JP2007023107A - 帯電防止ハードコート及び帯電防止ハードコート用塗布組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の帯電防止ハードコート層は、導電性微粒子及びバインダーを含む組成物で構成された帯電防止ハードコート層であって、前記バインダーは、前記帯電防止ハードコート層において前記導電性微粒子が偏在するために十分な量のヒドロキシル基を有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明の帯電防止ハードコート層は、導電性微粒子及びバインダーを含む組成物で構成される。また、バインダーは、帯電防止ハードコート層において導電性微粒子が偏在するために十分な数のヒドロキシル基を有する。帯電防止ハードコート層としての帯電防止効果を発揮するためには、帯電防止ハードコート層において導電性微粒子が偏在していることが望ましい。導電性微粒子を偏在させるためには、未反応のヒドロキシル基が残っていることが必要である。このヒドロキシル基数を適切に制御することにより、導電性微粒子を偏在させることができる。例えば、導電性微粒子が無機酸化物である場合、微粒子表面は親水性になっているので、バインダーにおけるヒドロキシル基数を制御することにより、帯電防止ハードコート層における導電性微粒子の分布状態を制御することができると考えられる。本発明はこの見地に基づいている。ここで、導電性微粒子がハードコート層中に偏在しているとは、ハードコート層中において、導電性微粒子がハードコート層の厚み方向に濃度分布を有しており、かつ、透明基板側の導電性微粒子の濃度が高くなっていることを特徴とする形態をいう。また、導電性微粒子が偏在するために十分な数とは、後述する図1に示すような前記偏在形態を実現できるために必要な数をいう。
本発明の帯電防止ハードコート層は、上記塗布組成物を基材に塗布し硬化させることで得られる。基材としては任意の形状をもつ金属、ガラス、セラミック、プラスチックなどどのようなものでも用いることができ、表面硬度と帯電防止機能を付与することができる。この中でも特に表面硬度と帯電防止機能が強く求められるものはディスプレイなどの表示材料に用いられる透明基板である。透明基板としては透明なガラス板や透明樹脂基板が挙げられ、さらに透明樹脂基板が好ましい。透明樹脂基板としては(メタ)アクリル樹脂板、(メタ)アクリル樹脂シート、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体樹脂板、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体樹脂シート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースアセテート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ノルボネン系フィルム、ポリアリレート系フィルムおよびポリスルフォン系フィルムなどが挙げられる。
以下の実施例及び比較例においては、ヒドロキシル基のモル数/(メタ)アクリレート基のモル数の比は、プロトンNMRスペクトルにより計算した。帯電防止ハードコート層の表面抵抗は、東亜電波工業株式会社製SM−10E型超絶縁計を用いて測定した。膜厚の測定は、大塚電子株式会社製FE−3000分光光度計を用いた。ヘーズは、日本電色工業株式会社製NDH2000型濁度計を用いて、JISK7361−1に規定される方法にて測定した。鉛筆硬度は、JIS−K5400記載に基づき、2Hの硬度の鉛筆を用い、1kg荷重下で行った。また、SEM観察は次のようにして行った。すなわち、試料をエポキシ樹脂に包埋した後に、研磨により断面を剖出させ、この状態で試料台に設置し、オスミウムを1.5nmコーティングし、検鏡用試料とした。この検鏡用試料について、HITACHI S−4700(日立製作所社製)を用いて加速電圧4.0kVにて解析を行った。
スズ含有酸化インジウム(ITO)微粒子のエタノール分散液(商品名ELCOM V−2506、触媒化成工業株式会社製、固形分濃度20.5重量%)2.5gに、多官能アクリレート系バインダー(商品名NKエステルA−DPH、新中村化学工業株式会社、固形分100%、ヒドロキシル基のモル数/(メタ)アクリレート基のモル数=22.4%)2.6g、エタノール0.63g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.125gを、磁気攪拌子で高速攪拌しながら順次加え、本発明の帯電防止ハードコート用塗布組成物を得た。該帯電防止ハードコート用塗布組成物中における、ITO微粒子の重量/A−DPHの重量比は19.7%であった。
実施例1中、スズ含有酸化インジウム(ITO)微粒子のエタノール分散液の使用量を1.25gに変更した以外は実施例1と同じ操作を行った。得られた帯電防止ハードコート用塗布組成物中における、ITO微粒子の重量/A−DPHの重量比は9.86%であった。得られたハードコート層をSEMで観察したところ、図1に示すように、導電性微粒子(ITO粒子)が偏在していることが確認された。なお、図1において、白い部分がITO粒子である。図1から分かるように、ITO粒子が適度に凝集して偏在している。また、得られたハードコート層の膜厚は5μm、表面抵抗は2×109Ω/□、ヘーズは0.49%、全光線透過率は89.91%、鉛筆強度は2Hであった。
実施例1中、多官能アクリレート系バインダーとしてジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(シグマアルドリッチジャパン製、ヒドロキシル基のモル数/(メタ)アクリレート基のモル数=25%)で置き換えた以外は実施例1と同じ操作を行った。得られたハードコート層をSEMで観察したところ、導電性微粒子が偏在していることが確認された。得られたハードコート層の膜厚は5μm、表面抵抗は3×107Ω/□、ヘーズは0.49%、全光線透過率は89.10%、鉛筆強度は2Hであった。
実施例2中、多官能アクリレート系バインダーとして共栄社化学株式会社製の商品名ライトアクリレート DPE−6A(固形分100%、ヒドロキシル基のモル数/(メタ)アクリレート基のモル数=32%)で置き換えた以外は実施例1と同じ操作を行った。得られたハードコート層をSEMで観察したところ、図2に示すように、導電性微粒子(ITO粒子)が偏在していないことが確認された。なお、図2において、白い部分がITO粒子である。図2から分かるように、ITO粒子がハードコート層内にほぼ均一に分散しており偏在していない。また、得られたハードコート層の膜厚は5μm、表面抵抗は∞Ω/□、ヘーズは0.39%、全光線透過率は89.10%、鉛筆強度は2Hであった。
Claims (11)
- 導電性微粒子と、ヒドロキシル基を含むバインダーと、を含有する帯電防止ハードコート層であって、前記バインダーは、前記導電性微粒子が偏在するために十分な数のヒドロキシル基を有することを特徴とする帯電防止ハードコート層。
- 前記バインダーは、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリレート基を含有し、前記十分な数は、前記(メタ)アクリレート基のモル数に対する前記ヒドロキシル基のモル数が約30%以下であることを特徴とする請求項1記載の帯電防止ハードコート層。
- 前記導電性微粒子の質量は、前記バインダーの質量に対して約20%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の帯電防止ハードコート層。
- 前記導電性微粒子が無機酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の帯電防止ハードコート層。
- 導電性微粒子と、バインダーとを含む帯電防止ハードコート層用塗布組成物であって、前記バインダーは、ヒドロキシル基及び(メタ)アクリレート基を含有し、前記十分な数は、前記(メタ)アクリレート基のモル数に対する前記ヒドロキシル基のモル数が約30%以下であることを特徴とする帯電防止ハードコート用塗布組成物。
- 前記導電性微粒子の質量は、前記バインダーの質量に対して約20%以下であることを特徴とする請求項5記載の帯電防止ハードコート用塗布組成物。
- 前記導電性微粒子が無機酸化物微粒子であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の帯電防止ハードコート用塗布組成物。
- 透明基板と、前記透明基板上に形成された請求項1から請求項4のいずれかに記載の帯電防止ハードコート層と、を具備することを特徴とする光学部材。
- 請求項5から請求項7のいずれかに記載の帯電防止ハードコート用塗布組成物を用いて透明基板上に帯電防止ハードコート層を形成してなることを特徴とする光学部材。
- 全光線透過率が約85%以上であり、ヘーズが約1%以下であることを特徴とする請求項8又は請求項9記載の光学部材。
- 前記帯電防止ハードコート層上又は前記透明基板と前記帯電防止ハードコート層との間に反射防止機能を有する単一又は複数の層を有することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載の光学部材。
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