JP2007023800A - 内燃機関のバルブ特性制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶対作用角等の機関バルブの絶対バルブ特性を適正に推定することができ、特に、相対位置センサの検出値に基づき算出されたアクチュエータの相対移動量が、電子制御装置のリセット等により不明となった場合に有効な内燃機関のバルブ特性制御装置を提供する。
【解決手段】吸気バルブの絶対作用角が、エンジン運転状態に応じた目標作用角となるように電動モータに対する通電時間をデューティ制御するものにおいて、吸気バルブの作用角と、その作用角を変化させるためのトルクを電動モータに発生させる際に要求されるデューティ比Dとの関係を予めマップの形態で記憶しておく。電子制御装置がリセットされた場合には、デューティ比Dを変化させていき(ステップ140)、作用角が変化し始めるときのデューティ比Dを求め、そのデューティ比Dに対応する作用角を絶対作用角として、上記マップから推定する(ステップ130,150,160)。
【選択図】 図6

Description

本発明は、機関バルブの開弁期間(作用角)及び最大リフト量の少なくとも一方をバルブ特性とし、そのバルブ特性を機関運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブ特性制御装置に関するものである。
内燃機関の一般的な動弁機構は、バルブスプリングによって閉弁方向に付勢された機関バルブを、カムシャフトのカムによって直接、又はロッカーアーム等を介して押下げて開弁させる構成を採用している。この動弁機構によって機関バルブを作動させる場合、機関バルブの開弁期間(カムの作用角)や最大リフト量といったバルブ特性は、機関運転状態に拘わらず一定である。
これに対し、近年では、上記動弁機構としてバルブ特性可変機構を用いることが提案されている。バルブ特性可変機構は機関バルブのバルブ特性を可変とする機構であり、電動モータ等のアクチュエータによって駆動される。これらのバルブ特性可変機構及びアクチュエータによるバルブ特性の可変制御に際しては、機関運転状態に応じた目標バルブ特性、例えば目標作用角が算出され、実際の作用角(絶対作用角)がその目標作用角となるようにアクチュエータに対する通電が制御される。
この制御により、例えば内燃機関の低回転低負荷域では、吸気バルブの作用角を小さくして吸入空気量を制限することで、スロットルバルブの開度制御によって生ずるポンピングロスを小さくし、燃費の向上を図ることができる。また、内燃機関の高回転高負荷域では上記作用角を大きくし、吸気充填効率の向上により機関出力の増加を確保することができる。
ところで、上記作用角、すなわちバルブ特性可変機構の動作位置は作用角センサによって検出される。この作用角センサとして相対位置センサが用いられる場合には、検出対象であるアクチュエータの可動部が一定量移動する毎に相対位置センサからパルス信号が出力される。アクチュエータがモータである場合には、そのモータが一定角度回転する毎にパルス信号が出力される。このパルス信号が計数されることで、電源投入後にアクチュエータが移動した量(相対移動量)が求められる。しかし、この相対移動量だけでは、アクチュエータがその可動範囲のどの位置(絶対位置)にあるのか判らない。そのため、アクチュエータの基準位置が別途設定される。例えば、内燃機関が停止するときのアクチュエータの絶対位置が不揮発性のメモリに記憶される。内燃機関の次回始動時には、前回の機関停止時に記憶された絶対位置がメモリから読出され、この絶対位置がアクチュエータの基準位置として設定される。これらの基準位置と相対移動量とに基づき絶対位置が求められる。そして、このアクチュエータの絶対位置に対応する作用角が絶対作用角としてアクチュエータの通電制御に用いられる。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、例えば特許文献1に記載された「パワーウィンドの制御装置」が挙げられる。この制御装置では、モータの回転角をパルス信号に変換するエンコーダが設けられ、そのパルス信号が計数されることによりモータの回転角が積算されて相対回転角が演算される。そして、モータの基準回転角と上記相対回転角とにより絶対回転角が求められる。
特開2004−76265号公報
ところが、上記バルブ特性(作用角)を可変制御する技術では、アクチュエータの通電制御を司る電子制御装置が、電圧低下によりリセットされた場合、基準位置の設定時(この場合、機関始動時)からリセット直前までの期間におけるパルス信号の計数値がクリアされてしまい、アクチュエータの相対移動量が不明となる。ここで、機関始動から電子制御装置がリセットされるまでの期間に、アクチュエータが作動せず作用角が変化していないのであれば特に問題とならない。前回の機関停止時における絶対位置をメモリから読出し、これをリセット直後におけるアクチュエータの絶対位置としても支障がないからである。しかし、機関始動後に少しでもアクチュエータが作動して作用角が変化していれば、アクチュエータの相対移動量が不明であることから、そのアクチュエータの絶対位置、ひいては機関バルブの絶対作用角を正確に把握することが困難となる。
ここで、パルス信号の計数値についてはリセットによりクリアされるが、電子制御装置がリセットから復帰すれば、その後の相対移動量については、上記パルス信号を新たに計数することで検出可能である。従って、電子制御装置がリセットされても、その後にアクチュエータの絶対位置(機関バルブの絶対作用角)を一度でも推定できれば、その絶対位置を新たな基準位置とし、この基準位置と上記相対移動量とに基づきアクチュエータの絶対位置を算出することが可能となる。
なお、特許文献1に記載された技術では、電子制御装置がリセットされた場合の処理について考慮されていない。そのため、この技術を、上記バルブ特性可変機構を駆動するアクチュエータの制御に適用したとしても、電子制御装置のリセット直前までの相対移動量が不明となった場合には、上記と同様の不具合が起こり得る。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、絶対作用角等の絶対バルブ特性を適正に推定することができ、特に、相対位置センサの検出値に基づき算出されたアクチュエータの相対移動量が、電子制御装置のリセット等により不明となった場合に有効な内燃機関のバルブ特性制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明では、バルブスプリングに抗して機関バルブを開弁させるとともに、その機関バルブの開弁期間及び最大リフト量の少なくとも一方をバルブ特性とし、そのバルブ特性を可変とするバルブ特性可変機構と、通電により作動して前記バルブ特性可変機構を駆動するアクチュエータと、前記バルブ特性可変機構による絶対バルブ特性が内燃機関の運転状態に応じた目標バルブ特性となるように前記アクチュエータを制御する制御手段とを備える内燃機関のバルブ特性制御装置であって、バルブ特性と、そのバルブ特性を変化させるためのトルクを前記アクチュエータに発生させる際に要求される電流指標値との関係を予め記憶した記憶手段と、前記アクチュエータに対する電流指標値を変化させていき、前記バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値を求め、その電流指標値に対応するバルブ特性を前記絶対バルブ特性として、前記記憶手段における前記関係に基づき推定する推定手段とを備えるとする。
上記の構成によれば、通電によりアクチュエータが作動してバルブ特性可変機構が駆動されると、バルブスプリングに抗して機関バルブが開弁される。この際、アクチュエータはバルブスプリングを圧縮させるために必要なトルクを発生している。
ここで、バルブスプリングは、機関バルブの開弁に関わるバルブ特性(開弁期間や最大リフト量)が大きくなるほど多く圧縮される。一方、バルブスプリングの圧縮量が多くなるほど、バルブスプリング側からアクチュエータに加わる負荷(圧縮反力)が大きくなり、その負荷に抗してアクチュエータを作動させるために大きなトルクが必要となる。従って、機関バルブを大きなバルブ特性にて開弁させる場合ほど、アクチュエータに大きなトルクが必要となる。そして、アクチュエータが、通電量に応じた大きさのトルクを発生するものである場合には、バルブ特性が大きくなるほど、そのバルブ特性を変化させるために多くの量の通電が必要となる。
これらのことから、機関バルブが所定のバルブ特性にて開弁している場合に、アクチュエータに対する通電量を変化させていくと、当初はアクチュエータが作動せずバルブ特性が変化しないが、通電量がある値を越えたところでアクチュエータが作動してバルブ特性が変化し始める。この際の通電量とバルブ特性との関係が予め判っていれば、バルブ特性が変化し始めるときの通電量からバルブ特性を推定することが可能である。
この点、請求項1に記載の発明では、バルブ特性と、アクチュエータへの通電に関わる電流指標値との関係が予め記憶手段に記憶されている。電流指標値は、上記バルブ特性を変化させるためのトルクをアクチュエータに発生させる際に要求される値である。一方、推定手段では、アクチュエータに対する電流指標値が変化されていく。そして、バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値が求められる。上記記憶手段におけるバルブ特性と電流指標値との関係から、上記のようにして求められた電流指標値に対応するバルブ特性が、そのときの絶対バルブ特性として推定される。
このように、請求項1に記載の発明によれば、アクチュエータに対する電流指標値を変化させていき、バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値に対応するバルブ特性を求めることで、そのときの絶対バルブ特性を適正に推定することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記アクチュエータの相対移動量を検出する相対位置センサをさらに備え、前記制御手段は、前記アクチュエータの基準位置を設定し、その基準位置からの前記相対位置センサによる相対移動量に基づき前記アクチュエータの絶対位置を求めるとともに、その絶対位置に対応する絶対バルブ特性が前記目標バルブ特性となるように前記アクチュエータを制御するものであり、前記推定手段は、前記絶対位置に対応する絶対バルブ特性を用いた前記制御手段による前記アクチュエータの制御が不能となったときに、前記絶対バルブ特性の推定を行うものであるとする。
上記の構成によれば、通常時には、制御手段では、基準位置からのアクチュエータの相対移動量に基づきアクチュエータの絶対位置が求められる。そして、その絶対位置に対応する絶対バルブ特性がそのときの内燃機関の運転状態に応じた目標バルブ特性となるようにアクチュエータが通電制御される。
一方、上記アクチュエータの絶対位置が不明になると、その絶対位置に対応する絶対バルブ特性を用いたアクチュエータの通電制御が不能となる。しかし、この場合であっても、推定手段により絶対バルブ特性が適正に推定されることで、アクチュエータの通電制御の継続が可能となる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記推定手段は、前記相対位置センサの検出値が変化し始めるときの電流指標値を、前記バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値として求めるとする。
上記の構成によれば、推定手段では、絶対バルブ特性の推定に際し、アクチュエータに対する電流指標値が変化されていく。この変化に応じてアクチュエータが作動し始めると、相対位置センサの検出値が変化するとともに作用角が変化し始める。そのため、この検出値の変化をもって作用角が変化し始めたことが判る。従って、相対位置センサの検出値が変化し始めるときの電流指標値を監視することで、作用角が変化し始めるときの電流指標値を求め、これを絶対バルブ特性の推定に用いることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項2又は3に記載の発明において、前記内燃機関が停止するときの前記アクチュエータの絶対位置を記憶する絶対位置記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、前記内燃機関の始動時に、前記絶対位置記憶手段から前記絶対位置を読出し、この絶対位置を前記アクチュエータの基準位置として設定するものであるとする。
上記の構成によれば、制御手段では、内燃機関が始動されるときに、前回の内燃機関の停止時に絶対位置記憶手段に記憶されたアクチュエータの絶対位置が読出される。そして、その読出された絶対位置がアクチュエータの基準位置として設定される。このように基準位置が設定されると、その後は、上述した請求項2に記載の発明と同様に、基準位置からの相対位置センサによる相対移動量に基づき、アクチュエータの絶対位置が求められる。
請求項5に記載の発明では、請求項2〜4のいずれか1つに記載の発明において、前記制御手段は、前記推定手段により推定された絶対バルブ特性に対応する前記アクチュエータの位置を前記基準位置として設定するものであるとする。
上記の構成によれば、推定手段により絶対バルブ特性が推定されると、その絶対バルブ特性に対応するアクチュエータの位置が基準位置として設定される。このため、その後には、上記基準位置と相対移動量とを用いたアクチュエータの絶対位置の算出、及びその絶対位置に対応する絶対バルブ特性を目標バルブ特性にするためのアクチュエータの制御を支障なく継続することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、車両には、内燃機関として筒内噴射式のガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)11が搭載されている。エンジン11の各気筒(シリンダ)12にはピストン13が往復動可能に収容されている。
気筒12毎の燃焼室14には、スロットルバルブ15、サージタンク16、吸気マニホルド17等を有する吸気通路18が接続されている。エンジン11の外部の空気は、吸気通路18の各部を順に通過して燃焼室14に吸入される。スロットルバルブ15は吸気通路18の途中に回動可能に設けられており、電動モータ等からなるスロットル用のアクチュエータ19によって駆動される。アクチュエータ19は、運転者によるアクセルペダル21の踏込み操作等に応じて作動し、スロットルバルブ15を回動させる。吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)は、スロットルバルブ15の回動角度(スロットル開度)や後述する吸気バルブ25の作用角等に応じて変化する。
また、燃焼室14には、排気マニホルド22、触媒コンバータ23等を有する排気通路24が接続されている。燃焼室14で生じた燃焼ガスは、排気通路24の各部を順に通ってエンジン11の外部へ排出される。
エンジン11には、吸気通路18の各気筒12における開口部を開閉する吸気バルブ25と、排気通路24の各気筒12における開口部を開閉する排気バルブ26とが設けられている。これらの吸・排気バルブ25,26はバルブスプリング27によって、上記開口部を閉じる方向(閉弁方向)である上方へ常に付勢されている。
吸気バルブ25の略上方には吸気カムシャフト28が設けられ、また排気バルブ26の略上方には排気カムシャフト29が設けられている。これらの吸・排気カムシャフト28,29には、エンジン11の出力軸であるクランクシャフト31の回転が伝達される。この伝達により吸・排気カムシャフト28,29が回転し、バルブスプリング27に抗して吸・排気バルブ25,26を押下げる。この押下げにより、吸・排気通路18,24の気筒12における各開口部が開放される。
エンジン11には、電磁式の燃料噴射弁32が気筒12毎に取付けられている。各燃料噴射弁32は通電により開弁し、対応する燃焼室14に高圧燃料を噴射供給する。燃料噴射弁32から噴射された燃料は、燃焼室14内に吸入された空気と混ざり合って混合気となる。
エンジン11には、点火プラグ33が気筒12毎に取付けられている。各点火プラグ33は、イグナイタ34からの点火信号に基づいて作動する。点火プラグ33には、点火コイル35から出力される高電圧が印加される。そして、前記混合気は点火プラグ33の火花放電によって着火され、燃焼する。このときに生じた高温高圧の燃焼ガスによりピストン13が往復動される。ピストン13の往復運動は、コネクティングロッド36によって回転運動に変換された後、クランクシャフト31に伝達される。この伝達によりクランクシャフト31が回転されて、エンジン11の駆動力(出力トルク)が得られる。燃焼によって生じたガス(排気)は、排気バルブ26の開弁にともない排気通路24に排出される。
エンジン11には、クランクシャフト31に対する吸気カムシャフト28の相対回転位相を変化させることにより、その吸気バルブ25のバルブタイミングをクランク角(クランクシャフト31の回転角)に対して変更するためのバルブタイミング可変機構37が設けられている。
吸気バルブ25のバルブタイミングは、例えば、図2に示すように開弁時期IVO及び閉弁時期IVCで表すことができる。このバルブタイミングは、吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの期間)が一定に保持された状態で進角又は遅角させられる。なお、図2中のEVO,EVCは排気バルブ26の開弁時期及び閉弁時期である。
また、図1に示すように、エンジン11には、バルブ特性可変機構として作用角可変機構38が設けられている。作用角可変機構38は、吸気バルブ25の作用角をバルブ特性として可変とする機構である。
ここで、作用角は、図3に示すように、吸気カムシャフト28の回転(図3ではクランク角で表現)について、吸気バルブ25の開弁期間(開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの角度範囲)である。本実施形態では、作用角可変機構38により、吸気バルブ25の最大リフト量もまたバルブ特性として連続的に変更される。最大リフト量は、吸気バルブ25が最も下方まで移動(リフト)したときの移動量である。これらの作用角及び最大リフト量は、作用角可変機構38によって互いに同期して変化させられ、例えば、作用角が小さくなるほど最大リフト量も小さくなる。作用角が小さくなるに従い、吸気バルブ25の開弁時期IVOと閉弁時期IVCとが互いに近寄って開弁期間が短くなり、各気筒12に吸入される空気の量が少なくなる。
図1に示すように、作用角可変機構38による作用角の調整は、1本のシャフト(コントロールシャフト41)を軸方向へ移動させることにより行われる。コントロールシャフト41は紙面と直交する方向に延びるように配置されているが、ここでは説明の便宜上、コントロールシャフト41の一部が紙面の左右方向に延びるように向きを変えて図示されている。コントロールシャフト41は、回転−直線運動変換機構42を介して作用角可変用のアクチュエータに連結されている。本実施形態では、このアクチュエータとして、通電により作動し、かつ電流値に比例又は略比例した回転力(トルク)を発生する電動モータ43が用いられている。回転−直線運動変換機構42は、電動モータ43の回転を直線運動に変換してコントロールシャフト41に伝達する機構である。
そして、電動モータ43が回転してコントロールシャフト41が軸方向へ移動されることで作用角可変機構38が駆動され、吸気バルブ25の作用角が連続的に変化させられる。コントロールシャフト41が例えば図1の左方向へ移動すると、作用角が小さくなって1気筒当りの吸入空気量が少なくなる。これとは逆に、コントロールシャフト41が図1の右方向へ移動すると、作用角が大きくなって1気筒当りの吸入空気量が多くなる。
なお、エンジン11には作用角可変機構38の可動範囲を規制するストッパ等の規制部材(図示略)が設けられており、作用角可変機構38はこの可動範囲内で作動して、吸気バルブ25の作用角を変化させる。この可動範囲について、作用角を小さくする側の可動限界位置を「Lo端」と表現し、作用角を大きくする側の可動限界位置を「Hi端」と表現する。作用角可変機構38は、「Lo端」よりも作用角を小さくする側へは作動できず、「Hi端」よりも作用角を大きくする側へは作動できない。なお、上記作用角可変機構38の可動範囲の規制に伴い、電動モータ43の回転量、及びコントロールシャフト41のストロークもまた規制される。
このように、スロットル開度の調整に加え、吸気バルブ25の作用角を変更することによっても吸入空気量を調整可能であることから、同一の吸入空気量を様々なスロットル開度及び作用角の組合わせで実現することが可能である。例えば、吸気バルブ25の作用角を大きくするときにはスロットル開度を相対的に小さくし、逆に作用角を小さくするときにはスロットル開度を相対的に大きくすることで気筒12への吸入空気量を一定に保持することが可能である。
なお、吸入空気量の調整に際し、作用角を小さくすることにより吸入空気量を減少させる場合には、スロットルバルブ15を絞ってスロットル開度のみを小さくすることで吸入空気量を減少させる場合と比較して、ポンピングロスを小さくすることができる。そのため、エンジン11の出力ロスを抑えることが可能となり、燃費を向上させることができる。
さらに、車両には、各部の状態を検出するセンサが種々取付けられている。これらのセンサとしては、例えばクランク角センサ45、カム角センサ46、作用角センサ、エアフロメータ47、スロットルセンサ48、アクセルセンサ49等が用いられている。
クランク角センサ45は、クランクシャフト31が一定角度回転する毎にパルス状の信号を発生する。この信号は、クランクシャフト31の回転角度であるクランク角や、単位時間当りのクランクシャフト31の回転数であるエンジン回転速度の算出等に用いられる。カム角センサ46は、吸気カムシャフト28の回転角度(カム角)を検出し、作用角センサは、吸気バルブ25の作用角の現状値、換言すれば作用角可変機構38の動作位置を検出する。エアフロメータ47は、吸気通路18を流れる空気の量(吸入空気量)を検出し、スロットルセンサ48はスロットル開度を検出し、アクセルセンサ49は運転者によるアクセルペダル21の踏込み量を検出する。
ここで、本実施形態では上記各種センサのうち特に作用角センサとして、電動モータ43の相対的な移動量(回転角)を検出する一対の相対位置センサ51,52が用いられている。一方の相対位置センサ51はエンコーダによって構成されており、図4(A)に示すように、電動モータ43が一定角度回転する毎にパルス状の回転角信号SG1を出力する。また、他方の相対位置センサ52もまたエンコーダによって構成されており、図4(B)に示すように、電動モータ43の回転に伴い、上記回転角信号SG2に対し所定角度回転位相をずらして回転角信号SG2を出力する。そして、両回転角信号SG1,SG2を計数することで、電源投入後に電動モータ43が回転した角度(相対回転角)が求められる。すなわち、電源投入時を「0」として、そこからどれだけの角度回転したかが求められる。しかし、この相対回転角だけでは、電動モータ43が可動範囲のどの位置(絶対位置、この場合には絶対回転角)にあるのか判らない。そのため、電動モータ43の基準位置(基準回転角)が別途設定され、その基準回転角と上記相対回転角とに基づき、基準回転角からどれだけ回転した角度であるかが求められ、この角度が絶対回転角とされる。
車両には、各種電気機器の電源として車両に搭載されたバッテリ(図示略)に接続され、かつ前記各種センサ45〜52の検出信号に基づいて、エンジン11等の各部を制御する電子制御装置56が設けられている(図1参照)。この電子制御装置56は、請求項における制御手段、記憶手段、推定手段及び絶対位置記憶手段として機能する。電子制御装置56はマイクロコンピュータを中心として構成されており、中央処理装置(CPU)が、読出し専用メモリ(ROM)に記憶されている制御プログラム、初期データ、制御マップ等に従って演算処理を行い、その演算結果に基づいて各種制御を実行する。CPUによる演算結果は、ランダムアクセスメモリ(RAM)において一時的に記憶される。さらに、電子制御装置56は、同装置56に対する電力供給が停止された後にも各種データを記憶保持するバックアップRAMを備えている。
電子制御装置56は、例えば燃料噴射弁32に対する通電を制御することで、同燃料噴射弁32からの燃料噴射を制御する。この燃料噴射制御では、エンジン回転速度及びエンジン負荷といったエンジン11の運転状況に基づき、混合気の空燃比を所定の値とするための燃料の噴射量が基本噴射量(基本噴射時間)として算出される。エンジン負荷は、例えばエンジン11の吸入空気量、又はそれに関係するパラメータ(例えば、スロットル開度、アクセル踏込み量等)に基づき求められる。こうして求められた基本噴射量に対し、各センサからの信号に基づき補正が行われ、その補正後の噴射量に対応する時間、燃料噴射弁32に通電される。この通電により燃料噴射弁32が開弁して、上記補正後の噴射量の燃料が噴射される。
また、電子制御装置56は、バルブタイミング可変機構37を制御することで、吸気バルブ25のバルブタイミングを制御する。このバルブタイミング制御では、エンジン11の運転状態、例えばエンジン回転速度、エンジン負荷等に基づき、吸気バルブ25のバルブタイミングについての制御目標である目標バルブタイミングが算出される。そして、クランク角センサ45及びカム角センサ46の検出結果に基づき把握される吸気バルブ25の実際のバルブタイミングが、上記目標バルブタイミングとなるように、バルブタイミング可変機構37が制御される。この制御により、吸気バルブ25が、エンジン11の運転状態に適したバルブタイミングにて開閉される。
さらに、上述したように、スロットル開度の調整に加え、吸気バルブ25の作用角の調整によっても気筒12への吸入空気量の調整が可能であることから、電子制御装置56は、作用角及びスロットル開度を協調制御することで、気筒12への実際の吸入空気量を、エンジン11の運転状態に応じた吸入空気量(目標吸入空気量)にする。
この制御に際しては、エンジン11の運転状態、例えばアクセル踏込み量、エンジン回転速度等に基づき目標吸入空気量が算出され、この目標吸入空気量を実現するための制御目標として、目標スロットル開度と、目標バルブ特性としての目標作用角とがそれぞれ算出される。そして、目標スロットル開度を指令値としてスロットル用のアクチュエータ19に対する通電が制御される。
一方、上述したように電動モータ43の基準回転角と、相対位置センサ51,52の検出値に基づき求められた相対回転角とが用いられることにより、電動モータ43の絶対回転角が算出される。この絶対回転角に対応する吸気バルブ25の絶対作用角が前述した目標作用角となるように電動モータ43に対する通電時間がデューティ比Dにて制御(デューティ制御)される。デューティ比Dは、通電(ON)及び非通電(OFF)からなる1サイクル(時間)における通電時間の割合である。電動モータ43のトルクはデューティ比Dが小さいときには小さく、デューティ比Dの増加に従い大きくなる。このデューティ制御が行われることで、電動モータ43が回転し、吸気バルブ25がエンジン11の運転状態に適した作用角にて開閉される。
ところで、相対位置センサ51,52からの回転角信号SG1,SG2を計数することで電動モータ43の相対回転角が求められることについては先述したが、この算出処理は、カウンタ(図4(C)参照)を用いて次のように行われる。
このカウンタは、図5に示すように、両回転角信号SG1,SG2のいずれかが、「L」から「H」に立上がるとき(「↑」にて表記)、又は「H」から「L」に立下がるとき(「↓」にて表記)にカウント動作する。このカウト動作には、カウントアップ(「+」にて表記)と、カウントダウン(「−」にて表記)とがある。
ここで、カウンタがカウント動作する場合としては、図5に示す(1)〜(8)の8通りがあり、カウンタはこれらのうち下記の(1),(4),(6),(7)の場合にカウントアップする。
(1)回転角信号SG1が「H」のときに回転角信号SG2が立上がった場合
(4)回転角信号SG1が「L」のときに回転角信号SG2が立下がった場合
(6)回転角信号SG2が「H」のときに回転角信号SG1が立下がった場合
(7)回転角信号SG2が「L」のときに回転角信号SG1が立上がった場合
また、カウンタは下記の(2),(3),(5),(8)の場合にカウントダウンする。
(2)回転角信号SG1が「H」のときに回転角信号SG2が立下がった場合
(3)回転角信号SG1が「L」のときに回転角信号SG2が立上がった場合
(5)回転角信号SG2が「H」のときに回転角信号SG1が立上がった場合
(8)回転角信号SG2が「L」のときに回転角信号SG1が立下がった場合
上記のようにしてカウントアップ又はカウントダウンした後のカウンタの値(回転角信号SG1,SG2の計数値)と、回転角信号SG1(SG2)が出力されてから次の回転角信号SG1(SG2)が出力されるまでに電動モータ43が回転する角度とに基づき、電動モータ43の相対回転角が求められる。
さらに、電動モータ43の基準回転角は基本的には次のようにして設定される。エンジン11が停止する毎に、次回のエンジン始動に備え、そのエンジン停止時点の電動モータ43の絶対回転角が絶対位置記憶手段としてのバックアップRAMに記憶される。エンジン11が始動する毎に、前回のエンジン停止時に記憶された絶対回転角がバックアップRAMから読出され、この絶対回転角が上記基準回転角として設定される。
ところで、上記電動モータ43の通電制御等を司る電子制御装置56が、電圧低下によりリセットされると、基準回転角の設定時(この場合、エンジン始動時)からリセット直前までの期間にカウンタによってカウントされた値がクリアされてしまい、電動モータ43の相対回転角が不明となる。その結果、電動モータ43の絶対回転角、ひいては吸気バルブ25の絶対作用角を正確に把握することが困難となる。
なお、上記電子制御装置56のリセットは、エンジン始動時にスタータの作動等のために多くの電力が消費されたり、一度に多くの電気負荷が投入されたりしてバッテリ電圧が低下し、電子制御装置56のリセット電圧を下回った場合に起こる。
ここで、通電により電動モータ43が作動して作用角可変機構38が駆動されると、バルブスプリング27に抗して吸気バルブ25が開弁される。この際、電動モータ43はバルブスプリング27を圧縮させるために必要なトルクを発生している。バルブスプリング27は、吸気バルブ25の作用角が大きくなるほど多く圧縮される。一方、バルブスプリング27の圧縮量が多くなるほど、バルブスプリング27側から電動モータ43に加わる負荷(圧縮反力)が大きくなり、その負荷に抗して電動モータ43を回転させるために大きなトルクが必要となる。従って、吸気バルブ25を大きな作用角にて開弁させる場合ほど、電動モータ43に大きなトルクが必要となる。これに伴い、電流値に比例又は略比例したトルクを発生する電動モータ43では、作用角が大きくなるほどその作用角を変化させるのに多くの量の通電が必要となる。
これらのことから、吸気バルブ25が所定の作用角にて開弁している場合に、電動モータ43に対するデューティ比D等の電流指標値を変化(増加又は減少)させていくと、当初は電動モータ43が回転せず作用角が変化しないが、電流指標値がある値を越えたところで電動モータ43が回転し始め、作用角が変化し始める。この際の電流指標値と作用角との関係が予め判っていれば、作用角が変化し始めるときの電流指標値から作用角を推定することが可能である。
そこで、本実施形態では、上記の点を踏まえ、作用角と、その作用角を変化させるためのトルクを電動モータ43に発生させる際に要求される電流指標値との関係が予め実験等により求められ、マップの形態で、記憶手段としてのROMに記憶されている。ここでは、電流指標値として、デューティ比Dが用いられている。図7は、このマップのマップ構造を示している。同図7中の特性線L1は、作用角と、その作用角を大きくする側へ変化させる場合に必要なデューティ比Dとの関係を示している。また、特性線L2は、作用角と、その作用角を小さくする側へ変化させる場合に必要なデューティ比Dとの関係を示している。
表現を変えると、吸気バルブ25が所定の作用角にて作動しているときに、デューティ比Dを増加させていくと、そのデューティ比Dが特性線L1上の値よりも小さい場合は、電動モータ43は回転せず作用角が変化しない。そして、デューティ比Dが特性線L1上の値になると、電動モータ43が作用角を大きくする側へ回転し始める。これとは逆に、吸気バルブ25が所定の作用角にて作動しているときに、デューティ比Dを減少させていくと、そのデューティ比Dが特性線L2上の値よりも大きい場合は、電動モータ43は回転せず作用角が変化しない。そして、デューティ比Dが特性線L2上の値になると、電動モータ43が作用角を小さくする側へ回転し始める。
そして、上記のように電子制御装置56のリセットにより絶対作用角が不明となった場合には、電動モータ43に対するデューティ比Dを徐々に変化(増加又は減少)させていく。電動モータ43が回転し始めて作用角が変化し始めるときのデューティ比Dを求める。そのデューティ比Dに対応する作用角を絶対作用角として、上記マップに規定されている関係(特性線L1,L2)に基づき推定するようにしている。
図6のフローチャートは、電子制御装置56によって行われる上記推定処理の具体的な内容(絶対作用角推定ルーチン)を示している。
この絶対作用角推定ルーチンでは、まずステップ110において、電子制御装置56がリセットされたかどうかを判定する。
ここでは、リセットの有無をフラグの状態に基づき判定するようにしている。このフラグは、エンジン11の停止時に電動モータ43の絶対回転角がバックアップRAMに記憶されたことをもって「OFF」に設定され、電動モータ43の回転角が、バックアップRAMに記憶されている絶対回転角から変化したときに「ON」に切替えられる。電子制御装置56がリセットされたときに上記フラグが「ON」であれば、電動モータ43の回転角が変化している状態でリセットされたことになり、カウンタによる計数値がクリアされていると考えられる。そこで、フラグが「ON」であるかどうかを判定し、この条件が満たされている場合(フラグ:ON)にリセット有りと判定する。
上記ステップ110の判定条件が満たされていない(リセット無し)と、絶対作用角を別途推定する必要がないことからこの絶対作用角推定ルーチンを終了する。これに対し、満たされている(リセット有り)とステップ120へ移行する。
ステップ120では、所定のデューティ比Dにて電動モータ43に対する通電時間を制御する。このリセット直後のデューティ比Dは任意の値でよく、例えば「0」でもよい。電動モータ43では、この通電に応じたトルクが発生する。上記デューティ比Dが、現在の作用角を変化させるためのトルクを電動モータ43に発生させる際に要求される値よりも小さければ、このデューティ比Dに応じたトルクによっては電動モータ43が回転せず吸気バルブ25の作用角が変化しない。これに対し、デューティ比Dが上記要求される値以上であれば、電動モータ43が回転し作用角が変化する。
次に、ステップ130において、上記ステップ120での通電により、電動モータ43が回転して作用角が変化し始めているかどうかを、相対位置センサ51,52の検出値が変化したかどうかによって判定する。検出値が変化していなければ、電動モータ43が回転しておらず、作用角が変化していないと判定する。これに対し、検出値が変化していれば、電動モータ43が回転して作用角が変化し始めていると判定する。このステップ130の判定条件が満たされていないと、ステップ140においてデューティ比Dを変更する。例えば、上記ステップ120で用いられたデューティ比Dに所定値αを加算し、その加算後の値を新たなデューティ比Dとして設定する。所定値αは、正の値又は負の値のいずれであってもよい。そして、このステップ140の処理の後に、上述したステップ120へ戻る。従って、ステップ120では加算後のデューティ比Dにて電動モータ43の通電時間がデューティ制御されることとなる。ステップ130の判定条件が満たされるまでは、ステップ140の処理によりデューティ比Dが所定値αずつ加算されていく。所定値αが正の値であればデューティ比Dは徐々に増加していき、負の値であればデューティ比Dは徐々に減少していく。
上記ステップ130の判定条件が満たされると、ステップ150において、そのときのデューティ比Dに対応する作用角を、上記図7のマップに規定されているデューティ比Dと作用角との関係(特性線L1,L2)から割出す。この際、上記ステップ140でのデューティ比Dの変更に用いた所定値αが正の値であれば、特性線L1の関係から作用角が割出され、所定値αが負の値であれば、特性線L2の関係から作用角が割出される。ステップ160において、上記のようにして割出した作用角をそのときの絶対作用角として設定する。ステップ160の処理を経た後、この絶対作用角推定ルーチンを終了する。
図8は、上記絶対作用角推定ルーチンが行われた場合のデューティ比D及び作用角の変化態様の一例を示している。この例は、タイミングt1で電子制御装置56がリセットされ、所定値αとして正の値が用いられ、タイミングt2で電動モータ43が回転し始めて作用角が増加し始めた場合を想定している。
タイミングt1で電子制御装置56がリセットされると、絶対作用角推定ルーチンでは、ステップ110→120→130→140→120・・・の順に処理が行われ、デューティ比Dにて電動モータ43の通電時間がデューティ制御されるとともに、そのデューティ比Dが所定値α(>0)ずつ加算されていく。タイミングt2よりも前の期間では、上記デューティ比Dが、現在の作用角を増加させるためのトルクを電動モータ43に発生させる際に要求される値よりも小さく、電動モータ43が作用角を増加させる方向へ回転しない。電動モータ43が発生するトルクは、デューティ比Dが大きくなるに従って増加する。
上記トルクの増加に伴いタイミングt2で電動モータ43が回転し始め、作用角が増加し始めると、絶対作用角推定ルーチンでは、ステップ110→120→130→150→160の順に処理が行われる。デューティ比Dに対応する作用角の割出し、及び絶対作用角の設定が行われる。例えば、電動モータ43の回転が検出されたときのデューティ比Dが値D1であった場合には、図7において一点鎖線の矢印で示すように、特性線L1上において値D1に対応する値θ1が作用角として割出され、これが絶対作用角として推定される。
なお、上記のようにして絶対作用角が推定されると、電子制御装置56はリセットから復帰した後は、その絶対作用角に対応する電動モータ43の回転角を基準回転角として設定する。その基準回転角と、リセットからの復帰後に相対位置センサ51,52の回転角信号SG1,SG2に基づき算出された相対回転角とから絶対回転角を求める。そして、この絶対回転角に対応する絶対作用角を作用角の可変制御に用いる。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(A)作用角と、その作用角を変化させるためのトルクを電動モータ43に発生させる際に要求されるデューティ比Dとの関係を予めマップに規定し、ROMに記憶させている。そして、電動モータ43のデューティ制御に用いるデューティ比Dを変化させていき、作用角が変化し始めるときのデューティ比Dを求める。さらに、求めたデューティ比Dに対応する作用角を上記マップから求め、これをそのときの絶対作用角と推定している。このようにして、背景技術とは異なる新たな方法により、そのときの絶対作用角を適正に推定することができる。
(B)電子制御装置56がリセットされない通常時には、電動モータ43の基準回転角を設定し、その基準回転角からの相対回転角に基づき電動モータ43の絶対回転角を求め、その絶対回転角に対応する絶対作用角が目標作用角となるように、電動モータ43に対する通電時間をデューティ制御する。こうした制御が行われているなか、電子制御装置56がリセットされて絶対回転角に対応する絶対作用角を用いた上記電動モータ43の制御が不能となったときに、上記(A)の絶対作用角の推定を行うようにしている。このため、電子制御装置56がリセットされても、絶対作用角を適正に推定することで、電動モータ43の通電制御を継続することが可能となる。
(C)絶対作用角の推定に際し、デューティ比Dの変更に応じて電動モータ43が回転し始めると、相対位置センサ51,52の検出値が変化する。この検出値の変化をもって電動モータ43が回転して作用角が変化し始めていることが判る。そのため、上記実施形態によるように、相対位置センサ51,52の検出値が変化し始めるときのデューティ比Dを監視することで、電動モータ43が回転して作用角が変化し始めるときのデューティ比Dを把握することができる。
(D)エンジン11が停止する毎に、そのときの電動モータ43の絶対回転角をバックアップRAMに記憶する。次回のエンジン11の始動時に、上記バックアップRAMから絶対回転角を読出し、これを電動モータ43の基準回転角として設定するようにしている。このように基準回転角を設定すると、その後は、基準回転角からの相対回転角に基づき、電動モータ43の絶対回転角を適正に求めることができる。
(E)絶対作用角を推定すると、その絶対作用角に対応する電動モータ43の回転角を基準回転角として設定するようにしている。そのため、リセットから復帰した後には、この基準回転角と相対回転角とを用いた絶対回転角の算出、及び絶対作用角を目標作用角にするための電動モータ43の制御を支障なく継続することができる。
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
・電子制御装置56がリセットされたときに作用角可変機構38が例えば上述した可動範囲の「Lo端」に位置し、この状態で絶対作用角の推定のためにデューティ比Dが減少されていった場合、絶対作用角はそのデューティ比Dの減少に拘わらず変化しない(小さくならない)。そのため、デューティ比Dを例えば所定量以上減少させても電動モータ43が回転しない場合には、絶対作用角が採り得る最小値であると推定するようにしてもよい。
また、作用角可変機構38が上述した「Hi端」に位置し、この状態でデューティ比Dが増加されていった場合についても上記と同様である。デューティ比Dを例えば所定値以上増加させても電動モータ43が回転しない場合には、絶対作用角が採り得る最大値であると推定するようにしてもよい。
・アクチュエータの基準位置(電動モータ43の基準回転角)を上記実施形態とは異なる方法で設定するようにしてもよい。
・電流指標値として、デューティ比Dとは異なる制御指令値を用いてもよい。また、実際に電動モータ43に流される電流値を電流指標値として用いてもよい。
・デューティ比Dの変更に用いられる所定値αは一定の値であってもよいし、状況に応じて変更される可変値であってもよい。
・本発明は、電動モータ43とは異なるアクチュエータを用いて作用角可変機構38を駆動する場合にも適用できる。
・バルブ特性可変機構は、吸気バルブ25の作用角及び最大リフト量のいずれか一方のみをバルブ特性として変更するものであってもよい。
・本発明は、吸気バルブ25に加えて、排気バルブ26のバルブ特性(作用角及び最大リフト量の少なくとも一方)を変更するようにした内燃機関にも適用可能である。
・作用角可変機構として、前記実施形態で用いたものとは異なるタイプを用いてもよい。例えば、吸気カムシャフトの吸気カムを軸方向にプロフィールが変化する三次元カムとし、この吸気カムシャフトをアクチュエータで軸方向に変位させることにより、作用角をエンジン運転状況に応じて変化させるようにしたものを、作用角可変機構として用いてもよい。要は、吸気バルブ25のバルブ特性をエンジン運転状況に応じて可変制御できるものであればよい。
本発明を具体化した一実施形態におけるエンジンのバルブ特性制御装置の構成を示す略図。 バルブタイミング可変機構による吸気バルブのバルブタイミングの変化態様を、排気バルブのバルブタイミングとともに示すグラフ。 吸気バルブのバルブ特性(作用角及び最大リフト量)の変化態様を示すグラフ。 (A),(B)は相対位置センサから出力される回転角信号SG1,SG2を説明するタイミングチャートであり、(C)はそれらの回転角信号SG1,SG2に基づき動作するカウンタの値の変化態様を説明するタイミングチャート。 相対位置センサの回転角信号SG1,SG2とカウンタのカウント動作との対応関係を説明する説明図。 電子制御装置による絶対作用角推定ルーチンを説明するフローチャート。 絶対作用角の決定に用いられるマップのマップ構造を示す略図。 デューティ比及び作用角の変化態様の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
11…ガソリンエンジン(内燃機関)、25…吸気バルブ(機関バルブ)、26…排気バルブ(機関バルブ)、27…バルブスプリング、38…作用角可変機構(バルブ特性可変機構)、43…電動モータ(アクチュエータ)、51,52…相対位置センサ、56…電子制御装置(制御手段、記憶手段、推定手段、絶対位置記憶手段)。

Claims (5)

  1. バルブスプリングに抗して機関バルブを開弁させるとともに、その機関バルブの開弁期間及び最大リフト量の少なくとも一方をバルブ特性とし、そのバルブ特性を可変とするバルブ特性可変機構と、
    通電により作動して前記バルブ特性可変機構を駆動するアクチュエータと、
    前記バルブ特性可変機構による絶対バルブ特性が内燃機関の運転状態に応じた目標バルブ特性となるように前記アクチュエータを制御する制御手段と
    を備える内燃機関のバルブ特性制御装置であって、
    バルブ特性と、そのバルブ特性を変化させるためのトルクを前記アクチュエータに発生させる際に要求される電流指標値との関係を予め記憶した記憶手段と、
    前記アクチュエータに対する電流指標値を変化させていき、前記バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値を求め、その電流指標値に対応するバルブ特性を前記絶対バルブ特性として、前記記憶手段における前記関係に基づき推定する推定手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関のバルブ特性制御装置。
  2. 前記アクチュエータの相対移動量を検出する相対位置センサをさらに備え、
    前記制御手段は、前記アクチュエータの基準位置を設定し、その基準位置からの前記相対位置センサによる相対移動量に基づき前記アクチュエータの絶対位置を求めるとともに、その絶対位置に対応する絶対バルブ特性が前記目標バルブ特性となるように前記アクチュエータを制御するものであり、
    前記推定手段は、前記絶対位置に対応する絶対バルブ特性を用いた前記制御手段による前記アクチュエータの制御が不能となったときに、前記絶対バルブ特性の推定を行うものである請求項1に記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
  3. 前記推定手段は、前記相対位置センサの検出値が変化し始めるときの電流指標値を、前記バルブ特性が変化し始めるときの電流指標値として求める請求項2に記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
  4. 前記内燃機関が停止するときの前記アクチュエータの絶対位置を記憶する絶対位置記憶手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記内燃機関の始動時に、前記絶対位置記憶手段から前記絶対位置を読出し、この絶対位置を前記アクチュエータの基準位置として設定するものである請求項2又は3に記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記推定手段により推定された絶対バルブ特性に対応する前記アクチュエータの位置を前記基準位置として設定するものである請求項2〜4のいずれか1つに記載の内燃機関のバルブ特性制御装置。
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