JP2007008241A - 車両のシートスライド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ロック機構を構成するラッチレバーを付勢する棒状ばねの占有スペースを小さくする。
【解決手段】 棒状ばね11は、棒状部材の中央部に形成された第1ばね部11aと、該第1ばね部11aの両端の位置で該第1ばね部11aの内側へ向かって棒状部材を折り返した折り返し部分11dを夫々外端部とすると共に棒状部材の先端部を中央部へ向かって延長して夫々内端部11eとした一対の第2ばね部11bとにより構成され、第1ばね部11aは、第1アーム部11jと第2アーム部11hとのなす角度θが小さくなると捩られる捩り部11gを備えており、夫々の内端部11eがアッパレールの内側に当接し掛かり部11iがラッチレバー8に当接する。
【選択図】 図2
【解決手段】 棒状ばね11は、棒状部材の中央部に形成された第1ばね部11aと、該第1ばね部11aの両端の位置で該第1ばね部11aの内側へ向かって棒状部材を折り返した折り返し部分11dを夫々外端部とすると共に棒状部材の先端部を中央部へ向かって延長して夫々内端部11eとした一対の第2ばね部11bとにより構成され、第1ばね部11aは、第1アーム部11jと第2アーム部11hとのなす角度θが小さくなると捩られる捩り部11gを備えており、夫々の内端部11eがアッパレールの内側に当接し掛かり部11iがラッチレバー8に当接する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両のシートスライド装置に関し、シートを前後へスライドさせた状態でロックするロック機構に用いられるばね部材を改良したものである。
近年の自動車用シートにおいては、シートレイアウトの多様化が求められており、フロントシートだけでなくセカンドシートやサードシート等にもシートスライド装置が設けらている。そして、ここで採用されるシートスライド装置は、車両の床面に埋め込まなければならなかったり、狭いスペースに設置しなければならない等、多くの制約のある条件下での設置が求められている。
このため、このような厳しい条件下での車両のシートスライド装置の設置を実現するため、従来は、車両のフロアに固定されたロアレールに、シートに固定されたアッパレールがスライド自在に組み付けられると共に、ロアレールに対するアッパレールのスライド位置を変更してロックするロック機構が設けられ、このロック機構がロアレールとアッパレールとの間の狭い空間に配置されている。
前記ロック機構は、アッパレールに回動自在に取り付けられたラッチレバーをばね部材を介して付勢し、ラッチレバーのロック爪をロアレールに取り付けられたロックプレートの貫通孔に嵌合することで、ロアレールに対してアッパレールをロックするようになっている。
ここで、ラッチレバーを付勢するばね部材としては、特許文献1に記載のものが開示されている。これは、ロアレールとアッパレールとの間の狭い空間に配置するために、くの字形に曲げた棒状ばねの両端部をアッパレールの屈曲成形された部分の内側に当接させ、中間部はラッチレバーの回動中心から離れた位置に係合させたものである。
特開2005−7982号公報
ところが、棒状ばねの中央部を押圧して撓ませたときに復元しようとする力を付勢力として用いるため、棒状ばねが短いと付勢力の変化量が大きくなる一方、長いと付勢力の変化量が小さくなる。棒状ばねがある程度撓んだロック時には所定の大きさの付勢力が得られ、棒状ばねが更に大きく撓んだロック解除の際でも付勢力が大きくならない方が操作性が良いが、棒状ばねが長くなるという問題がある。そして、棒状ばねが長いと、占有スペースが大きくなってポジションセンサと干渉する等の問題が生じ、レイアウトの自由度が低下する。
そこで本発明は、占有スペースを小さくでき、かつロック時とロック解除の際との付勢力の差を小さくしたばね部材を備えた車両のシートスライド装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明の構成は、車両のフロアに固定され上部が開口する略コ字形状に屈曲形成されたロアレールの前記開口部に、シートに固定され下部が開口する略コ字形状に屈曲成形されたアッパレールがスライド自在に嵌挿され、前記ロアレールと前記アッパレールとにより形成される長手方向の空間内に、前記ロアレールに対する前記アッパレールのスライド位置を変更してロックするロック機構が設けられ、当該ロック機構は、前記アッパレールに該アッパレールの長手方向と略平行な回動軸を中心として回動可能なラッチレバーが設けられ、前記アッパレールをロックする方向へ前記ラッチレバーを付勢するためのばね部材が設けられた車両のシートスライド装置において、前記ばね部材は一本の棒状部材を屈曲させて形成され、中央部に前記ラッチレバーに係合する掛かり部が形成された第1ばね部と、該第1ばね部の両端から該第1ばね部の中央へ向かって前記棒状部材を折り返して互いに近接するように延長した内端部を前記アッパレールの前記屈曲形成された部分の内側に当接させるように外方へ突出形成した一対の第2ばね部とにより構成され、前記第1ばね部は、中央部に形成した第3ばね部と、該第3ばね部の両側に接続され該第3ばね部とほぼ直交する第1アーム部と、該第1アーム部に接続され前記第3ばね部に略平行な捩り部と、該捩り部に接続され該捩り部に略直交して前記第2ばね部の外端部へと接続される第2アーム部とにより構成され、前記ラッチレバーが回動されることにより前記第1アーム部と前記第2アーム部とのなす角度が変位し、前記捩り部が捩られるようにしたことを特徴とする。
この発明によれば、ばね部材をアッパレールの内面とラッチレバーとの間に配置するときに、第2ばね部の内端部がアッパレールの内面に先行して当接することから折り返し部分が曲げ変形し、ラッチレバーをロック状態からロック解除状態に回動させる際には、第1ばね部の第1アーム部と第2アーム部とのなす角度が変位し、捩り部が捩り変形する。つまり、第1ばね部と第2ばね部とが、一本のばね部材でありながら、特性の異なる2つのばねとして作用する。これにより、ロック状態においてラッチレバーを付勢するための付勢力を発生するのに必要なばね部材の変位量を小さくしながら、ラッチレバーをロック解除状態に移行する際の付勢力を小さくでき、ロック解除のための操作力が軽減され、操作性の向上を図ることができる。
請求項2に係る発明の構成は、請求項1に記載のシートスライド装置において、前記ばね部材が前記アッパレールと前記ラッチレバーとの間に装着された状態で、前記夫々の第2ばね部の外端部が前記アッパレールの前記屈曲形成された部分の内側に当接可能に設定されていることを特徴とする。
この発明によれば、ばね部材が装着された状態、つまりはロック状態において、第2ばね部の外端部がアッパレールの屈曲形成部内側に当接することにより、ロック解除のためにラッチレバーを回動させた際には、第2ばね部の変位量が増えことは無く、第1ばね部の変位量のみが増えることになる。
請求項3に係る発明の構成は、請求項1に記載のシートスライド装置において、前記第1アーム部と前記第2アーム部とは、前記捩り部の軸線回りに略直角の角度をなすことを特徴とする。
この発明によれば、第1アーム部と第2アーム部とが、第1アーム部と第2アーム部との間に位置する捩り部の軸線回りに略直角の角度をなすので、第1ばね部の捩り部には、捩り荷重が作用して捩りによる付勢力が作用する。
以上のように、本発明による車両のシートスライド装置によれば、ばね部材を特性の異なる第1ばね部と一対の第2ばね部とを直列に接続して構成し、ばね部材をアッパレールの屈曲形成部内側とラッチレバーとの間に組み付ける際には、主として第2ばね部が変形し、ラッチレバーのロック解除の操作の際には、主として第1ばね部が変形するようにしたので、ロック状態でラッチレバーを付勢するのに必要な付勢力を発生するのに必要なばね部材の変位量を小さくしながら、ラッチレバーをロック位置からロック解除位置に移行するのに必要な付勢力を小さくすることができるため、ロック解除のための操作力が軽減され、操作性の向上を図ることができる。また、ばね部材を折り返すように形成しているため、ばね部材の全長を短くすることができ、ばね部材の占有スペースを小さくすることができる。
次に、本発明の実施の形態を、図1〜図8に基づいて説明する。
図1は本発明による車両のシートスライド装置の分解斜視図であり、図2は棒状ばねの構成図、図3は棒状ばねに加わる荷重と変位との関係を示すグラフ、図4はシートスライド装置の部分断面側面図、図5〜図6はシートスライド装置の長手方向と交差する方向の断面図、図7,図8はシートを最も後方あるいは前方にスライドさせた状態を示す説明図である。
図1に示すように、シートスライド装置は、車両のフロアに固定されるロアレール1と、シートの左右の下端に取り付けられるアッパレール2とを備え、ロアレール1に対してアッパレール2が、リテーナ3に保持されたローラ4とガイドボール5とを介して長さ方向へスライド自在となっている。ロアレール1の両端の取付孔にはボルト22が挿通され、ロアレール1はボルト22を介して車両のフロアに固定されている。
具体的には、ロアレール1の断面形状は、上部が開口する略コ字形状の基本断面部の上端に内側へ屈曲した下向屈曲部1aが夫々延設して形成され、アッパレール2の断面形状は、同様に下部が開口する略コ字状の基本断面部の下端に外側へ屈曲した上向屈曲部2aが夫々延設して形成されている。そして、アッパレール2は、各上向屈曲部2aとそれに対向するアッパ側壁部2b,2eとで、ロアレール1の下向屈曲部1aを挟み込むようにして組み付けられている。図6に示すように、前記リテーナ3はロアレール1とアッパレール2との間にフリー状態で組み入れられ、リテーナ3に保持されたローラ4はアッパレール2の上向屈曲部2aの下面を支持し、ガイドボール5はアッパレール2の上向屈曲部2aの側面をガイドする。
このように構成されたロアレール1とアッパレール2との間には、ロアレール1に沿ってアッパレール2をスライドさせて固定するためのロック機構6が設けられている。このロック機構6は、アッパレール2に結合された支持ブラケット16と、該支持ブラケット16に回動可能に支持されたラッチレバー8と、アッパレール2に結合された爪支持プレート12と、ロアレール1に結合されたロックプレート10とにより構成されている。そして、ラッチレバー8のロック爪7を、ロックプレート10の貫通孔9および爪支持プレート12の貫通孔14に挿通させることにより、アッパレール2がロアレール1に対してロックされる。
前記ラッチレバー8は略コの字形状に形成され、コの字形状の対向する2辺の部分が、回動自在に支持されている。図5にも示すように、ラッチレバー8の対向する2辺を連結する部分には、ラッチレバー8の回動中心から所定半径だけ離れた円の円周上に4つのロック爪7が形成されている。そして、ラッチレバー8を外部から回動操作してロック解除するため、ラッチレバー8の一方の辺には入力アーム18が設けられている。
前記爪支持プレート12は、相互に離間した一対の取付部12b,12bと、これらの取付部12b,12bを連結するように設けられた鉛直部12cとにより構成されている。該鉛直部12cは、アッパレール2の一方のアッパ側壁部2bに若干偏寄した位置に配置されており、鉛直部12cの下部には、前記ロック爪7を挿入するための貫通孔14が、アッパレール2の長手方向に沿って4つ形成されている。
前記ラッチレバー8と前記爪支持プレート12とは、以下のようにしてアッパレール2の上壁部2fに取り付けられている。ラッチレバー8を支持するための一対の支持ブラケット16と爪支持プレート12とが、リベット13を介して上壁部2fに固定されている。即ち、支持ブラケット16の取付孔16aと、爪支持プレート12の取付部12bに形成された取付孔12aと、アッパレール2の上壁部2fの取付孔2cとにリベット13を挿入し、該リベット13の先端がカシメられている。
そして、一対のブラケット16の相互に対向する鉛直部にはエンボス成形によって回動軸19,20が突設され、該回動軸19,20をラッチレバー8の対向する2辺の部分の孔8a,8aに挿入することにより、ラッチレバー8はアッパレール2の長手方向へ長い回動軸19,20を介して回動自在に支持されている。
前記ラッチレバー8を回動方向へ付勢するために、図2に示す棒状ばね(ばね部材)11が設けられている。棒状ばね11は一本の棒状部材を屈曲させて形成され、図2(a)に示すように第1ばね部11aと、一対の第2ばね部11bとにより構成されている。第1ばね部11aは、棒状ばね11の中央部に形成されている。第2ばね部11bは、第1ばね部11aの両端から該第1ばね部11aの中央へ向かって棒状部材を折り返した折り返し部分11dを夫々外端部とすると共に棒状部材の先端部を互いに近接するように延長して夫々内端部11eとしている。内端部11eの近傍は、アッパレール2の屈曲成形された部分の内側(屈曲形成部内側)に当接させることから、第1ばね部11a側から離れる方向にクランク状に突出して当接部11cが形成されている。
前記第1ばね部11aは、中央部に略くの字状に形成した第3ばね部11fと、該第3ばね部11fの両側に接続され該第3ばね部11fと略直交する第1アーム部11jと、該第1アーム部11jに接続され第3ばね部11fに略平行であってクランク状に形成した捩り部11gと、該捩り部11gの端部に接続され該捩り部11g略直交する第2アーム部11hとにより構成されている。そして、該第2アーム部11hに、折り返し部分11dを介して、第2ばね部11bの外端部が接続されている。ここで、捩り部11gを介して設けられた第1アーム部11jと第2アーム部11hとは、図2(c)に示すように略L字状になっており、側面視で捩り部11g回りに略直角の角度をなしている。
前記ラッチレバー8であって、棒状ばね11の中央部が当接する部分の構成を、以下に説明する。図2(a)に示すように、棒状ばね11の中央部には、第2ばね部11b側とは反対側に突出するように略コの字形状に曲げて掛かり部11iが形成されている。一方、ラッチレバー8には、棒状ばね11の掛かり部11iを掛けるためのばね掛け部17が形成されている。即ち、図4に示すようにラッチレバー8の中間部に四角形の係合孔17aが形成され、該係合孔17aの内周面であってロック爪側の部分から該係合孔17aの内部に向かって突出するようにばね掛け部17が形成されている。ばね掛け部17は、ラッチレバー8の回動軸19,20を中心とする所定半径の円の円周上に配置されている。
棒状ばね11は、その両端の当接部11cがアッパレール2の上壁部2fとアッパ側壁部2eとが交わる屈曲形成部内側に当接し、その中央の掛かり部11iが係合孔17aに入り込んでばね掛け部17に掛けられている。そして、棒状ばね11は、ラッチレバー8のロック爪7を、アッパレール2の一方のアッパ側壁部2bへ向かって常時付勢している。この棒状ばね11は、アッパレール2に装着された状態では、夫々の第2ばね部11bの外端部(折り返し部分11d)がアッパレール2の屈曲形成部内側に当接可能に設定されている。係合孔17aの内周部が棒状ばね11の掛かり部11iの移動を拘束するので、棒状ばね11がその長さ方向へ移動することはない。
ロックプレート10は、ロアレール1の長手方向の所定範囲に亙るように長尺に形成されている。ロックプレート10は、一方の辺を成す水平な基部10aと他方の辺を成す鉛直部10bとによりL字形に形成されている。鉛直部10bには、前記貫通孔9が長手方向に亙って複数形成されており、図5に示すように鉛直部10bは、アッパレール2の一方のアッパ側壁部2bと、爪支持プレート12の鉛直部12cとの間に配置されている。鉛直部10bの貫通孔9はラッチレバー8のロック爪7が挿入嵌合される部分であるため、隣接する貫通孔9,9間のピッチはロック爪7のピッチと同じになっている。このロックプレート10はロアレール1の底面の幅方向略中央部に配置され、基部10aの長さ方向での複数箇所をスポット溶接やプロジェクション溶接等することによって、ロックプレート10がロアレール1に結合されている。
図5に示すようにアッパレール2の一方のアッパ側壁部2bのうちの、爪支持プレート12の貫通孔14と対向する位置には、ロックプレート10の鉛直部10bへ向かって窪んだ窪み部25が設けられ、該窪み部25には前記貫通孔14と対応する位置に貫通孔26が形成されている。この貫通孔26は、ロック時にロック爪7の先端部が挿入係合される部分であり、爪支持プレート12の貫通孔14と共にロック爪7を支持する第2の爪支持部を構成している。これらの貫通孔14,26のピッチもロック爪7のピッチと同じになっており、貫通孔14,26は相互に対応する位置に配置されている。
アッパレール2の軸方向略中央には上壁部2fと一方のアッパ側壁部2bとに跨るように切欠き2dが形成され、ラッチレバー8の前記入力アーム18がその切欠き2dを通してアッパレール2の外部に僅かに突出している。そして、アッパレール2に取り付けた図示しない支持ブラケットの水平軸を軸孔29bに挿通することにより、ハンドルホルダー29が揺動自在に軸支されている。該ハンドルホルダー29に一端が装着された略U字形の操作レバー28の図4中の左側である前部を引き上げることにより、ハンドルホルダー29の後端部に位置する操作片29aで前記入力アーム18を下方へ押圧することができる。したがって、操作レバー28の前部が引き上げられると、操作片29aが入力アーム18を下方へ押し下げ、それによって棒状ばね11の付勢力に抗して、ラッチレバー8がロックプレート10から離れる方向へ回動される。
シートの左右方向での他方の側部にも同様のシートスライド装置が配置されており、そのシートスライド装置にも略U字形の操作レバー28の他端側が同様に連結され、操作レバー28の操作力が同様に他端側のシートスライド装置にも伝達される。したがって、シートの左右のロック機構6は常に連動して操作される。
シートスライド装置の作用を説明する。シートが任意のスライド位置でロックされているときには、図5(a)に示すようにラッチレバー8が棒状ばね11の付勢力を受けてロックプレート10へ向かって回動変位した状態を占めており、このとき、ラッチレバー8のロック爪7は、爪支持プレート12の貫通孔14、ロックプレート10の貫通孔9、アッパレール2の貫通孔26の三者に挿通されている。
この状態からシートを前後方向での異なる位置に変更する場合には、操作レバー28の前部を上方に回動操作し、ラッチレバー8を図5(b)に示すように棒状ばね11の付勢力に抗して回動させ、それによってラッチレバー8のロック爪7を貫通孔26,9,14の三者から引き抜き、シートの自由なスライドを可能にする。この状態においてシートのスライド位置を任意位置に変更し、その後に操作レバー28を開放すと、ラッチレバー8が棒状ばね11の付勢力によって元の状態に復帰し、図5(a)に示すようにロック爪7が再び貫通孔14,9,26の三者に挿通され、シートが固定される。図7はシートと共にアッパレール2を最も後方へスライドさせた状態を示すものであり、図8は最も前方へスライドさせた状態を示すものである。
操作レバー28を回動操作して図5(b)に示すようにラッチレバー8を棒状ばね11の付勢力に抗して回動させ、その後に操作レバー28を開放するという操作を繰り返すことにより、ラッチレバー8が回動して棒状ばね11の撓み量が増減するが、棒状ばね11の中央部に形成された掛かり部11iが係合孔17aの内部に入り込んでいるので、棒状ばね11が棒状ばね11の長さ方向へ移動することはなく、常に同じ位置に位置決めされ保持される。
この発明では、図2(a)のように第1ばね部11aと第2ばね部11bとが直列に接続された構成なので、ロック状態およびロック解除状態の際に第1ばね部11aの撓み量と一対の第2ばね部11bの撓み量とを加算した値が全体の撓み量になる。即ち、棒状ばね11は、図2に示すフリーの状態から、第2ばね部11bの内端部11cをアッパレール2の屈曲形成部内側に先行して当接させた状態で、第1ばね部11aの中央部を押し込んで装着する際に、折り返し部分11dが曲げ変形し、中央部の掛かり部11iをラッチレバー8のばね掛け部17に係合させることでロック状態となる。そして、棒状ばね11を装着する際に、棒状ばね11の中央部の掛かり部11iと内端部11cとの間隔が小さくなった分が変位量となる。これを図示すると図3のようになる。第1ばね部11aは、主に棒状ばね11がねじれ変形するトーションバーとして作用し、第2ばね部11bは、曲げ変形により折り返し部分11dが変位するばねとして作用するため、第1ばね部11aと第2ばね部11bは一本の棒状ばね11でありながら、異なる特性を有する。
図3中、(a)は第1ばね部11aの荷重と変位との関係を示し、(b)は第2ばね部11bの荷重と変位との関係を示す。直列に接続されたばねを圧縮した場合、最初は弱いほうの第2ばね部11bのばね特性が表われ、強いほうの第1ばね部11aのばね特性は表われない。そのため、例えば荷重g1を加えたときには第1ばね部11aは殆どねじれ変形を生じることはなく、第2ばね部11bのみ撓み量x1を生じ、荷重と変位との関係は図3中に(b)の実線で示すように変化する。そして、荷重を大き<していくと、点Pで第2ばね部11bの撓み変形が止まり、第1ばね部11aがねじれ変形を開始するようになり、これ以上の荷重では荷重と変位との関係は図3中に(a)の実線で示すように変化する。棒状ばね11をラッチレバー8に係合させて装着した際の荷重g2と撓み量x2は、図3中にAで示すように線(a)上となるように設定する。また、ラッチレバー8をロック解除位置まで回動させた際の荷重g3と撓み量x3は、図3中にBで示すように線(a)上となる。
この発明では、棒状ばね11が装着された状態、つまりはロック状態において第2ばね部11bの外端部がアッパレール2の屈曲形成部内側に当接可能としているので、図3において「A.ロック状態」から「B.ロック解除状態」の間では、第2ばね部11bの外端部は既にアッパレール2の屈曲形成部内側に先行して当接していて、第2ばね部11bの変位は増えずに、第1ばね部11aの変位のみが増えることになる。なお、第2ばね部11bの外端部11dがアッパレール2の屈曲形成部内側に当接した時点がP点となるが、当接しなくとも所定の荷重になったときに、P点で切り替わる。外端部11dがアッパレール2の屈曲形成部内側に当接する場合は、当接することによりP点の位置が安定することになる。
第1アーム部11jと第2アーム部11hとが、第1アーム部11jと第2アーム部11hとの間に位置する捩り部11gの軸線回りに略直角の角度をなすので、捩り部11gに捩り荷重が作用して捩りによる付勢力が作用する。第1ばね部11aの変位については、図2(c)に示す第1アーム部11jと第2アーム部11hとのなす角度θが変位して小さくなることにより捩り部11gに捩り力が作用し、捩りによる付勢力が第1ばね部11aに生じる。また、掛かり部11iと第1アーム部11jとのなす角度も変化するため、第3ばね部11fにも捩り力が作用している。
上記のように、特性の異なる第1ばね部11aと第2ばね部11bとによって構成することにより、ロック状態でラッチレバー8を付勢するのに必要な付勢力を発生するのに必要な棒状ばね11の撓み量を小さくしながら、ラッチレバー8をロック状態からロック解除状態に移行する際の付勢力の増加を小さくでき、これにより、ロック解除のための操作力が軽減され、操作性の向上を図ることができる。また、棒状ばね11は、第1ばね部11aと第2ばね部11bとを折り返すように形成しているため、棒状ばね11の全長を長くすることなくロック解除のための操作力を小さくすることが可能であり、棒状ばね11の占有スペースを小さくすることができる。
1…ロアレール
2…アッパレール
6…ロック機構
8…ラッチレバー
11…棒状ばね(ばね部材)
11a…第1ばね部
11b…第2ばね部
11d…折り返し部分
11e…内端部
11f…第3ばね部
11g…捩り部
11h…第2アーム部
11j…第1アーム部
19,20…回動軸
2…アッパレール
6…ロック機構
8…ラッチレバー
11…棒状ばね(ばね部材)
11a…第1ばね部
11b…第2ばね部
11d…折り返し部分
11e…内端部
11f…第3ばね部
11g…捩り部
11h…第2アーム部
11j…第1アーム部
19,20…回動軸
Claims (3)
- 車両のフロアに固定され上部が開口する略コ字形状に屈曲形成されたロアレールの前記開口部に、シートに固定され下部が開口する略コ字形状に屈曲成形されたアッパレールがスライド自在に嵌挿され、前記ロアレールと前記アッパレールとにより形成される長手方向の空間内に、前記ロアレールに対する前記アッパレールのスライド位置を変更してロックするロック機構が設けられ、
当該ロック機構は、前記アッパレールに該アッパレールの長手方向と略平行な回動軸を中心として回動可能なラッチレバーが設けられ、前記アッパレールをロックする方向へ前記ラッチレバーを付勢するためのばね部材が設けられた車両のシートスライド装置において、
前記ばね部材は一本の棒状部材を屈曲させて形成され、中央部に前記ラッチレバーに係合する掛かり部が形成された第1ばね部と、該第1ばね部の両端から該第1ばね部の中央へ向かって前記棒状部材を折り返して互いに近接するように延長した内端部を前記アッパレールの前記屈曲形成された部分の内側に当接させるように外方へ突出形成した一対の第2ばね部とにより構成され、
前記第1ばね部は、中央部に形成した第3ばね部と、該第3ばね部の両側に接続され該第3ばね部とほぼ直交する第1アーム部と、該第1アーム部に接続され前記第3ばね部に略平行な捩り部と、該捩り部に接続され該捩り部に略直交して前記第2ばね部の外端部へと接続される第2アーム部とにより構成され、
前記ラッチレバーが回動されることにより前記第1アーム部と前記第2アーム部とのなす角度が変位し、前記捩り部が捩られるようにしたことを特徴とする車両のシートスライド装置。 - 請求項1に記載のシートスライド装置において、前記ばね部材が前記アッパレールと前記ラッチレバーとの間に装着された状態で、前記夫々の第2ばね部の外端部が前記アッパレールの前記屈曲形成された部分の内側に当接可能に設定されていることを特徴とする車両のシートスライド装置。
- 請求項1に記載のシートスライド装置において、前記第1アーム部と前記第2アーム部とは、前記捩り部の軸線回りに略直角の角度をなすことを特徴とする車両のシートスライド装置。
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CN114954154A (zh) * | 2021-02-19 | 2022-08-30 | 丰田纺织株式会社 | 座椅滑动装置以及座椅滑动装置中使用的锁定弹簧的组装方法 |
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2005
- 2005-06-29 JP JP2005189108A patent/JP2007008241A/ja active Pending
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CN114954154A (zh) * | 2021-02-19 | 2022-08-30 | 丰田纺织株式会社 | 座椅滑动装置以及座椅滑动装置中使用的锁定弹簧的组装方法 |
CN114954154B (zh) * | 2021-02-19 | 2024-03-08 | 丰田纺织株式会社 | 座椅滑动装置以及弹簧构件的组装方法 |
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