JP2007009543A - 軟弱地盤の表層処理方法 - Google Patents
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【解決手段】表層処理用補強材1を、軟弱地盤G上に平面状に展開、敷設する軟弱地盤Gの表層処理方法において、前記表層処理用補強材1は、ロール状に巻かれるとともに流体を導入することによって膨張する筒状体2を備えており、該筒状体2内に流体を導入することによって筒状体2を順次膨張させ、この膨張力によって前記ロール状に巻かれた表層処理用補強材1を展開、敷設する。
【選択図】図1
Description
このような現象を防ぐため、表層処理方法として、1966年に繊維製織布を敷設材料に使用したシート工法が発明され、その後、敷設材料として合成樹脂製ネットを用いる敷網工法が開発され(例えば、特許文献1参照)、さらに、シートの補強を目的としたロープシート工法、あるいは竹枠とシートやネットを組み合わせた工法など、いくつかの関連工法が開発されてきた。
また、セメント等の固化材を軟弱土に添加・混合することによって表層部分の安定処理を図ろうとする固化処理技術も発展してきている。さらに、陸上又は水中下の軟弱地盤表層改良技術として、強靱で引張強度がある素材で製作された広い面積の透水性を有するジオテキスタイル等の袋を軟弱地盤の表層に展開、敷設し、この袋内に貧配合のセメント系等の固化材を充填し、硬化した固化材が引張強度のある袋で一体的に包被された平板状固化層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、このような表層処理用補強材を粘性土等の軟弱地盤上に敷設するためには、軟弱地盤上での各種作業機械や作業者による作業が必須となるが、軟弱地盤上は、足場が不安定なため、作業効率が悪いだけでなく、安全上でも問題があった。
この問題点に対処するため、特許文献1に記載された発明においては、ロール状に巻いた覆土用シートを陸上のローラに引き出し可能に配置し、その覆土用シートの端部をウインチ等により引き出しながら軟弱地盤上に覆土用シートを展張する覆土用シートの敷設方法が提案されている。
しかしながら、この方法の場合、覆土用シートを引き出すために使用するウインチ等の作業機械の設置場所を確保しなければならないという新たな問題があった。
なお、表層処理用補強材の展開状態が蛇行等により不安定になった場合には、各々の筒状体に導入する流体の注入速度を調節することにより修正することができる。
なお、表層処理用補強材を水上で展開する場合には、流体(気体)を導入した筒状体が浮きの機能を果たし、表層処理用補強材を水上に保持することができる。そして、表層処理用補強材を展開した後、筒状体内の気体を抜くか、水に置き換えるか、あるいは筒状体と表層処理用補強材とを切り離すと、表層処理用補強材は水底の軟弱地盤上に沈下し、その位置に表層処理用補強材を敷設することができる。
この軟弱地盤の表層処理方法は、ロール状に巻かれた表層処理用補強材1を、この表層処理用補強材1を巻く際に共に巻かれた筒状体2内に流体を導入することによって順次膨張させることにより、軟弱地盤G上に平面状に展開、敷設するようにしたものである。
そして、本実施例においては、表層処理用補強材1として、合成繊維製織布からなる面状補強材11と、流動性固化材が充填される袋体である格子状袋体12とを、格子状袋体12の格子点等の任意の位置でベルトやコード等により結合したものを用いるようにしている。
そして、袋体12bの開口部13の縁近傍と、この開口部13に当接する袋体12aの接合は、接着剤を用いるとともに、モルタル類等の流動性固化材の充填時に特に前記接着部分が剥離し易い袋体12bの開口部13の両端部においては、袋体12a、12bを一体に縫製するようにしている。接着剤は一般的な低融点のナイロンやウレタンのホットメルト系接着剤を使用することができる。また、袋体12a側に折り返し部を形成して縫製することにより、縫製部の動きの自由度を大きくすることができる。そして、袋体12aに袋体12b内と連通する孔をこの格子点部に設けておく。
この格子点部を1パターンとして、連続的に前記パターンがつながって格子状袋体12が構成され(本実施例において、格子の間隔は、約2mに設定するようにしている。)、袋体12aの基端側にモルタル類等の流動性固化材の注入口14を設けるようにしている。
これにより、注入口14から注入された流動性固化材が、袋体12aの一端から次第に充填され、格子点部を超えた時点で袋体12aから孔を介して袋体12bに充填される。
このように、筒状体2を、表層処理用補強材1の展開方向に沿って2列又は2列以上に並んで配置することにより、表層処理用補強材1の展開状態が蛇行等により不安定になった場合に、各々の筒状体2に導入する流体の注入速度をバルブ32により個別に調節することで、表層処理用補強材1の展開状態を修正することができるので、表層処理用補強材1を安定して展開することができる。
ちなみに、図1に示す表層処理用補強材1は、流体供給手段3のブロア31による空気の導入開始後3分30秒程度で、表層処理用補強材1を完全に展開することができた。
これにより、筒状体2内に空気を導入した状態でも、筒状体2に接合されている表層処理用補強材1が抵抗になって、筒状体2が風によって移動することがなく、表層処理用補強材1を安定して展開、敷設することができる。
なお、表層処理用補強材1を水上で展開する場合には、流体として気体を導入すれば、筒状体2が浮きの機能を果たし、表層処理用補強材1を水上に保持することができる。そして、表層処理用補強材1を展開した後、筒状体2内の気体を抜くか、水に置き換えるか、あるいは筒状体2と表層処理用補強材1とを切り離すと、表層処理用補強材1は水底の軟弱地盤上に沈下し、その位置に表層処理用補強材1を敷設することができる。
芯材15には、軽量で、かつ所定の剛性を有する塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のパイプ材を好適に用いることができる。
これにより、表層処理用補強材1及び筒状体2の巻き出しを幅方向に均一にすることができるため、表層処理用補強材1を正確に巻くことができることと相俟って、表層処理用補強材1全体を均一に展開することができる。
これにより、表層処理用補強材1を軟弱地盤G上に敷設するに当たり、軟弱地盤G上での人手による作業を実質的になくすことができ、堅固な地盤側から軟弱地盤G上(海等の水上を含む)に表層処理用補強材1を容易に敷設することを可能にし、軟弱地盤の表層処理工事の作業効率及び安全性を向上することができる。
この軟弱地盤の表層処理方法は、ロール状に巻かれた表層処理用補強材1を、この表層処理用補強材1の少なくとも一部を構成するとともに、展開用の筒状体を兼ねた袋体12c内に流体を導入することによって(本実施例においては、モルタル類等の流動性固化材を導入するようにしているが、これに限定されず、袋体12cに気密性を持たせて、例えば、気体を導入するようにし、表層処理用補強材1を展開した後、袋体12c内の気体を抜くようにしてもよい。)、順次膨張させることにより、軟弱地盤G上に平面状に展開、敷設するようにしたものである。
そして、本実施例においては、表層処理用補強材1には、合成繊維製織布からなる面状補強材11と、流動性固化材が充填される袋体からなる格子状袋体12とを、格子状袋体12の格子点等の任意の位置でベルトやコード等により結合したものを用いるようにしている。
すなわち、流動性固化材が直接導入される基端側袋体12dと、この基端側袋体12dに対して直角方向(展開方向)に2列以上(本実施例においては、5列。間隔は、約2mに設定するようにしている。)に並んで配置されるとともに、基端側袋体12dに連通して基端側袋体12dから流動性固化材が導入されるようにした展開用袋体12cとで、一方の櫛状の袋体を構成するようにし、さらに、基端側袋体12dには、バルブ45を介して、流動性固化材が導入される長手方向基端袋体12eを接続しておき、この長手方向基端袋体12eと、長手方向基端袋体12eに対して直角方向(基端側袋体12dと平行)に2列以上(本実施例においては、6列。間隔は、約2mに設定するようにしている。)に並んで配置されるとともに、長手方向基端袋体12eに連通して長手方向基端袋体12eから流動性固化材が導入されるようにした幅方向袋体12fとで、他方の櫛状の袋体を構成するようにし、これらの2つの櫛状の袋体で格子状の袋体が形成されるようにする。これらにより、展開用袋体12c及び幅方向袋体12fへの流動性固化材の導入を効率よく行うことができるようにしている。
なお、本実施例においては、展開用袋体12cの先端部を、この先端部に配設した幅方向袋体12f’に連通して、展開用袋体12cの先端部から幅方向袋体12f’に流動性固化材が導入されるようにしているが、展開用袋体12cの先端部と幅方向袋体12f’とを遮断することもできる。
そして、格子状袋体12の流動性固化材の注入口16の対角位置にロードセル47を配設し(この場合、必要に応じて、他の位置や複数位置にロードセルを配設することもできる。)、このロードセル47により検出した流動性固化材の圧力と、流動性固化材の供給側に配設したロードセル48により検出した流動性固化材の圧力とを、データ処理、制御装置46により処理し、流動性固化材供給手段4による流動性固化材の供給状態を把握したり、制御することができる。
ここで、流動性固化材供給手段4による流動性固化材の供給は、表層処理用補強材1の展開時には、展開用袋体12c(0°方向)のみ(上記一方の櫛状の袋体のみ)とし、表層処理用補強材1が展開後、バルブ45を切り替えて、幅方向袋体12f(90°方向)(上記他方の櫛状の袋体)にも供給する。そして、流動性固化材が格子状袋体12全体に行き渡った後、バルブ45の切り替えを4〜5回程度繰り返し、流動性固化材の供給(ケーキ層の形成)を行う。このように、2段階に分けて供給することで、ロール状に巻かれた袋体の巻きの緩い箇所に流動性固化材が先行して入り込むことが少なくなり、表層処理用補強材の展開を円滑に行うことができる。
流動性固化材供給手段4による流動性固化材の供給圧力及び流量は、流動性固化材の性状等によっても変化するが、例えば、供給圧力:0.5MPa、流量:50リットル/分程度に設定するようにする。
ちなみに、図3に示す表層処理用補強材1は、流動性固化材供給手段4による基端側袋体12dへの流動性固化材の供給開始後、3分程度で展開用袋体12cの展開が開始し、以降、2.5〜3m/分の速度で展開が進み、展開用袋体12cの先端部から幅方向袋体12f’に流動性固化材が導入されて、表層処理用補強材1を完全に展開することができた。
すなわち、第1実施例に記載したような、内部空間が連通した状態で格子状に組まれた袋体を使用し、この袋体の展開方向に配置される筒状の袋体(第1実施例の袋体12a(展開用袋体))に流動性固化材を充填することで展開するとともに、この筒状の袋体からこの袋体に対して直交して所定の間隔をあけて配置される筒状の袋体(第1実施例の袋体12b(連結用袋体))に流動性固化材を導入するようにしてもよい。
この場合、袋体12aに効率よく、かつできるだけ均等に流動性固化材を充填できるよう、第2実施例の基端側袋体12dを袋体12aの各々の端部に接続しておき、第2実施例と同様に基端側袋体12dを経由して袋体12aに流動性固化材を充填することができる。
これは、流動性固化材の圧力は流動性固化材の注入口から離れるに従って小さくなり、一方、表層処理用補強材1のロールを展開しようとする力は、ロールの内圧に依存するから、注入口がコーナー部にあると、表層処理用補強材1のロールは、流動性固化材の注入口に近いところが先行し、離れたところが遅れてしまうことになり易いためである。
この場合、角度θは、任意の角度に設定することができるが、表層処理用補強材1の展開性を考慮して、45°以上(90°未満)の角度に設定することが望ましい。
また、この変形例において、菱形状の格子を形成する展開用袋体12cは、格子点において展開用袋体12cを上下に交差するように配置し、必要に応じて、この格子点の位置で展開用袋体12c同士をベルトやコード等により結合するようにしているが、例えば、図2(a)に示すような方法で、展開用袋体12cが同一面内で交差するようにすることもできる。
そして、隣接する表層処理用補強材1を、隣接する表層処理用補強材1の展開用袋体12c同士をベルトやコード等の結合材17により結合して一体化することができる。
なお、この変形例のその他の構成及び作用は、第2実施例と同様である。
11 面状補強材
12 格子状袋体
12a 袋体
12b 袋体
12c 袋体(展開用袋体)
12d 袋体(基端側袋体)
12e 袋体(長手方向基端袋体)
12f 袋体(幅方向袋体)
12f’ 袋体(幅方向袋体)
13 開口部
14 流動性固化材の注入口
15 芯材
16 流動性固化材の注入口
17 結合材
2 筒状体
3 流体供給手段
31 ブロア
32 バルブ
4 流動性固化材供給手段
41 ミキサー
42 ホッパー
43 ポンプ
44 流量計
45 バルブ
46 データ処理、制御装置
47 ロードセル
48 ロードセル
G 軟弱地盤
Claims (11)
- 表層処理用補強材を、軟弱地盤上に平面状に展開、敷設する軟弱地盤の表層処理方法において、前記表層処理用補強材は、ロール状に巻かれるとともに流体を導入することによって膨張する筒状体を備えており、該筒状体内に流体を導入することによって筒状体を順次膨張させ、この膨張力によって前記ロール状に巻かれた表層処理用補強材を展開、敷設することを特徴とする軟弱地盤の表層処理方法。
- 流体を導入することによって膨張する筒状体が、表層処理用補強材の幅方向に2列以上に並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 表層処理用補強材が、面状補強材と流動性固化材が充填される袋体とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 表層処理用補強材が、所定の剛性を有する芯材を用いてロール状に巻かれていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 流体を導入することによって膨張する筒状体が、表層処理用補強材と別部材で構成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 流体を導入することによって膨張する筒状体が、表層処理用補強材に結合されていることを特徴とする請求項5記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 流体を導入することによって膨張する筒状体が、表層処理用補強材の少なくとも一部を構成していることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 流体を導入することによって膨張する筒状体が、表層処理用補強材に含まれる筒状の袋体で構成されていることを特徴とする請求項7記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 前記表層処理用補強材が、流動性固化材が導入される基端側袋体と、該基端側袋体に対して所定の角度を以て2列以上に並んで配置されるとともに、基端側袋体に連通して基端側袋体から流動性固化材が導入されるようにした展開用袋体とで構成された袋体を含んでおり、展開用袋体が前記筒状体であることを特徴とする請求項8記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 前記基端側袋体の略中央位置に、流動性固化材の注入口が設けられていることを特徴とする請求項9記載の軟弱地盤の表層処理方法。
- 前記表層処理用補強材が、2列以上に並んでロール状に巻かれて配置されるとともに、流動性固化材が導入されるようにした展開用袋体と、該展開用袋体に対して直交して所定の間隔をあけて配置されるとともに、展開用袋体に連通して展開用袋体から流動性固化材が導入されるようにした連結用袋体とで構成された格子状袋体を含んでおり、展開用袋体が前記筒状体であることを特徴とする請求項8記載の軟弱地盤の表層処理方法。
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