先ず、本発明を実施するための基本的な実施形態1の光ディスク製造装置200について図1と図2とを用いて説明する。図1は光ディスク製造装置200の基本的な構成を示し、図2は光ディスクの製造工程を説明するための図である。
[実施形態1]
この光ディスク製造装置200は、概略、第1の信号層を片面に形成されたディスク基板D1を形成、又はディスク基板上に第1の信号層を形成する第1の信号層形成用機構AAと、間欠的に矢印X方向、つまり、時計方向に搬送動作を行うエンドレス(無端)状の搬送機構BBと、2種類の反射膜を形成する成膜機構CCと、前記第1の信号層の形成された前記ディスク基板に第2の信号層を形成する第2の信号層形成用機構EEと、カバー層となる光透過層を形成する光透過層形成機構FFとからなる。これら各機構の詳細例については、実施形態2で説明する。
第1の信号層形成用機構AAは、詳細については図示しないが、図2(A)で示されているような第1の信号層a1を片面に有するディスク基板D1を射出成形する一般的な射出成形機とそのディスク基板D1を室温程度まで冷却する冷却機構と室温程度の温度にあるディスク基板D1を搬送機構BBのポジションp1で移載する移載機構などからなる。第1の信号層形成用機構AAは一般的なものであっても構わない。搬送機構BBは丸印で示されている複数のポジションを有し、ポジションp1では既に1個おきに後述するディスクD3が載置されおり、したがって、ディスク基板D1も1個おきでポジションp1に載置されることになる。つまり、搬送機構BBの一部区間ではディスク基板D1とディスクD3とが交互に搬送され、したがって、ディスク基板D1とディスクD3とが交互に成膜機構CCに供給される。搬送機構BBは一般的なものであっても良い。
成膜機構CCは、図示しないが、全反射の反射膜と半透明の反射膜との2種類の反射膜を選択的に形成できる成膜部と移載アーム部とからなる。前記成膜部は、前記移載アーム部によってポジションp2からディスク基板D1が移載されると、図2(B)で示すように、その第1の信号層a1の上に全反射の第1の反射膜b1を形成し、前記移載アーム部は再び載置ポジションp2に戻す。第1の信号層a1の上に全反射の第1の反射膜b1が形成されたディスクをディスクD2という。成膜機構CCも一般的なものであっても構わない。ディスクD2は、ポジションp3で光透過層形成機構FFに移載されることなく、ポジションp3を通過してそのまま搬送され、ポジションp4で第2の信号層形成用機構EEに取り入れられる。
第2の信号層形成用機構EEについても詳細な構成を図示しないが、ディスクD2の第1の反射膜b1の上に接着剤層を形成する接着剤層形成部、転写されるための第2の信号層を有する転写用ディスク基板を射出成形する射出成形機、前記第2の信号層の上に転写用の光透過層を形成する光透過転写層形成部、転写用の光透過層の形成された転写用ディスク基板とディスクD2とを貼り合せる貼り合せ部、前記転写用ディスクを前記光透過層から剥離して、前記第2の信号層を転写する剥離部などの機構からなる一般的な構成のものである。この第2の信号層形成用機構EEについても特に構成を限定するものではない。この実施形態では転写法によって第2の信号層を形成する具体例を述べるので、ディスクD2の第1の反射膜b1と前記転写用ディスク基板の転写用の光透過層とが貼り合わされ、しかる後に前記転写用ディスク基板が前記光透過層から剥離され、その光透過層が転写されたディスクD3を図2(C)に示す。ディスクD3は、ディスクD2の第1の反射膜b1の上に接着剤層cが形成され、その接着剤層cに光透過層d1が接着されており、そして、光透過層d1の上面に第2の信号層a2が転写されたものである。
第2の信号層a2が転写されたディスクD3は、ポジションp4で第2の信号層形成用機構EEから搬送機構BBに移載される。このとき、前述したようにポジションp1でディスク基板D1を一定間隔で移載できるように、1個おきのポジションにディスクD3を移載する。したがって、搬送機構BBのポジションp1〜p2の間では、ディスク基板D1とディスクD3とが交互に載置されて搬送される。そして、ディスク基板D1とディスクD3とは順次交互に成膜機構CCに取り込まれ、ディスク基板D1には全反射の第1の反射膜b1が形成され、ディスクD3には半透明の第2の反射膜b2が形成される。そして、第1の反射膜b1が形成されたディスクD2、図2(D)に示すような半透明の第2の反射膜b2が形成されたディスクD4が搬送機構BBに移載される。そして、ディスクD4だけが光透過層形成機構FFに移載され、前述したように、ディスクD2はそのまま搬送機構BBによって搬送され、ポジションp4で第2の信号層形成用機構EEに取り込まれる。
したがって、搬送機構BBのポジションp2〜p3間はディスクD2とディスクD4とが交互に搬送される。光透過層形成機構FFに移載されたディスクD4は、図2(E)に示すように、半透明の第2の反射膜b2の上にカバー層となる光透過層d2が形成される。光透過層d2の形成されたディスクをディスクD5という。この光透過層d2と光透過層d1と接着剤層cとの厚みの和はほぼ100μm程度である。以上の説明から明らかなように、この発明では、高密度記録対応の信号層が1層又は2層の光ディスクを同一製造装置で選択的に製造できる経済性に優れた光ディスク製造装置を提供することができる。
[実施形態2]
先ず、本発明を実施するための最良の形態である実施形態2の光ディスク製造装置300について図3〜図5−4を用いて説明する。図3は光ディスク製造装置300の全体の構成を示し、図4は光ディスク製造装置300の一部分の構成を示し、図5−1〜図5−4は光ディスクの製造工程を説明するための図である。
この光ディスク製造装置300は、一点鎖線で分けられる二つの機構部300Aと機構部300Bとからなる。信号層が1層の光ディスクを製造するときには、機構部300Aのみを動作させ、機構部300Bを動作させない。そして、信号層が2層の光ディスクを製造するときには、二つの機構部300Aと機構部300Bとを動作させる。機構部300Aは、図1に示した第1の信号層形成用機構AA、搬送機構BB、成膜機構CC、光透過層形成機構FFに相当する。機構部300Bは、図1に示した第2の信号層形成用機構EEに相当する。この発明では、信号層が2層の光ディスクとして、信号層が2層の高密度記録対応の光ディスクを製造するときの機構部300について説明する。なお、信号層が1層の光ディスクの製造については説明を省略する。したがって、図面の各部材を示す記号の説明が順不同となることがある。
図3において、射出成形機1は、図示しない射出成形金型に所望の記録溝を有するスタンパが取り付けられており、図5−1(A)に示すような第1の信号層a1を有するディスク基板Dを射出成形する。ディスク基板Dは、図2に示したディスク基板D1に相当するものであり、厚みが1.1mm、直径が120mm、中心孔径が15mmのポリカーボネイト樹脂円板からなるが、これに限られるものではない。第1の信号層a1は、情報信号が凹凸のピットとして形成されたものであり、説明を分かり易くするために、ディスク基板Dの厚みに比べて、凹凸のピットを大幅に拡大して示している。ディスク基板Dは、ディスク基板取り出し機構3によって、射出成形機1の近傍に設置されている冷却機構5に移載され、回転冷却される。
冷却機構5については本件出願人が既に提案(例えば、特開2002−358695号公報)しているので詳細に図示しないが、ディスク基板Dが射出成形機1から天地に対してほぼ垂直に取り出されるので、冷却機構5はディスク基板Dを垂直方向に保持しながら高速回転冷却を行う。射出成形機1から取り出されたばかりのディスク基板Dは未だ柔らかいので、冷却機構5が数千回転以上、好ましくは3000rpm以上の回転数で高速回転させることによって、大きな遠心力をディスク基板Dに与えながら高速で冷却することができ、反りの小さなディスク基板Dを得ることができる。冷却機構5は、射出成形機1の性能と有効な冷却時間との兼ね合いで、図示しないが、3台の回転冷却装置を備えており、3台の回転冷却装置はディスク基板取り出し機構3に対して等距離に配置される。射出成形機1からのディスク基板Dは、ディスク基板取り出し機構3によって順番に3台の回転冷却装置に移載される。
回転冷却装置はそれぞれ所定時間回転すると、停止し、移載機構7は回転冷却装置からディスク基板Dを受け取ると、垂直方向から水平方向に反転させ、順にエージング機構9に移載する。エージング機構9は、一般的な構造のものであり、複数のディスク基板Dをほぼ一定間隔で垂直に保持しながら空調された空間を一定速度で前進し、ディスク基板Dをほぼ室温まで冷却する。エージング機構9の終端で、ディスク基板Dは順に間欠回転機構11に水平方向に向けて引き渡され、間欠回転機構11の回転に伴い、次のポジションにある表裏反転機構13まで搬送される。表裏反転機構13は、ディスク基板Dに形成された信号層a1を上面又は下面にするために反転するもので、射出成形機1から取り出されたディスク基板Dの信号層a1の存在する面を、上面又は下面のどちらにして後述する成膜装置19に供給するかで、選択的に動作する。この例では、表裏反転機構13によって180度反転され、信号層a1が上を向くように水平状態にされる。以上の機構は、図1で示した第1の信号層形成用機構の具体例を示している。そして、ディスク基板Dは更に間欠回転機構11が回転するのに伴い、その次のポジションにある第1の移載機構15によって第1の搬送機構の搬送ライン17に移載される。
搬送ライン17は、図1に示した搬送機構BBの一部分に相当し、図面の上下方向に長いエンドレス(無端)のものである。搬送ライン17は、丸印で示される複数のディスク載置部17aを備え、そのディスク載置部17aに移載されたディスク基板Dは、搬送ライン17が間欠的に動作するのに伴い、スパッタリング装置のような成膜装置19によって、図5−1(B)に示すように第1の信号層a1の上に反射膜b1が形成される。反射膜b1はアルミニウム又は銀などからなる1μm以下の厚さを有する薄膜である。反射膜b1の形成されたディスクをDaとする。後述するが、この成膜装置19は、ディスクDaが種々の工程で処理され、光透過転写層などが付加されて再び搬送されてきたときに、半透明の第2の反射膜を形成する。
第1の搬送ライン17に沿ってディスク蓄積部20が備えられ、ディスク蓄積部20はディスク積載用回転テーブル21と移載機構23とスペーサ供給機構25とからなる。これら機構は装置が正常に動作しているときには使用されないが、トラブルなどが生じて後述する後段の機構が停止した場合に次のように動作して、ディスクDaをディスク積載用回転テーブル21に蓄える。ディスク積載用回転テーブル21は、複数枚のディスクDaを積載する積載部21Aを4箇所有し、スペーサ供給機構25はディスクDaが積載されるときにディスクDa間の距離を確保するための不図示のスペーサを1個ずつ供給する。移載機構23は、図2に示すように、一方の移載アーム23Aで搬送ライン17からディスクDaを1枚ずつディスク積載用回転テーブル21に移載して積載し、その上にスペーサ供給機構25から取り出した不図示のスペーサを1個ずつ与える。なお、ディスク蓄積部20については後述する。
次にディスクDaは、信号層が1層の光ディスクを製造するときには、移載機構27によって第3の搬送機構の搬送ライン29に移載されるが、信号層が2層の光ディスクを製造するときには、搬送ライン29に移載されることなく、実線で示すように、そのまま第1の搬送機構の搬送ライン17を搬送される。第3の搬送機構の搬送ライン29に沿って配置されている各機構については後述する。図3、図4に示すように、ディスクDaは、同時移載機構97によって搬送ライン17の第1の移載ポジションYから機構部300Bにおける第2の搬送機構の搬送ライン137の移載ポジションZに移載される。搬送ライン137のポジションZに移載されたディスクDaは、次のポジションで液状物質供給機構139によって液状物質が順次供給される。液状物質供給機構139は液状物質を吐出しながらほぼ1回転するノズル部139Aを有し、搬送ライン137上を順次搬送されてくるディスクDaの内周側の所定位置に円環状に液状物質を供給する。この液状物質は、透明で接着性に優れた材料、代表的には接着剤である。
液状物質の供給されたディスクDaは、回転処理部141で高速回転処理され、図5−1(C)に示すように、反射膜b1上に液状物質が展延されて薄い接着剤層cを形成する。ディスクDaに接着剤層cの形成されたディスクをDbとする。回転処理部141は、同一構成の3台の同時移載機構143と一般的なスピンナのような3台の回転処理装置145とからなる。同時移載機構143は、搬送ライン137上のディスクDaを同時にそれぞれの回転処理装置145に移載すると同時に、それぞれの回転処理装置145で回転処理されたディスクを搬送ライン137上に移載する。ディスクDbの反射膜b1上に形成された接着剤層cは硬化処理がなされないまま、移載機構147の一方の移載アーム147Aにより吸着保持されてターンテーブル機構135に移載される。ターンテーブル機構135は時計回りに間欠的に回転する。なお、3台の同時移載機構143の移載動作は、搬送ライン137の間欠的な3回の搬送動作毎に行われ、その間、各回転処理装置145は回転処理動作を行っている。
他方、機構部300Bにおいて、射出成形機101は、図示しない射出成形金型に所望の信号層を有するスタンパが取り付けられており、図5−1(D)に示すような第2の信号層a2を有する転写用ディスク基板Tを射出成形する。転写用ディスク基板Tは、直径が120mm、中心孔径が15mmの樹脂円板からなるが、これに限られるものではない。信号層a2は、情報信号が凹凸のピットとして形成されたものであり、説明を分かり易くするために、転写用ディスク基板Tの厚みに比べて、凹凸のピットを大幅に拡大して示している。転写用ディスク基板Tは、ディスク取り出し機構103によって、射出成形機101の近傍に設置されている冷却機構105に移載され、回転冷却される。
ディスク取り出し機構103、冷却機構105については、前述したディスク基板取り出し機構3、冷却機構5と同様なものであり、動作も同様であるので説明を省略する。各冷却機構105の回転冷却装置はそれぞれ所定時間回転すると、停止し、移載機構107は転写用ディスク基板Tを受け取り、縦方向から横方向に反転させ、順にエージング機構109に移載する。移載機構107及びエージング機構109は、前述した移載機構7及エージング機構9とほぼ同様な構造であって、動作も同様であるので、説明を省略する。エージング機構109でほぼ室温まで冷却された転写用ディスク基板Tは、エージング機構109の終端で、順に間欠回転機構111に引き渡され、間欠回転機構111の回転に伴い、次のポジションで、表裏反転機構113によって180度反転され、第2の信号層a2が上を向くように水平状態にされる。前述のように、表裏反転機構113は、反転の必要な場合のみ動作させればよい。そして、転写用ディスク基板Tは更に間欠回転機構111が回転するのに伴い、その次のポジションで、移載機構115によって転写用搬送機構の搬送ライン117に移載される。
搬送ライン117に沿って、光透過転写層d1を形成する光透過転写層形成部119が備えられている。光透過転写層d1の形成された転写用ディスクTを図5−1(E)に示す。光透過転写層d1の形成された転写用ディスク基板Tを転写用ディスクTaという。光透過転写層形成部119は、同時移載機構121と転写用ディスク基板Tの第2の信号層a2の上に液状物質を供給する液体供給機構123と高速回転処理を行って前記液状物質を転写用ディスク基板Tの第2の信号層a2の上に展延する回転処理装置125と移載機構127とキャップ蓄積機構129とキャップ洗浄機構131とを一組とする機構を3組備える。これら3組の機構は同一であり、同時に動作する。3台の同時移載機構121は、それぞれの回転処理装置125内の3枚の転写用ディスク基板Tを搬送ライン117上に載置する。3台の同時移載機構121は、搬送ライン117が搬送動作を3回行う毎に転写用ディスク基板Tの移載動作を行うので、回転処理装置125における回転処理時間を1台の回転処理装置125の場合に比べて3倍長く採ることができる。
キャップ蓄積機構129は、詳しく述べないが、間欠的に回転するテーブル上に複数のキャップ部材Caを保持している。転写用ディスク基板Tが回転処理装置125内に移載される度に、移載機構127は、キャップ蓄積機構129からキャップ部材Caを転写用ディスク基板Tの不図示の中央孔を覆うように載置する。キャップ部材Caは、転写用ディスク基板Tの中央孔とその中央孔に挿入されている回転処理装置125の不図示のセンターピンを覆うような特定の構造になっている。キャップ部材Caが転写用ディスク基板Tと前記不図示のセンターピンに被せられると、液体供給機構123がキャップCaの中心点又は中心点近傍に前記液状物質を供給する。この液状物質は、透明な材料、例えばアクリル樹脂であり、スピンコート方法によって数十μmの厚みをもつ光透過層を形成できるよう、粘度の調整されたものである。前記液状物質がキャップ部材Ca上に供給されると、回転処理装置125は高速回転を行って、遠心力により前記液状物質を転写用ディスク基板T上に展延する。
回転処理装置125が回転を停止し、光透過転写層d1用の前記液状物質の展延が終了すると、移載機構127が動作して、回転処理装置125からキャップ部材Caをキャップ蓄積機構129に戻す。この戻されたキャップ部材Caには前記液状物質が塗布されているので、戻されたキャップ部材Caは洗浄ポジションでキャップ洗浄機構131によって洗浄され、前記液状物質が除去される。このような工程が他の二組の機構によっても同時に行われ、これら三組の機構によりそれぞれ光透過転写層d1の形成された転写用ディスクTaが搬送ライン117上に移載される。このとき、光透過転写層d1はまだ硬化されていない。搬送ライン117に移載された転写用ディスクTaは移載機構133によってターンテーブル機構135に移載される。なお、光透過転写層d1の形成については前述のような方法に限られることはなく、スピンコート方法によるものならばよい。
ターンテーブル機構135は、ほぼ90°間隔で四つの載置台135Aを有する。載置台135Aは石英のような透明な耐熱性の光透過材料からなり、ディスクDbは四つの載置台135Aの内の向き合う二つに載置される。ディスクDbが載置されていない空の二つの載置台135Aに前述の転写用ディスクTaが搬送ライン117から移載される。図6(A)、(B)に示すように、各載置台135Aの上面には、その中心部にセンタリング部Pが設けられ、またその外周部に前述したようなマスク部材Maが設けられている。センタリング部Pは小円板部Paとピン部Pbとからなる。ディスクDb及び転写用ディスクTaの外周部分はマスク部材Maによって支承され、また内周部分が小円板部Paによって支承される。センタリング部Pは載置台135Aと同一の材料からなるのが好ましい。ここで、マスク部材Maの内径をwとし、ディスク基板Dの外径をWとするとき、内径wはディスク基板Dの外径Wの90%以上であって、ディスク基板Dの外径Wよりも小さい範囲(W>w≧0.9W)にあることが好ましい。
ターンテーブル機構135の間欠的な回転に伴い、転写用ディスクTaが搬送ライン117から移載されるポジションの次のポジションにおいて、図5−1(F)、図5−2(G)に示すように、その下側に設けられている硬化光照射装置149から紫外線のような硬化光が、マスク部材Maにより遮光されない転写用ディスクTaの光透過転写層d1とディスクDbの接着剤層cとの面域に交互に照射される1次硬化工程が行われる。この1次硬化工程は、ターンテーブル機構135の載置台135Aを通して行われる。硬化光が照射されたディスクDbの接着剤層c、転写用ディスクTaの光透過転写層d1は半硬化又は硬化され、マスク部材Maで遮光された外周部分は硬化されないまま次のポジションに搬送される。その次のポジションで、移載機構151がディスクDbを、その接着剤層cの形成されていない内周部を吸着保持して表裏反転機構153の載置台153Aへ、また、転写用ディスクTaを、光透過転写層d1の形成されていない内周部を吸着保持して載置台155へ交互に順次移載する。なお、硬化光をターンテーブル機構135の下側から照射せずに、上側から照射してもかまわない。この場合には、マスク部材MaをディスクDbの接着剤層c、転写用ディスクTaの光透過転写層d1に接触しないように、これらから若干距離を隔てて上方に設置すればよい。
表裏反転機構153の載置台153A上のディスクDbは、上面と下面とが反転されて載置台153Bに載置される。この反転操作によって、ディスクDb上に形成されている接着剤層cが下側になる。前述したように、その接着剤層cは少なくとも外周部が硬化していないので、載置台153A、載置台153BはディスクDbにおける接着剤層cの形成されていない内周部分を支承する大きさのものが好ましい。表裏反転機構153の反転動作は、載置台153AがディスクDbを吸着保持した状態で180度反転動作を行って、ディスクDbを表裏反転させて載置台153Bに載置する構造、あるいは載置されている位置でディスクDbの外周端を把持して180度回転して表裏反転する構造など、本件出願人が既に提案している構造のものを採用することができる(例えば、特開平5−277427号公報又は特開平8−131928号公報)。
移載機構157が、載置台155に載置されている転写用ディスクTaの光透過転写層d1の形成されていない内周部を吸着保持して、最初に転写用ディスクTaをターンテーブル機構159のポジションaに移載する。次に、移載機構157は載置台153B上のディスクDbを転写用ディスクTaの上に移載する。ターンテーブル機構159は複数の移載ポジションを備えており、図示しないが、それら移載ポジションにはディスクDbを転写用ディスクTaからある小さな距離を隔てて保持するために、ディスクDbと転写用ディスク基板Tとの中心孔に挿入される保持部材が備えられている。この保持部材によって転写用ディスクTaの光透過転写層d1とディスクDbの接着剤層cとはある小さな間隙を隔てた状態で真空貼り合せ機構161へ搬送される。ここで大切なことは、転写用ディスクTの光透過転写層d1は上向きにあることであり、光透過転写層の盛り上がりが生じている光透過転写層d1の外周部の未硬化部分は、次の工程で貼り合せが行われるまで、重力を受けて平坦にされる。
真空貼り合せ機構161は、二つのポジションbとcとが収まるようになっており、ディスク基板の外形サイズよりも少し大きい図示しない二つの円筒チャンバをポジションbとc上にそれぞれ有している。二つの円筒チャンバは、ターンテーブル機構159が間欠的に回転動作を行うときにはポジションbとcとの上方に待機しており、ターンテーブル機構159が停止すると、二つのチャンバが降下して、ターンテーブル機構159との小さな密閉空間を作り、図示していない真空ポンプ装置が動作して、その二つの密閉空間を真空にする。ターンテーブル機構159のポジションaで、ある一定の間隔で対向した状態に保たれた転写用ディスクTaとディスクDbとが2組形成され、それらがポジションbとcとに搬送されると、図示しない二つのチャンバが下降して二つのポジションbとcとが真空雰囲気になり、転写用ディスクTaにディスクDbが重ね合わされ、加圧力がかけられるようになっている。このようにして、転写用ディスクTaの光透過転写層d1とディスクDbの接着剤層cとの間に気泡の存在しない2枚のディスクの貼り合せが行われる。なお、必ずしも真空中で貼り合せを行う必要はなく、本件出願人が既に提案(例えば、特開平9−63127号公報)しているように、接着剤層cを光透過転写層d1に軽く接触させた状態で、相対的に回転差を持って回転させながら貼り合わせるような方法でもよい。この場合には、接着剤層cは1次硬化を行わない方が望ましい。また、別の貼り合せ方法でもよい。
図5−2(H)に示すように、転写用ディスクTaとディスクDbとを貼り合せてなるディスクDcは、鎖線矢印で示すように、ターンテーブル機構159のポジションdにおいて移載機構163によってターンテーブル機構165に移載される。ターンテーブル機構165はターンテーブル機構135と同様な構造のものであるので、説明を省略する。ターンテーブル機構165の丸印で示す透明な材料からなる載置台165Aに載置されているディスクDcは、図5−2(I)に示すように、硬化光照射装置167によって上方向から紫外線のような硬化光が照射され、2次硬化が行われる。この2次硬化工程では、上下両方向からの硬化光が接着剤層cと光透過転写層d1との全面に照射されることによって、接着剤層cと光透過転写層d1との未硬化部分が完全に硬化される。
2次硬化工程の行われたディスクDcは、移載機構147の移載アーム147Bによって、搬送ライン137に移載される。このディスクDcをターンテーブル機構165から搬送ライン137に移載する動作と、前述した搬送ライン137からターンテーブル機構135にディスクDbを移載する動作とは、移載機構147の移載アーム147Bと移載アーム147Aとによって同時に行われる。次に、搬送ライン137によって搬送されるディスクDcは、図5−3(J)に示すように、表裏反転機構169によって表裏が反転され、転写用ディスク基板Tが上側、ディスク基板Dが下側になる。そして、次の工程で転写用ディスク基板Tは剥離機構171によって光透過転写層d1から剥離され、第2の信号層a2が転写用ディスク基板Tから光透過転写層d1に転写される。剥離機構171は、2台の移載機構173と175、剥離装置177と179、転写用ディスク除去機構181と183から概略構成される。
剥離装置177、179は、同時移載機構173、175それぞれからディスクDcが移載されると、次のポジションで剥離動作を行う。この剥離は、本件出願人がすでに提案(例えば、特開2002-197731公報)しているように、ディスクDcの中央孔側から機械的な力を転写用ディスク基板Tと転写用の光透過転写層d1との間に加えて、それらの間を部分的に剥離して開き、その間に圧搾空気を与えることにより、光透過転写層d1に悪影響を与えることなく確実かつ容易に剥離を行うことができる。なお、剥離機構171については前述の剥離機構に限定されるものではない。そして、剥離された転写用ディスク基板Tは次のポジションで転写用ディスク除去機構181、183によってそれぞれ除去される。図5−3(K)に示すように、転写用ディスク基板Tが除去された転写用の光透過転写層d1が転写されたディスクDcをディスクDdという。ディスクDdは、図4の破線矢印で示すように、同時移載機構173、175によって搬送ライン137に移載される。このとき、搬送ライン137からディスクDcが剥離装置177、179に同時に移載されるのは勿論である。
次に、同時移載機構97によって、ディスクDdは第2の搬送機構の搬送ライン137のポジションZから第1の搬送機構の搬送ライン17におけるポジションYのディスク載置部17a上に移載される。ここで、ディスク載置部17aは丸印で示されているように一定間隔で複数設けられており、ディスクDdは1個おきでディスク載置部17aに載置される。ディスクDdが載置されていないディスク載置部17aには、射出成形機1によって射出成形されたディスク基板Dが移載機構15によって移載される。したがって、ディスク基板Dも1個おきでディスク載置部17aに載置される。
成膜装置19は、交互に、図5−1(B)で示したディスク基板Dの第1の信号層a1の上に反射膜b1を形成する他に、図5−3(L)で示すように、ディスクDdにおける第2の信号層a2を有する光透過転写層d1の上にAu、Ag、Si、Al、Ag合金などからなる半透明の第2の反射膜b2を成膜する。したがって、成膜装置19は、信号層が2層の光ディスクを製造する場合にも、別途、成膜装置を備える必要がないので、経済性に優れている。第2の反射膜b2が形成されたディスクDdをディスクDeという。成膜装置19以降の第1の搬送ライン17では、ディスク基板Dの信号層a1に反射膜b1の形成されたディスクDaとディスクDeとが交互に順に搬送される。ディスク蓄積部20は、前述したように、トラブルなどが発生したときにディスクDaとディスクDeとを、移載機構23の移載アーム23Aによって別々にディスク積載用回転テーブル21の積載部21Aに積載する。また、トラブルなどが回復したときには、ディスクDaとディスクDeとを交互にディスク積載用回転テーブル21の積載部21Aから第1の搬送機構の搬送ライン17に移載する。
そして、搬送ライン17の移載ポジションYで、移載機構27によってディスクDeのみが第3の搬送機構の搬送ライン29に移載される。ディスクDaは第1の搬送機構の搬送ライン17をそのまま搬送され、前述のような光透過転写層が転写される各種の処理が行われる。具体的には示さないが、搬送ライン29はほぼ一定間隔で透明な石英の円板などからなる載置台29aを有し、それら載置台に順次ディスクDeが載置される。搬送ライン29に沿って先ず、カバー層となる光透過層d2を形成する光透過層形成部31が備えられている。光透過層d2は信号層が1層のときに比べて薄く、光透過転写層d1と光透過層d2との和の厚みがほぼ100μmになるように設定される。光透過層形成部31は、同時移載機構33とディスク基板Deの第2の反射膜b2の上に液状物質を供給する液体供給機構35と、高速回転処理を行って前記液状物質をディスクDeに展延する回転処理装置37と、移載機構39とキャップ蓄積機構41とキャップ洗浄機構42とを一組とする機構を3組備える。これら3組の機構は同一であり、同時に動作する。これら組数については3組に限定されるものではなく、1組以上備えれば、生産は可能である。なお、信号層が1層の光ディスクを製造するときには、搬送ライン17上を搬送されるのはディスクDaだけであり、すべてのディスクDaが搬送ライン29に移載され、光透過層形成部31はディスクDaの反射膜b1の上にカバー層となる光透過層を形成する。
3台の同時移載機構33は、それぞれ図示しない一対の移載アームを備え、その一方の移載アームで搬送ライン29上のディスクDeを吸着保持すると同時に、他方の移載アームで回転処理装置37内で回転処理が行われたディスクDeを吸着保持し、しかる後に180°水平方向に旋回して、搬送ライン29上の3枚のディスクDeを回転処理装置37内に載置し、かつそれぞれの回転処理装置37内の3枚のディスクDeを搬送ライン29上に載置する。つまり、3台の同時移載機構33は、搬送ライン29が搬送動作を3回行う毎にディスクDeの前記移載動作を行うので、回転処理装置37における回転処理時間を1台の回転処理装置37の場合に比べて3倍長く採ることができる。
キャップ蓄積機構41は、詳細は図示しないが、キャップ蓄積機構129と同様なものであり、間欠的に回転するテーブル上に複数のキャップ部材Caを保持している。移載機構39は、搬送ライン29上のディスクDeが回転処理装置37内に移載されると、キャップ蓄積機構41からキャップ部材CaをディスクDeの不図示の中央孔を覆うように載置する。キャップ部材Caは、ディスクDeの中央孔とその中央孔に挿入されている回転処理装置37の不図示のセンターピンを覆うような特定の構造になっている。通常、ディスク基板Dは、中央孔が直径15mmで、記録領域の内径が43〜46mmであるので、キャップ部材Caの外径は18〜23mm程度である。しかし、これに限定されるものではない。
キャップ部材CaがディスクDeに被せられると、液体供給機構35はキャップ部材Caの中心点又は中心点近傍に前記液状物質を供給する。この液状物質は、透明な材料、例えばアクリル樹脂であり、スピンコート方法によって設定された厚みをもつ光透過層を形成できるよう、粘度の調整されたものである。キャップ部材Caの中心点に前記液状物質が供給されるときには、液状物質は点状に与えられるが、キャップ部材Caの中心点の近傍に前記液状物質が供給されるときには、液状物質は中心を囲む円環状に供給される。前記液状物質がキャップ部材Ca上に供給されると、回転処理装置37は高速回転を行って、遠心力により前記液状物質をディスクDe上に展延する。ディスクDe上にカバー層となる光透過層d2の形成されたディスクDfを図5−3(M)に示す。
光透過層形成部31において光透過層d2を形成する前記工程は、光透過層が比較的厚いことから、液状物質の供給と高速回転による液状物質の展延は2回以上行ってもよい。例えば、液状物質の供給と高速回転による液状物質の展延とを2回に分けて行うことによって、所定の厚みの光透過層d2を精確に、かつ短時間で形成することができる。2度の回転処理を行う場合、前記液状物質は粘度を含めて同一のものが用いられるが、必ずしもこれに限ることは無く、1度目に塗布される前記液状物質の粘度は低く、2度目に塗布される前記液状物質の粘度を高くしても良い。回転処理装置37が回転を停止し、光透過層d2の展延が終了すると、移載機構39が動作して、回転処理装置37からキャップ部材Caをキャップ蓄積機構41に戻す。この戻されたキャップ部材Caには前記液状物質が塗布されているので、戻されたキャップ部材Caは洗浄ポジションでキャップ洗浄機構43によって洗浄され、前記液状物質が除去される。この洗浄工程は、洗浄液のシャワー、又は洗浄液への浸漬など種々の方法で行われ、前記液状物質は硬化光が照射されていないので、液状の状態にあるために容易に除去される。このような工程が他の二組の機構によっても同時に行われ、これら三組の機構によりそれぞれ光透過層d2の形成されたディスクDfが搬送ライン29上に移載される。このとき、光透過層d2はまだ硬化されていない。
前にも述べたが、特に記録密度が高い高密度記録対応の光ディスクにあっては、光透過層d2の平坦性がレーザ光による情報信号の書き込み、又は再生に大きな影響を与える。したがって、光透過層d2はどの箇所も均一の厚みであることが大切である。しかしなら、スピンコート方法によって膜厚の厚い光透過層d2を均一に形成するのは極めて難しく、光透過層d2の外周部がそれよりも内側の部分に比べて厚くなってしまう傾向がある。したがって、これを防ぐ有効な対応策として、次に下記のような硬化光の照射による1次硬化工程を行う。
この1次硬化工程では、主としてディスクDfの光透過層d2の外周部を除く、他の部分に硬化光を照射して半硬化又は硬化状態にすることによりその部分の膜厚を固定化し、光透過層d2の外周部は未硬化の状態のままにしばらくおくことにより、重力又は重力と遠心力によって、その外周部も薄くなって、光透過層d2の全面で膜厚が均一化される。この1次硬化工程は、互いに同一構造の同時移載機構43と45、互いに同一構造の回転処理装置47と49、互いに同一構造のマスク機構51と53、共通のフラッシュランプ装置のような硬化光照射機構55とによって行われる。同時移載機構43、45は搬送ライン29上のディスクDfを回転処理装置47、49に移載すると同時に、図5−4(N)に示すように回転処理装置47、49において硬化光照射機構55により紫外線のような硬化光が照射されたディスクDfを搬送ライン29上に移載する。
同時移載機構43、45がディスクDfを回転処理装置47、49に移載すると、マスク機構51、53が動作して、マスク部材Maを水平方向にスライドさせ、マスク部材Maを回転処理装置47、49に載置されているディスク基板Dfの上面から僅か上方に離れて停止させる。マスク部材Maは、光透過転写層d1の1次硬化に用いたものと同じであって、図5−2(G)に示したマスク部材Maと同様である。また、マスク部材Maの下の光透過層d2に硬化光ができるだけ侵入しないように、マスク部材MaとディスクDfの上面との間の間隔は僅かであるので、回転処理装置47、49が回転処理動作を行う前に、マスク部材Maを所定位置に移動させて静止させるのが好ましい。回転処理装置47,49が回転処理動作を行っているときにマスク部材Maを所定位置まで搬送すると、気流の乱れが生じ、光透過層d2の平坦性に悪影響を与えるからである。
他方では、同時移載機構43、45が搬送ライン29上のディスク基板Dfを回転処理装置47、49に移載すると、回転処理装置47と49とから同一の位置にある共通の硬化光照射機構55は、先ず回転処理装置47の上方の設定位置まで移動する。したがって、回転処理装置47は、マスク部材Maが所定位置に設定されると、直ぐに回転動作を行うが、この回転動作は光透過層d2の膜厚を微調整することと、光透過層d2への硬化光を均一に照射するものであるので、光透過層形成部31における回転処理装置37の回転速度よりも低い回転速度で回転を行い、その回転処理の最終段階又はその直後において、フラッシュランプ装置のような硬化光照射装置55が硬化光を短時間、例えば、200ms程度均一に照射する。この硬化光の照射によって、マスク部材Maで遮光されない部分の光透過層d2は硬化又は半硬化される。しかし、マスク部材Maで遮光された光透過層d2の外周部は半硬化もされずに柔らかい状態のままにある。
硬化光照射装置55は、紫外線のような硬化光の照射を終了すると、原位置を通って回転処理装置49へ向かい、回転処理装置49の上方の設定位置に停止すると同時に、又はその直前に、回転処理装置49が回転動作を開始し、その回転処理の最終段階又はその直後において、硬化光照射装置55が硬化光を短時間均一に照射する。しかる後、硬化光照射装置55は原位置に戻ると共に、マスク機構51、53はそれぞれのマスク部材Maを回転処理装置47、49から外れている原位置まで移動させ、次の周期の動作に備える。光透過層d2の外周部だけが柔らかい状態で搬送ライン29上に戻されたディスクDgは、次の2次硬化工程で光透過層d2の全面が硬化される。前記1次硬化工程から2次硬化工程の行われるまでの時間は、光透過層d2の柔らかい外周部が重力によって厚みが低減されて平坦化される長さであり、搬送時間の長さで調整している。なお、硬化光照射装置55の照射時間は、回転処理に要する時間に比べて大幅に短い時間、例えば数百ms以下(例えば、200ms程度)の時間であるので、回転処理装置47、49に対して1台の硬化光照射装置55で対応することができ、経済的に有利である。
この2次硬化工程では、図5−4(O)に示すように、ディスクDfの上側から硬化光を照射するために、搬送ライン29の硬化ポジションの上方にフラッシュランプ装置のような硬化光照射装置57が設けられている。ディスクDfは上面から硬化光を受け、光透過層d2は全面が硬化される。そして、2次硬化工程の行われたディスクDfは搬送ライン29の終端部に搬送される。搬送ライン29の終端部には、ディスク蓄積部20と同様なディスク蓄積部59が備えられていると同時に、第3の搬送機構の第2の搬送ライン61の開始端と移載機構63とが備えられている。ディスク蓄積部59は、ディスク積載用回転テーブル59Aとスペーサ蓄積機構59Bとからなり、ディスク積載用回転テーブル59Aは複数枚のディスクDfを積載する積載部を4箇所有し、スペーサ蓄積機構59BはディスクDbが積載されるときにディスクDf間の隙間を確保するための不図示のスペーサを多数蓄積している。なお、移載機構27、搬送ライン29、光透過層形成部31から硬化光照射装置57までの各装置は、図1で示した光透過層形成機構FFを構成する。
ディスク積載用回転テーブル59Aとスペーサ蓄積機構59Bとは、前述のディスク積載用回転テーブル21とスペーサ蓄積機構23と同様なものであるので、説明を省く。ディスク蓄積部59は、製造ラインの後段でトラブルが生じたときに、第3の搬送機構の第1の搬送ライン29上の仕掛かり中のディスクを無駄にすることがないように蓄積したり、又は製造途中のディスクのサンプルを抽出するためのものである。したがって、通常の動作時には、移載機構63は、搬送ライン29の終端部のディスクDfをすべて搬送ライン61に移載する。なお、移載機構63は故障発生信号を受けるときに自動的に搬送ライン29のディスクDfをディスク蓄積部59に移載し、また、故障回復信号を受けるときにディスク蓄積部59からディスクDfを搬送ライン61に移載する。さらに、不図示のサンプル採取用ボタンを押すことによって、予め決められた枚数のディスクDfをサンプルとしてディスク蓄積部59に取り出すことができる。
搬送ライン61に移載されたディスクDfは、先ず、搬送ライン61上においてハードコート用の液状物質が液状物質供給機構65によって供給される。液状物質供給機構65は液状物質を吐出しながらほぼ1回転するノズル部65Aを有し、第3の搬送ライン61上を順次搬送されてくるディスクDfの内周側の所定位置にドーナッツ状に液状物質を供給する。この液状物質は前記光透過層用の液状物質に比べて低粘度であり、耐擦傷性に優れた特性を呈するハードコート層を形成するのに適した材料が用いられる。ディスクDfにドーナッツ状に供給された液状物質は、回転処理部67において展延され、図5−4(P)で示すような、例えば1〜3μm程度の厚みのハードコート層e1が形成される。ディスクDfにハードコート層d1の形成されたディスクをDhという。回転処理部67は、同一構成の3台の同時移載機構69と3台の高速回転処理を行う回転処理装置71とからなり、3台の移載機構69は同時に動作して第3の搬送ライン61上のディスクDfを対応する回転処理装置71に移載すると同時に、回転処理が終了したディスクDhを搬送ライン61上に移載する。以後、後の工程で処理を受けたディスクDhについてもディスクDhという。液状物質供給機構65は、搬送ライン61の近傍に配置され、ノズル部65Aが搬送ライン61上に待機しているために、処理時間を短縮することができる。
次の工程で、ハードコート層e1は硬化光照射装置73からの紫外線のような硬化光により硬化される。硬化光照射装置73は硬化光照射装置57と同様な構成のものであるので、説明を省略するが、搬送ライン61の上方だけに設けられている。ディスクDhは、二つの移載アーム75aと75bとを有する移載機構75の移載アーム75aによって、搬送ライン61からターンテーブル機構77に移載される。ターンテーブル機構77は、ディスクDhを載置する箇所を90°間隔で4ポジション有し、90度ずつ間欠的に回転する。表裏反転機構79が、搬送ライン61からディスクDhを受け取るポジションの次のポジション近傍に配置されており、ディスクDhを表裏反転する。その表裏反転によって、ディスク基板Dの裏面が上になり、次のポジションでスパッタリング装置のような成膜装置81によって、ディスク基板Dの裏面上に不図示の吸水防止用膜が形成される。この吸水防止用膜は、ディスク基板Dそのものの材質が吸水することによって、反ってしまうのを防止すると共に、金属反射膜の腐食を防止するためのものである。
ターンテーブル機構77が最初のポジションに戻ると、移載機構75の他方の移載アーム75bがディスクDhを中継台83に載置する。このとき、移載機構75の移載アーム75aが搬送ライン61からディスクDhをターンテーブル機構77に移載する動作と、移載機構75の移載アーム75bがターンテーブル機構77からディスクDhを中継台83に移載する動作とは同時に行われる。中継台83に載置されているディスクDhは移載機構85の移載アーム85aによって検査部87に移載されると共に、検査部87で検査されたディスクDhは、移載機構85の移載アーム85bによって別の中継台89に移載される。検査部87では、下方向から検査光を照射して、あるいはCCDカメラなどを利用して予め決められた検査項目に従ってディスクの検査を行う。検査結果に従って、移載機構91の一方の移載アームは良品を良品用積載機構93へ、また不良品は不良品用積載機構95へ移載され、順次積載される。
移載機構91のこの選別動作は、検査部87での検査結果による良品と不良品とを示す信号を受けて、自動的に行われる。良品用積載機構93は一般的な構造のものであって、詳細については図示しないが、ターンテーブルとその上に配置され、順次多数枚ディスクを積載できる複数のスタックポールなどからなる光ディスク積載部とからなる。なお、移載機構91の他方の移載アームは、スペーサ蓄積部96からスペーサを良品用積載機構93のディスクの上に1個宛て移載する。スペーサは積載されるディスク間の間隙を確保し、光ディスク同士が密着するのを防ぐ役割を果たす。なお、図示していないが、良品の光ディスクには必要に応じてレーベル印刷が施され、高密度記録対応の信号層が2層の光ディスクが完成する。
なお、以上述べた実施形態において、冷却機構、光透過層形成部、硬化光照射装置、接着剤層を形成するための回転処理部、貼り合せ機構、剥離機構など個々の機構や装置については別のものを用いても勿論よい。また、ディスク蓄積部、1次硬化を行う硬化光照射装置、吸水防止膜形成機構などについては、必ずしも必要でなく、必要に応じて別の構造のものを用いても構わない。