JP2007027575A - 磁気抵抗効果素子および磁気メモリ - Google Patents
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Abstract
【課題】 低消費電力、低電流書き込みで動作し、信頼性の高い磁気抵抗効果素子および磁気メモリを提供することを可能にする。
【解決手段】 少なくとも2つの磁性層101、103と、磁性層間に設けられた非磁性層102とを有し磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層10と、磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層8と、トンネルバリア層の磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層6と、磁化自由層のトンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層12と、非磁性金属層の磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層14と、を備え、第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に同じであって、非磁性金属層はCu、Ag、Auのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、磁化自由層の非磁性層はRu、Rh、Irのいずれかか、またはそれらの合金からなっているている。
【選択図】 図1
【解決手段】 少なくとも2つの磁性層101、103と、磁性層間に設けられた非磁性層102とを有し磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層10と、磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層8と、トンネルバリア層の磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層6と、磁化自由層のトンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層12と、非磁性金属層の磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層14と、を備え、第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に同じであって、非磁性金属層はCu、Ag、Auのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、磁化自由層の非磁性層はRu、Rh、Irのいずれかか、またはそれらの合金からなっているている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、磁気抵抗効果素子および磁気メモリに関する。
磁性体膜を用いた磁気抵抗効果素子は、磁気ヘッド、磁気センサーなどに用いられているとともに、固体磁気メモリ(磁気抵抗効果メモリ:MRAM(Magnetic Random Access Memory))に用いることが提案されている。
近年、2つの強磁性層の間に1層の誘電体を挿入したサンドイッチ構造膜を有し、膜面に対して垂直に電流を流し、トンネル電流を利用した磁気抵抗効果素子として、いわゆる「トンネル磁気抵抗効果素子(Tunneling Magneto-Resistance effect:TMR素子)」が提案されている。TMR素子においては、20%以上の磁気抵抗変化率が得られるようになったことから、MRAMへの民生化応用技術開発が盛んに行われている。
このTMR素子は、強磁性層上に0.6nm〜2.0nm厚の薄いAl(アルミニウム)層を成膜した後、その表面を酸素グロー放電または酸素ガスに曝すことによって、Al2O3からなるトンネルバリア層を形成することにより、実現できる。
また、この強磁性1重トンネル接合のトンネルバリア層を挟む一方の強磁性層に反強磁性層を付与して磁化固定層とした構造を有する強磁性1重トンネル接合が提案されている。また、誘電体中に分散した磁性粒子を介した強磁性トンネル接合や、強磁性膜が連続膜である強磁性2重トンネル接合も提案されている。
これら磁気抵抗効果素子においても、20%〜50%の磁気抵抗変化率が得られるようになったこと、および所望の出力電圧値を得るためTMR素子に印加する電圧値を増やしても磁気抵抗変化率の減少が抑えられることから、MRAMへの応用の可能性がある。
これら強磁性1重トンネル接合あるいは強磁性2重トンネル接合を用いた磁気記録素子は、不揮発性で、書き込み読み出し時間も10ナノ秒以下と速く、書き換え回数も1015以上というポテンシャルを有する。特に、強磁性2重トンネル接合を用いた磁気記録素子は、上述したように、所望の出力電圧値を得るため強磁性トンネル接合素子に印加する電圧値を増やしても磁気抵抗変化率の減少が抑えられるため、大きな出力電圧が得られ、磁気記録素子として好ましい特性を示す。
しかし、磁気記録層への書きこみ時には電流パルスによる電流磁場で反転を行っているため、消費電力が大きく、大容量化したとき配線の許容電流密度に限界があり大容量化できない。また、電流を流す絶対値が1mA以下、DRAMとの代替のためには0.2mA以下でないと電流を流すためのドライバの面積が大きくなり、他の不揮発性固体磁気メモリ、例えば、強誘電体キャパシタを用いた強誘電体メモリ(Ferro-electric Random Access Memory)やフラッシュメモリなどと比較した場合チップサイズが大きくなって競争力が無くなってしまうなどの問題が有る。
上記の問題に対し、書込配線の周りに高透磁率磁性材料からなる薄膜を設けた固体磁気記憶装置が提案されている。これらの磁気記憶装置によれば、配線の周囲に高透磁率磁性膜が設けられているため、磁気記録層への情報書込に必要な電流値を効率的に低減できる。
しかしながら、高透磁率磁性膜を用いても、書き込み電流値を1mA以下にすることは非常に困難であった。
これら課題を解決するために、スピン注入法による書き込み方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このスピン注入法は、スピン偏極した電流を、メモリ素子の磁気記録層に注入することによって磁気記録層の磁化の向きを反転することを利用している。
しかし、スピン注入法をTMR素子に応用した場合、トンネル絶縁膜がブレークダウンする等の素子破壊の問題があり、素子の信頼性に問題があった。
このため、スピン注入法を用いて書き込みを行っても、素子破壊の無い程度の書き込み時の電流密度を小さくかつ熱揺らぎ耐性を有し、隣接セルとの相互作用が小さい新しい磁気抵抗効果素子およびスピンメモリの材料および構造,アーキテクチャを提供する必要があった。
米国特許第6,256,223号明細書
以上説明したように、低消費電力、低電流書き込みで動作し、素子破壊が無く信頼性が高く、熱揺らぎ耐性を有し、かつ隣接セルとの相互作用が小さい新しい磁気抵抗効果素子およびスピンメモリの材料および構造,アーキテクチャが必要とされる。
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、低消費電力、低電流書き込みで動作し、信頼性の高い磁気抵抗効果素子およびこれを用いた磁気メモリを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による磁気抵抗効果素子は、少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、を備え、前記第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に同じであって、前記非磁性金属層はCu、Ag、Auのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、前記磁化自由層の非磁性層はRu、Rh、Irのいずれかか、またはそれらの合金からなっていることを特徴とする。
また、本発明の第2の態様による磁気抵抗効果素子は、少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、を備え、前記第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に反対であって、前記非磁性金属層はRu、Rhのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、前記磁化自由層の非磁性層はRh、Ruのいずれかか、またはそれらの合金からなっていることを特徴とする。
なお、前記磁化自由層の磁性層間の層間結合エネルギーJEXは、0.5erg/cm2より大きことが好ましい。
また、本発明の第3の態様による磁気抵抗効果素子は、少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、を備え、前記磁化自由層の磁性層間の層間結合エネルギーJEXは、0.5erg/cm2より大きいことを特徴とする。
なお、前記非磁性金属層は前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面に部分的に設けられ、前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面の前記非磁性金属層が設けられていない部分に設けられた誘電体層を更に備え、前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層および前記誘電体層それぞれの前記磁化自由層とは反対側の面を覆うように設けられていてもよい。
なお、前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面と実質的に同一面上にあってもよい。
なお、前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面よりも前記トンネルバリア層と前記磁化自由層との界面から遠くてもよい。
なお、前記誘電体層の前記磁化自由層との界面は、前記非磁性金属層の前記磁化自由層との界面よりも前記トンネルバリア層と前記磁化自由層との界面に近くてもよい。
なお、前記誘電体層の前記磁化自由層との界面は、前記非磁性金属層の前記磁化自由層との界面よりも前記トンネルバリア層と前記磁化自由層との界面に近くてもよい。
なお、前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面に部分的に設けられた誘電体層を更に備え、前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面および前記誘電体層の前記非磁性金属層とは反対側の面を覆うように設けられていてもよい。
なお、前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面と実質的に同一面上にあってもよい。
なお、前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面に部分的に設けられた誘電体層を更に備え、前記非磁性金属層は前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面の前記誘電体層が設けられていない部分に設けられるとともに前記誘電体層の前記磁化自由層とは反対側の面を覆うように設けられ、前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面に設けられていてもよい。
なお、前記誘電体層の前記磁化自由層との界面は、前記非磁性金属層の前記磁化自由層との界面と実質的に同一面上にあってもよい。
なお、前記第1および第2磁化固着層の少なくとも一方が磁性層/非磁性層/磁性層の3層構造、または磁性層/非磁性層/磁性層/非磁性層/磁性層の5層構造のいずれかからなっていてもよい。
なお、前記第1および第2磁化固着層の少なくとも一方に反強磁性膜が接していてもよい。
また、本発明の第4の態様による磁気メモリは、上記のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を有するメモリセルと、前記磁気抵抗効果素子の一端が電気的に接続される第1配線と、前記磁気抵抗効果素子の他端が接続される第2配線と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第5の態様による磁気メモリは、上記のいずれかに記載の第1および第2磁気抵抗効果素子を有するメモリセルと、前記第1および第2磁気抵抗効果素子のそれぞれの一端とそれぞれ接続される第1配線と、前記第1磁気抵抗効果素子の他端と電気的に接続される第2配線と、前記第2磁気抵抗効果素子の他端と電気的に接続される第3配線と、を備え、前記第1配線から前記第2配線に向かう方向の前記第1磁気抵抗効果素子の層配置は、前記第1配線から前記第3配線に向かう方向の前記第2磁気抵抗効果素子の層配置と逆となっていることを特徴とする。
なお、一端が前記第2配線に接続される第1読み出しトランジスタと、一端が前記第3配線に接続される第2読み出しトランジスタと、前記第1読み出しトランジスタの他端と前記第2読み出しトランジスタの他端に接続される差動増幅回路と、を備えていてもよい。
本発明によれば、低消費電力、低電流書き込みで動作し、信頼性の高い磁気抵抗効果素子および磁気メモリを提供することができる。
本発明の実施形態を以下、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本発明の原理を説明する。
反強磁性層と、反強磁性層上に設けられた磁化固着層と、磁化固着層上に設けられたトンネルバリア層と、トンネルバリア層上に設けられ第1磁性層/非磁性層/第2磁性層の積層膜を有する磁気記録層(磁化自由層)と、磁気記録層上に設けられた非磁性金属層とを備えたTMR素子を、3種類作製した。これらのTMR素子の磁気記録層は、第1磁性層と第2磁性層が非磁性層を介して反強磁性結合しており、シンセティックな反強磁性結合の磁化自由層となっている。
作製されたTMR素子は、反強磁性層がIrMn(12nm)、磁化固着層がCo90Fe10(3nm)、トンネルバリア層がAlOx(1.4nm)、磁気記録層がCo90Fe10(3nm)/Ru/Co90Fe10(5nm)、非磁性金属層がRuからなっている。なお、括弧内の数値は膜厚を示している。そして、磁気記録層のRu層の膜厚が0.95nm、1.05nm、1.15nmの3種類を作製するとともに、さらにそれぞれの種類に対して接合面積が異なるものも作製した。それぞれの接合面積を測定したところ0.28μm2、0.39μm2、0.52μm2、0.67μm2であった。
なお、上記作製された3種類のTMR素子は、以下の構成となっている。
1) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(0.95nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
2) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(1.05nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
3) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(1.15nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
1) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(0.95nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
2) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(1.05nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
3) IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru(1.15nm)/Co90Fe10(5nm)/Ru
これらのTMR素子の上部に別途設けた配線に電流を流して磁界を発生させ、それぞれのTMR素子のMR特性を測定した。そして、これらのMR特性のスイープレート依存性から磁性層の磁気的エネルギーと熱エネルギーとの比である熱擾乱耐性定数(KuV/kBT)を求め、さらに熱擾乱耐性定数の接合面積依存性を求めた。この結果を図3に示す。ここで、Kuは磁性層の磁気異方性エネルギー密度、Vは磁性層の体積、kBはボルツマン定数、Tは磁性層の絶対温度である。
また、磁気記録層のRu層の膜厚が異なっている上記3種類のTMR素子の第1および第2磁性層間の相互作用の強さである層間交換結合エネルギーJEXを計算し、磁気異方性エネルギー密度Kuの層間交換結合エネルギーJEXの依存性を求めた。この結果を図4に示す。
また、比較例として磁気記録層が単層であるTMR素子も作製した。この比較例のTMR素子は、以下の構成となっている。
4)IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru
なお、この比較例も上述のTMR素子と同様に測定されて求められ、その結果が図3および図4に示されている。
4)IrMn(12nm)/Co90Fe10(3nm)/AlOx(1.4nm)/Co90Fe10(3nm)/Ru
なお、この比較例も上述のTMR素子と同様に測定されて求められ、その結果が図3および図4に示されている。
図3および図4の結果から明らかなように、シンセティックな反強磁性結合の第1磁性層/非磁性層/第2磁性層の積層構造を有する磁気記録層間の相互作用の強さがJex>0.5erg/cm2であると微細化したときの熱擾乱耐性が良くなる。このため、微細化したとき熱揺らぎにより素子情報が消去されるのを防ぐことができる。
また、シンセティックな反強磁性結合構造の磁気記録層を用いると、隣接するメモリセル間の距離が0.1μmを切ったときも隣接するメモリセルからの漏れ磁場による誤動作が無くなると言うメリットがあることが分かった。
以上のことにより、本発明の各実施形態は、シンセティックな反強磁性結合構造の磁気記録層を有する磁気抵抗効果素子およびこの磁気抵抗効果素子を有する磁気メモリに関するものである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果素子を図1に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1は、下地層2上に設けられた反強磁性層4と、反強磁性層4上に設けられ磁化(スピン)の向きが固着された第1磁化固着層6と、磁化固着層上に設けられたトンネルバリア層8と、トンネルバリア層上に設けられ磁化の向きが可変でかつシンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層(磁化自由層)10と、磁気記録層10上に設けられた非磁性金属層12と、非磁性金属層12上に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層14と、第2磁化固着層14上に設けられた反強磁性層16と、反強磁性層16上に形成された金属ハードマスクまたは金属保護膜18とを備えており、スピン偏極した電流を流すことにより、磁気記録層の磁化の向きを反転させる。
本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果素子を図1に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1は、下地層2上に設けられた反強磁性層4と、反強磁性層4上に設けられ磁化(スピン)の向きが固着された第1磁化固着層6と、磁化固着層上に設けられたトンネルバリア層8と、トンネルバリア層上に設けられ磁化の向きが可変でかつシンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層(磁化自由層)10と、磁気記録層10上に設けられた非磁性金属層12と、非磁性金属層12上に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層14と、第2磁化固着層14上に設けられた反強磁性層16と、反強磁性層16上に形成された金属ハードマスクまたは金属保護膜18とを備えており、スピン偏極した電流を流すことにより、磁気記録層の磁化の向きを反転させる。
第1磁化固着層6は反強磁性層4との交換結合力によって磁化の向きが固着され、第2磁化固着層14は反強磁性層16との交換結合力によって磁化の向きが固着されている。また本実施形態においては、第1磁化固着層6と第2磁化固着層14の磁化の向きが実質的に平行となっている。なお、ここで「磁化の向きが平行である」とは「磁化の向きが同じである」ことを意味する。また、「磁化の向きが反平行である」とは「磁化の向きが逆である」ことを意味する。
また、シンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層10は、磁性層101と磁性層103との層間結合エネルギーJEXは0.5erg/cm2より大きくなっている。したがって、本実施形態の磁気抵抗効果素子1は、熱擾乱耐性を有しているほか、メモリセルに用いた場合には隣接するメモリセル間の相互作用も小さく誤動作が小さい。
また、本実施形態においては、非磁性金属層12としてCu、Ag、Auのいずれかか、またはそれら合金が用いられる。この場合に、スピン注入、すなわちスピン偏極した電流を流すことによりデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となり、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできることを本発明者は見出した。
また、磁気記録層10の非磁性層102としては磁性層101、103の反射効果が小さく磁性層101、103間の相互作用が小さいRu、Rh、Irまたはそれら合金が用いられるが、Ruを用いることがより好ましい。
一般的に、磁化固着層/非磁性層/磁気記録層が積層された通常のGMR素子、および磁化固着層/トンネルバリア層/磁気記録層が積層された通常のトンネル接合素子のスピン注入書き込み原理は、以下に示す通りである。
a)磁化固着層、磁気記録層のスピンモーメントを反平行→平行へスピン反転させる場合;
磁化固着層側から電子を注入し、磁化固着層でスピン偏極した電子がトンネルバリア層(または非磁性層)をトンネルし、磁気記録層へスピントルクを及ぼし、磁気記録層のスピンが反平行→平行へ反転する。
磁化固着層側から電子を注入し、磁化固着層でスピン偏極した電子がトンネルバリア層(または非磁性層)をトンネルし、磁気記録層へスピントルクを及ぼし、磁気記録層のスピンが反平行→平行へ反転する。
b)磁化固着層、磁気記録層のスピンモーメントを平行→反平行へスピン反転させる場合;
磁気記録層側から電子を注入し、磁気記録層でスピン偏極した電子がトンネルバリア層をトンネルする。その際、磁化固着層のスピンの方向と同じスピンの方向を持つ電子はトンネル確率が高く容易にトンネルするが、反平行のスピンは反射される。磁気記録層へ反射してきた電子は、磁気記録層へスピントルクを及ぼし、磁気記録層のスピンが平行→反平行へ反転する。
磁気記録層側から電子を注入し、磁気記録層でスピン偏極した電子がトンネルバリア層をトンネルする。その際、磁化固着層のスピンの方向と同じスピンの方向を持つ電子はトンネル確率が高く容易にトンネルするが、反平行のスピンは反射される。磁気記録層へ反射してきた電子は、磁気記録層へスピントルクを及ぼし、磁気記録層のスピンが平行→反平行へ反転する。
この時に必要な電流は以下の式で書き表すことができる。
反平行→平行の場合;
IcP =eαMAt[H−Hk−2πM]/hg(π)
平行→反平行の場合;
IcAP=eαMAt[H+Hk+2πM]/hg(0)
ここで、eは電気素量、αはGilbert damping parameter、Mは磁化、Atは磁気記録層の体積、Hは磁場、Hkは異方性定数、hはPlank定数である。g(0)、g(π)は、磁化固着層/非磁性層界面でのスピン依存性を示す値で、次式で与えられる。
g(θ)=[−4+(1+p)3(3+cosθ)/4p3/2]−1
ここで、pはスピン偏極率である。この式より、g(π)>g(0)であるため、一般に、反平行→平行にスピン反転させる場合の電流IcPの方が、平行→反平行にスピン反転させる場合の電流IcAPに比べて小さい。
反平行→平行の場合;
IcP =eαMAt[H−Hk−2πM]/hg(π)
平行→反平行の場合;
IcAP=eαMAt[H+Hk+2πM]/hg(0)
ここで、eは電気素量、αはGilbert damping parameter、Mは磁化、Atは磁気記録層の体積、Hは磁場、Hkは異方性定数、hはPlank定数である。g(0)、g(π)は、磁化固着層/非磁性層界面でのスピン依存性を示す値で、次式で与えられる。
g(θ)=[−4+(1+p)3(3+cosθ)/4p3/2]−1
ここで、pはスピン偏極率である。この式より、g(π)>g(0)であるため、一般に、反平行→平行にスピン反転させる場合の電流IcPの方が、平行→反平行にスピン反転させる場合の電流IcAPに比べて小さい。
これに対して、本実施形態による磁気抵抗効果素子1は、磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10を挟むように、磁気記録層10の一方の側にトンネルバリア層8を介して第1磁化固着層6が、他方の側に非磁性金属層12を介して第2磁化固着層14が設けられた構成となっている。
このため、本実施形態においては、第1磁化固着層6、トンネルバリア層8、磁気記録層10間の抵抗は、磁気記録層10、非磁性金属層12、第2磁化固着層14間の抵抗値に比べ大きくなり、第1磁化固着層6、トンネルバリア層8、磁気記録層10間のスピンの相対的な向きで抵抗値の変化が決まることになる。
本実施形態において、第1磁化固着層6と、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントを反平行→平行へ、磁気記録層10の非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントを平行→反平行へスピン反転させる場合、第1磁化固着層6側から磁気記録層10へ電子を注入する。この場合、第1磁化固着層6で第1磁化固着層6の磁化の向きと同じ向きにスピン偏極した電子がトンネルバリア層8をトンネルし、磁気記録層10へスピントルクを及ぼす。さらに、反強磁性結合した磁性層101/非磁性層102/磁性層103を有する磁気記録層10から非磁性金属層12を介して第2磁化固着層14に電子が注入される。このとき、磁性層101のスピンモーメントが第1磁化固着層6のスピンモーメントに対して反平行の間は、第2磁化固着層14と磁気記録層10の磁性層103とのスピンモーメントが平行のため、非磁性金属層12として上記したもの(Cu、Ag、Auのいずれかか、またはこれらの合金)を選択することにより、第2磁化固着層のスピンモーメントの向きと反平行のスピンモーメントを有する電子は第2磁化固着層14によって反射されて磁気記録層10へスピントルクを及ぼす。これにより、磁気記録層10においては、第1磁化固着層6のスピンモーメントに対してトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントは反平行→平行へ、非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントは平行→反平行へ反転する。これら2つのスピントルクにより、磁気記録層が単層である通常のTMR素子に比べてスピン注入の電流値は著しく低下する。
また、本実施形態において、第1磁化固着層6と、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントを平行→反平行へ、磁気記録層10の非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントを反平行→平行へ反転する場合、第2磁化固着層14から磁気記録層10へ電子を注入する。この場合、第2磁化固着層14でスピン偏極した電子が非磁性金属層12を通過して磁気記録層10へ流れスピントルクを及ぼす。このとき、スピン偏極した電子はトンネルバリア層8をトンネルして第1磁化固着層6へ流れようとするが、トンネルバリア層8をトンネルする際、第1磁化固着層6のスピンモーメントの向きと同じスピンモーメントの向きを持つ電子はトンネル確率が高く容易にトンネルするが、反平行のスピンモーメントの向きを有する電子は反射される。磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10へ反射してきた電子は、磁気記録層10へスピントルクを及ぼし、この2つのスピントルクにより、磁気記録層10のスピンモーメントが逆方向へ反転する。この場合も、磁気記録層が単層である通常のTMR素子に比べてスピン注入の電流値は著しく低下する。
したがって、本実施形態による磁気抵抗効果素子にスピン注入を行うことにより低消費電力でデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となるとともに、磁気記録層が単層の通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気抵抗効果素子を得ることができる。
なお、第1実施形態において、非磁性金属層12をトンネルバリア層で置き換えても良い。
また、本実施形態においては、第1磁化固着層6と第2磁化固着層14のスピンモーメントの向きは実質的に平行になっていたが、第1および第2磁化固着層6、14からの漏れ磁場をなくすために、図2に示す変形例の磁気抵抗効果素子1Aのように、第1磁化固着層6に磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる3層積層膜を用い、第2磁化固着層14に磁性層141/非磁性層142/磁性層143からなる3層積層膜を用いることがより好ましい。この構造を用いると磁化固着層6、14の磁化の固着が強く磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリセルに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による磁気抵抗効果素子を図5に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Bは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗効果素子1において、第2磁化固着層14を第2磁化固着層15に置き換えるとともに、非磁性金属層12をRuまたはRhからなるように構成したものである。第2磁化固着層15は非磁性金属層12側に設けられた磁性層151と、磁性層151上に設けられた非磁性層152と、非磁性層152上に設けられた磁性層153とを備えている。そして、磁性層151の磁化の向きと第1磁化固着層6の磁化の向きは実質的に反平行となっている。
次に、本発明の第2実施形態による磁気抵抗効果素子を図5に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Bは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗効果素子1において、第2磁化固着層14を第2磁化固着層15に置き換えるとともに、非磁性金属層12をRuまたはRhからなるように構成したものである。第2磁化固着層15は非磁性金属層12側に設けられた磁性層151と、磁性層151上に設けられた非磁性層152と、非磁性層152上に設けられた磁性層153とを備えている。そして、磁性層151の磁化の向きと第1磁化固着層6の磁化の向きは実質的に反平行となっている。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、シンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層10は、磁性層101と磁性層103との層間結合エネルギーJEXは0.5erg/cm2より大きくなっている。したがって、本実施形態の磁気抵抗効果素子1Bは、熱擾乱耐性を有しているほか、メモリセルに用いた場合には隣接するメモリセル間の相互作用も小さく誤動作が小さい。
また、本実施形態においては、非磁性金属層12としてRu、Rhのいずれかか、またはそれら合金が用いられる。この場合に、スピン注入、すなわちスピン偏極した電流を流すことにより情報“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となり、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。
また、磁気記録層10の非磁性層102としては磁性層101、103の反射効果が小さく磁性層101、103間の相互作用が小さいRu、Rhのいずれかか、またはそれら合金が用いられるが、Rhを用いることがより好ましい。
本実施形態の場合、非磁性金属層12としてRu、Rhのいずれかか、またはそれらの合金を用いているので、Cu、Ag、Auのいずれかか、またはそれらの合金を用いた第1実施形態に比べて、反射する伝導電子のスピンモーメントの向きが反対になる。すなわち第2磁化固着層によって反射される電子のスピンモーメントの向きは、第2磁化固着層の磁化の向きと同じになる。したがって、本実施形態のように、磁気記録層10を挟む第1および第2磁化固着層の最近接磁性層のスピンモーメントの向きを実質的に180度異なる配置、すなわち反平行にする必要がある。
本実施形態において、第1磁化固着層6と、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントを反平行→平行へ、磁気記録層10の非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントを平行→反平行へスピン反転させる場合、第1磁化固着層6側から磁気記録層10へ電子を注入する。この場合、第1磁化固着層6で第1磁化固着層6の磁化の向きと同じ向きにスピン偏極した電子がトンネルバリア層8をトンネルし、磁気記録層10へスピントルクを及ぼす。さらに、反強磁性結合した磁性層101/非磁性層102/磁性層103を有する磁気記録層10から非磁性金属層12を介して第2磁化固着層15に電子が注入される。このとき、磁性層101のスピンモーメントが第1磁化固着層6のスピンモーメントに対して反平行の間は、第2磁化固着層15の磁性層151と磁気記録層10の磁性層103とのスピンモーメントが反平行のため、非磁性金属層12として上記したもの(Ru、Rhのいずれかか、またはこれらの合金)を選択することにより、第2磁化固着層15の磁性層151のスピンモーメントの向きと平行のスピンモーメントを有する電子は第2磁化固着層15によって反射されて磁気記録層10へスピントルクを及ぼす。これにより、磁気記録層10においては、第1磁化固着層6のスピンモーメントに対してトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントは反平行→平行へ、非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントは平行→反平行へ反転する。これら2つのスピントルクにより、磁気記録層が単層である通常のTMR素子に比べてスピン注入の電流値は著しく低下する。
また、本実施形態において、第1磁化固着層6と、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンモーメントを平行→反平行へ、磁気記録層10の非磁性金属層12に近い磁性層103のスピンモーメントを反平行→平行へ反転する場合、第2磁化固着層15から磁気記録層10へ電子を注入する。この場合、第2磁化固着層15の磁性層151と反対の向きのスピンモーメントを有する電子が非磁性金属層12を通過して磁気記録層10へ流れスピントルクを及ぼす。このとき、スピン偏極した電子はトンネルバリア層8をトンネルして第1磁化固着層6へ流れようとするが、トンネルバリア層8をトンネルする際、第1磁化固着層6のスピンモーメントの向きと同じスピンモーメントの向きを持つ電子はトンネル確率が高く容易にトンネルするが、反平行のスピンモーメントの向きを有する電子は反射される。磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10へ反射してきた電子は、磁気記録層10へスピントルクを及ぼし、この2つのスピントルクにより、磁気記録層10のスピンモーメントが逆方向へ反転する。この場合も、磁気記録層が単層である通常のTMR素子に比べてスピン注入の電流値は著しく低下する。
この配置を用いると、第1実施形態と同様に磁気記録層に2重にトルクが作用することになり、書き込み電流を小さくすることができる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気抵抗効果素子を得ることができる。
なお、第2実施形態において、非磁性金属層12をトンネルバリア層で置き換えても良い。
また、本実施形態においては、第1磁化固着層6と第2磁化固着層の、磁気記録層10に最も近い磁性層のスピンモーメントの向きは実質的に反平行になっていたが、第1磁化固着層6からの漏れ磁場をなくすために図6に示す第1変形例による磁気抵抗効果素子1Cのように第1磁化固着層6を磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる3層積層膜としてもよい。この構造を用いると第1磁化固着層6の磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。なお、本変形例においては、第2磁化固着層15を磁性層151/非磁性層152/磁性層153/非磁性層154/磁性層155の5層積層構造に置き換えた構成となっている。この第2磁化固着層15も同様に、磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。
このように、磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる第1磁化固着層6、および磁性層151/非磁性層152/磁性層153/非磁性層154/磁性層155からなる第2磁化固着層15の磁化モーメントの大きさを膜厚、材料などで調整することにより漏れ磁場を最小限に抑えることができる。
また、図7、図8に示す第2変形例、第3変形例の磁気抵抗効果素子であってもよい。図7に示す第2変形例の磁気抵抗効果素子1Dは、図5に示す本実施形態の磁気抵抗効果素子1Bにおいて、第1磁化固着層6の膜面の面積をトンネルバリア層8の膜面の面積よりも大きくした構成となっている。また、図8に示す第3変形例の磁気抵抗効果素子1Eは、図6に示す第1変形例の磁気抵抗効果素子1Cにおいて、第1磁化固着層6の膜面の面積をトンネルバリア層8の膜面の面積よりも大きくした構成となっている。このように、第1磁化固着層6の膜面の面積を大きくし、漏れ磁場が発生する場所を磁気記録層10から離せば、第2磁化固着層15の磁化モーメントの大きさのみを膜厚、材料などで調整すればよく、製造上簡易になり、より好ましい。この構造は、図1に示す第1実施形態および図2に示す第1実施形態の変形例の場合にも好ましい効果を有する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による磁気抵抗効果素子を図9に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Fは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗効果素子1において、非磁性金属層12を誘電体11で完全に分断した構成としたものである。すなわち、誘電体11は非磁性金属層12を貫通している。そして、本実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層14との界面は誘電体11の第2磁化固着層14との界面と実質的に同一面上にある。
次に、本発明の第3実施形態による磁気抵抗効果素子を図9に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Fは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗効果素子1において、非磁性金属層12を誘電体11で完全に分断した構成としたものである。すなわち、誘電体11は非磁性金属層12を貫通している。そして、本実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層14との界面は誘電体11の第2磁化固着層14との界面と実質的に同一面上にある。
本実施形態の非磁性金属層12の膜面方向の断面図を図10に示す。図10からわかるように、非磁性金属層12は誘電体11によって分断されていて誘電体11中に規則的に配置されたパターンを構成している。なお、非磁性金属層12は誘電体11中にランダムに配置されたパターンを構成していてもよい。また、図11に示すように、非磁性金属層12中に誘電体11が規則的に配置されたパターンを構成していてもよいし、ランダムに配置されたパターンを構成していてもよい。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1Fは、第1実施形態の磁気抵抗効果素子1と同様に、第2磁化固着層14の磁化の向きは、第1磁化固着層6の磁化の向きと実質的に平行となっている。
また、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、シンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層10は、磁性層101と磁性層103との層間結合エネルギーJEXは0.5erg/cm2より大きくなっている。したがって、本実施形態の磁気抵抗効果素子1Fは、熱擾乱耐性を有しているほか、メモリセルに用いた場合隣接するメモリセル間の相互作用も小さく誤動作が小さい。
そして、本実施形態において、非磁性金属層12にCu、Ag、Auまたは、それら合金を用いた場合に、スピン注入を行うことによりデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となり、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。また、磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10の非磁性層102としては磁性層101、103の反射効果が小さく層間の相互作用が小さいRu、Rh、Irまたはそれらの合金を用いられるが、Ruを用いることがより好ましい。
また、本実施形態においては、非磁性金属層12が誘電体11によって分断されているので、分断された非磁性金属層12の部分に電流が集中的に流れる。このため、本実施形態は、第1実施形態のように非磁性金属層12が誘電体によって分断されない場合と比べると、電流が集中した部分を核にしてスピン反転が励起されるため、更なる低電流密度で反転をすることができる。
なお、第3実施形態において、非磁性金属層12をトンネルバリア層で置き換えても良い。
また、本実施形態においては、第1磁化固着層6と第2磁化固着層14のスピンモーメントの向きは実質的に平行になっていたが、磁化固着層6、14からの漏れ磁場をなくすために、図12に示す第1変形例の磁気抵抗効果素子1Gのように、第1磁化固着層6に磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる3層積層膜を用い、第2磁化固着層14に磁性層141/非磁性層142/磁性層143からなる3層積層膜を用いることがより好ましい。この構造を用いると磁化固着層6、14の磁化の固着が強く磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリセルに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。なお、本変形例においては、第3実施形態と同様に、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層14との界面は誘電体11の第2磁化固着層14との界面と実質的に同一面上にある。
また、図13に示す第2変形例の磁気抵抗効果素子1Hであってもよい。この第2変形例の磁気抵抗効果素子1Hは、図12に示す第1変形例において、非磁性金属層12の磁気記録層10側のみを誘電体11によって分断した構成となっている。すなわち、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあるが、誘電体11の磁気記録層10との界面と反対側の面は非磁性金属層12内にあって非磁性金属層12の第2磁化固着層14との界面よりも非磁性金属層12の磁気記録層10との界面に近い。したがって、誘電体11は非磁性金属層12を貫通していない。
また、図14に示す第3変形例の磁気抵抗効果素子1Iであってもよい。この第3変形例の磁気抵抗効果素子1Iは、図12に示す第1変形例において、誘電体11が非磁性金属層12を完全に分断するとともに第2磁化固着層14の一部分(磁性層141の一部分)を分断した構成となっている。すなわち、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあるが、誘電体11の磁気記録層10との界面と反対側の面は第2磁化固着層14の磁性層141内にあって非磁性金属層12の第2磁化固着層14との界面よりも非磁性金属層12の磁気記録層10との界面から遠い。
また、図15に示す第4変形例の磁気抵抗効果素子1Jであってもよい。この第4変形例の磁気抵抗効果素子1Jは、図12に示す第1変形例において、誘電体11が非磁性金属層12を完全に分断するとともに第2磁化固着層14および反強磁性層16も完全に分断した構成となっている。すなわち、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあるが、誘電体11の磁気記録層10との界面と反対側の面は反強磁性層16の第2磁化固着層14との界面と反対側の面と実質的に同一面上にある。
また、図16に示す第5変形例の磁気抵抗効果素子1Kであってもよい。この第5変形例の磁気抵抗効果素子1Kは、図9に示す第3実施形態において、誘電体11は非磁性金属層12を完全に分断せず、第2磁化固着層14側のみを分断した構成となっている。すなわち、誘電体11と磁気記録層10との間に例えば、厚み1nm程度の非磁性金属層12が入り込んだ構成となっている。なお、第5変形例のように、誘電体11と磁気記録層10との間に非磁性金属層12を入り込ませた構成は、図12乃至図15に示す第1乃至第4変形例の磁気抵抗効果素子にも適用してもよい。
また、図9に示す第3実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあったが、図17に示すように、同一面上になくて、どちらか一方の界面が非磁性金属層12と第2磁化固着層14との界面から遠くにあってもよい(第6変形例)。図17においては、誘電体11の磁気記録層10との界面が非磁性金属層12の磁気記録層10との界面に比べて、非磁性金属層12と第2磁化固着層14との界面から遠くにある。本変形例のように、どちらか一方の界面が非磁性金属層12と第2磁化固着層14との界面から遠くにあるような構成は、図12乃至図15に示す第1乃至第4変形例の磁気抵抗効果素子にも適用してもよい。
また、第3実施形態およびその変形例において、図7および図8に示す第2実施形態およびその変形例のように、第1磁化固着層6の膜面の面積を大きくしてもよい。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による磁気抵抗効果素子を図18に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Lは、図5に示す第2実施形態の磁気抵抗効果素子1Bにおいて、非磁性金属層12を誘電体11で完全に分断した構成としたものである。すなわち、誘電体11は非磁性金属層12を貫通している。そして、本実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層15との界面は誘電体11の第2磁化固着層15との界面と実質的に同一面上にある。
次に、本発明の第4実施形態による磁気抵抗効果素子を図18に示す。この実施形態による磁気抵抗効果素子1Lは、図5に示す第2実施形態の磁気抵抗効果素子1Bにおいて、非磁性金属層12を誘電体11で完全に分断した構成としたものである。すなわち、誘電体11は非磁性金属層12を貫通している。そして、本実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層15との界面は誘電体11の第2磁化固着層15との界面と実質的に同一面上にある。
本実施形態の非磁性金属層12は、第3実施形態と同様に、図10に示すように、誘電体11によって分断されていて誘電体11中に規則的に配置されたパターンであってもよいし、誘電体11中にランダムに配置されたパターンを構成していてもよい。また、図11に示すように、非磁性金属層12中に誘電体11が規則的に配置されたパターンを構成していてもよいし、ランダムに配置されたパターンを構成していてもよい。
本実施形態の磁気抵抗効果素子1Lは、第2実施形態の磁気抵抗効果素子1Bと同様に、第2磁化固着層15の磁性層151の磁化の向きは、第1磁化固着層6の磁化の向きと実質的に反平行となっている。
また、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、シンセティックな反強磁性結合の磁性層101/非磁性層102/磁性層103の積層膜を有する磁気記録層10は、磁性層101と磁性層103との層間結合エネルギーJEXは0.5erg/cm2より大きくなっている。したがって、本実施形態の磁気抵抗効果素子1Lは、熱擾乱耐性を有しているほか、メモリセルに用いた場合隣接するメモリセル間の相互作用も小さく誤動作が小さい。
そして、本実施形態においては、第2実施形態と同様に、非磁性金属層12にRu、Rhまたは、それらの合金が用いられる。この場合、スピン注入を行うことによりデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となり、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。また、磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10の非磁性層102としては磁性層101、103の反射効果が小さく層間の相互作用が小さいRu、Rhまたはそれら合金を用いられるが、Rhを用いることがより好ましい。
また、本実施形態においては、非磁性金属層12が誘電体11によって分断されているので、分断された非磁性金属層12の部分に電流が集中的に流れる。このため、本実施形態は、第2実施形態のように非磁性金属層12が誘電体によって分断されない場合と比べると、電流が集中した部分を核にしてスピン反転が励起されるため、更なる低電流密度で反転をすることができる。
なお、第4実施形態において、非磁性金属層12をトンネルバリア層で置き換えても良い。
本実施形態の場合、非磁性金属層12にRu、Rhまたはそれらの合金を用いているので、Cu、Ag、Auまたはそれらの合金を用いた第1実施形態に比べて、反射する伝導電子のスピンモーメントの方向が反対になる。したがって、磁気記録層10を挟む第1および第2磁化固着層の最近接磁性層のスピンモーメントの向きを実質的に180度異なる配置にする必要がある。この配置を用いると、第1実施形態と同様に磁気記録層に2重にトルクが作用することになり、書き込み電流を小さくすることができる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気抵抗効果素子を得ることができる。
また、本実施形態においては、第1磁化固着層6と第2磁化固着層の、磁気記録層10に最も近い磁性層のスピンモーメントの向きは実質的に反平行になっていたが、第1磁化固着層6からの漏れ磁場をなくすために図19に示す第1変形例による磁気抵抗効果素子1Mのように第1磁化固着層6を磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる3層積層膜としてもよい。この構造を用いると第1磁化固着層6の磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。なお、本変形例においては、第2磁化固着層15を磁性層151/非磁性層152/磁性層153/非磁性層154/磁性層155の5層積層構造に置き換えた構成となっている。この第2磁化固着層15も同様に、磁化固着が強くなって、スピン注入書き込みを行った場合に磁化固着層が安定し、好ましい。また、メモリに用いた場合、隣接するメモリセル間の相互作用も低減する。
このように、磁性層61/非磁性層62/磁性層63からなる第1磁化固着層6、および磁性層151/非磁性層152/磁性層153/非磁性層154/磁性層155からなる第2磁化固着層15の磁化モーメントの大きさを膜厚、材料などで調整することにより漏れ磁場を最小限に抑えることができる。なお、本変形例においては、第4実施形態と同様に、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあり、非磁性金属層12の第2磁化固着層15との界面は誘電体11の第2磁化固着層15との界面と実質的に同一面上にある。
また、図20に示す第2変形例の磁気抵抗効果素子1Nであってもよい。この第2変形例の磁気抵抗効果素子1Nは、図18に示す第4実施形態において、非磁性金属層12の磁気記録層10側のみを誘電体11によって分断した構成となっている。すなわち、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあるが、誘電体11の磁気記録層10との界面と反対側の面は非磁性金属層12内にあって非磁性金属層12の第2磁化固着層15との界面よりも非磁性金属層12の磁気記録層10との界面に近い。したがって、誘電体11は非磁性金属層12を貫通していない。非磁性金属層12の磁気記録層10側のみを誘電体11によって分断した構成は、図19に示す第1変形例にも適用することができる。
また、図21に示す第3変形例の磁気抵抗効果素子1Oであってもよい。この第3変形例の磁気抵抗効果素子1Iは、図19に示す第1変形例において、誘電体11が非磁性金属層12を完全に分断するとともに第2磁化固着層15の一部分(磁性層151の一部分)を分断した構成となっている。すなわち、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあるが、誘電体11の磁気記録層10との界面と反対側の面は第2磁化固着層15の磁性層151内にあって非磁性金属層12の第2磁化固着層15との界面よりも非磁性金属層12の磁気記録層10との界面から遠い。なお、第3変形例のような誘電体11が非磁性金属層12を完全に分断するとともに第2磁化固着層15の一部分を分断する構造は、図18に示す例にも適用することができる。
また、図22、23に示す第4変形例、第5変形例の磁気抵抗効果素子1P、1Qであってもよい。第4変形例の磁気抵抗効果素子1Pは、図18に示す第4実施形態の磁気抵抗効果素子1Lにおいて、第1磁化固着層6の膜面の面積をトンネルバリア層8の膜面の面積よりも大きくした構成となっている。また、第5変形例の磁気抵抗効果素子1Qは、図19に示す第1変形例の磁気抵抗効果素子1Mにおいて、第1磁化固着層6の膜面の面積をトンネルバリア層8の膜面の面積よりも大きくした構成となっている。このように、第1磁化固着層6の膜面の面積を大きくし、漏れ磁場が発生する場所を磁気記録層10から離せば、第2磁化固着層15の磁化モーメントの大きさのみを膜厚、材料などで調整すればよく、製造上簡易になり、より好ましい。
また、図24に示す第6変形例の磁気抵抗効果素子1Rであってもよい。この第6変形例の磁気抵抗効果素子1Rは、図18に示す第4実施形態において、誘電体11は非磁性金属層12を完全に分断せず、第2磁化固着層15側のみを分断した構成となっている。すなわち、誘電体11と磁気記録層10との間に例えば、厚み1nm程度の非磁性金属層12が入り込んだ構成となっている。なお、第6変形例のように、誘電体11と磁気記録層10との間に非磁性金属層12を入り込ませた構成は、図19乃至図23に示す第1乃至第5変形例の磁気抵抗効果素子にも適用してもよい。
また、図18に示す第4実施形態においては、非磁性金属層12の磁気記録層10との界面は誘電体11の磁気記録層10との界面と実質的に同一面上にあったが、図25に示すように、同一面上になくて、どちらか一方の界面が非磁性金属層12と第2磁化固着層14との界面から遠くにあってもよい(第7変形例)。図25においては、誘電体11の磁気記録層10との界面が非磁性金属層12の磁気記録層10との界面に比べて、非磁性金属層12と第2磁化固着層15との界面から遠くにある。本変形例のように、どちらか一方の界面が非磁性金属層12と第2磁化固着層15との界面から遠くにあるような構成は、図19乃至図23に示す第1乃至第5変形例の磁気抵抗効果素子にも適用してもよい。
なお、第3実施形態、第4実施形態、およびそれらの変形例のように、非磁性金属層12が誘電体11によって一部分または完全に分断した構成は、トンネルバリア層8を介したスピントルクと、非磁性金属層12を介して反射してくるスピン反射トルクとによる2つのトルクが働くことになる。また、誘電体で分断されていない場合、トンネルバリア層8と非磁性金属層12の抵抗差が大きすぎるとスピン反射の効果が薄れ、電流密度はそれほど低減されない。しかし、非磁性金属層12が誘電体11によって一部分または完全に分断した構成を用いて、トンネルバリア層の抵抗と電流集中型非磁性層の抵抗を同程度にすることによりスピン反射の効果がより顕著となり、スピン反転するための電流密度が低減される。
また、磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10の磁性層101、磁性層103の磁気モーメントの大きさは、純粋なスピン注入による磁化反転でスピン反転を行う場合はほぼ等しく設計することが好ましい。したがって、同じ材料を用いた場合は、膜厚をほぼ一定にするように設計することが好ましい。膜厚をほぼ一定にすると、均等にスピントルクが働くことになる。
一方、磁場でスピントルクをアシストする場合は、膜厚を2nm以下の範囲内で異なるように設計する必要がある。
また、磁性層101/非磁性層102/磁性層103からなる磁気記録層10の磁性体の合計体積は、第1および第2磁化固着層の磁性体のそれぞれの合計体積よりも小さく設計する必要がある。第1および第2磁化固着層の磁性体のそれぞれの合計体積よりも大きく設計してしまうと、第1および第2磁化固着層の磁化の方がスピントルクにより不安定になり誤動作を生じる。
上記第1乃至第4実施形態およびその変形例において、磁気抵抗効果素子の磁性層の磁性材料は、Co−Fe合金、Co−Fe−Ni合金または、(Co、Fe、Ni)−(Si、 B)合金、(Co、Fe、Ni)−(B)系アモルファス合金、Co−(Zr、Hf、Nb、Ta、Ti)膜などのアモルファス材料,Co−Cr−Fe−Al系などのホイスラー材料からなる群より選ばれる少なくとも1種の薄膜またはそれら多層膜で構成される。また、上記磁性層にパーマロイ合金などのNi−Fe合金を付与しても良い。
磁化固着層としては、一方向異方性を、磁気記録層としては、一軸異方性を有することが望ましい。またその厚さは0.1nmから100nmが好ましい。さらに、これらの磁化固着層および磁気記録層含まれる磁性層(強磁性層)の膜厚は、超常磁性にならない程度の厚さが必要であり、0.4nm以上であることがより望ましい。
また、磁化固着層として用いる強磁性層には、反強磁性膜を付加して磁化を固着することが望ましい。そのような反強磁性膜としては、Fe(鉄)−Mn(マンガン)合金、Pt(白金)−Mn(マンガン)合金、Pt(白金)−Cr(クロム)−Mn(マンガン)合金、Ni(ニッケル)−Mn(マンガン)合金、Ir(イリジウム)−Mn(マンガン)合金、NiO(酸化ニッケル)、CoO(酸化コバルト)などの磁性体を挙げることができる。
また、これら磁性体には、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)、B(ボロン)などの非磁性元素を添加して、磁気特性を調節したり、その他、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
より具体的には、磁性層を一方向に固着する方法として、Co(Co−Fe)/Ru(ルテニウム)/Co(Co−Fe)の3層構造の積層膜、Co(Co−Fe)/Ir(イリジウム)/Co(Co−Fe)の3層構造の積層膜、Co(Co−Fe)/Os(オスニウム)/Co(Co−Fe)の3層構造の積層膜、Co(Co−Fe)/Re(レニウム)/Co(Co−Fe)の3層構造の積層膜、Co−Fe−Bのアモルファス材料層/Ru(ルテニウム)/Co−Fe−Bのアモルファス料層からなる3層構造の積層膜、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Ir(イリジウム)/Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層からなる3層構造の積層膜、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Os(オスニウム)/Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層からなる3層構造の積層膜、Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層/Re(レニウム)/Co−Fe−Bなどのアモルファス材料層からなる3層構造の積層膜を用いる。これら積層膜を磁化固着層として用いる場合は、さらに、これに隣接して反強磁性層を設けることが望ましい。この場合の反強磁性層としても、前述したものと同様に、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Ir−Mn、NiO、CoOなどを用いることかできる。この構造を用いると、磁化固着層の磁化がビット線やワード線からの電流磁界の影響をより受け難く、しっかりと磁化が固着される。また、磁化固着層からの漏洩磁界(stray field)を減少(あるいは調節)でき、磁化固着層を形成する2層の強磁性層の膜厚を変えることにより,磁気記録層の磁化シフトを調整することができる。
また、磁気記録層の磁性層として軟磁性層/強磁性層という2層構造、または強磁性層/軟磁性層/強磁性層という3層構造を用いてもよい。磁気記録層として、強磁性層/非磁性層/強磁性層という3層構造、強磁性層/非磁性層/強磁性層/非磁性層/強磁性層という5層構造を用いて、強磁性層の層間の相互作用の強さを制御することにより、メモリセルである磁気記録層のセル幅がサブミクロン以下になっても、電流磁界の消費電力を増大させずに済むというより好ましい効果が得られる。この際、強磁性層の種類、膜厚を変えてもかまわない。
特に、絶縁障壁(トンネルバリア層)に近い強磁性層にはMRが大きくなるCo−Fe、Co−Fe−Ni、FeリッチNi−Feを用い絶縁膜と接していない強磁性体にはNiリッチNi−Fe,NiリッチNi−Fe−Coなどを用いると、MRを大きく保ったまま、スイッチング磁界を低減でき、より好ましい。
磁気記録層においても、これら磁性体に、Ag(銀)、Cu(銅)、Au(金)、Al(アルミニウム)、Ru(ルテニウム)、Os(オスニウム),Re(レニウム),Mg(マグネシウム)、Si(シリコン)、Bi(ビスマス)、Ta(タンタル)、B(ボロン)、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)、Zr(ジルコニウム)、Ir(イリジウム)、W(タングステン)、Mo(モリブデン)、Nb(ニオブ)などの非磁性元素を添加して、磁気特性を調節したり、その他、結晶性、機械的特性、化学的特性などの各種物性を調節することができる。
一方、磁気抵抗効果素子としてTMR素子を用いる場合に、磁化固着層と磁化記録層との間に設けられるトンネルバリア層(あるいは誘電体層)としては、Al2O3(酸化アルミニウム)、SiO2(酸化シリコン)、MgO(酸化マグネシウム)、AlN(窒化アルミニウム)、Bi2O3(酸化ビスマス)、MgF2(フッ化マグネシウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SrTiO2(酸化チタン・ストロンチウム)、AlLaO3(酸化ランタン・アルミニウム)、Al−N−O(酸化窒化アルニウム)などの各種の絶縁体(誘電体)を用いることができる。
これらの化合物は、化学量論的にみて完全に正確な組成である必要はなく、酸素、窒素、フッ素などの欠損、あるいは過不足が存在していてもよい。また、この絶縁層(誘電体層)の厚さは、トンネル電流が流れる程度に薄い方が望ましく、実際上は、10nm以下であることが望ましい。
このような磁気抵抗効果素子は、各種スパッタ法、蒸着法、分子線エピタキシャル法などの通常の薄膜形成手段を用いて、所定の基板上に形成することができる。この場合の基板としては、例えば、Si(シリコン)、SiO2(酸化シリコン)、Al2O3(酸化アルミニウム)、スピネル、AlN(窒化アルニウム)など各種の基板を用いることができる。
また、基板の上に、下地層や保護層、ハードマスクなどとして、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Au(金)、Ti(チタン)/Pt(白金)、Ta(タンタル)/Pt(白金)、Ti(チタン)/Pd(パラジウム)、Ta(タンタル)/Pd(パラジウム)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)‐Cu(銅)、Ru(ルテニウム)、Ir(イリジウム)、Os(オスミウム)などからなる層を設けてもよい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による磁気メモリを図26を参照して説明する。図26は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図6に示す第2実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Cと、ワード線30と、ビット線40と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。磁気抵抗効果素子1Cの金属ハードマスク18がワード線30に接続され、下地層2がビット線40に接続されている。接続部50は接続プラグ52を備えている。選択トランジスタ60は、ゲート61と、ドレイン62と、ソース63とを備えている。接続部50の一端は、ビット線40に接続され、他端は選択トランジスタ60のドレイン62に接続されている。選択トランジスタ60のソース63は電極70に接続されている。
次に、本発明の第5実施形態による磁気メモリを図26を参照して説明する。図26は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図6に示す第2実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Cと、ワード線30と、ビット線40と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。磁気抵抗効果素子1Cの金属ハードマスク18がワード線30に接続され、下地層2がビット線40に接続されている。接続部50は接続プラグ52を備えている。選択トランジスタ60は、ゲート61と、ドレイン62と、ソース63とを備えている。接続部50の一端は、ビット線40に接続され、他端は選択トランジスタ60のドレイン62に接続されている。選択トランジスタ60のソース63は電極70に接続されている。
次に、本実施形態による磁気メモリの動作を、図27乃至図30(b)を参照して説明する。まず、データ“0”書き込みを行う場合を説明する。図27は、本実施形態の磁気メモリにおいて、“0”書き込みを行った場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図であり、図28(a)、(b)は、データ“1”からデータ “0”に書き換えたときの磁気抵抗効果素子1Cのスピンの向きを示す断面図である。なお、本実施形態においては、磁気抵抗効果素子1Cにデータ“1”が記録されているとは、図28(a)に示すように、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁性層63のスピンの向きと平行であることを意味する。また、磁気抵抗効果素子1Cにデータ“0”が記録されているとは、図28(b)に示すように、磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁性層63のスピンの向きと反平行であることを意味する。データ“1”、“0”の定義は別に逆でもかまわない。ここでは、説明の便宜上このように定義した。
磁気抵抗効果素子1Cにデータ“1”が記録されているときに、データ“0”の書き込みを行う場合は、図27に示すように、選択トランジスタ60のゲート61に所定の電圧を印加して選択トランジスタ60をオンさせ、電極70、ソース63、ドレイン62、接続部50、ビット線40、磁気抵抗効果素子1C、ワード線30の順に電流を流す。この場合、電流の向きと電子の流れる向きは逆であるから、電子が第2磁化固着層15から磁気記録層10の方に流れる。したがって、第2磁化固着層15でスピン偏極した電子が非磁性金属層12を通過して磁気記録層10へ流れスピントルクを及ぼす。このとき、スピン偏極した電子はトンネルバリア層8をトンネルして第1磁化固着層6の磁性層63へ流れようとするが、トンネルバリア層8をトンネルする際、磁性層63のスピンと平行なスピンを持つ電子はトンネル確率が高く容易にトンネルするが、反平行のスピンは反射される。磁気記録層10へ反射してきた電子は、磁気記録層10へスピントルクを及ぼし、この2つのスピントルクにより、磁気記録層10の磁性層101、103のスピンが反転する。
次に、データ“1”書き込みを行う場合を説明する。図29は、本実施形態の磁気メモリにおいて、データ“1”書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図である。
磁気抵抗効果素子1Cにデータ“0”が記録されているときに、データ“1”の書き込みを行う場合は、図29に示すように、選択トランジスタ60のゲート61を所定の電圧を印加して選択トランジスタ60をオンさせ、ワード線30、磁気抵抗効果素子1C、ビット線40、接続部50、ドレイン62、ソース63、電極70の順に電流を流す。この場合、電流の向きと電子の流れる向きは逆であるから、電子が第1磁化固着層6からトンネルバリア層8を介して磁気記録層10に流れる。このため、第1磁化固着層6の磁性層でスピン偏極した電子がトンネルバリア層8をトンネルし、磁気記録層10へスピントルクを及ぼす。このとき、スピン偏極した電子は磁気記録層10から非磁性金属層12を介して第2磁化固着層15に流れるので、磁気記録層10のスピンが磁性層151のスピンに対して反平行の間は、第1磁化固着層と磁気記録層10とのスピンモーメントが平行のため、第2磁化固着層15によって反射された反射スピン電子も磁気記録層10へスピントルクを及ぼし、磁気記録層10のスピンが反転する(図30(a)、(b)参照)。
以上説明したように、本実施形態によれば、スピン注入を行うことにより低消費電力で“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となるとともに、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気メモリを得ることができる。
なお、本実施形態においては、書き込み電流の方が読み出し電流より大きく設定されることは云うまでもない。
また、本実施形態においては、磁気抵抗効果素子1Cは、ビット線40側に下地層2が配置されかつワード線30側にハードマスク18が配置されていたが、ビット線40側にハードマスク18が配置されかつワード線30側に下地層2が配置されるように構成しても良い。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による磁気メモリを、図31を参照して説明する。図31は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図2に示す第1実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Aと、ワード線30と、ビット線40と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。磁気抵抗効果素子1Aの金属ハードマスク18がワード線30に接続され、下地層2がビット線40に接続されている。接続部50は、接続プラグ52を備えている。選択トランジスタ60は、ゲート61と、ドレイン62と、ソース63とを備えている。接続部50の一端は、ビット線40に接続され、他端は選択トランジスタ60のドレイン62に接続されている。選択トランジスタ60のソース63は電極70に接続されている。
次に、本発明の第6実施形態による磁気メモリを、図31を参照して説明する。図31は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図2に示す第1実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Aと、ワード線30と、ビット線40と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。磁気抵抗効果素子1Aの金属ハードマスク18がワード線30に接続され、下地層2がビット線40に接続されている。接続部50は、接続プラグ52を備えている。選択トランジスタ60は、ゲート61と、ドレイン62と、ソース63とを備えている。接続部50の一端は、ビット線40に接続され、他端は選択トランジスタ60のドレイン62に接続されている。選択トランジスタ60のソース63は電極70に接続されている。
本実施形態の磁気メモリにおいて、データ“0”の書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図を図32に示し、データ“0”の書き込み前の磁気抵抗効果素子1Aの断面を図33(a)に、データ“0”の書き込み後の磁気抵抗効果素子1Aの断面を図33(b)に示す。また、本実施形態の磁気メモリにおいて、データ“1”の書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図を図34に示し、データ“0”の書き込み前の磁気抵抗効果素子1Aの断面を図35(a)に、データ“0”の書き込み後の磁気抵抗効果素子1Aの断面を図35(b)に示す。
本実施形態による磁気メモリの磁気抵抗効果素子1Aは、第5実施形態による磁気メモリの磁気抵抗効果素子1Cとは、第1および第2磁化固着層のスピンモーメントの向きは、異なっているが、データ“0”の書き込みを行う場合およびデータ“1”の書き込みを行う場合の書き込み電流の流す方向は、第5実施形態による磁気メモリの磁気抵抗効果素子1Cと同じになっている。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態による磁気メモリを図36を参照して説明する。図36は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図6に示す磁気抵抗効果素子と同じ構成の磁気抵抗効果素子1C1、1C2と、ビット線40と、第1及び第2ワード線30,35と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。
次に、本発明の第7実施形態による磁気メモリを図36を参照して説明する。図36は、本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態による磁気メモリは、アレイ状に配置された複数のメモリセルを備え、各メモリセルは、図6に示す磁気抵抗効果素子と同じ構成の磁気抵抗効果素子1C1、1C2と、ビット線40と、第1及び第2ワード線30,35と、接続部50と、選択トランジスタ60とを備えている。
磁気抵抗効果素子1C1の金属ハードマスク18が接続プラグ31を介して第1ワード線30に接続され、下地層2がビット線40に接続されている。磁気抵抗効果素子1C2の金属ハードマスク18がビット線40に接続され、下地層2が接続プラグ34を介して第2ワード線35に接続されている。すなわち、ビット線40から第1ワード線30に向かう方向の磁気抵抗効果素子1C1の層配置は、もう片方の磁気抵抗効果素子1C2のビット40線からワード線35に向かう層配置と逆となっている。
接続部50は、接続プラグ51,52を備えている。接続プラグ51は、磁気抵抗効果素子1C2と同一層として形成されるため、磁気抵抗効果素子1C2と同一の層構成を有している。選択トランジスタ60は、ゲート61と、ドレイン62と、ソース63とを備えている。接続部50の一端は、ビット線40に接続され、他端は選択トランジスタ60のドレイン62に接続されている。選択トランジスタ60のソース63は電極70に接続されている。
次に、本実施形態による磁気メモリの動作を図37乃至図42を参照して説明する。まず、本実施形態による磁気メモリの読み出し動作について、図37を参照して説明する。図37は本実施形態による磁気メモリの読み出し動作を説明する断面図である。磁気メモリに記録されているデータを読み出す場合は、選択トランジスタ60をオンさせ、電極70から選択トランジスタ60、接続部50、およびビット線40に電流を流す。するとビット線40に流れた電流は2つの磁気抵抗効果素子1C1,1C2に分岐され、それぞれ接続プラグ31,34を介して2つのワード線30,35に流れる。このとき、2つのワード線30,35に流れる電流をトランジスタ81,82を介して差動増幅器83で読み出すことにより、高速に読み出しが可能となる。
なお、本実施形態において、メモリセルにデータ“0”が記録されているとは、図38(a)に示すように、磁気抵抗効果素子1C1の磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い方の磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁気記録層10に近い側の磁性層63のスピンの向きと反平行であって、磁気抵抗効果素子1C2の磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い方の磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁気記録層10に近い側の磁性層63のスピンの向きと平行であることを意味し、データ“1”が記録されているとは、図38(b)に示すように、磁気抵抗効果素子1C1の磁気記録層10のトンネルバリアに近い方の磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁気記録層10に近い側の磁性層63のスピンの向きと平行であって、磁気抵抗効果素子1C2の磁気記録層10のトンネルバリア層8に近い方の磁性層101のスピンの向きが第1磁化固着層6の磁気記録層10に近い側の磁性層63のスピンの向きと反平行であることを意味する。
次に、本実施形態による磁気メモリのメモリセルにデータ“0”,“1”の書き込みを行う場合を図39乃至図42(b)を参照して説明する。図39は、本実施形態の磁気メモリにおいて、データ“0”の書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図であり、図40(a)、(b)は、データ“1”からデータ“0”に書き換えたときの磁気抵抗効果素子1C1,1C2のスピンの向きを示す図である。また、図41は、データ“1”の書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図であり、図42(a)、(b)は、データ“0”からデータ“1”に書き換えたときの磁気抵抗効果素子1C1,1C2のスピンの向きを示す図である。
図39に示したようにデータ“0”の書き込みを行う場合は、まず、選択トランジスタ60をオンさせ、電極70から選択トランジスタ60、接続部50を介してビット線40に書き込み電流を流す。すると、ビット線40に流れた電流は2つの磁気抵抗効果素子1C1,1C2に分岐され、それぞれ接続プラグ31,34を介してワード線30,35に流れる。ビット線40からワード線30に電流が流れることにより、磁気抵抗効果素子1C1の第2磁化固着層15から磁気記録層10にスピンが注入され、図6に示す第2実施形態の第1変形例の場合と同様に磁気記録層10のスピンが反転される。
また、ビット線40からワード線35に電流が流れることにより、もう磁気抵抗効果素子1C2の第1磁化固着層6の磁気記録層10に近い側の磁性層63から磁気記録層10にスピンが注入され、図6に示す第2実施形態の第1変形例の場合と同様に磁気記録層10のスピンが反転される。これにより、図40(a)、(b)に示すように、データ“1”からデータ“0”への書き換えが行われる。
次に、データ“1”の書き込みを行う場合は、まず、選択トランジスタ60をオンさせ、2つのワード線30,35から2つの磁気抵抗効果素子1C1,1C2を介してビット線40にそれぞれ電流を流す(図41参照)。すると、それぞれの電流はビット線40で合流し、接続部50、選択トランジスタ60を介して電極70に流れる。ワード線30および35から磁気抵抗効果素子1C1および1C2を介してビット線40にそれぞれ電流が流れることにより、磁気抵抗効果素子1C1および1C2の磁気記録層10のスピンが反転し、データ“1”の書き込みが行われる(図42(a)、(b)参照)。
以上説明したように、本実施形態によれば、スピン注入を行うことにより低消費電力でデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となるとともに、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気メモリを得ることができる。
なお、本実施形態においては、書き込み電流の方が読み出し電流より大きく設定されることは云うまでもない。
また、本実施形態においては、磁気抵抗効果素子1C1は、ビット線40側に下地層2が配置されかつワード線30側にハードマスク18が配置され、磁気抵抗効果素子1C2は、ビット線40側にハードマスク18が配置されかつワード線35側に下地層2が配置されていたが、磁気抵抗効果素子1C1は、ビット線40側にハードマスク18が配置されかつワード線30側に下地層2が配置され、磁気抵抗効果素子1C2は、ビット線40側に下地層2が配置されかつワード線35側にハードマスク18が配置されるように構成しても良い。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態による磁気メモリを図43乃至図49(b)を参照して説明する。図43は本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態の磁気メモリは、図36に示す第7実施形態の磁気メモリにおいて、磁気抵抗効果素子1C1,1C2を磁気抵抗効果素子1A1,1A2に置き換えるとともに、接続部50の接続プラグ51を接続プラグ51aに置き換えた構成となっている。磁気抵抗効果素子1A1,1A2はそれぞれ、図2に示す第1実施形態の変形例による磁気抵抗効果素子1Aと同一の層構成を有している。接続プラグ51aは磁気抵抗効果素子1A2と同一の層構成となっている。
次に、本発明の第8実施形態による磁気メモリを図43乃至図49(b)を参照して説明する。図43は本実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図である。本実施形態の磁気メモリは、図36に示す第7実施形態の磁気メモリにおいて、磁気抵抗効果素子1C1,1C2を磁気抵抗効果素子1A1,1A2に置き換えるとともに、接続部50の接続プラグ51を接続プラグ51aに置き換えた構成となっている。磁気抵抗効果素子1A1,1A2はそれぞれ、図2に示す第1実施形態の変形例による磁気抵抗効果素子1Aと同一の層構成を有している。接続プラグ51aは磁気抵抗効果素子1A2と同一の層構成となっている。
次に、本実施形態の磁気メモリの動作を説明する。図44は本実施形態による磁気メモリの読み出し動作を説明する断面図、図45(a)、(b)はデータ“0”、“1”の状態に対応する磁気抵抗効果素子のスピン状態を示す断面図、図46はデータ“0”の書き込みを行った場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図、図47(a)、(b)は、データ“1”からデータ“0”に書き換えたときの磁気抵抗効果素子1A1,1A2のスピンの向きを示す図である。また、図48は、データ“1”の書き込みを行う場合の電流の方向を示すメモリセルの断面図、図49(a)、(b)は、データ“0”からデータ“1”に書き換えたときの磁気抵抗効果素子1A1,1A2のスピンの向きを示す図である。
本実施形態の磁気メモリにおける読み出し動作は、図44からわかるように、図37に示す第7実施形態の場合と同様に行う。すなわち、選択トランジスタ60をオンさせ、電極70から選択トランジスタ60、接続部50、およびビット線40に電流を流す。するとビット線40に流れた電流は2つの磁気抵抗効果素子1A1,1A2に分岐され、それぞれ接続プラグ31,34を介して2つのワード線30,35に流れる。このとき、2つのワード線30,35に流れる電流をトランジスタ81,82を介して差動増幅器83で読み出す。これにより、高速に読み出しが可能となる。なお、データ“0”、“1”の定義は、図45(a)、(b)からわかるように、図38(a)、(b)に示す第7実施形態の場合と同一である。すなわち、トンネルバリア層8に近い、磁気記録層10および第1磁化固着層6の磁性層101および磁性層63のスピンの向きが平行か反平行かによって定義される。
また、本実施形態の磁気メモリにおけるデータ“0”の書き込みは図46、図47(a)、(b)からわかるように、図39、図40(a)、(b)に示す第7実施形態の場合と同様に行う。すなわち、ビット線40から磁気抵抗効果素子1A1,1A2を介してワード線30,35に電流を流すことにより行う。
また、本実施形態の磁気メモリにおけるデータ“0”の書き込みは図46、図47(a)、(b)からわかるように、図39、図40(a)、(b)に示す第7実施形態の場合と同様に行う。すなわち、ビット線40から磁気抵抗効果素子1A1,1A2を介してワード線30,35に電流を流すことにより行う。
また、本実施形態の磁気メモリにおけるデータ“1”の書き込みは図48、図49(a)、49(b)からわかるように、図41、図42(a)、(b)に示す第7実施形態の場合と同様に行う。すなわち、ワード線30,35から磁気抵抗効果素子1A1,1A2を介してビット線40に電流を流すことにより行う。
本実施形態も第7実施形態と同様に、スピン注入を行うことにより低消費電力でデータ“1”、“0”の書き込みを行うことが可能となるとともに、通常のトンネル接合素子にスピン注入書き込みを行う場合に比べて書き込み電流を小さくできる。このため、書き込みする際にトンネルバリア層が絶縁破壊するのを防止することが可能となり、信頼性の高い磁気メモリを得ることができる。
なお、本実施形態においては、第7実施形態の場合と同様に、書き込み電流の方が読み出し電流より大きく設定されることは云うまでもない。
また、本実施形態においては、磁気抵抗効果素子1A1は、ビット線40側に下地層2が配置されかつワード線30側にハードマスク18が配置され、磁気抵抗効果素子1A2は、ビット線40側にハードマスク18が配置されかつワード線35側に下地層2が配置されていたが、磁気抵抗効果素子1A1は、ビット線40側にハードマスク18が配置されかつワード線30側に下地層2が配置され、磁気抵抗効果素子1A2は、ビット線40側に下地層2が配置されかつワード線35側にハードマスク18が配置されるように構成しても良い。
また、第5乃至第8実施形態においては、磁気抵抗効果素子が記憶する情報を読み出すために磁気抵抗効果素子に流すセンス電流を制御するセンス電流制御素子回路、ドライバおよびシンカーをさらに具備していることは云うまでもない。
次に、本発明の実施形態を実施例を参照して、詳細に説明する。
(第1実施例)
まず、本発明の第1実施例として、図2に示す第1実施形態の変形例による磁気抵抗効果素子1Aを作製した。また、比較例として図50に示す構造の磁気抵抗効果素子100を同時に作製し、スピン反転電流を比較した。この比較例の磁気抵抗効果素子85は、磁気抵抗効果素子1Aの非磁性金属層12、第2磁化固着層14、反強磁性層16を削除するとともに、磁気記録層としてシンセティック反強磁性結合の磁気記録層10から単層の磁気記録層9に置き換えた構成となっている。
まず、本発明の第1実施例として、図2に示す第1実施形態の変形例による磁気抵抗効果素子1Aを作製した。また、比較例として図50に示す構造の磁気抵抗効果素子100を同時に作製し、スピン反転電流を比較した。この比較例の磁気抵抗効果素子85は、磁気抵抗効果素子1Aの非磁性金属層12、第2磁化固着層14、反強磁性層16を削除するとともに、磁気記録層としてシンセティック反強磁性結合の磁気記録層10から単層の磁気記録層9に置き換えた構成となっている。
第1実施例の磁気抵抗効果素子1Aおよび比較例の磁気抵抗効果素子85は、以下のように製造される。
まず、図2に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。このような構成のTMR素子1Aを第1実施例とする。
また、図50に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層9/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を順次形成する。このような構成のTMR素子85を比較例とする。
本実施例では、下部配線はTa/Cu/Ta、下地層2はRuで、第1実施例のTMR膜は、下側から順に、Ir−Mn(10nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(4nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる磁気記録層10、Cu(6nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層14、Ir−Mn(10nm)からなる反強磁性層16とし、比較例のTMR膜は、下部配線はTa/Cu/Ta、下地層2はRuで、Ir−Mn(10nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(4nm)からなる磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、Co90Fe10(3nm)からなる磁気記録層9とした。なお、金属保護膜18としてTaを用いた。
その後、第1実施例、比較例はともに270℃で磁場中アニール後、レジスト塗布し、エッチングを行った後、140℃でオゾンフローによりレジストをスリミングし、スリミングしたレジストをマスクとしてSF6ガスでTaからなる金属保護膜18をRIE法を用いてエッチングした。このエッチングは、Ruからなるキャップ層でストップさせた。その後、レジストを剥離し、Taからなる金属保護膜18をハードマスクとして、トンネルバリア層8までミリングまたは、RIE法を用いてパターニングし、強磁性トンネル接合を接合分離した。
上記第1実施例、比較例の接合サイズはともに、0.1×0.18μm2であった。その後、SiOxからなる保護膜を成膜した後、レジスト塗布し、レジストをパターニングしてレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして下部電極をRIE法を用いてパターニングした。その後、レジストパターンを除去し、SiOxからなる層間絶縁膜を成膜した後、エッチバックを行い、平坦化を行うとともに、TMR膜上部のTaからなる金属保護膜18の表面を露出させた。その後、スパッタエッチングした後に配線をスパッタし、RIE法を用いてエッチバックすることにより、上部配線を形成した。その後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
第1実施例および比較例の磁気抵抗効果素子にパル幅が200nmのパルス電流を印加して何mAでスピンが反転するか調べたところ、図51に示すように、第1実施例では0.45mA、比較例では1.1mAで反転した。本実施例による磁気抵抗効果素子1Aの構造は大容量メモリとして適し、低電流でスピン注入書き込みができることが分かった。
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例として、図6に示す第2実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Cを作製した。また、比較例として第1実施例で作製した図50に示す構造と同一構造を有し、第1実施例の比較例と材料が異なるものを同時に作製し、スピン反転電流を比較した。
次に、本発明の第2実施例として、図6に示す第2実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子1Cを作製した。また、比較例として第1実施例で作製した図50に示す構造と同一構造を有し、第1実施例の比較例と材料が異なるものを同時に作製し、スピン反転電流を比較した。
第2実施例の磁気抵抗効果素子1Cおよび比較例の磁気抵抗効果素子は以下のように製造される。
まず、図6に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/非磁性層154/磁性層155/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。このような構成のTMR素子を第2実施例とする。
本実施例では、下部配線はTa/Cu/Ta、下地層はRuで、TMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、CoFe(3nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)85B15(4nm)/Rh(0.75nm)/(Co70Fe30)85B15(4nm)からなる磁気記録層10、Ru(4.5nm)からなる非磁性金属層12、CoFe(4nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
また、比較例のTMR膜は、下部配線はTa/Cu/Ta、下地層2はRuで、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、CoFe(3nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)85B15(4nm)からなる磁気記録層9とした。なお、本実施例および比較例とも金属保護膜18としてTaを用いた。
また、比較例のTMR膜は、下部配線はTa/Cu/Ta、下地層2はRuで、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、CoFe(3nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)85B15(4nm)からなる磁気記録層9とした。なお、本実施例および比較例とも金属保護膜18としてTaを用いた。
作製方法、接合サイズはともに、第1実施例で説明した場合と同様である。上部配線を形成した後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
本実施形態および比較例の磁気抵抗効果素子にパルス幅が200nmパルス電流を印加して何mAでスピンが反転するか調べたところ、図52に示すように、第2実施例では0.35mA、比較例では0.95mAで反転した。本実施例による磁気抵抗効果素子1Cの構造は大容量メモリとして適し、低電流でスピン注入書き込みができることが分かった。
(第3実施例)
本発明の第3実施例として、図43に示すメモリセルを有する磁気メモリを作製した。なお、本実施例の磁気メモリにおいては、TMR素子1A1、1A2の第2磁化固着層14は、磁性層/非磁性層/磁性層からなる3層構造から、磁性層/非磁性層/磁性層/非磁性層/磁性層からなる5層構造のものに置き換えた構成となっている。
本発明の第3実施例として、図43に示すメモリセルを有する磁気メモリを作製した。なお、本実施例の磁気メモリにおいては、TMR素子1A1、1A2の第2磁化固着層14は、磁性層/非磁性層/磁性層からなる3層構造から、磁性層/非磁性層/磁性層/非磁性層/磁性層からなる5層構造のものに置き換えた構成となっている。
TMR素子の微細加工方法は、基本的には第1実施例と同様である。TMR素子1A2を作成後、図43に示すビット線40の成膜し、その後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)を行い、平坦化処理を行ってからTMR素子1A1のTMR膜を成膜した。
基板としてはトランジスタ付き基板を用いた。本実施例では、ビット配線40にTa/Cu/Taの積層膜、下地層2にRu、キャップ層(図示せず)にRu、金属保護膜18にTaを用い、TMR膜は下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、CoFe(3nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)85B15(4nm)/Rh(0.75nm)/(Co70Fe30)85B15(4nm)からなる磁気記録層10、Cu(5nm)からなる非磁性金属層12、CoFe(4nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(4nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。TMR素子1A1、1A2とも同一の構造とした。TMR素子1A1、1A2の接合面積は、両者とも0.1×0.18μm2とした。加工後、磁場中アニールを磁化固着層の磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
パルス幅が200nsecのパルス電流を流し、何mAでスピンが反転するか調べたところ、TMR素子1A2では0.45mA、TMR素子1A1では0.49mAで反転し、本実施例の構造は大容量メモリとしての優位性を確認できた。また、0.51mA未満の電流パルスをTMR素子に印加し、書き込みを行った後の読み出しスピードを調べたところ、差動読み出し時間は19nsecと高速であることが確認でき、大容量、高速の読み出し/書き込みが実証できた。第1および第2実施例で示したように基本動作は確認できており、本実施例による磁気メモリのTMR素子のCuからなる非磁性金属層12をRuからなる非磁性金属層に置き換えた磁気メモリ(図36に示す第7実施形態による磁気メモリ)も同様の結果が得られる。
(第4実施例)
本発明の第4実施例として、図53に示すメモリセルを有する磁気メモリを作製した。本実施例による磁気メモリのメモリセルは、図31に示す第6実施形態の磁気メモリにおいて、磁気抵抗効果素子1Aの直下のビット線40の下部にヨーク92付き配線90を設け、このヨーク92付き配線90で電流磁場によるアシストが可能なアーキテクチャとなっている。また、本実施例においては、磁気抵抗効果素子1Aの非磁性金属層12はCuが用いられるので、第1磁化固着層と第2磁化固着層の磁気記録層側に近い磁性層のスピンモーメントの向きは図31に示す場合と同様に、実質的に平行となっている。電流磁場の印加方向は磁化容易軸方向であり、スピン反転したい方向に電流磁界をアシストした。TMR素子の微細加工方法は基本的には第1実施例と同様である。
本発明の第4実施例として、図53に示すメモリセルを有する磁気メモリを作製した。本実施例による磁気メモリのメモリセルは、図31に示す第6実施形態の磁気メモリにおいて、磁気抵抗効果素子1Aの直下のビット線40の下部にヨーク92付き配線90を設け、このヨーク92付き配線90で電流磁場によるアシストが可能なアーキテクチャとなっている。また、本実施例においては、磁気抵抗効果素子1Aの非磁性金属層12はCuが用いられるので、第1磁化固着層と第2磁化固着層の磁気記録層側に近い磁性層のスピンモーメントの向きは図31に示す場合と同様に、実質的に平行となっている。電流磁場の印加方向は磁化容易軸方向であり、スピン反転したい方向に電流磁界をアシストした。TMR素子の微細加工方法は基本的には第1実施例と同様である。
基板としてはトランジスタの付いた基板を用いた。本実施例では、下地層にRu、キャップ層にRu、金属保護膜18にTaを用い,TMR素子のTMR膜は磁気記録層10の非磁性層102の材料を除き第1実施例のTMR膜と同じ材料の層からなっている。下側から順に、Ir−Mn(10nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(4nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、Co90Fe10(4nm)/Ir(0.75nm)/Co90Fe10(3nm)からなる磁気記録層10、Cu(6nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層14、Ir−Mn(10nm)からなる反強磁性層16とした。また、TMR素子の接合面積は、0.1×0.18μm2とした。加工後、磁場中アニールを磁化固着層の磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
ヨーク92付き配線90に0.5mAの電流パルスを流し電流磁界をアシストし、スピン注入電流を流し、何mAでスピンが反転するか調べたところ、図54に示すように0.34mAで反転した。これにより、本実施例による磁気メモリの構造は、大容量メモリとしての優位性を確認できた。
(第5実施例)
本発明の第5実施例として、図13および図20に示す第3および第4実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を作製した。作成した第3実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を試料1とし、作成した第4実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を試料2とする。また、比較例1および比較例2として図13および図20に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子、すなわち、誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。
本発明の第5実施例として、図13および図20に示す第3および第4実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を作製した。作成した第3実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を試料1とし、作成した第4実施形態の第2変形例による磁気抵抗効果素子を試料2とする。また、比較例1および比較例2として図13および図20に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子、すなわち、誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。
試料1、2および比較例1、2の磁気抵抗効果素子は以下のように作製される。
まず、試料1は、図13に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。
また、試料2は、図20に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層6/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。
比較例1として、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を順次形成する。
また比較例2として、下地層2/反強磁性層4/磁性層6/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を順次形成する。
本実施例では、下部配線は全てTa/Cu/Ta、下地層2は全てRuとした。また、試料1のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(4nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、(Co90Fe10)80B20(3nm)/Ru(0.95nm)/(Co90Fe10)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、AlOx(0.7nm)からなる誘電体層11かつCu(5nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
試料2のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4Co90Fe10(3nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、(Co90Fe10)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co90Fe10)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、AlOx(0.7nm)からなる誘電体層11かつRu(5nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
上記AlOx(0.7nm)からなる誘電体11は、Alを島状に成膜した後、in−situで自然酸化することにより作製した。AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8はAl(0.7nm)を成膜し自然酸化した後、再度Al(0.7nm)を成膜し自然酸化することにより作製した。
比較例1のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(4nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、(Co90Fe10)80B20(3nm)/Ru(0.95nm)/(Co90Fe10)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Cu(5nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
比較例2のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co90Fe10(3nm)からなる第1磁化固着層6、AlOx(1.4nm)からなるトンネルバリア層8、(Co90Fe10)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co90Fe10)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Ru(5nm)からなる非磁性金属層12、Co90Fe10(4nm)/Ru(0.85nm)/Co90Fe10(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
全ての試料はRu(5nm)からなるキャップ層/Ta(300nm)からなる金属保護膜を成膜した。
その後、試料1、2、比較例1、2はともに270℃で磁場中アニール後、レジスト塗布し、エッチングを行った後、140℃でオゾンフローによりレジストをスリミングし、スリミングしたレジストをマスクとしてSF6ガスでTaからなる金属保護膜をRIE法を用いてエッチングした。このエッチングは、Ruからなるキャップ層でストップさせた。その後、レジストを剥離し、Taからなる金属保護膜をハードマスクとして、トンネルバリア層までミリングまたは、RIE法を用いてパターニングし、強磁性トンネル接合を接合分離した。
上記試料1、2および比較例1、2の接合サイズはともに、0.1×0.18μm2であった。その後、SiOx保護膜を成膜した後、レジスト塗布し、レジストをパターニングしてレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして下部電極をRIE法を用いてパターニングした。その後、レジストパターンを除去し、SiOx層間絶縁膜を成膜した後、エッチバックを行い、平坦化を行うとともに、TMR膜上部のTaかたなる金属保護膜の表面を露出させた。その後、スパッタエッチングした後に配線をスパッタし、RIE法を用いてエッチバックすることにより、上部配線を形成した。その後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向に磁場を印加した。
試料1と比較例1、および試料2と比較例2にパルス幅が200nmのパルス電流を印加して何mAでスピンが反転するか調べた。図55に示すように、試料1では0.1mA、比較例1では0.5mAで反転し、図56に示すように、試料2では0.12mA、比較例2では0.53mAで反転した。これらの図55および図56から、本実施例による磁気抵抗効果素子の構造は大容量メモリとして適し、低電流でスピン注入書き込みができることが分かった。
(第6実施例)
本発明の第6実施例として、図12および図18に示す第3実施形態の第1変形例および第4実施形態による磁気抵抗効果素子を作製した。作成した第3実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子を試料3とし、作成した第4実施形態による磁気抵抗効果素子を試料4とする。また、比較例3および比較例4として図12および図18に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子、すなわち、誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。 試料3、4および比較例3、4による磁気抵抗効果素子は以下のように作製される。
本発明の第6実施例として、図12および図18に示す第3実施形態の第1変形例および第4実施形態による磁気抵抗効果素子を作製した。作成した第3実施形態の第1変形例による磁気抵抗効果素子を試料3とし、作成した第4実施形態による磁気抵抗効果素子を試料4とする。また、比較例3および比較例4として図12および図18に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子、すなわち、誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。 試料3、4および比較例3、4による磁気抵抗効果素子は以下のように作製される。
まず試料3は、図12に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。
また、試料4は、図18に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層6/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。
比較例3として、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を順次形成した。
また、比較例4として、下地層2/反強磁性層4/磁性層6/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜(第9比較試料)を順次形成した。
本実施例および比較例では、下部配線は全てTa/Cu/Ta、下地層は全てRuとした。試料3のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(4nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Ru(0.95nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、AlOx(0.7nm)からなる誘電体11かつAu(5nm)からなる非磁性金属層12、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
試料4のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、AlOx(0.7nm)からなる誘電体11かつRu(5nm)からなる非磁性金属層12、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
上記、AlOx(0.7nm)からなる誘電体は、パターンド自己整合プロセスを用いて作製した。
パターンド自己整合プロセスを簡単に示すと以下のようになる。
まず、試料4のTMR膜は、下側から順に、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(4nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Ru(0.95nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Au(5nm)からなる非磁性金属層12まで成膜し、
試料4のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Ru(5nm)からなる非磁性金属層12まで成膜する。
試料4のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Ru(5nm)からなる非磁性金属層12まで成膜する。
その後、ジブロックコポリマーを有機溶剤に溶かしたものをスピンコート法で形成する。続いて、真空中で140℃〜200℃程度の温度で30時間ほど長時間アニールを行なう。すると、アニール中にジブロックコポリマーは自己組織化による相分離を起こし、15nm〜30nmサイズのジブロックコポリマー部からなる海島構造が数十nm間隔で整列する。
その後、酸素プラズマにさらし、ジブロックポリマー部のみを選択的に除去する。ジブロックポリマー部が除去された部分に穴が開く。続いて、乳酸で希釈したSOG(スピンオングラス)をスピンコート法で塗布すると、上記穴内にSOGが埋め込まれる。そして、SOGからなるエッチングマスクを用いて、イオンミリングで非磁性金属層Ru,またはAuをパターニングする。
この自己組織化現象を用いたパターン形成方法は、通常のパターン形成方法、例えば、EB描画、フォトリソグラフィー、X線リソグラフィー、近接場光リソグラフィー、干渉露光法、FIB(Focused Ion Beam)などに比べると安価で短時間に大面積のパターンを形成することができる。また、海島構造は直径15nm〜80nm程度となり、前述の条件に適合するサイズを実現することができる。
続いて、エッチングマスクを除去した後、直ちにAlOxまたはSiOxからなる保護膜を形成する。
次に、Al2O3を成膜し、全面にOFRレジストを塗布してエッチバックし、非磁性金属の表面を露出させる。
続いて、試料3のTMR膜は、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16を成膜し、
試料4のTMR膜は、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16を成膜する。全ての試料に、Ru(5nm)からなるキャップ層/Ta(300nm)からなる金属保護膜を成膜した。その後の加工方法は第1実施例と同様である。これにより、本実施例の磁気抵抗効果素子が製造される。
試料4のTMR膜は、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16を成膜する。全ての試料に、Ru(5nm)からなるキャップ層/Ta(300nm)からなる金属保護膜を成膜した。その後の加工方法は第1実施例と同様である。これにより、本実施例の磁気抵抗効果素子が製造される。
上記試料3、4および比較例3、4の接合サイズはともに、0.1×0.18μm2であった。作製後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向に350℃にて磁場を印加した。
試料3と比較例3、および試料4と比較例4にパルス幅が200nmのパルス電流を印加して何mAでスピンが反転するか調べた。試料3では0.06mA、比較例3では0.22mA、試料4では0.055mA、比較例4では0.26mAで反転した。これにより、本実施例による磁気抵抗効果素子の構造は大容量メモリとして適し、低電流でスピン注入書き込みができることが分かった。また、繰り返し測定の結果、106回までのスピン注入書き込みを確認でき、本構造の信頼性が確認できた。
(第7実施例)
本発明の第7実施例として、図16に示す第3実施形態の第5変形例および図24に示す第4実施形態の第6変形例による磁気抵抗効果素子を作製した。作製した第3実施形態の第5変形例による磁気抵抗効果素子を試料5とし、作製した第4実施形態の第6変形例による磁気抵抗効果素子を試料6とする。また、比較例5および比較例6として図16および図24に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層2を有する磁気抵抗効果素子、すなわち誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。誘電体11で分断された非磁性金属層12の構造を、断面TEM(Transmission Electron Microscope)で観測したところ、図16および図24に示したように、シンセティック反強磁性結合のフリー層10の上部の非磁性金属層12が約1nmほど連続膜として残っていることが分かった。
本発明の第7実施例として、図16に示す第3実施形態の第5変形例および図24に示す第4実施形態の第6変形例による磁気抵抗効果素子を作製した。作製した第3実施形態の第5変形例による磁気抵抗効果素子を試料5とし、作製した第4実施形態の第6変形例による磁気抵抗効果素子を試料6とする。また、比較例5および比較例6として図16および図24に示す構造において誘電体11で分断されていない非磁性金属層2を有する磁気抵抗効果素子、すなわち誘電体11が設けられていない非磁性金属層12を有する磁気抵抗効果素子も同時に作製し、スピン反転電流を比較した。誘電体11で分断された非磁性金属層12の構造を、断面TEM(Transmission Electron Microscope)で観測したところ、図16および図24に示したように、シンセティック反強磁性結合のフリー層10の上部の非磁性金属層12が約1nmほど連続膜として残っていることが分かった。
試料5、6および比較例5、6の磁気抵抗効果素子は、実施例6と同様にして作製される。
まず試料5は、図16に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層61/非磁性層62/磁性層63/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/1nm程度の非磁性金属層12/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層141/非磁性層142/磁性層143/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜18からなる積層膜を形成する。
また、試料6は、図24に示すように、下部電極(図示せず)上にTMR膜、すなわち、下地層2/反強磁性層4/磁性層6/トンネルバリア層8/磁性層101/非磁性層102/磁性層103/1nm程度の非磁性金属層12/誘電体11で分断された非磁性金属層12/磁性層151/非磁性層152/磁性層153/反強磁性層16/Ruからなるキャップ層(図示せず)/金属保護膜からなる積層膜を形成する。
比較例5、6は、第6実施例の比較例3、4と同様の構造となっている。
本実施例では、下部配線は全てTa/Cu/Ta、下地層は全てRuとした。試料5のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(4nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層6、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Ru(0.95nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Au(1nm)からなる非磁性金属層12、AlOx(0.7nm)からなる誘電体11かつAu(4nm)からなる非磁性金属層12、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層14、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。
試料6のTMR膜は、下側から順に、PtMn(14nm)からなる反強磁性層4、Co70Fe30(3nm)からなる第1磁化固着層6、MgO(1.0nm)からなるトンネルバリア層8、(Co70Fe30)80B20(3nm)/Rh(0.8nm)/(Co70Fe30)80B20(3nm)からなる磁気記録層10、Ru(1nm)からなる非磁性金属層、AlOx(0.7nm)からなる誘電体11かつRu(4nm)からなる非磁性金属層12、Co70Fe30(4nm)/Ru(0.85nm)/Co70Fe30(3nm)からなる第2磁化固着層15、PtMn(14nm)からなる反強磁性層16とした。なお、上記AlOx(0.7nm)からなる誘電体層11は、パターンド自己整合プロセスを用いて作製した。
上記試料5、6および比較例5、6の接合サイズはともに、0.1×0.18μm2であった。作製後、磁場中アニールを磁性層の長軸方向に350℃にて磁場を印加した。
試料5と比較例5、および試料6と比較例6にパルス幅が200nmのパルス電流を印加して何mAでスピンが反転するか調べた。試料5では0.061mA、比較例5では0.22mA、試料6では0.057mA、比較例6では0.26mAで反転した。これにより、本実施例による磁気抵抗効果素子の構造は大容量メモリとして適し、低電流でスピン注入書き込みができることが分かった。また、繰り返し測定の結果、106回までのスピン注入書き込みを確認でき、本構造の信頼性が確認できた。本実施例より、磁気記録層10の上部と誘電体11との間に1nm程度の非磁性金属層12を有していても反転電流低減効果があることが明らかになった。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、磁気抵抗効果素子を構成する強磁性体層、絶縁膜、反強磁性体層、非磁性金属層、電極などの具体的な材料や、膜厚、形状、寸法などに関しては、当業者が適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の範囲に包含される。
同様に、本発明の磁気メモリを構成する各要素の構造、材質、形状、寸法についても、当業者が適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができるものも本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気メモリを基にして、当業者が適宜設計変更して実施しうるすべての磁気メモリも同様に本発明の範囲に属する。
2 下地層
4 反強磁性層
6 第1磁化固着層
61 磁性層
62 非磁性層
63 磁性層
8 トンネルバリア層
10 磁気記録層(磁化自由層)
101 磁性層
102 非磁性層
103 磁性層
12 非磁性金属層
14 第2磁化固着層
141 磁性層
142 非磁性層
143 磁性層
15 第2磁化固着層
16 反強磁性層
18 金属保護膜
4 反強磁性層
6 第1磁化固着層
61 磁性層
62 非磁性層
63 磁性層
8 トンネルバリア層
10 磁気記録層(磁化自由層)
101 磁性層
102 非磁性層
103 磁性層
12 非磁性金属層
14 第2磁化固着層
141 磁性層
142 非磁性層
143 磁性層
15 第2磁化固着層
16 反強磁性層
18 金属保護膜
Claims (17)
- 少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、
前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、
前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、
前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、
前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、
を備え、
前記第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に同じであって、前記非磁性金属層はCu、Ag、Auのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、前記磁化自由層の非磁性層はRu、Rh、Irのいずれかか、またはそれらの合金からなっていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、
前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、
前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、
前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、
前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、
を備え、
前記第1および第2磁化固着層の磁化の向きは互いに実質的に反対であって、前記非磁性金属層はRu、Rhのいずれかか、またはそれらの合金からなっており、前記磁化自由層の非磁性層はRh、Ruのいずれかか、またはそれらの合金からなっていることを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記磁化自由層の磁性層間の層間結合エネルギーJEXは、0.5erg/cm2より大きいことを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗効果素子。
- 少なくとも2つの磁性層と、前記磁性層間に設けられた非磁性層とを有し前記磁性層が反強磁性結合をし磁化の向きが可変な磁化自由層と、
前記磁化自由層の一方の側に設けられたトンネルバリア層と、
前記トンネルバリア層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第1磁化固着層と、
前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側に設けられた非磁性金属層と、
前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側に設けられ磁化の向きが固着された第2磁化固着層と、
を備え、
前記磁化自由層の磁性層間の層間結合エネルギーJEXは、0.5erg/cm2より大きいことを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記非磁性金属層は前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面に部分的に設けられ、
前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面の前記非磁性金属層が設けられていない部分に設けられた誘電体層を更に備え、
前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層および前記誘電体層それぞれの前記磁化自由層とは反対側の面を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面と実質的に同一面上にあることを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面よりも前記トンネルバリア層と前記磁化自由層との界面から遠いことを特徴とする請求項5記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記誘電体層の前記磁化自由層との界面は、前記非磁性金属層の前記磁化自由層との界面よりも前記トンネルバリア層と前記磁化自由層との界面に近いことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面に部分的に設けられた誘電体層を更に備え、
前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面および前記誘電体層の前記非磁性金属層とは反対側の面を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記誘電体層の前記第2磁化固着層との界面は、前記非磁性金属層の前記第2磁化固着層との界面と実質的に同一面上にあることを特徴とする請求項9記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面に部分的に設けられた誘電体層を更に備え、
前記非磁性金属層は前記磁化自由層の前記トンネルバリア層とは反対側の面の前記誘電体層が設けられていない部分に設けられるとともに前記誘電体層の前記磁化自由層とは反対側の面を覆うように設けられ、
前記第2磁化固着層は前記非磁性金属層の前記磁化自由層とは反対側の面に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。 - 前記誘電体層の前記磁化自由層との界面は、前記非磁性金属層の前記磁化自由層との界面と実質的に同一面上にあることを特徴とする請求項11記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1および第2磁化固着層の少なくとも一方が磁性層/非磁性層/磁性層の3層構造、または磁性層/非磁性層/磁性層/非磁性層/磁性層の5層構造のいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1および第2磁化固着層の少なくとも一方に反強磁性膜が接していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
- 請求項1乃至14のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子を有するメモリセルと、
前記磁気抵抗効果素子の一端が電気的に接続される第1配線と、
前記磁気抵抗効果素子の他端が接続される第2配線と、
を備えたことを特徴とする磁気メモリ。 - 請求項1乃至14のいずれかに記載の第1および第2磁気抵抗効果素子を有するメモリセルと、
前記第1および第2磁気抵抗効果素子のそれぞれの一端とそれぞれ接続される第1配線と、
前記第1磁気抵抗効果素子の他端と電気的に接続される第2配線と、
前記第2磁気抵抗効果素子の他端と電気的に接続される第3配線と、
を備え、前記第1配線から前記第2配線に向かう方向の前記第1磁気抵抗効果素子の層配置は、前記第1配線から前記第3配線に向かう方向の前記第2磁気抵抗効果素子の層配置と逆となっていることを特徴とする磁気メモリ。 - 一端が前記第2配線に接続される第1読み出しトランジスタと、一端が前記第3配線に接続される第2読み出しトランジスタと、前記第1読み出しトランジスタの他端と前記第2読み出しトランジスタの他端に接続される差動増幅回路と、を備えていることを特徴とする請求項16記載の磁気メモリ。
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