JPH08100978A - 冷蔵庫の内部結露防止構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 この発明の冷蔵庫の内部結露防止構造は、冷
蔵庫キャビネット１０の外箱１２と内箱１４とが形成す
る空間に、真空パネル１６とウレタンフォームとを充填
させたものにおいて、真空パネル１６の端部をその形状
に即した、透湿抵抗が大であり熱伝導率の小さな断熱部
材にて覆った。 【効果】 冷蔵庫内外の水蒸気分圧差により、外箱の合
わせ部等から水蒸気が流入し低温の真空パネル端部付近
を透過する際に発生する、内部結露による断熱性能劣化
を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷蔵庫の内部結露防止
構造に関し、特に、水蒸気分圧差により生じる湿流が真
空パネル端部近傍を透過することに起因する結露を防止
する冷蔵庫の内部結露防止構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の冷蔵庫を図６と図７とに示す。

【０００３】冷蔵庫の外箱１２は側板、天板、後板、底
板等を、シール材を介してスポット溶接、ネジ固定など
することにより構成されている。そして外箱１２と内箱
１４との間においては、断熱材として、内部を減圧した
真空パネル１６を外箱または内箱に貼り付け、断熱空間
の余剰部に硬質ウレタンフォーム３２を充填している。

【０００４】ところで、冷蔵庫の庫内外の水蒸気分圧差
が大きい場合（例えば、庫内側が冷蔵庫であり、外気条
件が高温高湿の場合）には、キャビネットの外箱を構成
しそれ自体透湿性を全く有さない鉄製の側板と後板との
継ぎ目などから、湿気が侵入し、外箱と内箱との間にあ
る硬質ウレタンフォームを透過して庫内側へ移動しよう
とする。しかし、内箱はウレタンより透過率の低いプラ
スチックにより形成されているので、硬質ウレタンフォ
ームの内部に水分がたまり、露点温度以下になると結露
氷結し、断熱材の性能劣化を招いている。これを吸湿現
象と呼んでいる。

【０００５】断熱材の内部結露防止策として、外箱の構
成部品の合わせ部２８（図７）に、ホットメルトを塗付
したり透湿抵抗の大なシール材を圧縮固定している。

【０００６】なお、図７の等温線４に示すように、低温
源である庫内側の内箱近傍の温度が真空パネル１６の表
面並びに端部を伝わり、湿気流入部付近が低温になって
いる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ホット
メルトやシール材での防湿は、製造に手数がかかり、ま
た、製造バラツキ等により完全に湿気流入部を遮蔽する
ことも困難で、大幅なコストアップにもつながってい
た。

【０００８】特に、真空パネルは表面が金属で熱を伝え
易く、高温側と低温側の合わせ部にある真空パネルの端
部近傍は、ウレタンのみの温度分布と異なり、低温にな
る部分が発生し、かつ、金属は透湿抵抗が極めて大きい
ため、図７の６に示すように、真空パネル端部に内部結
露が発生し易い。また、真空パネル端部によるウレタン
ボイドの発生という問題もあった。

【０００９】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
で、真空パネル端部において内部結露発生を防止する構
造を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１の冷蔵庫の内部
結露防止構造は、冷蔵庫キャビネットの外箱と内箱とが
形成する空間に、真空パネルとウレタンフォームとを充
填させたものにおいて、真空パネルの端部をその形状に
即した、透湿抵抗が大であり熱伝導率の小さな断熱部材
にて覆ったものである。

【００１１】請求項２の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、前記の断熱部材が発泡塩化ビニリデンである。

【００１２】請求項３の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、前記の真空パネルは、その端部において、パネ
ル厚さの中央に位置するフランジを有しており、前記の
断熱部材は２つの分割体より構成され、これら分割体に
より前記フランジをその両側面から挟み込んでいる。

【００１３】請求項４の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、前記の真空パネルは、その端部において、パネ
ル厚さの中央に位置するフランジを有しており、前記の
断熱部材はスリットを有し、このスリットに前記フラン
ジを挿入した。

【００１４】請求項５の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、前記断熱部材により前記真空パネル端部を覆う
とともに、庫外側である湿気流入部から庫内側である低
温側への透湿経路の全体に前記断熱部材を充填した。

【００１５】請求項６の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、湿気流入部に近い内箱の個所に、庫内へ湿気を
流出するための穴をあけた。

【００１６】

【作 用】請求項１と請求項２の冷蔵庫の内部結露防止
構造においては、真空パネル端部を透湿抵抗が大きな断
熱部材にて覆うことで、湿流が低温であるパネル端部ま
で到達することはなく、パネル端部における内部結露の
発生を防止できる。また、この断熱部材は、熱伝導率が
小さいため、パネル表面の低温度がこの断熱部材を伝わ
ることがなく、湿流がその付近で生じているとしても、
ウレタンとの境界面で内部結露を生じることはない。

【００１７】請求項３の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、真空パネルの端部フランジを断熱部材の２つの
分割体により挟み込むようにしたもので、断熱部材の取
付けが容易である。

【００１８】請求項４の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、断熱部材のスリットに真空パネルの端部フラン
ジを挿入したもので、端部フランジが厚み方向の中央に
位置していても、一つの部材で結露防止を行うことが可
能である。

【００１９】請求項５の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、透過経路の全体に断熱部材を充填するもので、
透湿現象と結露を有効に防止できる。

【００２０】請求項６の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、湿気流入部近傍の内箱の個所に穴を数箇所あけ
ることにより、水蒸気を内箱でせき止めず、庫内へ流出
させて、内部結露を防止する。

【００２１】

【実施例】図１は第一の実施例を示す。

【００２２】冷蔵庫キャビネット１０において、外箱１
２と内箱１４との間に真空パネル１６，１６が配されて
いる。真空パネル１６，１６は、一方が、外箱１２の側
板１８に当接するとともに、他方が後板２０に当接して
いる。この場合、真空パネル１６は、共にガスバリア性
を有する樹脂製成形容器２２とこれを被覆する樹脂シー
ト２４とからなり、その内部に連続気孔率の高いプラス
チック発泡体が封入されている。真空パネル１６は、そ
の一端側２６が、外箱１２における側板１８と後板２０
との合わせ部２８の近傍に位置している。真空パネル１
６の前記一端部には、発泡塩化ビニリデンからなる断熱
部材３０が配されている。断熱部材３０は、真空パネル
１６の端部２６に相応する形状に形成され、真空パネル
１６に対して密着係合し、接着剤等の適当な手段により
固定されている。断熱部材３０としては、発泡塩化ビニ
リデンの他、透湿抵抗が大であり熱伝導率が小さな適切
な素材を用いることができる。内外両箱１２，１４の間
における真空パネル１６以外の個所にはウレタン発泡体
３２が充填されている。

【００２３】この実施例では、真空パネル端部２６を透
湿抵抗が大きな発泡塩化ビニリデン断熱部材３０にて覆
うことで、湿流が低温であるパネル端部２６まで到達す
ることはなく、内部結露の発生を防止できる。また、断
熱部材３０は、熱伝導率が小さいため、湿流がその付近
で生じているとしても、パネル表面１７の低温度が断熱
部材３０に伝わることがなく、ウレタン３２との境界面
で内部結露を生じることはない。なお、断熱部材３０に
は、ウレタンの流れを疎外することがないようにカット
面３１を設けるのが好ましい。

【００２４】図２に他の実施例を示す。この場合には、
真空パネル１６は、２枚のフィルム３４，３４により形
成されたガスバリア性のある合成樹脂容器の中に、通気
性を有する袋にパーライト粉末、シリカ微粉末等の断熱
性を有する粉末を収納して所定形状に予備成形したコア
材を封入したものである。この真空パネルの端部におい
ては、その厚さ方向の中央に位置するフランジ３９が設
けられている。この実施例においては、発泡塩化ビニリ
デンよりなる断熱材３８は、全体として、真空パネル１
６の前記端部構造２７に相応して凹部を有している。そ
して、このような形状の断熱部材３８は２つの分割体４
０，４０から構成されている。真空パネル１６のフラン
ジ３９を２つの分割体４０，４０により挟み、両者の接
合部を接着するなどして、固定する。

【００２５】図３にはこの発明のさらに他の実施例を示
す。この実施例と図２の実施例との相違点は、断熱部材
３８が一体に構成され、その中央部において、真空パネ
ル１６のフランジ３９を受け入れるスリット４２を有し
ている点である。この構成により、真空パネル端部２７
が厚み方向の中央に位置するフランジ３９を有していて
も、１部材で結露防止を行うことが可能である。

【００２６】図４にはこの発明のさらに他の実施例を示
す。この場合には、外箱１２と内箱１４との間の断熱空
間において、真空パネル１６，１６を配した個所以外の
空間の全体に、発泡塩化ビニリデンを一体成形した充填
部材４４を埋めたものである。これにより、外箱におい
て湿気が流入する合わせ部２８から、その近傍にある内
箱の隅角部４６までの透湿経路の全体が前記断熱部材に
より充填されることになり、透湿現象を有効に防ぐこと
ができる。また、このようにすることにより、内外両箱
の間の断熱空間の厚さ全体を真空パネルで構成する場合
に、内箱形状に追従し得ない点を解消することができ
る。

【００２７】図５はこの発明のさらに他の実施例を示
す。この実施例と前記の図４の実施例との相違は、内箱
の隅角部４６において、複数の穴４８を設けた点であ
る。穴が設けられた隅角部４６は湿気流入部である外箱
の合わせ部２８の近傍にあるが、このように穴４８を設
けることにより、庫内外の水蒸気分圧を小さくすること
ができる。すなわち、この穴４８により、湿気は内箱１
４によりせき止められることなく、庫内へ流出すること
ができるので、内部結露を効果的に防止できる。

【００２８】なお、この実施例においては、断熱材にウ
レタンフォームを使用していないので、ウレタン発泡時
の内箱穴へのウレタンシールは不要である。

【００２９】

【発明の効果】請求項１と請求項２の冷蔵庫の内部結露
防止構造においては、冷蔵庫内外の水蒸気分圧差によ
り、外箱の合わせ部等から湿気が流入し低温の真空パネ
ル端部付近を透過する際に発生する、内部結露による断
熱性能劣化を防止できる。

【００３０】請求項３の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、真空パネルへの断熱材の取付けが容易である。

【００３１】請求項４の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、真空パネルの端部フランジが厚み方向の中央に
位置していても、一つの部材で結露防止を行うことが可
能である。

【００３２】請求項５の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、透過経路の全体に断熱部材を充填するもので、
透湿現象と結露を有効に防止できる。

【００３３】請求項６の冷蔵庫の内部結露防止構造にお
いては、庫内へ水蒸気を流出させ、内部結露を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示す要部横断面図であ
る。

【図２】この発明の他の実施例を示す要部横断面図であ
る。

【図３】この発明のさらに他の実施例を示す要部横断面
図である。

【図４】この発明のさらに他の実施例を示す要部横断面
図である。

【図５】この発明のさらに他の実施例を示す要部横断面
図である。

【図６】従来の冷蔵庫の要部縦断面図である。

【図７】前図のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１０ キャビネット １２ 外箱 １４ 内箱 １６ 真空パネル ２６ 真空パネルの端部 ２７ 真空パネルの端部 ３０ 断熱部材 ３８ 断熱部材 ３９ 真空パネルの端部フランジ ４０ 分割体 ４２ 分解体のスリット ４４ 充填部材 ４８ 穴

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【手続補正書】

【提出日】平成６年１０月１７日

【手続補正１】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】全図

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】

【図２】

【図３】

【図４】

【図５】

【図６】

【図７】

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷蔵庫キャビネットの外箱と内箱とが形
   成する空間に、真空パネルとウレタンフォームとを充填
   させたものにおいて、真空パネルの端部をその形状に即
   した、透湿抵抗が大であり熱伝導率の小さな断熱部材に
   て覆ったことを特徴とする冷蔵庫の内部結露防止構造。
2. 【請求項２】 前記の断熱部材が発泡塩化ビニリデンで
   あることを特徴とする請求項１に記載の冷蔵庫の内部結
   露防止構造。
3. 【請求項３】 前記の真空パネルは、その端部におい
   て、パネル厚さの中央に位置するフランジを有してお
   り、前記の断熱部材は２つの分割体より構成され、これ
   ら分割体により前記フランジをその両側面から挟み込ん
   だことを特徴とする請求項１または２に記載の冷蔵庫の
   内部結露防止構造。
4. 【請求項４】 前記の真空パネルは、その端部におい
   て、パネル厚さの中央に位置するフランジを有してお
   り、前記の断熱部材はスリットを有し、このスリットに
   前記フランジを挿入したことを特徴とする請求項１また
   は２のいずれか１項に記載の冷蔵庫の内部結露防止構
   造。
5. 【請求項５】 前記断熱部材により前記真空パネル端部
   を覆うとともに、庫外側である湿気流入部から庫内側で
   ある低温側への透湿経路の全体に前記断熱部材を充填し
   たことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載
   の冷蔵庫の内部結露防止構造。
6. 【請求項６】 湿気流入部に近い内箱の個所に、庫内へ
   湿気を流出するための穴をあけたことを特徴とする請求
   項５に記載の冷蔵庫の内部結露防止構造。