JP2006339565A - ヨーク一体型磁石 - Google Patents

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文昭 長谷川
Katsutoshi Ito
勝敏 伊藤
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Yoshitaka Sato
義隆 佐藤
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Abstract

【課題】 形状精度に優れるとともに製造も容易なヨーク一体型磁石を提供する。
【解決手段】 ヨーク一体型磁石たるトナー漏洩防止用磁性シール部材1では、軟質磁性材を含む樹脂成形体よりなるヨーク部2と、硬質磁性材を含む樹脂成形体よりなる磁石部3とが二色成形により一体化されている。ヨーク部2の材料は、上記軟質磁性材としての、平均粒径10μm〜200μmの鉄を主成分とする粉体と、熱可塑性樹脂材とで構成する。上記熱可塑性樹脂材に対する上記鉄を主成分とする粉体の混合比率は40vol%〜80vol%とすると良い。また、磁石部3の材料は、上記硬質磁性材としてのNd−Fe−B系ないしSm−Fe−N系合金磁性粉と、熱可塑性樹脂材とで構成する。
【選択図】 図3

Description

本発明はヨーク一体型磁石に関し、特に磁性シール部材等に好適に使用できるヨーク一体型磁石に関する。
図5にコピー機等のトナー漏洩防止用磁性シール部材に使用するヨーク一体型磁石の一例の外観を示す。ヨーク一体型磁石4は円弧形に湾曲成形されたシール部分41とシール部分41の一端に直線的に成形された取付部分42とからなり、シール部分41の内周がマグネットロール(図示略)両端の回転軸外周に近接するように設置されて、当該回転軸の外周に生じた隙間からの磁化トナーの漏洩を防止する。ヨーク一体型磁石4のシール部分41と取付部分42は、一枚のヨーク板5とその下面に接合された永久磁石6によって構成されている。このようなヨーク一体型磁石は例えば特許文献1に示されているように、軟質磁性薄板をプレスで打ち抜き成形したヨーク板を、金型内にインサートして、ここにFe−Nd−B系等の合金磁性粉と熱可塑性樹脂材の混合物を射出成形する。
特開2000−130602
しかし、上記従来のヨーク一体型磁石4では、プレスによるヨーク板5の打抜き加工精度が悪いとともに、ヨーク板5を金型内へインサートする際に設置誤差を生じるため、成形されたヨーク一体型磁石4の形状精度が不足して、トナー捕捉の確実性に欠け、また、モータ部品として使用した場合には十分なモータトルクを得ることができないという問題があった。さらには金型内へヨーク板5を設置するのに手間を要するという問題もあった。
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、形状精度に優れるとともに製造も容易なヨーク一体型磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のヨーク一体型磁石(1,8)では、軟質磁性材を含む樹脂成形体よりなるヨーク部(2)と、硬質磁性材を含む樹脂成形体よりなる磁石部(3)とを二色成形により一体化する。ヨーク部(2)の材料は、上記軟質磁性材としての平均粒径10μm〜200μmの鉄を主成分とする粉体と、熱可塑性樹脂材とで構成することができる。上記熱可塑性樹脂材に対する上記鉄を主成分とする粉体の混合比率は40vol%〜80vol%とすると良い。また、磁石部(3)の材料は、上記硬質磁性材としてのNd−Fe−B系ないしSm−Fe−N系合金磁性粉と、熱可塑性樹脂材とで構成することができる。
このようなヨーク一体型磁石はヨーク部と磁石部を二色成形によって一体化しているから、従来のようなヨーク板を使用するものに比して十分な形状精度が得られ、トナー漏洩防止用磁性シール部材に使用した場合には確実にトナーを捕捉してその漏洩を阻止することができる。また、金型内へヨーク板を設置するのに手間取るといった問題もない。
以上のように、本発明のヨーク一体型磁石は、形状精度に優れるとともに製造も容易なものである。
(ヨーク部材料の構成)
ヨーク部材料を構成する軟質磁性材としては鉄を主成分とする粉体(鉄粉)を使用する。その平均粒径は10μm〜200μmの範囲が好ましい。200μmを超えると、成形金型のキャビティ内に円滑に射出されず、10μmより小さいと、鉄粉の表面積が過大となって高温下での成形で酸化し、特性が低下するからである。上記鉄粉の形状はガスアトマイズ法による球体や、電解鉄粉のような異形状のものでも良い。樹脂材は熱可塑性樹脂を使用し、例えばナイロン12,ナイロン6,PPS,EEA,EVA,ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、CPVC等が使用できるが、これらに限定されるものではない。鉄粉と熱可塑性樹脂の混合比率は鉄粉の体積含率換算で40vol%〜80vol%が好ましい。40vol%より低いと目的とする磁気特性のうち飽和磁束密度Brが十分得られない。一方、80vol%を超えると、樹脂の混合比率が低いため射出成形の際に流れにくく、良好な成形物が得られない。
なお、鉄粉と熱可塑性樹脂材との結合力を増進するために、鉄粉表面にカップリング処理を行ってもよい。使用するカップリング剤としてはシラン系のγアミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等、チタネート系のテトライソプロピルチタネート、テトライソブチルオルソチタネート等、アルミニウム系のアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジルコニウム系のジルコニウムトリブトキシステアレート等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
(磁石部材料の構成)
磁石部材料を構成する硬質磁性材としてはNd−Fe−B系を主成分とする合金系の粉体(磁性粉)が使用できる。Nd−Fe−B系のほかにもフェライト、SmCo5,Sm2Co17等を使用することができる。磁性粉の平均粒径は10μm〜200μm の範囲が好ましい。 200μmを超えると、成形金型のキャビティ内に円滑に射出されず、一方、10μmより小さいと、磁性粉の表面積が過大となって高温使用において磁気性能が低下するからである。樹脂材は熱可塑性樹脂を使用し、ナイロン12,ナイロン6,PPS,EEA,EVA,ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、CPVC等が使用できるが、これらに限定されるものではない。磁性粉と熱可塑性樹脂の混合比率は磁性粉の体積含率換算で40vol%〜80vol%が好ましい。40vol%より低いと目的とする磁力が得られない。80vol%を超えると、樹脂の混合比率が低いため射出成形の際に流れにくく、良好な成形物が得られない。
なお、磁性粉と熱可塑性樹脂材との結合力を増進するために、磁性粉表面にカップリング処理を行ってもよい。使用するカップリング剤としてはシラン系のγアミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等、チタネート系のテトライソプロピルチタネート、テトライソブチルオルソチタネート等、アルミニウム系のアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、ジルコニウム系のジルコニウムトリブトキシステアレート等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
(ヨーク一体型磁石の成形)
ヨーク一体型磁石の成形は2色成形機により、まずヨーク部材料ないし磁石部材料の一方を射出成形し、型内冷却後、ヨーク部材料ないし磁石部材料の他方を射出して、ヨーク部と磁石部が一体となった製品を成形する。
ロータリ式2色成形機で2色成形を行う場合の一例を模式的に図1、図2に示す。ロータリテーブル7上に同形の一対の共通金型71A,71Bが載置されており、これらに1次金型72と2次金型73が覆着される。最初に1次金型72と共通金型71A内に磁石部材料として硬質磁性材と樹脂材の混合物を射出して(矢印)磁石部3を成形する(図1(1))。型内が冷却した後、型を開くとともにロータリテーブル7を旋回させて(図1(2))共通金型71A,71Bを入れ替え、再び1次金型72と2次金型73をそれぞれ覆着して型締めする(図1(3))。そして、1次金型72と共通金型71B内には磁石部材料として硬質磁性材と樹脂材の混合物を射出して磁石部3を成形する一方、成形された磁石部3が型内に位置する2次金型73と共通金型71A内には、ヨーク部材料として軟質磁性材と樹脂材の混合物を射出してヨーク部2を成形し、これを磁石部3と融着させて一体化させる。続いて型を開いて、磁石部3とヨーク部2が一体化したヨーク一体型磁石1を取り出し(図2(1))、ロータリテーブル7を旋回させて共通金型71A,71Bを入れ替える(図2(2))。以下、図1(3)以降を繰り返す。
表1を参照しつつ本発明の実施例と比較例について以下に説明する。なお、トナー漏れについては、ヨーク部2と磁石部3が2色成形によって一体化された、図3に示すような従来と同形のシール部分11と取付部分12を備えるトナー漏洩防止用磁性シール部材1を製作して、これを実際にトナーカートリッジに取り付けて試験した。また、フラックスリーケージ(磁気漏洩)の程度は、図4に示すような、厚板状の磁石部3と薄板状のヨーク部2を2色成形で一体化したテストピース8を製作して磁気漏洩値を測定した。磁気漏洩値の測定は、テストピース8の厚み方向(図4の矢印)へホール素子を移動させて、ヨーク部2の厚み方向略中央(図4のx点)での磁束密度を検出して磁気漏洩値としている。
(実施例1)軟質磁性材たる平均粒径50μmのガスアトマイズ純鉄粉に対して、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.1wt%濃度で処理したのち、ナイロン12を純鉄粉体積含率70vol%にて混合し、これを2軸混練機で造粒した。この造粒物をヨーク部材料とした。一方、硬質磁性材たる平均粒径60μmのMQI社製Nd−Fe−B系磁性粉MQP−Bに対してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.1wt%濃度で処理したのち、ナイロン12を磁性粉体積含率70vol%にて混合し、2軸混練機で造粒物を得て、これを磁石部材料とした。ヨーク部材料と磁石部材料を二色成形機に供給して、上述の磁性シール部材およびテストピースをそれぞれ成形した。磁性シール部材をトナーカートリッジに取り付けて試験した結果、トナー漏れは全く無かった。このときの磁気漏洩値は12mTと十分小さかった。
(実施例2)軟質磁性材たる平均粒径60μmの電解鉄粉を実施例1と同様の条件で配合し、同様の工程で磁性シール部材およびテストピースをそれぞれ成形した。磁性シール部材をトナーカートリッジに取り付けて試験した結果、トナー漏れは全く無かった。このときの磁気漏洩値は11mTと十分小さかった。
(実施例3)軟質磁性材たる平均粒径55μmのガスアトマイズ純鉄粉に対して、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.1wt%濃度で処理したのち、PPSを純鉄粉体積含率70vol%にて混合し、これを2軸混練機で造粒した。この造粒物をヨーク部材料とした。一方、硬質磁性材たる平均粒径60μmのMQI社製Nd−Fe−B系磁性粉MQP−Bに対してγ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.1wt%濃度で処理したのち、PPSを磁性粉体積含率70vol%にて混合し、2軸混練機で造粒物を得て、これを磁石部材料とした。ヨーク部材料と磁石部材料を二色成形機に供給して、磁性シール部材およびテストピースをそれぞれ成形した。磁性シール部材をトナーカートリッジに取り付けて試験した結果、トナー漏れは全く無かった。このときの磁気漏洩値は12mTと十分小さかった。
(比較例1)実施例1における純鉄粉体積含率を35vol%として同様の工程で磁性シール部材およびテストピースをそれぞれ成形した。磁性シール部材をトナーカートリッジに取り付けて試験した結果、トナー漏れを生じた。このときの磁気漏洩値は89mTと大きかった。
(比較例2)実施例1における純鉄粉体積含率を90vol%として同様の工程で磁性シール部材およびテストピースをそれぞれ成形した。磁性シール部材をトナーカートリッジに取り付けて試験した結果、トナー漏れを生じた。このときの磁気漏洩値は39mTと大きかった。また、本比較例ではヨーク部材料の流動性が悪く、金型への充填が困難になるという問題もあった。
Figure 2006339565
ヨーク一体型磁石の成形工程を示す概念的断面図である。 ヨーク一体型磁石の成形工程を示す概念的断面図である。 トナー漏洩防止用磁性シール部材の斜視図である。 テストピースの斜視図である。 従来のトナー漏洩防止用磁性シール部材の斜視図である。
符号の説明
1…トナー漏洩防止用磁性シール部材、2…ヨーク部、3…磁石部、8…テストピース。

Claims (4)

  1. 軟質磁性材を含む樹脂成形体よりなるヨーク部と、硬質磁性材を含む樹脂成形体よりなる磁石部とを二色成形により一体化したことを特徴とするヨーク一体型磁石。
  2. 前記ヨーク部の材料を、前記軟質磁性材としての、平均粒径10μm〜200μmの鉄を主成分とする粉体と、熱可塑性樹脂材とで構成した請求項1に記載のヨーク一体型磁石。
  3. 前記熱可塑性樹脂材に対する前記鉄を主成分とする粉体の混合比率を40vol%〜80vol%とした請求項2に記載のヨーク一体型磁石。
  4. 前記磁石部の材料を、前記硬質磁性材としてのNd−Fe−B系ないしSm−Fe−N系合金磁性粉と、熱可塑性樹脂材とで構成した請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のヨーク一体型磁石。
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