている。
前記一対の連結部721cのうち、下フレーム部721a及び上フレーム部721bの一端同士を連結した一方の連結部721cには、搬送手段71を駆動するための駆動系(図示しない)が内装され、他方の連結部721cには、測色センサー70を搬送方向と直交する方向に移動(往復動)させるための測色センサー用駆動系720が装着されている。
前記搬送手段71は、コントロールストリップスCa,Cbを圧着搬送する搬送ローラ対727で構成されている。該搬送ローラ対727は、駆動系を介して回転するようになっており、一方の搬送ローラ727aが一部を上面から突出させて下フレーム部721aに内装され、他方の搬送ローラ727bが一部を下面から突出させて上フレーム部721bに内装されている。
前記測色センサー70は、搬送経路上のコントロールストリップスCa,Cbに対向するように、前記収容空間723内に収容されるケーシング728に装備されている。本実施形態に係る測色センサー70には、光学式センサーが採用されており、該ケーシング728は、ケース本体72の両側端(一対の連結部721c)に跨って前記収容空間723内に配設された一対のガイドバー729,729が挿通されている。これにより、ケーシング728に装備された測色センサー(センサー)70がガイドバー729,729に沿って移動できるようになっている。
前記測色センサー用駆動系720は、他方の連結部721cに固定されたステッピングモータ730と、該ステッピングモータ730の出力軸にシャフト731aが連結されると共に、前記シャフト731aに螺合されたソケット731bが前記ケーシング728に固定されたボールネジ731と、ケーシング728(測色センサー70)のY軸方向の移動量を制御すべく、前記シャフト731aの回転量を測定するエンコーダ732とで構成されている。前記測色センサー用駆動系720は、エンコーダ732からの信号でステッピングモータ730(出力軸)の回転角度を制御してケーシング728の移動量を制御できるようになっている。なお、本実施形態においては、前記ソケット731bが、ケーシング728に内装されており、前記シャフト731aがケーシング728に挿通された態様をなしている。これにより、シャフト731aを軸心周りで回転させることで、ケーシング728は、一対のガイドバー729,729に回転が規制されつつ、シャフト731aの軸心方向に移動できるようになっている。
さらに、本実施形態に係る測色装置7は、日々の作業を開始するに際し、露光処理部2(露光ユニット23)による露光処理の適正化を図るデイリーセットアップにも用いることができるようにもなっている。
デイリーセットアップは、現像処理部3の現像処理液Wが適正であるという前提の基に露光処理部2(露光ユニット23)を調整するために行われるもので、図5に示すセットアッププリントSp及びテストプリントTpに形成された画像A,Bの状態の比較を行い、その結果を基に露光ユニット23の調整を行うことにより行われる。具体的には、デイリーセットアップは、測色装置7でセットアッププリントSpの基準画像Aの色調を測定し、その測定結果を基準にして当該測色装置7をセットアップした上で、セットアッププリントSpと同様の態様でテスト的に出力したテストプリントTpのテスト画像Bを測色装置7で測定し、基準画像Aに係るデータと測定結果との差異に基づいて露光ユニット23の露光条件を調節することにより行われる。これにより、その日の作業において適正な露光処理を行えるようにしている。
セットアッププリントSpは、色等に劣化が起こりにくいインクによりシート上に基本画像Aが予め描画された基準となるものであるのに対し、テストプリントTpは、基本画像Aと同様の画像を露光ユニット23での露光処理と現像処理部3での現像処理とにより印画紙E上に形成したものであり、基準画像A及びテスト画像Bの何れも、色調を段階的に変化(グラデーション)させて一列に形成されている。そして、測色装置7は、デイリーセットアップにおいて、搬送手段71がセットアッププリントSp又はテストプリントTpを画像A,Bの色調が変化する方向(列方向)に所定移動量(色調が変化する各段階に対応する移動量)で間欠的に搬送し、搬送が停止された状態でその箇所の基本画像(色調における段階毎の基本画像)Aを測色センサー70で測定するようになっている。
前記記憶手段141,142には、上述の如く基準データが記憶されており、本実施形態に係る基準データは、複数種類の現像処理液Wと、複数種類のリファレンスストリップスとの組み合わせの関係において、各現像処理液Wで現像処理した各リファレンスストリップスの露光パターンの状態(測色に係るデータ)がテーブルとして記憶されている。
そして、本実施形態に係る現像処理液管理システム6は、該システムを起動させるに際し、入力手段11を介してコントロールストリップスCa,Cb…の種類、及び現状使用されている現像処理液Wの種類を入力することで、コントロールストリップスCa,Cbの測定結果との比較の対象となるリファレンスストリップスの種類の特定と、現状使用されている種類の標準状態の現像処理液Wの特定がなされるようなっている。そして、このようにリファレンスストリップスが特定されることにより、測定の対象となるコントロールストリップスCa,Cbにおける複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置、形態、サイズが特定されると共に、記憶手段141,142に記憶されたテーブルから、リファレンスストリップスにおける各露光パターンの状態(標準状態の現像処理液で現像処理された露光パターンの状態:基準データ)が抽出されるようになっている。
さらに、本実施形態に係る現像処理液管理システム6は、比較手段(CPU)140がコントロールストリップスCa,Cbに対する測定結果とテーブル(基準データ)とを比較し、コントロールストリップスCa,Cbの測定結果が、基準データと一致或いは基準データを基準(基準値)とした所定範囲内にある場合に、現像処理液Wの状態は適正であるとしてモニター10にその旨を表示するようになっている。その一方で、基準データと不一致或いは基準データを基準とした所定範囲外である場合に、現像処理液Wに対する対処がモニター10に表示される。例えば、コントロールストリップスCa,Cbの測定結果が前記所定範囲から外れている場合であって、その範囲近傍の値である場合には、現像処理液Wの補充を行う旨がモニター10に表示され、測定結果が所定の範囲よりも大きく外れている場合には、現像処理液Wの交換が必要である旨がモニター10に表示されるようになっている。なお、この現像処理液管理システム6による現像処理液Wの管理(現像処理液Wの適否の判断)は、デイリーセットアップと同様、日々の業務を行う前(好ましくは、デイリーセットアップ前)に毎日行ってもよいし、定期的(所定期間毎)に行ってもよい。
本実施形態に係る写真処理装置は、以上の構成からなり、次に、デイリーセットアップ(露光処理部2(露光条件)の設定)、及び現像処理部3(現像処理液Wの管理)について説明する。
まず、デイリーセットアップについて説明すると、写真処理装置の起動時に測色装置7のセットアップを行う。これに際し、セットアッププリントSpを挿入口724から挿入すると、搬送手段71が駆動して当該セットアッププリントSpを所定量下流側に搬送し、搬送方向において基準画像Aが順々に測定され、その測定結果が演算処理装置14に一時的に記憶される。
次に、セットアッププリントSpと同様のテスト画像Bを有するテストプリントTpが露光処理部2及び現像処理部3での各処理を経てプリント出力される。そして、そのテストプリントTpを測色装置7の挿入口724から挿入し、テスト画像Bに対する測定が行われる。この際においても、テストプリントTpを挿入口724から挿入すると、搬送手段71が駆動して当該テストプリントTpを所定量下流側に搬送し、搬送方向(色調が変化する方向)においてテスト画像Bが順々に測定され、そのテスト画像Bの測定結果と先に記憶させた基準画像Aの測定結果とが対比されることになる。
そうすると、セットアッププリントSpに対する測定結果とテストプリントTpの測定結果に差が生じている場合には、該当する領域の色調に不良が発生することが判るため、演算処理装置14に記憶されたルックアップテーブル(基準画像とテストプリントTpのテスト画像の色調との差に応じて露光条件が設定されたテーブル)から、修正する出力条件(露光処理条件)が探し出され、露光処理部2(露光ユニット23)の出力条件(露光条件)が再設定される。これにより、以後に出力されるプリントの画像がセットアッププリントSpの基準画像を基礎にした色調により露光処理部2(露光ユニット23)で露光処理されることになる。
他方、現像処理液管理システム6で現像処理液Wの管理(状態の把握)を行う場合には、まず、導入路を介してコントロールストリップスCa,Cbを現像処理部3の搬送経路内に導入する。そうすると、コントロールストリップスCa,Cbは現像処理液Wによって現像処理が施され、現像処理後のコントロールストリップスCa,Cbには、メーカーが予め設定しておいた複数の露光パターンPa,Pb…Pa’,Pb’…の画像が形成されることになる。
そして、入力装置11等を介して処理したコントロールストリップスCa,Cbの種類と、現状で使用している現像処理液Wの種類を入力する。そうすると、上述のテーブル内からリファレンスストリップス(複数の露光パターンの配置、形態、サイズ)が特定されると共に、現状の現像処理液と同種の現像処理液であって標準状態にあるものによって現像処理されたリファレンスストリップスの各露光パターンの状態(基準データとしての色調の値)が抽出される。
しかる後、処理後のコントロールストリップスCa,Cbを測色装置7の挿入口724から挿入すると、測定の対象となるコントロールストリップスCa,Cbの露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置として、先に特定されたリファレンスストリップスの露光パターンの配置等に対応するように、センサー70がX軸方向に移動すると共に、搬送手段71がコントロールストリップスCa,CbをY軸方向に搬送する。そして、このコントロールストリップスCa,Cbの搬送と測色センサー70の相対移動により、測色センサー70が複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…のそれぞれに対して順々に対向していき、それぞれの位置で各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の測色を行うことになる。そして、測色センサー70によって測定された各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…に対する測定結果が一時的に記憶手段142に記憶される。
そして、上述の如く抽出された基準データとコントロールストリップスCa,Cbにおける測定結果との比較が行われる。基準データと測定結果とが適合する場合には、現像処理液Wの状態が適正であると判断され、その旨がモニター10に表示されることになる。その一方で、基準データから外れてはいるが、所定範囲内に留まっていると判断された場合には、現像処理液Wに補充する(濃度を高める)必要がある旨がモニター10に表示され、作業者はこの表示に従って現像処理液Wの補充を行う。また、測定結果が基準データから外れ、且つ所定の範囲からも外れている場合には、現像処理液Wを交換する必要がある旨がモニター10に表示され、作業者はこの表示に従って現像処理液Wの交換を行う。これにより、種類の異なるコントロールストリップスCa,Cbを用いても迅速に現像処理液Wの状態を把握することができ、常に適切な状態の現像処理液Wで現像処理を行うことができる。
以上のように、本実施形態に係る写真処理装置(現像処理液管理システム6)は、コントロールストリップスCa,Cbに形成される複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…を測定する測定装置7を備え、測定装置7は、露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定するセンサー70を備えると共に、センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置が変更可能に構成され、センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置を変更するように構成されているので、複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置や態様の異なるコントロールストリップスCa,Cbを用いても、センサー70を各コントロールストリップスCa,Cbの露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置や形態に対応した配置にすることができる。そして、センサー70で各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定して前記測定結果を得るようにしているので、この測定結果と予め準備した基準データと比較することで現像処理液Wの可否を判断することができる。従って、本実施形態に係る現像処理液管理システム6(測色装置7)は、各メーカーが提供する種類の異なるコントロールストリップスCa,Cbに対する測定を行うことができ、その結果を基に現像処理液Wの調整を行うことができるという優れた効果を奏し得る。
そして、測色装置7にコントロールストリップスCa,Cbを搬送する搬送手段71を設け、センサー70をコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向と直交方向に移動可能にしたので、搬送手段71によるコントロールストリップスCa,Cbの搬送と、センサー70の移動とにより、これらを直交する二軸方向に相対移動させてセンサー70を露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置や形態に合わせて適宜配置することができ、迅速且つ確実に各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定することができる。
また、リファレンスストリップスの測定結果を基準データとして記憶した記憶手段141,142(ROM141,RAM142)と、測色装置7によるコントロールストリップスCa,Cbの測定結果と基準データとを比較する比較手段(CPU140)と、測定結果が基準データと不一致、又は基準データを基準とした所定範囲外であると判断した場合に、現像処理液Wに対する対処を表示する表示手段(モニター10)とを備えているので、作業者の作業負担を軽減した上で、表示手段10に表示された情報を基に作業者が現像処理液Wの状態を把握すると共にそれに対応した対処を行うことができる。
また、本実施形態に係る写真処理装置は、現像処理液管理システム6の一構成である測色装置7をデイリーセットアップ(露光ユニット23)の調整にも用いられるように構成したので、現像処理液Wの管理のみならず、露光処理においても最適な状態にすることができ、一連のプリント処理全体を高品質なものにすることができる。
尚、本発明の現像処理液管理システム及び測定装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、現像処理液管理システム(測色装置7)を、印画紙Eに対して露光処理及び現像処理を行う写真処理装置に組み込んだが、これに限定されるものではなく、例えば、現像処理液管理システム6を単独で構成したり、印画紙Eに現像処理のみを行う現像処理装置に組み込むようにしたりしてもよい。また上記実施形態においては、リファレンスストリップスについてのデータ(テーブル)を記憶手段141,142に記憶させると共に比較手段によってそのデータとコントロールストリップスCa,Cbの測定結果とを比較するようにしたが、例えば、リファレンスストリップスに係るデータ(テーブル)を表にして別途用意しておき、作業者がコントロールストリップスCa,Cbの測定結果と表の内容とを比較して現像処理液Wの状態を把握するようにしてもよい。従って、測色装置7は、現像処理液Wの管理、即ち、コントロールストリップスCa,Cbの露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の状態を測定するだけに用いるようにしても勿論よい。但し、この場合においても、センサー70が各露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…について測定できるように、測定の対象となるコントロールストリップスCa,Cbの露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…等についての情報等を入力できるようにすることは勿論のことである。
上記実施形態において、現像処理液管理システム(測色装置7)を印画紙Eにプリントを施す写真処理装置に組み込んだが、これに限定されるものではなく、例えば、感光材料としてのフィルムを現像処理するフィルム用現像処理装置に組み込んで、フィルムを現像する現像処理液について管理するようにして勿論よい。この場合、フィルムからなるコントロールストリップスの露光パターンを測定するため、上記実施形態に係る測色センサー70を濃度センサーに代えた測定装置とすればよい。即ち、上記実施形態においては印画紙の小片に対して露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…を施したコントロールストリップスCa,Cbを用いたため、印画紙から反射される反射光から測色する測色センサー70を備えた測色装置7を測定装置として採用したが、フィルムの小片に露光パターンを施したコントロールストリップスを用いる場合には、フィルムを透過する透過光から濃度を測定するため、露光パターンの状態を測定するセンサーに濃度センサーを採用した測定装置を採用すればよい。
上記実施形態において、センサー70を複数の露光パターンPa,Pb…,Pa’,Pb’…の配置に対応させるべく、測色装置7にコントロールストリップスCa,Cbを搬送する搬送手段71と、センサー70(測色センサー70)をコントロールストリップスCa,Cbの搬送方向に対して直交方向に往復動させる測色センサー用駆動系720とを備えたが、これに限定されるものではなく、例えば、コントロールストリップスCa,Cbを所定位置に配置できるように構成すると共に、センサー70を直交二軸(X−Y軸方向)に移動可能に構成するようにしたり、センサー70を定位置に固定し、コントロールストリップスCa,Cbを直交二軸方向に搬送できるように搬送装置22を構成したりして、コントロールストリップスCa,Cbとセンサー70とを直交二軸方向に相対移動可能に構成するようにすればよい。即ち、測定装置は、露光パターンの状態を測定するセンサー70を備えると共に、センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置が変更可能に構成され、センサー70とコントロールストリップスCa,Cbとの相対位置を変更し、センサー70で各露光パターンの状態を測定して前記測定結果を得るように構成されればよい。
上記実施形態において、種類の異なるリファレンスストリップスと現像処理液Wとの関係において、リファレンスストリップスの露光パターンの状態に係るデータをテーブル化して記憶手段141,142に記憶させるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、使用される可能性のある複数種類のコントロールストリップスCa,Cbに関し、許容可能な許容値を経験則に基づいて設定しておき、コントロールストリップスCa,Cbの測定結果と許容値とを比較して現像処理液Wの状態についての可否を判断するようにしてもよい。
上記実施形態において、モニター10に表示される現像処理液Wに対する対処に基づき、作業者が現像処理液Wの補充や交換を行うようにしたが、例えば、比較の結果に基づいて、現像処理部3の現像液注入手段を作動させて自動的に現像処理液Wの補充、及び交換を行うように構成しても勿論よい。
1…操作部、2…露光処理部、3…現像処理部、4…乾燥処理部、5…回収部、6…現像処理液管理システム、7…測色装置(測定装置)、10…モニター(表示手段)、11…入力装置、12…メディアドライブ、13…フィルムスキャナー、14…演算処理装置、20…マガジン、21…切断装置、22…搬送装置、23…露光ユニット、30…液槽、31…搬送系、40…乾燥室、41…熱風発生装置、42…熱風発生装置収容部、43…搬送系、50…振分装置、51…仕分装置、52…コンベア、53…受皿、70…測色センサー(センサー)、71…搬送手段、72…ケース本体、110…キーボード、111…マウス、140…CPU(比較手段)、141…ROM(記憶手段)、142…RAM(記憶手段)、143…インターフェイス、230…光源、231…光ファイバ束、232…光シャッター、720…測色センサー用駆動系、721a…下フレーム部、721b…上フレーム部、721c…連結部、722…側端ガイド体、723…収容空間、724…挿入口、725…排出口、726…上面案内ガイド板、727…搬送ローラ対、727a,727b…搬送ローラ、728…ケーシング、729…ガイドバー、730…ステッピングモータ、731…ボールネジ、731a…シャフト、731b…ソケット、732…エンコーダ、E…印画紙、M…メディア、W…現像処理液、Ca,Cb…コントロールストリップス、Pa,Pb…露光パターン、Pa’,Pb’…露光パターン、Sp…セットアッププリント、Tp…テストプリント、A…基準画像、B…テスト画像