JP2007031585A - 粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シート - Google Patents

粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シート Download PDF

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幸恵 大橋
Kiyohito Goto
潔人 後藤
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Abstract

【課題】再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、粘着層とした場合に比較的に低温で架橋反応が促進する粘着性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の粘着性樹脂組成物は、(A)粘着性樹脂、(B)スルホン化ポリマー、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を含有する粘着性樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートに関する。さらに詳しくは、ディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適な粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートに関する。
従来から、各種の部材や物品の表面を機械的あるいは電気的に保護するため、また精密機器では内部に埃や水分等の侵入を防止するために、保管時、搬送・輸送時や加工時において、保護テープや保護シートや保護フィルム等の保護材で、上記した部材や物品の表面を被覆しておくことが行われている。
保護材には一般に、保護される部材や物品に接着させるために粘着層が設けられているが、その粘着層を形成するための粘着剤には保護される部材や物品を汚染することのないように高い再剥離性を有する必要がある。またディスプレイ、偏光板、電子基板等の保護には、例えば、保護フィルムを剥離する際に生じる静電気による損傷や機能劣化を防止するために、十分な帯電防止能を有することも求められている。
帯電防止性にも着目した粘着性保護材としては、例えば、保護材の基材に帯電防止性材料を用いた保護材(特許文献1参照)、保護材の基材の片面に帯電防止剤を塗布した保護材(特許文献2参照)、粘着剤に界面活性剤等の帯電防止剤を添加した保護材(特許文献3参照)、表面にイオン性導電性層を設けた粘着性小球を含有する粘着剤を用いた保護材(特許文献4参照)などが提案されている。
さらに、粘着層の透明性を実現し、帯電防止性等に優れた粘着性組成物として、粘着性樹脂およびスルホン化ポリマーを含有する粘着性組成物(特許文献5参照)が提案されている。
特開平4−292943号公報 特開平7−26223号公報 特開平1−253482号公報 特開平11−349910号公報 特開2004−264848号公報
しかしながら、このような従来の保護材のうち、特許文献1の帯電防止性基材を用いた保護材は、保護される部材や物品に接する粘着層自体に帯電防止能がなければ、保護材を剥離する際の静電気による損傷ないし機能劣化を十分防止することが困難であるという問題があり、また、特許文献2の基材の片面に帯電防止剤を塗布した保護材は、一般に保護材の粘着性が低く、部材や物品を長期にわたり適切に保護することが困難であるという問題があった。
また、特許文献3の粘着剤に界面活性剤等の帯電防止剤を添加した保護材は、帯電防止剤が粘着層表面にブリ−ドしたり、保護材の剥離後に保護される部材や物品の表面に汚染(糊残り)が残ったり、帯電防止能が経時的に変化したりする問題があった。一方、特許文献4のイオン性導電性層を設けた粘着性小球を用いた保護材は、粘着性微小球が1μm程度と比較的大きい場合、粘着層が半透明となり、保護される部材や物品に保護材を貼り付けたまま、部材や物品の表面状態を目視で検査することが難しくなり、作業性が低下するという問題があった。
また、特許文献5に記載された粘着性組成物は、粘着層の透明性を実現し、粘着性や帯電防止性等については、上述した特許文献1〜4の保護材と比較して優れたものであるが、粘着層の架橋反応を促進するために、通常、粘着シートを40℃以上で数日〜十数日養生するが、この養生の際の温度が高温であると、粘着シートを構成する基材、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなるシート等に熱伸縮によるしわや歪みができてしまうという問題があった。このようにしわや歪みができてしまうと、粘着シートを貼りつけた被着体にしわ等の跡が転写するために、基本的に製品として用いることはできない。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、粘着層とした場合に比較的に低温で架橋反応が促進する粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートを提供する。
本発明者らは、上述のような従来技術の課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)粘着性樹脂、(B)スルホン化ポリマー、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を含有する粘着性樹脂組成物を用いることにより、上記課題が解決されることに想到し、本発明を完成させた。具体的には、本発明により、以下の粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートが提供される。
[1] (A)粘着性樹脂、(B)スルホン化ポリマー、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を含有する粘着性樹脂組成物(以下、「第一の発明」ということがある)。
[2] (E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに含有する前記[1]に記載の粘着性樹脂組成物。
[3] (A)粘着性樹脂全体に占める、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の含有割合が60〜100質量%である前記[1]又は[2]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[4] (B)スルホン化ポリマーが、スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびポリスチレンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[5] (C)エポキシ化合物が、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、1〜20質量部含まれる前記[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[6] (D)4級アンモニウム化合物が、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含まれる前記[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[7] (A)粘着性樹脂が(B)スルホン化ポリマーの存在下に重合して得られる前記[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[8] (B)スルホン化ポリマーと、(A)粘着性樹脂を与えるモノマーとを、水系媒体中に、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化した後、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、さらに、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を添加して得られる粘着性樹脂組成物の製造方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
[9] (C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物とともに、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに添加する前記[8]に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
[10] (B)スルホン化ポリマーとして、スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびポリスチレンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる前記[8]又は[9]に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
[11] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えた粘着性物品(以下、「第三の発明」ということがある)。
[12] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備え、前記粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)が1E+13以下であり、かつ前記粘着層の全光線透過率が70%以上である粘着シート(以下、「第四の発明」ということがある)。
[13] 40℃以下の温度条件において、前記粘着層の架橋反応が促進される前記[12]に記載の粘着シート。
本発明(第一の発明)の粘着性樹脂組成物は、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、粘着層とした場合に比較的に低温で架橋反応が促進する粘着性樹脂組成物である。特に、上述したような(C)エポキシ化合物、および、(D)4級アンモニウム化合物を含有していることから、架橋反応が促進され、架橋密度が向上することによって高速で再剥離した際の粘着力が軽くなるため、再剥離時の作業性が向上される。
また、本発明(第一の発明)の粘着性樹脂組成物においては、粘着層の架橋反応を促進するため養生時間を短縮することができるため、生産性が向上される。さらに、養生の際の温度についても、比較的に低い、例えば、40℃以下の温度でも架橋反応を有効に促進することができることから、粘着シートを構成する基材の熱伸縮によるしわや歪みを有効に防止することができる。
さらに、本発明(第一の発明)の粘着性樹脂組成物は、粘着性樹脂組成物中の極性基を低減することができるため、粘着力の経時変化が少なく、粘着後時間が経過しても再剥離が容易である。また、粘着層の架橋度を向上させることができるため、被着体の表面への汚染(糊残り)を低減することができる。
本発明(第二の発明)の粘着性樹脂組成物の製造方法は、第一の発明の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに製造することができる。
また、本発明(第三および第四の発明)の粘着性物品および粘着シートは、上述した粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えた粘着性物品であり、再剥離性に優れるとともに、例えば、シート状の基材と粘着層とを備えた粘着シートとした場合には、しわや歪みのない粘着シートとすることができる。
以下、本発明(第一〜第四の発明)の粘着性樹脂組成物およびその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートの実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
まず、本発明(第一の発明)の粘着性樹脂組成物の一の実施の形態について説明する。本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、(A)粘着性樹脂、(B)スルホン化ポリマー、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を含有する粘着性樹脂組成物である。
[(A)粘着性樹脂]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物における(A)粘着性樹脂は、粘着剤として作用しうる粘着力を有する樹脂であり、その例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル系共重合等を主成分とする樹脂や、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系、ウレタン系、スチレン−ブタジエンゴム系、天然ゴム系、イソプレンゴム系、ブタジエン−アクリロニトリル液状ゴム系およびシリコーン系からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む粘着性樹脂を挙げることができ、これらのうち、特に(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂が好ましい。
以下、(A)粘着性樹脂について、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を中心として詳細に説明する。この(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を主成分とし、粘着性を有する樹脂のことである。
上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらのうち、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が好ましく、さらに好ましくはアルキル基の炭素数が6〜12のアクリル酸アルキルエステル類である。
なお、このような(メタ)アクリル酸アルキルエステル類は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂においては、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステル類とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類以外の他の重合性モノマー(以下、「他の重合性モノマー(i)」という)を併用することができる。
他の重合性モノマー(i)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸やその塩類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸無水物類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等のシアノ基含有モノマー類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和脂肪族炭化水素類等の単官能性モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の多官能性モノマー等を挙げることができ、これらのうち、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル等が好ましく、さらに好ましくはアクリル酸、アクリロニトリル等である。
このような他の重合性モノマー(i)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、本実施の形態の粘着性樹脂組成物に使用される(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のモノマー組成としては、特に限定されることはないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を構成する全モノマー100質量部に対して、好ましくはエステルが50〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜30質量部、およびそれ以外のモノマーが0〜30質量部であり、さらに好ましくはエステルが50〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜20質量部、およびそれ以外のモノマーが0〜30質量部であり、特に好ましくはエステルが60〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜10質量部、およびそれ以外のモノマーが0〜30質量部である。酸モノマーとしては、他の重合性モノマー(i)において例示した(メタ)アクリル酸モノマー等を挙げることができる。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000以上、さらに好ましくは30,000以上である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の重量平均分子量が10,000未満であると、糊残り等や粘着性に問題を生じるおそれがある。なお、本明細書にいう「重量平均分子量」とは、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量のことである。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のガラス転移点(以下、「Tg」という)は、好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−80〜−30℃である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のTgが−80℃未満であると、凝集力が低下して、高温・高湿雰囲気下における粘着力が低下する傾向があり、一方、−10℃を超えると、基材に対する粘着力が低下する傾向がある。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のTgは、示差熱熱量分析計(DSC)により、公知の方法で測定できる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、(A)粘着性樹脂としての(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂は、市販品を使用しても、また別途合成してもよい。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物を構成する(A)粘着性樹脂は、粘着剤として作用しうる粘着力を有する樹脂を単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、特に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類のみの単独重合体あるいは共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸アルキルエステル類と他の重合性モノマー(i)との共重合体からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を含有する粘着性樹脂であることが好ましい。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、(A)粘着性樹脂全体に占める、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の含有割合が60〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましい。
[(B)スルホン化ポリマー]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物を構成する(B)スルホン化ポリマーとしては、例えば、共役ジエン系ポリマーのスルホン化物あるいは共役ジエン系ポリマーの水素添加物のスルホン化物等のスルホン化共役ジエン系ポリマー;ポリスチレン等の芳香族ビニル系ポリマーのスルホン化物;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーの単独重合体あるいは共重合体等のスルホン化芳香族ビニル系ポリマー;等を挙げることができ、これらのうち、スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびポリスチレンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に、スルホン化共役ジエン系ポリマーを好適に用いることができる。
以下、スルホン化ポリマーについて、上述したスルホン化共役ジエン系ポリマーを中心として説明する。このスルホン化共役ジエン系ポリマーは、共役ジエン系モノマーを構成単位として含むポリマーあるいはその水素添加物(以下、このポリマーおよび水素添加物をまとめて「共役ジエン系ベースポリマー」という)をスルホン化することによって得られるものである。
共役ジエン系ベースポリマーに使用される共役ジエン系モノマーとしては、炭素数4〜10の化合物が好ましく、さらに好ましくは炭素数4〜8、特に好ましくは炭素数4〜6の化合物である。
このような共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げることができ、これらのうち、特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、このような共役ジエン系モノマーは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共役ジエン系ベースポリマーにおいては、上述した共役ジエン系モノマーとともに、共役ジエン系モノマー以外の他の重合性モノマー(以下、「他の重合性モノマー(ii)」という)を併用することができる。
他の重合性モノマー(ii)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸やその塩類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸無水物類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアノ基含有モノマーや、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらのうち芳香族ビニル系化合物が好ましく、特にスチレンが好ましい。
このような他の重合性モノマー(ii)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
他の重合性モノマー(ii)を併用して共役ジエン系ベースポリマーを製造する際の共役ジエン系モノマーの使用量は、全モノマーに対して、好ましくは0.5〜99質量%、さらに好ましくは1〜95質量%、特に好ましくは5〜90質量%である。共役ジエンモノマーの使用量が0.5質量%未満であると、得られるポリマー中のスルホン酸(塩)基含量が低くなり、得られる粘着性樹脂組成物の帯電防止能が不十分となるおそれがあり、一方99質量%を超えると、スルホン化ポリマーの存在下に粘着性樹脂を与えるモノマーを重合する際、重合安定性が低下するおそれがある。
共役ジエン系ベースポリマーは、共役ジエン系モノマーを、必要に応じて他の重合性モノマー(ii)と共に、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤、あるいはn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウム等のアニオン重合開始剤の存在下、必要に応じて公知の溶剤を使用して、通常、−100〜150℃、好ましくは0〜130℃で、重合を行うことにより合成することができる。
また、共役ジエン系ベースポリマーとして、共役ジエン系ベースポリマー中に残存する二重結合部分の一部あるいは全部を水素添加した水素添加物を使用することができる。この水素添加には、公知の水添触媒および方法が使用可能であり、例えば、特開平5−222115号公報に記載されているような触媒および方法を採用することができる。但し、水素添加したスルホン化共役ジエン系ポリマーを製造する際には、水素添加とスルホン化のいずれを先に行ってもよい。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる共役ジエン系ベースポリマーは、共重合体の場合、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよく、ブロック共重合体では、AB型、ABA型などを特に制限なく使用することができる。好ましい共役ジエン系ベースポリマーとしては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエン/スチレンランダム共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン二元ブロック共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体、1,3−ブタジエン−スチレン−1,3−ブタジエン三元ブロック共重合体、イソプレン/スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレン三元ブロック共重合体や、これらポリマーの水素添加物のほか、エチレン/プロピレン/共役ジエン三元ランダム共重合体等を挙げることができ、これらのうちさらに好ましくは、1,3−ブタジエン−スチレン二元ブロック共重合体、スチレン−1,3−ブタジエン−スチレン三元ブロック共重合体、1,3−ブタジエンースチレン−1,3−ブタジエン三元ブロック共重合体、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン−スチレン−イソプレン三元ブロック共重合体やこれらの水素添加物等の共役ジエン系ユニットと芳香族ビニル系ユニットとを有するブロック共重合体およびその水素添加物である。
共役ジエン系ベースポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1,000以上、さらに好ましくは5,000以上、特に好ましくは5,000〜400,000である。共役ジエン系ベースポリマーの重量平均分子量が1,000未満であると、スルホン化共役ジエン系ポリマーが粘着層の表面からブリードして、粘着力が経時的に変化するおそれがあり、一方、400,000を超えると、生産性が低下するおそれがある。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられるスルホン化共役ジエン系ポリマーは、上述した共役ジエン系ベースポリマーを、公知の方法、例えば、日本化学会編集「新実験化学講座」14巻 III,p.1773−1783に記載された方法や、特開平2−227403号公報に記載された方法に準じて、ポリマー中の共役ジエン系ユニットの二重結合部分を、スルホン化剤を用いてスルホン化することにより製造することができる。
このスルホン化反応においては、共役ジエン系ユニットの二重結合が開環して単結合になるか、あるいはこの二重結合は残ったままで、水素原子がスルホン酸(塩)基で置換されることになる。また、他の重合性モノマー(ii)を使用した場合には、共役ジエン系ユニット以外にも、例えば、芳香族ビニル系ユニットがスルホン化されてもよい。
上述したスルホン化剤としては、例えば、無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体のほか、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、亜硫酸水素塩(例えば、Li塩、Na塩、K塩等)等を使用することができ、これらのうち、無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体を好適に用いることができる。
また、上述した電子供与性化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、ピペラジン等のアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピルニトリル等のニトリル化合物等を挙げることができ、これらのうち、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
スルホン化剤の使用量は、共役ジエン系ベースポリマー中の共役ジエン系ユニットと芳香族ビニル系ユニットとの合計1モルに対して、無水硫酸(SO3)換算で、通常、0.005〜1.5モル、好ましくは0.01〜1.0モルである。スルホン化剤の使用量が0.005モル未満では、目的とするスルホン化率を達成することが困難となり、得られる粘着性樹脂組成物の帯電防止能が不十分となるおそれがあり、一方、1.5モルを超えると、未反応のスルホン化剤が多くなり、アルカリで中和後に例えば硫酸塩が多量に生じて、純度が低下し、精製に手間取ることがある。
スルホン化反応は、スルホン化剤に不活性な反応溶媒中で実施することができる。この反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;n−プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類や、液体二酸化イオウ等を挙げることができる。これらの反応溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
スルホン化反応の条件は、反応温度が、通常、−70〜200℃、好ましくは−30〜50℃である。この場合、反応温度が−70℃未満では、スルホン化反応が遅くなって生産性が低下し、一方200℃を超えると、副反応を起こして、生成物が変色あるいは不溶化するおそれがある。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(B)スルホン化ポリマーとしてのスルホン化共役ジエン系ポリマーは、スルホン化物に水を作用させることにより、スルホン酸基を有するポリマーとして得られ、またスルホン化物に塩基性化合物を作用させることにより、スルホン酸塩基を有するポリマーとして得られる。
上述した塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−アミルリチウム、n−プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム等の有機金属化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、アニリン、ジメチルエタノールアミン、ピペラジン等のアミン類;アンモニア水や、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛等の金属の他の塩基性化合物等を挙げることができ、これらのうち、アルカリ金属水酸化物、アンモニア水が好ましく、特に水酸化リチウム、水酸化ナトリウムが好ましい。このような塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上述した塩基性化合物は、適当な溶媒、例えば、水、塩基性化合物に不活性な有機溶媒等に溶解して使用することもできる。このような有機溶媒としては、例えば、スルホン化反応に使用される前記反応溶媒のほか、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
塩基性化合物の使用量は、スルホン化剤1モルに対して、通常、2モル以下、好ましくは1.3モル以下である。
また、塩基性化合物を溶媒に溶解して使用する場合、塩基性化合物の濃度は、通常、1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%程度である。
スルホン化物に水あるいは塩基性化合物を作用させる反応は、常圧下、減圧下あるいは加圧下のいずれでも実施することができる。
また、スルホン化物に水のみを作用させる際の水の使用量は、スルホン化物100質量部に対して、通常、10〜50,000質量部、好ましくは100〜10,000質量部質量部である。
スルホン化物に水あるいは塩基性化合物を作用させる際の反応条件は、反応温度が、通常、−30〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃であり、反応時間が、通常、0.1〜24時間、好ましくは0.5〜5時間である。
スルホン化共役ジエン系ポリマー中のスルホン酸(塩)基含量は、通常、0.1〜6ミリモル/g、好ましくは0.5〜5ミリモル/gである。スルホン酸(塩)基含量が0.1ミリモル/g未満であると、得られる粘着性樹脂組成物の帯電防止能が不十分となるおそれがあり、一方6ミリモル/gを超えると、得られる粘着層の透明性が損なわれるおそれがある。
このようにして得られるスルホン化共役ジエン系ポリマーの構造は、スルホン酸(塩)基含量が赤外線吸収スペクトルによるスルホン基の吸収より確認でき、また組成比が元素分析などにより確認することができる。また、1H−NMR分析や、13C−NMR分析により、その構造を確認することもできる。また、スルホン化共役ジエン系ポリマーとして、市販品を使用することもできる。
ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上、さらに好ましくは5,000以上、特に好ましくは5,000〜400,000である。ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が1,000未満であると、ポリスチレンスルホン酸が粘着層の表面からブリードして、粘着力が経時的に変化するおそれがあり、一方400,000を超えると、生産性が低下する傾向がある。なお、本実施の形態の粘着性樹脂組成物に用いられる(B)スルホン化ポリマーにおいては、単独でまたは2種以上のポリマーを混合して使用することができる。
[(C)エポキシ化合物]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物を構成する(C)エポキシ化合物は、粘着性樹脂組成物を粘着層とした場合において、その粘着層の架橋性を向上するための架橋剤として作用しうるものであり、その例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリジシルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリセロールポリグリシジルエーテル、その他、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N,N−ペンタグリシジルジエチレントリアミン、N,N,N,N−テトラグリシジルエチレンジアミンを挙げることができ、これらのうち、特にエチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
このような(C)エポキシ化合物の市販品としては、デナコールEX−313、EX−421、EX−521、EX−614B、EX−810(以上、ナガセケムテック社製)等を挙げることができる。
なお、本実施の形態の粘着性樹脂組成物を構成する(C)エポキシ化合物としては、上述した化合物を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
このような(C)エポキシ化合物は、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、1〜20質量部とすることが好ましく、2〜10質量部とすることがより好ましい。(C)エポキシ化合物の量が1質量部未満であると、架橋が不十分となるため、粘着力が大きくなり糊残りの原因となりことがある。一方、20質量部を超えると、余剰の(C)エポキシ化合物が被着体と相互作用することで、粘着力が大きくなり糊残りの原因となることがある。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物における(C)エポキシ化合物においては、水やその他の溶媒と混合して(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとに添加したものであることが好ましい。このように、(C)エポキシ化合物を水やその他の溶媒と混合して添加したものである場合には、室温の状態にて添加したものであることが好ましい。
また、(C)エポキシ化合物は、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとに均等に混ざっているものであることが好ましく、例えば、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとを撹拌しているところに添加したものであることがさらに好ましい。なお、このように(C)エポキシ化合物を添加する場合には、pHが5〜8の(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとを複合化したポリマーエマルジョンに添加したものであることが特に好ましい。
(C)エポキシ化合物の重量平均分子量は、好ましくは100〜2000、さらに好ましくは100〜1000である。(C)エポキシ化合物の重量平均分子量が2000を超えると、触媒としての性能が低下することがある。なお、2官能のエポキシ化合物の最小重量平均分子量が100である。
[(D)4級アンモニウム化合物]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物を構成する(D)4級アンモニウム化合物は、上述した架橋剤としての(C)エポキシ化合物に対して、架橋触媒として作用しうるものである。このように、(D)4級アンモニウム化合物を含有するものとすることにより、架橋反応を良好に促進することができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、このように(D)4級アンモニウム化合物を含有していることから、架橋反応が促進され、架橋密度が向上することによって高速で再剥離した際の粘着力が軽くなるため、再剥離時の作業性が向上される。
また、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、この(D)4級アンモニウム化合物により、粘着層の架橋反応を促進するため養生時間を短縮することができ、生産性が向上される。さらに、粘着シートの粘着層とした場合の養生温度についても、比較的に低い、例えば、40℃以下の温度で架橋反応が効率的に促進するものであり、粘着シートの基材の熱伸縮によるしわや歪みを有効に防止することができる。本実施の形態の粘着性樹脂組成物は4級アンモニウム化合物を有していることから、粘着性樹脂組成物のイオン伝導性が向上することによって、表面固有抵抗値および剥離後帯電圧を低下させることができる。
さらに、粘着性樹脂組成物中の極性基を低減することができるため、粘着力の経時変化が少なく、粘着後時間が経過しても再剥離が容易である。また、粘着層の架橋度を向上させることができるため、被着体の表面への汚染(糊残り)を低減することができる。
このような(D)4級アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化アルキルアンモニウムやその塩類、水酸化テトラフェニルアンモニウム等の水酸化アリールアンモニウムやその塩類、トリラウリルメチルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、ジココイルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、ベヘニルトリメチルアンモニウムイオン、ココイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ポリオキシエチレン(15)ココステアリルメチルアンモニウムイオン、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ココベンジルジメチルアンモニウムイオン、ラウリルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、デシルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオンを陽イオンとする塩基やその塩類等を挙げることができる。
上述した(D)4級アンモニウム化合物の市販品としては、TAMAPURE−AA TMAH(多摩化学工業社製)、アデカコールCC−36、アデカコールCC−15、アデカコールCC−42(以上、旭電化工業社製)、エソカードC/12、エソカードC/25、エソカードO/12、エソカードO/12E(以上、ライオン社製)、コータミン24P、コータミン86Pコンク(以上、花王社製)等を挙げることができる。
上述したように、本実施の形態における(D)4級アンモニウム化合物としては、4級アンモニウム塩基であっても、4級アンモニウム塩であってもよいが、本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、4級アンモニウム塩よりも4級アンモニウム塩基であることが好ましく、4級アンモニウム塩基と4級アンモニウム塩との2種以上を混合して構成されたものであることが好ましい。
(D)4級アンモニウム化合物の量としては、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることがより好ましい。(D)4級アンモニウム化合物の量が0.1質量部未満であると、架橋反応に対しての触媒の効果が十分に得られないことがあり、一方、10質量部を超えると粘着層の表面にブリードアウトすることがあり、被着体を汚染する原因となり得る。
[(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物においては、上述した(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに含有するものであることが好ましい。このような(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としては、ヒドラジド化合物を好適に用いることができる。
上述したヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、しゅう酸ヒドラジド、マロン酸ヒドラジド、こはく酸ヒドラジド、グルタル酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、シトラコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸ヒドラジド類;フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等の炭素数2〜10の芳香族ジカルボン酸ヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,2−ジヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジン等の炭素数2〜4の脂肪族ヒドラジン類;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、プロパンー1,2,3−トリヒドラジン、ブタン−1,2,3,4−テトラヒドラジン等の3個以上のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体を挙げることができ、アジピン酸ジヒドラジドを好適に用いることができる。このように、(D)4級アンモニウム化合物と、ヒドラジド化合物等の(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒とを含むことにより、触媒効果がさらに向上し、比較的低温、例えば、40℃以下の温度でも良好に架橋反応を促進することができる。
なお、この(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒の量としては、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.1〜3質量部とすることがより好ましい。(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒の量が0.1質量部未満であると、さらに追加する(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒における触媒の効果が十分に得られないことがあり、一方、5質量部を超えると粘着層の表面にブリードアウトすることがあり、被着体を汚染する原因となり得る。
[粘着性樹脂組成物]
本実施の形態の粘着性樹脂組成物において、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計量に対して、(A)粘着性樹脂の配合比率は、好ましくは99.5〜70質量%、さらに好ましくは99.5〜80質量%である。この場合、(A)粘着性樹脂の配合比率が99.5質量%を超えると、十分な帯電防止能を確保することが困難となるおそれがあり、一方、70質量%未満である、十分な粘着性を確保することが困難となるおそれがある。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、(B)スルホン化ポリマーの存在下に、モノマーを重合して得られた樹脂が好ましい。なお、具体的な製造方法については、第二の発明の粘着性樹脂組成物の製造方法にて具体的に説明する。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物には、所望により、さらに、(A)粘着性樹脂以外の粘着性付与剤、他の水溶性樹脂、他の樹脂エマルジョン、界面活性剤、湿潤剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防かび剤、着色剤等の種々の添加剤を配合することができる。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、特に、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として有用な粘着性物品、例えば、粘着テープ、粘着シートまたは粘着フィルム等の粘着層の形成に極めて好適に使用することができるほか、一般の粘着剤や接着剤等としても使用することができる。
次に、本発明(第二の発明)の粘着性樹脂組成物の一の実施の形態について具体的に説明する。本実施の形態の粘着性樹脂組成物は、(B)スルホン化ポリマーと、(A)粘着性樹脂を与えるモノマーとを、水系媒体中に、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化した後、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、さらに、(C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物を添加して得られる粘着性樹脂組成物の製造方法である。このように構成することによって、上述した第一の発明の実施の形態の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに得ることができる。
本明細書における平均粒径は、動的光散乱法を測定原理とした動的光散乱法粒径測定器(商品名:LPA−3000/3100(大塚電子社製))により測定した。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物の製造方法においては、例えば、(イ)(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとをブレンドする方法、(ロ)(B)スルホン化ポリマーの存在下に、(A)粘着性樹脂を与えるモノマー(以下、「モノマー(a)」という)を重合する方法等により製造することができ、好ましくは(ロ)の方法である。
(ロ)の方法によると、(A)粘着性樹脂を与えるモノマー(以下、「(A)成分」ということがある)と(B)スルホン化ポリマー(以下、「(B)成分」)とが複合化される結果、(A)成分と(B)成分との相溶性が向上し、例えば、表面保護用の粘着フィルム等の粘着性物品の粘着層とした場合に、粘着層の透明性および帯電防止性が高められる。
(ロ)の方法に際して、(B)成分の存在下におけるモノマー(a)の重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の適宜の方法で実施することができるが、好ましい方法は、下記(ロ−1)〜(ロ−3)の三つの方法である。
(ロ−1)
(B)成分、好ましくはスルホン化共役ジエン系ポリマーと、モノマー(a)とを、水系媒体中に、平均粒径が好ましくは20〜500nmとなるように、モノマーエマルジョンとした後、ラジカル重合開始剤を用いて重合する方法(以下、「ミニエマルジョン重合法」という)。
(ロ−2)
(B)成分を水系媒体中に分散させた後、モノマー(a)をインクレメントに添加しつつ、ラジカル重合開始剤を用いて重合するシード重合法。
(ロ−3)
予めモノマー(a)の一部を水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて重合した後、残りのモノマー(a)と(B)成分とを添加して重合する方法。
以下、粘着性樹脂組成物の製造方法について、(B)成分としてスルホン化共役ジエン系ポリマーを用いる(ロ−1)の方法(ミニエマルジョン重合法)を中心として詳細に説明する。
ミニエマルジョン重合法に際して、スルホン化共役ジエン系ポリマーは、予め水系媒体中に分散あるいは溶解して使用することができる。
スルホン化共役ジエン系ポリマーを水系媒体中に分散する際には、スルホン化共役ジエン系ポリマーの有機溶剤溶液、あるいは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物の有機溶剤溶液を、水と共に、場合により塩基性化合物の存在下で、攪拌・混合して、エマルジョン化あるいは溶解させ、必要に応じて塩基性化合物を作用させた後、水を残したまま有機溶剤を除去して、分散体を得る。
このスルホン化共役ジエン系ポリマーの分散には、通常の方法が採用でき、例えば、攪拌しながら各有機溶剤溶液中に水を添加する方法、攪拌しながら水中に各有機溶剤溶液を添加する方法、水と各有機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法等、特に制限はない。
スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散する際に使用する前記有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
なお、スルホン化共役ジエン系ポリマーを水系媒体中に溶解させる場合は、重合に使用した有機溶剤以外に有機溶剤を追加しないことが好ましい。
スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散する際の有機溶剤の使用量は、スルホン化共役ジエン系ポリマーあるいは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、好ましくは20〜5,000質量部、さらに好ましくは50〜2,000質量部である。この場合、有機溶剤の使用量が20質量部未満では、安定なエマルジョンを得ることが困難となる傾向があり、一方5,000質量部を超えると、生産性が低下する。
また、スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散する際の水の使用量は、スルホン化共役ジエン系ポリマーあるいは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、好ましくは50〜10,000質量部、さらに好ましくは100〜5,000質量部である。この場合、水の使用量が50質量部未満では、安定なエマルジョンを得ることが困難となる傾向があり、一方10,000質量部を超えると、生産性が低下する。
スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散する際には、別途分散剤を添加しなくてもよいが、必要に応じて、分散剤として界面活性剤を使用することができる。
このような界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル等の非イオン系界面活性剤;オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジジニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
界面活性剤は、上述した各有機溶剤溶液中に溶解あるいは分散させて使用しても、水中に溶解あるいは分散させて使用してよい。界面活性剤の使用量は、スルホン化共役ジエン系ポリマーあるいは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、通常、10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。
また、スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体あるいは水溶液のpHを調整するために、さらに、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物;塩酸、硫酸等の無機酸を添加することもできる。また場合により、水以外の有機溶剤を少量であれば添加することもできるが、ケトン系溶剤などは臭気の点で使用しないのが好ましい。
このようにして得られるスルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体の平均粒径は、通常、1〜500nm、好ましくは5〜200nmである。この場合、スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体の平均粒径がこの範囲を外れると、分散体の分散安定性が低下することがある。
本実施の形態の粘着性樹脂組成物の製造方法において、スルホン化共役ジエン系ポリマーが水系媒体中で分散するか溶解するかは、共役ジエン系ベースポリマーの重量平均分子量やスルホン酸(塩)基含量によって変わるが、上述した重量平均分子量およびスルホン酸(塩)基含量の範囲内であれば、分散体と水溶液のいずれも使用することができる。
ミニエマルジョン重合法における水系媒体の使用量は、スルホン化共役ジエン系ポリマーとモノマー(a)との合計100質量部に対して、通常、50〜2,000質量部、好ましく100〜1,000質量部である。この場合、水系媒体の使用量が50質量部未満では、所望の平均粒径のモノマーエマルジョンを得ることが困難となったり、モノマーエマルジョンの分散安定性が低下したりするおそれがあり、一方2,000質量部を超えると、生産性が低下する。
スルホン化共役ジエン系ポリマーとモノマー(a)とを水系媒体中でモノマーエマルジョンとする際には、各成分の水系媒体への添加順序は特に限定されるものではなく、例えば、スルホン化共役ジエン系ポリマーあるいはその分散体または水溶液とモノマー(a)とを、水系媒体中に添加して、所望の平均粒径となるようモノマーエマルジョンとしても、スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体または水溶液中にモノマー(a)を添加して、所望の平均粒径となるようモノマーエマルジョンとしてもよい。
スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびモノマー(a)を水系媒体中でモノマーエマルジョンとする方法は、例えば、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機等を用いて実施することができる。
このようにして得られるモノマーエマルジョンの平均粒径は、好ましくは20〜500nm、さらに好ましくは25〜300nmである。この場合、モノマーエマルジョンの平均粒径がこの範囲から外れると、得られるポリマーエマルジョンの平均粒径もこの範囲から外れ、粘着性樹脂組成物の粘度が過大となったり、分散安定性が低下したりするおそれがある。
スルホン化共役ジエン系ポリマーは、親水性のスルホン酸(塩)基を有し、それ自体乳化・分散作用を示すものであり、スルホン化共役ジエン系ポリマーの存在下におけるミニエマルジョン重合では、別途界面活性剤を添加しなくてもよいが、場合により、例えば、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等のノニオン系、アニオン系あるいはカチオン系の界面活性剤あるいは重合性基としてアリル基を有する各種の反応性乳化剤を1種以上添加してもよい。
また、ミニエマルジョン重合に際しては、ポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサンジオール等の改質剤;t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、i−プロパノール、メタノール、四塩化炭素等の分子量調節剤;パラフィン系溶剤等の種々の溶剤や、pH調整剤、消泡剤、増粘剤等を添加することもできる。
次に、モノマー(a)をラジカル重合開始剤を用いて重合する。このラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノ)プロパン塩酸塩等の水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤;還元剤として酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等を用いるレドックス系開始剤等を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマー(a)100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部である。この場合、ラジカル重合開始剤の使用量が0.1質量部未満では、重合反応が途中で失活するおそれがあり、一方、20質量部を超えると、反応制御が困難となるおそれがある。
ラジカル重合開始剤は、スルホン化共役ジエン系ポリマーとモノマー(a)とを水系媒体中でモノマーエマルジョンとする前に添加しても、モノマーエマルジョンとした後に添加してもよい。
ミニエマルジョン重合の反応条件は、反応温度が、通常、40〜100℃、好ましくは60〜95℃であり、反応時間が、通常、0.5〜15時間、好ましくは1〜8時間である。重合操作は、バッチ式、半連続式あるいは連続式のいずれでも実施することができる。
上述したミニエマルジョン重合によって、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化したポリマーエマルジョンが得られる。
ミニエマルジョン重合により得られるポリマーエマルジョンの平均粒径は、好ましくは60〜500nm、さらに好ましくは90〜300nmである。この場合、得られるポリマーエマルジョンの平均粒径が60nm未満であると、得られる粘着性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎるおそれがあり、一方500nmを超えると、粘着力が低下する傾向がある。
ミニエマルジョン重合により得られるポリマーエマルジョンの平均粒径は、スルホン化共役ジエン系ポリマーの親水性の程度、スルホン化共役ジエン系ポリマーのMw、スルホン化共役ジエン系ポリマーの使用量、モノマーエマルジョンとする際および重合時に適用される応力と処理時間等により調整することができる。
また、ミニエマルジョン重合により得られるポリマーエマルジョンを含有する粘着性樹脂組成物の固形分(不揮発分)は、通常、10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%である。この固形分は水系媒体を追加するか、一部の水系媒体を除去することにより調整することができる。
(ロ−2)の方法でモノマー(a)をインクレメントに添加する方法、および(ロ−3)の方法で残りのモノマー(a)と(B)成分とを添加する方法としては、一括添加、回分的添加あるいは連続添加やこれらの2つまたは三つの組み合わせなどいずれの方法を用いてもよい。ここで、回分的添加とは、複数回に分けて添加する方法を意味する。
また、(ロ−3)の方法で残りのモノマー(a)と(B)成分とを添加する際には、モノマー(a)と(B)成分を別々に添加しても、モノマー(a)と(B)成分とを予め混合して添加してもよい。
これらの場合、(ロ−2)の方法でモノマー(a)を回分的添加、連続添加あるいはこれらの組み合わせにより添加し、また(ロ−3)の方法で残りのモノマー(a)と(B)成分とを回分的添加、連続添加あるいはこれらの組み合わせにより添加することにより、反応が急激に進行して反応熱が多量に発生することによる重合系内温度の急激な上昇を防止することができる。また(ロ−3)の方法で(B)成分を重合の後半(重合率が例えば80%以後)に添加すると、得られるポリマー粒子の表面にスルホン化ポリマーが配置されやすくなり、粘着層表面の導電性および帯電防止性の向上の点で好ましい。
次に、ミニエマルジョン重合の反応後に、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を添加し、十分攪拌する。
(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を添加する際には、ミニエマルジョン重合の反応後の溶液中に、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、(C)エポキシ化合物を1〜20質量部、(D)4級アンモニウム化合物を0.1〜10質量部添加する。
添加する(C)エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテルを好適に用いることができる。
また、添加する(D)4級アンモニウム化合物としては、水酸化テトラメチルアンモニウムや塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム、等を用いることができる。本実施の形態の粘着性樹脂組成物の製造方法においては、4級アンモニウム塩基であっても、4級アンモニウム塩であってもよいが、好ましくは、4級アンモニウム塩基であり、さらに好ましくは、4級アンモニウム塩と4級アンモニウム塩基との2種以上を混合したものである。
また、(C)エポキシ化合物と(D)4級アンモニウム化合物とを添加する際には、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに添加することが好ましい。この(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としては、例えば、ヒドラジド化合物を好適例として挙げることができる。なお、この(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒は、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、0.1〜5質量部添加することが好ましい。(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒として用いられるヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド等を用いることができる。
このようにして架橋剤としての(C)エポキシ化合物を添加した後は、(C)エポキシ化合物は、ポリマーエマルジョン粒子表面に存在する極性基と反応し、三次元的な架橋構造を形成する。
なお、(C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物等を添加する際には、それぞれを単独で添加することもできるが、例えば、(C)エポキシ化合物や(D)4級アンモニウム化合物、また(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒を、水やその他の溶媒に混合して用いてもよい。
なお、この(C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物を添加する際には、そのまま単独で添加する場合であっても、また、水やその他の溶媒に混合してから添加する場合であっても、特別な加熱や冷却等の操作を必要とせずに、室温で簡便に添加することができる。例えば、添加する際に加熱が必要であると添加後に粘度が上昇し、塗工性が低下することがあり、また、添加する際に冷却が必要であると分散効果が低下することがある。
また、(C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物等を添加する際には、得られたポリマーエマルジョンを撹拌しているところに添加することが好ましい。このように、得られたポリマーエマルジョンを撹拌しているところに添加することにより、均一に分散させることができる。
さらに、(C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物等を添加する際には、pH5〜8のポリマーエマルジョンに添加することが好ましい。添加する際にpH5未満であると、ポリマーエマルジョン粒子の安定性が低下することがある。一方、pH8を超えると、活性水素の減少によって架橋反応の進行が抑制されることがある。
(ロ−2)および(ロ−3)の方法における重合に際しては、上述したラジカル重合開始剤、分子量調節剤、界面活性剤等を使用することができ、またpH調節剤、消泡剤、増粘剤等を適宜添加することができる。
次に、本発明(第三の発明)の粘着性物品の一の実施の形態について具体的に説明する。本実施の形態の粘着性物品は、上述した第一の発明の一の実施の形態の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えた粘着性物品である。なお、本実施の形態の粘着性物品は、この粘着層を配設するための基材を備えている。
粘着性物品を構成する基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネ−ト、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、ポリスチレン、紙、セロハンや、これらの2種以上からなる複合材料(例えば、ブレンド物、積層物等)等を挙げることができ、これらの基材は、必要に応じてフォーム(発泡体)構造(好ましくは独立気泡構造)を有することもできる。
これらの基材には、必要に応じて、粘着層との接着性をさらに改善するために、表面にコロナ処理等の易接着処理を行ってもよい。
また、これらの基材の粘着層側とは反対側に、必要に応じて、例えば、防汚染塗工、ハード塗工、帯電防止塗工等を任意の組成で行うこともでき、このような塗工処理は用途によっては好ましい。
基材の形状については特に制限はなく、例えば、テ−プ、シ−トまたはフィルムのほか、各種形状の成形物等を採用することができる。
本実施の形態の粘着性物品における粘着層の乾燥後の膜厚は、粘着性物品の用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、表面保護用の粘着フィルムの場合、通常、5〜50μm、好ましくは10〜30μmである。
次に、本発明(第四の発明)の粘着シートの一の実施の形態について具体的に説明する。本実施の形態の粘着シートは、上述した第一の発明の一の実施の形態の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備え、この粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)が1E+13以下であり、好ましくは1E+12以下であり、かつ粘着層の全光線透過率が70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である粘着シートである。なお、本明細書にいう「粘着シート」とは、粘着テ−プおよび粘着フィルム等のシート状の粘着性物品を包括する概念である。
なお、本実施の形態の粘着シートにおいては、上述した第三の発明の一の実施の形態の粘着性物品における基材と同様の材料からなるシート状の基材を備えている。
本実施の形態の粘着シートは、上述したように構成された粘着層を備えていることから、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、電子管(CRT)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タッチパネル等のディスプレイ表面の保護材、これらのディスプレイに用いられる部材、偏光板等の保護材として極めて有用である。特に、本実施の形態の粘着シートは、粘着層の表面固有抵抗値が1E+13以下であることから、帯電性が抑えられているために、例えば、静電気による損傷や機能劣化を生じる電気製品等を保護すための保護フィルムとして好適に用いることができる。
また、本実施の形態の粘着シートは、40℃以下の温度条件において、粘着層の架橋反応を促進する養生がなされるものであることが好ましい。本実施の形態の粘着シートは、第一の発明の一の実施の形態の粘着性樹脂組成物からなるの粘着層を備えていることから、粘着層の架橋反応を促進する養生時の温度が上述した40℃以下という比較的に低い温度であっても、良好に架橋反応が促進される。このため、養生時に粘着シートの熱収縮が少なく、しわや歪み等の少ない粘着シートとすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例における各種物性値の測定方法、および評価方法を以下に示す。
[ポリマーエマルジョンの平均粒径]:動的光散乱法粒径測定器(商品名:LPA−3000/3100(大塚電子社製))を用いて測定した。
[養生温度および養生時間]:各実施例にて製造した粘着フィルムを養生する時間(養生温度)、および、この養生にて粘着フィルムの養生が完了するまでに要した時間(養生時間)を測定した。粘着フィルムの養生が完了したことについての判断は、継続して養生を行った場合に、粘着力がそれ以降低下しなくなった時点を養生の完了とした。
[初期粘着力および糊残り]:偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させた後、180°剥離試験を行って、初期粘着力(g/25mm)を測定し、また粘着フィルムを剥離した後の被着体表面における糊残りの有無を目視にて観察した。
[粘着力の経時変化]:初期粘着力の評価に用いたものと同様の偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させた後、1週間70℃に加熱した後の粘着力(g/25mm)を、180°剥離試験を行って測定した。
[表面固有抵抗値]:養生が完了した粘着フィルムにおける粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)を、表面固有抵抗測定機(商品名:HIGH RESISTANCE METER(ヒューレット・パッカード社製))を用い、25℃×相対湿度55%の雰囲気下で測定した。
[剥離後帯電圧]:初期粘着力の評価に用いたものと同様の偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させて剥離した後、剥離後の粘着層の帯電圧(kV)を、デジタル静電電位測定器(春日電機社製)を用い、25℃×相対湿度55%の雰囲気下で測定した。
[全光線透過率およびヘイズ]:養生が完了した粘着フィルムについてヘイズメーター(東洋精機社製)を用いて全光線透過率(%)およびヘイズ(%)を測定した。
[外観]:各実施例にて製造した粘着フィルムを養生することによって生じた熱じわを目視で測定した。熱じわが目視で確認できなかった場合には○、熱じわが目視で確認できた場合には×とした。
[粘着性樹脂の製造]
(合成例1)
容量1リットルの重合容器に、脱イオン水140g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.5g、過硫酸カリウム3.5gを仕込んで、窒素ガス置換を行った後、攪拌しつつ80℃に昇温した。
別に、容量1リットルのビーカーに、2−エチルヘキシルアクリレート311g、アクリロニトリル14g、アクリル酸4g、脱イオン水175g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.5g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル4.5gを仕込み、十分攪拌して、モノマーエマルジョンを調製した。
次に、80℃に保持した重合容器に、攪拌下で、上記したモノマーエマルジョンを4時間かけて連続的に滴下しつつ重合し、滴下終了後80℃でさら2時間攪拌して重合を完結させることにより、樹脂エマルジョンを得た。この樹脂エマルジョンは、固形分濃度が52質量%であり、樹脂のTgが−65℃であった。この樹脂を「粘着性樹脂(A−1)」とする。
(合成例2)
2−エチルヘキシルアクリレート311gに代えて、2−エチルヘキシルアクリレート211gおよびn−ブチルアクリレート100gを用いた以外は、合成例1と同様にして、樹脂エマルジョンを得た。この樹脂エマルジョンは、固形分濃度が52質量%であり、Tgが−60℃であった。この樹脂を「粘着性樹脂(A−2)」とする。
[スルホン化ポリマーの合成]
(合成例3)
ガラス製反応容器にジオキサン100gを入れ、内温を25℃に保ちながら、無水硫酸15.7gを添加したのち、1時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
次に、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)100gをジオキサンに溶解した濃度15%の溶液に、内温を25℃に保ちながら、前記錯体の全量を添加したのち、1時間攪拌して、ポリマー溶液(1)を調製した。
別に、水1200g、水酸化ナトリウム7.9gをフラスコに入れて、内温を40℃に加温した。その後、ポリマー溶液(1)の全量を、同温度に保ちながら、10分で滴下した。滴下後、同温度に保ちながら2時間攪拌したのち、減圧蒸留により溶剤全量を除去して、イソプレンユニットがスルホン化されたスルホン化ポリマー(B−1)を濃度(固形分濃度)15質量%の水溶液として得た。このスルホン化ポリマー(B−1)のスルホン酸塩基含量は1.7ミリモル/gであった。
(合成例4)
合成例3において、無水硫酸の使用量を30.2gに代えた以外は、合成例3と同様にして、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
また、合成例3において、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)100gに代えて、イソプレン/スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=80/20、重量平均分子量=10,000)100gを用いた以外は、合成例3と同様にして、ポリマー溶液(2)を調製した。
さらに、合成例3において、水酸化ナトリウムの使用量を15.1gに代え、ポリマー溶液(1)に代えてポリマー溶液(2)を用いた以外は、合成例3と同様にして、イソプレンユニットがスルホン化されたスルホン化ポリマー(B−2)を固形分濃度15質量%の水溶液として得た。このスルホン化ポリマー(B−2)のスルホン酸塩基含量は2.9ミリモル/gであった。
(合成例5)
合成例3において、ジオキサン100gに代えて1,2−ジクロルエタン100gを用い、無水硫酸の使用量を56.3gに代えた以外は、合成例3と同様にして、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
また、合成例3において、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)100gに代えて、ポリスチレン(重量平均分子量=8,000)100gを用いた以外は、合成例3と同様にして、ポリマー溶液(3)を調製した。
さらに、合成例3において、水酸化ナトリウムの使用量を28.2gに代え、ポリマー溶液(1)に代えてポリマー溶液(3)を用いた以外は、合成例3と同様にして、スチレン部分がスルホン化されたスルホン化ポリマー(B−3)を固形分濃度15質量%の水溶液として得た。このスルホン化ポリマー(B−3)のスルホン酸塩基含量は4.5ミリモル/gであった。
(合成例6)
合成例3において、無水硫酸の使用量を11.6gに代えた以外は、合成例3と同様にして、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
また、合成例3において、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)100gに代えて、イソプレン/スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=80/20、重量平均分子量=10,000)100gを用いた以外は、合成例3と同様にして、ポリマー溶液(4)を調製した。
さらに、合成例3において、水酸化ナトリウムの使用量を5.8gに代え、ポリマー溶液(1)に代えてポリマー溶液(4)を用いた以外は、合成例3と同様にして、イソプレンユニットがスルホン化されたスルホン化ポリマー(B−4)を固形分濃度15質量%の水溶液として得た。このスルホン化ポリマー(B−4)のスルホン酸塩基含量は1.3ミリモル/gであった。
(合成例7)
合成例3において、ジオキサン100gに代えて1,2−ジクロルエタン100gを用い、無水硫酸の使用量を13.6gに代えた以外は、合成例3と同様にして、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。
また、合成例3において、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)100gに代えて、イソプレン−スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10,000)のイソプレンユニットが100%水素添加されたポリマー100gを用いた以外は、合成例3と同様にして、ポリマー溶液(5)を調製した。
さらに、合成例3において、水酸化ナトリウムの使用量を6.8gに代え、ポリマー溶液(1)に代えてポリマー溶液(5)を用いた以外は、合成例3と同様にして、スチレンユニットがスルホン化されたスルホン化ポリマー(B−5)を固形分濃度15質量%の水溶液として得た。このスルホン化ポリマー(B−5)のスルホン酸塩基含量は1.5ミリモル/gであった。
[ポリマーエマルジョンの調製]
(調製例1)
容量1リットルの重合容器に、脱イオン水340g、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、n−ブチルアクリレート17.5g、アクリル酸0.5g、過硫酸カリウム3.5gを仕込んで、窒素ガス置換したのち、攪拌しながら80℃に昇温して、1時間重合した。その後、2−エチルヘキシルアクリレート155g、n−ブチルアクリレート53g、アクリル酸10g、脱イオン水100g、およびポリオキシエチレン−1−(アクリオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩[商品名:アクアロンKH−10(第一工業製薬社製)]2gの混合物を3時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後、さらに2−エチルヘキシルアクリレート74g、n−ブチルアクリレート28g、アクリル酸5g、脱イオン水100g、および合成例3で得られたスルホン化ポリマー(B−1)10g(固形分換算、固形分濃度15質量%)の混合物を1時間かけて連続的に滴下しつつ重合し、滴下終了後80℃でさら2時間攪拌して、重合を完結させた後、これをさらに固形分濃度が50%になるまで濃縮し、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化したポリマーエマルジョン(A’−3)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−3)の重合直後の固形分濃度は40質量%であった。
(調製例2)
容量1リットルのビーカーに、2−エチルヘキシルアクリレート263g、アクリロニトリル14g、アクリル酸4g、合成例3で得られたスルホン化ポリマー(B−1)70g(固形分換算、固形分濃度15質量%)、脱イオン水358gを仕込んで、30分間攪拌したのち、圧力4kgf/cm2の駆動エアーをかけて高圧ホモジナイザーにより処理して、平均粒径200nmのモノマーエマルジョンを調製した。
次に、このモノマーエマルジョンを容量1リットルの重合容器に移し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.5g、過硫酸カリウム3.5gを仕込んで、窒素ガス置換したのち、攪拌しながら80℃に昇温した。その後、同温度で攪拌しながら、3時間重合したのち、200メッシュの金網でろ過することにより、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化したポリマーエマルジョン(A’−4)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−4)は、固形分濃度が50質量%であった。
(調製例3)
スルホン化ポリマー(B−1)の使用量を35g(固形分換算、固形分濃度15質量%)に代えた以外は、調製例1と同様にして重合を完結させた後、これをさらに固形分濃度が50%になるまで濃縮し、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合したポリマーエマルジョン(A’−5)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−5)の重合直後の固形分濃度は45質量%であった。
(調製例4)
スルホン化ポリマー(B−1)70g(固形分換算、固形分濃度15質量%)に代えて、合成例6で得られたスルホン化ポリマー(B−4)70gを用いた以外は、調製例1と同様にして、ポリマーエマルジョン(A’−6)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−6)は、固形分濃度が50質量%であった。
(調製例5)
2−エチルヘキシルアクリレート263gに代えて、2−エチルヘキシルアクリレート178gとn−ブチルアクリレート85gを用いた以外は、調製例1と同様にして、ポリマーエマルジョン(A’−7)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−7)は、固形分濃度が50質量%であった。
(調製例6)
スルホン化ポリマー(B−1)70g(固形分換算、固形分濃度15質量%)に代えて、合成例7で得られたスルホン化ポリマー(B−5)70g(固形分換算、固形分濃度15質量%)を用いた以外は、調製例1と同様にして、ポリマーエマルジョン(A’−8)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−8)は、固形分濃度が50質量%であった。
(調製例7)
容量1リットルのビーカーに、2−エチルヘキシルアクリレート285g、アクリル酸14g、脱イオン水200g、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、ポリオキシエチレン−1−(アクリオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(商品名:アクアロンKH−10(第一工業製薬社製))1g、合成例3で得られたスルホン化ポリマー(B−1)35g(固形分換算、固形分濃度15質量%)を仕込み、十分攪拌して、モノマー混合物を調製した。
別に、容量1リットルの重合容器に、脱イオン水340g、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、n−ブチルアクリレート17.5g、アクリル酸0.5g、過硫酸カリウム3.5gを仕込んで、窒素ガス置換した後、攪拌しながら80℃に昇温して、1時間重合した。
次に、重合容器に、上記したモノマー混合物を4時間かけて連続的に滴下しつつ重合し、滴下終了後80℃でさらに2時間攪拌して、重合を完結させた後、これをさらに固形分濃度が50%になるまで濃縮し、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化したポリマーエマルジョン(A’−9)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−9)の重合直後の固形分濃度は40質量%であった。
(調製例8)
スルホン化ポリマー(B−1)の使用量を10g(固形分換算、固形分濃度15質量%)に代え、2−エチルヘキシルアクリレートに代えて、2−エチルヘキシルアクリレート155gおよびn−ブチルアクリレート155gを用いた以外は、調製例6と同様にして重合を完結させた後、これをさらに固形分濃度が50%になるまで濃縮し、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化したポリマーエマルジョン(A’−10)を得た。このポリマーエマルジョン(A’−10)の重合直後の固形分濃度は37質量%であった。
(実施例1)
室温下で、0.5リットルのステンレス製容器に、(A)粘着性樹脂として合成例1で得られた粘着性樹脂(A−1)95部(固形分換算、固形分濃度52質量%)、および(B)スルホン化ポリマーとして合成例3で得たスルホン化ポリマー(B−1)5部(固形分換算、固形分濃度15質量%)を仕込み、30分間撹拌した。
次いで(C)エポキシ化合物[商品名:デナコールEX−810(ナガセケムテックス社製)]3部、(D)4級アンモニウム化合物として4級アンモニウム化合物塩基(D−1)[商品名:TMAH(多摩化学工業社製)]1部(固形分換算、固形分濃度25%)と4級アンモニウム化合物塩(D−2)[商品名:アデカコールCC−36(旭電化工業社製)]1部、およびフッ素系界面活性剤[商品名:サーフロンS111(セイケミカル社製)]0.1部(固形分換算、固形分濃度30%)を添加し、固形分濃度が43質量%になるよう水20gを加え、30分撹拌した。
上述したように撹拌した後、200メッシュの金網でろ過して、粘着性樹脂組成物(固形分濃度43質量%)を得た。なお、粘着性樹脂(A−1)は、合成例1で得られた、固形分濃度52質量%の樹脂エマルジョンを用い、また、スルホン化ポリマー(B−1)は、合成例3で得られた、固形分濃度が15%のスルホン化ポリマー(B−1)を含む水溶液を用いた。
次いで、得られた粘着性樹脂組成物を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタラートフィルム[商品名:AT−50(ユニチカ社製)]にNo.26バーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥して、膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、上述した[粘着力および糊残り]、[粘着力経時変化]、[表面固有抵抗値]、[剥離後帯電圧]、[全光線透過率およびヘイズ]、および[外観]について評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 2007031585
(実施例2)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例1にて使用した4級アンモニウム塩基(D−1)1部に変更した以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、実施例2にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例3)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例1にて使用した4級アンモニウム塩(D−2)1部に変更した以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、実施例3にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例4)
(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物を0.5部さらに加えた以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、実施例4にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例5〜7)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例1にて使用した4級アンモニウム塩基(D−1)に変更し、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物を0.5部さらに加えた以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。なお、4級アンモニウム塩基(D−1)の量については、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100部に対して、実施例5が0.5部、実施例6が1部、実施例7が5部とした。それぞれ得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価をそれぞれ行った。評価結果を表1に示す。なお、実施例5〜7の粘着性樹脂組成物の固形分濃度についても、全て43質量%である。
(実施例8)
(A)粘着性樹脂として合成例2で得られた粘着性樹脂(A−2)95部(固形分換算、固形分濃度52質量%)に変更した以外は、実施例1と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお、実施例8にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(比較例1〜3)
(D)4級アンモニウム化合物を用いずに、粘着性樹脂(A−1)95部(固形分換算、固形分濃度52質量%)、スルホン化ポリマー(B−1)5部(固形分換算、固形分濃度15質量%)、および(C)エポキシ化合物を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製した。なお、比較例2においては、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物を0.5部さらに加えた。
製造した粘着フィルムを、比較例1は40℃で21日間、比較例2〜3は60℃で7日間、それぞれ養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、比較例1〜3の粘着性樹脂組成物の固形分濃度についても、全て43質量%である。
Figure 2007031585
(実施例9)
室温下で、0.5リットルのステンレス製容器に、調製例8にて得られた(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーを複合化したポリマーエマルジョン(A’−3)100部(固形分換算、固形分濃度50質量%)と、(C)エポキシ化合物(商品名:デナコールEX−810(ナガセケムテック社製))3部、(D)4級アンモニウム化合物として4級アンモニウム化合物塩基(D−1)[商品名:TMAH(多摩化学工業社製)]1部(固形分濃度25%)と4級アンモニウム化合物塩(D−2)[商品名:アデカコールCC−36(旭電化工業社製)]1部、およびフッ素系界面活性剤0.1部を添加し、固形分濃度が43%になるように水を36g加え、30分攪拌した後、200メッシュの金網でろ過して、粘着性樹脂組成物(固形分濃度43質量%)を得た。
次いで、得られた粘着性樹脂組成物を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタラートフィルム[商品名:AT−50(ユニチカ社製)]にNo.26バーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥して、膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、上述した[粘着力および糊残り]、[粘着力経時変化]、[表面固有抵抗値]、[剥離後帯電圧]、[全光線透過率およびヘイズ]、及び[外観]について評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2007031585
(実施例10)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例9にて使用した4級アンモニウム塩基(D−1)1部に変更した以外は、実施例9と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例1と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、実施例10にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例11)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例9にて使用した4級アンモニウム塩(D−2)1部に変更した以外は、実施例9と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例9と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、実施例11にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例12)
(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物[アジピン酸ジヒドラジド(日本化成社製)]を0.5部さらに加えた以外は、実施例9と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例9と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、実施例12にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(実施例13〜15)
(D)4級アンモニウム化合物を、実施例9にて使用した4級アンモニウム塩基(D−1)に変更し、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物を0.5部さらに加えた以外は、実施例9と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。なお、4級アンモニウム塩基(D−1)の量については、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100部に対して、実施例13が0.5部、実施例14が1部、実施例15が5部とした。それぞれ得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例9と同様の評価をそれぞれ行った。評価結果を表3に示す。なお、実施例12〜14の粘着性樹脂組成物の固形分濃度についても、全て43質量%である。
(実施例16)
(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーを複合化したポリマーエマルジョン(A’−9)100部(固形分換算、固形分濃度50質量%)に変更した以外は、実施例9と同様の材料を用いて粘着性樹脂組成物を得た。得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製し、40℃で1週間養生した後、実施例9と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。なお、実施例16にて得られた粘着性樹脂組成物の固形分濃度は43質量%である。
(比較例4〜6)
(D)4級アンモニウム化合物を用いずに、実施例9に用いた、ポリマーエマルジョン(A’−3)100部(固形分換算、固形分濃度50質量%)、および(C)エポキシ化合物3部を用いて粘着性樹脂組成物を得、得られた粘着性樹脂組成物を用いて、実施例9と同様の方法にて膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを作製した。なお、比較例5においては、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒としてヒドラジド化合物を0.5部さらに加えた。
製造した粘着フィルムを、比較例4は40℃で21日間、比較例5および6は60℃で7日間、それぞれ養生した後、実施例9と同様の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、比較例4〜6の粘着性樹脂組成物の固形分濃度についても、全て43質量%である。
Figure 2007031585
実施例1〜16の粘着フィルムは、養生に必要な養生温度及び養生時間が、比較例1〜6に比べ低温かつ短時間で済むことから、製造コストが削減されるとともに、養生時における熱じわの発生もなく、外観に優れるものであった。
また、実施例1〜16の粘着フィルムは、初期粘着力が低く、さらに、粘着力の経時変化が少なく(粘着力の増加量は5g/25mm)であり、粘着後に時間が経過した後の再剥離も容易であった。
また、実施例9〜16の粘着フィルムは、表面固有抵抗値および剥離後帯電圧が小さく、静電気の発生が少なくかつ帯電性が抑えられている。さらに、この実施例9〜16の粘着フィルムは、全光線透過率が高く、ヘイズが低いため、例えば、部材や物品等に粘着フィルムを貼り付けたまま、部材や物品の表面状態を目視で確認(例えば、検査)することができる。
本発明の粘着性樹脂組成物は、特に、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として有用な粘着性物品、例えば、粘着テープ、粘着シートまたは粘着フィルムの粘着層の形成に極めて好適に使用することができるほか、一般の粘着剤や接着剤等としても使用することができる。
また、本発明の粘着性樹脂組成物の製造方法は、上述した本発明の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに製造することができる。
また、本発明の粘着性物品、および粘着シートは、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. (A)粘着性樹脂、(B)スルホン化ポリマー、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を含有する粘着性樹脂組成物。
  2. (E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに含有する請求項1に記載の粘着性樹脂組成物。
  3. (A)粘着性樹脂全体に占める、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の含有割合が60〜100質量%である請求項1又は2に記載の粘着性樹脂組成物。
  4. (B)スルホン化ポリマーが、スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびポリスチレンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
  5. (C)エポキシ化合物が、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、1〜20質量部含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
  6. (D)4級アンモニウム化合物が、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとの合計100質量部に対して、0.1〜10質量部含まれる請求項1〜5のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
  7. (A)粘着性樹脂が(B)スルホン化ポリマーの存在下に重合して得られる請求項1〜6のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
  8. (B)スルホン化ポリマーと、(A)粘着性樹脂を与えるモノマーとを、水系媒体中に、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化した後、ラジカル重合開始剤を用いて重合し、さらに、(C)エポキシ化合物、および(D)4級アンモニウム化合物を添加して得られる粘着性樹脂組成物の製造方法。
  9. (C)エポキシ化合物および(D)4級アンモニウム化合物とともに、(E)4級アンモニウム化合物以外の架橋触媒をさらに添加する請求項8に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
  10. (B)スルホン化ポリマーとして、スルホン化共役ジエン系ポリマーおよびポリスチレンスルホン酸よりなる群から選ばれる少なくとも一種を用いる請求項8又は9に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えた粘着性物品。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備え、前記粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)が1E+13以下であり、かつ前記粘着層の全光線透過率が70%以上である粘着シート。
  13. 40℃以下の温度条件において、前記粘着層の架橋反応が促進される請求項12に記載の粘着シート。
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