JP2006066828A - ゴム磁石の製造方法及びゴム磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い配向度を有するゴム磁石を提供する。
【解決手段】 磁石粉末、ゴム材並びに潤滑剤として金属石鹸及び脂肪酸を含む組成物を加圧混練して混練物を得る工程と、混練物を所定形状に成形する成形工程と、を備えることを特徴とするゴム磁石の製造方法。脂肪酸としては、固体状の脂肪酸であって、炭素数が10〜17であることが好ましく、脂肪酸としては、ミリスチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸の1種又は2種以上であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】 磁石粉末、ゴム材並びに潤滑剤として金属石鹸及び脂肪酸を含む組成物を加圧混練して混練物を得る工程と、混練物を所定形状に成形する成形工程と、を備えることを特徴とするゴム磁石の製造方法。脂肪酸としては、固体状の脂肪酸であって、炭素数が10〜17であることが好ましく、脂肪酸としては、ミリスチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸の1種又は2種以上であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム磁石の配向度の向上に関するものである。
従来、フェライト系永久磁石は、原材料が安価なことから焼結磁石やプラスチック磁石、或いはゴム磁石として様々な分野に使用されている。具体的には、モータやアクチュエータに組み込まれAV機器やOA機器から自動車分野にわたって汎用されている。現在、モータ等の小型化に伴い永久磁石体には、小径化や薄肉化の要求と寸法精度の向上を求められている。
焼結磁石は、焼結工程時に大きく収縮し、寸法精度の高いものが得られず、焼結後に加工工程を必要とするため、成形後の工程で収縮がほとんど見られない寸法精度の高い複合磁石(磁性粉と樹脂とを混合してなる永久磁石体)が用いられる。その中でも、モータ機器等に永久磁石を組み込む際には、圧入時にクラックが生じ難く接着工程を必要としないゴム磁石が好んで用いられている。例えば、特許文献1には、ニトリルゴムと高級脂肪酸系潤滑剤との配合量を規定した異方性ニトリルゴム磁石が示されている。
従来の異方性ゴム磁石の製造方法について、その例を以下に示す。まずフェライト磁石粉末とゴム材とを加圧混練して、一定の粘度の組成物を得た後、磁場中にて押出成形を行って異方性成形物を作製する。さらに、この異方性成形物に脱磁処理を行った後、必要に応じて架橋処理(熱処理)を行いゴム磁石の前駆体を得る。そして、必要なサイズに切断加工した後、着磁処理を行うことで、ゴム磁石が得られる。また、フェライト磁石粉末とゴム材との組成物をロール圧延による成形によって異方性成形物を作製する方法もある。この場合もロール圧延によって得られた均一な厚さのシートを必要なサイズに切断加工することでゴム磁石の前駆体となる。なお、取扱の便宜上、ゴム磁石の前駆体の段階で取引されることが多く、前駆体の段階の製品もゴム磁石と呼ばれている。
ゴム磁石は、ゴム特有の伸びや屈曲性を持ち合わせているが、磁石本来の特性も重要視される。
したがって、磁気特性を向上させるための高配向化技術が重要となっている。そこで本発明は、高い配向度を有するゴム磁石を提供することを目的とする。
したがって、磁気特性を向上させるための高配向化技術が重要となっている。そこで本発明は、高い配向度を有するゴム磁石を提供することを目的とする。
ゴム磁石の製造にあたって、磁石粉末、ゴム材とともに潤滑剤が添加されていた。この潤滑剤は、成形機(例えば押出成形機)との離型性向上機能、ゴム材中における磁石粉末の配向度向上機能を発揮する。従来、潤滑剤として専ら金属石鹸が用いられていた。しかし、この金属石鹸は離型性向上機能に対して有効であるものの配向度向上機能に対しては不十分なところがあること、さらに配向度向上機能に対しては脂肪酸が有効であり、金属石鹸及び脂肪酸を潤滑剤として共存させることが、離型性向上機能及び配向度向上機能の両者を具備する上で有効で、高い配向度のゴム磁石を得ることに成功した。すなわち本発明は、磁石粉末、ゴム材並びに潤滑剤として金属石鹸及び脂肪酸を含む組成物を加圧混練して混練物を得る工程と、混練物を所定形状に成形する成形工程と、を備えることを特徴とするゴム磁石の製造方法である。
本発明において、磁石粉末が、フェライト磁石粉末であることが好ましい。
また本発明において、脂肪酸は、固体状の脂肪酸であって、炭素数が10〜17のものを用いることが好ましい。
さらに本発明において、脂肪酸は、ミリスチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸の1種又は2種以上であることが、金属石鹸は、ステアリン酸の金属塩の1種又は2種以上であることが好ましい。
また本発明において、脂肪酸は、固体状の脂肪酸であって、炭素数が10〜17のものを用いることが好ましい。
さらに本発明において、脂肪酸は、ミリスチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸の1種又は2種以上であることが、金属石鹸は、ステアリン酸の金属塩の1種又は2種以上であることが好ましい。
以上の本発明を適用して製造されたゴム磁石は、フェライト磁石粉末と、フェライト磁石粉末を結着するゴム材と、潤滑剤としての金属石鹸及び脂肪酸を含む。このゴム磁石は、配向度(=残留磁束密度(Br)/[(磁石粉末の飽和磁化)×(磁石粉末のvol%)])が87%以上、シュアD硬度(JIS B 7727に準ずる)が36以上の特性を得ることができる。
このゴム磁石において、ゴム材はニトリルゴムであることが好ましい。
このゴム磁石において、ゴム材はニトリルゴムであることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、金属石鹸及び脂肪酸を潤滑剤として共存させることにより、一定硬度を確保しつつ、高い配向度のゴム磁石を製造することができる。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
本実施の形態のゴム磁石の製造方法は、図1に示すように、加圧混練工程、粉砕工程、成形工程、圧延工程、架橋処理工程及び切断工程を含む。以下、各工程について順次説明する。本発明により得られるゴム磁石は、例えば、ハウジング内に配され且つ着磁された円筒状のステーターと該ステーター内に配されたロータとから主に構成される直流モータにおける上記ステーターとして用いられるものである。
本実施の形態のゴム磁石の製造方法は、図1に示すように、加圧混練工程、粉砕工程、成形工程、圧延工程、架橋処理工程及び切断工程を含む。以下、各工程について順次説明する。本発明により得られるゴム磁石は、例えば、ハウジング内に配され且つ着磁された円筒状のステーターと該ステーター内に配されたロータとから主に構成される直流モータにおける上記ステーターとして用いられるものである。
<加圧混練工程>
磁石粉末、ゴム材、架橋剤等の添加剤を所定の割合で配合した後、加圧ニーダやミキシングロール等の混練機で加圧混練する。混練時間は0.5〜2時間程度とすればよい。
磁石粉末としてはMO・6Fe2O3(M=Sr,Ba,Pb等)で表される強磁性体であるフェライト系磁石粉末、RCo5,R2Co17(R=Sm,Y,La,Ce等の希土類元素の1種又は2種以上)で表される希土類コバルト系磁石粉末、R2Fe14Bを主相とするR−Fe−B系磁石粉末、マンガン−ビスマス系磁石粉末、マンガン−アルミニウム系磁石粉末、コバルト系磁石粉末(例えば、Al−Ni−Co系、Fe−Cr−Co系等)等を用いることができる。特にSr・フェライトが好適に使用される。Sr・フェライトは、例えば酸化鉄(Fe2O3)6モルと炭酸ストロンチウム(SrCO3)1モルとを配合混合した後、ペレット状に製粒し、反応焼成を行ない、冷却後、ボールミル等で0.5〜3.0μmに粉砕して得られる。
磁石粉末は、加圧混練物の全体に対する比率を体積比で60〜80vol%とすることが好ましい。すなわち、磁石粉末の比率が60vol%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、80vol%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
磁石粉末、ゴム材、架橋剤等の添加剤を所定の割合で配合した後、加圧ニーダやミキシングロール等の混練機で加圧混練する。混練時間は0.5〜2時間程度とすればよい。
磁石粉末としてはMO・6Fe2O3(M=Sr,Ba,Pb等)で表される強磁性体であるフェライト系磁石粉末、RCo5,R2Co17(R=Sm,Y,La,Ce等の希土類元素の1種又は2種以上)で表される希土類コバルト系磁石粉末、R2Fe14Bを主相とするR−Fe−B系磁石粉末、マンガン−ビスマス系磁石粉末、マンガン−アルミニウム系磁石粉末、コバルト系磁石粉末(例えば、Al−Ni−Co系、Fe−Cr−Co系等)等を用いることができる。特にSr・フェライトが好適に使用される。Sr・フェライトは、例えば酸化鉄(Fe2O3)6モルと炭酸ストロンチウム(SrCO3)1モルとを配合混合した後、ペレット状に製粒し、反応焼成を行ない、冷却後、ボールミル等で0.5〜3.0μmに粉砕して得られる。
磁石粉末は、加圧混練物の全体に対する比率を体積比で60〜80vol%とすることが好ましい。すなわち、磁石粉末の比率が60vol%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、80vol%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
ゴム材にはウレタンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)等を用いることが可能であるが、その中でもニトリルゴム(NBR)が好適に用いられる。NBRは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合によって得られる共重合ゴムである。NBR中のアクリロニトリル含量が18〜50%、好ましくは26〜42%である。NBRはML1+4(100℃)が25以上の高いムーニー粘度(高分子量)を有することが好ましい。より好ましいムーニー粘度は30〜60である。
NBRの具体例としては、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol」シリーズの「1041」、「1031」、「1001」、バイエル社製の「ペルブナン」シリーズ、日本合成ゴム社製の「JSR N240S」、ポリマー社製の「ポリサークライナック802」、ICI社製の「ブタコンXA−1300」等がある。
NBRの具体例としては、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol」シリーズの「1041」、「1031」、「1001」、バイエル社製の「ペルブナン」シリーズ、日本合成ゴム社製の「JSR N240S」、ポリマー社製の「ポリサークライナック802」、ICI社製の「ブタコンXA−1300」等がある。
添加剤には、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、潤滑剤、カップリング剤がある。
架橋剤としては、硫黄や過酸化物が好適に使用される。過酸化物としては、化薬アクゾ社製の「カヤメックA」、「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製の「パークミルD」、「パーヘキサ 25B」等が挙げられる。架橋剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.4〜3.0重量部、好ましくは0.6〜2.4重量部である。
架橋助剤(架橋促進剤)としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジベンゾチアジルスルフィド等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。架橋助剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.1〜15重量部、好ましくは1.0〜10重量部である。
架橋剤としては、硫黄や過酸化物が好適に使用される。過酸化物としては、化薬アクゾ社製の「カヤメックA」、「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製の「パークミルD」、「パーヘキサ 25B」等が挙げられる。架橋剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.4〜3.0重量部、好ましくは0.6〜2.4重量部である。
架橋助剤(架橋促進剤)としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジベンゾチアジルスルフィド等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。架橋助剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.1〜15重量部、好ましくは1.0〜10重量部である。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、各種のトリメリット酸エステルも好適に使用し得る。可塑剤は、ゴム材100重量部あたり10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部とする。
潤滑剤に本発明の特徴がある。本発明は、金属石鹸及び脂肪酸を潤滑剤として用いる。潤滑剤は、2つの機能を果たす。1つは後述する成形工程において例えば押出成形装置からの離型性を向上する機能であり、他の1つは磁石粉末の配向度を向上する機能である。本発明者らの検討によれば、離型性向上の機能に対しては金属石鹸が好ましく、配向度向上の機能に対しては脂肪酸が好ましい。
金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛(図2参照)、ラウリン酸カルシウム等を用いることができる。これらの中では、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
脂肪酸とは、カルボキシル基を1個もつ鎖式化合物である鎖状モノカルボン酸の総称であり、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が存在する。本発明においては、飽和脂肪酸(鎖状飽和モノカルボン酸)を用いることが好ましい。具体的には、ミリスチン酸(図3参照)、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、酪酸等を用いることができる。飽和脂肪酸の中では、固体状のものが好ましい。特に、磁石粉末がフェライトの場合には、その粒径が微細なために液体状の脂肪酸ではフェライト粉末に凝集が生じ、その後に凝集を解く作業が必要になるからである。また飽和脂肪酸の中では、炭素数が10〜17のものが配向度向上にとって好ましい。
金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛(図2参照)、ラウリン酸カルシウム等を用いることができる。これらの中では、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
脂肪酸とは、カルボキシル基を1個もつ鎖式化合物である鎖状モノカルボン酸の総称であり、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が存在する。本発明においては、飽和脂肪酸(鎖状飽和モノカルボン酸)を用いることが好ましい。具体的には、ミリスチン酸(図3参照)、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、酪酸等を用いることができる。飽和脂肪酸の中では、固体状のものが好ましい。特に、磁石粉末がフェライトの場合には、その粒径が微細なために液体状の脂肪酸ではフェライト粉末に凝集が生じ、その後に凝集を解く作業が必要になるからである。また飽和脂肪酸の中では、炭素数が10〜17のものが配向度向上にとって好ましい。
潤滑剤の添加量(金属石鹸と脂肪酸の合計)は、ゴム材100重量部に対して3〜25重量部とするのが好ましい。より好ましい潤滑剤の添加量は5〜20重量部、さらに好ましい潤滑剤の添加量は8〜15重量部である。潤滑剤の添加量が少ないと磁場中成形時の配向の低下を招き、更には、成形後に成形体にひび割れ等の原因となる。また、過剰に添加すると、成形体表面の粘着力が増大し、成形後の圧延工程においてロールへの付着原因となる。
潤滑剤に占める脂肪酸の割合は任意であるが、前述したように、脂肪酸はゴム磁石の配向度向上に有効であるものの、硬度を低下させる機能を有する。したがって、この点を考慮して潤滑剤全体に対する脂肪酸の占める割合を定めることが重要である。すなわち配向度向上効果を優先させる場合には脂肪酸の量を多くし、ゴム磁石としての硬度を優先させる場合には脂肪酸の量を少なくする。具体的には、潤滑剤に占める脂肪酸の割合は5〜95重量%とすることができ、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%とする。
潤滑剤に占める脂肪酸の割合は任意であるが、前述したように、脂肪酸はゴム磁石の配向度向上に有効であるものの、硬度を低下させる機能を有する。したがって、この点を考慮して潤滑剤全体に対する脂肪酸の占める割合を定めることが重要である。すなわち配向度向上効果を優先させる場合には脂肪酸の量を多くし、ゴム磁石としての硬度を優先させる場合には脂肪酸の量を少なくする。具体的には、潤滑剤に占める脂肪酸の割合は5〜95重量%とすることができ、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%とする。
カップリング剤はシラン系のものが好適である。シランカップリング剤は、一般式:X−R−Si(OR)3で表され、分子中に2個の異なった官能基(XとOR)を有する。そして、一方の官能基(X)は、有機質材料と化学結合する官能基(例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基など)、他方の官能基(OR)は、無機質材料と化学結合する官能基(メトキシ基、エトキシ基など)である。カップリング剤は、磁石粉末に対して0.1〜3重量%とすることが好ましい。
なお、必要に応じ、上記の成分の他、カーボンブラック等をさらに添加してもよい。
なお、必要に応じ、上記の成分の他、カーボンブラック等をさらに添加してもよい。
<粉砕、成形工程>
加圧混練工程で得られた組成物(混練物)を粉砕し、この粉砕粉末を用いて例えば押出法により成形し、シート状等の任意の形状に成形された成形体を得る。押出成形の場合、押出直後の成形体の温度は80〜120℃である。
なお、成形は磁場中または無磁場中で行うことができる。磁場中にて押出成形を行うには、金型周囲に磁場コイルを配置した押出機を使用し、例えば、磁場強度1100〜1600kA/mの条件下で成形を行えばよい。
加圧混練工程で得られた組成物(混練物)を粉砕し、この粉砕粉末を用いて例えば押出法により成形し、シート状等の任意の形状に成形された成形体を得る。押出成形の場合、押出直後の成形体の温度は80〜120℃である。
なお、成形は磁場中または無磁場中で行うことができる。磁場中にて押出成形を行うには、金型周囲に磁場コイルを配置した押出機を使用し、例えば、磁場強度1100〜1600kA/mの条件下で成形を行えばよい。
磁場中で成形を行うことにより磁石粉末を配向して、ゴム磁石に異方性を付与することができる。潤滑剤は、磁石粉末が成形時にゴム材の中での運動を容易にすることにより配向度を向上する。本発明では、特に脂肪酸がこの配向度向上にとって有効であることを見出した点に特徴がある。
磁場中で成形を行わない場合であっても、板状の磁石粉末を用いることにより、成形によってゴム磁石の異方性化を行うことができる。この場合でも、潤滑剤、特に脂肪酸は配向度向上にとって有効であることは言うまでもない。
磁場中で成形を行わない場合であっても、板状の磁石粉末を用いることにより、成形によってゴム磁石の異方性化を行うことができる。この場合でも、潤滑剤、特に脂肪酸は配向度向上にとって有効であることは言うまでもない。
<圧延工程>
成形体をロール圧延し、所望の厚さの磁性シートを得る。ロール圧延には例えばカレンダーロールを使用することができる。
圧延時の圧下率は特に限定されないが、圧下率が小さすぎると圧延回数が増える。逆に圧下率が大きすぎると残留磁束密度(Br)が低下する。したがって、圧下率は5〜60%、好ましくは 5〜30%とすればよい。例えば、磁石粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用し、押出直後の成形体の厚さが2.4mmである場合、圧延で成形体の厚さを1〜2mmとする。
成形体をロール圧延し、所望の厚さの磁性シートを得る。ロール圧延には例えばカレンダーロールを使用することができる。
圧延時の圧下率は特に限定されないが、圧下率が小さすぎると圧延回数が増える。逆に圧下率が大きすぎると残留磁束密度(Br)が低下する。したがって、圧下率は5〜60%、好ましくは 5〜30%とすればよい。例えば、磁石粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用し、押出直後の成形体の厚さが2.4mmである場合、圧延で成形体の厚さを1〜2mmとする。
圧延時の磁性シートの硬度を基準として、圧延条件を設定してもよい。例えば、磁石粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用する場合には、圧延時の磁性シートの硬度を27以下、好ましくは15〜26、より好ましくは15〜23とする。常温で圧延した場合には、磁性シートの硬度は約28である。
<架橋処理工程>
架橋処理工程では、圧延された磁性シートを160〜175℃で5〜40分保持する。架橋処理の温度が160℃未満に低くなると、架橋処理に要する時間が長くなり好ましくない。一方、175℃を超える高温下の架橋処理によっては、所望の強度、可撓性を有するボンド磁石を安定して得ることが困難である。好ましい架橋処理の条件は、処理温度が160〜170℃、保持時間が10〜30分である。
架橋処理工程では、圧延された磁性シートを160〜175℃で5〜40分保持する。架橋処理の温度が160℃未満に低くなると、架橋処理に要する時間が長くなり好ましくない。一方、175℃を超える高温下の架橋処理によっては、所望の強度、可撓性を有するボンド磁石を安定して得ることが困難である。好ましい架橋処理の条件は、処理温度が160〜170℃、保持時間が10〜30分である。
<切断工程>
切断工程では、架橋により硬化した磁性シートを所望のサイズに切断する。切断後の磁性シートは着磁処理され、ゴム磁石として使用される。本発明のゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のオフィスオートメーション機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に用いられる。
本発明により得られるゴム磁石を小型モータに適用する場合には、直径20〜30mmのモータ用ケースにシート状のゴム磁石を丸めて押し込めばよい。そのため、ゴム磁石には可撓性が必要とされるが、架橋剤を含有する本発明のゴム磁石は弾性が高く、所望の可撓性を備えている。
切断工程では、架橋により硬化した磁性シートを所望のサイズに切断する。切断後の磁性シートは着磁処理され、ゴム磁石として使用される。本発明のゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のオフィスオートメーション機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に用いられる。
本発明により得られるゴム磁石を小型モータに適用する場合には、直径20〜30mmのモータ用ケースにシート状のゴム磁石を丸めて押し込めばよい。そのため、ゴム磁石には可撓性が必要とされるが、架橋剤を含有する本発明のゴム磁石は弾性が高く、所望の可撓性を備えている。
以下の原料を配合した後、加圧ニーダで1時間、混練して組成物を得た。
<ゴム材>
ニトリルゴム(NBR) 日本合成ゴム社製N231L、ニトリルゴム中のアクリルニ トリル含量:34wt%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45
<可塑剤>
トリメット酸トリオクチルをNBR100重量部に対して23重量部配合した。
<潤滑剤>
表1に示す。
<フェライト粉末>
Sr・フェライト(平均粒径:1.3μm、圧粉密度:3.5Mg/m3)を、67vol%配合した。なお、このvol%は、以下の式に基づいている。フェライト磁石粉末以外の成分は、ゴム材及び添加剤であるが、添加剤は微量であるため、下記密度は実質的にゴム材の密度といえる。
vol%=[(密度から計算されるフェライト粉末の体積)/(各成分の密度から計算される配合物の体積)×100]、ただし、フェライト粉末の密度は5.1g/cc、ゴム磁石中のフェライト磁石粉末以外の成分の密度は1.0g/cc
<カップリング剤>
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランをフェライト粉末に対して0.2wt%配合した。
<架橋剤>
2,5−ジメチル−2,5−ジ(3級ブチルペルオキシ)ヘキサンをNBR100重量部に対して1.6重量部配合した。
<架橋助剤>
酸化マグネシウムを、NBR100重量部に対して8重量部配合した。
<ゴム材>
ニトリルゴム(NBR) 日本合成ゴム社製N231L、ニトリルゴム中のアクリルニ トリル含量:34wt%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):45
<可塑剤>
トリメット酸トリオクチルをNBR100重量部に対して23重量部配合した。
<潤滑剤>
表1に示す。
<フェライト粉末>
Sr・フェライト(平均粒径:1.3μm、圧粉密度:3.5Mg/m3)を、67vol%配合した。なお、このvol%は、以下の式に基づいている。フェライト磁石粉末以外の成分は、ゴム材及び添加剤であるが、添加剤は微量であるため、下記密度は実質的にゴム材の密度といえる。
vol%=[(密度から計算されるフェライト粉末の体積)/(各成分の密度から計算される配合物の体積)×100]、ただし、フェライト粉末の密度は5.1g/cc、ゴム磁石中のフェライト磁石粉末以外の成分の密度は1.0g/cc
<カップリング剤>
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランをフェライト粉末に対して0.2wt%配合した。
<架橋剤>
2,5−ジメチル−2,5−ジ(3級ブチルペルオキシ)ヘキサンをNBR100重量部に対して1.6重量部配合した。
<架橋助剤>
酸化マグネシウムを、NBR100重量部に対して8重量部配合した。
得られた組成物を粉砕し、この粉砕粉末を用いて金型周囲に磁場コイルを配置した押出機により磁場中押出成形して成形体を得た。なお、磁場中押出成形は磁場強度1300kA/mの条件で行なった。次いで脱磁処理を行なった後、カレンダーロールでロール圧延して均一厚さ(2.2mm)の磁性シートとした。次いで、165℃で20分保持する架橋処理を行った。
これらのゴム磁石において、配向度、残留磁束密度(Br)、ショアD硬度、屈曲性の評価を行った。なお、配向度は残留磁束密度(Br)/[(磁石粉末の飽和磁化)×(磁石粉末のvol%)]により求めた。また、ショアD硬度は、JIS B 7727に準じて測定した。屈曲性は、厚み2.2mm、幅30mmの試料を直径φ20mmの円柱に巻き付けてクラックが発生するか否かを目視観察した。
これらのゴム磁石において、配向度、残留磁束密度(Br)、ショアD硬度、屈曲性の評価を行った。なお、配向度は残留磁束密度(Br)/[(磁石粉末の飽和磁化)×(磁石粉末のvol%)]により求めた。また、ショアD硬度は、JIS B 7727に準じて測定した。屈曲性は、厚み2.2mm、幅30mmの試料を直径φ20mmの円柱に巻き付けてクラックが発生するか否かを目視観察した。
表1に示すように、潤滑剤として金属石鹸のみを添加した場合に比べて、脂肪酸をさらに添加することにより配向度、ひいては残留磁束密度(Br)が向上することがわかる。ただし、脂肪酸の添加量を増やしていくと硬度が低下する傾向がある。したがって、硬度が要求される用途については、脂肪酸の添加量を考慮する必要がある。また、φ20mmによる屈曲性試験において、全てのサンプルにおいてクラック発生は見られなかった。
Claims (8)
- 磁石粉末、ゴム材並びに潤滑剤として金属石鹸及び脂肪酸を含む組成物を加圧混練して混練物を得る工程と、
前記混練物を所定形状に成形する成形工程と、
を備えることを特徴とするゴム磁石の製造方法。 - 前記磁石粉末が、フェライト磁石粉末であることを特徴とする請求項1に記載のゴム磁石の製造方法。
- 前記脂肪酸は、固体状の脂肪酸であって、炭素数が10〜17であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム磁石の製造方法。
- 前記脂肪酸は、ミリスチン酸、カプリル酸、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム磁石の製造方法。
- 前記金属石鹸は、ステアリン酸の金属塩の1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム磁石の製造方法。
- フェライト磁石粉末と、
前記フェライト磁石粉末を結着するゴム材と、
潤滑剤としての金属石鹸及び脂肪酸と、
を含むことを特徴とするゴム磁石。 - 配向度(=残留磁束密度(Br)/[(磁石粉末の飽和磁化)×(磁石粉末のvol%)])が87%以上、
シュアD硬度(JIS B 7727に準ずる)が36以上であることを特徴とする請求項6に記載のゴム磁石。 - 前記ゴム材はニトリルゴムであることを特徴とする請求項6又は7に記載のゴム磁石。
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