JP2007027475A - 直接接合ウエーハの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合界面にボイドやブリスターが発生せず、膜厚均一性が高い薄膜層を有する良質の直接接合ウエーハを低コストで製造できる直接接合ウエーハの製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、ボンドウエーハに酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成する工程と、前記ボンドウエーハとベースウエーハとを洗浄した後、前記ボンドウエーハの酸素イオン注入面で貼り合わせて貼り合わせ基板を形成する工程と、貼り合わせ面の接合強度を高めるための接合熱処理を行う工程と、前記ボンドウエーハを減厚して前記酸素イオン注入層を露出する工程と、該露出した酸素イオン注入層を除去して薄膜層を露出する工程とを含むことを特徴とする直接接合ウエーハの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、2枚のウエーハを直接接合してなる半導体デバイス用に利用可能な直接接合ウエーハの製造方法に関する。
直接接合ウエーハは、2枚のウエーハを酸化膜層を介さないで貼り合わせたものである。これによって、例えば異なる特性を持つ2層でのデバイスの製造が可能になり、デバイス性能の向上、設計の自由度の向上が期待される。例えば方位などが異なる異種のウエーハを貼り合わせた直接接合ウエーハは、2枚の単結晶ウエーハを接着し、必要に応じて数十nm〜数十μmまで片方のウエーハを薄膜化することによって作られる。薄膜化するには機械的研削、化学的機械的研磨、エッチングなどが用いられる。
しかし、ウエーハを厚さ700〜800μmから上記方法で上記厚さまで薄膜化すると、膜厚の均一性が著しく損なわれるという問題がある(例えば、特許文献1参照)。
また厚さ500nm以下の極薄膜層を有する直接接合ウエーハを製造する際には、そのような極薄膜SOI層を有するSOIウエーハのSOI層とウエーハとを直接接合し、元のSOIウエーハのベースウエーハ及びBOX(Buried Oxide、埋め込み酸化膜)層を機械的、化学的に除去する工程もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法は、高価なSOIウエーハを出発原料として使うことで製造コストが非常に高くなる。
またボンドウエーハの接合面側に水素イオンを注入してからボンドウエーハとベースウエーハとを貼り合わせ、熱処理によって水素注入位置でウエーハを剥離する水素イオン注入剥離法(例えば、特許文献3参照)もある。直接接合の場合、十分な接合強度を得るためには高温の熱処理が必要であるが、この方法では500℃程度の比較的低温でウエーハが厚さ方向に剥離されて薄膜が形成されてしまい、十分な強度が得られない。そこで、薄膜化後に接合強度を高めるために1000〜1200℃程度の高温処理が必要とされる。その際、貼り合わせ面に付着していた有機物などに起因して脱ガスが生ずるが、薄膜の剛性が十分ではないため、高温熱処理によりボイドやブリスターと呼ばれる接合界面の不良が発生しやすい。この場合、接合面の少なくとも一方に十分な厚さ(100nm以上)の酸化膜が存在すれば、有機物などに起因して脱ガスがその酸化膜中に取り込まれるため、高温熱処理によるボイドやブリスターの発生は抑制されるが、実質的に酸化膜を介在させない直接接合の場合、このような接合界面の不良が発生しやすく、製造歩留が低下し大きな問題となる。
また、直接接合ウエーハの場合、900℃以上の高温領域で接合熱処理を行うと、熱処理後に超音波探傷法でボイドを観察することによりボイドが完全に消滅したのを確認できた場合であっても、接合界面の結晶性評価をX線で行うと、ボイドの外形状に似たリング状の結晶欠陥が検出され、その部分のデバイス特性に悪影響を及ぼすという問題がある(例えば、特許文献4参照)。
特開2005−32882号公報 特開平7−58304号公報 特開平5−211128号公報 特開2005−57247号公報
本発明は、上記課題を鑑みなされたもので、接合界面にボイドやブリスターが発生せず、膜厚均一性が高い薄膜層を有する良質の直接接合ウエーハを低コストで製造できる直接接合ウエーハの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明は、直接接合ウエーハの製造方法であって、少なくとも、ボンドウエーハに酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成する工程と、前記ボンドウエーハとベースウエーハとを洗浄した後、前記ボンドウエーハの酸素イオン注入面で貼り合わせて貼り合わせ基板を形成する工程と、貼り合わせ面の接合強度を高めるための接合熱処理を行う工程と、前記ボンドウエーハを減厚して前記酸素イオン注入層を露出する工程と、該露出した酸素イオン注入層を除去して薄膜層を露出する工程とを含むことを特徴とする直接接合ウエーハの製造方法を提供する(請求項1)。
このように、ボンドウエーハに酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成し、ボンドウエーハとベースウエーハとを洗浄後、ボンドウエーハの酸素イオン注入面で貼り合わせ、接合熱処理を行い、ボンドウエーハを減厚して酸素イオン注入層を露出し、該露出した酸素イオン注入層を除去して薄膜層を露出させれば、接合界面にボイドやブリスターが発生せず、膜厚均一性が高い薄膜層を有する良質の直接接合ウエーハを低コストで製造できる。
この場合、少なくとも前記酸素イオン注入の後、前記酸素イオン注入層を酸化物層に改質するための改質熱処理を行うことが好ましい(請求項2)。
このように、酸素イオン注入の後、酸素イオン注入層を酸化物層に改質するための改質熱処理を行えば、エッチングにより酸化物層を容易に除去できる。
また、前記接合熱処理を、前記酸素イオン注入層を酸化物層に改質するための改質熱処理を兼ねて行うことができる(請求項3)。
このように、接合熱処理を、改質熱処理を兼ねて行うことができ、効率的に直接接合ウエーハを製造できる。
また、前記酸素イオン注入の後、該酸素イオンの注入により発生したダメージを回復するための回復熱処理を、前記接合熱処理及び前記改質熱処理より前に行うことが好ましい(請求項4)。
このように、回復熱処理を接合熱処理及び改質熱処理より前に行えば、最終的な直接接合の表面層の欠陥の低減が可能になり、膜厚を比較的厚くできるので、デバイス設計の自由度をあげることができる。
また、前記ボンドウエーハとベースウエーハとの洗浄の際に、少なくとも、オゾンを含む洗浄液で洗浄することが好ましい(請求項5)。
このように、ボンドウエーハとベースウエーハとの洗浄の際に、少なくとも、オゾンを含む洗浄液で洗浄すれば、比較的厚い酸化膜(自然酸化膜)が貼り合わせ面に形成されるため、ボイドなどの貼り合わせ不良をより一層低減できる。
また、前記接合熱処理の前に、熱処理温度を、1.5℃/分以下の昇温速度で200℃から100℃以上昇温させる低温熱処理を行なうことが好ましい(請求項6)。
このように、接合熱処理の前に、熱処理温度を1.5℃/分以下の昇温速度で200℃から100℃以上昇温させる低温熱処理を行なえば、接合界面にボイドの外形状に似たリング状の結晶欠陥が発生することを防止できる。
また、前記ボンドウエーハの減厚を、少なくともエッチングにより行うことが好ましい(請求項7)。
このように、ボンドウエーハの減厚を少なくともエッチングにより行えば、研削や研磨等のみにより減厚を行うよりも薄膜層の膜厚均一性を高くできる。
また、前記エッチングを、エッチストップ法により行うことが好ましい(請求項8)。
このように、エッチングをエッチストップ法により行えば、薄膜層の膜厚均一性をより高くできる。
また、前記ボンドウエーハの減厚を、第1平面研削、第2平面研削、研磨によりこの順序で行った後、前記エッチングにより行うことが好ましい(請求項9)。
このように、ボンドウエーハの減厚を、第1平面研削、第2平面研削、研磨によりこの順序で行った後、エッチングにより行えば、エッチングのみで減厚を行うよりも生産性を向上できる。
また、前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層を露出した後、前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層が露出した貼り合わせ基板を熱酸化することが好ましい(請求項10)。
このように、酸素イオン注入層又は酸化物層を露出した後、貼り合わせ基板を熱酸化すれば、酸素イオン注入層又は酸化物層はより完全な酸化物となり、エッチングにより確実に除去することが可能となる。
また、前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層を除去した後、前記露出した薄膜層表面に熱処理及び/又は化学的機械的研磨を施すことが好ましい(請求項11)。
このように、露出した薄膜層表面に熱処理及び/又は化学的機械的研磨を施せば、表面の微小な凹凸を除去でき、表面粗さや平坦度が良好な薄膜層とできる。
また、前記露出した薄膜層表面に施す熱処理を、100%アルゴン雰囲気下で行うことが好ましい(請求項12)。
このように、熱処理を100%アルゴン雰囲気下で行えば、より効果的に表面状態の改善をすることができるのと同時に、接合界面に残る酸化膜を外方拡散により消滅させることができるので、直接接合の接合界面の完全性が高められる。
また、前記回復熱処理を、1000℃以上、ウエーハの融点未満の温度で、急速加熱、急速冷却装置を用いて行うことが好ましい(請求項13)。
このように、回復熱処理を、1000℃以上、ウエーハの融点未満の温度で、急速加熱、急速冷却装置を用いて行えば、より短時間で効率的にダメージの軽減や回復ができる。
この場合、前記回復熱処理を酸素を含む雰囲気で行なうことが好ましい(請求項14)。
このように、酸化性雰囲気で熱処理することによりボンドウエーハの表面に熱酸化膜が形成されれば、その酸化膜を介して貼り合わせることによってオゾン洗浄で形成された酸化膜よりさらに稠密な酸化膜を介して貼り合わせることができ、ボイドなどの不良をさらに低減できる。
また、前記ボンドウエーハとしてシリコン単結晶ウエーハを用い、前記ベースウエーハとして、前記ボンドウエーハとは結晶方位、ドーパントの種類、ドーパントの濃度、単結晶の製造条件の少なくともいずれか一つが異なるシリコン単結晶ウエーハを用いることが好ましい(請求項15)。
このように、ボンドウエーハとしてシリコン単結晶ウエーハを用い、ベースウエーハとしてボンドウエーハとは結晶方位、ドーパントの種類、ドーパントの濃度、単結晶の製造条件の少なくともいずれか一つが異なるシリコン単結晶ウエーハを用いれば、異なる特性を持つ2層でのデバイスの製造が可能となる直接接合ウエーハを製造できる。
また、前記酸素イオン注入量を0.8〜20×1017atoms/cmとすることが好ましい(請求項16)。
このように、酸素イオン注入量を0.8〜20×1017atoms/cmとすれば、ウエーハを減厚する際に有効に作用するのに十分な量であり、また長時間のイオン注入が必要でなく、生産性を高くできる。
本発明に従えば、接合界面にボイドやブリスターが発生せず、膜厚均一性が高い薄膜層を有する良質の直接接合ウエーハを低コストで製造できる。
以下、本発明について詳述する。
前述のように、従来の直接接合ウエーハの製造方法では、薄膜層の膜厚均一性が損なわれたり、製造コストが高くなったり、接合界面にボイドやブリスター等の不良が発生しやすいなどの問題があった。
本発明者らは、ボンドウエーハに酸素イオン注入層を形成してベースウエーハと貼り合わせた後に接合熱処理をし、その後ボンドウエーハを減厚して酸素イオン注入層を露出し、該露出した酸素イオン注入層を除去して薄膜層を露出させれば、接合界面にボイドやブリスターが発生せず、膜厚均一性が高い薄膜層を有する直接接合ウエーハを低コストで製造できることに想到し、本発明を完成させた。
以下では、本発明の実施の形態について図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1(a)〜(l)は、本発明に従った直接接合ウエーハの製造工程の一例を示す図である。
まず、ボンドウエーハとして少なくとも一方の表面が鏡面研磨されたウエーハ1を用意する(図1(a))。この様なウエーハとしては、特に限定はないが、シリコン単結晶ウエーハを用いることができ、シリコン単結晶ウエーハの表面にSi層やSiGe層のエピタキシャル層を形成したエピタキシャルシリコンウエーハを用いることもできる。
次に、ボンドウエーハ1に酸素イオンを注入して酸素イオン注入層2を形成する(図1(b))。一般的に酸素イオン注入はSIMOX(Separation by Implanted Oxide)ウエーハ等の製造で使われるが、化学量論的には完全な酸化膜を形成するためには、2×1018atoms/cmの酸素の注入が必要である。又、酸素注入量を3×1017atoms/cm前後として、高温酸化プロセスでの酸素の内方拡散でBOX層の酸素を補って酸化膜の完全性を高める方法(ITOX、Internal Thermal Oxidation)もよく知られている。
しかし本発明の場合、必ずしも酸素イオン注入層で完全なBOX層を作成する必要はない。なぜならば、本発明に係る直接接合ウエーハではこの酸素イオン注入層2は後の工程で除去されるためで、後の工程でボンドウエーハを減厚する際に、例えばエッチングでボンドウエーハを選択的に除去可能な酸化物層として機能すればよく、好ましくは0.8〜20×1017atoms/cm、さらに好ましくは1〜10×1017atoms/cm、特に好ましくは2〜5×1017atoms/cmである。0.8×1017atoms/cm以上であれば改質熱処理を加えることにより、選択的にボンドウエーハを除去するという目的を達することができる。20×1017atoms/cmを超える注入を行うにはきわめて長時間のイオン注入が必要になり、工業的な生産には適さない。
また、イオン注入によってボンドウエーハの表面層には大きなダメージが残るため、転位などの結晶欠陥の原因となり得る。そこで、酸素イオン注入の後、後工程で行う高温熱処理(接合熱処理や改質熱処理)より前に、酸素イオン注入により発生したダメージを回復、軽減する回復熱処理(図1(c))を行うことが好ましい。これによって、最終的な直接接合の表面層の欠陥の低減が可能になる。また上記ダメージは酸素イオン注入層の上(注入表面側)に存在しているので、あらかじめダメージ層を緩和しておくことによって膜厚の比較的厚い(たとえば200nm以上)直接接合ウエーハの製造が可能であり、デバイス設計の自由度をあげることができる。この回復熱処理は上記の高温熱処理より前であれば良く、貼り合わせ前でも後でも良いが、ウエーハのハンドリングを考えると図1(c)のように貼り合わせ前であることが好ましい。
また、この回復熱処理を、1000℃以上、ウエーハの融点未満の温度で、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置等の急速加熱、急速冷却装置を用いて行えば、より短時間で効率的にダメージの軽減や回復ができる。
具体的な一例として、貼り合わせ前のボンドウエーハに1000℃、30秒のRTA処理を100%酸素雰囲気下で行うと表面に約4nmの熱酸化膜が形成されるので、その酸化膜を介して貼り合わせることにより、ボイドなどの不良を効果的に低減できる。尚、この酸化膜は薄膜化後の高温熱処理により消滅させることができる。
次に、ボンドウエーハとは別にベースウエーハ3を用意する。ベースウエーハとしては、ボンドウエーハと同様に主にシリコン単結晶ウエーハが用いられ、ボンドウエーハと同一仕様のシリコン単結晶ウエーハを用いることができるほか、ボンドウエーハとは結晶方位やドーパントの種類、濃度、あるいは、単結晶の引き上げ条件等の製造条件(従って、例えばグローンイン欠陥分布が異なるもの)などの製品仕様の少なくともいずれか一つが異なるウエーハを用いることもできる。これによって、異なる特性を持つ2層でのデバイスの製造が可能となる直接接合ウエーハを製造できる。
例えば、2つのウエーハのドーパントの種類を異なるものして一方をn型、もう一方をp型としたり、ボンドウエーハを面方位(110)として高速デバイスを作製可能としたり、単結晶の引き上げ条件の調整により欠陥領域をグローンイン欠陥のないN領域としたウエーハをボンドウエーハに用いたりすることができる。
そして、酸素イオン注入層2が形成されたボンドウエーハ1とベースウエーハ3とを洗浄した後、ボンドウエーハの酸素イオン注入面で両者を貼り合わせて貼り合わせ基板4を作製する(図1(d))。貼り合わせ前の洗浄としては、アンモニア・過酸化水素水洗浄(SC1)と塩酸・過酸化水素水洗浄(SC2)を基本とする一般的なRCA洗浄を用いることができるが、ボイドなどの貼り合わせ不良を低減するため、洗浄により貼り合わせ表面に形成される酸化膜(自然酸化膜)を比較的厚いものとする目的で、洗浄の際に、オゾン(O)を含む洗浄液による洗浄を加えることが好ましい。
次に、貼り合わせ基板4の貼り合わせ面の接合強度を高めるために接合熱処理を行う(図1(e))。接合熱処理は、後工程でボンドウエーハを減厚する際にかかる負荷やデバイスプロセスに十分耐えうる接合強度とするために行われ、通常は1000〜1300℃、30分〜5時間程度の条件で実施される。このとき貼り合わせ基板4の表面には酸化膜5が形成される。
この際、接合熱処理の前に、熱処理温度を1.5℃/分以下の速度で200℃から100℃以上昇温させる低温熱処理を行うことが好ましい。これは、前述のように、本発明のような直接接合の場合、900℃以上の高温領域で接合熱処理を行うと、熱処理後に超音波探傷法でボイドを観察することによりボイドが完全に消滅したのを確認できた場合であっても、接合界面の結晶性評価をX線で行うと、ボイドの外形状に似たリング状の結晶欠陥が検出され、その部分のデバイス特性に悪影響を及ぼすという問題があるため、これを回避するために行うものである。
この低温熱処理は、接合熱処理の前に行えばよく、同一の炉を用いてまず低温熱処理を行ない、その後連続的に高温の接合熱処理を行うことができるが、低温熱処理と接合熱処理を別々の炉を用いて実施してもよい。
前記接合熱処理により、ボンドウエーハ中の酸素イオン注入層の酸化物層への改質が進むが、これだけでは後工程でエッチストップ法を用いる場合に、十分なエッチストップ機能を有する酸化物層に到達していないおそれがあるので、前記接合熱処理よりも更に高温の、例えば、1200〜1400℃で数時間から十数時間程度の改質熱処理を行うことが好ましい(図1(f))。これにより、酸素イオン注入層2は、十分なエッチストップ機能を有する酸化物層に確実に改質される。
尚、改質熱処理を貼り合わせ工程の後に行う場合は、接合熱処理と改質熱処理とを別々に行ってもよいが、接合熱処理を改質熱処理を兼ねて行えば効率的である。
また、改質熱処理は、酸素イオン注入の後であれば、貼り合わせ工程の前に行うこともできる。その場合には、ボンドウエーハとベースウエーハの貼り合わせを改質熱処理の後に行うことになるので、接合熱処理は改質熱処理とは別途行う必要がある。
次に、HF溶液等によりボンドウエーハ表面の酸化膜を除去した後、ボンドウエーハを減厚して酸化物層6を露出する。このとき、減厚の方法は特に限定されないが、少なくともエッチングにより行うことが好ましく、特にエッチストップ法により行うことが好ましい。これにより、露出する酸化物層6の表面を平滑にできるので、後工程で露出する薄膜層の膜厚均一性をより高くできる。
尚、エッチストップ法とは、成分などが異なる層間のエッチング速度差を利用して、エッチング速度の遅い層でエッチングをストップさせる手法である。
前述のように、接合熱処理によりボンドウエーハの酸素イオン注入層は酸化物層に改質が進み、改質熱処理により確実に酸化物層に改質される。本発明における「酸化物層」は、熱処理が完了した貼り合わせ基板のボンドウエーハをエッチングにより減厚する工程において、酸化物層よりも貼り合わせ面側に形成されている薄膜層に影響を与えることなくエッチングを停止することができる層であればよいが、酸素イオン注入層であっても、ある程度改質が進んでいれば、このようなエッチストップ機能を有する。ボンドウエーハがシリコン単結晶ウエーハの場合、酸素イオン注入層はシリコン酸化膜に改質されるので、シリコンのエッチング速度がシリコン酸化膜のエッチング速度よりも少なくとも数倍〜数10倍速いエッチング液を用いれば、シリコン酸化膜でシリコンのエッチングを実質的に停止させることができる。
具体的には、ボンドウエーハがシリコン単結晶ウエーハの場合は、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液、KOH水溶液、混酸(フッ酸、硝酸、酢酸の混合溶液)などを用いて、シリコンのエッチングを実質的に停止させ、シリコン酸化膜を露出させることができる。
ボンドウエーハを減厚して酸化物層6を露出する工程は、エッチングのみで行うこともできるが、生産性の向上、および、シリコン酸化膜のエッチストップ能力の緩和等を考慮すると、ボンドウエーハの減厚を低番手の砥石を用いた第1平面研削、高番手の砥石を用いた第2平面研削、研磨の順番で行なって表面を平坦化した後(図1(g))、ウェットエッチングによりエッチストップして酸化物層を露出することが好ましい(図1(h))。
なお、イオン注入量が低い場合、接合熱処理により酸化物層への改質が進んでいない場合、または熱処理の温度が低い場合など、露出した酸化物層が不完全なシリコン酸化膜になっていると、後工程で酸化物層を除去する際にHF水溶液だけではきれいに除去できない場合もある。また改質熱処理をしない場合も、露出した酸素イオン注入層を除去することになるので、HF水溶液だけではきれいに除去できない場合もあり得る。そのため、酸化物層等が露出した貼り合わせ基板を熱酸化する工程を行うことが好ましい(図1(i))。これにより、露出した酸化物層等がより完全なシリコン酸化膜になるため、後にHF水溶液により確実に除去することが可能となり、貼り合わせ界面に実質的に酸化膜のない直接接合ウエーハを得ることができる。
次に露出した酸化物層6を除去して薄膜層7(ボンドウエーハの貼り合わせ面近傍の領域)を露出する(図1(j))。この場合、酸化物層6は、酸化物のみが除去されるエッチング液によって除去できる。酸化物層がシリコン酸化膜の場合、HF水溶液を用いてこれを除去することができる。
こうして酸化物層を除去したウエーハは直接接合ウエーハとなっているが、薄膜層7の表面はSIMOXウエーハのBOX界面同様、微小な凹凸が存在することがある。従って、薄膜層の表面にわずかに化学的機械的研磨(CMP、Chemical Mechanical Polish)を施すことが好ましい。また、100%アルゴンなどの不活性ガス雰囲気または水素ガス雰囲気、あるいはこれらの混合ガス雰囲気中で1100〜1300℃程度の高温熱処理を施すこともできる。さらに、このような高温熱処理と研磨を組み合わせて行うこともできる。
具体的には、露出した薄膜層7の表面に対して、まず、例えばアルゴン雰囲気下1150〜1250℃、1〜5時間の熱処理を行うことにより(図1(k))、表面粗さの比較的長周期成分を改善し、研磨代100nm以下のCMPを行って(図1(l))、表面粗さの短周期成分を改善すれば、優れた表面粗さと平坦度を有する直接接合ウエーハが得られる。
尚、酸化物層6を除去して完成した直接接合ウエーハの接合界面には、貼り合わせ前の回復熱処理や洗浄により貼り合わせる面に形成された薄い酸化膜8が残留しているが、上記のような高温での平坦化熱処理を行うと、表面の平坦化と同時に、接合界面の酸化膜中の酸素が外方拡散することにより、酸化膜を消失させる効果が得られる。従って、酸化物層除去後の直接接合ウエーハに高温熱処理を加えると、より一層、完全な直接接合ウエーハを得ることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1、2)
本発明に従う製造工程により、直接接合ウエーハを作製した(実施例1、2)。その際の具体的条件を表1に示す。
Figure 2007027475
(実施例3)
実施例2の直接接合ウエーハの製造工程において、貼り合わせ前洗浄のみを実施例1と同一条件で行うことにより、貼り合わせ前のボンドウエーハの表面酸化膜厚を、RTAによる回復熱処理で形成された4nmとして直接接合ウエーハを作製した。
その結果、実施例1、2、3のいずれの直接接合ウエーハにおいても、接合界面にブリスターの発生は見られなかった。また、実施例1の直接接合ウエーハにおいては、X線による接合界面の結晶性評価によりリング状の結晶欠陥が一部に見られたが、実施例2、3ではこのリング状結晶欠陥も発生していなかった。
(比較例1)
実施例1と同様のボンドウエーハ、ベースウエーハを用い、水素イオン注入剥離法により直接接合ウエーハを作製した(比較例1)。なお、水素イオン注入は、注入エネルギーを200keV、注入量を8×1016atoms/cmとして行い、剥離熱処理は、熱処理温度を500℃、熱処理時間を30分として、窒素雰囲気下で行った。なお、貼り合わせ前洗浄と接合熱処理については、実施例1と同様の条件で行った。
その結果、比較例1の直接接合ウエーハには、剥離熱処理の直後にはブリスターはなかったものの、結合熱処理により接合界面にブリスターが発生した。また、X線による接合界面の結晶性評価によりリング状の結晶欠陥が一部に見られた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に従った半導体ウエーハの製造工程の一例を示す図である。
符号の説明
1…ボンドウエーハ、 2…酸素イオン注入層、 3…ベースウエーハ、
4…貼り合わせ基板、 5…酸化膜、 6…酸化物層、 7…薄膜層、
8…薄い酸化膜。

Claims (16)

  1. 直接接合ウエーハの製造方法であって、少なくとも、
    ボンドウエーハに酸素イオンを注入して酸素イオン注入層を形成する工程と、
    前記ボンドウエーハとベースウエーハとを洗浄した後、前記ボンドウエーハの酸素イオン注入面で貼り合わせて貼り合わせ基板を形成する工程と、
    貼り合わせ面の接合強度を高めるための接合熱処理を行う工程と、
    前記ボンドウエーハを減厚して前記酸素イオン注入層を露出する工程と、
    該露出した酸素イオン注入層を除去して薄膜層を露出する工程とを含むことを特徴とする直接接合ウエーハの製造方法。
  2. 少なくとも前記酸素イオン注入の後、前記酸素イオン注入層を酸化物層に改質するための改質熱処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  3. 前記接合熱処理を、前記酸素イオン注入層を酸化物層に改質するための改質熱処理を兼ねて行うことを特徴とする請求項1に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  4. 前記酸素イオン注入の後、該酸素イオンの注入により発生したダメージを回復するための回復熱処理を、前記接合熱処理及び前記改質熱処理より前に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  5. 前記ボンドウエーハとベースウエーハとの洗浄の際に、少なくとも、オゾンを含む洗浄液で洗浄することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  6. 前記接合熱処理の前に、熱処理温度を、1.5℃/分以下の昇温速度で200℃から100℃以上昇温させる低温熱処理を行なうことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  7. 前記ボンドウエーハの減厚を、少なくともエッチングにより行うことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  8. 前記エッチングを、エッチストップ法により行うことを特徴とする請求項7に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  9. 前記ボンドウエーハの減厚を、第1平面研削、第2平面研削、研磨によりこの順序で行った後、前記エッチングにより行うことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  10. 前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層を露出した後、前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層が露出した貼り合わせ基板を熱酸化することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  11. 前記酸素イオン注入層又は前記酸化物層を除去した後、前記露出した薄膜層表面に熱処理及び/又は化学的機械的研磨を施すことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  12. 前記露出した薄膜層表面に施す熱処理を、100%アルゴン雰囲気下で行うことを特徴とする請求項11に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  13. 前記回復熱処理を、1000℃以上、ウエーハの融点未満の温度で、急速加熱、急速冷却装置を用いて行うことを特徴とする請求項4乃至請求項12のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  14. 前記回復熱処理を、酸素を含む雰囲気で行なうことを特徴とする請求項4乃至請求項13のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  15. 前記ボンドウエーハとしてシリコン単結晶ウエーハを用い、前記ベースウエーハとして、前記ボンドウエーハとは結晶方位、ドーパントの種類、ドーパントの濃度、単結晶の製造条件の少なくともいずれか一つが異なるシリコン単結晶ウエーハを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
  16. 前記酸素イオン注入量を0.8〜20×1017atoms/cmとすることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の直接接合ウエーハの製造方法。
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