JP2007002077A - 有機顔料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
微粒化後、乾燥時に再凝集して、比表面積が小さくなることがない有機顔料の製造方法を提供する
【解決手段】
微粒化処理後の有機顔料の水ケーキを、溶剤中に分散させて、攪拌後、溶剤をろ別し、得られた溶剤処理後の有機顔料の溶剤ケーキを乾燥する、有機顔料の製造方法。
【選択図】 なし
Description
有機顔料の比表面積を高くすることは、有機顔料を微粒化することにより得られ、その微粒化方法としては、ソルトミリング法が周知であり、公用されている。ソルトミリング法は、合成後の有機顔料と水溶性の無機塩とを水溶性の溶剤の存在下で、ミルなどの混練装置を用いて混練することにより有機顔料を摩砕してその粒子径を小さくし、摩砕後、ろ過して有機顔料、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を含む混合物を得て、次いで該混合物を水洗して、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤を洗い流して、微粒化有機顔料の水ケーキを得るという方法である。その後、該水ケーキを乾燥することにより、水分を除去して固形状の有機顔料を得て、該固形状の有機顔料を粉砕して、微粒化された粉体状の有機顔料を得ることができる。
しかしながら、有機顔料をさらに微細化することで、コントラストはまだまだ高くなることが期待されていた。
即ち、本発明は、微粒化処理後の有機顔料を、溶剤中に分散させて、攪拌後、溶剤をろ別し、得られた溶剤処理後の有機顔料を乾燥する、有機顔料の製造方法を提供する。
本発明の製造方法において用いられる有機顔料としては、公知の有機顔料であれば用いることができる。
C.I.ピグメントオレンジ13、16、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などの橙色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64などの青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、37、38、40、50などの紫色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25、26などの茶色顔料などが挙げられる。
中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー128、138、150、185、C.I.ピグメントレッド48:1、254、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントグリーン7、36などが挙げられ、とりわけ好ましくはC.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185またはC.I.ピグメントレッド48:1が挙げられる。
これらの有機顔料としては、市販品を用いることができ、また、混合して用いることができる。
具体的なソルトミリング法としては、有機顔料、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤の混合物を、ニーダーなどの装置を用いて混練して、有機顔料の粒子径を小さくする方法であり、本発明においても適用でき、その条件は、混練に用いる装置、スケール等により、適宜調整できる。
ソルトミリング法において用いられる水溶性の溶剤は、ソルトミリング時に湿潤剤として用いられるものであり、水溶性であれば特に限定されない。しかし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発しやすい状態になるため、高沸点の溶剤が好ましい。水溶性の溶剤の使用容量は、有機顔料の質量に対する比で、好ましくは0.5〜10倍、より好ましくは0.6〜7倍である。水溶性の溶剤の使用量が前記の範囲にあると、混練が可能であり、また混合物が液状に近くならずに、混練時に適度にシェアがかかり、有機顔料の微細化ができるので、好ましい。
前記のアルコール系溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール;
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケントン、シクロヘキサノン、;
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル;
エーテル系溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジオキサン、テトラヒドロフラン;
脂肪族炭化水素系溶剤としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン;
芳香族炭化水素系溶剤としては、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン;
その他の溶剤としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシドなどが挙げられる。
前記の溶剤のうち、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、より好ましくはイソプロパノール、アセトンおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
ここで洗浄に用いられる溶剤は、前記の攪拌時に用いられた溶剤と同一でも異なってもよく、好ましくは、攪拌時に用いられた溶剤よりも揮発性の高い溶剤または攪拌時に用いられた溶剤よりも水溶性が低い溶剤が好ましい。また、中でも、攪拌時に用いられる溶剤の揮発性が低い場合には、前記の溶剤と混和し、かつ前記の溶剤よりも揮発性の高い溶剤または前記の溶剤よりも水溶性の低い溶剤で洗浄処理を行うことが好ましい。
また、減圧しながら乾燥を行うことが好ましい。減圧する場合、その圧力は、10〜1.01×105Pa程度が好ましい。
市販のC.I.ピグメントイエロー185(パリオトールイエローD1155;BASF社製 比表面積;42.6m2/g):100g、塩化ナトリウム:400g、およびジエチレングリコール:120gをステンレス製1Lニーダー(モリヤマ製)に仕込み、10時間混練した。次にこの混練物を10Lの水に投入し、ディスパー(新東科学製)で3時間撹拌、混合した後、ろ過、水洗をくりかえして塩化ナトリウムおよび溶剤を除き、固形分27質量%のC.I.ピグメントイエロー185の水ケーキを得た。
微粒化された水ケーキを11.11g(有機顔料分で3g)およびアセトン300mLを、300mLのビーカー中に入れて、ディスパーを用いて、30分間、攪拌した。
アセトン溶液中に、水ケーキの塊がないことを確認した後、No.2(東洋濾紙(株)製)のろ紙でヌッチェを用いて、該アセトン溶液を吸引ろ過した。吸引ろ過を進め、ろ紙上の溶剤がなくなる直前にヌッチェにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100mLを注ぎ、一旦プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを吸引して除去した。同じ作業をもう一度繰り返して、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含む溶剤ケーキを得た。
得られた溶剤ケーキは、バット上に広げられ、オーブン中で、170℃で1時間乾燥された。乾燥後、粉砕され、粉末状のC.I.ピグメントイエロー185が得られた。
得られたC.I.ピグメントイエロー185の比表面積を、比表面積測定装置(モノソーブ;ユアサアイオニクス(株)製)を用いて測定したところ、58.9m2/gであった。
C.I.ピグメントイエロー185の水ケーキを、溶剤処理することなく、バット上に広げて、オーブン中で、80℃で1時間乾燥する以外は実施例1と同様に行った。得られたC.I.ピグメントイエロー185の比表面積は、58.3m2/gであった。
実施例1において、C.I.ピグメントイエロー185を、C.I.ピグメントレッド48:1(粗製のC.I.ピグメントレッド48:1;住化カラー製 比表面積;45.8m2/g)に代える以外は、実施例1と同様に処理して、C.I.ピグメントレッド48:1を粉体状で得た。得られたC.I.ピグメントレッド48:1の比表面積を表1に示す。
比較例1において、C.I.ピグメントイエロー185を、C.I.ピグメントレッド48:1(粗製のC.I.ピグメントレッド48:1;住化カラー製 比表面積;45.8m2/g)に代える以外は、比較例1と同様にして、C.I.ピグメントレッド48:1を粉体状で得た。得られたC.I.ピグメントレッド48:1の比表面積を表1に示す。
実施例1において、C.I.ピグメントイエロー185を、C.I.ピグメントイエロー150(イエローE4 GN−GT;LANXESS製 比表面積;126.6m2/g)に代えて、かつ用いたジエチレングリコールの量を150gにする以外は、実施例1と同様に処理して、C.I.ピグメントイエロー150を粉体状で得た。得られたC.I.ピグメントイエロー150の比表面積を表1に示す。
比較例1において、C.I.ピグメントイエロー185を、C.I.ピグメントイエロー150(イエローE4 GN−GT;LANXESS製 比表面積;126.6m2/g)に代えて、かつ用いたジエチレングリコールの量を150gにする以外は、比較例1と同様にして、C.I.ピグメントイエロー150を粉体状で得た。得られたC.I.ピグメントイエロー150の比表面積を表1に示す。
Claims (7)
- 微粒化処理後の有機顔料の水ケーキを、溶剤中に分散させて、攪拌後、溶剤をろ別し、得られた溶剤処理後の有機顔料の溶剤ケーキを乾燥する、有機顔料の製造方法。
- 溶剤が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。
- 溶剤の使用容量が、微粒化処理後の有機顔料の水ケーキ中に含有される水の質量に対する比で、5〜100倍である請求項1または2に記載の製造方法。
- 乾燥するときの温度が、70〜200℃である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185またはC.I.ピグメントレッド48:1である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 溶剤をろ別した後に、当該溶剤と混和し、かつ当該溶剤よりも揮発性の高い溶剤または当該溶剤よりも水溶性の低い溶剤で有機顔料を洗浄する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかの製造方法により得られる有機顔料を含む着色組成物。
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