JP2007017144A - 冷却貯蔵庫の断熱構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱材の経年劣化を抑制する。
【解決手段】断熱箱体70は、複数の金属板を繋ぎ合わせた外箱71と、合成樹脂材で一体形成された内箱72とが間隔を開けて配され、両箱71,72の間に断熱材73が発泡充填されて形成される。外箱71の合わせ目77は、発泡後に水蒸気透過率の低いシール材44で閉じられる。内箱72には、合わせ目77とほぼ対向した位置に、開口部79が形成される。ここで、外箱71の合わせ目77側の水蒸気透過に係る開口量(開口面積)と、対向した内箱72の開口部79側の同開口量(開口面積)との比が「1:2」に設定される。外箱71の合わせ目77を通って水蒸気が断熱材73中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は開口部79を通って庫内に放出される。結果、断熱材73中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、断熱箱体、断熱扉及び断熱仕切部材のような冷却貯蔵庫に用いられる断熱構造体に関する。
冷却貯蔵庫の本体は一般に、外箱と内箱とが間隔を開けて配されて、両箱の間に発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる断熱材が発泡充填された断熱箱体によって形成されている(例えば、特許文献1参照)。
図16により具体例を示すと、外箱1は、亜鉛鋼板等の金属板からなる複数枚のパネル2を繋ぎ合わせて形成されている一方、内箱3は、ABS樹脂等の合成樹脂材により一体形成されている。ここで外箱1の合わせ目4は、パネル2の端縁のフランジ形成部分を重ねてリベットにより結合しているが、発泡時のガス抜きを図るために、敢えてシールを施さなかったり、あるいはスポンジ等の通気性の良いシール材を挟んで結合されている。
特開平8−100978号公報
ところで、上記のように形成された本体を備えた冷却貯蔵庫では、特に庫内外の水蒸気分圧差が大きい場合や、あるいは扉の開閉が頻繁に行われたり、ヒートサイクル(冷却運転と除霜運転)に起因して庫内の気圧が大きく変化した場合、庫外の水蒸気が断熱箱体を通して庫内に移動しようとする。その際、外箱1の合わせ目4は既述のように通気性があるために、比較的容易に水蒸気が侵入し、充填された断熱材5(ポリウレタンフォーム)を浸透して庫内へ移動しようとするが、内箱3は合成樹脂材で一体形成されているために透過が規制され、結果、水蒸気は断熱材5中に滞留する。そして露点温度以下になると、同図の符号xに示すように結露・氷結し、断熱材の性能劣化を招くという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、断熱材の経年劣化を抑制するところにある。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、外殻体内に発泡樹脂からなる断熱材が発泡充填されてなり、互いに温度域が異なる2つの空間の間に介設された冷却貯蔵庫の断熱構造体において、前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面には、前記外殻体における相対的に高温の空間に対向した側の面に存在する隙間に対応する位置に、水蒸気を透過可能な開口部が設けられ、この開口部の開口量が前記隙間の開口量以上に設定されており、前記隙間から前記断熱材中に侵入した水蒸気が前記開口部から相対的に低温の空間側に放出可能となっている構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面が一体物であって、この面に孔が開けられることで前記開口部が形成されているいるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面は、複数の板材を繋ぎ合わせて形成され、前記両板材の対向した合わせ面同士の間に構成される隙間によって前記開口部が形成されているところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、互いに対向した一方の前記合わせ面に突部が形成され、この突部が他方の前記合わせ面に当てられて両合わせ面同士が繋がれているところに特徴を有する。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、当該断熱構造体は、庫外に面する外装部材と庫内に面する内装部材とが間隔を開けて配された外殻体内に前記断熱材が発泡充填されることで形成されており、前記外装部材が前記外殻体の相対的に高温の空間に対向した側の面を、前記内装部材が前記外殻体の相対的に低温の空間に対向した側の面をそれぞれ構成しているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、当該断熱構造体が、外箱と内箱とが間隔を開けて配されて、両箱の間に前記断熱材が発泡充填されて形成された断熱箱体であって、前記外箱が前記外装部材を、前記内箱が前記内装部材をそれぞれ構成しているところに特徴を有する。
請求項7の発明は、請求項5に記載のものにおいて、当該断熱構造体が、外装板と、周縁部にパッキン装着部を設けた内装板とを間隔を開けて繋ぎ合わせ、両板の間に前記断熱材が発泡充填されて形成された断熱扉であって、前記外装板と前記内装板における前記パッキン装着部の外側の部分により前記外装部材が、前記内装板における前記パッキン装着部の内側の部分により前記内装部材がそれぞれ構成され、前記外装板と前記内装板との合わせ目が、前記外装部材における隙間を構成する部分となっているところに特徴を有する。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のものにおいて、当該断熱構造体が、外殻体内に前記断熱材が発泡充填された仕切部材であって、断熱箱体内に装着することによって前記仕切部材を挟んだ両側に互いに冷却温度域を異にした貯蔵室が形成されるものであるところに特徴を有する。
<請求項1の発明>
両空間の水蒸気分圧差が大きい場合や、相対的に低温の空間の気圧が大きく変化した場合などには、相対的に高温側の空間の水蒸気が断熱構造体を通して低温側の空間に向けて移動しようとする。すなわち、高温側の空間の水蒸気は、外殻体における相対的に高温の空間に対向した側の面に存在する隙間から断熱材中に侵入するが、外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面の対応位置には、高温の空間に対向した側の面に存在する隙間の開口量以上の開口量を持った開口部が設けられているから、断熱材中に侵入した水蒸気は、開口部から引き続いて低温側の空間へ放出される。そのため、断熱材中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
<請求項2の発明>
外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面が一体物である場合、孔を開けることで開口部が形成される。孔の大きさを変えることで、水蒸気透過量の制御を簡単に行うことができる。
<請求項3の発明>
相対的に低温の空間に対向した側の面が複数の板材を繋ぎ合わせて形成されている場合、両板材の対向した合わせ面同士の間に図らずも構成される隙間、または意図的に設けられる隙間によって開口部が形成される。
<請求項4の発明>
突部の高さを変更することにより、開口部における水蒸気透過量を容易に制御できる。
<請求項5の発明>
庫内外の水蒸気分圧差が大きい場合や、庫内の気圧が大きく変化した場合などには、庫外の水蒸気が断熱構造体を通して庫内に向けて移動しようとする。すなわち庫外の水蒸気は、外装部材に存在する隙間から断熱材中に侵入するが、内装部材の対応位置には、外装部材の隙間の開口量以上の開口量を持った開口部が設けられているから、断熱材中に侵入した水蒸気は、開口部から引き続いて庫内へ放出される。そのため、断熱材中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
<請求項6の発明>
冷却貯蔵庫の本体を構成する断熱箱体に適用することができる。
<請求項7の発明>
冷却貯蔵庫に装備される断熱扉に適用することができる。
<請求項8の発明>
両貯蔵室の水蒸気分圧差が大きい場合や、冷却温度域の相対的に低い側の貯蔵室の気圧が大きく変化した場合などには、冷却温度域の相対的に高い側の貯蔵室の水蒸気が仕切部材を通して相対的に低い側の貯蔵室に向けて移動しようとする。すなわち、相対的に高温側の貯蔵室の水蒸気は、同高温側の貯蔵室に対向した面に存在する隙間から断熱材中に侵入するが、相対的に低温側の貯蔵室に対向した面の対応位置には、高温側の貯蔵室に対向した面の隙間の開口量以上の開口量を持った開口部が設けられているから、断熱材中に侵入した水蒸気は、開口部から引き続いて低温側の貯蔵室へ放出される。そのため、断熱材中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図7によって説明する。本実施形態では、冷蔵庫、冷凍庫等の横型冷却貯蔵庫を例示している。横型冷却貯蔵庫は、図1及び図2に示すように、前面に開口した横長の箱状をなす貯蔵庫本体10を備え、その内部が貯蔵室11とされているとともに、貯蔵庫本体10の正面から見た左側面の上部位置には、冷却器室12が貯蔵室11と連通して張り出し形成されている。この貯蔵庫本体10と冷却器室12とは、詳しくは後記する断熱箱体70により一体的に形成されている。
貯蔵庫本体10は、底面の四隅に設けられた脚14によって支持されているとともに、前面開口には幅方向の中央部に仕切壁(図示せず)が配設されて左右2つの出入口15(図10参照)が形成され、各出入口15に、断熱扉60が観音開き式に装着されている。
貯蔵庫本体10の左側面には機械室16が設けられ、この機械室16内に、冷却ユニット20が引き出し可能に収納されるようになっており、機械室16内の上部には、前面に出入口(図示せず)を有する上記の冷却器室12が配設され、下部側には収納スペース17が確保されている。
冷却ユニット20は、圧縮機21、凝縮器22等からなる冷凍装置の上面に、冷却器24と庫内ファン25とが断熱性の冷却器室蓋を介して積み上げられてユニット化され、機械室16の前面から挿入されると、冷凍装置が収納スペース17に収納されるとともに、冷却器24と庫内ファン25とが冷却器室12内に収納され、併せて冷却器室蓋で出入口が閉鎖される。
そして冷却運転に伴い、冷凍装置(圧縮機21)並びに庫内ファン25が駆動されると、図2の矢線に示すように、貯蔵室11内の空気が冷却器24の下部側に設けられた吸込口26から吸い込まれ、冷却器24を流通して冷気に変換されたのち、吹出口27から貯蔵室11の天井面側に吹き出されるように循環供給されることにより、貯蔵室11内が冷却されるようになっている。
続いて、上記の貯蔵庫本体10と冷却器室12とを構成する断熱箱体70について説明する。断熱箱体70は、金属板製の外箱71と、合成樹脂製の内箱72とを間隔を開けて配設し、両箱71,72の間にポリウレタンフォーム等の発泡樹脂からなる断熱材73が発泡充填されて形成されている。
より詳細には、外箱71は、亜鉛鋼板等の金属板からなる複数枚のパネルを繋ぎ合わせることにより、概ね前面に開口した箱形に形成されている。一方内箱72は、ABS樹脂等の合成樹脂材により、概ね上記した外箱71よりも一回り小さい前面開口の箱形に一体形成されている。
製造手順の一例を示すと、上記のように一体形成された内箱72の外側に、外箱71を構成するパネルが繋ぎ合わされつつ、所定の間隔を開けて組み付けられる。例えば、貯蔵庫本体10の右角の部分を例に取ると、図3に示すように、天板75の右端縁にフランジ75Aが下向きに直角曲げされるとともに、右側面板76の上縁にフランジ76Aが内向きに形成され、天板75の右隅部内に右側面板76の上角部が嵌められて重ねられ、適宜間隔ごとにリベットが打ち込まれることで結合されている。したがって合わせ目77では若干の隙間ができ、断熱材73の洩れは阻止するが、通気性は確保される。外箱71における他の合わせ目でも、同様に重ねられてリベットで結合されている。
内箱72の外側に外箱71が間隔を開けて組み付けられたら、両箱71,72の開口縁の間にジョイントと称する合成樹脂製の化粧枠が装着され、これにより本発明に言う外殻体が構成される。この外殻体が発泡治具内にセットされ、外箱71の適宜箇所に開口された注入口(図示せず)から、液状の断熱材73(ポリウレタンフォーム)が両箱71,72の間の充填空間に注入され、これが発泡して固化することで断熱材73が充填された状態となる。発泡時のガス抜きは、外箱71の合わせ目77にできる隙間を通して行われる。
このように断熱材73の発泡充填が完了したら、外箱71の合わせ目77の外面側に、水蒸気透過率の低いシール材78(テープまたはシール)が施されて閉じられる。なお、液状の断熱材73の注入口も、同じく水蒸気透過率の低いシール材78で閉じられる。
一方、内箱72には、上記した外箱71における合わせ目77とほぼ対向した位置、例えば貯蔵庫本体10の右角の部分では、内箱72の右側面の上部位置に、円形孔、長円孔からなる開口部79が、複数個適宜間隔を開けて形成されている。
ここで、開口部79の面積は、以下のように設定されている。上記のように外箱71の合わせ目77は、水蒸気透過率の低いシール材78で閉じられてはいるが、完全には閉じ切れず、庫外雰囲気や、庫内外の水蒸気分圧差等の条件によっては、水蒸気が同合わせ目77を通って侵入する可能性がある。この場合、水蒸気の流通量は、フランジ75Aと右側面板76の上縁との間にできる隙間の面積に、シール材78の水蒸気透過率を乗じた値となり、これが合わせ目77における水蒸気透過の開口面積とされる。なお、場所によってはシールできない場合があり、そのときは隙間の面積がそのまま開口面積となる。
一方、内箱72の開口部79は、水蒸気を断熱材73中から庫内側に向けて透過させることに機能するが、合わせ目77の対向位置に設けられた全開口部79のトータルの開口面積が、上記した合わせ目77側の開口面積の2倍となるように、開口部79の大きさが設定されている。
端的には、外箱71の合わせ目77側の開口量(開口面積)と、対向した内箱72の開口部79側の開口量(開口面積)との比が「1:2」とされている。
本実施形態の作用を、上記のように外箱71の合わせ目77側と、内箱72の開口部79側の開口量の比を「1:2」に定めた理由と併せて説明する。
冷却貯蔵庫の稼働中には、庫外が高温・高湿状態であるのに対して、庫内が低温・低湿状態となる。ここで庫内外に発生する水蒸気分圧差が大きい場合等に、庫外の水蒸気が断熱箱体70を通して庫内に向けて移動しようとする。
ここで、外箱71の合わせ目77は、水蒸気透過率が低いシール材78で閉じたとは言えども、完全には閉じ切れず、水蒸気が断熱材73中に侵入する。一方、内箱72における上記した水蒸気の侵入箇所の対向位置には、開口部79が形成されているから、断熱材73中に侵入した水蒸気は開口部79を通って庫内に放出されて、断熱材73中に滞留することが抑えられ、ひいては結露・氷結の防止に繋がることになる。
ここで、外箱71の合わせ目77側の開口量と、内箱72の開口部79側の開口量との比を定めるに当たっては、断熱材73の熱伝導率と透湿抵抗とから算出される実在水蒸気量が、断熱材73各部の飽和水蒸気量を下回るように決める必要がある。
一方、冷却貯蔵庫が使用される環境は、庫外については、温度が5〜35℃、湿度が20〜80%、また庫内については、温度が−25〜10℃、湿度が40〜70%と様々ではあるが、水蒸気が最も侵入しやすい条件であるところの、庫外の温度が35℃で、同湿度が80%、庫内の温度が−20℃で、同湿度が40%、さらには断熱材73の厚さが50mmの条件の下で、断熱材73の内部結露状態のシミュレーションを行ったところ、以下のような結果が得られた。
水蒸気量等の算出は、以下のような計算式に基づいてなされている。「建築の結露」(1985年 井上書院発行 山田雅士著)を参考にしている。
各種パラメータは、図4に示すようである。
(I)断熱材73の庫外側と庫内側の面の温度t2 ,t3 の計算
t2 、t3 は、以下の式により求められる。
t2 =t1 −(t1 −t4 )*R1 /Rt … (i)
t3 =t1 −(t1 −t4 )*(R1 +R2 )/Rt … (ii)
ここで条件から、庫外温度t1 =35℃、庫内温度t4 =−20℃
また、Rt :全体の熱環流抵抗(=R1 +R2 +R3 )。R1 ,R2 ,R3 の値は、図5(A)の熱抵抗値に示される。
上記(i),(ii)式より、t2 =34.09℃、t3 =−17.39℃が得られる。
(II)各部位の飽和水蒸気量の計算
まず、上記(I)で求めた各部位の温度から、Tetensの実験式に基づき、飽和水蒸気圧を求め、
E(t)=6.11*10^{7.5t /(t +273.15)} … (iii)
さらに、飽和水蒸気量を、
A(t)=217*E(t)/(t +273.15) … (iv)
で算出する。
各部位の飽和水蒸気圧E(t)、飽和水蒸気量A(t)は、上記した図5(A)に示される。
(III) 各部位の実在水蒸気量の計算
庫外の水蒸気量(絶対湿度)f1 と、庫内の水蒸気量(絶対湿度)f4 とは、条件として定められた相対湿度と、上記(II)で求めた飽和水蒸気量A(t)とから求められる。
f1 =31.684[g/m^3]、f4 =0.427[g/m^3]
そして、断熱材73の庫外側と庫内側の面の水蒸気量、特に外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比を加味した水蒸気量f2 ,f3 は、次式で表される。
f2 ={f1 −(f1 −f4 )*Ra1/Rat}*α … (v)
f3 ={f1 −(f1 −f4 )*(Ra1+Ra2)/Rat}*α … (vi)
ここで、Rat:全体の透湿抵抗(=Ra1+Ra2+Ra3)。Ra1,Ra2,Ra3の値は、図5(A)の透湿抵抗に示される。
また、「α」は、「外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比」である。
上記の式(v)、(vi)に基づき、まず、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比αが「1:1」の場合の算出結果は、図5(A)に示すように、f2 =21.265、f3 =10.846となり、これに基づく実在水蒸気量のグラフは、同図(B)に示すようになる。同グラフにおいて、実在水蒸気量の特性線Aが、飽和水蒸気量の特性線Bを上回ると結露することになるが、ここでは、断熱材73における若干の厚さ範囲において結露があると予測された。
これに対して、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比αを「1:9」とした場合は、図6(A)に示すように、f2 =2.363、f3 =1.205となり、実在水蒸気量のグラフは、同図(B)に示すようになる。ここでは、断熱材73の全厚さ領域にわたって、実在水蒸気量の特性線Aが、飽和水蒸気量の特性線Bを下回っていることから、内部結露が全く生じないことが予測された。
上記のように、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比αが「1:9」よりも大きければ、断熱材73内部の結露が確実に防止できると言えるが、内箱72側の開口量を大きくする、すなわち開口部79の開口面積を大きくすると、加工の手間や、強度的な問題も生ずる可能性がある。
この点に鑑み、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比αを「1:2」とした場合は、図7(A)に示すように、f2 =10.633、f3 =5.423となり、実在水蒸気量のグラフは、同図(B)に示すようになる。同グラフから、断熱材73における庫内側の5%弱の厚さ部分においてのみ結露が生ずる可能性があると判定された。
また、当該比「1:2」を実機に適用して、断熱材73中の吸水量を計測したところ、0.1g程度に抑えられ、実用上問題のないことが確認された。
以上の考察に基づき、本実施形態では、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との比が、「1:2」に定められている。
このように本実施形態によれば、内箱72における外箱71の合わせ目77とほぼ対向した位置には、合わせ目77の開口量のほぼ2倍の開口量を確保した開口部79が形成されているから、例え外箱71の合わせ目77を通って水蒸気が断熱材73中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は開口部79を通って庫内に放出される。結果、断熱材73中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材73の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
本実施形態に係る冷却貯蔵庫と、本実施形態の対策を施していない従来の冷却貯蔵庫とを比較すると、例えば庫内の冷却温度の落ち込みや、冷却速度の落ち込みが大幅に減少したことが、実験により確認されている。
なお、内箱72に開口部79を形成するに当たり、断熱材73(ポリウレタンフォーム)の発泡充填前に予め形成する場合は、図8に示すように、開口部79の内面側に、断熱材73の洩れ止めのために、通気性の良いテープ80、例えば不織布、サージカル(綾織り)テープ及び和紙テープ等を貼り付けておくとよい。
この場合は、開口部79側の開口面積(開口量)は、全開口部79のトータルの開口面積に、テープ80の水蒸気透過率を乗じた値となる。
また、外箱71側の開口量と内箱72側の開口量との関係は、「(庫外からの水蒸気の)流入量≦(庫内への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、既述したとおりに、「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材73内の結露防止には有効となる。
したがって、断熱材73内の結露防止のみに限れば、内箱72は、除霜排水や、庫内洗浄時の水が掛かる部分等の必要最小限のみを確保し、残余は断熱材73を剥き出しとするのがよい。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図9によって説明する。
この実施形態2の断熱箱体30は、外箱31が、例えば亜鉛鋼板製の複数枚のパネルを繋ぎ合わせて、概ね前面に開口した箱形に形成されている一方、内箱32が、例えばステンレス鋼板製の複数枚のパネルを繋ぎ合わせて、概ね上記した外箱31よりも一回り小さい前面開口の箱形に形成されており、両箱31,32の間にポリウレタンフォーム等の発泡樹脂からなる断熱材33が発泡充填された構造となっている。
より具体的な構造を、貯蔵庫本体10の右側壁の部分を例に挙げ、製造手順とともに説明する。
内箱32側では、天板50の右側縁の面一のフランジ50Aと、右側面板52の上縁の直角曲げされたフランジ52Aとが上下に重ねられ(上側の合わせ目36A)、また右側面板52の下縁の直角曲げされたフランジ52Aと、底板51の右側縁の直角曲げされたフランジ51Aが上下に重ねられ(下側の合わせ目36B)、それぞれクリップ状をなす合成樹脂製のファスナ54により弾性的に挟持されて固定されている。ただし、ファスナ54の基板部分には、フランジ50A(51A,52A)の2枚分の厚さ程度の直径を有する丸孔55が、長さ方向に適宜の間隔を開けて形成されている。この丸孔55の外面側には、通気性の良いテープ56、例えば不織布、サージカル(綾織り)テープ及び和紙テープ等が貼られている。なお、このテープ56は、断熱材33(ポリウレタンフォーム)の洩れ防止のために貼るものであって、その洩れが認められない場合は、貼らなくても良い。内箱32における他の合わせ目でも、上記と同様の構造によって固定される。
このように組み付けられた内箱32に対して、その外側に、外箱31を構成するパネルが繋ぎ合わされつつ、所定の間隔を開けて組み付けられる。
貯蔵庫本体10の右側壁の部分では、天板40の右側縁と、底板41の右側縁とが、それぞれ右側面板42の上下の各縁とそれぞれ繋ぎ合わされる。そのため、底板41の右側縁には上向きに直角曲げされたフランジ41Aが、右側面板42の下縁には、内向きに直角曲げされたフランジ42Aがそれぞれ形成され、底板41の角部が、右側面板42の下の隅部内に重ねられて、適宜間隔ごとにリベットが打ち込まれて結合されている。その合わせ目35Bの内面側には、水蒸気透過率の低いシール材44(テープまたはシール)が施されている。
また、上側の合わせ目35Aでは、天板40のフランジ40Aと右側面板42の上縁のフランジ42Aとが、通気性の良いスポンジテープ45を挟んで重ねられ、適宜間隔ごとにリベットが打ち込まれて結合されている。外箱31における他の合わせ目では、上記の下側の合わせ目35Bのように、内面側に水蒸気透過率の低いシール材44が施されるか、あるいは上側の合わせ目35Aのように、通気性の良いスポンジテープ45を挟んで結合された構造とされる。
以上のように、内箱32の外側に外箱31が間隔を開けて組み付けられたら、両箱31,32の開口縁の間に合成樹脂製の化粧枠が装着され、これにより本発明に言う外殻体が構成される。この外殻体が発泡治具内にセットされ、外箱31の適宜箇所に開口された注入口(図示せず)から、液状の断熱材33(ポリウレタンフォーム)が両箱31,32の間の充填空間に注入され、これが発泡して固化することで断熱材33が充填された状態となる。発泡時のガス抜きは、主に上側の合わせ目35A等に配されたスポンジテープ45を通して行われる。
このように断熱材33の発泡充填が完了したら、スポンジテープ45が介装された合わせ目35Aの外面側に、上記と同様の水蒸気透過率の低いシール材44(テープまたはシール)が施されて閉じられる。なお、液状の断熱材33の注入口も、同じく水蒸気透過率の低いシール材44で閉じられる。これにより、断熱箱体30の製造が完了する。
このような断熱箱体30により、貯蔵庫本体10と冷却器室12とが形成される。外箱31の合わせ目35A,35Bは、水蒸気透過率の低いシール材44で閉じられてはいるが、完全には閉じ切れず、庫外雰囲気や、庫内外の水蒸気分圧差等の条件によっては、水蒸気が同合わせ目35A,35Bを通って侵入する可能性がある。
ここで、合わせ目35Aの水蒸気透過の開口面積は、スポンジテープ45の開口面積にシール材44の水蒸気透過率を乗じた値となる。また、合わせ目35Bでは、水蒸気の流通量は、フランジ42Aと底板41の右側縁との間にできる隙間の面積に、シール材44の水蒸気透過率を乗じた値となり、これが合わせ目35Bにおける水蒸気透過の開口面積とされる。
一方、内箱32の合わせ目36A,36Bについては、フランジ50A,52A同士あるいはフランジ52A,51A同士は、ファスナ54で結合されてはいるものの、断熱材33の発泡時においてその発泡圧を受けることによって、製品としては問題ないレベルではあるが、重ねられたフランジ50A,52A同士あるいはフランジ52A,51A同士の間にどうしても僅かな隙間ができ、またフランジの成形時に波打つ等の若干変形して形成されることによっても、同様にフランジ50A,52A同士あるいはフランジ52A,51A同士の間に僅かな隙間ができる。そして両フランジ50A,52Aまたは52A,51Aは、丸孔55が開けられたファスナ54で結合され、かつ丸孔55は通気性の良いテープ56で閉じられているのであるから、内箱32の合わせ目36A,36Bには、水蒸気が通過可能な開口部37が設けられた構造となる。
なお、丸孔55は、両フランジ50A,52A(52A,51A)の間にできる隙間の面積よりも大きい開口面積に形成される。したがって、開口部37における水蒸気の流通量は、両フランジ50A,52A(52A,51A)の間にできる隙間の面積に、テープ56の水蒸気透過率を乗じた値となり、これが開口部37における水蒸気透過の開口面積とされる。
ここで、外箱31の合わせ目35A側の開口量(開口面積)と、対向した内箱32の合わせ目36Aの開口部37側の開口量(開口面積)との比、また外箱31の合わせ目35B側の開口量(開口面積)と、対向した内箱32の合わせ目36Bの開口部37側の開口量(開口面積)との比が、それぞれ「1:2」とされている。
すなわち本実施形態によれば、内箱32における外箱31の合わせ目35A,35Bとほぼ対向した位置には、外箱31の合わせ目35A,35Bの開口量のほぼ2倍の開口量を確保した開口部37が形成されているから、外箱31の合わせ目35A,35Bを通って水蒸気が断熱材33中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は内箱32の合わせ目36A,36Bに設けられた開口部37を通って庫内に放出される。結果、断熱材33中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材33の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
同様に、本実施形態に係る冷却貯蔵庫と、本実施形態の対策を施していない従来の冷却貯蔵庫とを比較すると、例えば庫内の冷却温度の落ち込みや、冷却速度の落ち込みが大幅に減少したことが、実験により確認されている。
なお、外箱31側の開口量と内箱32側の開口量との関係は、「(庫外からの水蒸気の)流入量≦(庫内への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材33内の結露防止には有効となる。
また、内箱32の合わせ目36A,36Bに開口部37を設けるに当たり、ファスナ54に丸孔55を開けた構造としており、内箱32自身には加工の必要がなく従来通りで良いから、コストアップも小さく抑えられる。
<実施形態3>
図10は、本発明の実施形態3を示す。この実施形態3は、上記実施形態2の変形例とも言うべきものであって、内箱32の合わせ目36A(36B)において開口部37を設ける部分の構造に改良が加えられている。
すなわち、互いに重ね合わされる天板50のフランジ50Aと、右側面板52の上縁のフランジ52Aのうち、右側面板52のフランジ52Aの上面に、エンボス加工等により、図10(B)に示すように、突部58が適宜間隔を開けて複数個突設されている。
そして、図10(A)に示すように、両フランジ50A,52Aは突部58を挟んで重ねられ、上記実施形態1と同様に、丸孔55が開けられたファスナ54で結合され、かつ丸孔55は通気性の良いテープ56で閉じられている。下側の合わせ目36Bも、同様の構造にできる。ここでも丸孔55は、両フランジ50A,52A(52A,51A)の間にできる隙間の面積よりも大きい開口面積に形成される。
内箱32の合わせ目36A,36Bに、大きな開口量で開口部37を設ける場合に有利であり、また突部58の高さを変えることで、フランジ50A,52A間の隙間、ひいては開口量の制御も簡単に行うことができる。
<実施形態4>
本発明の実施形態4を、図11によって説明する。この実施形態4は、断熱扉60に適用した場合を例示している。
断熱扉60は、裏面側に開口した浅皿状をなすステンレス鋼板製の外装板61と、周縁部に比べて中央部を裏面側へ膨出させた段差状をなすABS樹脂製の内装板62とを備えている。外装板61の開口縁には内向きに直角曲げされたフランジ61Aが形成されている。また内装板62の周縁部の裏面には、マグネットパッキン64を装着するためパッキン装着溝65が全周にわたって形成されている。
製造に当たっては、外装板61のフランジ61Aに、コーキング材66Aを介して内装板62の周縁を密着して組み付けられ、本発明の外殻体が形成される。なお内装板62には、発泡洩れが生じない程度の大きさで、複数のガス抜き用の孔(図示せず)が開口されている。上記のように組み付けられた外殻体が発泡治具内にセットされ、外装板61の周面の適宜箇所に開口された注入口(図示せず)から、液状の断熱材33(ポリウレタンフォーム)が両板61,62の間の充填空間に注入され、これが発泡して固化することで断熱材33が充填された状態となる。
そののち、内装板62における膨出部62Aの周面の適宜位置に、丸孔からなる開口部67が形成される。最後に、パッキン装着溝65にマグネットパッキン64が嵌着されることで断熱扉60が完成される。
係る断熱扉60は貯蔵庫本体10の出入口15に装着され、閉鎖時には、マグネットパッキン64が出入口15の口縁に吸着されてシールが取られる。この断熱扉60は言い換えると、閉扉時においては、外装板61と、内装板62におけるパッキン装着溝65の外側の部分が庫外に面することで、同部分が本発明の外装部材68となり、一方、内装板62におけるパッキン装着溝65よりも内側の部分が庫内に面することで、同部分が本発明の内装部材69となる。また、外装板61のフランジ61Aと内装板62の周縁との合わせ目66が、本発明における外装部材68に存在する隙間となる。
したがって本実施形態の断熱扉60は、外装部材68の合わせ目66(隙間)が水蒸気透過率が低いコーキング材66Aで閉じられ、かつ内装部材69に、水蒸気が通過可能な開口部67が設けられた構造となっている。
ここで、上記の合わせ目66が完全には閉じ切れず、蒸気が断熱材33中に侵入する場合がある。この場合、合わせ目66の水蒸気の流通量は、外装板61のフランジ61Aと、内装板62の上縁との間にできる隙間の面積に、コーキング材66Aの水蒸気透過率を乗じた値となり、これが合わせ目66における水蒸気透過の開口面積とされる。
一方、内装部材69の開口部67側の開口面積は、全開口部67のトータルの開口面積としてよいから、これが、上記した合わせ目66側の開口面積の2倍となるように、開口部67の大きさが設定されている。
同様に、外装部材68の合わせ目66側の開口量(開口面積)と、内装部材69の開口部67側の開口量(開口面積)との比が「1:2」とされている。
庫内外に発生する水蒸気分圧差が大きいと、庫外の水蒸気が断熱扉60を通して庫内に向けて移動しようとする。このとき、外装部材68の合わせ目66を通って水蒸気が断熱材33中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は内装部材69に設けられた開口部67を通って庫内に放出される。結果、断熱材33中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材33の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
なお、外装部材68側の開口量と内装部材69側の開口量との関係は、「(庫外からの水蒸気の)流入量≦(庫内への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材33内の結露防止には有効となることは、同様である。
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図12ないし図14によって説明する。この実施形態5では、庫内が冷凍室と冷蔵室とに仕切られた横型冷凍冷蔵庫に適用した場合を例示している。
本実施形態の横型冷凍冷蔵庫の全体構造を、上記実施形態1に示した横型冷蔵庫との相違点を中心に説明する。なお実施形態1の横型冷蔵庫と同一機能を有する部位については、適宜に同一符号を付して説明を省略または簡略化する。
まず、貯蔵庫本体10と冷却器室12とを構成する断熱箱体30が、上記実施形態2で示したように、亜鉛鋼板製の複数枚のパネルを繋ぎ合わせて形成した外箱31内に、ステンレス鋼板製の複数枚のパネルを繋ぎ合わせて形成した内箱32を間隔を開けて収容して、両箱31,32の間にポリウレタンフォーム等の発泡樹脂からなる断熱材33が発泡充填された構造となっている。
貯蔵庫本体10の前面開口部の中央部には断熱性の前面枠90が立てられ、同前面枠90の裏側において、詳しくは後記する断熱性の仕切部材100が後付けされることで庫内が左右に仕切られ、左側が冷凍室11F、右側が冷蔵室11Rとされている。両室11F,11Rの前面の開口には、図示しない揺動式の断熱扉が開閉可能に装着されている。
冷凍室11Fと連通した冷却器室12内には、冷凍用の冷却器24Fと庫内ファン25Fとが設けられるとともに、仕切部材100の冷蔵室11R側の面には、ダクト91を張ることで冷蔵側の冷却器室92が形成され、ここに冷蔵用の冷却器24Rと庫内ファン25Rとが設けられている。一方、冷却ユニット20Aは、圧縮機21、凝縮器22等からなる冷凍装置を基台上に設置して機械室16内への出し入れ可能に形成されており、圧縮機21の吐出側が個々の開閉弁を介して各冷却器24F,24R側に接続され、いわゆる1圧縮機−2冷却器の冷凍サイクルが構成されている。基本的には、対応する開閉弁の開放により各冷却器24F,24Rに冷媒が供給されることで冷凍室11Fと冷蔵室11Rとが冷却され、冷凍室11Fは冷凍用の設定温度(例えば、−30℃)に、冷蔵室11Rはこれよりも高い冷蔵用の設定温度(例えば、3℃)に維持されるようになっている。
次に、仕切部材100の構造並びにその配設構造を説明する。
仕切部材100は、ともにステンレス鋼板からなる第1パネル101と第2パネル102とを備えている。第1パネル101は冷蔵室11Rに面して配されるものであって、貯蔵庫本体10内の縦断面形状にほぼ等しい方形の本体板104の手前と奥の側縁、詳細にはその上下両端の所定域を除いた部分から、側板105が冷蔵室11R側(図13の右側)に直角曲げされて形成され、両側板105の突出端がさらに互いに対向する向きに直角曲げされている。また、本体板104の下縁には短寸の下板106が曲げ形成され、同下板106は、突出端側が一段下がった段付き状に形成されている。
本体板104の四隅には、ねじ108の取付座109が凹み形成され、同取付座109の底面にねじ108の挿通孔110が開口されている。また、本体板104の奥側上部の隅には、1/4円形の切欠部111が形成されている。
第2パネル102は冷凍室11Fに面して配されるものであって、第1パネル101の本体板104と同じ大きさの本体板113を有し、この本体板113の上縁並びに手前と奥の側縁から、第1パネル101の手前と奥の側板105よりも背の低い側板114が、冷凍室11F側とは反対側に直角曲げされて形成されている。なお、本体板113の奥側上部の隅には、第1パネル101側と同じ大きさの1/4円形の切欠部111が形成されており、その切欠部111を開放するようにして、上側の側板114の奥部と、奥側の側板114の上部とが切除されている。
3枚の側板114のうちの手前と奥の側板114の突出縁からは、フランジ115が互いに対向する向きに直角曲げされているとともに、上側の側板114の突出縁からは、上記のフランジ115よりも少し幅狭のフランジ115Aが、下方に向けて直角曲げされて形成されている。この上側のフランジ115Aの手前の端部と、手前側のフランジ115の上端とは、ともに45度の角度で切断されて、互いに突き合わされている。
上記した第1パネル101は、後記するように、本体板104の上縁並びに手前と奥の側縁を、上側並びに手前と奥のフランジ115A,115に当てて第2パネル102に重ねられるが、第2パネル102の手前と奥のフランジ115において、第1パネル101の本体板104の四隅に形成されたねじ108の挿通孔110と整合する位置に、ねじ孔117が切られている。
第2パネル102の本体板113の手前側と奥側の端縁寄りの位置には、横長の長方形をなす複数の開口部119が、所定ピッチで縦方向に並んで形成されている。これらの開口部119は、棚を受ける棚受金の取付孔を兼用しており、したがって棚柱94(図6参照)に列設された棚受金の取付孔と同じピッチで形成されている。
また、第2パネル102の上側の側板114における長さ方向のほぼ中央部には、丸孔からなる注入口120が形成されている。
仕切部材100は、以下のようにして製造される。発泡スチロール製のブロック状をなすスペーサ122が3個備えられ、このスペーサ122が、第2パネル102の本体板113における手前側下端部と奥側上下両端部との3箇所の隅部において、フランジ115A,115の裏面側に緊密に入れられる。それとともに、3枚のフランジ115A,115の表面に、通気性の良いスポンジテープ124が全長にわたって貼り付けられる。
係る状態から、第1パネル101の本体板104の上縁並びに手前と奥の側縁が、第2パネル102の対応するフランジ115A,115、すなわちその表面に貼られたスポンジテープ124に当てられて重ねられ、第1パネル101の本体板104の四隅の取付座109に開口された挿通孔110にねじ108を通し、スポンジテープ124を貫通しつつフランジ115に切られた相手のねじ孔117に螺合して締め付けられる。言い換えると、上縁並びに手前と奥の側縁の都合3周縁において、第1パネル101の本体板104の周縁とフランジ115A,115とによる合わせ目125が構成され、その合わせ目125は、通気性の良いスポンジテープ124が挟まれた状態で結合されている。
これにより外殻体126が組み付けられるが、同外殻体126の下面の開口は、水蒸気透過率の低いシール材127(例えばポリプロピレンからなるカートンテープ)が貼り付けられて塞がれる。
このような外殻体126が発泡治具内にセットされ、少なくとも外殻体126におけるシール材127が貼られた下面が治具に当てられるとともに、第1と第2のパネル101,102の本体板104,113のほぼ全面が、挟圧部によって両側から挟み付けられる。この状態において、上側の側板114の注入口120から、液状の断熱材103(ポリウレタンフォーム)が外殻体126内(両パネル101,102間)の充填空間に注入され、これが発泡して固化することで断熱材103が充填された状態となる。発泡時のガス抜きは、第1パネル101の本体板104の周縁と、第2パネル102のフランジ115A,115との合わせ目125に配されたスポンジテープ124を通して行われる。
このように断熱材103の発泡充填が完了したら、発泡治具から取り出されたのち、スポンジテープ124が介装された合わせ目125の外面側に、上記と同様の水蒸気透過率の低いシール材128が貼り付けられて閉じられる。また、液状の断熱材103の注入口120も、同じく水蒸気透過率の低いシール材129で閉じられる。さらに、外殻体126の下面を塞いだシール材127の外面に、合成樹脂製の板材123が貼り付けられる。これにより、断熱性の仕切部材100の製造が完了する。
仕切部材100は、以下のようにして取り付けられる。まず貯蔵庫本体10内の天井面には、前面枠90の正面から見た左側の領域の裏側において、チャンネル状をなす合成樹脂製のガイド96が、前面枠90の裏面から、庫内の奥壁の少し手前の位置にわたって奥行方向に沿って取り付けられている。そして仕切部材100は、斜め姿勢にして上端部をガイド96内に嵌めたのち起立され、第1パネル101の手前側と奥側の側板105が、それぞれ前面枠90の裏面と、庫内の奥壁に対して上下2箇所ずつでねじ止めされて固定される。また下板106が、庫内の底壁に対して例えば3箇所にわたってねじ止めされる。
仕切部材100がこのように取り付けられたら、既述したように、第1パネル101の右側にダクト91を張ることで冷却器室92が形成され、ここに冷蔵用の冷却器24Rと庫内ファン25Rとが設けられる。また、仕切部材100の上部奥の角部に設けられた切欠部111を利用して、冷凍装置と冷却器24Rとが冷媒配管によって接続される。
さて冷凍冷蔵庫の稼働中には、冷蔵室11Rが相対的に高温・高湿状態であるのに対して、冷凍室11Fが相対的に低温・低湿状態となる。ここで冷蔵室11Rと冷凍室11Fとの間に発生する気圧差、水蒸気分圧差が大きい場合には、図13の矢線Xに示すように、冷蔵室11Rの水蒸気が、特に仕切部材100における手前側と奥側の周面と、前面枠90または庫内の壁面との間の隙間を通って冷凍室11F側に侵入する。したがって、仕切部材100における第1パネル101側はもちろんのこと、同仕切部材100の周面についても、実質的に冷蔵室11Rに対向した面と言え、また合わせ目125が、同面に存在する隙間となる。
ここで、仕切部材100の周面の合わせ目125は、上記のように水蒸気透過率が低いシール材128で閉じられてはいるが、完全には閉じ切れず、庫内雰囲気や両室11F,11Rの水蒸気分圧差等の条件によっては、水蒸気が同合わせ目125を通って侵入する可能性がある。この場合、水蒸気の流通量は、スポンジテープ124の開口面積にシール材128の水蒸気透過率を乗じた値となり、これが合わせ目125における水蒸気透過の開口面積とされる。
この実施形態では、上記のように断熱材103中に水蒸気が侵入した場合に、これを積極的に冷凍室11F側に放出することを意図しており、そのため既述したように、仕切部材100の第2パネル102の本体板113における手前側と奥側の端縁寄りの位置、すなわち、仕切部材100における手前側と奥側の周面の合わせ目125と対応した位置に、複数の開口部119が所定ピッチで縦方向に並んで形成されている。
ここで開口部119は、棚受金の取付孔を兼用しているため、その大きさや数には自ずから制約があるが、一側における縦一列の全開口部119のトータルの開口面積が、上記した一側の合わせ目125の開口面積の2倍以上となるように、開口部119の大きさや数が設定されている。
その理由は、以下のようである。仕切部材100の周面の合わせ目125側の開口量(開口面積)と、仕切部材100の第2パネル102の開口部119側の開口量(開口面積)との比を、定めるに当たっては、断熱材103の熱伝導率と透湿抵抗とから算出される実在水蒸気量が、断熱材103各部の飽和水蒸気量を下回るように決める必要がある。
そこで、上記の実施形態1に示したと同様に、断熱材103の内部結露状態のシミュレーションを行った。水蒸気量等の算出は、同実施形態1に示した計算式において、庫外温度を「冷蔵室11Rの設定温度」、庫内温度を「冷凍室11Fの設定温度」に置き換えることで行うことができる。
そして、合わせ目125側の開口量(開口面積)と開口部119側の開口量(開口面積)との比αが「1:1」の場合は、断熱材103における若干の厚さ範囲において、実在水蒸気量が飽和水蒸気量を上回り、すなわち結露があると予測され、これに対して、開口量(開口面積)の比αを「1:9」とした場合は、断熱材103の全厚さ領域にわたって、実在水蒸気量が飽和水蒸気量を下回り、内部結露が全く生じないことが予測された。
また開口量(開口面積)の比αを「1:2」とした場合は、断熱材103における冷凍室11F側の僅かの厚さ部分においてのみ結露が生ずる可能性があると判定された。併せて、当該比「1:2」を実機に適用して、断熱材103中の吸水量を計測したところ、ごく僅か(0.数g程度)に抑えられ、実用上問題のないことも確認された。以上の考察に基づき、本実施形態では、合わせ目125側の開口量(開口面積)と開口部119側の開口量(開口面積)との比が、「1:2」以上となるように定められている。
本実施形態によれば、仕切部材100における冷凍室11Fと対向した第2パネル102には、同仕切部材100における手前側と奥側の周面の合わせ目125と対応した位置に、それぞれ合わせ目125の開口量の2倍以上の開口量を確保した開口部119が形成されているから、例え仕切部材100の周面の合わせ目125を通って水蒸気が断熱材103中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は開口部119を通って冷凍室11F側に放出される。結果、断熱材103中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材103の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
なお、仕切部材100の製造時における断熱材103の洩れ止めのために、開口部119の内面側に、通気性の良いテープ、例えば不織布、サージカル(綾織り)テープ及び和紙テープ等を貼り付けておくとよい。この場合は、開口部119側の開口面積は、全開口部119のトータルの開口面積に、テープの水蒸気透過率を乗じた値となる。
また、合わせ目125側の開口量と開口部119側の開口量との関係は、「(冷蔵室11R側からの水蒸気の)流入量≦(冷凍室11F側への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、既述したとおりに、「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材103内の結露防止には有効となる。
<実施形態6>
図15は、本発明の実施形態6を示す。この実施形態6では、縦型の冷凍冷蔵庫を例示している。
縦型冷凍冷蔵庫の概略構造は、貯蔵庫本体となる前面開口の縦長の断熱箱体130内が、断熱性の仕切部材131によって上下に仕切られ、上側が冷凍室132F、下側が冷蔵室132Rとされている。特徴的には、仕切部材131が断熱箱体130と一体的に形成されている。
より具体例には、亜鉛鋼板からなる複数枚のパネルを繋ぎ合わせて形成された前面開口の縦長の外箱134内に、ステンレス鋼板からなる複数枚のパネルを繋ぎ合わせて形成された前面開口の背の低い2個の内箱135F,135Rが、外箱134との間に間隔を開け、また内箱135F,135R同士の間にも上下に間隔を開けて収容されるとともに、上側の内箱135Fの下面と、下側の内箱135Rの上面との開口縁同士の間、並びに両内箱135F,135Rの他の開口縁と、外箱134の対応した開口縁同士の間に、それぞれジョイナ136が装着されることで外殻体137が形成される。
ここで、各内箱135F,135Rの合わせ目139は、それぞれ上下2箇所に設定され、フランジ同士が重ねられてリベットで結合されている。外箱134の合わせ目140も同様に上下2箇所にあって、フランジ同士が重ねられてリベットで結合されているが、下側の合わせ目140Bでは、断熱材138の洩れ止めのために内側に紙テープ等の水蒸気透過率の低いシール材142が貼られ、一方、上側の合わせ目140Aでは、発泡時のガス抜きも図るために、通気性の良いシール材であるスポンジテープ143が挟まれている。
このような構造になる外殻体137が発泡治具内にセットされ、外箱134の適宜箇所に開口された注入口(図示せず)から、液状の断熱材138(ポリウレタンフォーム)が外箱134と内箱135F,135Rの間の充填空間に注入され、これが発泡して固化することで断熱材138が充填された状態となり、断熱箱体130並びに仕切部材131が一体的に形成される。発泡時のガス抜きは、主に外箱134の上側の合わせ目140Aに配されたスポンジテープ143を通して行われる。
上記構造において、内箱135F,135Rの合わせ目139については、フランジ同士が適宜間隔を開けてリベット止めしてはあるものの、断熱材138の発泡時においてその発泡圧を受けることによって、製品としては問題ないレベルではあるが、重ねられたフランジ同士の間に僅かでも隙間ができたり、またフランジの成形時に波打つ等の若干変形して形成されることによっても、同様にフランジ同士の間に僅かな隙間ができるという事情がある。
そして、冷凍冷蔵庫の稼働中には、冷蔵室132Rが相対的に高温・高湿状態であるのに対して、冷凍室132Fが相対的に低温・低湿状態となり、ここで冷蔵室132Rと冷凍室132Fとの間に発生する気圧差、水蒸気分圧差が大きい場合には、冷蔵室132R側の水蒸気が、例えば下側の内箱135Rにおける上側の合わせ目139C、言い換えると仕切部材131における冷蔵室132Rと対向した面の合わせ目139Cから侵入し、充填された断熱材138を浸透して冷凍室132F側に移動しようとする。
また、庫内外の気圧差や水蒸気分圧差が大きい場合には、庫外の水蒸気が、特に外箱134の上側の合わせ目140Aのスポンジテープ143を通って侵入し、断熱材138を浸透して同じく冷凍室132F側に移動しようとし、水蒸気の一部が断熱材138中に滞留し、露点温度以下になると結露・氷結するという問題がある。
そのため、外殻体137を組み付ける前の状態において、冷蔵室132Rを構成する下側の内箱135Rにおける上側の合わせ目139Cが、両フランジにわたって水蒸気透過率の低いシール材145(例えばポリプロピレンからなるカートンテープ)が貼り付けられることによって塞がれている。一方、冷凍室132Fを構成する上側の内箱135Fにおける下側の合わせ目139Bについては、シールが施されていないままに留められ、結果同合わせ目139Bが、本発明の開口部となっている。
また、断熱箱体130の製造後においては、スポンジテープ143が介装された外箱134の上側の合わせ目140Aの外面側に、上記と同様の水蒸気透過率の低いシール材146が貼り付けられて閉じられている。なお、上側の内箱135Fの上側の合わせ目139Aと、下側の内箱135Rの下側の合わせ目139Dについても、シールは施されない。
上記した各合わせ目139C及び140A,140Bが、水蒸気透過率の低いシール材145,146,142でそれぞれ閉じられていることにより、冷蔵室132Rからの水蒸気の侵入や、庫外からの水蒸気の侵入が一応阻止される構造とはなっているが、完全には閉じ切れず、庫内雰囲気や両室132R,132Fの水蒸気分圧差等の条件によっては、水蒸気が同合わせ目139C及び140A,140Bを通って侵入する可能性がある。
この実施形態では、上記した各合わせ目139C及び140A,140Bから断熱材138中に水蒸気が侵入した場合に、冷蔵室132Rからの水蒸気は冷凍室132F側に、また庫外からの水蒸気は庫内(冷凍室132F、冷蔵室132R)に積極的に放出することを意図している。
詳細には、冷蔵室132Rの上側の合わせ目139Cから侵入した水蒸気は、同合わせ目139Cとほぼ対応した位置にある冷凍室132Fの下側の合わせ目139B(開口部)から放出するようにしている。
ここで、冷蔵室132Rの上側の合わせ目139Cの開口量(開口面積)は、フランジ同士の間にできる隙間の面積に、シール材145の水蒸気透過率を乗じた値となる。これに対して、合わせ目139B(開口部)の開口量(開口面積)は、フランジ同士の間にできる隙間の面積となる。そして冷蔵室132Rの上側の合わせ目139Cの開口量(開口面積)と、これと対応した合わせ目139B(開口部)の開口量(開口面積)との比が、「1:2」以上とされている。
なお、合わせ目139B(開口部)の開口面積をより大きく取るために、例えば上記実施形態3の図10に参照して示すように、重ね合わされるフランジの一方に突部を間隔を開けて形成するようにしてもよい。
一方、外箱134の上下の合わせ目140A,140Bから侵入した水蒸気は、それらの合わせ目140A,140Bと対応した位置にある冷凍室132Fの上側の合わせ目139A(開口部)、あるいは冷蔵室132Rの下側の合わせ目139D(開口部)から放出するようにしている。
外箱134の上側の合わせ目140Aの水蒸気透過の開口面積は、スポンジテープ143の開口面積にシール材146の水蒸気透過率を乗じた値となる。また、下側の合わせ目140Bでは、同合わせ目140Bにできる隙間の面積に、シール材142の水蒸気透過率を乗じた値が、水蒸気透過の開口面積となる。
これに対して、それらと対応した開口部139A,139Dの開口量(開口面積)は、フランジ同士の間にできる隙間の面積となる。そして、外箱134の上側の合わせ目140Aの開口量(開口面積)と、対向した開口部139Aの開口量(開口面積)との比、また下側の合わせ目140Bの開口量(開口面積)と、対向した開口部139Dの開口量(開口面積)との比が、それぞれ「1:2」以上とされている。同じように開口部139A,139Dの開口面積をより大きく取るために、重ね合わされるフランジの一方に突部を間隔を開けて形成してもよい。
すなわち本実施形態によれば、冷蔵室132Rの上側の合わせ目139Cとほぼ対応した位置である冷凍室132Fの下側位置には、冷蔵室132R側の合わせ目139Cの開口量の2倍以上の開口量を確保した開口部139Bが形成されているから、冷蔵室132Rの水蒸気が合わせ目139Cを通って断熱材138中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は冷凍室132Fに面した開口部139Bを通って冷凍室132F内に放出される。
また、外箱134の合わせ目140A,140Bとほぼ対向した位置には、同外箱134の合わせ目140A,140Bの開口量の2倍以上の開口量を確保した開口部139A,139Dが形成されているから、外箱134の合わせ目140A,140Bを通って庫外の水蒸気が断熱材138中に侵入したとしても、侵入した水蒸気は冷凍室132Fと冷蔵室132Rに設けられた開口部139A,139Dを通って冷凍室132Fまたは冷蔵室132Rに放出される。結果、断熱材138中に水蒸気が滞留すること、ひいてはそれが結露・氷結することが抑えられ、断熱材138の性能劣化を長期間にわたって防止することができる。
なお、冷蔵室132Rの合わせ目139C側の開口量と開口部139B側の開口量との関係は、「(冷蔵室132R側からの水蒸気の)流入量≦(冷凍室132F側への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材138内の結露防止には有効となる。
また、外箱134の合わせ目140A,140Bの開口量と、対応した開口部139A,139Dの開口量との関係は、「(庫外からの水蒸気の)流入量≦(庫内への水蒸気の)放出量」とするのが原則であり、同じく「放出量」の方が「流入量」よりも大きくなるほど、断熱材138内の結露防止には有効となる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)実施形態1でも、外箱の合わせ目の一部に、スポンジテープを挟むようにしてもよい。
(2)実施形態1〜3において、外装部材側にできる隙間は、パネルの合わせ目に限らず、例えば断熱箱体の底面に排水管が設けられる場合に、排水管の突設位置にできる隙間等も含まれる。したがって外箱についても、複数枚のパネルを繋ぎ合わせたものに限らず、金属板で一体的に形成したものも含まれる。
(3)実施形態1〜3では、断熱材の発泡充填後に、外装部材の合わせ目を、水蒸気透過率が低いシール材で閉じた場合を示したが、内装部材側に、外装部材側以上の水蒸気透過量を確保できる開口部が形成できれば、外装部材の合わせ目を発泡後に改めて閉じる処理を行う必要はなく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(4)実施形態5に例示した横型冷凍冷蔵庫で仕切部材が断熱箱体と一体形成されたもの、逆に実施形態6に例示した縦型冷凍冷蔵庫で仕切部材が断熱箱体とは別体として形成されたものについても、本発明は同様に適用することができる。
(5)本発明は上記実施形態に例示した冷蔵庫や冷凍冷蔵庫に限らず、要は庫内が庫外よりも低温雰囲気に維持される冷却冷蔵庫、さらには庫内が異なった冷却温度の貯蔵室に区分される冷却貯蔵庫に用いられる断熱箱体、断熱扉、断熱仕切部材のような断熱構造体の全てにわたって広く適用することが可能である。
本発明の実施形態1に係る冷却貯蔵庫の外観斜視図 その内部構造を示す断面図 断熱箱体の部分断面図 水蒸気量等を計算する場合における各種条件を示した図 (A)外箱側と内箱側との開口量の比が「1:1」の場合における水蒸気量等を示す表図,(B)同グラフ (A)外箱側と内箱側との開口量の比が「1:9」の場合における水蒸気量等を示す表図,(B)同グラフ (A)外箱側と内箱側との開口量の比が「1:2」の場合における水蒸気量等を示す表図,(B)同グラフ 変形例に係る内箱の開口部の形成部分の断面図 本発明の実施形態2に係る断熱箱体の部分断面図 (A)実施形態3に係る内箱の合わせ目の構造を示す断面図,(B)同合わせ目を構成する一方のフランジを示す斜視図 実施形態4に係る断熱扉の部分断面図 実施形態5に係る冷却貯蔵庫の内部構造を示す断面図 その仕切部材の配設構造を示す平断面図 仕切部材の分解斜視図 実施形態6に係る冷却貯蔵庫の一部切欠縦断面図 従来例の断面図
符号の説明
10…貯蔵庫本体 11F…冷凍室 11R…冷蔵室 12…冷却器室 30…断熱箱体 31…外箱(外装部材) 32…内箱(内装部材) 33…断熱材 35A,35B…(外箱31側の)合わせ目 36A,36B…(内箱32側の)合わせ目 37…開口部 40,41,42…(外箱31側の)パネル(板材) 40A,41A,42A…フランジ 44…(水蒸気透過率が低い)シール材 50,51,52…(内箱32側の)パネル(板材) 50A,51A,52A…フランジ 54…ファスナ 55…丸孔 56…(通気性の良い)テープ 58…突部 60…断熱扉 61…外装板 62…内装板 64…マグネットパッキン 65…パッキン装着溝(パッキン装着部) 66…合わせ目 66A…コーキング材(水蒸気透過率が低いシール材) 67…開口部 68…外装部材 69…内装部材 70…断熱箱体 71…外箱(外装部材) 72…内箱(内装部材) 73…断熱材 75,76…(外箱71の)パネル(板材) 77…(外箱71の)合わせ目 78…(水蒸気透過率が低い)シール材 79…開口部 100…仕切部材 103…断熱材 119…開口部 125…合わせ目 126…外殻体 128…(水蒸気透過率が低い)シール材 130…断熱箱体 131…仕切部材 132F…冷凍室 132R…冷蔵室 137…外殻体 139B…合わせ目(開口部) 138…断熱材 139C…合わせ目 145…(水蒸気透過率が低い)シール材

Claims (8)

  1. 外殻体内に発泡樹脂からなる断熱材が発泡充填されてなり、互いに温度域が異なる2つの空間の間に介設された冷却貯蔵庫の断熱構造体において、
    前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面には、前記外殻体における相対的に高温の空間に対向した側の面に存在する隙間に対応する位置に、水蒸気を透過可能な開口部が設けられ、この開口部の開口量が前記隙間の開口量以上に設定されており、前記隙間から前記断熱材中に侵入した水蒸気が前記開口部から相対的に低温の空間側に放出可能となっていることを特徴とする冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  2. 前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面が一体物であって、この面に孔が開けられることで前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  3. 前記外殻体における相対的に低温の空間に対向した側の面は、複数の板材を繋ぎ合わせて形成され、前記両板材の対向した合わせ面同士の間に構成される隙間によって前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  4. 互いに対向した一方の前記合わせ面に突部が形成され、この突部が他方の前記合わせ面に当てられて両合わせ面同士が繋がれていることを特徴とする請求項3記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  5. 当該断熱構造体は、庫外に面する外装部材と庫内に面する内装部材とが間隔を開けて配された外殻体内に前記断熱材が発泡充填されることで形成されており、前記外装部材が前記外殻体の相対的に高温の空間に対向した側の面を、前記内装部材が前記外殻体の相対的に低温の空間に対向した側の面をそれぞれ構成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  6. 当該断熱構造体が、外箱と内箱とが間隔を開けて配されて、両箱の間に前記断熱材が発泡充填されて形成された断熱箱体であって、前記外箱が前記外装部材を、前記内箱が前記内装部材をそれぞれ構成していることを特徴とする請求項5記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  7. 当該断熱構造体が、外装板と、周縁部にパッキン装着部を設けた内装板とを間隔を開けて繋ぎ合わせ、両板の間に前記断熱材が発泡充填されて形成された断熱扉であって、前記外装板と前記内装板における前記パッキン装着部の外側の部分により前記外装部材が、前記内装板における前記パッキン装着部の内側の部分により前記内装部材がそれぞれ構成され、前記外装板と前記内装板との合わせ目が、前記外装部材における隙間を構成する部分となっていることを特徴とする請求項5記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
  8. 当該断熱構造体が、外殻体内に前記断熱材が発泡充填された仕切部材であって、断熱箱体内に装着することによって前記仕切部材を挟んだ両側に互いに冷却温度域を異にした貯蔵室が形成されるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4記載の冷却貯蔵庫の断熱構造体。
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