JP2010090208A - 粘着性樹脂組成物及びその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シート - Google Patents

粘着性樹脂組成物及びその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、帯電防止能に特に優れた粘着性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)粘着性樹脂と、(C−1)エポキシ化合物及び(C−2)イソシアネート化合物の少なくともいずれかと、(D)4級アンモニウム化合物と、(F)リチウム含有化合物と、を含有する粘着性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は粘着性樹脂組成物及びその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートに関し、更に詳しくは、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、帯電防止能に特に優れた粘着性樹脂組成物及びその製造方法、並びにディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として有用な粘着性物品及び粘着シートに関する。
従来から、各種の部材や物品の表面を機械的あるいは電気的に保護するため、また精密機器の内部に埃や水分等の侵入を防止するために、保管時、搬送・輸送時や加工時において、保護テープ、保護シートや保護フィルム等の保護材で、部材や物品の表面を被覆することが行われている。
保護材には、一般に、保護される部材や物品と接着させるために粘着層が設けられている。粘着層を形成するための粘着剤は、保護される部材や物品を汚染することのないように高い再剥離性を有する必要がある。また、ディスプレイ、偏光板、電子基板等の保護に用いる場合には、例えば、保護フィルムを剥離する際に生じる静電気による損傷や機能劣化を防止するために、十分な帯電防止能が必要とされる。
帯電防止性にも着目した粘着性保護材としては、例えば、保護材の基材に帯電防止性材料を用いた保護材(例えば、特許文献1参照)、保護材の基材の片面に帯電防止剤を塗布した保護材(例えば、特許文献2参照)、粘着剤に界面活性剤等の帯電防止剤を添加した保護材(例えば、特許文献3参照)、表面にイオン性導電性層を設けた粘着性小球を含有する粘着剤を用いた保護材(例えば、特許文献4参照)等が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された保護材は、保護される部材や物品に接着させる粘着層自体に帯電防止能がなければ、保護材を剥離する際の静電気による損傷や機能劣化を十分防止することが困難であるという問題があった。また、特許文献2に記載された保護材は、一般に保護材の粘着性が低く、部材や物品を長期に亘り適切に保護することが困難であるという問題があった。
更に、特許文献3に記載された保護材は、帯電防止剤が粘着層表面にブリ−ドアウトしたり、保護材の剥離後に、部材や物品の表面に汚染(糊残り)が残ったり、帯電防止能が経時的に変化したりするという問題があった。また、特許文献4に記載された保護材は、粘着性微小球が1μm程度と比較的大きい場合、粘着層が半透明となり、部材や物品に保護材を貼り付けたまま、部材や物品の表面状態を目視で検査することが難しくなり、作業性が低下するという問題があった。
特開平4−292943号公報 特開平7−26223号公報 特開平1−253482号公報 特開平11−349910号公報 特開2007−31585号公報
このような問題を解決するものとして、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、粘着層とした場合に比較的に低温で架橋反応が促進しうる粘着性樹脂組成物(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
この粘着性樹脂組成物からなる粘着層は、低温で架橋反応が促進しうるので、架橋反応が進行する際に熱伸縮によるしわや歪みが生じ難い。しかしながら、帯電防止能に、若干ではあるが改善点を残している。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、帯電防止能に特に優れた粘着性樹脂組成物を提供することにある。
また、その課題とするところは、本発明の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに製造することができる粘着性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
更に、その課題とするところは、ディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として有用な粘着性物品を提供することにある。
また、その課題とするところは、ディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として有用な粘着シートを提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定の構成成分で粘着性樹脂組成物を構成することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、所定の工程で本発明の粘着性樹脂組成物を製造することによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
更に、粘着性物品が本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、粘着シートが本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す粘着性樹脂組成物及びその製造方法、粘着性物品、並びに粘着シートが提供される。
[1](A)粘着性樹脂と、(C−1)エポキシ化合物及び(C−2)イソシアネート化合物の少なくともいずれかと、(D)4級アンモニウム化合物と、(F)リチウム含有化合物と、を含有する粘着性樹脂組成物。
[2](E)含窒素化合物(但し、前記(D)4級アンモニウム化合物を除く)を更に含有する前記[1]に記載の粘着性樹脂組成物。
[3](B)スルホン化ポリマーを更に含有する前記[1]又は[2]に記載の粘着性樹脂組成物。
[4]前記(B)スルホン化ポリマーが、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー及び(B−2)ポリスチレンスルホン酸の少なくともいずれかである前記[3]に記載の粘着性樹脂組成物。
[5]前記(A)粘着性樹脂が、前記(B)スルホン化ポリマーの存在下で(a)モノマーを重合して得られる樹脂である前記[3]又は[4]に記載の粘着性樹脂組成物。
[6]前記(A)粘着性樹脂が、(A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を60〜100質量%の割合で含む前記[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[7]前記(A)粘着性樹脂100質量部に対する、前記(C−1)エポキシ化合物の含有量が、0.1〜15質量部である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[8]前記(A)粘着性樹脂100質量部に対する、前記(D)4級アンモニウム化合物の含有量が、0.1〜15質量部である前記[1]〜[7]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物。
[9](B)スルホン化ポリマーの存在下、水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させて(A)粘着性樹脂を得る工程(1)と、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を添加する工程(2)と、を有する粘着性樹脂組成物の製造方法。
[10]前記工程(1)が、前記(B)スルホン化ポリマー及び前記(a)モノマーを、水系媒体中で、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化させた後、前記(a)モノマーを重合させる工程である前記[9]に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
[11]前記工程(2)が、(E)含窒素化合物を更に添加する工程である前記[9]又は[10]に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
[12]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備える粘着性物品。
[13]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備え、前記粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)が1E+13以下であり、かつ前記粘着層の全光線透過率が70%以上である粘着シート。
[14]40℃以下の温度条件において、前記粘着層で架橋反応が進行し得る前記[13]に記載の粘着シート。
本発明の粘着性樹脂組成物は、再剥離性に優れ、保護材等として有用な粘着性物品における粘着層の形成に好適に用いられるとともに、帯電防止能に特に優れているという効果を奏するものである。
また、本発明の粘着性樹脂組成物の製造方法によれば、本発明の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに製造することができるという効果を奏するものである。
更に、本発明の粘着性物品は、ディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として好適に用いることができるという効果を奏するものである。
また、本発明の粘着シートは、ディスプレイ表面、ディスプレイ部材、偏光板等に対する保護材として好適に用いることができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
I 粘着性樹脂組成物
本発明の粘着性樹脂組成物は、必須成分として、(A)粘着性樹脂と、(C−1)エポキシ化合物及び(C−2)イソシアネート化合物の少なくともいずれか(以下、「(C)成分」ともいう)と、(D)4級アンモニウム化合物と、(F)リチウム含有化合物と、を含有するものである。また、任意成分として、(E)含窒素化合物(但し、(D)4級アンモニウム化合物を除く)と、(B)スルホン化ポリマーと、を含有するものである。
また、本発明の粘着性樹脂組成物は、特に、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として有用な粘着性物品、例えば、粘着テープ、粘着シート又は粘着フィルム等の粘着層の形成に極めて好適に使用することができる他、一般の粘着剤や接着剤等としても使用することができる。
1 (A)粘着性樹脂
(A)粘着性樹脂は、粘着剤として作用し得る粘着力を有する樹脂である。具体例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系共重合体等を主成分とする樹脂や、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン・酢酸ビニル系、ウレタン系、スチレン・ブタジエンゴム系、天然ゴム系、イソプレンゴム系、ブタジエン・アクリロニトリル液状ゴム系及びシリコーン系からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む粘着性樹脂等を挙げることができる。なお、これらの樹脂は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
また、(A)粘着性樹脂は、後述する「(B)スルホン化ポリマー」の存在下で(a)モノマーを重合して得られる樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を主成分とする樹脂であることが更に好ましい。なお、ここでいう「(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を主成分とする」とは、(A)粘着性樹脂全体に含まれる、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の割合が60〜100質量%であることをいい、好ましくは80〜100質量%であることをいう。また、「(a)モノマー」とは、(A)粘着性樹脂を構成するモノマー全てをいう。
((メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂)
本明細書において、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を主成分とし、粘着性を有する樹脂をいう。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類以外の成分(以下、「他の成分」ともいう)を有しても良い。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂は、市販品を用いても良く、別途合成して用いても良い。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を構成するモノマー(以下、「エステルモノマー」という)の単独重合体若しくは共重合体、又はエステルモノマーと他の成分を構成するモノマー(以下、「他の重合性モノマー(1)」という)との共重合体であることが好ましい。
(1) 構成成分
エステルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等がある。これらの中でも、アルキル基の炭素数が4〜12のエステルモノマーが好ましく、アルキル基の炭素数が6〜12のエステルモノマーが更に好ましい。なお、エステルモノマーは1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
また、他の重合性モノマー(1)として、具体的には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸やその塩類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸無水物類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、2−シアノエチル(メタ)アクリレート等のシアノ基含有モノマー類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;
エチレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和脂肪族炭化水素類等の単官能性モノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の多官能性モノマー等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル等が好ましく、アクリル酸、アクリロニトリル等が更に好ましい。なお、他の重合性モノマー(1)は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を構成するモノマーの組成は、特に制限されるものではないが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を構成する全モノマー100質量部に対して、好ましくはエステルモノマーが50〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜30質量部、及びそれ以外のモノマーが0〜30質量部であり、更に好ましくはエステルモノマーが50〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜20質量部、及びそれ以外のモノマーが0〜30質量部であり、特に好ましくはエステルモノマーが60〜99.9質量部、酸モノマーが0.1〜10質量部、及びそれ以外のモノマーが0〜30質量部である。なお、酸モノマーとしては、例えば、他の重合性モノマー(1)で例示した(メタ)アクリル酸モノマー等がある。
(2) 物性値
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載する)は、好ましくは10,000以上であり、更に好ましくは30,000以上である。Mwが10,000未満であると、糊残りや粘着性等に問題を生じる場合がある。なお、本明細書にいう「重量平均分子量」とは、GPC法(Gel Permeation Chromatography法)で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のガラス転移点(以下、「Tg」という)は、好ましくは−80〜−10℃であり、更に好ましくは−80〜−30℃である。Tgが−80℃未満であると、凝集力が低下して、高温・高湿雰囲気下における粘着力が低下する場合がある。一方、−10℃超であると、基材に対する粘着力が低下する場合がある。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂のTgは、示差熱熱量分析計(DSC)により、公知の方法で測定することができる。
2 (C)成分
(C)成分は、粘着性樹脂組成物から粘着層を形成した場合において、粘着層の架橋性を向上するための架橋剤として作用し得るものであり、(C−1)エポキシ化合物及び(C−2)イソシアネート化合物の少なくともいずれかである。
(1) (C−1)エポキシ化合物
(C−1)エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリジシルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリセロールポリグリシジルエーテル、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N,N−ペンタグリシジルジエチレントリアミン、N,N,N,N−テトラグリシジルエチレンジアミン等がある。これらの中でも、エチレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
(C−1)エポキシ化合物は、市販品を用いることができる。具体的に、商品名で「デナコールEX−313」、「EX−421」、「EX−521」、「EX−614B」、「EX−810」(以上、ナガセケムテック社製)等を挙げることができる。なお、(C−1)エポキシ化合物は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(C−1)エポキシ化合物の含有量は、(A)粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、更に好ましくは0.5〜10質量部であり、特に好ましくは1〜5質量部である。(C−1)エポキシ化合物の含有量が0.1質量部未満であると、架橋が不十分となるため、粘着力が大きくなり、糊残りの原因となる場合がある。一方、15質量部超であると、余剰の(C−1)エポキシ化合物が被着体と相互作用することで、粘着力が大きくなり、糊残りの原因となる場合がある。
(C−1)エポキシ化合物のMwは、好ましくは100〜2000であり、更に好ましくは100〜1000である。(C−1)エポキシ化合物のMwが2000超であると、触媒としての性能が低下する場合がある。なお、2官能のエポキシ化合物の最小重量平均分子量が100である。
(2) (C−2)イソシアネート化合物
(C−2)イソシアネート化合物としては、例えば、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート化合物、及びこれらのジイソシアネート化合物の2量体、3量体、それ以上の多量体であるポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物を変性した化合物等がある。特に、上述のポリイソシアネート化合物をポリエチレングリコール等のノニオン性の親水基で変性した化合物が好ましい。親水性のセグメントによって変性されたポリイソシアネート化合物は、水分散性イソシアネートと呼ばれ、水性硬化剤として広く市販されている。
(C−2)イソシアネート化合物の具体例としては、商品名で「アクアネートAQ100」、「アクアネートAQ200」(以上、日本ポリウレタン工業社製)、「スミジュール304」、「スミジュール305」(以上、住化バイエルウレタン社製)等を挙げることができる。なお、(C−2)イソシアネート化合物は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(C−2)イソシアネート化合物の含有量は、(A)粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、更に好ましくは0.5〜20質量部であり、特に好ましくは1〜15質量部である。(C−2)イソシアネート化合物の含有量が0.1質量部未満であると、架橋が不十分となるため、粘着力が大きくなり、糊残りの原因となる場合がある。一方、30質量部超であると、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となる場合がある。
3 (D)4級アンモニウム化合物
(D)4級アンモニウム化合物は、架橋剤としての(C)成分に対して、架橋触媒として作用しうるものであり、粘着性樹脂組成物から粘着層を形成した場合において、架橋反応を良好に進行し得るものである。また、粘着性樹脂組成物のイオン伝導性が向上し、表面固有抵抗値及び剥離後の帯電圧を低下させることができる。更に、粘着性樹脂組成物中の極性基を低減することができるため、粘着力の経時変化が少なく、粘着後時間が経過しても容易に再剥離することができる。
架橋反応が良好に進行することにより、架橋密度が向上し、高速で再剥離した際の粘着力が軽くなり、再剥離時の作業性が向上するとともに、被着体の表面の汚染(糊残り)を低減することができる。また、架橋反応が進行するのに要する養生時間が短縮し、生産性が向上する。更に、粘着シートの粘着層とした場合の養生温度についても、比較的に低い温度、例えば、40℃以下の温度で架橋反応が効率的に進行するので、粘着シートの基材の熱伸縮によるしわや歪みを有効に防止することができる。
(D)4級アンモニウム化合物としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化アルキルアンモニウムやその塩類;水酸化テトラフェニルアンモニウム等の水酸化アリールアンモニウムやその塩類;トリラウリルメチルアンモニウムイオン、ジデシルジメチルアンモニウムイオン、ジココイルジメチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、ジオレイルジメチルアンモニウムイオン、セチルトリメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、ベヘニルトリメチルアンモニウムイオン、ココイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ポリオキシエチレン(15)ココステアリルメチルアンモニウムイオン、オレイルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、ココベンジルジメチルアンモニウムイオン、ラウリルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオン、デシルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムイオンを陽イオンとする塩基やその塩類等がある。
(D)4級アンモニウム化合物としては、市販品を用いることができる。具体的に、商品名で「TAMAPURE−AA TMAH」(多摩化学工業社製)、「アデカコールCC−36」、「アデカコールCC−15」、「アデカコールCC−42」(以上、旭電化工業社製)、「エソカードC/12」、「エソカードC/25」、「エソカードO/12」、「エソカードO/12E」(以上、ライオン社製)、「コータミン24P」、「コータミン86Pコンク」(以上、花王社製)等を挙げることができる。
(D)4級アンモニウム化合物としては、4級アンモニウム塩基であっても良く、4級アンモニウム塩であっても良いが、好ましくは4級アンモニウム塩基であり、更に好ましくは4級アンモニウム塩基と4級アンモニウム塩の2種以上を混合して構成されたものである。
(D)4級アンモニウム化合物の含有量は、(A)粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、更に好ましくは0.1〜15質量部であり、特に好ましくは0.5〜10質量部である。(D)4級アンモニウム化合物の含有量が0.1質量部未満であると、架橋反応に対しての触媒の効果が十分に得られない場合がある。一方、20質量部超であると、粘着層の表面にブリードアウトすることがあり、被着体を汚染する原因となり得る。
4 (F)リチウム含有化合物
(F)リチウム含有化合物は、粘着性樹脂組成物にイオン導電性を付与するものであり、粘着性樹脂組成物から粘着層を形成した場合において、剥離後の帯電圧を低下させることができる。
(F)リチウム含有化合物として、例えば、脂肪族モノカルボン酸リチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸リチウム塩、N−アシルサルコシン酸リチウム塩、N−アシルグルタミン酸リチウム塩等のカルボン酸リチウム塩;ジアルキルスルホコハク酸リチウム塩、アルカンスルホン酸リチウム塩、アルファオレフィンスルホン酸リチウム塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸リチウム塩等のスルホン酸リチウム塩;アルキル硫酸エステルリチウム塩等の硫酸エステルリチウム塩;アルキルリン酸エステルリチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸リチウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸リチウム塩等のリン酸エステルリチウム塩の他、窒化リチウム塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウム(トリフルオロメタンスルホニル)メチド等がある。
また、リチウム塩として、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOC等が好ましく用いられる。なお、これらのリチウム塩は1種単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良く、更には界面活性剤等の他の化合物と混合して使用しても良い。
リチウム含有化合物としては、市販品を用いることができる。具体的に、商品名で「エレカットS−417」(竹本油脂社製)等を挙げることができる。
(F)リチウム含有化合物の含有量は、(A)粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、更に好ましくは0.01〜7質量部であり、特に好ましくは0.05〜5質量部である。(F)リチウム含有化合物の含有量が0.01質量部未満であると、十分な帯電防止性能が得られない場合がある。一方、10質量部超であると、粘着層の表面にブリードアウトすることがあり、被着体を汚染する場合がある。
5 (E)含窒素化合物
粘着性樹脂性生物は、(E)含窒素化合物(但し、(D)4級アンモニウム化合物を除く)を更に含有することが好ましい。(E)含窒素化合物は、架橋触媒として作用し得るものであり、(D)4級アンモニウム化合物とともに、(E)含窒素化合物を含有させることにより、触媒効果が更に向上し、粘着性物品とした場合に、比較的低温、例えば、40℃以下の温度でも良好に架橋反応を進行させることができる。このような(E)含窒素化合物としては、ヒドラジド化合物を好適に用いることができる。
ヒドラジド化合物として、具体的には、アジピン酸ジヒドラジド、しゅう酸ヒドラジド、マロン酸ヒドラジド、こはく酸ヒドラジド、グルタル酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、シトラコン酸ジヒドラジド等の炭素数2〜10の脂肪族ジカルボン酸ヒドラジド類;フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等の炭素数2〜10の芳香族ジカルボン酸ヒドラジド類;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,2−ジヒドラジン、ブチレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、ブチレン−2,3−ジヒドラジン等の炭素数2〜4の脂肪族ヒドラジン類;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、トリメリット酸トリヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド、プロパン−1,2,3−トリヒドラジン、ブタン−1,2,3,4−テトラヒドラジン等の3個以上のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体等を挙げることができる。これらの中でも、アジピン酸ジヒドラジドが好ましい。
なお、(E)含窒素化合物の含有量は、(A)粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部であり、更に好ましくは0.01〜3質量部であり、特に好ましくは0.01〜1質量部である。(E)含窒素化合物の含有量が0.01質量部未満であると、(E)含窒素化合物の効果が十分に得られない場合がある。一方、5質量部超であると、粘着層の表面にブリードアウトする場合があり、被着体を汚染する原因となり得る。
6 (B)スルホン化ポリマー
(B)スルホン化ポリマーとしては、例えば、共役ジエン系ポリマーのスルホン化物或いは共役ジエン系ポリマーの水素添加物のスルホン化物等の(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー;ポリスチレン等の芳香族ビニル系ポリマーのスルホン化物;スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーの単独重合体或いは共重合体等のスルホン化芳香族ビニル系ポリマー等を挙げることができる。これらの中でも、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー及び(B−2)ポリスチレンスルホン酸の少なくともいずれかが好ましく、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーが更に好ましい。
((B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー)
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーは、共役ジエン系モノマーを構成単位として含むポリマー或いはその水素添加物(以下、このポリマー及び水素添加物をまとめて「共役ジエン系ベースポリマー」という)をスルホン化し、その後水又は塩基性化合物で処理することで調製することができる。また、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーとして、市販品を使用することもできる。
(1) 共役ジエン系ベースポリマー
(i)構成成分
共役ジエン系ベースポリマーを構成する共役ジエン系モノマーとして、炭素数4〜10の共役ジエン系化合物が好ましく、炭素数4〜8の共役ジエン系化合物が更に好ましく、炭素数4〜6の共役ジエン系化合物が特に好ましい。
共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプレン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等がある。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。なお、共役ジエン系モノマーは1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
共役ジエン系ベースポリマーは、共役ジエン系モノマー以外の他の重合性モノマー(以下、「他の重合性モノマー(2)」という)に由来する構成単位を含んでも良い。
他の重合性モノマー(2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸やその塩類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和ポリカルボン酸無水物類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のシアノ基含有モノマーや、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等がある。これらの中でも、芳香族ビニル系化合物が好ましく、スチレンが特に好ましい。なお、他の重合性モノマー(2)は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
共役ジエン系ベースポリマーに含まれる共役ジエン系モノマーの割合は、全モノマーに対して、好ましくは0.5〜99質量%であり、更に好ましくは1〜95質量%であり、特に好ましくは5〜90質量%である。共役ジエンモノマーの割合が0.5質量%未満であると、共役ジエン系ベースポリマー中のスルホン酸(塩)基含量が低くなり、帯電防止能が不十分となる場合がある。一方、99質量%超であると、(B)スルホン化ポリマーの存在下で(a)モノマーを重合する際に、重合安定性が低下する場合がある。
共役ジエン系ベースポリマーは、共重合体の場合、ランダム共重合体でも良く、ブロック共重合体でも良い。ブロック共重合体であると、AB型、ABA型等を特に制限なく使用することができる。共役ジエン系ベースポリマーの好適例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、1,3−ブタジエン・スチレンランダム共重合体、1,3−ブタジエン・スチレン二元ブロック共重合体、スチレン・1,3−ブタジエン・スチレン三元ブロック共重合体、1,3−ブタジエン・スチレン・1,3−ブタジエン三元ブロック共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレン二元ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・イソプレン三元ブロック共重合体や、これらの水素添加物の他、エチレン・プロピレン・共役ジエン三元ランダム共重合体等がある。これらの中でも、1,3−ブタジエン・スチレン二元ブロック共重合体、スチレン・1,3−ブタジエン・スチレン三元ブロック共重合体、1,3−ブタジエン・スチレン・1,3−ブタジエン三元ブロック共重合体、イソプレン・スチレン二元ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン三元ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・イソプレン三元ブロック共重合体やこれらの水素添加物等の共役ジエン系ユニットと芳香族ビニル系ユニットとを有するブロック共重合体及びその水素添加物が更に好ましい。
(ii) 調製方法
共役ジエン系ポリマーは、共役ジエン系モノマーを、必要に応じて他の重合性モノマー(2)と共に、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤、又はn−ブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、金属ナトリウム等のアニオン重合開始剤の存在下、必要に応じて公知の溶剤を使用して、通常、−100〜150℃で、好ましくは0〜130℃で重合させて調製することができる。
また、共役ジエン系ポリマーの水素添加物は、調製した共役ジエン系ポリマーに残存する二重結合部分の一部或いは全部を水素添加することで得ることができる。水素添加する方法は特に制限されるものではなく、従来公知の水添触媒及び方法を使用することができる。より具体的には、特開平5−222115号公報に記載されているような触媒及び方法を挙げることができる。なお、水素添加したスルホン化共役ジエン系ポリマーを調製する場合には、水素添加とスルホン化のいずれを先に行っても良い。
(iii) 物性値
共役ジエン系ベースポリマーのMwは、好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは5,000以上であり、特に好ましくは5,000〜400,000である。共役ジエン系ベースポリマーのMwが1,000未満であると、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーが粘着層の表面からブリードアウトして、粘着力が経時的に変化する場合がある。一方、400,000超であると、生産性が低下する場合がある。
(2) (B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーは、共役ジエン系ベースポリマーを、従来公知の方法、例えば、日本化学会編集「新実験化学講座」14巻 III,p.1773−1783に記載された方法や、特開平2−227403号公報に記載された方法に準じて、共役ジエン系ベースポリマー中の共役ジエン系ユニットの二重結合部分を、スルホン化剤を用いてスルホン化し、その後、水又は塩基性化合物で処理することで調製することができる。
(i) スルホン化
スルホン化反応においては、共役ジエン系ユニットの二重結合が開環して単結合になるか、或いはこの二重結合は残ったままで、水素原子がスルホン化されることになる。また、他の重合性モノマー(2)を使用した場合には、共役ジエン系ユニット以外にも、例えば、芳香族ビニル系ユニットがスルホン化されても良い。
スルホン化剤としては、例えば、無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体の他、硫酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸、亜硫酸水素塩(例えば、Li塩、Na塩、K塩等)等を使用することができる。これらの中でも、無水硫酸、無水硫酸と電子供与性化合物との錯体が好ましい。なお、電子供与性化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、ピペラジン等のアミン類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィド類;アセトニトリル、エチルニトリル、プロピオニトリル等のニトリル化合物等がある。これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサンが好ましい。
スルホン化剤の使用量は、共役ジエン系ベースポリマー中の共役ジエン系ユニットと芳香族ビニル系ユニットとの合計1molに対して、無水硫酸(SO)換算で、通常、0.005〜1.5molであり、好ましくは0.01〜1.0molである。スルホン化剤の使用量が0.005mol未満であると、目的とするスルホン化率を達成することが困難となり、帯電防止能が不十分となる場合がある。一方、1.5mol超であると、未反応のスルホン化剤が多くなり、アルカリで中和後に、例えば硫酸塩が多量に生じて、純度が低下し、精製に手間取る場合がある。
スルホン化反応は、通常、スルホン化剤に不活性な反応溶媒中で実施する。反応溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;n−プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類や、液体二酸化イオウ等がある。なお、反応溶媒は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
スルホン化反応の条件は、反応温度が、通常、−70〜200℃であり、好ましくは−30〜50℃である。反応温度が−70℃未満であると、スルホン化反応が遅くなって生産性が低下する場合がある。一方、200℃超であると、副反応を起こして、生成物が変色或いは不溶化する場合がある。
(ii) 水又は塩基性化合物による処理
得られたスルホン化物を水又は塩基性化合物で処理することにより、(B)スルホン化ポリマーとしての(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを調製することができる。水で処理した場合は、スルホン酸基を有するポリマーとして得られ、塩基性化合物で処理した場合は、スルホン酸塩基を有するポリマーとして得られる。
スルホン化物を水又は塩基性化合物で処理する際の反応条件として、反応温度は、通常、−30〜150℃であり、好ましくは0〜120℃であり、更に好ましくは50〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.1〜24時間であり、好ましくは0.5〜5時間である。なお、スルホン化物を水又は塩基性化合物で処理する反応は、常圧下、減圧下或いは加圧下のいずれでも実施することができる。
塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−アミルリチウム、n−プロピルナトリウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、n−プロピルマグネシウムアイオダイド、ジエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム等の有機金属化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、アニリン、ジメチルエタノールアミン、ピペラジン等のアミン類;アンモニアや、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛等の金属の他の塩基性化合物等がある。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、アンモニアが好ましく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムが特に好ましい。なお、塩基性化合物は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
また、塩基性化合物は、適当な溶媒、例えば、水、塩基性化合物に不活性な有機溶媒等に溶解させて使用することもできる。有機溶媒としては、例えば、スルホン化反応に使用される前記反応溶媒の他、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類等がある。なお、有機溶媒は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
塩基性化合物の使用量は、スルホン化剤1molに対して、通常、2mol以下であり、好ましくは1.3mol以下である。また、塩基性化合物を溶媒に溶解して使用する場合、塩基性化合物の濃度は、通常、1〜70質量%であり、好ましくは10〜50質量%程度である。
また、スルホン化物を水で処理する際の水の使用量は、スルホン化物100質量部に対して、通常、10〜50,000質量部であり、好ましくは100〜10,000質量部である。
(iii) 物性値
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー中のスルホン酸(塩)基含量は、通常、0.1〜6mmol/gであり、好ましくは0.5〜5mmol/gである。スルホン酸(塩)基含量が0.1mmol/g未満であると、帯電防止能が不十分となる場合がある。一方、6mmol/g超であると、粘着層の透明性が損なわれる場合がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーのスルホン酸(塩)基含量は赤外線吸収スペクトルによるスルホン基の吸収から確認することができ、組成比は元素分析等から確認することができる。また、H−NMR分析や、13C−NMR分析から(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの構造を確認することができる。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーのMwは、好ましくは1,000以上であり、更に好ましくは5,000以上であり、特に好ましくは5,000〜400,000である。Mwが1,000未満であると、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーが粘着層の表面からブリードアウトして、粘着力が経時的に変化する場合がある。一方、400,000超であると、生産性が低下する場合がある。なお、(B−1)スルホン化ポリマーは1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
7 添加剤
粘着性樹脂組成物は、所望により、更に(A)粘着性樹脂以外の粘着性付与剤、他の水溶性樹脂、他の樹脂エマルジョン、濡れ剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防かび剤、着色剤等の種々の添加剤を含有することができる。
濡れ剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、脂肪酸アミド系、アセチレングリコール系、ポリエーテル系の化合物等を使用することができる。より具体的には、以下商品名で、シリコーン系濡れ剤として「PSA336」(日信化学工業社製)、「エンバイロジェムAD−01」(エアープロダクトジャパン社製)、フッ素系濡れ剤として「サーフロンS111N」、「サーフロン131」(以上、AGCセイミケミカル社製、)、「メガファックF−812」、「F−833」(以上、大日本インキ化学工業社製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、脂肪酸アミド系濡れ剤として「トリノーン」(日本化成社製)、アセチレングリコール系濡れ剤として「サーフィノール104」等のアセチレングリコールのアセチレングリコールや、「サーフィノール420」、「サーフィノール465」(以上、エアープロダクトジャパン社製)等のエチレンオキサイド付加物を挙げることができる。更に、ポリエーテル系濡れ剤として「SN984」、「SN980」(以上、サンノプコ社製)や、「KF−351」、「KF−352」、「KF−353」、「KF−615」(以上、信越化学工業社製)、「TSF−4452」、「TSF−4445」(東芝シリコーン社製)等のポリエーテル系シリコーンを挙げることができる。
II 粘着性樹脂組成物の製造方法
本発明の粘着性樹脂組成物の製造方法は、(B)スルホン化ポリマー存在下、水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させて(A)粘着性樹脂を得る工程(1)と、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を添加する工程(2)と、を有する方法である。このような方法で製造することで、本発明の粘着性樹脂組成物を簡便かつ低コストに製造することができる。なお、本発明の粘着性樹脂組成物は、本発明の粘着性樹脂組成物の製造方法により製造されたものに限定されるものではない。
1 工程(1)
工程(1)は、(B)スルホン化ポリマー存在下、水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させて(A)粘着性樹脂を得る工程である。また、(B)スルホン化ポリマー及び(a)モノマーを、水系媒体中で、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化させた後、ラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させて(A)粘着性樹脂を得る工程であることが好ましい。工程(1)により、(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーとが複合化され、(A)粘着性樹脂組成物と(B)スルホン化ポリマーとの相溶性が向上し、例えば、表面保護用の粘着フィルム等の粘着性物品の粘着層とした場合に、粘着層の透明性及び帯電防止性が高められる。なお、本明細書において「平均粒径」とは、動的光散乱法を測定原理とした動的光散乱法粒径測定器(商品名「LPA−3000/3100」(大塚電子社製))により測定した値をいう。
(B)スルホン化ポリマーの存在下における(a)モノマーの重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の適宜の方法で実施することができるが、下記方法(1)〜方法(3)のいずれかの方法で実施することが好ましく、下記方法(1)で実施することが更に好ましい。
(1) 方法(1)
方法(1)は、(B)スルホン化ポリマー(好ましくは(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー)及び(a)モノマーを、水系媒体中で、平均粒径が20〜500nmとなるようにエマルジョン化させた後、ラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させる方法(以下、「ミニエマルジョン重合法」という)である。
(2) 方法(2)
方法(2)は、(B)スルホン化ポリマー(好ましくは(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー)を水系媒体中に分散させた後、(a)モノマーをインクレメントに添加しつつ、ラジカル重合開始剤を用いて重合させる方法(以下、「シード重合法」という)である。
(3) 方法(3)
方法(3)は、予め(a)モノマーの一部を水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて重合した後、残りの(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマー(好ましくは(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー)とを添加して重合させる方法である。
以下、粘着性樹脂組成物の製造方法について、(B)スルホン化ポリマーとして(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを用いるミニエマルジョン重合法を中心に詳細に説明する。
(ミニエマルジョン重合法)
ミニエマルジョン重合法に際して、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーは、予め水系媒体中に分散或いは溶解して使用することができる。但し、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを水系媒体中に溶解させる場合は、(a)モノマーを重合する際に使用する有機溶剤以外に有機溶剤を追加しないことが好ましい。
(i) エマルジョン化
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーと(a)モノマーとを水系媒体中でエマルジョン化させる際には、各成分の水系媒体への添加順序は特に限定されるものではない。例えば、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー、或いはその分散体又は水溶液と(a)モノマーとを、水系媒体中に添加して、所望の平均粒径となるようエマルジョン化させても良く、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体又は水溶液中に(a)モノマーを添加して、所望の平均粒径となるようエマルジョン化させても良い。
ミニエマルジョン重合法における水系媒体の使用量は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーと(a)モノマーとの合計100質量部に対して、通常、50〜2,000質量部であり、好ましく100〜1,000質量部である。水系媒体の使用量が50質量部未満であると、所望の平均粒径のエマルジョンを得ることが困難となったり、エマルジョンの分散安定性が低下したりする場合がある。一方、2,000質量部超であると、生産性が低下する場合がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー及び(a)モノマーを水系媒体中でエマルジョン化させる方法は、例えば、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、超音波分散機等を用いて行うことができる。
エマルジョンの平均粒径は、20〜500nmであり、好ましくは25〜300nmである。エマルジョンの平均粒径がこの範囲外であると、粘着性樹脂組成物の粘度が過大となったり、分散安定性が低下したりする場合がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーは、親水性のスルホン酸(塩)基を有し、それ自体乳化・分散作用を示すものである。そのため、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの存在下におけるミニエマルジョン重合では、別途界面活性剤を添加しなくても良いが、場合により、例えば、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等のノニオン系、アニオン系、又はカチオン系の界面活性剤、或いは重合性基としてアリル基を有する各種の反応性乳化剤を1種以上添加しても良い。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを水系媒体中に分散させる場合、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの有機溶剤溶液、或いは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物の有機溶剤溶液を、水と共に、場合により塩基性化合物の存在下で、混合・攪拌して、エマルジョン化或いは溶解させ、必要に応じて塩基性化合物を作用させた後、水を残したまま有機溶剤を除去することで行うことができる。なお、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを混合・攪拌する方法は特に制限されるものではなく、例えば、攪拌しながら各有機溶剤溶液中に水を添加する方法、攪拌しながら水中に各有機溶剤溶液を添加する方法、水と各有機溶剤溶液を同時に添加して攪拌する方法等がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散させる際に使用される有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤等がある。なお、有機溶剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散させる際の有機溶剤の使用量は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー、或いは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、好ましくは20〜5,000質量部であり、更に好ましくは50〜2,000質量部である。有機溶剤の使用量が20質量部未満であると、安定なエマルジョンを得ることが困難となる場合がある。一方、5,000質量部超であると、生産性が低下する場合がある。
また、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散させる際の水の使用量は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー、或いは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、好ましくは50〜10,000質量部であり、更に好ましくは100〜5,000質量部である。水の使用量が50質量部未満であると、安定なエマルジョンを得ることが困難となる場合がある。一方、10,000質量部超であると、生産性が低下する場合がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを分散させる際には、別途分散剤を添加しなくても良いが、必要に応じて、分散剤として界面活性剤を使用することができる。なお、界面活性剤は、有機溶剤溶液中に溶解或いは分散させて使用しても良く、水中に溶解或いは分散させて使用しても良い。
界面活性剤として、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンエーテル等の非イオン系界面活性剤;オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤;オクチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジジニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤等を挙げることができる。なお、界面活性剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
界面活性剤の使用量は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー、或いは水や塩基性化合物を作用させる前のスルホン化物100質量部に対し、通常、10質量部以下であり、好ましくは5質量部以下である。
また、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体或いは水溶液のpHを調整するために、更に、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物;塩酸、硫酸等の無機酸等を添加することもできる。また場合により、有機溶剤を少量であれば添加することもできるが、ケトン系溶剤等は臭気の点で使用しないのが好ましい。
このようにして得られる(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体の平均粒径は、通常、1〜500nmであり、好ましくは5〜200nmである。(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの分散体の平均粒径がこの範囲外であると、分散体の分散安定性が低下する場合がある。
(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーが水系媒体中で分散するか、或いは溶解するかは、共役ジエン系ベースポリマーのMwやスルホン酸(塩)基含量によって変わるが、「I 粘着性樹脂組成物」にて記載したMw及びスルホン酸(塩)基含量の範囲内であれば、分散体と水溶液のいずれも使用することができる。
(ii) 重合
次に、(a)モノマーを、ラジカル重合開始剤を用いて重合する。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキサイド、2,2’−アゾビス(2−N−ベンジルアミジノ)プロパン塩酸塩等の水溶性開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシオクトエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤;還元剤として酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等を用いるレドックス系開始剤等がある。なお、ラジカル重合開始剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量は、(a)モノマー100質量部に対して、通常、0.1〜20質量部であり、好ましくは0.2〜10質量部である。ラジカル重合開始剤の使用量が0.1質量部未満であると、重合反応が途中で失活する場合がある。一方、20質量部超であると、反応制御が困難となる場合がある。
ラジカル重合開始剤は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーと(a)モノマーとを水系媒体中でエマルジョン化させる前に添加しても良く、エマルジョン化させた後に添加しても良い。
重合の反応条件として、反応温度は、通常、40〜100℃であり、好ましくは60〜95℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜15時間であり、好ましくは1〜8時間である。重合操作は、バッチ式、半連続式或いは連続式のいずれでも実施することができる。
重合によって、(A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーとが複合化した複合エマルジョンが得られる。複合エマルジョンの平均粒径は、好ましくは60〜500nmであり、更に好ましくは90〜300nmである。複合エマルジョンの平均粒径が60nm未満であると、粘着性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎる場合がある。一方、500nm超であると、粘着力が低下する場合がある。なお、複合エマルジョンの平均粒径は、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの親水性の程度、Mw、及び使用量、並びにエマルジョン化させる際及び重合時に適用される応力と処理時間等により調整することができる。
また、重合により得られる複合エマルジョンを含有する(A)粘着性樹脂組成物の固形分(不揮発分)は、通常、10〜70質量%であり、好ましくは20〜60質量%である。この固形分は水系媒体を追加するか、一部の水系媒体を除去することにより調整することができる。
また、重合に際しては、ポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサンジオール等の改質剤;t−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、i−プロピルアルコール、メタノール、四塩化炭素等の分子量調節剤;パラフィン系溶剤等の種々の溶剤や、pH調整剤、消泡剤、増粘剤等を添加することもできる。
(方法(2)及び方法(3))
方法(2)で(a)モノマーをインクレメントに添加する方法、及び方法(3)で残りの(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーとを添加する方法としては、一括添加、回分的添加、或いは連続添加やこれらの2つ又は3つの組み合わせ等いずれの方法を用いても良い。また、方法(3)で残りの(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーとを添加する際には、(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーを別々に添加しても良く、(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーとを予め混合して添加しても良い。なお、ここでいう「回分的添加」とは、複数回に分けて添加する方法をいう。
方法(2)で(a)モノマーを、方法(3)で残りの(a)モノマーと(B)スルホン化ポリマーを、回分的添加、連続添加、或いはこれらの組み合わせにより添加することにより、反応が急激に進行して反応熱が多量に発生することによる重合系内温度の急激な上昇を防止することができる。また、方法(3)で(B)スルホン化ポリマーを重合の後半(例えば、重合率が80%に達した後)に添加することは、得られるポリマー粒子の表面にスルホン化ポリマーが配置されやすくなり、粘着層表面の導電性及び帯電防止性の向上につながるので好ましい。
方法(2)及び方法(3)における重合に際しては、上述したラジカル重合開始剤、分子量調節剤、界面活性剤等を使用することができる。また、pH調節剤、消泡剤、増粘剤等を適宜添加しても良い。
2 工程(2)
工程(2)は、工程(1)の後に、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を添加する工程である。また、(E)含窒素化合物を更に添加する工程であることが好ましい。
(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物は、それぞれを単独で添加することもできるが、例えば、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を、また必要に応じて(E)含窒素化合物を、水やその他の溶媒に混合して添加しても良い。なお、これらは、重合反応後の溶液にそのまま添加することができる。
(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を添加する際には、そのまま単独で添加する場合であっても、また、水やその他の溶媒に混合してから添加する場合であっても、特別な加熱や冷却等の操作を必要とせずに、室温で簡便に添加することができる。このため、添加する際に加熱し、添加後に粘度が上昇し、塗工性が低下することや、添加する際に冷却し、分散効果が低下することを抑制することができる。
また、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物等を添加する際には、重合反応後の溶液を撹拌しているところに添加することが好ましい。このように、重合反応後の溶液を撹拌しているところに添加することにより、均一に分散させることができる。
更に、(C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物等を添加する際、重合反応後の溶液のpHの値は5〜8であることが好ましい。pHの値が5未満であると、複合エマルジョン粒子の安定性が低下する場合がある。一方、pHの値が8超であると、活性水素の減少によって架橋反応の進行が抑制される場合がある。
(C−1)エポキシ化合物を添加した後は、(C−1)エポキシ化合物は、複合エマルジョン粒子表面に存在する極性基と反応し、三次元的な架橋構造を形成する。
III 粘着性物品
本発明の粘着性物品は、本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えるものである。なお、本発明の粘着性物品の一実施形態は、粘着層を配設するための基材を備えている。
(1) 粘着層
粘着層は、本発明の粘着性樹脂組成物からなる層である。粘着層を形成する方法は特に制限されるものではなく、例えば、本発明の粘着性樹脂組成物を基材に塗布し、加熱乾燥することで形成することができる。
粘着層の乾燥後の膜厚は、粘着性物品の用途に応じて適宜調整することができるが、例えば、表面保護用の粘着フィルムの場合、通常、5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
(2) 基材
粘着性物品を構成する基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリスチレン、紙、セロハンや、これらの2種以上からなる複合材料(例えば、ブレンド物、積層物等)等がある。なお、基材は必要に応じてフォーム(発泡体)構造(好ましくは独立気泡構造)を有しても良い。
基材には、必要に応じて、粘着層との接着性を更に改善するために、表面にコロナ処理等の易接着処理を行っても良い。
また、基材の粘着層側とは反対側に、必要に応じて、例えば、防汚染塗工、ハード塗工、帯電防止塗工等を任意の組成で行うこともできる。このような塗工処理は用途によっては好ましい。
基材の形状については特に制限はなく、例えば、テ−プ、シ−ト又はフィルムの他、各種形状の成形物等を採用することができる。
IV 粘着シート
本発明の粘着シートは、本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備える。粘着層を形成する方法は特に制限されるものではなく、例えば、基材に塗布し、加熱乾燥することにより形成することができる。なお、本明細書にいう「粘着シート」とは、粘着テ−プ及び粘着フィルム等のシート状の粘着性物品を包括する概念をいう。
なお、本発明の粘着シートの一実施形態においては、本発明の粘着性物品の一実施形態における基材と同様の材料からなるシート状の基材を備えている。
粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)は1E+13以下であり、好ましくは1E+12以下である。また、全光線透過率は70%以上であり、好ましくは80%以上であり、更に好ましくは85%以上である。なお、本明細書にいう「表面固有抵抗値(Ω/□)」とは、表面固有抵抗測定機(商品名「HIGH RESISTANCE METER」(ヒューレット・パッカード社製))を用い、25℃×相対湿度55%の雰囲気下で測定した値をいう。
粘着シートは、本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えていることから、液晶、プラズマディスプレイ(PDP)、電子管(CRT)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タッチパネル等のディスプレイ表面の保護材、これらのディスプレイに用いられる部材、偏光板等の保護材として極めて有用である。特に、本発明の粘着シートは、粘着層の表面固有抵抗値が1E+13以下であることから、帯電性が抑えられているために、例えば、静電気による損傷や機能劣化を生じる電気製品等を保護するための保護フィルムとして特に好適に用いることができる。
また、本発明の粘着シートは、40℃以下の温度条件において、粘着層の架橋反応が進行し得るものであることが好ましい。本発明の粘着シートは、本発明の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備えていることから、粘着層において、温度が40℃以下という比較的に低い温度であっても、良好に架橋反応が進行し得る。このため、架橋反応時に粘着シートの熱収縮が少なく、しわや歪み等の少ない粘着シートとすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[養生時間]:各実施例にて製造した粘着フィルムの養生が完了するまでに要した時間(養生時間)を測定した。粘着フィルムの養生が完了したことについての判断は、継続して養生を行った場合に、粘着力がそれ以降低下しなくなった時点を養生の完了とした。
[初期粘着力(g/25mm)及び糊残りの評価]:偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させた後、180°剥離試験を行って、初期粘着力(g/25mm)を測定した。また、粘着フィルムを剥離した後の被着体表面における糊残りの有無を目視にて観察した。糊残りが目視で確認できなかった場合には「無」と評価し、糊残りが目視で確認できた場合には「有」と評価した。
[粘着力の経時変化(g/25mm)]:初期粘着力の評価に用いたものと同様の偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させた後、1週間70℃に加熱した後の粘着力(g/25mm)を、180°剥離試験を行って測定した。
[表面固有抵抗値(Ω/□)]:養生が完了した粘着フィルムにおける粘着層の表面固有抵抗値を、表面固有抵抗測定機(商品名「HIGH RESISTANCE METER」(ヒューレット・パッカード社製))を用い、25℃×相対湿度55%の雰囲気下で測定した。
[剥離後帯電圧(kV)]:初期粘着力の評価に用いたものと同様の偏光板の表面に、養生が完了した粘着フィルムを接着させて剥離した後、剥離後の粘着層の帯電圧を、デジタル静電電位測定器(春日電機社製)を用い、25℃×相対湿度55%の雰囲気下で測定した。
[全光線透過率(%)及びヘイズ(%)]:養生が完了した粘着フィルムについてヘイズメーター(東洋精機社製)を用いて全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定した。
[外観の評価]:各実施例にて製造した粘着フィルムを養生することによって生じた熱じわを目視にて観察した。熱じわが目視で確認できなかった場合には「○」と評価し、熱じわが目視で確認できた場合には「×」と評価した。
合成例1 ((B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーの合成)
ガラス製反応容器にジオキサン100gを入れ、内温を25℃に保ちながら、無水硫酸15.7gを添加した後、1時間攪拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。次に、イソプレン・スチレン二元ブロック共重合体(イソプレン/スチレン重量比=60/40、重量平均分子量=10000)100gをジオキサンに溶解した濃度15%の溶液に、内温を25℃に保ちながら、前記錯体の全量を添加した後、1時間攪拌して、ポリマー溶液(1)を調製した。別途、水1200g、水酸化ナトリウム7.9gをフラスコに入れて、内温を40℃に加温し、ポリマー溶液(1)の全量を、同温度に保ちながら、10分で滴下して加えた。滴下終了後、同温度に保ちながら2時間攪拌した後、減圧蒸留により溶剤を全量除去して、イソプレンユニットがスルホン化された(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーを濃度(固形分濃度)15%の水溶液として合成した。なお、(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマーのスルホン酸塩基含量は1.7mmol/gであった。
合成例2 ((A)粘着性樹脂のエマルジョン(A−1)の合成)
容量1Lのビーカーに、2−エチルヘキシルアクリレート273g、n−ブチルアクリレート96g、アクリル酸10g、脱イオン水115g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、ポリオキシエチレン−1−(アクリオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(製品名「アクアロンKH−10」、第一工業製薬社製)1gを仕込み、十分攪拌して、モノマー混合物(1)を調製した。容量1Lの重合容器に、脱イオン水318g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、n−ブチルアクリレート20g、アクリル酸2g、過硫酸カリウム3gを仕込んで、窒素ガス置換を行った後、攪拌しつつ80℃に昇温して1時間重合を行った。次いで、調製したモノマー混合物(1)を4時間かけて連続的に滴下しつつ重合を行い、滴下終了後80℃で更に2時間攪拌して重合を完結させて、(A)粘着性樹脂のエマルジョン(A−1)を合成した。
合成例3 ((A)粘着性樹脂のエマルジョン(A−2)の合成)
n−ブチルアクリレート96gの代わりに、n−ブチルアクリレート92g及びヒドロキシエチルメタクリレート4gを用いたこと以外は合成例2と同様にして(A)粘着性樹脂のエマルジョン(A−2)を合成した。
合成例4 ((A)粘着性樹脂と(B)スルホン化ポリマーの複合エマルジョンの合成)
容量1Lのビーカーに、2−エチルヘキシルアクリレート264g、n−ブチルアクリレート92g、アクリル酸10g、脱イオン水93g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、ポリオキシエチレン−1−(アクリオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(製品名「アクアロンKH−10」、第一工業製薬社製)1g、(B−1)スルホン化ポリマー12g(固形分換算、固形分濃度15%)を仕込み、十分攪拌して、モノマー混合物(2)を調製した。別途、容量1Lの重合容器に、脱イオン水318g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1g、n−ブチルアクリレート20、アクリル酸2g、過硫酸カリウム3gを仕込んで、窒素ガス置換を行った後、攪拌しつつ80℃に昇温して1時間重合を行った。次いで、調製したモノマー混合物(2)を4時間かけて連続的に滴下しつつ重合を行い、滴下終了後80℃で更に2時間攪拌して重合を完結させて、複合エマルジョンを合成した。
実施例1
室温下で、0.5Lのステンレス製容器に、(A)粘着性樹脂として合成例2で合成したエマルジョン(A−1)97部(固形分換算、固形分濃度52%)、及び(B)スルホン化ポリマーとして合成例1で合成した(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー3部(固形分換算、固形分濃度15%)を仕込み、30分間撹拌した。次いで(C−1)エポキシ化合物(商品名「デナコールEX−421」、ナガセケムテック社製)3部、(D)4級アンモニウム化合物(商品名「TMAH」、多摩化学工業社製)2部(固形分換算、固形分濃度25%)、(E)含窒素化合物(商品名「アジピン酸ジヒドラジド」、大塚化学社製)0.2部、(F)リチウム含有化合物としてリチウム含有界面活性剤(商品名「エレカットS−417」、竹本油脂社製)1部(固形分換算、固形分濃度30%)、及び濡れ剤として(商品名「サーフロンS111N」、AGCセイミケミカル社製)を添加し、固形分濃度が43%になるよう水20gを加え、30分撹拌した。撹拌後、200メッシュの金網でろ過して、粘着性樹脂組成物(1)(固形分濃度43%)を製造した。
次いで、製造した粘着性樹脂組成物(1)を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(商品名「AT−50」、ユニチカ社製)にNo.26バーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥して、膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを製造した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。初期粘着力は10g/25mmであり、糊残りの評価は「無」であり、粘着力経時変化は15g/25mmであり、表面固有抵抗値は7.0E+09Ω/□であり、剥離後帯電圧は0.1kVであり、全光線透過率は89%であり、ヘイズは6%であり、外観の評価は「○」であった。
実施例2
室温下で、0.5Lのステンレス製容器に、合成例4で合成した複合エマルジョン100部(固形分換算、固形分濃度50%)、(C−1)エポキシ化合物(商品名「デナコールEX−421」、ナガセケムテック社製)2.5部、(D)4級アンモニウム化合物(商品名「TMAH」、多摩化学工業社製)2.5部(固形分換算、固形分濃度25%)、(E)含窒素化合物(商品名「アジピン酸ジヒドラジド」、大塚化学社製)0.2部、(F)リチウム含有化合物としてリチウム含有界面活性剤(商品名「エレカットS−417」、竹本油脂社製)1部(固形分換算、固形分濃度30%)、及び濡れ剤として(商品名「サーフロンS111N」、AGCセイミケミカル社製)を添加し、固形分濃度が43%になるよう水36gを加え、30分撹拌した。撹拌後、200メッシュの金網でろ過して、粘着性樹脂組成物(2)(固形分濃度43%)を製造した。
次いで、製造した粘着性樹脂組成物(2)を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタラートフィルム(商品名「AT−50」、ユニチカ社製)にNo.26バーコーターを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥して、膜厚15μmの粘着層を有する粘着フィルムを製造した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例3
(C−1)エポキシ化合物の使用量を3部、(F)リチウム含有化合物の使用量を0.5部にしたこと以外は実施例2と同様にして粘着性樹脂組成物(3)(固形分濃度43%)を製造し、製造した粘着性樹脂組成物(3)から粘着フィルムを製造した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例4
エマルジョン(A−1)の使用量を100部、(D)4級アンモニウム化合物の使用量を2.5部にしたこと以外は実施例1と同様にして粘着性樹脂組成物(4)(固形分濃度43%)を製造し、製造した粘着性樹脂組成物(4)から粘着フィルムを製造した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例5
エマルジョン(A−1)の代わりに合成例3で合成したエマルジョン(A−2)を100部、(C−1)エポキシ化合物の代わりに(C−2)イソシアネート化合物(商品名「バイヒジュール304」、住化バイエルウレタン社製)10部、(D)4級アンモニウム化合物の使用量を2.5部、(E)含窒素化合物を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして粘着性樹脂組成物(5)を製造し、製造した粘着性樹脂組成物(5)から粘着フィルムを製造した。この粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例1〜3
表1に記載した配合処方としたこと以外は実施例1又は2と同様にして各粘着性樹脂組成物を製造し、製造した各粘着性樹脂組成物から各粘着フィルムを製造した。各粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例4
(F)リチウム含有界面活性剤(商品名「エレカットS−417」、竹本油脂社製)の代わりにアニオン系界面活性剤(リチウム非含有)(商品名「ネオペレックスG−25」、花王社製)を用いたこと以外は実施例2と同様にして粘着性樹脂組成物を製造し、製造した粘着性樹脂組成物から粘着フィルムを製造した。粘着フィルムを40℃で1週間養生し、各種測定及び評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2010090208
表1において、略記した種類を以下に記す。
(A)粘着性樹脂
エマルジョン(A−1):合成例2で合成したエマルジョン(A−1)
エマルジョン(A−2):合成例3で合成したエマルジョン(A−2)
複合エマルジョン:合成例4で合成した複合エマルジョン
(B)スルホン化ポリマー:
合成例1で合成した(B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー
(C)成分
(C−1):エポキシ化合物、商品名「デナコールEX−421」(ナガセケムテック社製)
(C−2):イソシアネート化合物、商品名「バイヒジュール304」(住化バイエルウレタン社製)
(D)4級アンモニウム化合物:
商品名「TMAH」(多摩化学工業社製)
(E)含窒素化合物:
ヒドラジド化合物、商品名「アジピン酸ジヒドラジド」(大塚化学社製)
(F)リチウム含有化合物:
商品名「エレカットS−417」(竹本油脂社製)
濡れ剤
フッ素系界面活性剤:商品名「サーフロンS111N」(AGCセイミケミカル社製)
アニオン系界面活性剤(リチウム非含有):
商品名「ネオペレックスG−25」(花王社製)
Figure 2010090208
本発明の粘着性樹脂組成物から製造した粘着フィルムは、一様に、再剥離性に優れ、特に表面固有抵抗値及び剥離後帯電圧帯が低いことから、帯電防止能に特に優れている。また、全光線透過率、ヘイズは良好な値であり、かつ外観も良いので、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として特に好適に用いることができる。
本発明の粘着性樹脂組成物からは、粘着性物品や粘着シートを製造することができる。これらの製品は、液晶パネル、偏光板、電子基板等に対する保護材として特に好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. (A)粘着性樹脂と、
    (C−1)エポキシ化合物及び(C−2)イソシアネート化合物の少なくともいずれかと、
    (D)4級アンモニウム化合物と、
    (F)リチウム含有化合物と、を含有する粘着性樹脂組成物。
  2. (E)含窒素化合物(但し、前記(D)4級アンモニウム化合物を除く)を更に含有する請求項1に記載の粘着性樹脂組成物。
  3. (B)スルホン化ポリマーを更に含有する請求項1又は2に記載の粘着性樹脂組成物。
  4. 前記(B)スルホン化ポリマーが、
    (B−1)スルホン化共役ジエン系ポリマー及び(B−2)ポリスチレンスルホン酸の少なくともいずれかである請求項3に記載の粘着性樹脂組成物。
  5. 前記(A)粘着性樹脂が、
    前記(B)スルホン化ポリマーの存在下で(a)モノマーを重合して得られる樹脂である請求項3又は4に記載の粘着性樹脂組成物。
  6. 前記(A)粘着性樹脂が、
    (A−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を60〜100質量%の割合で含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着性樹脂組成物。
  7. 前記(A)粘着性樹脂100質量部に対する、前記(C−1)エポキシ化合物の含有量が、0.1〜15質量部である請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着性樹脂組成物。
  8. 前記(A)粘着性樹脂100質量部に対する、前記(D)4級アンモニウム化合物の含有量が、0.1〜15質量部である請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着性樹脂組成物。
  9. (B)スルホン化ポリマーの存在下、水系媒体中でラジカル重合開始剤を用いて(a)モノマーを重合させて(A)粘着性樹脂を得る工程(1)と、
    (C−1)エポキシ化合物、(D)4級アンモニウム化合物及び(F)リチウム含有化合物を添加する工程(2)と、を有する粘着性樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記工程(1)が、前記(B)スルホン化ポリマー及び前記(a)モノマーを、水系媒体中で、平均粒径20〜500nmとなるようにエマルジョン化させた後、前記(a)モノマーを重合させる工程である請求項9に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記工程(2)が、(E)含窒素化合物を更に添加する工程である請求項9又は10に記載の粘着性樹脂組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備える粘着性物品。
  13. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の粘着性樹脂組成物からなる粘着層を備え、
    前記粘着層の表面固有抵抗値(Ω/□)が1E+13以下であり、かつ前記粘着層の全光線透過率が70%以上である粘着シート。
  14. 40℃以下の温度条件において、
    前記粘着層で架橋反応が進行し得る請求項13に記載の粘着シート。
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