JP2011213999A - 超易分散顔料分散体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】分散剤を含む分散安定化剤、顔料および水溶性溶剤からなる分散安定化組成ならびに水溶性無機塩を含む混合物を摩砕混練した後、洗浄、脱水して、含水顔料ペーストを得、該含水顔料ペーストをフラッシング処理することを特徴とする超易分散顔料分散体の製造方法。該製造方法では、フラッシング処理において、顔料を水相から油相に転相し、水をデカンテーションして除去した後、更に減圧蒸留をしてもよい。
【選択図】 なし
Description
本発明者らは、既に、特定条件下でソルトミリングすることによる顔料の極めて有効な微細化法を提案しているが(特許文献5)、省力化の点で検討の余地があった。
CR(60)/CR(0)≦1.3 (1)
(式中、CR(60)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を60分間分散処理した後、形成した塗膜のコントラスト比であり、CR(0)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を分散処理せずに、形成した塗膜のコントラスト比である。)
その後、得られる含水顔料ペーストを、乾燥処理を行わずにフラッシング処理する。これにより、驚くべきことに、ソルトミリングにより微細化された状態をほぼ維持し、再分散処理を行うことなく、微細化された顔料が極めて安定に分散された超易分散顔料分散体を所望の用途に応じて容易に得ることが可能となる。
従って、本発明では、先ず顔料分散体の用途を決定すると、その用途で分散安定系を形成するのに適した顔料、および、分散剤を含む分散安定化剤の組合せを特定の手段を用いて決定し、当該組合せを顔料のソルトミリングによる微細化時から採用する。当該組合せを採用することにより、ミリングに適した任意の溶媒を用いても、微細顔料粒子形成時から顔料粒子表面への保護効果が働き、微細化した顔料同士の接触が妨げられる、即ち、微細化した顔料同士の凝集を妨げることが可能となる。また、所望の顔料分散体調製に至るまで、顔料粒子表面に分散安定化剤が保持されることから、最終的に調製される顔料分散体においても微細化された顔料が極めて安定に分散されたものとなる。
顔料が再凝集することがないか、再凝集が殆ど起きない状態を形成しているか否かを判断する指標としては、再凝集すれば顔料分散体の粘度が上昇することに着目し、ニュートニアン流動の指標であるチキソトロピックス・インデックス(TI値)を用いて、顔料分散体が分散安定系を形成した状態にあるか否かを評価する。具体的評価基準は、以下のとおりである。
即ち、顔料分散体について、剪断速度が10[1/sec]および100[1/sec]の時の粘度をレオメーターを用いて測定し、剪断速度が10[1/sec]の時の粘度が100[mPa・s]以下で、TI値=(10[1/sec]の時の粘度)/(100[1/sec]の時の粘度)が1.5以下、より好ましくは1.2以下である場合に、顔料分散体が分散安定系を形成した状態にあることとする。また、ここでいう顔料分散体とは、通常、最終的に得られる顔料分散体を意味するが、本発明では、前記した「分散安定化剤」、顔料、溶剤とを含む顔料分散体が、「分散安定系」を形成し得るか否かを評価する指標として用いる。なお、前記溶剤としては、最終的に得られる分散体において使用する溶剤を用い、顔料濃度(顔料誘導体を用いる場合は、顔料誘導体が含まれる。)を最終的に得られる分散体と同一濃度として測定する。
本発明では、ソルトミリング法を用いて顔料を微細化する。当該方法は、分散剤を含む分散安定化剤、顔料および溶剤からなる分散安定化組成ならびに水溶性無機塩(無機摩砕剤ともいう)を混合し、混練機等を用いて機械的に摩砕混練し(このように摩砕混練された混合物をマグマと称する場合がある。)、顔料を微細化する方法である。
また顔料誘導体は、微細化時に全量用いても良いし、微細化時に一部を使用し、後述する転相工程(フラッシング処理)時に残りの一部を使用しても良い。
前記樹脂としては、特にエポキシ樹脂および(メタ)アクリル樹脂が好適に使用される。汎用性が広く、透明性が高く、またカラーフィルターにした時の諸耐性においても優れているためである。
前記の微細化工程が終了した後、マグマを取り出し、水中に投じて撹拌分散し、ろ過と洗浄を行い、水溶性無機塩および水溶性溶剤を取り除き、含水顔料ペースト(顔料水ペーストという場合がある)を得ることができる。
上記のようにして得られた微細化顔料を含む顔料水ペーストは、そのまま乾燥、粉砕し、さらに分散工程を経て、例えば、カラーフィルター用顔料分散体とすれば、従来のソルベントソルトミリングにより得た微細化顔料より優れた分散性を示し、カラーフィルターとしての性能も向上するが、本発明では、大幅な省力化、易分散化のために、顔料水ペーストを乾燥することなく溶剤転相を行う。これにより、超易分散顔料分散体を調製する製造方法を極めて有効に実施することができる。
また減圧蒸留する前および/または後に、必要により、顔料分散体中に残存している水分をさらに吐き出させるため、混練を行っても良い。
CR(60)/CR(0)≦ 1.3 (1)
(式中、CR(60)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を60分間分散処理した後、形成した塗膜のコントラスト比であり、CR(0)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を分散処理せずに、形成した塗膜のコントラスト比である。)
尚、分散処理、塗膜の調製、コントラスト比の測定は、後述する方法を用いる。
また当該比の値は、基本的に1に近い(分散処理前後で変化が小さい)ほうが良いといえるが、顔料分散体のコントラスト比が、分散処理を行う前より後のほうが低下する場合は、分散力を追加しても分散性は向上しない、即ち、分散処理せずとも既に到達品質に達していることを意味しており、CR(60)/CR(0)の値が1より小さくなる場合は、下限値に限定はない。但し、分散処理後にコントラスト比が低下するものについては分散剤等の分散安定化剤の不足によって顔料粒子の凝集が発生したと考えられ、このような顔料分散体は分散処理前も概して長期保存安定性が不良の傾向にあることから当該比の値は、0.7以上であると好ましい。
<微細化工程>
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15:6(Blue15:6と略称する場合がある。)、DIC(株)製、「FASTOGEN Blue EP−207」)80g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)480g、顔料誘導体(日本ルーブリゾール(株)製、「顔料誘導体系分散剤 ソルスパース5000」)8.88g(全顔料に対して10重量%)、高分子分散剤(味の素ファインテック(株)製、「アジスパーPB821F」)44.5g(全顔料に対して50重量%)、アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製、「バナレジンPSY−C1」)17.8g(固形分換算、全顔料に対して20重量%)、水溶性溶剤としてエチレングリコール(以下、EGと略す。(株)日本触媒製)35gを双腕型混練機(以下、ニーダーという。(株)モリヤマ製、1LニーダーΣ型。)に添加し、ニーダー中の混練物の温度が50℃になるように温度コントロールして8時間摩砕混練した(以下、混練物をマグマという。)。以上により微細化工程が終了した。
微細化後の顔料水ペースト(固形分40.2重量%)42.3g(顔料純分で10gに相当)を、実験用自動乳鉢に投入し、撹拌運転しながら、溶剤PMA8gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、実験用自動乳鉢により1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。次に、更にPMAを加えて顔料濃度が約9重量%になるまで希釈し、60℃の減圧蒸留により残留する水を1.0%以下まで脱水した。この段階で顔料濃度約11重量%の顔料分散体を得た。該顔料分散体にPMAを添加して、顔料濃度10重量%の顔料分散体を得た(当該顔料分散体をCF1−0と称する。)。
次いで、顔料分散体(CF1−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散体を得た。5分間分散後と60分間分散後のものを後述のカラーフィルター評価用の分散体として使用した。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF1−5と、60分間分散後のものをCF1−60と称する。
前記のとおり、本発明の課題の一つとして、大幅な省力分散による製造コストの削減が挙げられるが、本発明の超易分散顔料分散体の分散の容易さを確認するために、溶剤転相を経た顔料分散体にごく僅かな分散力を加えたタイプとしてPCの分散時間が5分間である分散体を作製した(以下、PC5分と称する場合がある)。一方、十分分散エネルギーを加えたタイプ、即ち到達品質確認用としてPCの分散時間が60分間である分散体を作製した(以下、PC60分と称する場合がある)。両者の特性値の開きが小さいほど易分散性であると判断する指標とした。但し、溶剤転相を経た顔料分散体の特性値が、PC分散を行った後と同等あるいは上まわる場合は、分散力を追加しても向上しない、即ち、到達品質に達していることを意味しており、超易分散と判断した。
実施例1において作製した微細化後の顔料水ペーストを用いて溶剤転相を行った。即ち、当該顔料水ペースト(固形分40.2重量%)634g(顔料純分で150gに相当)を、3軸遊星運動方式の縦型混練機(トリミックスTX−2、株式会社井上製作所製)に投入し、撹拌運転しながら溶剤PMA120gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、60℃の減圧蒸留により残留する水を1.0%以下まで脱水した。その後1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。
尚、本実施例の混合組成は実施例1と同じであるため、実施例1におけるPC−B−1と同様に分散安定系が形成されている。
次いで、得られた顔料分散体(CF2−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去してCF評価用分散体2種を得た。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF2−5と、60分間分散後のものをCF2−60と称する。
ε型銅フタロシアニン顔料の微細化工程においてアクリル系樹脂を使用せず、溶剤転相工程においてアクリル系樹脂を使用したことを除き、実施例1と同様にして顔料濃度10重量%の顔料分散体(当該顔料分散体をCF3−0と称する。)を得た。また実施例1と同様にして評価用サンプル、5分間分散後の顔料分散体CF3−5と、60分間分散後の顔料分散体CF3−60を得た。
ε型銅フタロシアニン顔料の微細化工程において、高分子分散剤を使用せず、溶剤転相工程において高分子分散剤を使用したことを除き、実施例1と同様にして顔料濃度10重量%の顔料分散体(当該顔料分散体をCF4−0と称する。)を得た。また実施例1と同様にして評価用サンプル、5分間分散後の顔料分散体CF4−5と、60分間分散後の顔料分散体CF4−60を得た。
ε型銅フタロシアニン顔料の微細化工程において、高分子分散剤およびアクリル系樹脂を使用せず、溶剤転相工程において高分子分散剤およびアクリル系樹脂を使用したことを除き、実施例1と同様にして顔料濃度10重量%の顔料分散体(当該顔料分散体をCF5−0と称する。)を得た。また実施例1と同様にして評価用サンプル、5分間分散後の顔料分散体CF5−5と、60分間分散後の顔料分散体CF5−60を得た。
ε型銅フタロシアニン顔料の微細化工程において、高分子分散剤、顔料誘導体およびアクリル系樹脂を使用せず、溶剤転相工程において高分子分散剤、顔料誘導体およびアクリル系樹脂を使用したことを除き、実施例1と同様にして顔料濃度10重量%の顔料分散体(当該顔料分散体をCF6−0と称する。)を得た。また実施例1と同様にして評価用サンプル、5分間分散後の顔料分散体CF6−5と、60分間分散後の顔料分散体CF6−60を得た。
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I.Pigment Blue15:6(Blue15:6と略称する場合がある。)、DIC(株)製、「FASTOGEN Blue EP−207」)80g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)480g、水溶性溶剤としてEG130gをニーダーに添加し、ニーダー中の混練物の温度が50℃になるように温度コントロールして8時間混練した。以上により微細化工程が終了した。
次いで、得られた前記微細化顔料を2.0g、ソルスパース5000を全顔料に対して10重量%、アジスパーPB821Fを全顔料に対して50重量%、バナレジPSY−C1を全顔料に対して固形分換算で20重量%となるように70mLのガラス製の瓶に入れ、顔料濃度が10重量%となるようにPMAを添加した。このときの顔料分散体をCF7−0とする。
次いで、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散体を得た。5分間分散後と60分間分散後のものを後述のカラーフィルター評価用の分散体として使用した。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF7−5と、60分間分散後のものをCF7−60と称する。
<微細化工程>
赤色顔料(C.I.Pigment Red 254(Red254と略称する場合がある。)、Ciba社製、イルガホア レッド BT−CF)80g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)400g、高分子分散剤(川研ファインケミカル(株)製、「ヒノアクト T−8000」)44.5g(全顔料に対して50重量%)、赤色顔料誘導体(山陽色素(株)製、特開2007−186681号公報記載の誘導体)8.88g(全顔料に対して10重量%)、アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製、「バナレジPSY−C1」)26.7g(固形分換算、全顔料に対して30重量%)、水溶性溶剤としてジエチレングリコール(DEG)((株)日本触媒製)45gをニーダーに添加し、ニーダー中の混練物の温度が50℃になるように温度コントロールして8時間摩砕混練した。以上により微細化工程が終了した。
これらの確認方法等は後述のとおりである。
微細化後の顔料水ペースト(固形分45.5重量%)39.7g(顔料純分で10gに相当)を、実験用自動乳鉢に投入し、撹拌運転しながら溶剤PMA8gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、実験用自動乳鉢により1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。
次いで、得られた顔料分散体(CF8−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去してCF評価用分散体2種を得た。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF8−5と、60分間分散後のものをCF8−60と称する。
実施例4において作製した微細化後の顔料水ペーストを用いて溶剤転相を行った。即ち、当該顔料水ペースト(固形分45.5重量%)79.4g(顔料純分で20gに相当)を、双腕型混練機(ラボプラストミル4C150。株式会社東洋精機製作所製)に投入し、撹拌運転しながら溶剤PMA16gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。
尚、本実施例の混合組成は実施例4と同じであるため、実施例4におけるPC−R−1と同様に分散安定系が形成されている。
次いで、得られた顔料分散体(CF9−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去してCF評価用分散体2種を得た。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF9−5と、60分間分散後のものをCF9−60と称する。
実施例4において作製した微細化後の顔料水ペーストを用いて溶剤転相を行った。即ち、当該顔料水ペースト(固形分45.5重量%)595.5g(顔料純分で150gに相当)を、3軸遊星運動方式の縦型混練機(トリミックスTX−2、株式会社井上製作所製)に投入し、撹拌運転しながら溶剤PMA110gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、60℃の減圧蒸留により残留する水を1.0%以下まで脱水した。その後1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。
尚、本実施例の混合組成は実施例4と同じであるため、実施例4におけるPC−R−1と同様に分散安定系が形成されている。
次いで、得られた顔料分散体(CF10−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去してCF評価用分散体2種を得た。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF10−5と、60分間分散後のものをCF10−60と称する。
赤色顔料の微細化工程において、赤色顔料誘導体及びアクリル系樹脂を使用せず、溶剤転相工程中に赤色顔料誘導体及びアクリル系樹脂を使用したことを除き、実施例3と同様にして顔料濃度10重量%の顔料分散体を得た(当顔料分散体をCF11−0と称する)。さらに実施例3と同様にして、評価用サンプル、5分間分散後の顔料分散体CF11−5と、60分間分散後の顔料分散体CF11−60を得た。
<微細化工程>
赤色顔料(C.I.Pigment Red 254、Ciba社製、イルガホア レッド BT−CF)80g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)400g、水溶性溶剤としてジエチレングリコール(DEG)((株)日本触媒製)120gをニーダーに添加し、混練物の温度が50℃になるように温度コントロールして8時間摩砕混練した。以上により微細化工程が終了した。
70mLのガラス製の瓶に得られた微細化顔料2.0gを秤量し、さらに、ヒノアクトT−8000を全顔料に対して顔料50重量%、バナレジンPSY−C1を固形分換算で全顔料に対して顔料20重量%、赤色顔料誘導体(山陽色素(株)製、特開2007−186681号公報記載の誘導体)を全顔料に対して10重量%となるように添加し、顔料濃度が全組成物に対して10重量%になるようにPMAを加えた。このときの顔料分散体をCF12−0とする。
<微細化工程>
黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 150(Yellow150と略称する場合がある。)、LANXESS製、イエローE4GN−GT)90g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)540g、高分子分散剤(川研ファインケミカル(株)製、「ヒノアクトT−8000」)45g(全顔料に対して50重量%)、黄色顔料誘導体(山陽色素(株)製、特願2007−305680に記載の誘導体)10g(全顔料に対して10重量%)、アクリル系樹脂(新中村化学工業(株)製、「バナレジンPSY−C1」)13.5g(固形分換算、全顔料に対して15重量%)、水溶性溶剤としてEG139gを1Lニーダーに添加し、ニーダー中の混練物の温度が60℃になるように温度コントロールして3時間摩砕混練した。以上により微細化工程が終了した。
微細化後の顔料水ペースト(固形分45.0重量%)36.6g(顔料純分で10gに相当)を、実験用自動乳鉢に投入し、撹拌運転しながら溶剤PMA8gを加えて10分間混練した。その後、デカンテーションにより分離水を取り除いた後、実験用自動乳鉢により1時間混練し、PMAを主体に多く含む微細化顔料のペーストを得た。
次いで、得られた顔料分散体(CF13−0)20g(顔料純分で2.0gに相当)を秤量し、70mLのガラス製の瓶に入れ、0.5mmφのジルコニアビーズ80gを加えてPCで所定時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去してCF評価用分散体2種を得た。尚、5分間分散後の顔料分散体をCF13−5と、60分間分散後のものをCF13−60と称する。
<微細化工程>
黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 150、LANXESS製、イエローE4GN−GT)90g、中性無水芒硝(平均粒径約5μm、三田尻化学工業(株)製)540g、水溶性溶剤としてエチレングリコール(EG)((株)日本触媒製)139gを1Lニーダーに添加し、混練物の温度が60℃になるように温度コントロールして3時間摩砕混練した。以上により微細化工程が終了した。
70mLのガラス製の瓶に得られた微細化顔料2.0gを秤量し、さらに、ヒノアクトT−8000を固形分換算で全顔料に対して50重量%、黄色顔料誘導体(山陽色素(株)製、特願2007−305680記載の誘導体)を全顔料に対して10重量%、バナレジンPSY−C1を固形分換算で全顔料に対して15重量%になるよう添加し、顔料濃度が全組成物に対して10重量%になるようにPMAを加えた。このときの顔料分散体をCF14−0とする。
<分散安定系確認用分散体の調製>
≪Blue15:6の分散安定化組成確認用分散体の調製≫
[PC−B−1の調製]
35mLのガラス製の瓶に、FASTOGEN Blue EP−207を0.9g、ソルスパース5000を0.1g(全顔料に対して10重量%)、アジスパーPB821Fを0.5g(全顔料に対して50重量%)、バナレジンPSY−C1を0.2g(固形分換算、全顔料に対して20重量%)、溶剤としてPMAを8.5g、組成中の顔料分が10重量%となるように加えた。0.5mmφのジルコニアビーズ40gを加えてPCで60分間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して分散安定化組成確認用分散体であるPC−B−1を得た。尚、前記顔料分には、FASTOGEN Blue EP−207とソルスパース5000が含まれる。
バナレジンPSY−C1を未添加としたことを除き、PC−B−1の調製と同様にして、PC−B−2を調製した。
アジスパーPB821Fを未添加としたことを除き、PC−B−1の調製と同様にして、PC−B−3を調製した。
バナレジンPSY−C1およびアジスパーPB821Fを未添加としたことを除き、PC−B−1の調製と同様にして、PC−B−4を調製した。
ソルスパース5000、バナレジンPSY−C1およびアジスパーPB821Fを未添加としたことを除き、PC−B−1の調製と同様にして、PC−B−5およびPC−B−6を調製した。
[PC−R−1の調製]
35mLのガラス製の瓶に、イルガホア レッド BT−CFを0.9g、赤色顔料誘導体を0.1g(全顔料に対して10重量%)、ヒノアクトT−8000を0.5g(全顔料に対して50重量%)、バナレジンPSY−C1を0.30g(固形分換算、全顔料に対して30重量%)、溶剤としてPMAを8.2g添加し、組成中の顔料分を10重量%とした。さらに、0.5mmφのジルコニアビーズ40gを加えてPCで60分間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して分散安定組成確認用分散体であるPC−R−1を得た。尚、前記顔料分には、イルガホア レッド BT−CFと赤色顔料誘導体が含まれる。
赤色顔料誘導体およびバナレジンPSY−C1を未添加としたことを除き、PC−R−1の調製と同様にして、PC−R−2を得た。
赤色顔料誘導体、ヒノアクトT−8000及びバナレジンPSY−C1を未添加としたことを除き、PC−R−1の調製と同様にして、PC−R−3を得た。
[PC−Y−1の調製]
35mLのガラス製の瓶に、イエローE4GN−GTを0.9g、黄色顔料誘導体を0.1g(全顔料に対して10重量%)、ヒノアクトT−8000を0.5g(全顔料に対して50重量%)、バナレジンPSY−C1を0.15g(固形分換算、全顔料に対して15重量%)、溶剤としてPMAを8.35g添加し、組成中の顔料分を10重量%とした。さらに、0.5mmφのジルコニアビーズ40gを加えてPCで60分間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して分散安定組成確認用分散体であるPC−Y−1を得た。尚、前記顔料分には、イエローE4GN−GTと黄色顔料誘導体が含まれる。
黄色顔料誘導体、ヒノアクトT−8000およびバナレジンPSY−C1を未添加としたことを除き、PC−Y−1の調製と同様にして、PC−Y−2を得た。
得られた各分散安定化組成確認用分散体について、剪断速度が10[1/s]の時の粘度と100[1/s]の時の粘度を粘弾性測定装置(アントンパール社製、Physica MCR−301)を用いて測定し、さらにTI値を算出した。
粘度の測定結果およびTI値の算出結果を表1に示す。
<分散液物性の測定、およびコントラスト評価用カラーフィルターの作製>
実施例1〜8および比較例1〜6で得られた顔料分散体について、コントラスト比測定のために各分散体を用いてスピンコート液(以下、SPC液という。)を調製した。SPC液中の顔料以外の固形分が顔料に対して1:1(重量比)になるようにバインダー樹脂(新中村化学(株)製、バナレジンPSY−C1)を加えて調製した。SPC液を厚さ1mm、100mm角のガラス板にスピンコーター(ミカサ(株)製、スピンコーターMS−150A)で回転数3段階に設定して個々に塗布し、エアバス内で90℃、2.5分間乾燥させた(プリベイク工程)。このようにして、各試料につき、3枚のガラス塗板を作製した。
続いてプリベイク工程後の3枚のガラス塗板を分光測色計(コニカミノルタセンシング(株)製、分光測色計 CM−3700d)で測色した。
次に、ガラス塗板の輝度を色彩輝度計(コニカミノルタセンシング(株)製、LS−100)で測定した。バックライト上に偏光板を設置し、偏光板とガラス塗板の間隔が1mmになるように設置した。バックライトの輝度が十分安定したことを確認した後、ガラス塗板の輝度を測定した。偏光板をクロスニコルの位置に調節して輝度を測定し、次いで90°回転させ、パラレルの位置で輝度を測定した。ある色度の位置でYxy色度と各々の輝度を、解析ソフトを用いて解析した。標準品のコントラストの測定値を基準に、評価対象の本発明の顔料分散体を用いて作製したCFのコントラストの相対比を求め比較した。その結果を表2に示す。尚、実施例1〜3並びに比較例1〜4では、CF7−60を標準品とし、実施例4〜7ならびに比較例5では、CF12−60を標準品とし、実施例8および比較例6ではCF14−60を標準品とした。これら標準品が従来の製造方法による顔料分散体である。
実施例および比較例の60分間PC分散を行った顔料分散体(例えばCF1−60)およびPC分散を行わなかった顔料分散体(例えばCF1−0)について上記のようにしてコントラストを測定し、60分間PC分散を行った顔料分散体のコントラスト比をCR(60)とし、PC分散を行わなかった顔料分散体のコントラスト比をCR(0)としたときのCR(60)とCR(0)の比を算出し、易分散性の指標とした。即ち、易分散性指標値をaとし、a=CR(60)/CR(0)とした場合に、a≦1.3を満たすものを超易分散とする。算出結果を表2に示す。
これに対して、本発明においては、最終的に得られる顔料分散体を分散性良好になしうる分散安定化剤を微細化工程時に添加して、フラッシング処理することで得られた分散体は、追加のビーズ分散が不要で標準品以上の高度な分散(超易分散)状態を有し、カラーフィルターとして優れた性能を示すことが分かる。また標準品作製方法に比べて、乾燥・粉砕工程及びビーズミル分散工程を省略し得ることから省力製造が可能になることが分かる。
従って、本発明は、溶剤系分散体を用いて得られる顔料分散体に広く使用可能であり、カラーフィルターだけでなく、インクジェットインク、カラートナー、その他特に優れた光透過性を必要としたり、高着色力を求められる分野など、安定して分散した微細化顔料が要請される用途に極めて有用である。
Claims (10)
- 分散剤を含む分散安定化剤、顔料および水溶性溶剤からなる分散安定化組成ならびに水溶性無機塩を含む混合物を摩砕混練した後、洗浄、脱水して、含水顔料ペーストを得、該含水顔料ペーストをフラッシング処理することを特徴とする超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記分散安定化剤が、顔料誘導体および/または樹脂をさらに含む請求項1記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記顔料が、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、および縮合多環系顔料から選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記縮合多環系顔料が、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、金属錯体顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料から選択される少なくとも一種である請求項3記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記水溶性無機塩が、芒硝または食塩である請求項1〜4のいずれかに記載の超易分顔料分散体の製造方法。
- 前記含水顔料ペーストの顔料濃度が10〜70重量%である請求項1〜5のいずれかに記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記フラッシング処理において、顔料を水相から油相に転相し、水をデカンテーショして除去した後、更に減圧蒸留する請求項1〜6のいずれかに記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記減圧蒸留により顔料分散体中の残留水分を1.0重量%以下にする請求項7記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 前記超易分散顔料分散体がカラーフィルター用である請求項1〜8のいずれかに記載の超易分散顔料分散体の製造方法。
- 分散剤を含む分散安定化剤、顔料および溶剤からなる分散安定化組成を含み、下式(1)を満たす超易分散顔料分散体。
CR(60)/CR(0)≦1.3 (1)
(式中、CR(60)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を60分間分散処理した後、形成した塗膜のコントラスト比であり、CR(0)は、前記分散安定化組成を含む顔料分散体を分散処理せずに、形成した塗膜のコントラスト比である。)
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