JP5114905B2 - 顔料、顔料組成物及び顔料分散体 - Google Patents

顔料、顔料組成物及び顔料分散体 Download PDF

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本発明は、顔料、顔料添加剤、それを含有する顔料組成物及び顔料分散体に関する。更に詳しくはインキ、塗料の調製に対して有効な顔料分散剤、及びそれを含有する顔料組成物、この顔料組成物を分散した顔料分散体に関する。
有機顔料の中でも縮合多環系顔料と呼ばれる一群の顔料は、耐熱性、耐光性、耐溶剤性等の諸耐性に優れていることから高級顔料とも呼ばれ、これまでに種々の顔料が開発されている。こうした中で、比較的早期に開発された代表的な顔料としてアントラキノン、ペリレン、ペリノン等が知られている。次いでジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン等が開発され、近年ではキノフタロン、ジケトピロロピロール、メチン系顔料等の開発が行われてきた。
これらの顔料のうちで、イソインドリノン及びキノフタロンは特に黄色ないし橙色系の顔料として開発されたものであり、イソインドリノン系顔料は、Journal of Chemical Society誌 1941年 625頁に見られる様に1941年に最初の報告例がある。その後、英国特許833548号公報等に見られる様に1960年代に顔料として使用される様になった。特に耐候性、耐溶剤性及び耐熱性において優れていることから、樹脂、繊維の着色、塗料等に幅広く使用されている。更に、近年では重金属系無機顔料の代替としての需要も多い。キノフタロンはキナルジンと無水フタル酸との縮合により合成される鮮明な黄色化合物である。この化合物は顔料適性として、特に耐光性と耐溶剤性を向上させる為の研究が行われ、例えば特公昭47−3476号公報に見られる様に1970年代から顔料として使用される様になった。
一般に、顔料に要求される性質としては、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐マイグレーション性等の耐久性及び分散性、流動性等の使用適性が挙げられる。これらの要求特性のうち色彩的特性及び耐久性は顔料の品質に直接影響する性質であり、特に重要である。また、顔料をプラスチック着色剤として用いる場合には、殆どの場合200℃以上の温度での溶融状態を経由し、この時に顔料が、顔料分散剤として用いられる金属塩と相互作用することにより色相変化を示すことがある。従って顔料に対してはこの様な観点からの耐熱性も要求される。これまでに述べた縮合多環系の高級顔料に関しても、以上述べた要求特性の何れも満足する顔料は非常に限られているのが現状であり、より優れた性質を有する新規顔料の出現が期待されている。
各種インキ組成物、塗料中において用いられている顔料の着色力、鮮明性は顔料粒子の性状と密接な関係にある。通常、顔料粒子は一次粒子の凝集体を形成しており、一次粒子が微細であるほど顔料の着色力は高くなり、かつ鮮明性も高くなることが知られている。従って、顔料の着色力、鮮明性を向上させるには一次粒子の凝集状態をより微細な粒子状態にする必要がある。一方、顔料粒子は微細化するに従い粒子間での凝集が起こり易くなる。この為、顔料粒子を微細化した状態でビヒクル中に安定に分散させる必要がある。各種印刷インキや塗料は、固体である顔料粉末を液体であるビヒクル中に微細かつ安定に懸濁させたものである。その分散プロセスは本質的に、濡れ、微細化、安定化という三段階の過程を含むものである。しかしながら、実際の分散系では各過程が並行して起こっており、これらの過程を厳密に分けることは困難である場合が多い。
顔料粒子と分散過程に関しては上記のことが知られているが、顔料の微細な粒子を非水性ビヒクル中に懸濁させて安定な分散体を調製することは困難であることが多い。従って、顔料の非水性ビヒクルへの分散安定性の良否は、オフセットインキ、グラビアインキなどの印刷インキや塗料などの製造過程及び製品の品質に対して重大な影響を及ぼし、場合により種々の問題を引き起こすことが知られている。
顔料の微細粒子を含む分散体は往々にして結晶化により顔料の凝集を示し、その結果、ヘイズ値が大きくなり顔料本来の鮮やかさを失ってしまう。また、異なった化学構造の顔料を混合状態で使用する場合には、顔料粒子の凝集に起因する色分かれと呼ばれる現象や沈降を生じ、展色塗膜の表面における光沢低下やレベリング不良等の状態不良を引き起こすことがある。更に、インキ及び塗料における顔料の分散安定性が低い場合には、顔料粒子の非水性ビヒクル中におけるエネルギー的不安定性により、顔料結晶の状態変化が起こることがある。すなわち、顔料結晶がその集合状態を変化させてより安定な状態へ移行することにより、色相の変化、着色力及び鮮明性の低下、凝集粒子の生成等の現象が引き起こされる為に製品の質が変化し、商品価値を著しく損なうことがある。
以上のように、顔料を分散状態で使用する分野では分散に伴う種々の問題の発生が想定され、この為に様々な種類の添加剤が開発されている。このような添加剤としては、分散させる顔料の骨格あるいはそれに類似の化学構造を有する誘導体の使用が効果的であることが知られている。これまでに、顔料構造と類似な骨格を持つ極性部位を持たない誘導体、酸性基あるいは塩基性基等の特定の官能基を顔料骨格に導入した顔料誘導体、これらの官能基をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等に導入した樹脂型顔料分散剤、樹脂の一部に顔料骨格を導入した樹脂型顔料誘導体などが開発されている。これらの分散剤及び添加剤は単独あるいは併用として用いられており、何れの使用法によっても効果が発現する。
顔料としての骨格に酸性基を導入した誘導体としては、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アゾ顔料、アントラキノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、イソインドリノン顔料等に酸性基であるスルホン酸基、カルボキシル基を導入した構造の誘導体が開示されている。これらの顔料誘導体は、分散剤、結晶成長抑制剤あるいは防止剤として広く用いられている。更に、このような技術は近年においては、カラーフィルター用のインキとしても広範囲に展開されている。
上記の顔料誘導体の例としては、特開平8−3122号では顔料骨格に酸性基の導入された誘導体が開示され、酸性基の例としてスルホン酸基、テレフタル酸モノアミドメチル基が挙げられている。特表2004−501911号ではスルホン酸基、カルボキシル基を導入した種々のキノフタロン誘導体が開示されている。特開2002−179979号では黄色顔料のPY138のスルホン化誘導体、特開2004−67715号ではPY138、極性基を有するキノフタロン誘導体に塩基性基を導入した誘導体及びスルホン化誘導体が開示されている。特開2004−292785号ではキノフタロン系顔料のスルホン酸二価金属塩が開示されている。また、特開2001−335711号ではアルキルアミノ基あるいは含窒素複素環基を含む塩基性のキノフタロン誘導体が開示され、特開2002−121418号では無置換及び置換アミノ基で置換された広範囲のキノリン誘導体が開示されている。特開2002−121457号では置換基の末端がカルボキシル基、エステル基、水酸基、メルカプト基、スルホン酸基、無置換及び置換アミノ基で置換された種々のキノフタロン誘導体が開示されている。
英国特許833548号公報 特公昭47−3476号公報 特開平8−3122号公報 特表2004−501911号公報 特開2002−179979号公報 特開2004−67715号公報 特開2004−292785号公報 特開2001−335711号公報 特開2002−121418号公報 特開2002−121457号公報 Journal of Chemical Society誌 1941年 625頁
本発明が解決しようとする課題は、着色力、鮮明性、色相等の色彩的特性、耐光性、耐熱性当に優れた原料を提供することである。さらに、インキ、塗料などの調製時における顔料分散及び長期保存に有効な顔料添加剤、それを含有する顔料組成物を提供することにある。更に、顔料分散時の凝集を改善し、経時安定性が良好であるという諸特性を有する顔料添加剤を提供することにある。本発明者らが鋭意検討した結果、一般式[1]で表される化合物が上記の特性を有していることを見出し本発明に至った。
本発明は、下記一般式[1]で表される化合物からなる顔料に関する。
一般式[1]
Figure 0005114905
[式中、R1からR4、及びR15からR18は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、またはニトロ基を表す。
5からR14は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、またはエチル基を表す。
Aは、下記一般式[2]で示される基である。]
一般式[2]
Figure 0005114905


[式中、B及びDは、互いに独立に、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい単環、またはメチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい縮合多環であり、
Cは、直接結合または二価の有機残基を表す。]
また、本発明は、上記の顔料を含有する顔料組成物に関する。
また、本発明は、上記の顔料とそれ以外の第二顔料を含有する顔料組成物に関する。
また、本発明は、第二顔料が黄色顔料である、上記載の顔料組成物に関する。
また、本発明は、黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、および、C.I.ピグメントイエロー13から選ばれる少なくとも1種の顔料である上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、第二顔料が緑色顔料である、上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、または、C.I.ピグメントグリーン37である、上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、第二顔料が赤色顔料または橙色顔料である、上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、赤色顔料または橙色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントオレンジ71、および、C.I.ピグメントオレンジ73から選ばれる少なくとも1種の顔料である上記顔料組成物に関する。
また、本発明は、上記顔料組成物を分散してなる顔料分散体に関する。
本発明は、Aのユニットに柔軟性(自由度)を持たせて2つのキノフタロン環を連結するというところに特徴がある。たとえば、一般式[2]のユニットでは、Cの部分が直接結合であれば自由回転が可能であり、二価の有機残基であれば自由回転することもでき、同時にフレキシビリティも有している。
本発明により、従来の顔料と比較して、着色力、耐光性、耐熱性に優れた顔料を提供することが可能になる。
さらに、本発明の顔料を添加剤として用いることにより、従来の顔料添加剤と比較して、顔料の微細かつ低粘度分散に対してより高い効果が得られ、透明性、着色力が高く、保存安定性の良好な分散体を調製することが可能となる。また、本発明の顔料分散剤を含有する顔料組成物あるいは顔料分散体を用いることにより高品質で安定性の高いインキ、塗料などの製品を容易に調製することができる。
本発明の化合物は、キノフタロン骨格がフタルイミド基で置換された構造の化合物である。これを用いて各種顔料を分散することにより、諸物性の良好な組成物、分散体を調製することができる。
本発明の一般式[1]で表される化合物において、R1からR4、R15からR18は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基を表す。R5からR14は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等がある。
また、メチル基、エチル基はそれぞれハロゲン原子によって置換されていてもよい。
ハロゲン原子によって置換されていてもよいメチル基としては、メチル基、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジヨードメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ジクロロフルオロメチル基、ブロモフルオロメチル基、ブロモジフルオロメチル基、フルオロヨードメチル基、ジフルオロヨードメチル基、ブロモクロロメチル基、ブロモジクロロメチル基等がある。
ハロゲン原子によって置換されていてもよいエチル基としては、エチル基、1−フルオロエチル基、1−クロロロエチル基、1−ブロモエチル基、1−ヨードエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、2−ブロモ−1,1−ジフルオロエチル基、2−クロロ−1,1−ジフルオロエチル基、1,1−ジフルオロ−2−ヨードエチル基、1−ブロモ−2,2,2−トリフルオロエチル基、1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,1−ジクロロエチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,2−ジヨードエチル基、1−ブロモ−2−ヨードエチル基、1−クロロ−2−ヨードエチル基、1,1−ジクロロ−2−ヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等がある。
メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基に含まれる、メチル基、エチル基は、先に説明したものと同様に、ハロゲン原子によって置換されていてもよい。
B及びDにおけるメチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい単環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、シクロヘプタン環等がある。
B及びDにおけるメチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい縮合多環としては、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、コロネン環、カルバゾール環、インドール環、テトラヒドロカルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ジヒドロベンゾチオフェン環、テトラヒドロベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ジヒドロベンゾフラン環、テトラヒドロベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、キサンテン環、チオキサンテン環、ジベンゾフラン環、フェナントレン環、アントラキノン環、ジベンゾシクロヘキサン環、キナクリドン環等がある。
単環及び縮合多環が有してもよい置換基は、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基である
Cにおける二価の有機残基としては、下記に示すようなものがある。
Figure 0005114905



式中、l、m、nはそれぞれ1から6の整数を示す。
また、これらの有機残基は置換基を有していてもよく、それらは、先に説明したものと同じメチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、ニトロ基である。
本発明におけるAのユニットは、末端にある2つのキノフタロン環を柔軟性(自由度)を持たせて連結するというところに特徴がある。たとえば、一般式[2]のユニットでは、Cの部分が直接結合であれば自由回転が可能であり、二価の有機残基であれば自由回転することもでき、同時にフレキシビリティも有している。
本発明の化合物の代表例を以下に具体的に例示するが、本発明は以下の代表例に限定されるものではない。
Figure 0005114905



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本発明において、一般式[1]で表される化合物には、以下に示すような互変異性体が存在する。本発明では、これらの互変異性体も含む。
Figure 0005114905



本発明の顔料組成物は、一般式[1]で表される本発明の顔料及び一般的な顔料(第二顔料)を同時に含有していてもよい。その際、特に、キノフタロン系の顔料と同時に使用する際には、分子中に共通の骨格を持つためか、顔料の結晶成長を抑制する効果も併せ持つ。
このような効果を示す化合物を顔料分散剤と呼ぶこともあり、多顔料の微細化、微粒子化に有効な材料となる。
本発明の顔料組成物として使用される第二顔料としては、アゾ系、アンサンスロン系、アンスラピリミジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チオインジゴ系、ピランスロン系、フタロシアニン系、フラバンスロン系、ペリノン系、ペリレン系、ベンズイミダゾロン系などの有機顔料、カーボンブラック、酸化チタン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、弁柄、酸化亜鉛、紺青、群青、などの無機顔料を使用することができる。また、これらの顔料を二種類以上併用してもよい。
本発明の顔料組成物として使用される第二顔料として、好ましくは次に挙げるものである。
黄色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてイエローに分類される顔料のことであり、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられるが、これらの中でもC.I.ピグメントイエロー138がとりわけ好ましい。これらの顔料はそれぞれ単独で使用してよく、二種類以上を併用してもよい。
緑色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてグリーンに分類される顔料のことであり、C.I.グメントグリーン7、10、36、37などが挙げられるが、これらの中でもC.I.ピグメントグリーン7、36が特に好ましい。
赤色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)においてレッドまたはオレンジに分類される顔料のことであり、C.I.ピグメントレッド254、255、264、177、179、207、48:1などが挙げられ、橙色顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ71、73などが挙げられる。
本発明の顔料組成物に使用する顔料は、上記顔料等をそのまま使用してよいが、必要に応じてソルベントソルトミリング、ドライミリング、または、アシッドペースティングなどの方法による顔料粒子の微細化を施した後に使用してもよい。例えば、有機顔料をソルベントソルトミリングにより微細化する場合には、有機顔料、水溶性無機塩及び水溶性溶剤から成る混合物をニーダー等の混練機を用いて強力に混練する。次に、混練した混合物を水中に注入し、各種攪拌機により攪拌してスラリー状態とする。これを濾過することにより無機塩及び溶剤を除去する。以上の工程を経て、微細化された有機顔料を得ることが出来る。この顔料微細化法においては、顔料は単一でも二種類以上の混合物の何れであってもよい。
上記の微細化工程における水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどを使用することができる。これらの無機塩は有機顔料の重量に対して等倍乃至30倍の範囲で用いる。用いる無機塩が少ない場合には十分な微細化が行われず、無機塩が多い場合には無機塩の除去に労力を要し、かつ処理効率の低下により生産性の点で好ましくない。水溶性溶剤としては、安全性の点から、沸点が120乃至250℃の範囲の溶剤を用いることが好ましい。このような性質を有する溶剤の例としては、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
本発明の顔料組成物の調製方法としては、顔料粉末と一般式[1]で表される化合物を混合するのみでも十分な分散効果が得られるが、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ニーダー、ロールミル、アトライター、サンドミルなどの各種粉砕機を用いて機械的に混合する方法、顔料の水あるいは有機溶媒の懸濁液に一般式[1]で表される化合物の溶液あるいは懸濁液を添加する方法、硫酸等の良溶媒に有機顔料及び顔料分散剤を溶解し、この溶液を水等の貧溶媒中に注入して共沈させるなどの方法により、更に高い分散効果を得ることができる。
また、本発明の顔料分散体は、本発明の顔料組成物を分散して成るものである。本発明の顔料分散体は、顔料、本発明の顔料添加剤、顔料分散剤、有機溶剤、樹脂の混合物を各種分散機で分散することにより調製することができる。また、必要に応じては、上記の原料の他に各種添加剤、樹脂型分散剤等を添加した後分散してもよい。調製の際に、顔料と顔料分散剤は、予め混合して得られた顔料組成物として添加してもよく、それぞれ別々に添加した後に分散してもよい。各原料の添加順序、添加方法については特に限定されない。
本発明の顔料分散体を調製するために使用される樹脂の例としては、石油樹脂、カゼイン、背ラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン変性マレイン酸樹脂、ピリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂などが挙げられる。
また、樹脂として感光性樹脂を使用してもよい。感光性樹脂の例としては。水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性官能基を有する高分子に、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基等の反応性置換基を有するアクリル系化合物やけい皮酸を反応させ、アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該高分子に導入した樹脂、あるいはスチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキルアクリレート等の水酸基を有するアクリル系化合物によりハーフエステル化したものなどが挙げられる。
上記の樹脂は、顔料100重量部に対して10〜400重量部の量を用いることができる。
本発明の顔料分散体を調製する為に使用される有機溶剤は特に限定されない。一般的に溶剤として用いられるものは全て使用可能である。例えば、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、石油系溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは混合の何れにおいても使用することができる。
本発明の顔料分散体を調製する為に使用する分散機は特に指定されないが、例えば横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター、マイクロフルイタイザー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機、ペイントコンディショナーなどが挙げられる。通常、各種分散体を調製する際に使用されるあらゆる分散機や混合機を使用することができる。また、各種分散機により分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル、等の練肉混合機による前分散、あるいは2本ロールミル等による固形分散などの処理を施してもよい。また、各種分散機で分散した後、30〜80℃の加温状態にて数時間乃至1週間程度保存する後処理、超音波分散機や衝突型ビーズレス分散機を用いて処理する工程などは、顔料分散体に分散安定性を付与する為には効果的である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例1>
化合物(2)の合成
下記化合物[A]で表される化合物57.6gと、下記化合物[B]で表される化合物31.4g及び安息香酸210.3gを加熱昇温させ、220℃において5時間攪拌した。室温まで冷却し、反応物をメタノール500mLとイオン交換水300mL中にあけた後、50℃で2時間攪拌を行った。析出物をろ過、水洗及び乾燥し、化合物(2)の黄色結晶を68.5g得た。MALDITOF−MSによる質量分析により、化合物(2)の分子量(理論値850.17、実測値850.66)に一致した。
化合物[A]
Figure 0005114905




化合物[B]
Figure 0005114905




<合成例2>
化合物(6)の合成
化合物[B]31.4gの代わりに、下記化合物[C]32.1gを用いた以外は、合成例1と同様にして化合物(6)を55.9g得た。MALDITOF−MSによる質量分析により、化合物(6)の分子量(理論値862.17、実測値862.01)に一致した。
化合物[C]
Figure 0005114905




<合成例3>
化合物(18)の合成
化合物[A]の代わりに、下記化合物[D]で表される化合物85.8gを用いた以外は、合成例1と同様にして化合物(18)を43.6g得た。MALDITOF−MSによる質量分析により、化合物(18)の分子量(理論値1121.86、実測値1121.22)に一致した。
化合物[D]
Figure 0005114905




<合成例4>
化合物(22)の合成
化合物[B]の代わりに、化合物[C]32.2gを用いた以外は、合成例3と同様にして化合物(22)を77.1g得た。MALDITOF−MSによる質量分析により、化合物(22)の分子量(理論値1133.86、実測値1133.51)に一致した。
<合成例5>
化合物(34)の合成
化合物[A]28.9gと、化合物[B]31.0g及び安息香酸372.2gを加熱昇温させ、180℃において10時間撹拌した。室温まで冷却後、さらに化合物[D]42.9gを加え、220℃において8時間撹拌した。室温まで冷却し、反応物をメタノール800mLとイオン交換水400mL中にあけた後、50℃で5時間攪拌を行った。析出物をろ過、水洗及び乾燥し、化合物(34)の結晶を85.9g得た。MALDITOF−MSによる質量分析により、化合物(34)の分子量(理論値986.01、実測値986.55)に一致した。
以下に、今回行った耐光性試験、プラスチック着色試験(耐熱性試験)について説明する。
耐光性試験
顔料0.5部と印刷インキ用ワニス2部とをフーバー・マーラーを用いて、100回転を4回繰り返すことにより練り合わせて調製したインキを用いて白色の紙上に印刷を行った。この印刷紙に対して、スガ試験機紫外線ロングライフフェードメーターFAL−3Cにより192時間光照射を施し、この時の印刷紙の測色値と光照射前の測色値との色差を耐光性の指標とした。
プラスチック着色試験(耐熱性試験)
ポリプロピレン100部、顔料0.1部及び金属石鹸(ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛の等量混合物)0.1部を混合し、押し出し成型機を用いて180℃、200℃、250℃および300℃で加熱し、ポリプロピレン中に顔料が均一に分散した板状着色物を作製した。180℃で作製した板状着色物の測色値と200℃、250℃および300℃で作製した板状着色物の測色値との色差を耐熱性の指標とした。
<実施例1〜24、比較例1〜2>
上記の方法に従い、本発明の顔料を用いて試験を行った結果を表1に示す。また、比較例1及び2では、本発明の顔料の代わりに、PY83及びPY138をそれぞれ用いた。
表1
Figure 0005114905


表1の結果から明らかなように、本発明の顔料を用いることで、耐光性と耐熱性が、比較例の化合物に比べ共に向上していることが分かる。PY138と比較しても、その特性が向上していることより、分子の拡大による顔料の安定化によるものではないかと推測できる。
<実施例25〜実施例48>
黄色処理顔料組成物の調製
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(ビー・エー・エス・エフ社製「パリオトールイエローK0960−HD」)100g、本発明の顔料として表2に示す化合物100g、塩化ナトリウム800g及びジエチレングリコール200gの混合物を、ステンレス製の1ガロン・ニーダー(井上製作所製)を使用し、120℃で2時間混練を施した。次に、この混練物を3リットルの温水中に投入し、70℃で1時間攪拌した。その後、ろ過、水洗を繰り返して行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後に80℃で24時間乾燥し、黄色処理顔料組成物を得た。
<比較例3>
PY138を200g用い、本発明の顔料を用いなかったこと以外は実施例1と同様に黄色処理顔料組成物を得た。
<比較例4>
本発明の顔料の代わりに、下記化合物[E]を用いたこと以外は実施例1と同様に黄色処理顔料組成物を得た。
化合物[E]
Figure 0005114905



実施例25〜48および比較例3、4で得られた顔料組成物のTEM像から、顔料粒子の平均粒径及び粒度分布を求めることができる。この値を、顔料処理直後及び230℃で48時間保管したものとで比較した結果を表2に示す。
表2
Figure 0005114905


表2の結果から明らかなように、本発明による顔料を用いる、230℃で48時間後放置後も、顔料処理直後と平均粒径及び粒度分布は大きく変化しないことがわかる。それに対して、比較例では、部分的な結晶化が促進されたためか、平均粒径が大きくなり、粒径分布も広くなっている。さらに、比較例4においては、結晶が成長したためか、針状に大きく成長した粒子も観察された。
<実施例49〜実施例54>
黄色処理顔料組成物の調製
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(ビー・エー・エス・エフ社製「パリオトールイエローK0960−HD」)200g、本発明の顔料として表3に示す化合物6g、塩化ナトリウム800g及びジエチレングリコール200gの混合物を、ステンレス製の1ガロン・ニーダー(井上製作所製)を使用し、120℃で2時間混練を施した。次に、この混練物を3リットルの温水中に投入し、70℃で1時間攪拌した。その後、ろ過、水洗を繰り返して行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後に80℃で24時間乾燥し、黄色処理顔料組成物を得た。
<比較例5>
本発明の顔料の代わりに、PY83を用いたこと以外は実施例49と同様に黄色処理顔料組成物を得た。
<実施例55〜60>
緑色処理顔料組成物の調製
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメントグリーン36(東洋インキ製造株式会社製「リオノールグリーン6YK」)200g、本発明の顔料として表3に示す化合物6g、塩化ナトリウム800g及びジエチレングリコール200gの混合物を、ステンレス製の1ガロンニーダー(井上製作所製)を使用し、120℃で4時間混練を施した。次に、この混練物を3リットルの温水中に投入し、70℃で1時間攪拌した。その後、ろ過、水洗を繰り返して行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後に80℃で24時間乾燥し、緑色処理顔料組成物を得た。
<比較例6>
本発明の顔料の代わりに、PY83を用いたこと以外は実施例55と同様に緑色処理顔料組成物を得た。
<比較例7>
本発明の顔料の代わりに、PY138を用いたこと以外は実施例55と同様に緑色処理顔料組成物を得た。
<実施例61〜66>赤色処理顔料組成物の調製
ジケトピロロピロール系赤色顔料C.I.ピグメントレッド254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)200g、本発明の顔料として表3に示す化合物6g、塩化ナトリウム800g及びジエチレングリコール200gの混合物を、ステンレス製の1ガロン・ニーダー(井上製作所製)を使用し、90℃で5時間混練を施した。次に、この混練物を3リットルの温水中に投入し、70℃で1時間攪拌した。その後、ろ過、水洗を繰り返して行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後に80℃で24時間乾燥し、緑色処理顔料組成物を得た。
<比較例8>
本発明の顔料の代わりに、PY83を用いたこと以外は実施例61と同様に赤色処理顔料組成物を得た。
<比較例9>
本発明の顔料の代わりに、PY138を用いたこと以外は実施例61と同様に赤色処理顔料組成物を得た。
実施例49〜66及び比較例5〜9で用いた顔料の組み合わせを表3に示す。
表3
Figure 0005114905


アクリル樹脂溶液の調製
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、攪拌装置を取り付けた四つ口フラスコ中にシクロヘキサノン800gを添加し、窒素雰囲気下、100℃に加熱した。この温度において、メチルメタクリレート125g、ブチルメタクリレート125g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル10gの混合物を約1時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、更に5時間攪拌を続け、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル2gをシクロヘキサノン50gに溶解させた溶液を添加し、更に80℃で1時間反応を続け、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
<実施例67〜84及び比較例10〜14>
前記の処理顔料組成物10g、ソルスパース24000SC(アビシア株式会社製)1g、ソルスパース22000(アビシア株式会社製)0.2g、前記のアクリル樹脂溶液26.0g及び溶剤としてシクロヘキサノン42.8gを配合し、直径1.25mmのジルコニア・ビーズ150gとともに140mlのねじ口瓶中に入れ、ペイントコンディショナーで15時間分散することにより顔料分散体を得た。
この様にして得られた顔料分散体をスピンコートにて、ガラス基板上に薄膜を形成した。80℃で24時間放置後のヘイズ値を表4に示す。
表4
Figure 0005114905


本発明による顔料を用いる場合と、用いない場合とを比較して、ヘイズ値が大きく減少していることがわかる。比較例のものは、実施例に比べ軒並み高いヘイズ値を示している。表2の結果から考察すると、結晶成長などによる粒径の不均一性などが原因となり、光の散乱が大きくなったため、ヘイズ値が高くなったのではないかと考察できる。また、この検討においては、本発明の顔料の添加量は3%であり、汎用顔料に対しての、分散時における分散剤としても機能していることが分かる。
<実施例85〜実施例89>
表5に示す重量のキノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(ビー・エー・エス・エフ社製「パリオトールイエローK0960−HD」)と化合物(3)とを、塩化ナトリウム900g及びジエチレングリコール200gの混合物を、ステンレス製の1ガロン・ニーダー(井上製作所製)を使用し、130℃で4時間混練を施した。次に、この混練物を3リットルの温水中に投入し、70℃で5時間攪拌した。その後、ろ過、水洗を繰り返して行い、塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除去した後に80℃で24時間乾燥し、黄色処理顔料組成物を得た。
表5
Figure 0005114905



<実施例90〜実施例92>
実施例86〜実施例88の処理顔料組成物10g、ソルスパース24000SC(アビシア株式会社製)1g、ソルスパース22000(アビシア株式会社製)0.2g、前記のアクリル樹脂溶液26.0g及び溶剤としてシクロヘキサノン42.8gを配合し、直径1.25mmのジルコニア・ビーズ150gとともに140mlのねじ口瓶中に入れ、ペイントコンディショナーで15時間分散することにより顔料分散体を得た。
<比較例15>
処理顔料組成物として、実施例85の処理顔料組成物10gを用いたほかは、実施例90と同様に顔料分散体を得た。
<比較例16>
処理顔料組成物として、実施例85の処理顔料組成物5gと実施例89の処理顔料組成物5gとの混合物を用いたほかは、実施例90と同様に顔料分散体を得た。
この様にして得られた顔料分散体をスピンコートにて、ガラス基板上に薄膜を形成した。80℃で24時間放置後のヘイズ値を表6に示す。
表6
Figure 0005114905


比較例15と実施例90から実施例92を比較すると、本発明の化合物を少量でも用いることにより、ヘイズ値は大きく改善されることが分かる。また、実施例92と比較例16を比較すると、顔料分散体中のそれぞれの顔料成分は同量であるにもかかわらず、実施例のほうが明らかにヘイズ値が低くなっている。これは、本発明の化合物の結晶成長抑制作用が顕著に現れたと考察することが出来る。
本発明の顔料、顔料組成物及び顔料分散体を用いることにより、非集合性、非結晶性で、経時での粘度安定性の良好なインキ、塗料などの製品を容易に得ることができる。本発明の顔料、顔料組成物及び顔料分散体は、グラビアインキ、自動車、木材及び金属用の一般塗料、磁気テープのバックコート塗料、ラジエーションキュア型インキ、インクジェットプリンター用インキ、カラーフィルター用インキなどの用途に適用できる。

Claims (10)

  1. 下記一般式[1]で表される化合物からなる顔料。
    一般式[1]
    Figure 0005114905


    [式中、R1からR4、及びR15からR18は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、またはニトロ基を表す。
    5からR14は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、または、エチル基を表す。
    Aは、下記一般式[2]で示される基である。]
    一般式[2]
    Figure 0005114905


    [式中、B及びDは、互いに独立に、メチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい単環、またはメチル基、エチル基、メチルチオ基、エチルチオ基、メトキシ基、エトキシ基、または、ニトロ基である置換基を有してもよい縮合多環であり、
    Cは、直接結合、または二価の有機残基を表す。]
  2. 請求項1記載の顔料を含有する顔料組成物。
  3. 請求項1記載の顔料とそれ以外の第二顔料を含有する顔料組成物。
  4. 第二顔料が黄色顔料である、請求項3記載の顔料組成物。
  5. 黄色顔料が、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、および、C.I.ピグメントイエロー13から選ばれる少なくとも1種の顔料である請求項4記載の顔料組成物。
  6. 第二顔料が緑色顔料である、請求項3〜5いずれか記載の顔料組成物。
  7. 緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、または、C.I.ピグメントグリーン37である、請求項6記載の顔料組成物。
  8. 第二顔料が赤色顔料または橙色顔料である、請求項3〜5のいずれか記載の顔料組成物。
  9. 赤色顔料または橙色顔料が、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントオレンジ71、および、C.I.ピグメントオレンジ73から選ばれる少なくとも1種の顔料である請求項8に記載の顔料組成物。
  10. 請求項2〜9いずれか記載の顔料組成物を分散してなる顔料分散体。
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