JP3580970B2 - 顆粒状顔料の製造方法および着色組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は易分散性、ダストレス性等取扱いやすさに優れた、水を含む顆粒状顔料の製造方法、ならびにこれから得られる着色組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機顔料または無機顔料は乾燥させた粉体としてから、各用途の着色剤として使用される。また、用途によっては水を多量に含んだ顔料ウエットケーキのまま各種の着色剤として使用される。顔料ウエットケーキの水分含有率は、通常50〜90重量%である。しかしながら乾燥させた粉体として使用する場合、通常80〜150℃の高温度で、水分含有率が1重量%以下となるまで処理される。このため、顔料粒子の乾燥凝集が起こり、それに伴う色相の変化、透明性、着色力、光沢の低下、分散不良などの問題が生じ、顔料ウエットケーキを使用した時の品質を維持することが難しい。またその乾燥工程で水をほとんど除去するために多くの時間とエネルギーを要すること、その乾燥した顔料を各種分散体の分散させやすい形状にするための粉砕工程が必要であること、その粉体を取り扱う際、粉塵が作業環境を悪化することなど問題が多い。
一般に反応槽等で生成した顔料粒子水懸濁液中のアゾ顔料は、非常に細かい粒子(一次粒子と呼ばれる)である。しかしながら乾燥により凝集がおこり、顔料生成時の微粒子状態は保たれず、微粒子どうしが凝集して二次粒子と呼ばれる大きな塊状となる。この二次粒子は粉砕をしても、もはや生成時の結晶粒子径まで微細化することは実用上不可能である。多くの時間、エネルギー、労力をかけても、それを樹脂やワニス中に一次粒子の形状で分散させることはできない。
【0003】
一方、顔料ウエットケーキの場合には、乾燥時の凝集が起こらないため、上記乾燥粉体の欠点が解消され、良好な品質が得られる。しかし、通常90〜50重量%と水分含有率が高い。このため、その取扱い運搬は容易でない。また、水性塗料、水性インキ、顔料捺染などの水系分散体に使用する場合、高濃度品(高顔料濃度品)を得ることが難しく、また、一次粒子が小さいため、インキや塗料として使用しようとすると、樹脂成分が顔料粒子に吸着されて粘度が高くなる。このため分散機からのインキ、塗料の取り出し時の粘度が高く、経時粘度の安定性も劣っている。印刷インキを製造する場合には、顔料ウエットケーキをインキ用ワニスとともにフラッシャーのような混練機で混合しながら水を分離する、いわゆるフラッシングを行う必要があり、その場合、水分含有率の高い顔料ウエットケーキから水を分離するのに多くのエネルギーと時間を必要とする。同時に、多量に分離された排水の処理を行わなければならず、多大な費用と設備が必要となる。
【0004】
特開昭57−53568号公報は粉体あるいはウエットケーキの上記欠点を改善すべく、ウエットケーキを例えば押出成形機を用いて均一に乾燥しやすい形状に成形したのち、80〜100℃にて乾燥し、水分含有率20〜55重量%の粒状あるいは棒状の顔料を得る方法を開示している。しかしながら、この方法では押出成形したのち乾燥しなければならないという工程の煩雑さがある。また、粒状あるいは棒状のため、その乾燥時均一な水分含有率のものを得づらいこと、溝のあるドラムに圧搾して成形する場合にはケーキが押し固められて硬い成形顔料になってしまうなどの改良すべき点を有している。
【0005】
さらに、特開昭59−191765号公報は、顔料ウエットケーキの顔料形態および非凝集状態を実質的に保ったまま、顔料ウエットケーキを熱風乾燥して水分含有率2〜19重量%とした顔料および水を含む顔料組成物、およびそれを用いた着色樹脂組成物を得る方法を開示している。この方法では、比較的簡単な工程で、易分散性に優れた顔料組成物が得られる。上記熱風乾燥法では、系内の乾燥条件を均一に保つため絶えず高速で粉砕等を行いながら微粒子状態で乾燥している。しかしながら、微視的にみれば粒子表面と粒子内部での熱のかかり方が異なり、また2〜19重量%という低い水分含有率とする際に、粒子表面付近では一部凝集が起こり充分な発色が得られない場合がある。近年、顔料の濃度を高めるため、顔料の一次粒子を小さくする改良が進んでいる。このような顔料に上記熱風乾燥方法を適用した場合には、一部凝集が生ずる傾向が特に強い。
なお本発明において、水分含有率とは水を含んだ顔料組成物中の水分量の割合を意味し、水を含んだ顔料組成物を80〜110℃で乾燥した時の減量を乾燥前の重量で除し、百分率で表した数値である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
工業的に有利で、かつ易分散性、取扱いやすさに優れた顔料および水を含む顆粒状顔料の製法、ならびにこの方法で得られた顆粒状顔料を用いた着色組成物に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の如き従来技術の改良すべき点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機顔料ウエットケーキを解砕しながら真空式攪拌乾燥機を使用して20〜80℃で脱水して得られた水分含有率30〜50重量%の顆粒状顔料が、上記の欠点を克服し得ることを見いだし、本発明を完成した。本発明の水を含む顆粒状顔料は、透明性、流動性、着色力、光沢、分散性、経時粘度安定性に優れている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、一次粒子とは、合成した顔料がまだ反応液中に存在しているときの粒子をいう。
本発明で使用される顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、インジゴ系、キノフタロン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系があげられる。一般に有機顔料は、その一次粒子が小さければ小さい程、凝集力が強くなり、乾燥の過程で凝集して大きな二次粒子となる。このため、大きな二次粒子からなる顔料を着色剤として使用した場合、着色力、分散性、鮮明性等の適性が劣化する。本発明の顔料製造方法はこれらの顔料の中でも特に小さな一次粒子をもつアゾ系、硫酸等を用いて顔料一次粒子の微細化処理を行ったフタロシアニン系、キナクリドン系に対して効果的に適用できる。顔料一次粒子の微細化処理の方法としては、顔料に対して10〜50倍量(重量)の濃度90〜100%の硫酸に30℃以下で一旦溶解し、次いで顔料に対して50〜500倍量(重量)の水を40℃以下に保ちながら、投入、または水と混合し、再析出させるアシッドペースティング法、濃度50〜89%の硫酸と顔料とを30℃以下で反応させ硫酸塩を形成させた後、上と同様に水中に投入して顔料の微細粒子を再析出させるアシッドスラリー法がある。
このような顔料一次粒子を微細化処理したものは水性スラリーとして得られる。この水性スラリーから顔料を取り出す手段としてフィルタープレス、好ましくは高圧搾が可能な高圧搾プレスを用いて濾過を行う。濾過によって得られた顔料ウエットケーキの水分含有率は50〜90重量%である。顔料の硫酸溶液を水中に投入する方法としてアスピレーターを用いて急速混合する方法を採用すると、顔料の微細化はより進行する。この方法による顔料ウエットケーキの水分含有率は高圧搾プレスを用いても60〜90重量%である。
【0009】
顔料ウエットケーキを乾燥する過程には、恒率乾燥期と減率乾燥期とがある。特に減率乾燥期において乾燥凝集の起こることが知られている。両者の境は顔料の一次粒子の大きさによって異なるが、水分含有量75%以下であれば恒率乾燥期のみで脱水が起こっていると考えてよい。しかしながら箱型乾燥機で顔料ウエットケーキを乾燥する場合、顔料ウエットケーキの表面には凹凸が生じ、凸部とケーキ内部では水分含有量に差が生じ、乾燥し易い凸部では部分的に凝集を起こす可能性がある。このため、解砕しながら乾燥することで系の均一性が増し、凝集を抑えることができる。
【0010】
顔料ウエットケーキを、解砕しながら真空式攪拌乾燥機で20〜80℃で水分含有率30〜50重量%に脱水することにより、凝集を抑えることがより容易となる。また、真空式撹拌乾燥機で脱水しながら顆粒状顔料とするため、成形と乾燥(脱水)を別に行う方法よりは経済的である。
なお、真空式攪拌乾燥機とは10〜100mmHgまで減圧可能で、1〜100rpmの範囲内で回転攪拌でき、外部より加熱して内温を調節できるものであればよく、例えばパドルドライヤー、一軸式ディスクドライヤ、バキュームタンブルドライヤがある。
この真空式攪拌乾燥機により攪拌、粉砕の作用および減圧・加熱手段を顔料ウエットケーキに同時に作用させて脱水する。加熱手段としてはジャケット等により乾燥機の周りを加熱する方法が一般的であるが、その他の加熱手段であってもよい。加熱温度は顔料ウエットケーキ自身の温度、すなわち製品温度(以下材料温度と称す)が20〜80℃になるような条件に設定される。顔料の種類により多少異なるが一般に材料温度80℃を越えると、顔料の凝集が起こりやすくなる。また、あまりに低い材料温度では生産能率が低下する。従って、一般に20〜80℃の材料温度、より好ましくは20〜60℃の材料温度となる加熱条件が選択される。50重量%以下に脱水された顔料ウエットケーキは真空式攪拌乾燥機中で攪拌羽根と壁との間、およびケーキ同士の剪断力により、平均粒径1〜20mmφの粒状になる。
【0011】
一方、真空式攪拌乾燥機の減圧度を高めれば高める程、脱水速度は大きくなり、短時間で作業が終了する。減圧度が低いと脱水に時間がかかる。減圧度は加熱温度との兼ね合いで選べばよいが、耐熱性の弱いアゾ系顔料は減圧度を高くした方がより好ましい。
【0012】
次に、処理方法をさらに詳細に説明する。水分含有率65重量%以上の顔料ウエットケーキを上記真空式攪拌乾燥機に供給し、均一性を保持するため、たえず攪拌を行いながら、ジャケットを通して加熱し、減圧下で水分含有量30〜50重量%まで脱水する。この際、ジャケットの温度と減圧度を制御することによって、その材料温度を20〜80℃、より好ましくは20〜60℃の低温に保ち、水分含有率30〜50重量%、好ましくは35〜45重量%の所望の水分含有率まで脱水する。顔料の種類により異なるが、一般に材料温度が80℃を越えた場合あるいは水分含有率が30重量%以下になった場合、顔料の凝集が起きやすく、それに伴う色相の変化、透明性、着色力、光沢の低下、分散不良等の問題を生じることとなる。材料温度を低温に保つと同時に、たえず混合攪拌し、水が均一に残存された状態で脱水することにより局所的な乾燥を妨げ、これにより顔料の乾燥凝集が防止できたものと考えられる。
なお、本発明における水分含有率としては30〜50重量%であるが、より好ましくは35〜45重量%の水分含有率である。水分含有率が低すぎると、前記したように顔料の凝集が起きやすくなる。
【0013】
本発明の顆粒状顔料は、従来の油性ビヒクルとともにフラッシングしたオフセットインキ、グラビアインキ等としても使用できる。しかしながら、特に好ましいものとして、含有する水を除去する必要のない水性分散体をあげることができる。水性分散体としては本発明顔料が純顔料分として1〜20重量%、活性剤、分散剤等の補助剤が0〜30重量%で残りが水性樹脂ビヒクルからなるものが例示される。水性樹脂ビヒクル中の樹脂としては、アクリル酸重合体系、スチレンーアクリル酸共重合体系、スチレン−マレイン酸共重合体系、アルキド系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の水分散樹脂または水溶性樹脂がある。特にアクリル系共重合体系の水分散樹脂または水溶性樹脂が好ましい。
【0014】
なお、本発明において顔料の合成あるいは脱水工程の工程前、中あるいは後に溶剤、各種樹脂、界面活性剤その他の通常使用される添加剤を加えても構わない。以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により規制されるものではない。
【0015】
実施例1
粗製銅フタロシアニン100部(純度95%)を98%硫酸2000部に溶解し、室温で4時間攪拌した後、アスピレーターを用いて水と急速混合し、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15)の極微細な粒子を析出させた。混合時の温度は25℃になるように水量と銅フタロシアニンの硫酸溶液の量を調節した。高圧搾プレスで濾過、水洗し、水分含有率62重量%の顔料ウエットケーキ250部を得た。これをパドルドライヤーを用いて、攪拌機を40rpmで回転、攪拌しながらジャケット温度55℃で、かつ、300〜200mmHgの減圧下で加熱乾燥して水分含有率40重量%の本発明の顆粒状顔料Aを得た。
なお、ルーゼックス粒径分布測定機(日本レギュレーター)を用いて測定した本発明顔料の平均粒径は2.5mmφであった。
【0016】
比較例1
実施例1と同様に銅フタロシアニンブルーを硫酸で処理して得られた水分含有率62重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Bとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が42重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかった。一方、作業性は劣るが押し出し成形器をもちいて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Cとした。比較顔料Bを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.4重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Dとした。
【0017】
・水性フレキソインキ試験
スチレン−アクリル酸共重合体水溶性樹脂ワニスおよび前記顔料をサンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料分15重量%の原色インキを作成する。この際一定時間毎にインキをとり、ツブゲージで粗大粒子を観察し、分散性を評価した。表中にしめす取り出し粘度とは、粗大粒子がなくなるまで分散した後、サンドミルから取り出したインキの粘度をいう。粗大粒子とは、粒径10μmを超える粒子をいう。このインキをマニラボール紙上に展色し、スガ試験機製グロスメーターで入射角60°グロスを測定し光沢を評価した。スガ試験機製測色計で測色し、色相の鮮映性、濃度を評価した。隠蔽率試験紙に展色し、透明性を比較した。次に原色インキ中の青顔料と白インキ中の白顔料の比が1対10となるようにインキを混合後、展色し、着色力を目視判定した。また、作業性については粉塵の飛散状態を判断の根拠とした。着色力は、標準品と同等の着色となるようにサンプル量を調節してインキを作成し、そのときの標準品とサンプル量を比較する。サンプルの量が少なくてすむ程サンプルの着色力は高い。表1に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた水性フレキソインキは着色力でウエットケーキよりやや劣るもののそれ以外の試験項目では良好な結果を示した。以下の表において判定は○:優、△:良、×:劣 の3段階で行った。
【0018】
【表1】
【0019】
・水溶性アクリル焼付塗料試験
焼付塗料用アクリル樹脂および前記顔料をサンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料分20重量%の原色ベースエナメルを作成する。(分散性評価は水性フレキソインキと同様)。このベースエナメルに水溶性メラミン樹脂、水、溶剤を加え、よく混和し、顔料分5重量%の原色エナメルを作成した。さらに吹き付け粘度に調整したのち、ブリキ板に塗布、焼き付け、光沢、色相の鮮映性を評価した。原色ベースエナメルの粘度はB型粘度計を用いて測定した。これを40℃、1週間経時促進試験を行った後、同様にB型粘度計を用いて粘度を測定し、経時促進前後の粘度差を比較して経時粘度安定性を評価した。
次に原色インキ中の青顔料と白エナメル中の白顔料の比が1対10になるようにエナメルを混合後、展色し、着色力を目視判定した。表2に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた水溶性アクリル焼付塗料は各試験項目で良好な結果を示した。
【0020】
【表2】
【0021】
・顔料捺染試験
非イオン活性剤(ポリオキシエチレンアリルエーテル)、前記顔料、添加剤をハイスピードミキサーで混合し、サンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料20重量%のコンクカラーを作成する。このコンクカラーとバインダー(アクリル酸エステルをモノマーとする重合体)をOWエマルションからなるレジューサに混合し、顔料分2重量%の濃色カラーおよび顔料分0.2重量%の淡色カラーを作成した。木綿に印捺後、熱処理し、色相の鮮映性、着色力を目視判定した。表3に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた顔料捺染カラーは着色力でウエットケーキよりやや劣るもののそれ以外の試験項目では良好な結果を示した。
【0022】
【表3】
【0023】
実施例2
実施例1において粗製銅フタロシアニンの代わりに粗製塩素化銅フタロシアニン(純度98%)を、98%硫酸の代わりに100%硫酸を使う以外は同様に処理し塩素化銅フタロシアニン(C.I.ピグメントグリーン7)の水分含有率65重量%のウエットケーキ280部を得た。実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率41重量%の本発明顔料Eを得た。なお、本発明顔料Eの平均粒径は3.1mmφであった。
【0024】
比較例2
実施例2と同様に粗製塩素化銅フタロシアニンを硫酸で処理して得られた水分含有率65重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Fとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が37重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかった。一方、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Gとした。比較顔料Fを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Hとした。
【0025】
本発明顔料Eおよび比較顔料F,G,Hを実施例1の試験法に基づき試験した。その結果を表4〜6に示すがいずれの試験においても本発明顔料Eから得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
実施例3
実施例1において粗製銅フタロシアニンの代わりに粗製ジメチルキナクリドン(純度97%)を、98%硫酸の代わりに89%硫酸を使う以外は同様に処理し、ジメチルキナクリドン(C.I.ピグメントレッド122)の水分含有率66重量%のウエットケーキ285部を得た。実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率39重量%の本発明顔料Iを得た。なお、本発明顔料Iの平均粒径は1.9mmφであった。
【0030】
比較例3
実施例3と同様に粗製ジメチルキナクリドンを硫酸で処理して得られた水分含有率66重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Jとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が41重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかったので、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Kとした。比較顔料Jを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Lとした。
【0031】
本発明顔料Iおよび比較顔料J,K,Lを実施例1の試験法に基づき試験した。その結果を表7〜9に示すがいずれの試験においても本発明顔料Iから得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
実施例4
N,Nージエチルー4ーメトキシメタニルアミド42部を常法によりジアゾ化してジアゾ成分とし、5’−クロロ−3−ヒドロキシ2’,4’−ジメトキシ−2−ナフトアニライド58.5部をカップリング成分としてカップリング反応を行い、C.I.ピグメントレッド5を合成後、圧搾プレスで濾過、水洗し、水分含有率70重量%のウエットケーキ333部を得た。一軸式ディスクドライヤを用いた以外は実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率38重量%の本発明顔料Mを得た。なお、本発明顔料の平均粒径は3.6mmφであった。
【0036】
比較例4
実施例4で得られた水分含有率70重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Nとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が40重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかったので、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Oとした。比較顔料Nを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Pとした。
【0037】
本発明顔料Mおよび比較顔料N,O,Pを実施例1の水溶性アクリル焼付塗料試験法に基づき試験した。その結果を表10に示したように本発明顔料から得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0038】
【表10】
【0039】
【発明の効果】
本発明により製造された顆粒状顔料の利点を列挙すると、
(1) 顔料ウエットケーキと異なり顔料含有率が高いため、分散体として所望の高濃度品が得られること、
(2) 顔料ウエットケーキを樹脂やワニス等の各種分散体に分散する場合、その固いケーキをくだくため、ハイスピードミキサーあるいはディゾルバーなどで予備分散する必要があるが、本発明顔料組成物を使用すれば予備分散なしに容易に、短時間に分散することができること、
(3) 取扱い、運搬および混合配合による調色などが粉体と同様に扱うことができること、
(4) その取扱いの際、水を含んだ砂状粒子であるため、ほとんど粉塵を発生せず、従って作業環境を悪化しない、いわゆるダストレス顔料であること、
(5) 特に、印刷インキを製造する際、粉体を使用した場合、乾燥凝集をほぐすためロール絞りを強く、しかも通し回数を多くしなければならず、その際粉体のロールへの焼付が生じやすくなるなど、手間、時間、エネルギーを多く要し、しかも得られるインキが色相、透明性、光沢、着色力など顔料ウエットケーキからのインキに比べ劣る。
一方、顔料ウエットケーキを使用した場合、その取扱い、運搬は粉体に比べ、非常に不利であり、かつフラッシングを行う場合、水を分離するのに多くの手間、時間、エネルギーを要すると同時にその排水の処理が必要となる。本発明顔料組成物を使用すれば、上記粉体と顔料ウエットケーキの欠点を解消し、短時間に、しかも少ないエネルギーで効率よく、顔料ウエットケーキより得られるインキと遜色ない優れた品質の印刷インキを得ることができること、
(6) また水分含有率が低いため、水系分散体および印刷インキ以外の用途、例えば少量の水を含んでも構わないアルコール等の極性溶剤タイプの油系分散体においても短時間に効率よく分散でき、しかも高品質の着色分散体を得ることができること、また非極性溶剤タイプの油系分散体においても少量の水が残存しても影響のない分散体あるいはその分散時に水が除去される分散体においても高品質の着色分散体を得ることができる。
以上、本発明は工業的な顔料製造方法および高品質な顔料を得る方法として、極めて好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は易分散性、ダストレス性等取扱いやすさに優れた、水を含む顆粒状顔料の製造方法、ならびにこれから得られる着色組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機顔料または無機顔料は乾燥させた粉体としてから、各用途の着色剤として使用される。また、用途によっては水を多量に含んだ顔料ウエットケーキのまま各種の着色剤として使用される。顔料ウエットケーキの水分含有率は、通常50〜90重量%である。しかしながら乾燥させた粉体として使用する場合、通常80〜150℃の高温度で、水分含有率が1重量%以下となるまで処理される。このため、顔料粒子の乾燥凝集が起こり、それに伴う色相の変化、透明性、着色力、光沢の低下、分散不良などの問題が生じ、顔料ウエットケーキを使用した時の品質を維持することが難しい。またその乾燥工程で水をほとんど除去するために多くの時間とエネルギーを要すること、その乾燥した顔料を各種分散体の分散させやすい形状にするための粉砕工程が必要であること、その粉体を取り扱う際、粉塵が作業環境を悪化することなど問題が多い。
一般に反応槽等で生成した顔料粒子水懸濁液中のアゾ顔料は、非常に細かい粒子(一次粒子と呼ばれる)である。しかしながら乾燥により凝集がおこり、顔料生成時の微粒子状態は保たれず、微粒子どうしが凝集して二次粒子と呼ばれる大きな塊状となる。この二次粒子は粉砕をしても、もはや生成時の結晶粒子径まで微細化することは実用上不可能である。多くの時間、エネルギー、労力をかけても、それを樹脂やワニス中に一次粒子の形状で分散させることはできない。
【0003】
一方、顔料ウエットケーキの場合には、乾燥時の凝集が起こらないため、上記乾燥粉体の欠点が解消され、良好な品質が得られる。しかし、通常90〜50重量%と水分含有率が高い。このため、その取扱い運搬は容易でない。また、水性塗料、水性インキ、顔料捺染などの水系分散体に使用する場合、高濃度品(高顔料濃度品)を得ることが難しく、また、一次粒子が小さいため、インキや塗料として使用しようとすると、樹脂成分が顔料粒子に吸着されて粘度が高くなる。このため分散機からのインキ、塗料の取り出し時の粘度が高く、経時粘度の安定性も劣っている。印刷インキを製造する場合には、顔料ウエットケーキをインキ用ワニスとともにフラッシャーのような混練機で混合しながら水を分離する、いわゆるフラッシングを行う必要があり、その場合、水分含有率の高い顔料ウエットケーキから水を分離するのに多くのエネルギーと時間を必要とする。同時に、多量に分離された排水の処理を行わなければならず、多大な費用と設備が必要となる。
【0004】
特開昭57−53568号公報は粉体あるいはウエットケーキの上記欠点を改善すべく、ウエットケーキを例えば押出成形機を用いて均一に乾燥しやすい形状に成形したのち、80〜100℃にて乾燥し、水分含有率20〜55重量%の粒状あるいは棒状の顔料を得る方法を開示している。しかしながら、この方法では押出成形したのち乾燥しなければならないという工程の煩雑さがある。また、粒状あるいは棒状のため、その乾燥時均一な水分含有率のものを得づらいこと、溝のあるドラムに圧搾して成形する場合にはケーキが押し固められて硬い成形顔料になってしまうなどの改良すべき点を有している。
【0005】
さらに、特開昭59−191765号公報は、顔料ウエットケーキの顔料形態および非凝集状態を実質的に保ったまま、顔料ウエットケーキを熱風乾燥して水分含有率2〜19重量%とした顔料および水を含む顔料組成物、およびそれを用いた着色樹脂組成物を得る方法を開示している。この方法では、比較的簡単な工程で、易分散性に優れた顔料組成物が得られる。上記熱風乾燥法では、系内の乾燥条件を均一に保つため絶えず高速で粉砕等を行いながら微粒子状態で乾燥している。しかしながら、微視的にみれば粒子表面と粒子内部での熱のかかり方が異なり、また2〜19重量%という低い水分含有率とする際に、粒子表面付近では一部凝集が起こり充分な発色が得られない場合がある。近年、顔料の濃度を高めるため、顔料の一次粒子を小さくする改良が進んでいる。このような顔料に上記熱風乾燥方法を適用した場合には、一部凝集が生ずる傾向が特に強い。
なお本発明において、水分含有率とは水を含んだ顔料組成物中の水分量の割合を意味し、水を含んだ顔料組成物を80〜110℃で乾燥した時の減量を乾燥前の重量で除し、百分率で表した数値である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
工業的に有利で、かつ易分散性、取扱いやすさに優れた顔料および水を含む顆粒状顔料の製法、ならびにこの方法で得られた顆粒状顔料を用いた着色組成物に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の如き従来技術の改良すべき点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機顔料ウエットケーキを解砕しながら真空式攪拌乾燥機を使用して20〜80℃で脱水して得られた水分含有率30〜50重量%の顆粒状顔料が、上記の欠点を克服し得ることを見いだし、本発明を完成した。本発明の水を含む顆粒状顔料は、透明性、流動性、着色力、光沢、分散性、経時粘度安定性に優れている。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において、一次粒子とは、合成した顔料がまだ反応液中に存在しているときの粒子をいう。
本発明で使用される顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、インジゴ系、キノフタロン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、イソインドリノン系があげられる。一般に有機顔料は、その一次粒子が小さければ小さい程、凝集力が強くなり、乾燥の過程で凝集して大きな二次粒子となる。このため、大きな二次粒子からなる顔料を着色剤として使用した場合、着色力、分散性、鮮明性等の適性が劣化する。本発明の顔料製造方法はこれらの顔料の中でも特に小さな一次粒子をもつアゾ系、硫酸等を用いて顔料一次粒子の微細化処理を行ったフタロシアニン系、キナクリドン系に対して効果的に適用できる。顔料一次粒子の微細化処理の方法としては、顔料に対して10〜50倍量(重量)の濃度90〜100%の硫酸に30℃以下で一旦溶解し、次いで顔料に対して50〜500倍量(重量)の水を40℃以下に保ちながら、投入、または水と混合し、再析出させるアシッドペースティング法、濃度50〜89%の硫酸と顔料とを30℃以下で反応させ硫酸塩を形成させた後、上と同様に水中に投入して顔料の微細粒子を再析出させるアシッドスラリー法がある。
このような顔料一次粒子を微細化処理したものは水性スラリーとして得られる。この水性スラリーから顔料を取り出す手段としてフィルタープレス、好ましくは高圧搾が可能な高圧搾プレスを用いて濾過を行う。濾過によって得られた顔料ウエットケーキの水分含有率は50〜90重量%である。顔料の硫酸溶液を水中に投入する方法としてアスピレーターを用いて急速混合する方法を採用すると、顔料の微細化はより進行する。この方法による顔料ウエットケーキの水分含有率は高圧搾プレスを用いても60〜90重量%である。
【0009】
顔料ウエットケーキを乾燥する過程には、恒率乾燥期と減率乾燥期とがある。特に減率乾燥期において乾燥凝集の起こることが知られている。両者の境は顔料の一次粒子の大きさによって異なるが、水分含有量75%以下であれば恒率乾燥期のみで脱水が起こっていると考えてよい。しかしながら箱型乾燥機で顔料ウエットケーキを乾燥する場合、顔料ウエットケーキの表面には凹凸が生じ、凸部とケーキ内部では水分含有量に差が生じ、乾燥し易い凸部では部分的に凝集を起こす可能性がある。このため、解砕しながら乾燥することで系の均一性が増し、凝集を抑えることができる。
【0010】
顔料ウエットケーキを、解砕しながら真空式攪拌乾燥機で20〜80℃で水分含有率30〜50重量%に脱水することにより、凝集を抑えることがより容易となる。また、真空式撹拌乾燥機で脱水しながら顆粒状顔料とするため、成形と乾燥(脱水)を別に行う方法よりは経済的である。
なお、真空式攪拌乾燥機とは10〜100mmHgまで減圧可能で、1〜100rpmの範囲内で回転攪拌でき、外部より加熱して内温を調節できるものであればよく、例えばパドルドライヤー、一軸式ディスクドライヤ、バキュームタンブルドライヤがある。
この真空式攪拌乾燥機により攪拌、粉砕の作用および減圧・加熱手段を顔料ウエットケーキに同時に作用させて脱水する。加熱手段としてはジャケット等により乾燥機の周りを加熱する方法が一般的であるが、その他の加熱手段であってもよい。加熱温度は顔料ウエットケーキ自身の温度、すなわち製品温度(以下材料温度と称す)が20〜80℃になるような条件に設定される。顔料の種類により多少異なるが一般に材料温度80℃を越えると、顔料の凝集が起こりやすくなる。また、あまりに低い材料温度では生産能率が低下する。従って、一般に20〜80℃の材料温度、より好ましくは20〜60℃の材料温度となる加熱条件が選択される。50重量%以下に脱水された顔料ウエットケーキは真空式攪拌乾燥機中で攪拌羽根と壁との間、およびケーキ同士の剪断力により、平均粒径1〜20mmφの粒状になる。
【0011】
一方、真空式攪拌乾燥機の減圧度を高めれば高める程、脱水速度は大きくなり、短時間で作業が終了する。減圧度が低いと脱水に時間がかかる。減圧度は加熱温度との兼ね合いで選べばよいが、耐熱性の弱いアゾ系顔料は減圧度を高くした方がより好ましい。
【0012】
次に、処理方法をさらに詳細に説明する。水分含有率65重量%以上の顔料ウエットケーキを上記真空式攪拌乾燥機に供給し、均一性を保持するため、たえず攪拌を行いながら、ジャケットを通して加熱し、減圧下で水分含有量30〜50重量%まで脱水する。この際、ジャケットの温度と減圧度を制御することによって、その材料温度を20〜80℃、より好ましくは20〜60℃の低温に保ち、水分含有率30〜50重量%、好ましくは35〜45重量%の所望の水分含有率まで脱水する。顔料の種類により異なるが、一般に材料温度が80℃を越えた場合あるいは水分含有率が30重量%以下になった場合、顔料の凝集が起きやすく、それに伴う色相の変化、透明性、着色力、光沢の低下、分散不良等の問題を生じることとなる。材料温度を低温に保つと同時に、たえず混合攪拌し、水が均一に残存された状態で脱水することにより局所的な乾燥を妨げ、これにより顔料の乾燥凝集が防止できたものと考えられる。
なお、本発明における水分含有率としては30〜50重量%であるが、より好ましくは35〜45重量%の水分含有率である。水分含有率が低すぎると、前記したように顔料の凝集が起きやすくなる。
【0013】
本発明の顆粒状顔料は、従来の油性ビヒクルとともにフラッシングしたオフセットインキ、グラビアインキ等としても使用できる。しかしながら、特に好ましいものとして、含有する水を除去する必要のない水性分散体をあげることができる。水性分散体としては本発明顔料が純顔料分として1〜20重量%、活性剤、分散剤等の補助剤が0〜30重量%で残りが水性樹脂ビヒクルからなるものが例示される。水性樹脂ビヒクル中の樹脂としては、アクリル酸重合体系、スチレンーアクリル酸共重合体系、スチレン−マレイン酸共重合体系、アルキド系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系等の水分散樹脂または水溶性樹脂がある。特にアクリル系共重合体系の水分散樹脂または水溶性樹脂が好ましい。
【0014】
なお、本発明において顔料の合成あるいは脱水工程の工程前、中あるいは後に溶剤、各種樹脂、界面活性剤その他の通常使用される添加剤を加えても構わない。以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例により規制されるものではない。
【0015】
実施例1
粗製銅フタロシアニン100部(純度95%)を98%硫酸2000部に溶解し、室温で4時間攪拌した後、アスピレーターを用いて水と急速混合し、銅フタロシアニン(C.I.ピグメントブルー15)の極微細な粒子を析出させた。混合時の温度は25℃になるように水量と銅フタロシアニンの硫酸溶液の量を調節した。高圧搾プレスで濾過、水洗し、水分含有率62重量%の顔料ウエットケーキ250部を得た。これをパドルドライヤーを用いて、攪拌機を40rpmで回転、攪拌しながらジャケット温度55℃で、かつ、300〜200mmHgの減圧下で加熱乾燥して水分含有率40重量%の本発明の顆粒状顔料Aを得た。
なお、ルーゼックス粒径分布測定機(日本レギュレーター)を用いて測定した本発明顔料の平均粒径は2.5mmφであった。
【0016】
比較例1
実施例1と同様に銅フタロシアニンブルーを硫酸で処理して得られた水分含有率62重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Bとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が42重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかった。一方、作業性は劣るが押し出し成形器をもちいて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Cとした。比較顔料Bを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.4重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Dとした。
【0017】
・水性フレキソインキ試験
スチレン−アクリル酸共重合体水溶性樹脂ワニスおよび前記顔料をサンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料分15重量%の原色インキを作成する。この際一定時間毎にインキをとり、ツブゲージで粗大粒子を観察し、分散性を評価した。表中にしめす取り出し粘度とは、粗大粒子がなくなるまで分散した後、サンドミルから取り出したインキの粘度をいう。粗大粒子とは、粒径10μmを超える粒子をいう。このインキをマニラボール紙上に展色し、スガ試験機製グロスメーターで入射角60°グロスを測定し光沢を評価した。スガ試験機製測色計で測色し、色相の鮮映性、濃度を評価した。隠蔽率試験紙に展色し、透明性を比較した。次に原色インキ中の青顔料と白インキ中の白顔料の比が1対10となるようにインキを混合後、展色し、着色力を目視判定した。また、作業性については粉塵の飛散状態を判断の根拠とした。着色力は、標準品と同等の着色となるようにサンプル量を調節してインキを作成し、そのときの標準品とサンプル量を比較する。サンプルの量が少なくてすむ程サンプルの着色力は高い。表1に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた水性フレキソインキは着色力でウエットケーキよりやや劣るもののそれ以外の試験項目では良好な結果を示した。以下の表において判定は○:優、△:良、×:劣 の3段階で行った。
【0018】
【表1】
【0019】
・水溶性アクリル焼付塗料試験
焼付塗料用アクリル樹脂および前記顔料をサンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料分20重量%の原色ベースエナメルを作成する。(分散性評価は水性フレキソインキと同様)。このベースエナメルに水溶性メラミン樹脂、水、溶剤を加え、よく混和し、顔料分5重量%の原色エナメルを作成した。さらに吹き付け粘度に調整したのち、ブリキ板に塗布、焼き付け、光沢、色相の鮮映性を評価した。原色ベースエナメルの粘度はB型粘度計を用いて測定した。これを40℃、1週間経時促進試験を行った後、同様にB型粘度計を用いて粘度を測定し、経時促進前後の粘度差を比較して経時粘度安定性を評価した。
次に原色インキ中の青顔料と白エナメル中の白顔料の比が1対10になるようにエナメルを混合後、展色し、着色力を目視判定した。表2に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた水溶性アクリル焼付塗料は各試験項目で良好な結果を示した。
【0020】
【表2】
【0021】
・顔料捺染試験
非イオン活性剤(ポリオキシエチレンアリルエーテル)、前記顔料、添加剤をハイスピードミキサーで混合し、サンドミルで粗大粒子がなくなるまで分散し、顔料20重量%のコンクカラーを作成する。このコンクカラーとバインダー(アクリル酸エステルをモノマーとする重合体)をOWエマルションからなるレジューサに混合し、顔料分2重量%の濃色カラーおよび顔料分0.2重量%の淡色カラーを作成した。木綿に印捺後、熱処理し、色相の鮮映性、着色力を目視判定した。表3に見られるとおり、本発明顔料Aから得られた顔料捺染カラーは着色力でウエットケーキよりやや劣るもののそれ以外の試験項目では良好な結果を示した。
【0022】
【表3】
【0023】
実施例2
実施例1において粗製銅フタロシアニンの代わりに粗製塩素化銅フタロシアニン(純度98%)を、98%硫酸の代わりに100%硫酸を使う以外は同様に処理し塩素化銅フタロシアニン(C.I.ピグメントグリーン7)の水分含有率65重量%のウエットケーキ280部を得た。実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率41重量%の本発明顔料Eを得た。なお、本発明顔料Eの平均粒径は3.1mmφであった。
【0024】
比較例2
実施例2と同様に粗製塩素化銅フタロシアニンを硫酸で処理して得られた水分含有率65重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Fとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が37重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかった。一方、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Gとした。比較顔料Fを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Hとした。
【0025】
本発明顔料Eおよび比較顔料F,G,Hを実施例1の試験法に基づき試験した。その結果を表4〜6に示すがいずれの試験においても本発明顔料Eから得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0026】
【表4】
【0027】
【表5】
【0028】
【表6】
【0029】
実施例3
実施例1において粗製銅フタロシアニンの代わりに粗製ジメチルキナクリドン(純度97%)を、98%硫酸の代わりに89%硫酸を使う以外は同様に処理し、ジメチルキナクリドン(C.I.ピグメントレッド122)の水分含有率66重量%のウエットケーキ285部を得た。実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率39重量%の本発明顔料Iを得た。なお、本発明顔料Iの平均粒径は1.9mmφであった。
【0030】
比較例3
実施例3と同様に粗製ジメチルキナクリドンを硫酸で処理して得られた水分含有率66重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Jとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が41重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかったので、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Kとした。比較顔料Jを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Lとした。
【0031】
本発明顔料Iおよび比較顔料J,K,Lを実施例1の試験法に基づき試験した。その結果を表7〜9に示すがいずれの試験においても本発明顔料Iから得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】
【表9】
【0035】
実施例4
N,Nージエチルー4ーメトキシメタニルアミド42部を常法によりジアゾ化してジアゾ成分とし、5’−クロロ−3−ヒドロキシ2’,4’−ジメトキシ−2−ナフトアニライド58.5部をカップリング成分としてカップリング反応を行い、C.I.ピグメントレッド5を合成後、圧搾プレスで濾過、水洗し、水分含有率70重量%のウエットケーキ333部を得た。一軸式ディスクドライヤを用いた以外は実施例1と同じ条件で処理して、水分含有率38重量%の本発明顔料Mを得た。なお、本発明顔料の平均粒径は3.6mmφであった。
【0036】
比較例4
実施例4で得られた水分含有率70重量%の顔料ウエットケーキを比較顔料Nとした。また、この顔料ウエットケーキを箱型乾燥機を用い、80℃で水分含有率が40重量%になるまで乾燥した。このものはハンマー式粉砕機では目詰まりを起こして粒状にできなかったので、作業性は劣るが押し出し成形器を用いて顆粒状顔料を製造し、比較顔料Oとした。比較顔料Nを箱型乾燥機により80℃で静置乾燥した後、ハンマー式粉砕機で粉砕し、水分含有率0.5重量%の粉末顔料を製造し、比較顔料Pとした。
【0037】
本発明顔料Mおよび比較顔料N,O,Pを実施例1の水溶性アクリル焼付塗料試験法に基づき試験した。その結果を表10に示したように本発明顔料から得られた着色分散体は良好な結果を示した。
【0038】
【表10】
【0039】
【発明の効果】
本発明により製造された顆粒状顔料の利点を列挙すると、
(1) 顔料ウエットケーキと異なり顔料含有率が高いため、分散体として所望の高濃度品が得られること、
(2) 顔料ウエットケーキを樹脂やワニス等の各種分散体に分散する場合、その固いケーキをくだくため、ハイスピードミキサーあるいはディゾルバーなどで予備分散する必要があるが、本発明顔料組成物を使用すれば予備分散なしに容易に、短時間に分散することができること、
(3) 取扱い、運搬および混合配合による調色などが粉体と同様に扱うことができること、
(4) その取扱いの際、水を含んだ砂状粒子であるため、ほとんど粉塵を発生せず、従って作業環境を悪化しない、いわゆるダストレス顔料であること、
(5) 特に、印刷インキを製造する際、粉体を使用した場合、乾燥凝集をほぐすためロール絞りを強く、しかも通し回数を多くしなければならず、その際粉体のロールへの焼付が生じやすくなるなど、手間、時間、エネルギーを多く要し、しかも得られるインキが色相、透明性、光沢、着色力など顔料ウエットケーキからのインキに比べ劣る。
一方、顔料ウエットケーキを使用した場合、その取扱い、運搬は粉体に比べ、非常に不利であり、かつフラッシングを行う場合、水を分離するのに多くの手間、時間、エネルギーを要すると同時にその排水の処理が必要となる。本発明顔料組成物を使用すれば、上記粉体と顔料ウエットケーキの欠点を解消し、短時間に、しかも少ないエネルギーで効率よく、顔料ウエットケーキより得られるインキと遜色ない優れた品質の印刷インキを得ることができること、
(6) また水分含有率が低いため、水系分散体および印刷インキ以外の用途、例えば少量の水を含んでも構わないアルコール等の極性溶剤タイプの油系分散体においても短時間に効率よく分散でき、しかも高品質の着色分散体を得ることができること、また非極性溶剤タイプの油系分散体においても少量の水が残存しても影響のない分散体あるいはその分散時に水が除去される分散体においても高品質の着色分散体を得ることができる。
以上、本発明は工業的な顔料製造方法および高品質な顔料を得る方法として、極めて好適である。
Claims (4)
- 有機顔料ウエットケーキを解砕しながら真空式攪拌乾燥機を使用して20〜80℃で脱水して水分含有率30〜50重量%の顆粒状顔料を得ることを特徴とする顆粒状顔料の製造方法。
- 顆粒状顔料が、平均粒径1〜20mmφである請求項1記載の顆粒状顔料の製造方法。
- 有機顔料が、フタロシアニン顔料またはキナクリドン顔料である請求項1ないし3記載の果粒状顔料の製造方法。
- 請求項1ないし3記載の顆粒状顔料を水性分散体とした着色組成物。
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| JP33513196A JP3580970B2 (ja) | 1995-12-22 | 1996-11-29 | 顆粒状顔料の製造方法および着色組成物 |
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|---|---|---|---|
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