JP2007031201A - α型サイアロン粉末の製造方法及び蛍光体 - Google Patents

α型サイアロン粉末の製造方法及び蛍光体 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外LEDや青色LEDを光源とする白色LEDに好適な蛍光体のα型サイアロン粉末を再現性良く、安定して、多量に製造する方法を提供する
【解決手段】(M1)(M2)(Si、Al)12(O、N)16(M1はLi、Mg、Ca、Y及びランタニド金属(LaとCeを除く)からなる群から選ばれる1種以上の元素で、M2はCe、Pr、Eu、Tb、Yb及びErからなる群から選ばれる1種以上の元素で、0.3<X+Y<1.5、かつ0<Y<0.7)で示され、金属シリコンと、窒化アルミニウムと、M1含有化合物と、M2含有化合物と、必要に応じて、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、及びα型サイアロンからなる群から選ばれる1種以上と、からなる混合粉末を窒化性雰囲気中1300〜1550℃で加熱処理後、非反応性又は窒化性雰囲気中1600〜1900℃で加熱処理し、粉砕することを特徴とするα型サイアロン粉末の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、青色発光ダイオード(以下、青色LEDと記す。)又は紫外発光ダイオード(以下、紫外LEDと記す。)を光源とする白色発光ダイオード(以下、白色LEDと記す。)の蛍光体等に好適なα型サイアロン粉末の製造方法と、当該製造方法で得られたα型サイアロン粉末からなる蛍光体に関する。
蛍光体として、母体材料に酸化物、珪酸塩、リン酸塩、アルミン酸塩、硫化物を用い発光中心に遷移金属もしくは希土類元素を用いたものが広く知られている。
一方、白色LEDについては、紫外線もしくは青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて可視光を発する蛍光体が注目され、開発が進んでいる。しかしながら、前記した従来の蛍光体では、励起源に曝される結果として、蛍光体の輝度が低下するという問題がある。
このため、輝度低下が少ない蛍光体として、最近、結晶構造が安定で、励起光や発光を長波長側にシフトできる材料であることから、窒化物や酸窒化物蛍光体が注目されている。
窒化物、酸窒化物蛍光体として、特定の希土類元素が付活されたα型サイアロンは、有用な蛍光特性を有することが知られており、白色LED等への適用が検討されている(特許文献1〜5、非特許文献1参照)。
特開2002−363554号公報 特開2003−336059号公報 特開2003−124527号公報 特開2003−206481号公報 特開2004−186278号公報 J. W. H. van Krebel "On new rare−earth doped M−Si−Al−O−N materials"、TU Eindhoven,The Netherlands,p.145−161(1998)
α型サイアロンは、α型窒化ケイ素の固溶体であり、結晶格子内に特定の元素(Ca、並びにLi、Mg、Y、又はLaとCeを除くランタニド金属)が侵入固溶し、電気的中性を保つために、Si−N結合が部分的にAl−N結合とAl−O結合で置換される構造を有している。侵入固溶する元素の一部を発光中心となる希土類元素とすることにより蛍光特性が発現する。
一般的にα型サイアロンは、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、必要に応じて酸化アルミニウム、及び侵入固溶する元素の酸化物等からなる混合粉末を窒素中の高温で焼成することにより得られる。窒化ケイ素とアルミニウム化合物との比率と、侵入固溶させる元素の種類、並びに発光中心となる元素の割合等により、多様な蛍光特性が得られる。
ところで、現在まで得られている白色LEDは、発光効率が蛍光ランプに及ばないという事情がある。蛍光ランプよりも発光効率に優れるLED、特に白色LEDが産業上で省エネルギーや水銀フリーといった環境面から強く要求されている。
白色は、単色とは異なる複数の色の組み合わせが必要であり、一般的な白色LEDは、紫外LED又は青色LEDとそれらの光を励起源とし、可視光を発する蛍光体との組み合わせにより構成されている。従って、白色LEDの効率向上と共に、そこに用いられる蛍光体の効率向上、更には、発せられた光を外部に取り出す効率の向上が必要である。白色LEDの一般照明用まで含めた用途拡大のためには、これら全ての効率向上が必要である。
本発明は、α型サイアロン粉末を再現性良く安定して且つ多量に製造する方法を提供するとともに、紫外LEDや青色LEDを光源とする白色LEDの高効率化に好適な蛍光体を提供することを目的とする。
本発明者は、紫外LED又は青色LEDを光源とする白色LEDの蛍光体に利用できるα型サイアロン粉末の製造に関し実験的検討を行った。その結果、原料に高純度の金属シリコン粉末を使用し、それを合成の途中過程で窒化させ、α型サイアロンの骨格となるSi−N結合を形成させることにより、発光効率に優れる蛍光体が得られるとの知見を得て、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、一般式:(M1)(M2)(Si、Al)12(O、N)16(但し、M1はLi、Mg、Ca、Y及びランタニド金属(LaとCeを除く)からなる群から選ばれる1種以上の元素であり、M2はCe、Pr、Eu、Tb、Yb及びErからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、0.3<X+Y<1.5、かつ、0<Y<0.7)で示されるα型サイアロン粉末の製造方法であって、
(a)金属シリコンと、
(b)窒化アルミニウムと、
(c)M1含有化合物と、
(d)M2含有化合物と、
必要に応じて、
(e)酸化アルミニウム、
(f)窒化ケイ素、
及び(g)α型サイアロンからなる群から選ばれる1種以上と、
からなる混合粉末を窒化性の雰囲気中1300〜1550℃で加熱処理した後、更に、非反応性又は窒化性の雰囲気中1600〜1900℃で加熱処理した後、粉砕することを特徴とする。
また、本発明は、上記製造方法において、好ましくは、混合粉末中のFe、Ni、Co元素の合計が500ppm以下であり、更に好ましくは、混合粉末中のM1はCaであり、かつM1含有化合物の少なくとも一部がフッ化カルシウム(CaF)であることを特徴とする。
加えて、本発明は、上記製造方法によって得られたα型サイアロン粉末からなる蛍光体である。
本発明によれば、原料として高純度の金属シリコンを使用することにより、青色LEDや紫外LEDで発光し、しかも十分な発光効率を有する、良好な白色LED用を提供可能な蛍光体に適するα型サイアロン粉末を安定して、多量に提供できる特徴を有する。
α型サイアロンは、α型窒化ケイ素におけるSi−N結合の一部がAl−N結合及びAl−O結合に置換し、電気的中性を保つために、特定の陽イオンが格子内に侵入固溶した固溶体であり、一般式:M(Si、Al)12(O、N)16で表される。ここで、Mは格子内へ侵入可能な元素であり、Li、Mg、Ca、Y及びランタニド元素(LaとCeを除く)である。Mの固溶量Z値は、Si−N結合のAl−N結合及びAl−O結合の置換率により決まる数値である。
α型サイアロンに於いて、蛍光特性を発現させるためには、Mの一部を固溶可能で発光中心となる元素とする必要があり、可視光発光の蛍光体を得るためには、Ce、Pr、Eu、Tb、Yb、Erを使用することが好ましい。格子内に侵入固溶する元素の内、発光に寄与しない元素をM1、発光中心となる元素をM2とすると、一般式は、(M1)(M2)(Si、Al)12(O、N)16となる。ここで、α型サイアロン単相を得ると共に蛍光特性を発現させるためには、0.3<X+Y<1.5、かつ、0<Y<0.7の範囲にあることが好ましい。
一般的にα型サイアロンは、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び侵入固溶する元素の化合物からなる混合粉末を高温の窒素雰囲気中で加熱して反応させることにより得られる。
このうち、主成分である窒化ケイ素粉末の製造法の一つに金属シリコン粉末を窒素ガス又はアンモニアガス等を含む窒化性の雰囲気中で窒化し、その後解砕等により粉末状とする直接窒化法がある。
本発明者は、α型サイアロンの原料である窒化ケイ素粉末の一部を高純度の金属シリコンとすることにより、高純度のα型サイアロンを容易に得られ、そしてそれにより蛍光体として優れた発光特性を有するα型サイアロン粉末が安定して得られるという知見を得て、本発明に至ったものである。
本発明に使用する金属シリコンの不純物は合成後のα型サイアロンの純度に直接反映するため、純度99.5%以上の高純度のものが好ましい。不純物の中でも、Fe、Co、Niは蛍光体の発光特性を低下させる要因となるため、金属シリコン粉末を含め原料混合粉末全体でFe、Co、Ni元素の量を500ppm以下とすることが好ましい。
本発明に使用する金属シリコン粉末は、最大粒子径が45μm以下であることが好ましい。最大粒子径が45μm以下であれば、未反応の金属シリコンが残存したり、合成粉末中に粗大粒子を残すことがなく、好ましい。
α型サイアロンのシリコン源として、金属シリコンは、窒化ケイ素及び/又はサイアロン粉末と混合して使用することが好ましい。金属シリコンが窒化することにより、窒化ケイ素が生成する反応は、激しい発熱反応であるため、局所的な温度バラツキを生じたり、自己発熱により、窒化反応が暴走的に進行しやすいために、生成物の組成や粒子形態がバラツキやすくなるため、窒化時の温度や雰囲気の厳密な管理が要求されるため、製造上好ましくない。
また、窒化ケイ素及び/又はα型サイアロン粉末を骨材として混合した原料粉末を使用すると、金属シリコンの窒化反応を制御しやすくなるだけでなく、合成時のα型サイアロン粒子の焼結を極力抑えることができ、金属シリコンのみを使用した場合に比べ、合成物は易粉砕性に優れるという特徴も有している。
骨材として使用する窒化ケイ素及び/又はα型サイアロン粉末は、平均粒径が10μm以下、特に、窒化ケイ素粉末の場合は1μm以下が好ましい。これらの中の一部の粒子はサイアロン生成反応の核となり、粒成長が進行するが、平均粒径が10μm以下であれば、α型サイアロン粗大粒子を生成し難いので、好ましい。
純度としては、高純度のものが好ましく、この場合も原料混合粉末全体でFe、Co、Ni元素の量を500ppm以下とすることが好ましい。
骨材として使用する窒化ケイ素の結晶系はα型でもβ型(β型サイアロンも含む)でも両者の混合でも構わない。α型サイアロン粉末を骨材として使用する場合には、その固溶組成は必ずしも合成で目的とする組成と同じ必要ではない。しかしながら、α型サイアロンの生成及び粒成長は、高温で形成される液相を介して粒径差が駆動力となって大きな粒子が小さな粒子を吸収する形で進行するため、大きな粒子の組成は変化せず、小さな粒子は液相に溶解し、新たに生成するα型サイアロンに取り込まれるため、粒径により合成されるα型サイアロン組成への影響が異なるので原料配合上の注意が必要となる。従って、α型サイアロンを骨材として使用する場合には、高温で液相に溶解しがたい0.5μm以上の粉末を使用することが、組成制御の観点から好ましい。
金属シリコンと骨材の配合比は、90:10(質量比)〜20:80(質量比)が好ましい。骨材が10質量%以上であれば、窒化反応制御や粒子間焼結の抑制が十分に行われるし、骨材量が80質量%以下であればと金属シリコンの効果が確実に得ることができる。
前記原料混合粉末を所定の容器に充填し、金属シリコンの窒化処理を行う。使用する容器としては、原料粉末や合成したα型サイアロン粉末との反応性が低い六方晶窒化ホウ素質のものが好ましい。原料混合粉末の容器への充填は、粉末状、顆粒状、或いはそれらの成形物のいずれの状態であっても構わないが、嵩高く充填すればするほど、金属シリコンの窒化反応が速やかに進行するとともに、合成したα型サイアロン粒子間の焼結が抑えられるので好ましい。
金属シリコンの窒化処理は、窒素やアンモニアを含有する窒化性雰囲気中1300〜1550℃で行うことが好ましい。1300℃未満では、反応速度が遅いために未窒化の金属シリコンが残存し、1550℃を越えると粗大粒子の生成量が増加するので好ましくない。窒化処理を行うに当たって、前記範囲の所定の温度で所定時間保持しても良いし、前記温度範囲を例えば1℃/分以下の緩やかな速度で昇温しても構わず、1550℃以下で金属シリコンの窒化処理を完了させることが肝要である。また、窒化が完了して生成した窒化ケイ素の結晶系はα型でもβ型でも両者の混合のいずれでも構わない。
前記の窒化処理粉末を窒素含有不活性雰囲気中1600〜1900℃の温度範囲で加熱することによりα型サイアロンを得る。この場合、雰囲気中の窒素分圧は窒化ケイ素又はサイアロンが分解しない範囲にする必要があり、純窒素雰囲気で、大気圧下では1800℃までの加熱が可能であり、0.8MPa以上の加圧雰囲気とすることにより、1900℃までの加熱が可能である。合成温度が1600℃よりも低いと、所望のα型サイアロン粉末の生成に長時間の加熱を要し、実用的でない。また、蛍光体として機能しない未反応物の残留量が多くなり、好ましくない。また、1900℃よりも高いと合成したα型サイアロン粒子間の焼結が著しく進行し、粉体化のためには過酷な粉砕が必要となり、好ましくない。また、この操作は先の操作と続けて行うのが生産効率上好ましいが、必ずしも続けて操作しなければならない理由はない。
更に、この様にして合成したα型サイアロンを粉砕処理してα型サイアロン粉末を製造する。上記合成後のα型サイアロンは塊状なので、この塊状のα型サイアロンを粉砕処理、分級処理などの各処理工程を組み合わせて所定の粒径のα型サイアロン粉末にする。この様にして製造したα型サイアロン粉末は、種々の用途に用いることができる。尚、塊状のα型サイアロンは強度的に高くなく、おだやかな条件下での粉砕処理、いわゆる解砕処理、で十分な場合が多いし、後述する理由で解砕操作が好ましい。
上記α型サイアロン粉末を白色LED用蛍光体に使用する場合、その粒度は0.1〜45μmの範囲に全粒子が含まれていることが好ましい。粒子径が0.1μm未満の粒子は、必然的に結晶が破壊している粒子の割合が高くなるとともに、光を散乱しやくすなり、効率よく蛍光体粒子に光を吸収できなくなるために好ましくない。粒子径が45μmを越える粒子はLEDを封止する樹脂への分散性が悪くなり、製造される白色LEDの発光強度及び色調のバラツキを生じやすくなるために好ましくない。
本発明では、α型サイアロンの結晶格子内に固溶する元素の内、M1にCaを用いると、α型サイアロン構造が幅広い組成範囲で安定化され、β’相への転移が起こりにくく、単相材料が得やすく好ましい。
Ca含有化合物としては、炭酸カルシウムや水酸化カルシウム等が挙げられるが、その少なくとも一部にフッ化カルシウムを使用すると発光特性の優れた蛍光体を得やすくなる。
前記理由については不明な部分が多いが、発明者は、以下のように推察している。
即ち:フッ化カルシウムは、まず金属シリコンの窒化触媒として作用し、金属シリコンを均一に窒化させる。その後、フッ化カルシウムは、他の原料粉末及び窒化ケイ素や窒化アルミニウムの表面酸化物により形成される液相中に溶解する。この液相を介してα型サイアロンの核生成が起こるが、フッ素の存在のために液相中の物質の拡散が抑制され、生成する核の数はフッ素が存在しない場合に比べ、著しく少なくなる。その後の加熱処理により、フッ素成分が揮発し、液相中での物質の拡散が急激に促進され、少数のα型サイアロン核が急激に成長し、一次粒子が数μm以上の発光特性に優れるα型サイアロンが得られる。この様にして製造されるα型サイアロンは、解砕程度の粉砕で容易に蛍光体として好適な粒度とすることができる。
本発明で、α型サイアロンの結晶格子内に固溶する元素の内、M2にEuを用いると、200〜500nmの波長を持つ紫外線又は可視光を励起源として照射することにより、550〜600nmの範囲の波長域にピークを持つ黄〜橙色蛍光体となり、青色LEDと組み合わせる白色を得る白色LEDの好適な蛍光体となる。
以下、実施例、比較例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)原料シリコン粉末として、半導体製造用の単結晶シリコンを粉砕し、目開き45μmの篩を通過したものを使用した。その他の原料粉末として、電気化学工業(株)社製α型窒化ケイ素粉末(9FWグレード)、トクヤマ(株)社製窒化アルミニウム粉末(Fグレード)、関東化学(株)社製炭酸カルシウム粉末(試薬特級)、和光純薬(株)社製フッ化カルシウム粉末(試薬特級)、信越化学工業(株)社製酸化ユーロピウム粉末(RUグレード)を用いて、Ca0.8Eu0.05Si9.45Al2.5515.150.85の組成になる様に配合した。シリコン粉末と窒化ケイ素の配合比は、60:40質量%となる様に、炭酸カルシウムとフッ化カルシウムの配合比は70:30質量%となる様に配合した。尚、配合を計算するに際して、フッ化カルシウム中のフッ素は合成過程で全て揮発し、酸化ユーロピウム原料のユーロピウムが合成時に三価から二価へ変化して固溶すると仮定し、酸素不足分は電気化学工業(株)社製二酸化ケイ素粉末(UFP−30グレード)で補った。
配合した原料粉末をメタノールを溶媒として、プラスチック製ポットと窒化ケイ素質ボールを用いて、湿式ボールミル混合を行い、ロータリーエバポレータによる溶媒除去を行い、混合粉末を得た。混合粉末を加圧フッ酸分解法により溶解させた後、ICP分析により求めたFe、Co、Niの合計は300ppmであった。
前記混合粉末約20gを内径60mm、高さ50mmの十分に緻密な窒化ホウ素質るつぼ(電気化学工業(株)社製、N−1グレード)に充填し、カーボンヒーターの電気炉内において、大気圧窒素雰囲気中、室温から1200℃までを20℃/分で、1200〜1450℃を0.5℃/分で昇温し、1450℃で4時間保持した後、1700℃まで5℃/分で昇温し、1700℃で10時間保持を行った。得られた試料は、瑪瑙乳鉢を用いた軽い解砕により、目開き45μmの篩を全量通過した。
上記操作で得られた粉末に対して、X線回折(XRD)法による結晶相の同定を行った。また、コールター社製「LS−230型」を用い、レーザー回折散乱法による粒度分布測定を行った。更に、日立ハイテクノロジーズ社製分光蛍光光度計「F−4500」を用いて、青色光励起(波長460nm)における蛍光スペクトルを測定し、スペクトルのピーク強度とピーク波長を求めた。尚、ピーク強度は測定装置や条件によって変化するため、単位は任意単位であり、同一条件で測定した実施例及び比較例での比較を行った。
XRD測定の結果、合成粉末の結晶相は全てα型サイアロン単相であった。平均粒径は、11μmであり、全粒子が0.1〜45μmの範囲内に存在していた。波長460nmの青色光で励起するとピーク波長588nmの黄橙色発光を示した。結果を表1に示す。
Figure 2007031201
(比較例1)窒化ケイ素源として、全てをシリコン粉末とした以外は、実施例1と同様の手法、手順に基づいて行った。但し、合成後のα型サイアロンは強固な塊状物となっていたため、全量が目開き45μmの篩を通過するまで、瑪瑙乳鉢を用い、粉砕処理を行った。
XRD測定の結果、合成粉末の結晶相は全てα型サイアロン単相であった。平均粒径は、23μmであり、45μmを越える粒子が10体積%存在するとともに、微粉量も多く、実施例1に比べ、著しく粒度分布が広くなった。発光スペクトルのピーク波長は586nmであったが、発光強度は実施例1の約70%であった。
(比較例2)原料粉末として、電気化学工業(株)社製α型窒化ケイ素粉末(9Sグレード)、トクヤマ(株)社製窒化アルミニウム粉末(Fグレード)、関東化学(株)社製炭酸カルシウム粉末(試薬特級)、和光純薬(株)社製フッ化カルシウム粉末(試薬特級)、信越化学工業(株)社製酸化ユーロピウム粉末(RUグレード)を用いて、Ca0.8Eu0.05Si9.45Al2.5515.150.85の組成になる様に配合した。炭酸カルシウムとフッ化カルシウムの配合比は70:30質量%となる様に配合した。配合計算において、フッ素やユーロピウムは実施例1と同様に取り扱った。
配合した原料粉末を実施例1と同様の操作で混合を行った結果、Fe、Co、Ni不純物の合計は2200ppmであった。この混合粉末を実施例1と同様の加熱処理を行った。但し、1450℃での保持は行わず、1200〜1700℃は5℃/minで昇温した。得られた試料は、瑪瑙乳鉢を用いた軽い解砕により、目開き45μmの篩を全量通過した。
XRD測定の結果、合成粉末の結晶相は全てα型サイアロン単相であった。平均粒径は、16μmであり、全粒子が0.1〜45μmの範囲内に存在していた。波長460nmは584nmであったが、発光強度は実施例1の約60%であった。
本発明のα型サイアロン粉末の製造方法は、原料として高純度の金属シリコンを使用することにより、青色LEDや紫外LEDで発光し、しかも十分な発光効率を有する、良好な白色LED用を提供可能な蛍光体に適するα型サイアロン粉末を安定して、多量に提供できる特徴を有するので、産業上非常に有用である。
本発明の蛍光体は、十分な発光効率し、青色LEDや紫外LEDで発光する良好な白色LEDを提供できるので、産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. 一般式:(M1)(M2)(Si、Al)12(O、N)16(但し、M1はLi、Mg、Ca、Y及びランタニド金属(LaとCeを除く)からなる群から選ばれる1種以上の元素であり、M2はCe、Pr、Eu、Tb、Yb及びErからなる群から選ばれる1種以上の元素であり、0.3<X+Y<1.5、かつ、0<Y<0.7)で示されるα型サイアロン粉末の製造方法であって、
    (a)金属シリコンと、
    (b)窒化アルミニウムと、
    (c)M1含有化合物と、
    (d)M2含有化合物と、
    必要に応じて、
    (e)酸化アルミニウム、
    (f)窒化ケイ素、
    及び(g)α型サイアロンからなる群の1種以上と、
    からなる混合粉末を窒化性の雰囲気中1300〜1550℃で加熱処理した後、更に、非反応性又は窒化性の雰囲気中1600〜1900℃で加熱処理した後、粉砕することを特徴とするα型サイアロン粉末の製造方法。
  2. 前記混合粉末中のFe、Ni、Co元素の合計が500ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のα型サイアロン粉末の製造方法。
  3. 前記混合粉末中のM1はCaであり、かつM1含有化合物の少なくとも一部がCaFであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のα型サイアロン粉末の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のα型サイアロン粉末の製造方法で得られたα型サイアロン粉末からなる蛍光体。
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