JP2005008806A - β型銅フタロシアニン顔料の製造方法 - Google Patents

β型銅フタロシアニン顔料の製造方法 Download PDF

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修 城丸
Yusaku Ide
勇作 井出
Toshio Oshiba
敏男 大芝
Takuya Kotani
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Abstract

【課題】設備や環境への負荷が小さく、かつ一次結晶のアスペクト比が小さなβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法物とを提供する。
【解決手段】純度97〜100%の粗製銅フタロシアニンを180〜50℃で乾式粉砕し、次いで水混和性有機溶剤中で混練する、平均一次結晶径80nmで、一次結晶のアスペクト比が2.0であり、結晶子径が単斜晶系β(200)面の垂直方向において22nm、β(001)面の垂直方向において27nm、β(010)面の垂直方向において15nmであるβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法であって、乾式粉砕物に対して0.1〜20%の下記式で示される化合物を添加する。
MePc−(SO )n
(MeはH、Cu等、Pcはフタロシアニン残基、R1〜4はH、アルキル等(少なくとも一つは炭素数10以上のアルキル基等である。)、nは1〜8の整数。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乾式粉砕法によるβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、合成後の銅フタロシアニンは粗製銅フタロシアニンと呼ばれ、一次結晶径が0.5〜100μmの巨大粒子のため、そのまま印刷インキ用顔料として使用することは出来ない。この粗製銅フタロシアニンの一次結晶を印刷インキとして使用可能な大きさである 100±50nm程度 まで小さくする工程は顔料化と呼ばれる。顔料化には様々な方法がある。
【0003】最も一般的なのがソルベントソルトミリング法と呼ばれる方法である。この方法は粗製銅フタロシアニンに食塩等の磨砕助剤とβ型への結晶転移を促進させる有機溶剤とを加えて磨砕する方法である。この方法によるβ型銅フタロシアニン顔料は平均一次結晶径80±40nmで、かつ一次結晶のアスペクト比が2.0±0.5と整粒すなわち一次結晶の大きさと形状とが整えられている。この物性上の特性が適性上有利に反映され、流動特性、着色力等の点で印刷インキに適しているために広く使用されている。しかし顔料の数倍量の磨砕助剤を使用するために、また環境負荷が大きい高沸点溶剤を使用するために磨砕助剤や有機溶剤を回収する工程に多大な時間とエネルギーを要する上に、磨砕助剤である無機塩類による装置の腐食、すなわち設備負荷が大きいという重大な課題がある。
【0004】これに対して粗製銅フタロシアニンを乾式で粉砕した後に有機溶剤等で処理する方法も知られている。この方法は、先に述べたソルベントソルトミリング法に比べて工程が簡略化されているために安価なβ型銅フタロシアニン顔料を供給する上で非常に有効な手段である。
【0005】さて、β型銅フタロシアニンは乾式粉砕の場合のように機械的衝撃力によって熱力学的に不安定なα型へ結晶転移する。通常、β型粗製銅フタロシアニンを80〜90℃の粉砕温度で乾式粉砕した場合、その粉砕物中のα率は60%以上になることが知られている(特許文献1参照)。
【0006】一方、小さな衝撃力で粉砕した場合には当然のことながらα型結晶の比率を低く抑えることが可能で、例えば、特許文献2には100℃の粉砕温度で粉砕した場合のα型結晶の含有率が21%であることが記載されている。しかしながら、この程度の衝撃力の粉砕ではソルベントソルトミリング法により得られる顔料粒子の粒度分布を実現させることは出来ない。
【0007】さて、ソルベントソルトミリング法は巨大一次結晶の粗製銅フタロシアニンと有機溶剤と磨砕助剤とから形成されるドウ(dough)に対して強力な摩砕力を加えることがその特徴である。
【0008】一方、乾式粉砕物を有機溶剤等で処理する方法はα型を転移させてβ型結晶を得ると共に微細一次結晶の強凝集体を解膠させて目的とする分散粒径にすることがその特徴である。しかし、乾式粉砕物中のα型結晶をβ型へ転移させる過程で一次結晶が針状に成長し、ソルベントソルトミリング法に比べてアスペクト比が大きくなることが知られている。
【特許文献1】特開平7−310024号公報
【特許文献2】特開平2−294365号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕した後に有機溶剤等で処理する方法は、ソルベントソルトミリング法で必要とされる摩砕助剤の回収工程が不要であることや、乾式粉砕が効率的で粉体処理量の観点から有利である反面、機械的な力を加える際にβ型結晶からα型結晶への転移を伴うという欠点がある。しかも、有機溶剤の作用によってα型結晶からβ型結晶へ転移させる際、顔料一次結晶が針状に成長し、ソルベントソルトミリング法に比べてアスペクト比が大きくなるため、分散粒子の配向に基づく色相の赤味化や構造粘性に基づく流動性低下等の問題が生じる。また、α型結晶の生成を防ぐために粗製銅フタロシアニンを有機溶剤等の存在下で乾式粉砕する方法もあるが、不均一系処理に基づくα率制御の困難さという品質上、並びに溶剤処理に対応した防爆装置等の設備投資というコスト上の課題がある。
【0010】本発明者らは、この乾式粉砕によって得られたα/β混合結晶形銅フタロシアニン中のα率が最終的な顔料のアスペクト比に影響することに着目し、磨砕物中のα率が小さな程、有機溶剤等によって処理して得られた顔料粒子のアスペクト比が小さいことを見出した。
【0011】さらに、強凝集体である乾式粉砕物の解膠性はα率に依存し、α率5%未満では極めて低減することを見出した。
【0012】乾式粉砕によって得られる粉砕物のα率は機械的衝撃力や粉砕時間に伴って増大する。この現象は、β型におけるフタロシアニン中心金属の銅原子に対しヤーン・テラー効果によって長手方向に配位した隣接フタロシアニン分子中メソ位窒素原子との結合が機械的応力により切断され内部エネルギーが増大する結果、熱力学的に不安定なα型へ結晶転移するものと説明することが出来る。それゆえ、熱力学的安定化へ方向付けるような、例えば熱や非酸性有機溶剤の作用によってΔHβ←α= −10.8 kJ/molのエンタルピー、すなわち10.8 kJ/molを放出しながらα型からβ型へ再転移すると考えられる。
【0013】乾式粉砕工程において、β型への再転移を低減させることによってα率を増大させるにはα型結晶c軸方向の格子収縮を抑制させる物質を共存させればよく、逆に、低α率の乾式粉砕物を得るにはc軸方向の格子収縮を抑制させる物質の少ない粗製銅フタロシアニンを使用すればよいことが結晶構造解析に基づいて推論された。
【0014】この仮説から高純度粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕すればより容易に低α率の乾式粉砕物が得られることが帰納され、この点は実験によって検証された。
【0015】以上の理論的背景から粗製銅フタロシアニンが高純度であれば機械的衝撃力が加わってもα型へ結晶転移しにくいため乾式粉砕時の加温の程度を低減させることが出来る。
【0016】α率が5〜35%であるα/β混合結晶形銅フタロシアニンを得るための乾式粉砕の条件は、粗製銅フタロシアニンの純度が97〜100%に対し、乾式粉砕温度は180〜50℃、好ましくは160〜80℃であることが明らかになった。
【0017】本発明は、ソルベントソルトミリング法によって得られる顔料品質を維持すると同時に、ソルベントソルトミリング法に製法上内在している課題を解決する目的で、高純度の粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕して得られた低α率の乾式粉砕物を有機溶剤で処理することによって一次結晶のアスペクト比が2.0±1.0であるβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供するものである。さらに、有機溶剤混練時に該乾式粉砕物に対して0.1〜20重量%の下記一般式(1)で示される化合物を添加することを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供するものである。
一般式(1)MePc−(SO )n
(式中、MeはH、Cu、Fe、Co、Ni、Zn、AlOHまたはFeOH、Pcはフタロシアニン残基、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜30のアルキルもしくはアルケニル基(適宜置換基を有していてもよい。)またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基(ただし、R、R、R、Rのうち少なくとも一つは炭素数10以上のアルキルもしくはアルケニル基、またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基である。)、nは1〜8の整数を表す。)
【0018】一般式(1)で示される化合物は有機溶剤混練の前、中または後に添加することが出来るが、前または途中で添加するのが好ましい。その理由は、一般式(1)で示される化合物が銅フタロシアニン顔料の有機溶剤分散体の分散安定化に寄与し凝集体の解膠を促進すると考えられるからである。分散体の流動性が著しく向上することはその仮説を裏付ける。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、硫酸溶解法に基づく純度97〜100%、一次結晶径が0.5〜100μmである粗製銅フタロシアニンを温度180〜50℃で乾式粉砕し、得られたα/β混合結晶形銅フタロシアニンを有機溶剤または有機溶剤と水との混合液中で処理することによってα型結晶をβ型結晶へ転移させてなる、平均一次結晶径80±40nmで、一次結晶のアスペクト比が2.0±1.0であり、結晶子径が単斜晶系β(200)面の垂直方向において22±5nm、β(001)面の垂直方向において27±5nm、β(010)面の垂直方向において15±5nmであることを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法において、さらに、有機溶剤混練の前、中または後に該乾式粉砕物に対して0.1〜20重量%の下記一般式(1)で示される化合物を添加することを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法に関する。
一般式(1)MePc−(SO )n
(式中、MeはH、Cu、Fe、Co、Ni、Zn、AlOH、FeOH、Pcはフタロシアニン残基、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜30のアルキルもしくはアルケニル基(適宜置換基を有していてもよい。)またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基(ただし、R、R、R、Rのうち少なくとも一つは炭素数10以上のアルキルもしくはアルケニル基、またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基である。)、nは1〜8の整数を表す。)
更に本発明は、乾式粉砕物のα率が5〜35%である上記β型銅フタロシアニン顔料の製造方法に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明の乾式粉砕は、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した粉砕機を使用して、実質的に液状物質を介在させないで粗製銅フタロシアニンを粉砕するものである。粉砕は、粉砕メディア同士の衝突による粉砕力や破壊力を利用して行われる。乾式粉砕装置としては、乾式のアトライター、ボールミル、振動ミル等の公知の方法を用いることが出来る。また、必要に応じて窒素ガス等を流すことで乾式粉砕装置内部を脱酸素雰囲気にして乾式粉砕を行ってもよい。
【0021】乾式粉砕装置としては、蒸気またはオイルなどによる加熱が可能な乾式のアトライター、ボールミル、振動ミル等の公知の方法を用いることが出来、また粉砕時間はその装置によって、または所望の粉砕粒径に応じて任意に設定出来る。一般に実施されている乾式粉砕は内部が発熱するため、その温度を80〜100℃に冷却しながら行われている場合がほとんどであるが、本発明では内部温度を180〜50℃、好ましくは160〜80℃と調整することによって、目的とするα率の粉砕物を得る。温度が180℃を超えると顔料の品質に影響が生じてしまうため好ましくない。
【0022】粗製銅フタロシアニンは硫酸溶解法に基づく純度97〜100%のものを用いる。97%未満ではα率の高い粉砕物になる。
【0023】本発明における粗製銅フタロシアニンの硫酸溶解法に基づく純度の測定は以下のようにして行う。
サンプル5gを98%硫酸100g中に常温で撹拌しながら少量ずつ加え入れ、添加終了後2時間撹拌して、これを蒸留水500ml中に撹拌しながら注入する。90℃にて加熱撹拌して、0.5時間後、100℃で乾燥恒量後、秤量済みの17G4ガラスフィルターを用いて吸引濾過、酸フリーまで水洗して、ガラスフィルターごと100℃で乾燥恒量後、秤量する。以下の式によって純度が求められる。
純度/%=処理後重量×100 / 処理前重量
【0024】粉砕物のα率は5〜35%、好ましくは10〜30%である。α率の上限は顔料一次結晶のアスペクト比が増大することによって制限を受け、また、下限は強凝集体の解膠性によって制限を受ける。
【0025】得られた摩砕物の溶剤処理は、有機溶剤単独か、あるいは有機溶剤と水との混合系で行われる。
【0026】溶剤の種類は、水混和性有機溶剤であり、例えば、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノール等のアルコール化合物、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物の1種または2種以上の混合物が使用出来る。
【0027】溶剤処理工程において、アイガーミル、サンドミル、ボールミル、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コスモミル、Zミル、ディスパーマット、バスケットミル等のビーズミルを用いることが出来る。
【0028】溶剤処理工程において、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」)、ホモミキサー等のメディアレス分散機を用いることが出来る。
【0029】本発明において顔料は、その用途に合わせて適性を付与するため樹脂処理を行うことも出来る。その処理方法は工程(A)時に行ってもよいし、工程(B)時に行ってもよい。乾式粉砕時に添加しても、または溶剤処理時に行っても構わない。樹脂としては重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン等に代表されるロジン類やロジン変性フェノール樹脂等の様に印刷インキに適したものであれば自由に選択可能である。
【0030】本発明において顔料は、その用途に合わせて適性を付与するため界面活性剤処理を行うことも出来る。その処理方法は工程(A)時に行ってもよいし、工程(B)時に行ってもよい。界面活性剤としてはノニオン活性剤、アニオン活性剤およびカチオン活性剤等の中から印刷インキに適したものであれば自由に選択可能である。
【0031】本発明による方法で製造された銅フタロシアニン顔料を使用してグラビア印刷インキを作製する場合、使用するビヒクルは特に限定されるものではなく、補助剤や体質顔料を含んでいてもよい。グラビア印刷インキ用ビヒクルの例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、ニトロセルロース、酢酸セルロース、エチルセルロース、塩化ゴム、環化ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ギルソナイト、ダンマル、セラック等の樹脂混合物、または上記樹脂の混合物または上記の樹脂を水溶化した水溶性樹脂、またはエマルション樹脂と炭化水素、アルコール、ケトン、エーテルアルコール、エーテル、エステル、水等の溶剤から成るものである場合が挙げられる。
【0032】本発明に関わるグラビア印刷インキ組成物を作製するために、銅フタロシアニン顔料、フタロシアニン誘導体、またはこれらの混合物をビヒクルに混合または分散する場合、分散機としてディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、フラッシャー、ロールミル、サンドミル、アトライター等を使用することにより良好な混合または分散が出来る。
【0033】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例中で標準顔料として使用しているのは、粗製銅フタロシアニンをソルベントソルトミリング法(食塩5倍量)により顔料化したβ型銅フタロシアニン顔料とCuPc−SO (C1225)とを92対8の重量比で混合したものであり、その顔料粒子のアスペクト比は約2.0である。なお、一次結晶のアスペクト比は透過型電子顕微鏡で撮影した写真から算出した。
【0034】α率および結晶子径はX線回折プロファイルから求めた。
α率は次式に基づいて算出した。
α率/%={ (回折角14.3°〜16.0°の積分強度)−(回折角13.8°の積分強度) }×100 / { (回折角12.2°、14.3°〜16.0°、18.0°の積分強度の合計)−(回折角13.8°の積分強度) }。
結晶子径は回折角7.0°、10.5°、18.5°のβ(001)、β(200)、β(010)の回折面に基づく積分幅の値からScherrer式を用いて算出した。
【0035】
【実施例1】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度99%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、115℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形15%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をイソブタノール100重量部、水50重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1時間攪拌した。本プレミキシング操作によってα率1%以下になったことを確認した。α率の確認は、プレミキシング処理後のスラリーを等量のメタノール中に注入し東洋濾紙(株)製No.5C濾紙で濾過し、更に3倍量のイソブタノールを用いて振り掛け洗浄、風乾したサンプルを使用した。
次に、イソブタノール200重量部、水100重量部、CuPc−SO (C1225)4重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて50℃、1時間循環分散した。次に、水200重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.3であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において22nm、β(001)面の垂直方向において29nm、β(010)面の垂直方向において16nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本実施例の顔料のインキは着色力、光沢、流動性等の点において標準顔料のインキと同等以上の品位を有しており、色相は緑味であった。
【0036】
【実施例2】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度97%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、90℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形27%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をイソブタノール150重量部、水50重量部、ペレックスOT−P(花王(株)製アニオン活性剤)0.7重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1.5時間攪拌し、α率1%以下になったのを確認した。次に、イソブタノール225重量部、水75重量部、CuPc−SO (CH(C1225)4重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて60℃、1時間循環分散した。次に、水260重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.7であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において21nm、β(001)面の垂直方向において27nm、β(010)面の垂直方向において14nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本実施例の顔料のインキは着色力、光沢、流動性等の点において標準顔料のインキと同等以上の品位を有しており、色相は緑味であった。
【0037】
【実施例3】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度98%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、140℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形8%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をイソブタノール75重量部、水175重量部、エステルガムAT(荒川化学(株)製ロジンエステル系樹脂)0.5重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1時間攪拌し、α率1%以下になったのを確認した。次に、イソブタノール175重量部、水75重量部、CuPc−SO (C18374重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて60℃、1.5時間循環分散した。次に、水75重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.1であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において23nm、β(001)面の垂直方向において26nm、β(010)面の垂直方向において15nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本実施例の顔料のインキは着色力、光沢、流動性等の点において標準顔料のインキと同等以上の品位を有しており、色相は緑味であった。
【0038】
【実施例4】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度99%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、115℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形15%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をエチルセロソルブ75重量部、水75重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1時間攪拌し、α率1%以下になったのを確認した。次に、エチルセロソルブ150重量部、水150重量部、CuPc−SO (CH)(C{[CHCH(CH)O]11H}4重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて50℃、1時間循環分散した。次に、水70重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.3であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において22nm、β(001)面の垂直方向において27nm、β(010)面の垂直方向において18nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本実施例の顔料のインキは着色力、光沢、流動性等の点において標準顔料のインキと同等以上の品位を有しており、色相は緑味であった。
【0039】
【比較例1】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度93%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、130℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形45%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をイソブタノール100重量部、水50重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、2時間攪拌し、α率1%以下になったのを確認した。次に、イソブタノール200重量部、水100重量部、CuPc−SO (C1223)4重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて50℃、1時間循環分散した。次に、水200重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は4.0であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において23nm、β(001)面の垂直方向において29nm、β(010)面の垂直方向において14nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本比較例の顔料のインキは着色力、鮮明性、流動性等の点においてソルベントソルトミリング法の標準顔料のインキより劣っていた。
【0040】
【比較例2】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度98%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、キシレン15重量部共存下で120℃、1時間粉砕を行い、α型結晶形3%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物46重量部をイソブタノール75重量部、水175重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1時間攪拌し、α率1%以下になったのを確認した。次に、イソブタノール175部、水75部、CuPc−SO (C1837)4重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて60℃、1.5時間循環分散した。次に、水75重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.0であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において20nm、β(001)面の垂直方向において25nm、β(010)面の垂直方向において16nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本比較例の顔料のインキは着色力、鮮明性、光沢等の点においてソルベントソルトミリング法の標準顔料のインキより劣っていた。
【0041】
【比較例3】5L乾式アトライターに硫酸溶解法に基づく純度99%、一次結晶径1〜10μmの粗製銅フタロシアニン500重量部を加え、115℃で1時間粉砕を行い、α型結晶形15%を含む摩砕物を得た。得られた摩砕物50重量部を、イソブタノール100重量部、水50重量部に加え、ハイスピードミキサーを用いて、80℃、1時間攪拌した。本プレミキシング操作によってα率1%以下になったことを確認した。次に、イソブタノール200重量部、水100重量部を追加してミル容積200mlのアイガーミルで0.8mmφスチールビーズを用いて50℃、1時間循環分散した。次に、水200重量部を加え蒸留し、スプレー乾燥した。こうして得られた顔料粒子のアスペクト比は2.3であり、α率は1%以下であった。結晶子径は単斜晶系β(200)面の垂直方向において23nm、β(001)面の垂直方向において26nm、β(010)面の垂直方向において15nmであった。この顔料と同一顔料分を含む標準顔料とを比較したところ、本比較例の顔料のインキは着色力、光沢、流動性等の点において標準顔料のインキと同等の品位であり、実施例の顔料のインキより劣っていた。
【0042】
【発明の効果】本発明は一次結晶のアスペクト比が小さなβ型銅フタロシアニン顔料を製造することが出来る。現在、一般的に使用されているソルベントソルトミリング法の顔料と比較して着色力、光沢、流動性等の点において同等以上の品質でありながら、摩砕助剤である塩類やCOD値の高い高沸点溶剤を使用しないために設備や環境への負荷が小さなβ型銅フタロシアニン顔料を提供することが可能になる。

Claims (4)

  1. 硫酸溶解法に基づく純度97〜100%、一次結晶径が0.5〜100μmである粗製銅フタロシアニンを温度180〜50℃で乾式粉砕し、α率が5〜35%であるα/β混合結晶形銅フタロシアニンとする工程(A)と、工程(A)で得られた乾式粉砕物を水混和性有機溶剤中で処理する工程(B)とからなる平均一次結晶径80±40nmで、一次結晶のアスペクト比が2.0±1.0であり、結晶子径が単斜晶系β(200)面の垂直方向において22±5nm、β(001)面の垂直方向において27±5nm、β(010)面の垂直方向において15±5nmであることを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法において、工程(B)の前、中または後に該乾式粉砕物に対して0.1〜20重量%の下記一般式(1)で示される化合物を添加することを特徴とするβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
    一般式(1)MePc−(SO )n
    (式中、MeはH、Cu、Fe、Co、Ni、Zn、AlOHまたはFeOH、Pcはフタロシアニン残基、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜30のアルキルもしくはアルケニル基(適宜置換基を有していてもよい。)またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基(ただし、R、R、R、Rのうち少なくとも一つは炭素数10以上のアルキルもしくはアルケニル基、またはポリオキシ低級アルキルもしくはアルケニル基である。)、nは1〜8の整数を表す。)
  2. 水混和性有機溶剤が水との混合液である請求項1記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  3. 工程(B)がビーズミルを用いて行う請求項1記載のβ型銅フタロシアニン顔料の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか記載の製造方法によって得られるβ型銅フタロシアニン顔料とビヒクルとから成るグラビア印刷インキ組成物。
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