JP2004244563A - 有機顔料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソルベントソルトミリング法に匹敵する、顔料粒子の微細化、整粒されたε型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供する。乾式粉砕法の良好な生産効率および環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しない利点を活かしながら、顔料粒子の微細化、整粒が実現されたε型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒子径が100nmより大きい粗製ε型銅フタロシアニン顔料を乾式粉砕した平均粒子径が10〜100nmのプレ顔料に、上記顔料に対して結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕し、顔料の平均粒子径の変化を30nm以下に抑制しながら整粒させ、粒径100nm以上の顔料粒子が全顔料粒子の20重量%以下で、かつ粒径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上である粒度分布を有する有機顔料を得ることを特徴とする、有機顔料の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細でかつ均一な粒子径に整粒され、分散性が極めて良好な有機顔料の製造方法に関し、さらに低エネルギー負荷、低コストで、かつ環境に有害な産業廃棄物を排出しない有機顔料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機顔料には、例えば、アゾ顔料のように合成時に適切な反応条件を選択することにより微細で整粒された粒子を得ることができるものもあるが、銅フタロシアニングリーン顔料のように合成時に生成する極めて微細で凝集した粒子を後工程で粒子成長、整粒させることにより顔料化するもの、銅フタロシアニンブルー顔料のように合成時に生成する粗大で不揃いな粒子を後工程で微細化し、整粒させることにより顔料化を行うものもある。
【0003】
粗大な顔料粒子を微細化させる方法として現在広く用いられている方法に、ソルベントソルトミリング法、乾式粉砕法等がある。
【0004】
ソルベントソルトミリング法は、粗大な粗製顔料粒子を、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩類と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の粘性の高い水溶性有機溶剤の存在下で、ニーダー等により機械的に摩砕して顔料化する方法である。
【0005】
ソルベントソルトミリング法は、微細化、整粒させるのに有効な方法であるが、電力消費量が大きいため、単位エネルギー当たりの生産性が悪く、また顔料に対して数倍量以上の無機塩類と同量から数倍量の有機溶剤を使用するため、これらの無機塩類、有機溶剤を顔料から分離するための洗浄、ろ過工程が必要であった。さらに洗浄、ろ過工程で発生する水、有機溶剤混合の廃液は、COD値、BOD値が高く、産業廃棄物としての処理工程が必要であり、環境に与える負荷も大きいという問題点があった。
【0006】
乾式粉砕法は、粗大な粗製顔料粒子を、ボールミル、アトライター、振動ミル等により乾式で粉砕することで顔料化を行う方法であり、ソルベントソルトミリング法と比較して、単位エネルギー当たりの生産効率は良く、環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しない点では好ましい方法である。しかしながら、粗製のε型銅フタロシアニン顔料においては、乾式粉砕を単に適用すると、粗製顔料粒子を微細化することはできるものの、粒子径のばらつきが大きく、また粒子間の凝集力が極めて強いため、多くの場合、得られた顔料は、多数の微細化された一次粒子が、極めて強い力で結合した巨大な凝集体しか得られない。
【0007】
乾式粉砕で微細化した顔料粒子を少量の有機溶剤を共存させて混合撹拌することで顔料化を行う技術は、例えば特許文献1に開示されている。しかしこの技術は、摩砕を伴わなず、結晶成長により顔料化を行うものであるので、微細かつ整粒された有機顔料を製造することはできない。
また乾式粉砕で微細化、凝集した銅フタロシアニン顔料粒子(α型銅フタロシアニンとε型銅フタロシアニンの混晶)を、ソルベントソルトミリング法で微細ε型銅フタロシアニンとする技術が、特許文献2に開示されている。
【特許文献1】
特開2002−88269号公報
【特許文献2】
特開2002−121420号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、乾式粉砕による磨砕と有機溶剤との接触による結晶成長を均衡させて、ソルベントソルトミリング法に匹敵する微細化、整粒したフタロシアニン顔料の製造方法を提供するものである。
また本発明は、良好な生産効率および環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しないという乾式粉砕法の利点を活かしながら、顔料粒子の微細化、整粒を実現する、フタロシアニン顔料の製造方法を提供することができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意努力した結果、従来技術の問題点を解消し、上記の課題を解決する発明を得るに至った。
すなわち本発明は、平均粒子径が100nmより大きい粗製ε型銅フタロシアニン顔料を乾式粉砕した平均粒子径が10〜100nmのプレ顔料に、上記顔料に対して結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕し、顔料の平均粒子径の変化を30nm以下に抑制しながら整粒させ、粒径100nm以上の顔料粒子が全顔料粒子の20重量%以下で、かつ粒径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上である粒度分布を有する有機顔料を得ることを特徴とする、有機顔料の製造方法に関する。
さらに本発明は、平均粒子径が100nmより大きい粗製ε型銅フタロシアニン顔料を、上記顔料に対して結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕することにより、平均粒子径が10〜100nmで、かつ粒径100nm以上の顔料粒子が全顔料粒子の20重量%以下で、かつ粒径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上である粒度分布を有する有機顔料を得ることを特徴とする、有機顔料の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する、粗製ε型銅フタロシアニン顔料としては、市販されている大粒子径のC.I.ピグメントブルー15:6顔料を用いることができる。また特許文献3または特許文献4等に示される公知の方法により合成された大粒子径のC.I.ピグメントブルー15:6顔料を用いることもできる。
【特許文献3】
特開昭53−39325号公報
【特許文献4】
特開昭57−149358号公報
【0011】
本発明において、乾式粉砕する装置については、特に制限はないが、ビーズ等の粉砕メディアを内蔵した通常の乾式磨砕装置、例えばボールミル、アトライター、振動ミルなどの装置を用いることができる。粉砕は粉砕メディア同士の衝突や摩擦を通じて進行する。また、必要に応じて粉砕容器の内部を減圧したり、窒素ガスなどの不活性ガスを充填して行ってもよい。
【0012】
本発明において、使用する有機溶剤としては、フタロシアニン顔料と接触させることで、顔料粒子が結晶成長するものであれば特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテール、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。また必要に応じて2種類以上の溶剤を混合して使用してもよい。
【0013】
本発明において、使用する有機溶剤は、その後の有機顔料の使用に支障がなければ、特に除去する必要ないが、必要であれば、減圧乾燥工程または凍結乾燥工程等の方法により、容易に除去することができる。これらの工程は、追加混合撹拌時に使用した装置をそのまま使用してもよいし、別の装置に移して行ってもよい。
【0014】
本発明においては、2種類以上のフタロシアニン顔料を混合して使用してもよい。また、調色の目的でフタロシアニン顔料以外の顔料を混合して使用してもよい。混合する顔料としては、特に制限はないが、アゾ系、キノフタロン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、ジアントラキノン系、、アントラキノン系、ベンズイミダゾロン系、金属錯体系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系等を挙げることができる。
【0015】
本発明においては、有機溶剤を添加して乾式粉砕する工程前または工程中に、粗製ε型銅フタロシアニン顔料の微細化を促進する目的や、ε型銅フタロシアニン顔料の結晶転位による他の結晶型の銅フタロシアニン顔料の生成を防止する目的で、顔料誘導体を添加してもよい。添加する顔料誘導体としては、特に制限はないが、スルホン酸基を有する銅フタロシアニン、スルホン酸アミド基を有する銅フタロシアニン、フタルイミドメチル基を有する銅フタロシアニンが好ましい。
【0016】
本発明においては、有機溶剤を添加して乾式粉砕する工程前または工程中に、必要に応じて顔料、有機溶剤の他に、樹脂、界面活性剤等を添加してもよい。 使用する樹脂としては、特に制限はないが、ロジン、ロジン誘導体、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ゴム誘導体、タンパク誘導体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレン樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアマイド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキッド樹脂、ゴム系樹脂、セルロース類、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、および上記樹脂のオリゴマー、モノマー類を挙げることができる。
【0017】
本発明における、乾式粉砕装置の運転条件については、特に制限はないが、粉砕メディアによる磨砕と、有機溶剤との接触による結晶成長を、いずれも効果的に進行させるため、以下の条件が特に好ましい。
【0018】
すなわち、装置がアトライターの場合の運転条件は以下の通りである。装置の回転数は、100〜500rpmが好ましく、運転時間は、乾式粉砕および追加混合撹拌の時間を合わせて0.5時間〜8時間が好ましく、装置の内温は、50〜150℃が好ましい。また粉砕メディアは、直径4〜30mmの球形が好ましく、メディアの使用量は、顔料の5〜50倍重量が好ましい。
【0019】
また、装置がボールミルの場合の運転条件は以下の通りである。装置の回転数は50〜200rpmが好ましく、運転時間は乾式粉砕および追加混合撹拌の時間を合わせて1時間〜12時間が好ましく、装置の内温は30〜100℃が好ましい。また粉砕メディアは直径10〜50mmの球形が好ましく、メディアの使用量は顔料の5〜50倍重量が好ましい。
【0020】
本発明における有機溶剤の使用量は、顔料に対して0.5〜50重量%の範囲であり、好ましくは1〜30重量%の範囲である。つまり本発明における、有機溶剤を添加した後の乾式粉砕は、完全に乾式の混合撹拌の状態である。有機溶剤はほとんどは顔料表面に吸着された状態で共存しているが、特に低沸点の有機溶剤を用いた場合は、一部は揮発して気体状で混合撹拌系に共存している。ここで重要なことは、混合撹拌時においても、乾式粉砕による摩砕は継続して起こっている。しかるに共存する有機溶剤の効果により、粒子の結晶成長も同時に進行するため、混合撹拌条件を最適化することにより、摩砕と結晶成長を均衡させ、粒子径を従来の乾式粉砕法では実現し得なかった均一な粒子径に整粒することができる。
【0021】
本発明において、「平均粒子径の変化を30nm以下に抑えながら整粒」という用語は、粒子径のばらつきが大きく粗大粒子や微細粒子を含んでいる顔料を、粒子の形状を揃えて粒子径のばらつきの範囲が小さい顔料にするということを意味し、この時に粒子全体の平均粒子径は30nm以下の範囲内でしか変化しないことを意味する。粒子径のばらつきの範囲としては、粒子径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上であることが好ましく、粒子径30〜80nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の80重量%以上であることが更に好ましい。
【0022】
一般的に銅フタロシアニン顔料に、乾式の状態で粉砕メディアによる磨砕を行うと、α型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:1)が生成し、ε型銅フタロシアニン顔料を高い純度で得ることはできない場合がある。しかしながら本発明においては、乾式粉砕時に共存する有機溶剤が、α型銅フタロシアニン顔料の生成を抑制させる効果を有することから、適切な有機溶剤種を選択し、かつ最適量を共存させることで、微細でかつ均一な粒子径に整粒されたε型銅フタロシアニン顔料を得ることができる。
【0023】
本発明において、請求項1の粗製ε型銅フタロシアニン顔料のみを乾式粉砕したプレ顔料を、有機溶剤共存下に乾式粉砕する方法を行うか、請求項2の粗製ε型銅フタロシアニン顔料と有機溶剤の共存下に乾式粉砕する方法を行うかは、使用する溶剤の種類、粗製ε型銅フタロシアニン顔料の粒子径および粒子形状、最終的に製造したい微細ε型銅フタロシアニン顔料の目標粒子径および粒子形状等を考慮して、適切な方法を選択することができる。
【0024】
本発明の方法により製造された有機顔料は微細化されかつ均一な粒子形状に整粒されている。このため、本発明で得られた有機顔料を、微細な粒子状態を保持したまま均一に感光性樹脂組成物または溶剤中に分散させてカラーフィルタ用顔料分散体組成物とすると、高い明度、鮮明性、透過率および安定した粘度特性を実現することができる。
【0025】
また、本発明の方法により製造された有機顔料を、水性または油性の樹脂および溶剤組成物中に安定分散させてインクジェット用顔料分散体組成物とすると、優れた飛翔安定性と記録物の鮮明性、各種耐性を実現することできる。
【0026】
【実施例】次に本発明を、実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6,BASF社製商品名ヘリオゲンブルーL6700F)70g、径8mmのスチールビーズ2kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数300rpmで80℃、1時間運転(A)、さらにジエチレングリコール 3.5gを乾式アトライター中に仕込み、回転数300rpmで80℃、1時間運転した(B)。実験中、Aの段階、Bの段階での顔料サンプルについて、結晶型の測定および粒子径の測定を行った。結果を表1に示した。
【0027】
[比較例1]
実施例1で使用したε型銅フタロシアニン顔料70g、スチールビーズ2kgを乾式アトライター中に仕込み、回転数300rpmで80℃、1時間運転して粉砕した(C)。このようにして製造した顔料組成物200g、ジエチレングリコール14g、径50mmのアルミナボール3.7kgをボールミル(内容量4.0L)中に仕込み、回転数70rpmで20℃、4時間運転した(D)。C、Dの段階での顔料サンプルについて、結晶型の測定および粒子径の測定を行った。
結果を表1に示した。
【0028】
[比較例2]
実施例1で使用したε型銅フタロシアニン顔料70g、スチールビーズ 2kgを乾式アトライター中に仕込み、回転数300rpmで60℃、2時間運転。1時間運転の段階(E)、2時間運転の段階(F)での顔料サンプルについて、結晶型の測定および粒子径の測定を行った。
結果を表1に示した。
【0029】
実施例および比較例の中で、結晶型の測定は、X線回折測定(CuKα1線)により行った。また粒子径の測定は、X線回折測定(CuKα1線)の半価幅値と透過型顕微鏡による粒子観察で行った。この中で半価幅値は、X線回折測定のブラッグ角2θ=25.9±0.2度の回折ピークにおける数値を用い、数値が大きいほど、粒子径が小さくなっていることを示す。この測定における半価幅値は、Scherrer式、
ε=nλ/βcosθ (式中、λ:X線の波長,β:積分幅,θ:ブラッグ角,n=1)
で算出される粒子径と完全に相関することが確認されている。
【0030】
表1において実施例1の結果を見ると、A段階とB段階の状態は、X線回折測定の半価幅値は同一だが、電子顕微鏡による粒子観察では、粒子径のばらつきの範囲が小さくなっていることが明らかである。つまりA段階からB段階の間で、半価幅値が変化しなかったことは、添加した有機溶剤の効果で単に摩砕が止まったものではなく、摩砕と結晶成長が同時に進行しながら、これらが均衡したことによるものであることがわかる。
【0031】
一方、比較例1の結果を見ると、C段階とD段階の間で、X線回折測定の半価幅値が小さくなり、電子顕微鏡による粒子観察でも、粒子径が大きくなると共に、粒子径のばらつきの範囲も大きくなっていることが明らかである。すなわち有機溶剤共存下の弱い混合撹拌により、摩砕が進行せずに結晶成長のみが起こり、さらに撹拌効率が低いため、有機溶剤との接触による結晶成長が均一に起こらず、粒子径のばらつきが大きくなったことが示唆される。
【0032】
また、比較例2の結果を見ると、有機溶剤を添加しないで乾式粉砕を継続したE段階とF段階の間では、さらに微細化が進行しており、粒子径のばらつきの範囲は変化しないことから、整粒は起こっていないことがわかる。つまり極めて微細で、形状のばらつきが大きく、凝集の強い粒子が生成していることが示唆される。
【0033】
【表1】
Figure 2004244563
【0034】
※上記表において粒子径ばらつきの範囲は、全顔料粒子の80重量%以上の顔料粒子が含まれる粒子径の範囲を示した。
【0035】
[実施例2]
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.ピグメントブルー15:6,BASF社製商品名ヘリオゲンブルーL6700F)70g、キシレン7g、径8mmのスチールビーズ2.3kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数350rpmで60℃、1時間運転した(G)。得られたG段階の顔料サンプルについて、結晶型の測定および粒子径の測定を行った。結果を表2に示した。
【0036】
[実施例3]
公知の方法により、溶媒中、無水フタル酸と尿素と銅塩および反応触媒から合成した粗製ε型銅フタロシアニン顔料60g、イソブタノール3g、径8mmのスチールビーズ2.5kgを乾式アトライター(三井鉱山株式会社MA01D型,タンク容量0.8L)中に仕込み、回転数350rpmで70℃、2時間運転した(H)。得られたH段階の顔料サンプルについて、結晶型の測定および粒子径の測定を行った。結果を表3に示した。
【0037】
【表2】
Figure 2004244563
【0038】
【表3】
Figure 2004244563
【0039】
表2、表3に示すように、実施例2においては、X線回折測定の半価幅値および電子顕微鏡による粒子観察の結果から、有機溶剤存在下での乾式粉砕により、摩砕と結晶成長が同時に進行しながら、これらが均衡したことにより、整粒された顔料が得られていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、乾式粉砕による磨砕と有機溶剤との接触による結晶成長を、適切な条件を選択することにより均衡させて、ソルベントソルトミリング法に匹敵する、顔料粒子の微細化、整粒を実現する、ε型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供することができる。
また本発明は、乾式粉砕法の良好な生産効率および環境に負荷を与える産業廃棄物が発生しない利点を活かしながら、顔料粒子の微細化、整粒を実現する、ε型銅フタロシアニン顔料の製造方法を提供することができる。

Claims (2)

  1. 平均粒子径が100nmより大きい粗製ε型銅フタロシアニン顔料を乾式粉砕した平均粒子径が10〜100nmのプレ顔料に、上記顔料に対して結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕し、顔料の平均粒子径の変化を30nm以下に抑制しながら整粒させ、粒径100nm以上の顔料粒子が全顔料粒子の20重量%以下で、かつ粒径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上である粒度分布を有する有機顔料を得ることを特徴とする、有機顔料の製造方法。
  2. 平均粒子径が100nmより大きい粗製ε型銅フタロシアニン顔料を、上記顔料に対して結晶成長作用を有する有機溶剤を少量添加して乾式粉砕することにより、平均粒子径が10〜100nmで、かつ粒径100nm以上の顔料粒子が全顔料粒子の20重量%以下で、かつ粒径20〜100nmの範囲の顔料粒子が全顔料粒子の60重量%以上である粒度分布を有する有機顔料を得ることを特徴とする、有機顔料の製造方法。
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