JP2007015307A - スキージヘッドおよび掻取部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】スキージ側方へ漏れた被印刷剤をスクリーン上に残すことなく、また、不要な汚れを生ずることなく、スクリーン上の被印刷剤を掻き取ることができるスキージヘッド,掻取部材を提供する。
【解決手段】スキージ80の幅方向の両端に掻取部材84,86を、スキージ80の前方に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜し、スクリーンに対して直角な姿勢で密着させ、掻取部材取付装置88により、スキージ80を保持する第一主保持部材に取り付ける。掻取部材84,86はシリコンゴム製であり、下端部に、下端に向かって厚さが漸減するリップ部112を有する。印刷時にはスキージ80,掻取部材84,86をスクリーンに密着させて移動させ、スキージ80はクリーム状はんだを貫通孔に押し込んでプリント基板に印刷し、掻取部材84,86はスキージ80の横方向にはみ出したクリーム状はんだを掻き取りつつスキージ80側へ戻す。
【選択図】 図5

Description

本発明は、スクリーン印刷機用のスキージヘッドおよびそのスキージヘッドに用いられる掻取部材に関するものであり、特に、スクリーン上に載せられた被印刷剤のスキージ側方への広がりの防止に関するものである。
スクリーン印刷機は、例えば、クリーム状はんだをプリント基板に印刷するために広く使用されている。クリーム状はんだはスクリーン上に載せられ、スクリーン上を摺動させられるスキージにより印刷用の貫通孔に押し込まれ、スクリーンの下に配置されたプリント基板に印刷される。貫通孔に押し込まれないクリーム状はんだはスキージによりスクリーン上から掻き取られ、スキージと共に移動させられるのであるが、その際、スキージの幅方向に広がってスキージの側方へはみ出し、スクリーンのスキージ移動経路の横にクリーム状はんだが残ってしまうことがある。クリーム状はんだがスクリーン上に残ることがあれば、大気に触れる表面積が大きく、劣化が促進され、はんだ廃棄量の増大を招来し、スクリーンの清掃も大変になる。
そのため、下記の特許文献1に記載のスクリーン印刷機においては、スキージの幅方向(スクリーンに平行でかつ印刷時におけるスキージの移動方向に直角な方向)の両端にそれぞれサイドスキージが設けられ、クリーム状はんだがスキージの側方へ漏れる横漏れによってスクリーン上に残ることが防止されている。これらサイドスキージはそれぞれ、板状を成し、概してスキージの移動方向に平行に設けられ、スキージから、印刷時における移動の前方と後方とへ延び出させられるとともに、後方へ延び出させられた延出し端部がスキージの幅方向の中央部側へ屈曲させられて成る屈曲部を有し、一対のサイドスキージの屈曲部の先端部間の間隔が、スキージの幅より小さくされている。また、1対のサイドスキージはそれぞれ、スキージを保持するスキージ保持部材により、スクリーンに直角な方向に移動可能に保持されるとともにスプリングによりスクリーンに向かって付勢され、スキージがスクリーンに密着させられるとき、サイドスキージもスクリーンに密着するようにされている。また、このスクリーン印刷機はスキージを1対備え、それら1対のスキージがスクリーンに対して互いに逆向きに移動させられて交互にプリント基板にクリーム状はんだを印刷し、サイドスキージは、スキージによって移動させられるクリーム状はんだがスキージの幅方向に広がり、スキージからはみ出してスクリーン上に残ることを防止する。その際、スキージとサイドスキージとの間からクリーム状はんだが漏れても、そのクリーム状はんだはサイドスキージの屈曲部によりスキージの中央部側へ掻き寄せられ、スクリーンのスキージの移動経路内に残るようにされる。そのため、次に他方のスキージが移動してクリーム状はんだをプリント基板に印刷する際に共に移動させられ、スクリーン上から回収される。
特開平6−39999号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスクリーン印刷機においては、サイドスキージの前端面や外側面にクリーム状はんだが付着する恐れがある。クリーム状はんだは、印刷作業の開始時にスクリーン上にスキージの幅方向に平行に載せられるが、その長さはスキージの幅より短く、プリント基板の被印刷領域の幅よりやや長く、スクリーンのスキージ移動経路内に位置するように載せられる。しかしながら、クリーム状はんだを載せる位置がずれたり、長さがやや長過ぎたりして、クリーム状はんだの一部がサイドスキージの移動経路内に位置すれば、移動時にサイドスキージがその一部に突っ込んで、クリーム状はんだがサイドスキージの前端面や外側面に付着する事態が生ずるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、スキージの側方へ漏れた被印刷剤が掻き取られ、スキージ側へ掻き寄せられてスクリーン上に残ることが防止されるとともに、不要な汚れを生ずることなく、スクリーン上の被印刷剤を掻き取ることができるスキージヘッドおよび掻取部材を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために、印刷用の貫通孔が形成されたスクリーンを通して、被印刷剤を、そのスクリーンの下に配置された被印刷体に印刷するスクリーン印刷機のスキージヘッドを、(a)スクリーン上を摺動させられ、そのスクリーン上に載せられた被印刷剤を前記貫通孔に押し込むスキージと、(b)そのスキージの幅方向の両端に密着するとともに、スキージの前方に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜し、スキージと共に前記スクリーン上を摺動させられてスキージ側方の前記被印刷剤を掻き取ってスキージ側へ戻す掻取部材とを含むものとしたことを特徴とする。
本発明に係るスキージヘッドのスキージは、被印刷体の大きさ毎に専用としてもよく、大きさが異なる複数種類の被印刷体に共用としてもよい。被印刷体の大きさによってスキージの印刷に必要な幅が異なり、専用のスキージの場合、スキージは、被印刷体の大きさに応じた幅を有するものとされる。共用のスキージの場合、スキージは、大きさが異なる複数種類の被印刷体のうち最大のものに印刷可能な幅を有するものとされる。
掻取部材は、スキージの幅方向の両端に密着してスキージと掻取部材との隙間からクリーム状はんだが漏れないようにされることが望ましく、また、下端がスクリーンに密着して、クリーム状はんだがスクリーン上に残らないないようにされることが必要である。そのため、掻取部材はスキージの材料より軟らかい材料から成るものとされることが望ましい。
また、前記課題を解決するために、本発明に係るスキージヘッド用の掻取部材は、ゴムまたはその類似物から成り、概して平板状を成すものとされるとともにスクリーンに密着する下端部が下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされる。
なお、上記掻取部材が「スキージの幅方向の両端に密着」する、あるいは「スクリーンに密着」するという場合の密着は、必ずしも面と面との密着に限定されず、一方が面で他方が線である場合も包含する。例えば、スキージの前面あるいは背面と側端面との交線である稜線に、掻取部材の前面が隙間なく接触し、スキージの前側の空間から後側の空間にクリーム状はんだが通過することを阻止する状態も「密着」に含まれるものとする。
本発明に係るスキージヘッドにおいては、スキージがスクリーン上を摺動させられ、印刷用の貫通孔に被印刷剤を押し込むとき、掻取部材も共にスクリーン上を摺動させられ、その傾斜により、スキージから側方へはみ出した被印刷剤を掻き取りつつスキージの中央側へ寄せ、スキージ側へ戻す。そのため、スキージから側方へはみ出した被印刷剤を再びスキージ側へ移動させ、スキージに貫通孔に押し込ませることができ、スクリーン上に被印刷剤が残ることが防止されるとともに、被印刷剤の無駄が低減する。
スキージの幅方向の両端に密着した掻取部材は、スキージの前方に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜させられているため、スキージから側方へ外れた位置に被印刷剤があっても、1対の掻取部材の前端間に位置する限り、掻取部材は被印刷剤に突っ込んで汚れることなく被印刷剤を掻き取り、スキージ側へ掻き寄せることができる。そのため、被印刷剤がスクリーン上に載せられるとき、その載置位置がややずれたり、載置長さが多少長過ぎても、1対の掻取部材の前端間に位置することとなり、掻取部材がスキージと共に移動させられるとき、掻取部材の前端が被印刷剤の一部に突っ込んで汚れることがない。
また、スキージヘッドが1対設けられたスクリーン印刷機において、それらスキージヘッドの各スキージの位置が、スキージの幅方向において互いにずれることがあっても、そのずれによる被印刷剤の位置のずれは、1対の掻取部材の間隔の広がりにより吸収され、掻取部材の前端が被印刷剤に突っ込むことがない。さらに、一方のスキージヘッドが印刷を終了してスキージがスクリーンから離間させられた後、他方のスキージヘッドのスキージがスクリーンに密着させられるまでの間に被印刷剤がスキージの幅方向に広がっても、他方のスキージヘッドの1対の掻取部材の前端間には位置し、それら掻取部材の前端が被印刷剤に突っ込むことがない。
本発明に係る掻取部材によれば、リップ部において容易に弾性変形してスクリーンに密着させられるとともに、リップ部の下端のごく狭い帯状の領域でスクリーンに密着させられる。そのため、後にスキージヘッドについて説明するように、スキージと掻取部材とを共にスクリーンに密着させるという要求を容易に満たすことが可能となるとともに、優れた掻取性能が得られる。
しかも、平板状の単純な形状であるため、製造が容易であり、かつ、ゴムまたはその類似物から成り、容易に弾性変形するため、スキージの端縁に容易に密着し、スキージと掻取部材との隙間からクリーム状はんだが漏れることを良好に防止し得る。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(3)項と(4)項とを合わせたものが請求項2に、(5)項が請求項3に、(13)項が請求項4にそれぞれ相当する。
(1)印刷用の貫通孔が形成されたスクリーンを通して、被印刷剤を、そのスクリーンの下に配置された被印刷体に印刷するスクリーン印刷機のスキージヘッドであって、
前記スクリーン上を摺動させられ、そのスクリーン上に載せられた被印刷剤を前記貫通孔に押し込むスキージと、
そのスキージの幅方向の両端に密着するとともに、スキージの前方に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜し、スキージと共に前記スクリーン上を摺動させられてスキージ側方の前記被印刷剤を掻き取ってスキージ側へ戻す掻取部材と
を含むスキージヘッド。
(2)前記スキージが金属から成り、概して平板状を成す(1)項に記載のスキージヘッド。
スキージは、ゴム(例えば、ウレタンゴム)またはその類似物から成るものとすることも可能であるが、金属製のスキージが望ましい。
なお、ここにおいて「概して平板状を成す」とは、厚さが一定であり、一平面状に真っ直ぐな平板状を成す態様の他、例えば、スキージのスクリーンに密着する下端部が、下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされる場合のように、スキージの厚さが、スクリーンと交差する方向の少なくとも一部において変わる態様、およびスキージがスクリーンから離間させられた状態において、スキージの、その下端縁に直角な切断面において切断された断面形状が前方に僅かに凸に湾曲させられ、スクリーンに密着させられた状態では湾曲の度合いが大きくなる態様を含む。
(3)前記掻取部材がゴムまたはその類似物から成り、概して平板状を成す(1)項または(2)項に記載のスキージヘッド。
スキージが幅方向の全体においてスクリーンに密着した状態において、掻取部材もスクリーンに密着することが必要である。掻取部材をゴムまたはその類似物から成るものとすれば、容易に弾性変形するため、掻取部材をそれの下端がスキージの下端より僅かに下方へ突出する状態に取り付けておくことにより、スキージの下端がスクリーンに密着した状態で、掻取部材が僅かに弾性変形してスクリーンに密着した状態を保つことを保証することができ、スキージと掻取部材とを共にスクリーンに密着させるという要求を容易に満たすことができる。
スクリーンの掻取部材が密着させられつつ移動させられる部分には貫通孔がないため、掻取部材をゴムまたはその類似物製としても、貫通孔内に押し込まれた被印刷剤の一部を抉り出してしまう恐れはない。
また、掻取部材がスクリーンに密着させられつつ移動させられるとき、掻取部材の少なくとも一部が被印刷体から外れた部状態でスクリーン上を摺動させられることがあれば、その部分についてはスクリーンが被印刷体により下方から支持されていないため、掻取部材により押されたスクリーンは下方へ逃げるが、掻取部材は弾性変形の復元によりスクリーンに追従し、密着した状態を保ちつつ被印刷剤を掻き取るため、掻取部材とスクリーンとの間に隙間が生じてスクリーン上に被印刷剤が残ることが良好に防止される。
さらに、ゴムまたはその類似物から成る掻取部材は、特許文献1に記載のサイドスキージのように、スクリーンに直角な方向に移動可能に設けるとともに、スプリングによりスクリーンに向かって付勢する必要がなく、そうする場合に比較して、簡単な構成で掻取部材をスクリーンに密着させることができる。
掻取部材は、例えば、シリコンゴムにより作られる。シリコンゴムの硬度は、30〜70の範囲から選択されることが望ましい。
なお、ここにおいて「概して平板状を成す」とは、(2)項に記載のスキージと同様に、厚さが一定であり、一平面状に真っ直ぐな平板状を成す態様の他、掻取部材の厚さが、スクリーンと交差する方向の少なくとも一部において変わる態様、および掻取部材がスクリーンから離間させられた状態において、掻取部材の、その下端縁に直角な切断面における断面形状が前方に僅かに凸に湾曲させられ、スクリーンに密着させられた状態では湾曲の度合いが大きくなる態様を含む。
また、掻取部材は、スキージと同じ材料製でも異なる材料製でもよいが、同じ材料製とする場合、掻取部材の硬度をスキージより低くし、異なる材料製とする場合、掻取部材をスキージより軟らかい材料製とすれば、スキージおよび掻取部材を共にスクリーンに密着させることが容易である。特に、スキージが金属製である場合には、スキージの厚さを薄くすることが容易であり、そのために、ゴムまたはその類似物から成る掻取部材をスキージの厚さ全体にわたってスキージの端面に密着させ、スキージの前面と掻取部材の前面との間に隙間が生じないようにすることが容易である。
(4)前記掻取部材の前記スクリーンに密着する下端部が、下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされた(3)項に記載のスキージヘッド。
掻取部材の下端部をリップ部とすれば、掻取部材の弾性変形が一層容易になり、スキージと掻取部材とを共にスクリーンに密着させるという要求を一層容易に満たすことが可能となる。また、掻取部材は、リップ部の下端のごく狭い帯状の領域でスクリーンに密着することとなるため、被印刷剤の掻取性能が良くなる効果も得られる。
(5)前記スキージを着脱可能に保持するスキージ保持装置と、
そのスキージ保持装置に、前記掻取部材を、前記スキージの幅方向の位置を調節可能に取り付ける掻取部材取付装置と
を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載のスキージヘッド。
本態様のスキージヘッドにおいては、幅寸法が互いに異なる複数種類のスキージを準備しておけば、それらスキージの交換時に、新たに取り付けられるスキージの幅に合わせて掻取部材の位置を調節することができ、複数種類のスキージに掻取部材を共用することができる。
(6)前記スキージ保持装置が、
前記スキージの幅方向に平行に延びる長手形状の主保持部材と、
その主保持部材と平行に延びる補助部材と、
その補助部材を前記主保持部材に向かって押圧することにより主保持部材と補助部材とに前記スキージの上端部を挟ませる押圧装置と
を含む(5)項に記載のスキージヘッド。
(7)前記掻取部材取付装置が、
前記主保持部材に対して固定的にかつその主保持部材の長手方向に平行に設けられたガイドと、
そのガイドに沿って移動可能なスライダと、
そのスライダと前記掻取部材とを結合する結合部材と、
前記スライダを任意の位置で固定可能な固定装置と
を含む(6)項に記載のスキージヘッド。
スライダを移動させることにより、掻取部材のスキージ幅方向における取付位置を任意に変えることができ、掻取部材の位置を連続して調節することができる。
スライダと結合部材との一方を位置決め装置により位置決めし、掻取部材を位置決めするようにしてもよい。例えば、スライダと同様にガイドに沿って移動可能な位置決め部材と、その位置決め部材を任意の位置で固定可能な固定装置とを含む位置決め装置を設ける。掻取部材の位置調節に先立って位置決め部材の位置を調節し、スライダを位置決め部材に当接する位置へ移動させて固定する。掻取部材はスライダの位置により決まる位置においてスキージに密着させられることになる。このようにすれば、掻取部材の位置が、スキージとの密着によることなく決められる。位置決め装置は、スライダあるいは結合部材を止めるストッパ装置でもある。
また、段階的に幅の異なる複数種類のスキージが用いられる場合には、主保持部材とスライダとの間に、スナップアクションにより互いに係合,離脱する係合部と被係合部とを含む位置決め装置を設けることも可能である。例えば、主保持部材にボールプランジャ(保持体に相対移動可能に保持されたボールがスプリングにより突出方向に付勢されたもの)を設ける一方、スライダにスプリングプランジャのボールと係合するV字形の切欠を設けるのであり、その場合には、ボールが係合部、切欠が被係合部として機能する。
(8)前記ガイドが前記主保持部材の前記スキージを挟む側の面とは反対側の面に設けられた(7)項に記載のスキージヘッド。
例えば、スキージヘッドが印刷時に、主保持部材のスキージを挟む側の面が下流側に位置する状態で移動させられる場合、ガイドはスキージヘッド移動方向においてスキージより上流側に位置することとなり、スキージにより移動させられる被印刷剤が付着して汚れる恐れがない。特に、(9)項に記載のスキージヘッドにおけるように、ガイドとしてガイド溝が形成される場合、ガイド溝に被印刷剤が詰まって清掃が面倒になることを回避することができる。
(9)前記主保持部材が前面において前記スキージを挟み、その主保持部材の背面に前記ガイドとしてのガイド溝が形成された(8)項に記載のスキージヘッド。
(10)前記ガイド溝が、開口側の幅が底部側の幅より小さい断面形状を有し、前記スライダがそのガイド溝内に摺動可能に嵌合され、そのスライドに前記結合部材がボルトにより結合されるとともに、そのボルトが締め付けられた状態ではスライドと結合部材とがガイド溝の開口側を形成する部分を挟む構成とされており、その構成が前記固定装置を成している(9)項に記載のスキージヘッド。
ガイド溝としては、アリ溝やT溝が好適である。
(11)前記スキージの両側端が、そのスキージの前記スクリーンに密着する下端に直角な方向に対して傾斜した傾斜側端とされた(1)項ないし(10)項のいずれかに記載のスキージヘッド。
スキージは通常前傾した姿勢で配設される。そのため、もしスキージの両側端が下端に対して直角であれば、その両側端に平板状の掻取部材を密着させるためには、掻取部材の傾斜角が一義的に決まってしまう。それに対して、側端を傾斜側端とし、その傾斜角を変えれば、掻取部材の姿勢を任意に変えることができる。掻取部材をスクリーンに対して直角とすることも、前傾させることも、後傾させることもできるのである。
(12)前記傾斜側端が、前記スキージの幅が下端から遠ざかるに従って増大する向きに傾斜させられた(11)項に記載のスキージヘッド。
例えば、スキージの前傾角度および一対の掻取部材の前開き角度を所望の角度に決定し、それら両角度に応じて傾斜側端の傾斜角度を適切に決定すれば、後に実施例に基づいて説明するように、掻取部材をスクリーンに直角な姿勢で配設しながら、前傾したスキージの両側端に密着させることも可能となる。
(13) (1)項ないし(12)項のいずれかに記載のスキージヘッドに用いられる掻取部材であって、
ゴムまたはその類似物から成り、概して平板状を成すとともに前記スクリーンに密着する下端部が、下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされた掻取部材。
本項に記載の掻取部材においては、例えば、(3)項および(4)項にそれぞれ記載の作用および効果ならびに発明の効果の項に記載の効果が得られる。
(14)前記平板状の本体部の複数個所に、その本体部を厚さ方向に貫通して延びるスリーブが固定された(13)項に記載の掻取部材。
本項の掻取部材は、それ自体が軟質材料から成るものであっても、スリーブを利用して強固に、掻取部材をスライダと結合する結合部材や、掻取部材を保持する主保持部材に固定することができる。例えば、主保持部材と補助部材との間に掻取部材を挟み、それら主保持部材と補助部材とをスリーブを貫通させたボルトによって締め付ければ、スリーブが主保持部材と補助部材とによって両側から強固に挟まれることとなり、掻取部材を主保持部材に強固に固定することができるのである。
(15)前記平板状の本体部の裏面に、その本体部より硬い材料からなる裏板が固定され、その裏板の複数個所から前記本体部内に突入した状態で複数の雌ねじ部材が固定されるとともに、裏板に前記雌ねじ部材と螺合するボルトの通過を許容する穴が形成された(13)項に記載の掻取部材。
本項の掻取部材は、雄ねじ部材により結合部材や主保持部材に強固に固定することができる。例えば、上記結合部材や主保持部材を貫通させた雄ねじ部材たるボルトを裏板を経て雌ねじ部材に螺合することにより、裏板を結合部材や主保持部材に強固に固定し、それによって掻取部材を結合部材や主保持部材に強固に固定することができるのである。また、雌ねじ部材が本体部材の表面(掻取部材の前面)に突出しない状態で本体部材内に埋設される場合には、掻取部材の前面が平坦となり、前面に付着したクリーム状はんだの除去作業が容易となる利点がある。
以下、請求可能発明のいくつかの実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例としてのスキージヘッドを備えたスクリーン印刷機が図示されている。本スクリーン印刷機は、プリント基板搬送装置10,プリント基板保持装置12,スキージ装置14およびスクリーン保持装置16を含む。
スクリーン20は、本実施例では、図2に示すように、横断面形状が矩形を成すスクリーン枠22に、たるみなく張り、かつ必要な張力を付与された状態で固定され、スクリーン枠22の下面を覆っている。スクリーン20には、厚さ方向に貫通して複数の印刷用の貫通孔24が設けられ、それら複数の貫通孔24を通して被印刷剤としてのクリーム状はんだ26(図7参照)が被印刷体としてのプリント基板28の上面である被印刷面に印刷される。クリーム状はんだ26は電子回路部品を回路基板たるプリント基板28にはんだ付けするためのものであるが、電子回路部品をプリント基板28に仮止めする仮止め剤としても機能する。貫通孔24は、図3に示すように、スクリーン20の中央部である貫通孔形成領域29に形成されており、スクリーン20の外周部は貫通孔24が形成されていないマージン部31となっている。マージン部31は、貫通孔形成領域29から外れた部分である貫通孔形成領域外部である。図2および図3には、スクリーン20に形成された複数の貫通孔24の一部が代表的に図示されている。
前記スクリーン保持装置16は、図1に示すように、スクリーン支持部材としての支持台30,スクリーン位置決め装置32およびスクリーン固定装置34を備えている。支持台30は横断面形状が矩形の枠体を成し、スクリーン印刷機の本体を構成するフレーム36に設けられ、スクリーン枠22が支持台30上に載置され、スクリーン位置決め装置32により位置決めされるとともに、スクリーン固定装置34により支持台30に固定され、スクリーン20が水平な姿勢で保持される。スクリーン位置決め装置32およびスクリーン固定装置34は、本実施例では、特開2001−301120号公報に記載のスクリーン位置決め装置およびスクリーン固定装置と同様に構成されており、詳細な図示および説明を省略する。
前記プリント基板搬送装置10は、本実施例では、搬送コンベヤを備え、スクリーン保持装置16の下方に設けられ、プリント基板28を、図1においては、紙面に直角な方向に搬送し、当該スクリーン印刷機に水平な姿勢で搬入し、搬出する。前記プリント基板保持装置12はプリント基板搬送装置10によるプリント基板28の搬送経路の途中に設けられ、被印刷体保持部材としての基板保持台44および基板保持台昇降装置46を備えている。プリント基板搬送装置10により搬入されたプリント基板28は、基板保持台44上において下方から支持されるとともに保持され、基板保持台44が昇降させられることにより、スクリーン保持装置16に保持されたスクリーン20の下面に接近,離間させられる。基板保持台昇降装置46は被印刷体−スクリーン接近・離間装置であり、エアシリンダ等の流体圧アクチュエータ,サーボモータ等の電動モータ等、適宜のアクチュエータを駆動源として構成される。
前記スキージ装置14を説明する。
スキージ装置14は、本実施例では、図1に示すように、一対のスキージヘッド54,56,スキージヘッド移動装置58および一対のスキージヘッド昇降装置60,62を備えている。スキージヘッド移動装置58は、移動部材64および移動部材移動装置66を含む。移動部材移動装置66は、本実施例では、送りねじの一種であるボールねじ68とナット(図示省略)とを含む運動変換機構および駆動源たる移動部材移動用モータ70を含む。一対ずつのスキージヘッド54,56およびスキージヘッド昇降装置60,62は移動部材64に搭載されており、ボールねじ68が移動部材移動用モータ70によって回転させられることにより移動部材64が案内装置72により案内されて水平方向(図1においては左右方向)に移動させられ、スキージヘッド54,56がスクリーン保持装置16に対して、スクリーン保持装置16に保持されたスクリーン20に沿って移動させられる。本実施例では、スキージヘッド移動装置58が、スキージヘッド54,56とスクリーン保持装置16とを、スクリーン保持装置16に保持されたスクリーン20に沿って相対移動させる相対移動装置を構成している。
一対のスキージヘッド54,56は同様に構成されており、スキージヘッド54を代表的に説明する。スキージヘッド54は、図4ないし図7に示すように、スキージ80,スキージ保持装置82,掻取部材84,86および掻取部材取付装置88を含み、スキージヘッド昇降装置60(図1参照)の移動部材たる昇降部材90に保持されている。昇降部材90は移動部材64に昇降可能に設けられ、昇降部材昇降装置92により昇降させられる。それによりスキージ80および掻取部材84,86がスクリーン20の上面であって、スキージ摺動面ないし被印刷剤載置面たるはんだ載置面94に接触,離間させられる。スキージヘッド昇降装置60は、スキージ80および掻取部材84,86とスクリーン20とを互いに接触,離間させるスキージ・掻取部材−スクリーン接離装置であり、エアシリンダ等の流体圧アクチュエータ,サーボモータ等の電動モータ等、適宜のアクチュエータを駆動源として構成されている。
スキージ80は、図4,図5および図7に示すように、長手形状の薄く、厚さが一定であって、横断面形状が矩形を成す平板状を成し、本実施例では、金属、例えば、ばね用ステンレス鋼により作られている。スキージ80はまた、図6に示すように、その両側端がそれぞれ、スキージ80のスクリーン20に密着する下端に直角な方向に対して傾斜させられ、スキージ80の幅が下端から遠ざかるに従って増大する向きに一直線状に傾斜させられた傾斜側端とされ、両側端面96,98はそれぞれ、傾斜側端面とされている。本実施例では、スキージ80の下端の幅は、図3に示すように、スクリーン20の貫通孔形成領域29の幅(スクリーン20に平行であって、スクリーン20のスキージヘッド54に対する相対移動方向と直交する方向)に等しい長さを有する。
スキージ保持装置82は、図4に示すように、それぞれ長手形状を成す第一主保持部材102および第一補助部材104を含む。第一補助部材104の背面105側、すなわちプリント基板28へのクリーム状はんだ26の印刷時におけるスキージ80の移動方向(以後、スキージ移動方向と称する)において上流側の面側には、図4および図7に示すように、第一補助部材104の長手方向に沿って切欠106が形成され、その切欠106にスキージ80の上端部が嵌合され、その幅方向が第一補助部材104の長手方向に平行に延びる状態で第一主保持部材102の前面107が第一補助部材104の背面105およびスキージ80に合わされ、切欠106を塞いでいる。そして、複数のボルト108(図7参照。図7にはボルト108は1つ図示されている。)が第一主保持部材102を貫通して第一補助部材104に螺合されることにより、第一補助部材104が第一主保持部材102に向かって押圧され、スキージ80は、その上端部が第一主保持部材102と第一補助部材104とにより挟まれて着脱可能に保持される。複数のボルト108が第一押圧装置を構成している。
スキージヘッド54は、第一主保持部材102および第一補助部材104のうちの一方、例えば、第一主保持部材102において昇降部材90により保持される。図示は省略するが、スキージヘッド54は接触荷重調節装置および揺動装置(図示省略)を介して昇降部材90により保持され、スキージ80のスクリーン20に対する接触荷重が調節され、スキージヘッド54のスキージ移動方向に平行な軸線まわりにおける揺動により、スキージ80の下端全体がスクリーン20に沿って密着させられる。また、スキージ80はスキージ保持装置82により、その幅方向が水平となり、スクリーン20の幅方向(スキージヘッド54に対する相対移動方向と直交する方向)に平行となるとともに、スクリーン20に対して小角度、前傾した姿勢で、すなわち図7に示すように、スクリーン20への接触端から遠い部分ほど、図中矢印で示すスキージ移動方向において下流側へ傾斜した姿勢で保持される。前述のように、スキージ80はその両側端が傾斜させられており、このように前傾した姿勢でスキージ保持装置82により保持された状態では、図3に概略的に示すように、前方側(図3中、白抜きの矢印で示す側)ほど、側端面96,98の上端側(スクリーン20への接触端から遠い側)が外側(スキージ80の中央から離れる側)に位置させられる。
掻取部材84,86は同様に構成されており、掻取部材84を代表的に説明する。掻取部材84は、図10および図11に示すように、概して矩形の平板状を成し、本実施例では、弾性材料の一種であり、ゴムの一種であるシリコンゴムによって作られている。このシリコンゴムは、硬度が低く、例えば、硬度50のものとされており、掻取部材84はスキージ80より軟らかい材料から成る。掻取部材84の本体部110は、図11に示すように、厚さが一定とされ、掻取部材84のスクリーン20に密着する下端部は、下端に向かって厚さが直線的に漸減するリップ部112とされている。リップ部112は、平板を、その一方の側面側から他方の側面の下縁に向かって切り欠くことにより得られ、掻取部材84のリップ部112を画定する傾斜面が位置する側の面を背面118、他方の面であって、リップ部112を画定する面が、本体部110の側面と同じ一平面内に位置する側の面を前面119とする。本体部110にはまた、厚さ方向に貫通して複数、本実施例では2個の貫通孔114が形成されるとともに、それら貫通孔114内にそれぞれスリーブ116が固定され、本体部1108を厚さ方向に貫通して延びている。スリーブ116は、本実施例では金属製とされている。
掻取部材取付装置88は、本実施例では、図7および図8に示すように、第二主保持部材120,第二補助部材122および結合装置124を備えている。第二主保持部材120は、への字形を成し、第二補助部材122は平板状を成すとともに、複数、本実施例では2個の雌ねじ穴126が形成されている。図8に示すように、第二主保持部材120のへの字の一方のアーム部128と、第二補助部材122との間に掻取部材84を挟んだ状態で、2個のボルト130がそれぞれ、アーム部128に形成された2個の貫通穴(図示省略)および掻取部材84に設けられた前記スリーブ116を通って第二補助部材122の雌ねじ穴126に螺合されることにより、第二補助部材122が第二主保持部材120に向かって押圧され、第二主保持部材120と第二補助部材122とに掻取部材84が挟まれて保持される。第二補助部材122は、掻取部材84をその前面119側から挟み、第二主保持部材120は背面118側から挟む。本実施例では、ボルト130が第二押圧装置を構成している。ボルト130は、雌ねじ穴126に第二補助部材122から前方へ突出しない状態で螺合される。スリーブ116は、第二主保持部材120と第二補助部材122とによって両側から強固に挟まれ、掻取部材84が第二主保持部材120に強固に固定される。
第二主保持部材120は、結合装置124により前記第一主保持部材102に結合されている。第二主保持部材120のへの字の他方のアーム部132には、図8に示すように、板状を成す結合部材134の一端部が結合手段の一種である複数のボルト136によって着脱可能に固定されている。結合部材134は、図7および図8に示すように、第二主保持部材120に固定された部分から、第一主保持部材102および第一補助部材104の下を通って、第一主保持部材102の裏側(第一補助部材104側とは反対側)へ延び出させられ、その延出端部は、第一主保持部材102の長手方向に平行に屈曲させられた後、第一主保持部材102の背面140と対向する位置へ延び出させられている。背面140は、第一主保持部材102の前記前面107とは反対側の面である。
第一主保持部材102の背面140側に、図7および図9に示すように、ガイド溝142が形成されている。ガイド溝142は、本実施例ではT溝とされ、開口側の幅が底部側の幅より小さい断面形状を有し、第一主保持部材102を長手方向に貫通して形成され、横断面形状がT字形を成すスライダ144が摺動可能に嵌合されている。結合部材134の他端部はスライダ144と対向する位置に位置させられ、その状態でボルト146が結合部材134を通ってスライダ144に螺合される。そして、ボルト146が締め付けられた状態では、スライダ144の、ガイド溝142の開口側の部分に嵌合された部分は、結合部材145には当接せず、結合部材134とスライダ144の、ガイド溝142の底部側の部分に嵌合された部分とが第一主保持部材102のガイド溝142の開口側を形成する部分を挟み、結合部材134およびスライダ144が第一主保持部材102に固定され、掻取部材84がスライダ144に結合されるとともに、第一主保持部材102に取り付けられる。このように結合部材134とスライダ144とがガイド溝142の開口側を形成する部分を挟む構成が固定装置を構成し、ガイド溝142,スライダ144および結合部材134と共に、第二主保持部材120を第一主保持部材102に結合する結合装置124を構成している。スライダ144はガイド溝142内において移動させられ、第一主保持部材102にスキージ80の幅方向において任意の位置で固定可能であり、掻取部材84の、スキージ80の幅方向に平行な方向における位置が調節可能である。掻取部材86も、掻取部材取付装置88と同様の掻取部材取付装置88により、第一主保持部材102に取り付けられる。
掻取部材84,86はまた、掻取部材取付装置88により、図4,図5および図8に示すように、スキージ80の幅方向の両端に密着するとともに、スキージ80の前方(スキージ移動方向において下流側の方向)に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜し、かつ、スクリーン20に直角な姿勢で第一主保持部材102に取り付けられる。第二補助部材122は、スキージ80から外れ、スキージ80より前側に位置させられる。スキージ80の両側端面96,98は傾斜側端面とされており、掻取部材84,86は、前傾させられたスキージ80の両側端面96,98に無理なく密着させられ、スキージ80の厚さ全体にわたって側端面96,98に密着させられている。掻取部材84,86のスキージ幅方向における位置の調節により、掻取部材84,86の前面119がスキージ80の側端面96,98に密着した状態が得られるのである。また、第二主保持部材120のアーム部128は、図8に示すように長く、掻取部材84のスキージ80に密着する部分にまで至り、掻取部材84を背面118側から支持する。このようにスキージ80の両端に密着させられた掻取部材84,86においては、それらの前面119がスキージ移動方向において下流側を向くとともに、スキージ80の幅方向に対して傾斜し、前方ほどスキージ80から離れる向きに傾斜した傾斜面とされ、掻寄面として機能する。さらに、掻取部材84,86は、スキージ80がスクリーン20から離間させられた状態において、掻取部材84,86の下端であってリップ部112の下端がスキージ80の下端より僅かに下方へ突出する状態で第一主保持部材102に取り付けられている。
なお、掻取部材84,86は、スクリーン20に対して前傾させてもよく、後傾させてもよいが、本実施例では直角とされている。前傾は、掻取部材84,86のスクリーン20への接触端(下端)から遠い部分(上部)ほど、スキージ移動方向において下流側に位置する傾斜であり、後傾は、掻取部材84,86の上部ほど、スキージ移動方向において上流側に位置する傾斜である。
前記スキージヘッド56はスキージヘッド54と同様に構成されているが、図1に示すように、スキージヘッド54に対して、スキージ移動方向に直角な一平面に対して対称に設けられている点が異なっている。
また、本スクリーン印刷機は、コンピュータを主体とする制御装置160(図1参照)により制御される。
以上のように構成されたスクリーン印刷機においてプリント基板28へのクリーム状はんだ26の印刷時には、プリント基板28がスクリーン20の下面に近接させられ、2つのスキージヘッド54,56の一方が下降させられ、スキージ80がスクリーン20に密着させられるとともにスクリーン20をプリント基板28に密着させた状態で、スクリーン20に沿って移動させられる。スキージ80は、スクリーン20に所定の荷重で密着させられ、スクリーン20上を摺動させられつつ、スクリーン20上に載せられたクリーム状はんだ26を貫通孔24に押し込み、スクリーン20の下に配置されたプリント基板28に付着させ、印刷する。
スキージ80がスクリーン20に密着させられるとき、掻取部材84,86もスクリーン20に密着させられる。掻取部材84,86のリップ部112は、スキージ80の下端より僅かに下方へ突出させられているため、スクリーン20に接触させられる際、弾性変形させられ、掻取部材84,86が確実にスクリーン20に密着させられるとともに、リップ部112の下端のごく狭い帯状の領域でスクリーン20に密着させられる。スキージ80は、スクリーン20のうち貫通孔形成領域29であって、プリント基板28上の部分を移動するが、掻取部材84,86は、スクリーン20のマージン部31のうち、プリント基板28上の部分およびプリント基板28から外れた部分の上を摺動させられ、スキージ80から横へはみ出したクリーム状はんだ26を掻き取る。リップ部112においてごく狭い帯状でスクリーン20に密着させられた掻取部材84,86は、クリーム状はんだ26を良好に掻き取る。掻取部材84,86はスキージ80に対して傾斜させられており、スキージ80から横へはみ出したクリーム状はんだ26は、掻取部材84,86によって掻き取られ、スクリーン20上に残ることがないとともに、図3に細い矢印で示すように、前面119によってスキージ80側へ戻され、再びスキージ80により移動させられ、貫通孔24に押し込まれる。
また、掻取部材84,86はそれぞれ、スキージ80の両側端面96,98に密着させられているため、それらの間に隙間はなく、スキージ80の前面と掻取部材84,86の前面119との間に隙間がなく、スキージ80と掻取部材84,86との間にクリーム状はんだ26が入り込み、スキージ80および掻取部材84,86の背面118側に入り込み、それらを汚したり、スクリーン20上に残ったりすることがない。
さらに、掻取部材84,86のスクリーン20への密着により、スクリーン20のプリント基板28から外れた部分は下方へ撓み、掻取部材84,86から逃げようとするが、掻取部材84,86はシリコンゴムから成り、弾性変形が容易であるため、スクリーン20に追従し、スキージ80から横方向にはみ出したクリーム状はんだ26を掻き取りつつ移動させる。そのため、クリーム状はんだ26が掻取部材84,86の背面118側に入り込み、スクリーン20上に残ったり、掻取部材84,86を汚すことはない。
2つのスキージヘッド54,56は、交互に印刷に使用される。いずれのスキージヘッド54,56によるクリーム状はんだの印刷時にも同様にスキージ80および掻取部材84,86がスクリーン20に密着させられてクリーム状はんだ26をプリント基板28に印刷し、スクリーン20から掻き取るのであるが、スキージヘッド54,56は互いに対称に設けられているため、一方のスキージヘッドのスキージ80および掻取部材84,86により掻き寄せられたクリーム状はんだは、他方のスキージヘッドのスキージ80および掻取部材84,86によって逆向きに移動させられ、貫通孔24に押し込まれ、プリント基板28に印刷される。
プリント基板28の種類が変わり、貫通孔形成領域29の大きさが変わった場合には、それに合わせてスキージ80を交換するとともに、掻取部材84,86をスキージ幅方向に移動させ、スキージ80の両側端面96,98に密着させる。スキージ80は、プリント基板28の種類に応じたものが使用されるが、掻取部材84,86は、スクリーン20の幅方向における位置が調節可能であり、スキージ80の幅に関係なく、両端の側端面96,98に密着した状態で取り付けられ、複数種類のプリント基板28へのクリーム状はんだの印刷に共通して使用することができる。
上記実施例において掻取部材84,86は、第二主保持部材120と、雌ねじ穴126が形成された第二補助部材122とにより挟まれ、ボルト130第二補助部材122への螺合により第二主保持部材120に取り付けられ、第一主保持部材102に取り付けられていたが、図12に示す掻取部材200のように、その内部に雌ねじ穴が設けられてもよい。掻取部材200は、前記掻取部材84,86と同様にシリコンゴムにより作られ、その本体部202の背面ないし裏面204に、本体部202より硬い材料、例えば、金属から成る裏板206が固定されている。この裏板206には、複数箇所、例えば、2箇所から本体部202内に突入した状態で2つの有底の雌ねじ部材208が固定され、裏板206の2つの雌ねじ部材208に対応する部分にはそれぞれ、貫通穴210が形成されている。これら雌ねじ部材208は、本体部202内に埋設されて、掻取部材200の前面である掻寄面212に突出しない。
掻取部材取付装置220は、前記掻取部材取付装置88の結合装置124と同様の構成を備え、その板状を成す結合部材222の一端部が、掻取部材200の裏板206に当てられるとともに、結合部材222に形成された複数、本実施例では2個の貫通穴226および裏板206に形成された貫通穴210を通過してボルト228が雌ねじ部材208に螺合されることにより、掻取部材200が結合部材222に固定される。それにより、裏板206が結合部材222に強固に固定され、掻取部材200が結合部材222に強固に固定される。本掻取部材200は、ボルト228が掻寄面212から突出せず、ボルト228がクリーム状はんだにより汚れることがなく、また、掻寄面212は平坦であり、清掃が容易である。
掻取部材は、上端部と下端部との両方にスクリーンに密着するリップ部を備えたものとし、上下反転させた2つの状態で使用可能なものとしてもよい。それにより、例えば、1つの掻取部材を2度、使用することができ、印刷コストを低減させることができる。
例えば、図13および図14に示す掻取部材240は概して平板状を成し、その上端部と下端部とにそれぞれ、リップ部242,244が設けられている。これらリップ部242,244は、その傾斜した側面が、掻取部材240の同じ側面側に位置するように設けられている。一方のリップ部242をスクリーンに密着させてクリーム状はんだの掻き取りに使用し、劣化した場合には、掻取部材240を、その厚さ方向に平行な軸線まわりに180度回転させ、上下反転させて他方のリップ部244をスクリーンに密着させてクリーム状はんだの掻き取りに使用する。なお、掻取部材240に固定されたスリーブ116の位置によっては、上下反転により、掻取部材240のスキージに対する密着位置が、スキージ移動方向において変わり、その位置がクリーム状はんだの掻寄せに適当でない場合には、上下反転させた掻取部材240を、スキージの幅方向において反対側の側端面(スキージの幅方向の中央部に対して反対側の側端面)に密着させてクリーム状はんだの掻取りに使用するようにすればよい。
また、図15および図16に示す掻取部材270のように、上端部と下端部とにそれぞれリップ部272,274を、それらの傾斜した側面が掻取部材270の互いに反対側の側面にそれぞれ位置するように設けてもよい。この場合、掻取部材270を、その長手方向に平行な軸線まわりに回転させて上下反転させ、スクリーンに密着させるリップ部を交替させる。
なお、スキージの両側端はそれぞれ、スクリーンに密着する下端に直角としてもよい。この場合、掻取部材は弾性変形させられてスキージの側端面に密着させられる。掻取部材は、その形状の設定により、少ない弾性変形により無理なくスキージの側端面に密着させるようにすることも可能である。また、掻取部材取付装置を主保持部材を含むものとする場合、例えば、主保持部材は短く、掻取部材の弾性変形を妨げない形状,寸法のものとされる。
また、掻取部材のリップ部は、掻取部材の前面と背面とに対してそれぞれ傾斜する傾斜側面により画定される形状を有するものとしてもよい。
スキージにリップ部を設ける場合も掻取部材のリップ部と同様に、種々の形状を有するものとすることができる。
さらに、掻取部材は、主保持部材および補助部材を用いてスキージ保持装置に取り付けられる場合、補助部材が、スキージから後側に外れた状態で取り付けられるように設けられ、取り付けられてもよい。
さらに、被印刷体は、被印刷体−スクリーン接触・離間装置によりスクリーンに接触,離間させられ、被印刷体全体がスクリーンに接触させられた状態で印刷が行われるようにしてもよい。
また、請求可能発明は、スクリーン印刷機に1つのみ設けられるスキージヘッドにも適用することができ、請求可能発明に係る掻取部材を設けることができる。スキージヘッドを1つ有するスクリーン印刷機は、例えば、特許第3343284号公報に記載されており、スクリーン上の被印刷剤をすくい取るすくい取り部材を有するすくい取り装置を備え、スキージがスクリーンの一方の端から他方の端へ移動させられて被印刷体に被印刷剤を印刷したならば、すくい取り部材により、スクリーン上の被印刷剤をすくい取ってスクリーンの一方の端へ復帰させられるとともに、すくい取った被印刷剤がスクリーン上に戻され、再び印刷が行われるようにされる。なお、すくい取り部材は、スキージの両端の掻取部材に至る長さを有するものとされる。掻取部材の位置が調節可能な場合、すくい取り部材は、最長のスキージおよびそのスキージに密着させられた2つの掻取部材に対応する長さを有するものとされる。
請求可能発明の一実施例であるスキージヘッドを備えたスクリーン印刷機を示す正面図である。 上記スクリーン印刷機においてスクリーン印刷に用いられるスクリーンを示す平面図である。 上記スキージヘッドのスキージおよび掻取部材と上記スクリーンとを概略的に示す平面図である。 上記スキージヘッドを示す斜視図である。 上記スキージヘッドを示す正面図である。 上記スキージを前傾させない状態で示す正面図である。 上記スキージヘッドを示す側面図である。 上記スキージヘッドのスキージ,掻取部材および掻取部材取付装置を示す平面図である。 上記スキージヘッドの一部を示す背面図である。 上記掻取部材を示す正面図である。 上記掻取部材を示す側面断面図である。 請求可能発明の別の実施例である掻取部材が掻取部材取付装置の結合部材に固定された状態を示す平面断面図である。 請求可能発明の更に別の実施例である掻取部材を示す正面図である。 図13に示す掻取部材を示す側面図である。 請求可能発明の更に別の実施例である掻取部材を示す正面図である。 図15に示す掻取部材を示す側面図である。
符号の説明
20:スクリーン 24:貫通孔 26:クリーム状はんだ 28:プリント基板 54,56:スキージヘッド 80:スキージ 82:スキージ保持装置 84,86:掻取部材 88:掻取部材取付装置 96,98:側端面 112:リップ部 200:掻取部材 220:掻取部材取付装置 240:掻取部材 242,244:リップ部 270:掻取部材 272,274:リップ部

Claims (4)

  1. 印刷用の貫通孔が形成されたスクリーンを通して、被印刷剤を、そのスクリーンの下に配置された被印刷体に印刷するスクリーン印刷機のスキージヘッドであって、
    前記スクリーン上を摺動させられ、そのスクリーン上に載せられた被印刷剤を前記貫通孔に押し込むスキージと、
    そのスキージの幅方向の両端に密着するとともに、スキージの前方に延び出し、前方に向かうに従って互いの間隔が広くなる向きに傾斜し、スキージと共に前記スクリーン上を摺動させられてスキージ側方の前記被印刷剤を掻き取ってスキージ側へ戻す掻取部材と
    を含むことを特徴とするスキージヘッド。
  2. 前記掻取部材がゴムまたはその類似物から成り、概して平板状を成すとともに、前記スクリーンに密着する下端部が、下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされたことを特徴とする請求項1に記載のスキージヘッド。
  3. 前記スキージを着脱可能に保持するスキージ保持装置と、
    そのスキージ保持装置に、前記掻取部材を、前記スキージの幅方向の位置を調節可能に取り付ける掻取部材取付装置と
    を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のスキージヘッド。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載のスキージヘッドに用いられる掻取部材であって、
    ゴムまたはその類似物から成り、概して平板状を成すとともに前記スクリーンに密着する下端部が下端に向かって厚さが漸減するリップ部とされたことを特徴とする掻取部材。
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