JP2006156484A - ゴム磁石組成物の製造方法 - Google Patents

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昌生 阿部
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Abstract

【課題】 磁気特性を維持しつつ製造コストを低減することのできるゴム磁石組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 ゴム材及び磁性粉を所定状態まで混練する第一混練工程と、所定状態まで混練されたゴム材及び磁性粉に対して所定の添加剤を添加して混練する第二混練工程と、を備えることを特徴とするゴム磁石組成物の製造方法。第二混練工程において、所定の添加剤を40〜110℃の範囲で添加することが望ましい。第二混練工程で添加する所定の添加剤としては、滑剤、架橋剤、架橋助剤及び老化防止剤の一種又は二種以上を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム磁石組成物の製造方法に関し、特に低コストで高い磁気特性を安定して得ることのできるゴム磁石組成物の製造方法に関する。
従来、フェライト系永久磁石は、原材料が安価なことから焼結磁石やプラスチック磁石、或いはゴム磁石として様々な分野に使用されている。具体的には、モータやアクチュエータに組み込まれAV機器やOA機器から自動車分野にわたって汎用されている。現在、モータ等の小型化に伴い永久磁石体には、小径化や薄肉化の要求と寸法精度の向上を求められている。
焼結磁石は、焼結工程時に大きく収縮し、寸法精度の高いものが得られず、焼結後に加工工程を必要とするため、成形後の工程で収縮がほとんど見られない寸法精度の高い複合磁石(磁性粉と樹脂とを混合してなる永久磁石体)が用いられる。その中でも、モータ機器等に永久磁石を組み込む際には、圧入時にクラックが生じ難く接着工程を必要としないゴム磁石が好んで用いられている。例えば、特許文献1(特開昭60−14404号公報)には、ニトリルゴムと高級脂肪酸系滑剤との配合量を規定した異方性ニトリルゴム磁石が示されている。
従来の異方性ゴム磁石の製造方法について、その例を以下に示す。まずフェライト磁石粉末とゴム材とを加圧混練して、一定の粘度の組成物を得た後、磁場中にて押出成形を行って異方性成形物を作製する。さらに、この異方性組成物に脱磁処理を行った後、必要に応じて架橋処理(熱処理)を行いゴム磁石の前駆体を得る。そして、必要なサイズに切断加工した後、着磁処理を行うことで、ゴム磁石が得られる。また、フェライト磁石粉末とゴム材との組成物をロール圧延による成形によって異方性組成物を作製する方法もある。この場合もロール圧延によって得られた均一な厚さのシートを必要なサイズに切断加工することでゴム磁石の前駆体となる。なお、取扱の便宜上、ゴム磁石の前駆体の段階で取引されることが多く、前駆体の段階の製品もゴム磁石と呼ばれている。
また、特許文献2(特開2001−15319号公報)には、ペレット状のバインダ樹脂と磁性粉とをバッチ配合して混合し、得られた混合物を定量フィーダで混練押出機に供給して、押出成形することにより、樹脂バインダ中に磁性粉が混合分散したペレット状の樹脂磁石用の成形材料を得ることを特徴とする樹脂磁石組成物の製造方法が開示されている。特許文献2の製造方法によれば、樹脂バインダに磁性粉を混合分散して押出成形することにより、ペレット状の樹脂磁石組成物を製造するに当たり、樹脂原料の粉砕工程を省略して製造コストを削減し得る。
特開昭60−14404号公報 特開2001−15319号公報
特許文献2に示されるように、ゴム磁石をより低コストで製造することが望まれている。もちろん、低コストで製造されたゴム磁石であっても、磁気特性は従前と同等以上であることが望まれることはいうまでもない。
そこで本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、磁気特性を維持しつつ製造コストを低減することのできるゴム磁石組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的を達成するべく、ゴム磁石組成物の製造工程を詳細に検討した。前述したように、ゴム磁石は、はじめにゴム磁石を構成するゴム材及び磁性粉を混練する。この混練の際に、種々の添加剤を添加するが、この添加タイミングを制御することにより、混練時間を短縮できることを見出した。すなわち、特定の添加剤については、ゴム材及び磁性粉をある程度混練した後に添加することが、全体的な混練時間短縮にとって有効である。また、添加剤の添加タイミングを制御することにより、得られるゴム磁石組成物が安定して高い磁気特性を確保できることも見出した。
すなわち本発明は、ゴム材及び磁性粉を所定状態まで混練する第一混練工程と、所定状態まで混練されたゴム材及び磁性粉に対して所定の添加剤を添加して混練する第二混練工程と、を備えることを特徴とするゴム磁石組成物の製造方法である。
本発明において、所定状態まで行われる第一混練工程に引き続く第二混練工程では、所定の添加剤を40〜110℃の範囲で添加することが望ましい。この温度範囲において所定の添加剤を添加することにより、第一混練工程及び第二混練工程を含めた混練工程の時間を短縮することができるとともに、得られるゴム磁石は安定して高い磁気特性を得ることができる。
ゴム磁石における添加剤としては、種々の物質が知られているが、本発明では、滑剤、架橋剤、架橋助剤及び老化防止剤の一種又は二種以上を第二混練工程で添加することが推奨される。
本発明は、最終的にゴム磁石を製造することを目的としており、その場合、第二混練工程で得られた混練物を粉砕して粉砕物を得る工程と、粉砕物を押出成形して成形物を得る工程と、成形物を架橋処理する工程と、を少なくとも備えることになる。
以上説明したように、本発明によれば、特定の添加剤については、ゴム材及び磁性粉をある程度混練した後に添加することにより、混練時間を短縮することができる。また、添加剤の添加タイミングを制御することにより、得られるゴム磁石組成物は安定して高い磁気特性を確保できる。特に、第一混練により40〜110℃まで温度が上昇した混練物に所定の添加剤を添加することにより、混練時間の短縮、安定して高い磁気特性を得る、という効果を顕著なものとすることができる。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
本実施の形態によるゴム磁石の製造方法は、図1に示すように、混練工程、粉砕工程、成形工程、圧延工程、架橋処理工程及び切断工程を含む。以下、各工程について順次説明する。
<混練工程>
本発明は、混練工程が、一次混練及び二次混練から構成される。
一次混練は、所定の添加剤を添加しない状態でゴム材及び磁性粉を混練する工程である。一次混練に続く二次混練は、所定の添加剤を添加してゴム材及び磁性粉を混練する工程である。本発明は、このように所定の添加剤を、混練工程全体としての途中で添加することを特徴としている。本発明はこのように、所定の添加剤を、混練工程全体としての途中で添加することにより、混練工程の時間的短縮を可能とする。この理由は明らかではないが、本発明者等は以下のように推測している。添加剤が磁性粉よりもゴム材に馴染み易いために、添加剤をゴム材及び磁性粉と同時に添加するとゴム材の中に磁性粉が十分に分散しにくい状態となり、混練に時間を要する。また、原料であるゴム材、磁性粉及び添加剤を一括投入して混練を行う場合、混練時間の長時間化に加えて、混練物の粘度がロット間で変動し、後の押出成形の速度に影響するため、安定生産ができなくなる場合がある。また、得られた混練物において、磁性粉の分散状態が悪い場合には、それを用いて成形した製品の磁気特性にバラツキが生じ、磁気特性的に品質の低下が生ずるばかりでなく、歩留まりの低下、不良品多発などのトラブルの原因となる場合がある。
以上に対して、本発明のように混練工程を一次混練、二次混練というように二段階に分け、二次混練から所定の添加剤を添加することにより、混練時間を短縮するとともに、磁気特性の低下を防止することができる。ここで、混練時間の短縮とは、一次混練、二次混練をあわせた混練工程全体の時間短縮を意味している。
後述するように、ゴム磁石組成物に対する添加剤としては、種々のものが知られているが、本発明においては、全ての添加剤を二次混練において添加することを要求するものではなく、一次混練から添加しても本発明の効果に悪影響を及ぼさないとともに、当該添加剤の効果を得る上で有利となる。この点については、各種添加剤の説明の箇所で言及する。
一次混練から二次混練への移行は、混練物の温度を基準に行うことができる。本発明では、混練物の温度が40〜110℃の範囲において、好ましくは60〜100℃の範囲において、所定の添加物を添加することを推奨する。40℃未満では混練時間の短縮という効果を十分に得ることができず、また110℃を超えると混練時間は短くなるが、得られる混練物を成形した時にクラックが発生してしまう。40〜110℃の温度範囲では、温度が高くなるほど混練時間が短くなり、温度が低くなるほど得られるゴム磁石の磁気特性が高くなる傾向を示す。したがって、実際の生産においては、この点を考慮して一次混練から二次混練に移行するのがよい。なお、混練工程では、ゴム材のせん断応力によって温度が上昇する。
本発明に用いる磁性粉末としては、MO・6Fe23(M=Sr,Ba,Pb等)で表される強磁性体であるフェライト系磁石粉末、RCo5,R2Co17(R=Sm,Y,La,Ce等の希土類元素の1種又は2種以上)で表される希土類コバルト系磁石粉末、R2Fe14Bを主相とするR−Fe−B系磁石粉末、マンガン−ビスマス系磁石粉末、マンガン−アルミニウム系磁石粉末、コバルト系磁石粉末(例えば、Al−Ni−Co系、Fe−Cr−Co系等)等を用いることができる。特にSr・フェライトが好適に使用される。Sr・フェライトは、例えば酸化鉄(Fe23)6モルと炭酸ストロンチウム(SrCO3)1モルとを配合混合した後、ペレット状に製粒し、反応焼成を行ない、冷却後、ボールミル等で0.5〜3.0μmに粉砕して得られる。
磁性粉末は、加圧混練物の全体に対する比率を体積比で60〜80vol%とすることが好ましい。すなわち、磁性粉末の比率が60vol%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、80vol%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
ゴム材にはウレタンゴム、アクリルゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)等を用いることが可能であるが、その中でもニトリルゴム(NBR)が好適に用いられる。NBRは、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合によって得られる共重合ゴムである。NBR中のアクリロニトリル含量が18〜50%、好ましくは26〜42%である。NBRはML1+4(100℃)が25以上の高いムーニー粘度(高分子量)を有することが好ましい。より好ましいムーニー粘度は30〜60である。
NBRの具体例としては、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol」シリーズの「1041」、「1031」、「1001」、バイエル社製の「ペルブナン」シリーズ、日本合成ゴム社製の「JSR N240S」、ポリマー社製の「ポリサークライナック802」、ICI社製の「ブタコンXA−1300」等がある。なお、ゴム材は、通常、塊状として提供されている。
<添加剤>
添加剤には、可塑剤、カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤及び老化防止剤がある。
本発明は、これら添加剤を二次混練において添加することを特徴とする。二次混練とは、前述したように、所定の添加剤を含まない状態でゴム材と磁性粉とを混練する一次混練に引き続いて、所定の添加剤を添加した状態で行う混練をいう。
本発明においては、二次混練において添加剤を添加することを最も推奨するが、添加剤の中で可塑剤及びカップリング剤は一次混練の際にゴム材及び磁石粉とともに混練物に含まれていてもよい。以下、各添加剤について説明する。
可塑剤は、混練時又は成形時においてゴム材を柔軟にする役割を果たす。本発明に用いる可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、各種のトリメリット酸エステルも好適に使用し得る。可塑剤の添加量は、ゴム材100重量部あたり10〜30重量部、好ましくは15〜25重量部とする。
本発明において可塑剤は、二次混練以前の一次混練の段階から混練物中に含有されていてもよい。可塑剤は、上述したように、そもそもゴム材に柔軟性を付与するために添加されるものであるところ、一次混練時に含有させることにより、一次混練の終了、二次混練への迅速移行に寄与するからである。
カップリング剤は、無機物である磁性粉の表面を改質し、有機物であるゴム材との密着性を改善する役割を果たす。カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系のものが知られているが、本発明においてはシラン系のカップリング剤が好適である。シランカップリング剤は、一般式:X−R−Si(OR)3で表され、分子中に2個の異なった官能基(XとOR)を有する。そして、一方の官能基(X)は、有機質材料と化学結合する官能基(例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基など)、他方の官能基(OR)は、無機質材料と化学結合する官能基(メトキシ基、エトキシ基など)である。カップリング剤は、磁性粉末に対して0.1〜3重量%とすることが好ましい。
本発明においてカップリング剤は、可塑剤と同様に、二次混練以前の一次混練の段階から混練物中に含有されていてもよい。カップリング剤は、ゴム材と磁性粉との密着性を改善するためのものであり、混練の早期から混練物がカップリング剤を含む場合にこの効果が顕著となるからである。なお、予めカップリング剤で表面処理がなされた磁性粉を用いることにより、混練時におけるカップリング剤の添加を省略することができる。この形態も本願発明が包含することは言うまでもない。
架橋剤は、架橋操作により鎖状ゴム分子に三次元構造を形成させて、弾性体としての性質を付与する。本発明における架橋剤としては、硫黄や過酸化物が好適に使用される。過酸化物としては、化薬アクゾ社製の「カヤメックA」、「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製の「パークミルD」、「パーヘキサ 25B」等が挙げられる。架橋剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.4〜3.0重量部、好ましくは0.6〜2.4重量部である。
架橋助剤(架橋促進剤)としては、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジベンゾチアジルスルフィド等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。架橋助剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.1〜15重量部、好ましくは1.0〜10重量部である。
本発明において、架橋剤及び架橋助剤は、二次混練の際に添加される。一次混練のときから混練物に添加されていると、本発明の効果を享受することが困難となるからである。
滑剤は、ゴム材自体の流動性を向上するとともに、ゴム材と成形機の界面に働く摩擦抵抗を減少させることで流動性を高め成形性を向上する働きを有する。そのため、一般に滑剤としてはゴム材を軟化させうる非極性基と、成形機とゴム材間に介在して滑剤の働きをする極性基を有することが望まれる。本発明に用いる滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタンワックス等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸などの脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム等の金属石鹸類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、メリシルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸メチル等の脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中では、金属石鹸類が好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
滑剤の添加量(金属石鹸と脂肪酸の合計)は、ゴム材100重量部に対して3〜25重量部とするのが好ましい。より好ましい滑剤の添加量は5〜20重量部である。滑剤の添加量が少ないと磁場中成形時の配向の低下を招き、更には、成形後に成形体にひび割れ等の原因となる。また、過剰に添加すると、成形体表面の粘着力が増大し、成形後の圧延工程においてロールへの付着原因となる。
本発明において、滑剤は、架橋剤及び架橋助剤と同様に、二次混練の際に添加される。一次混練のときから混練物に添加されていると、本発明の効果を享受することが困難となるからである。
ゴムは分子鎖が活発な熱運動をしているため、酸素の拡散性が高く、そのためプラスチックに比べて酸化されやすい。また、オゾンによる主鎖解裂反応(オゾン劣化)、及び架橋鎖の崩壊も伴う繰り返し伸長による疲労劣化も受けやすい。老化防止剤は、これらの一連の劣化を阻止するために添加される。
老化防止剤としては、アルデヒド、ケトン、アミン反応性生物及びその誘導体、アミン及びその誘導体、イミダゾール類、フェノール類及びその誘導体等を用いることができる。老化防止剤の添加量は、ゴム材100重量部に対して0.5〜3.0重量部、さらには1.0〜2.5重量部とするのが好ましい。
本発明において、老化防止剤は、架橋剤及び架橋助剤と同様に、二次混練の際に添加される。一次混練のときから混練物に添加されていると、本発明の効果を享受することが困難となるからである。
添加剤は、ゴム材の種類、ゴム磁石の用途によって適宜添加されるものであり、上述した全ての種類の添加剤を添加することを本発明が必須とするものではない。
<粉砕、成形工程>
混練工程で得られた組成物(混練物)を粉砕してペレット化し、このペレットを用いて例えば押出法により成形し、シート状等の任意の形状に成形された成形体を得る。押出成形の場合、押出直後の成形体の温度は80〜120℃である。
なお、成形は磁場中または無磁場中で行うことができる。磁場中にて押出成形を行うには、金型周囲に磁場コイルを配置した押出機を使用し、例えば、磁場強度1100〜1600kA/mの条件下で成形を行えばよい。
磁場中で成形を行うことにより磁性粉末を配向して、ゴム磁石に異方性を付与することができる。滑剤は、磁性粉末が成形時にゴム材の中での運動を容易にすることにより配向度を向上する。本発明では、特に脂肪酸がこの配向度向上にとって有効であることを見出した点に特徴がある。
磁場中で成形を行わない場合であっても、板状の磁性粉末を用いることにより、成形によってゴム磁石の異方性化を行うことができる。この場合でも、滑剤、特に脂肪酸は配向度向上にとって有効であることは言うまでもない。
<圧延工程>
成形体をロール圧延し、所望の厚さの磁性シートを得る。ロール圧延には例えばカレンダーロールを使用することができる。
圧延時の圧下率は特に限定されないが、圧下率が小さすぎると圧延回数が増える。逆に圧下率が大きすぎると残留磁束密度(Br)が低下する。したがって、圧下率は5〜60%、好ましくは5〜30%とすればよい。例えば、磁性粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用し、押出直後の成形体の厚さが2.4mmである場合、圧延で成形体の厚さを1〜2mmとする。
圧延時の磁性シートの硬度を基準として、圧延条件を設定してもよい。例えば、磁性粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用する場合には、圧延時の磁性シートの硬度を27以下、好ましくは15〜26、より好ましくは15〜23とする。常温で圧延した場合には、磁性シートの硬度は約28である。
<架橋処理工程>
架橋処理工程では、圧延された磁性シートを160〜175℃で5〜40分保持する。架橋処理の温度が160℃未満に低くなると、架橋処理に要する時間が長くなり好ましくない。一方、175℃を超える高温下の架橋処理によっては、所望の強度、可撓性を有するゴム磁石を安定して得ることが困難である。好ましい架橋処理の条件は、処理温度が160〜170℃、保持時間が10〜30分である。
<切断工程>
切断工程では、架橋により硬化した磁性シートを所望のサイズに切断する。切断後の磁性シートは着磁処理され、ゴム磁石として使用される。本発明のゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のオフィスオートメーション機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に用いられる。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
異方性のSrフェライト粉末(日本弁柄工業(株)製、NF56、平均粒径1.1μm)9kgをカップリング剤(信越化学工業(株)製 KBE846)18gともに攪拌して表面処理を施した。カップリング剤で表面処理されたSrフェライト粉末とゴム材として市販の塊状アクリロニトリルーブタジエン共重合体(JSR(株)製)600gを混合した後、フェライト粉末とゴム材を混練用のニーダに投入した。
フェライト粉末及びゴム材の投入とともに以下の添加剤を添加した後に混練を行った。また、フェライト粉末及びゴム材のみをニーダにより表1に示す温度になるまで混練(一次混練)を行った後に、以下の添加剤を添加しさらに混練(二次混練)を行った。ニーダによる混練を行い、混練物が140℃になった時点で混練の完了とした。
得られた樹脂磁石組成物の一部(50g)を取り出し、混練物の粘性を測定した。また、得られたゴム磁石組成物を用い、押出金型によりゴム磁石(断面30×2.4mmの板状成形物)を複数成形し、磁気特性を測定した。これらの測定結果も表1に示す。
Figure 2006156484
表1に示すように、添加剤をフェライト粉末及びゴム材と同時に添加した場合には、混練時間が100分の混練時間を要したが、二次混練の際に添加剤を添加すると混練時間が短縮することがわかる。なお、この混練時間は、一次混練と二次混練の合計時間である。二次混練の際に添加剤を添加する場合、添加する温度が高いほど混練時間が短くなることがわかる。
また、磁気特性(残留磁束密度(Br))についてみると、添加剤をフェライト粉末及びゴム材と同時に添加した場合には、残留磁束密度(Br)が250〜260mTと10mTの幅がある。これに対して、二次混練の際に添加剤を添加する場合には、残留磁束密度(Br)の値自体、添加剤をフェライト粉末及びゴム材と同時に添加した場合に比べて高く、かつその変動範囲も5mT以下と小さいことがわかる。
本実施の形態におけるゴム磁石の製造工程を示すフローチャートである。

Claims (4)

  1. ゴム材及び磁性粉を所定状態まで混練する第一混練工程と、
    所定状態まで混練された前記ゴム材及び前記磁性粉に対して所定の添加剤を添加して混練する第二混練工程と、
    を備えることを特徴とするゴム磁石組成物の製造方法。
  2. 前記第二混練工程において、前記所定の添加剤を40〜110℃の範囲で添加することを特徴とする請求項1に記載のゴム磁石組成物の製造方法。
  3. 前記所定の添加剤は、滑剤、架橋剤、架橋助剤及び老化防止剤の一種又は二種以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム磁石組成物の製造方法。
  4. 前記第二混練工程で得られた混練物を粉砕して粉砕物を得る工程と、
    前記粉砕物を押出成形して成形物を得る工程と、
    前記成形物を架橋処理する工程と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム磁石組成物の製造方法。
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