JP2007002177A - ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エポキシ化率が好ましくは3〜70モル%であるエポキシ化天然ゴムと、水ガラスと、を含む配合ラテックスを、酸または塩により凝固させることにより、水ガラスから生成されるケイ酸成分(シリカ)を、SiO2換算量として、エポキシ化天然ゴム100重量部に対して、好ましくは、1〜50重量部の割合で含有させる。
【効果】 機械的強度や動的機械特性に優れたゴム製品の成形が可能となる。また、ゴム製品のガス透過性を大幅に低減させることができる。
【選択図】 なし
Description
しかし、シリカは、その表面にシラノール基を有しており、親水性を示すことから、一般に疎水性を示すゴムとの親和性が低い。しかも、シリカは、自己凝集性が強いことから、ゴム中にシリカを均一に分散させることは容易ではない。
また、特許文献2には、エチレン基をもつゴム本体と、このゴム本体に結合して、末端にシラノールのピリジニウム塩をもつ側鎖とからなる有機−無機ハイブリッド体が、非特許文献1には、水ガラスから調製されたケイ酸と、2−ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムとを用いて複合化されたゴム(ケイ酸PSBR)が、それぞれ記載されており、これらのゴムが、低ヒステリシス損失といった特性を有することが示されている。
(1) エポキシ化天然ゴムと水ガラスとを含む配合ラテックスを、酸または塩により凝固させて得られることを特徴とする、ゴム組成物、
(2) 前記エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、3〜70モル%であることを特徴とする、前記(1)に記載のゴム組成物、
(3) 前記水ガラスから生成されるシリカを、SiO2換算量として、前記エポキシ化天然ゴム100重量部に対して、1〜50重量部含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のゴム組成物、
を提供するものである。
エポキシ化天然ゴムは、水ガラスから生成されるケイ酸成分と相互作用を示すものであって、このエポキシ化天然ゴムのラテックスを、水ガラスとの共存下で酸または塩により凝固させたときには、練り加工が可能なゴムが生成される。
エポキシ化天然ゴムは、天然ゴムを、例えば、過酸化水素とギ酸とで処理することにより、または、過酢酸で処理することにより、製造することができる。この反応により、天然ゴムの分子中に存在する二重結合がエポキシ化される。エポキシ化の構造は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)や赤外吸収スペクトル(IR)から明らかにすることができ、また、IRと元素分析の結果から、エポキシ基の含有割合(エポキシ化率)を測定することができる。
エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、5モル%を下回ったときは、水ガラスから生成されるケイ酸成分と相互作用する部位が少なくなって、ゴム組成物に所望の特性を付与することができなくなったり、ゴム組成物から形成されるゴム製品の機械的強度や動的機械特性を向上させる効果が不十分になったりするおそれが生じる。逆に、エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、70モル%を上回ったときは、ゴム組成物の粘着性が大きくなりすぎて、ゴム弾性が損なわれたり、ガラス転移点が高くなりすぎて、低温での耐久性が低下したりするといったおそれや、混練機などの内壁に付着して機械的なブレンドが困難になるといったおそれが生じる。
上記エポキシ化天然ゴム以外のゴムとしては、例えば、SBR(スチレンとブタジエンとの共重合体;スチレン−ブタジエンゴム)、SBIR(スチレンとイソプレンとブタジエンとの共重合体)、MSBR(α−メチルスチレンとブタジエンとの共重合体)、p−メチルスチレンとイソブチレンとの共重合体の臭素化物、NBR(アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体;アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、NBIR(アクリロニトリルとブタジエンとイソプレンとの共重合体)、NIR(アクリロニトリルとイソプレンとの共重合体)、NR(天然ゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(イソブテンとイソプレンとの共重合体;ブチルゴム)、BR(ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、EPDM(エチレンとプロピレンとジエンとの共重合体)などが挙げられる。なかでも、好ましくは、NR、SBR、NBR、IR、IIR、BRなどのジエン系ゴムが挙げられる。
Na2O・nSiO2・mH2O
上記係数nは、SiO2/Na2Oの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれる(JIS K 1408-1966)に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは、2.1〜3.1であり、より好ましくは、3.1である。上記係数nが3.1であるときは、水ガラス中のケイ酸成分の含有量(SiO2換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
水ガラスの配合量は、水ガラスから生成されるケイ酸成分についての、ゴム組成物中での含有量(SiO2換算量)が、後述する範囲となるように設定すればよい。
また、配合ゴムラテックスを凝固させるための塩としては、例えば、金属塩、より詳しくは、例えば、硝酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩などが挙げられる。なお、これに限定されないが、塩の価数は、好ましくは、2価または3価である。
エポキシ化天然ゴムラテックスのゴム固形分濃度は、特に限定されず、取扱性の観点から適宜設定すればよい。通常、ゴム固形分濃度は、30〜60重量%に設定するのが適当である。
配合ラテックスに酸または塩を配合する際の条件としては、特に限定されないが、例えば、配合ラテックスの温度は、好ましくは、10〜90℃であり、より好ましくは、20〜70℃である。
他のゴムとしては、例えば、NR、SBR、SBIR、MSBR、p−メチルスチレンとイソブチレンとの共重合体の臭素化物、NBR、NBIR、NIR、IR、IIR、BR、CR、EPDMなどが挙げられる。
実施例および比較例に使用する成分は、次のとおりである。
・NRラテックス:ハイアンモニアタイプ、ゴム分60%
・カルボキシル化PSBRラテックス:カルボキシ変性PSBRラテックス、全固形分36.0%、ブタジエン:スチレン:ビニルピリジン=70:15:15(単量体単位の重量比)、カルボキシル基の含有量(カルボキシル化PSBRのゴム分子全体に占めるカルボキシル基の重量割合)0.5〜4重量%、商品名「Nipol LX603」、日本ゼオン(株)製
・水ガラス:水ガラス3号(Na2O・nSiO2・mH2O、n=3.2)、ケイ酸成分(シリカ)の含有量(SiO2換算量)28%相当、富士化学(株)製
・粉末硫黄:粉末状(200メッシュ)の硫黄
・加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、商品名「ノクセラーCZ」、大内新興化学工業(株)製
・加硫促進剤D:商品名「ソクシノールD」、住友化学(株)製
・シリカ微粒子:商品名「ニプシル(Nipsil)AQ」、東ソー・シリカ(株)製
<ゴム組成物およびゴム成形体の製造>
参考例
NRラテックスに界面活性剤および過酢酸を配合して、40℃で1時間、撹拌することにより、エポキシ化率が50モル%であるENRラテックスを得た。このENRラテックスを、以下、「ENRラテックス(50)」という。
実施例1
ENRラテックス(50)と水ガラスとを、ラテックス中のENR分100重量部に対して水ガラスが10重量部となるように配合し、1時間撹拌することにより、配合ラテックスを得た。
次に、上記ゴム組成物110重量部に対して、酸化亜鉛3重量部、ステアリン酸2重量部、粉末硫黄1.5重量部、加硫促進剤(CBS)1.0重量部および加硫促進剤(D)0.6重量部を配合し、混練機(混練試験装置ミックスラボ、(株)モリヤマ製)で混練することにより、配合ゴムを得た。
ENRラテックス(50)に代えて、ENRラテックス(25)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物(ケイ酸ENR(25))を得た。このゴム組成物100重量部中のケイ酸成分の含有量は、SiO2換算で、9.12重量部であった。
次に、こうして得られたゴム組成物(ケイ酸ENR(25))を用いたこと以外は、実施例1と同じ条件で、酸化亜鉛、ステアリン酸、粉末硫黄および加硫促進剤(CBS,D)を配合し、混練することにより、配合ゴムを得た。また、この配合ゴムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ2mmの加硫ゴムシートを得た。
ENRラテックス(50)とENRラテックス(25)とを、それぞれのゴム分が重量比で50:50となるように混合して、混合ラテックスを得た。また、この混合ラテックス中のENR(50)分とENR(25)分との総量100重量部に対して、水ガラスを10重量部配合し、1時間撹拌することにより、配合ラテックスを得た。次いで、上記配合ラテックスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物(ケイ酸ENR(mix))を得た。このゴム組成物100重量部中のケイ酸成分の含有量は、SiO2換算で、9.10重量部であった。
比較例1
ENRラテックス(50)を撹拌しながら、2N−硫酸をゆっくりと滴下し、こうして得られた凝固物を、一昼夜、蒸留水に浸漬させて、洗浄した。なお、上記蒸留水は、数回交換した。さらに、上記凝固物を、水絞りロールで水洗しながら、シート状に成形し、40℃のオーブン中で乾燥させることにより、未加硫ENR(50)のシートを得た。
ENRラテックス(50)に代えて、ENRラテックス(25)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、未加硫ENR(25)のシートを得た。さらに、この未加硫ENR(25)のシートを用いたこと以外は、比較例1と同様にして、厚さ2mmの加硫ゴムシートを得た。
カルボキシル化PSBRラテックスと水ガラスとを、ラテックス中のカルボキシル化PSBR分100重量部に対して水ガラスが10重量部となるように配合し、1時間撹拌することにより、配合ラテックスを得た。
次いで、上記配合ラテックスを2N−硫酸中にゆっくりと滴下し、こうして得られた凝固物を、一昼夜、イオン交換水に浸漬させて、洗浄した。なお、上記イオン交換水は、数回交換した。さらに、上記凝固物を、水絞りロールで水洗しながら、薄いシート状に成形し、40℃のオーブン中で乾燥させることにより、未加硫の配合ゴム(ケイ酸−カルボキシル化PSBR)を得た。この未加硫配合ゴム100重量部中のケイ酸成分の含有量は、SiO2換算で、9.14重量部であった。
<加硫ゴムシートの評価>
各実施例および比較例で得られた加硫ゴムシートについて、下記の物性を評価した。
JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して、100%伸び時における引張応力M100(MPa)、引張強さTB(MPa)および切断時伸びEB(%)を測定した。測定には、加硫ゴムシートをくり抜いて得られた試験片(ダンベル3号形)を使用し、測定条件は、温度23℃、引張速度500mm/分とした。
JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準拠して、加硫ゴムシートのデュロメータ硬さ(タイプA)を測定した。
(3) ガス透過性
加硫ゴムシートをくり抜いて得られた試験片について、そのガス透過度(cm3/(cm2・sec・cmHg)を、JIS K 7126:1987「プラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法」に記載の方法に準じて測定した。
各実施例および比較例で得られた加硫ゴムシートについて、厚さ約0.5mmの薄層シートを切り出して、光学顕微鏡(30倍)で観察することにより、ゴム中にSiO2分の凝集体が存在しているか否かを確認した。
以上の結果を表1に示す。
また、実施例1〜3の加硫ゴムシートは、ケイ酸PSBRを用いたゴム組成物からなる比較例3の加硫ゴムシートと比べて、機械的強度について概ね優れており、特に、ガス透過性については、顕著な差異が生じていた。
Claims (3)
- エポキシ化天然ゴムと水ガラスとを含む配合ラテックスを、酸または塩により凝固させて得られることを特徴とする、ゴム組成物。
- 前記エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率が、3〜70モル%であることを特徴とする、請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記水ガラスから生成されるシリカを、SiO2換算量として、前記エポキシ化天然ゴム100重量部に対して、1〜50重量部含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のゴム組成物。
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