JP2006086290A - ゴム磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硬度を維持し又は低下を最低限に抑えつつ、耐屈曲性を向上し、屈曲させて使用する用途に好適なゴム磁石を提供する。
【解決手段】 磁石粉末と、磁石粉末を結着するゴム材と、ゴム材中に含まれるマグネシウム成分と、を備えるゴム磁石は、硬度を維持しつつ耐屈曲性を向上することができる。マグネシウム成分は、マグネシウム含有化合物に由来し、このマグネシウム含有化合物は、酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムであることが望ましい。また、マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部含有することが望ましい。
【選択図】図1
【解決手段】 磁石粉末と、磁石粉末を結着するゴム材と、ゴム材中に含まれるマグネシウム成分と、を備えるゴム磁石は、硬度を維持しつつ耐屈曲性を向上することができる。マグネシウム成分は、マグネシウム含有化合物に由来し、このマグネシウム含有化合物は、酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムであることが望ましい。また、マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部含有することが望ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム磁石に関し、特にその硬度を維持しながら耐屈曲性を向上したゴム磁石に関するものである。
従来、フェライト系永久磁石は、原材料が安価なことから焼結磁石やプラスチック磁石、或いはゴム磁石として様々な分野に使用されている。具体的には、モータやアクチュエータに組み込まれAV機器やOA機器から自動車分野にわたって汎用されている。現在、モータ等の小型化に伴い永久磁石体には、小径化や薄肉化の要求と寸法精度の向上を求められている。
焼結磁石は、焼結工程時に大きく収縮し、寸法精度の高いものが得られず、焼結後に加工工程を必要とするため、成形後の工程で収縮がほとんど見られない寸法精度の高い複合磁石(磁性粉と樹脂とを混合してなる永久磁石体)が用いられる。モータ機器等には、従来から焼結磁石を用いることが一般的であったが、ゴム磁石は永久磁石として組み込む際に工程が簡便で接着工程を必要としない場合が多いため、最近では好んで用いられている。例えば、特許文献1には、ニトリルゴムと高級脂肪酸系滑剤との配合量を規定した異方性ニトリルゴム磁石が示されている。
従来の異方性ゴム磁石の製造方法について、その一例を以下に示す。この製造方法では、まずフェライト磁石粉末とゴム材とを加圧混練して、一定の粘度の組成物を得た後、押出成形を行って異方性成形物を作製する。さらに、ロール圧延をして均一厚さのシートとなし、必要に応じて架橋処理を行いゴム磁石の前駆体を得る。そして、必要なサイズに切断加工した後、着磁処理を行うことで、ゴム磁石が得られる。なお、取扱の便宜上、ゴム磁石の前駆体の段階で取引されることが多く、前駆体の段階の製品もゴム磁石と呼ばれており、本発明でも同様に扱うものとする。
シート状のゴム磁石は、扁平な状態で使用されることもあるが、上述のように例えばモータ機器に組込む場合は円筒状に屈曲されてモータのケーシング内に挿入される。ケーシング内に挿入されるゴム磁石は、屈曲されることによりクラックが生じないという耐屈曲性を有することが要求される。また、ゴム磁石には、ケーシング内に挿入された状態を維持するための硬度が必要である。ところが、ゴム磁石は磁気特性向上のためにフィラーであるフェライト磁石粉末を65vol%程度と高い値で含有している。そのために、適度な硬度を維持しながら耐屈曲性を向上させることは容易ではなかった。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、硬度を維持し又はその低下を最小限に抑えつつ、耐屈曲性を向上できるゴム磁石の提供を目的とする。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、硬度を維持し又はその低下を最小限に抑えつつ、耐屈曲性を向上できるゴム磁石の提供を目的とする。
ゴム磁石は、磁石粉末及びゴム材の他に種々の添加剤を含む。本発明者は、添加剤の一つとしてマグネシウム成分を添加することに、本発明の目的を達成できることを知見した。すなわち本発明のゴム磁石は、磁石粉末と、磁石粉末を結着するゴム材と、ゴム材中に含まれるマグネシウム成分と、を含み、磁石粉末の重量が全重量に対し85〜95%であることを特徴としている。
本発明において、マグネシウム成分は、マグネシウム含有化合物に由来するものであって、特に酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムであることが好ましい。また、マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部含有することが耐屈曲性にとって好ましい。さらに、酸化マグネシウムは、30m2/g以上の比表面積を有することが耐屈曲性にとって好ましい。
本発明のゴム磁石における磁石粉末の種類は限定されないが、フェライト磁石粉末であることが好ましい、またゴム材としてはニトリルゴムが好ましい。
本発明において、マグネシウム成分は、マグネシウム含有化合物に由来するものであって、特に酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムであることが好ましい。また、マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部含有することが耐屈曲性にとって好ましい。さらに、酸化マグネシウムは、30m2/g以上の比表面積を有することが耐屈曲性にとって好ましい。
本発明のゴム磁石における磁石粉末の種類は限定されないが、フェライト磁石粉末であることが好ましい、またゴム材としてはニトリルゴムが好ましい。
本発明によれば、硬度を維持し又は低下を最低限に抑えつつ、耐屈曲性を向上することができるので、屈曲させて使用する用途に好適なゴム磁石となる。
以下、実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
本実施の形態のゴム磁石は、磁石粉末、ゴム材及びマグネシウム成分を含む。さらに、マグネシウム成分以外の添加剤を含むことができる。
本実施の形態のゴム磁石は、磁石粉末、ゴム材及びマグネシウム成分を含む。さらに、マグネシウム成分以外の添加剤を含むことができる。
磁石粉末としてはMO・6Fe2O3(M=Sr,Ba,Pb等)で表されるフェライト系磁石粉末、RCo5,R2Co17(R=Sm,Y,La,Ce等の希土類元素の1種又は2種以上)で表される希土類コバルト系磁石粉末、R2Fe14Bを主相とするR−Fe−B系磁石粉末、マンガン−ビスマス系磁石粉末、マンガン−アルミニウム系磁石粉末、コバルト系磁石粉末(例えば、Al−Ni−Co系、Fe−Cr−Co系等)等を用いることができる。特にSr・フェライトあるいはLa及び/又はCoを含有するSr・フェライトが好適に使用される。Sr・フェライトは、例えば酸化鉄(Fe2O3)6モルと炭酸ストロンチウム(SrCO3)1モルとを配合混合した後、ペレット状に製粒し、反応焼成を行ない、冷却後、ボールミル等で0.5〜3.0μmに粉砕して得られる。
磁石粉末は、全重量に対して85〜95重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは88〜93重量%である。すなわち、磁石粉末の比率が85重量%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、95重量%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
磁石粉末は、全重量に対して85〜95重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは88〜93重量%である。すなわち、磁石粉末の比率が85重量%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、95重量%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
ゴム材にはニトリルゴム(NBR)が好適に用いられる。NBRは、アクリロニトリルとブタジエエンとの共重合によって得られる共重合ゴムである。NBRの具体例としては、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol」シリーズの「1041」、「1031」、「1001」、バイエル社製の「ペルブナン」シリーズ、日本合成ゴム社製の「JSR N240S」等がある。
NBRは本発明にとって好適であるが、それに限定されるものではなく、天然ゴム又はNBR以外の合成ゴム、熱可塑性エラストマーを用いることができる。合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、熱可塑性エラストマーとしてはスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系などのエラストマー、さらにはABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等のように乳化重合によって製造される樹脂を用いることができる。
本発明のゴム磁石は、添加剤の1つとして、マグネシウム成分を含む。本発明において、マグネシウム成分を含む、とは、添加物質の形態を問わず、ゴム磁石の状態でマグネシウムが常法にしたがって検出されることをいう。したがって、例えば金属マグネシウムの形態で添加した後に、ゴム磁石の製造過程でマグネシウムを含む化合物に変化した場合も、当該化合物のマグネシウムを検出することができれば、本発明におけるマグネシウム成分を含むに該当する。また、マグネシウム化合物の形態で添加した後に、ゴム磁石の製造過程で他のマグネシウムを含む化合物に変化した場合も、当該化合物のマグネシウムを検出することができれば、本発明におけるマグネシウム成分を含むに該当する。例えば、マグネシウム成分として酸化マグネシウムを添加したとして、添加剤としてさらにステアリン酸を添加すると、ゴム磁石中には酸化マグネシウムとともに又は変わってステアリン酸マグネシウムが存在するような場合である。
添加することのできるマグネシウム成分としては、金属マグネシウム、マグネシウム含有化合物がある。金属マグネシウムとしては、純マグネシウム、マグネシウム合金を用いることができる。マグネシウム含有化合物としては、酸化マグネシウム(MgO)、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムカルボン酸塩、マグネシウムのアルコラート類、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、塩化マグネシウム(MgCl2)を用いることができるが、この中では酸化マグネシウム(MgO)及び/又はステアリン酸マグネシウムを用いることが最も好ましい。
マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部の範囲で含有させることが好ましい。0.3重量部未満では耐屈曲性の向上の効果が十分でなく、また6重量部を超えると磁気特性の低下を無視できなくなるためである。さらに好ましいマグネシウム含有化合物の量は1〜4重量部、より好ましいマグネシウム含有化合物の量は1.5〜3.5重量部である。
マグネシウム含有化合物が酸化マグネシウムの場合、後述する実施例に示すように、その比表面積(BET値)が大きいほど耐屈曲性の向上効果が大きい。本発明では、比表面積(BET値)が、30m2/g以上、さらには70m2/g以上、さらに好ましくは110m2/g以上とする。
ところで、ゴム磁石にMgOあるいはステアリン酸マグネシウムを添加することは概念的に知られていた。例えば、特許文献2には、剛性を補うための充填材としてMgOウイスカーを添加することが開示されている。また、特許文献3には、潤滑剤として、MgO、ステアリン酸マグネシウムの添加の可能性を示唆している。しかし、特許文献2においては、MgOはZnO、TiO2、SnO2、Al2O3等から選択的に添加され得ることを開示しているにすぎない。また、特許文献3においても、数多くの組成物の中から選択的に添加され得る可能性を示しているにすぎない。このように特許文献2、3は、本発明で見出した耐屈曲性の向上の効果について開示、示唆するものではない。
マグネシウム成分以外の添加剤としては、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、滑剤、老化防止剤、カップリング剤を適宜用いることができる。
架橋剤としては、硫黄や過酸化物が好適に使用される。過酸化物としては、化薬アクゾ社製の「カヤメックA」、「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製の「パークミルD」、等が挙げられる。架橋剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.4〜3.0重量部、好ましくは0.6〜2.4重量部である。
架橋助剤(架橋促進剤)としては、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類等の公知の物質を用いることができ、具体的には酸化亜鉛、ジベンゾチアジルスルフィド等を用いることができる。これらは2種以上を併用してもよい。架橋助剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
架橋剤としては、硫黄や過酸化物が好適に使用される。過酸化物としては、化薬アクゾ社製の「カヤメックA」、「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製の「パークミルD」、等が挙げられる。架橋剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.4〜3.0重量部、好ましくは0.6〜2.4重量部である。
架橋助剤(架橋促進剤)としては、アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類等の公知の物質を用いることができ、具体的には酸化亜鉛、ジベンゾチアジルスルフィド等を用いることができる。これらは2種以上を併用してもよい。架橋助剤の配合量は、ゴム材100重量部あたり0.1〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部である。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル等が挙げられる。また、各種のトリメリット酸エステルも好適に使用し得る。可塑剤は、ゴム材100重量部あたり30重量部以下とする。
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタンワックス等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸などの脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム等の金属石鹸類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、メリシルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸メチル等の脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中では、金属石鹸類が好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。滑剤の添加量は、ゴム材100重量部に対して1〜25重量部とするのが好ましい。
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタンワックス等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸などの脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム等の金属石鹸類;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、メリシルアルコール等の高級アルコール類;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸メチル等の脂肪酸エステルが挙げられる。これらの中では、金属石鹸類が好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。滑剤の添加量は、ゴム材100重量部に対して1〜25重量部とするのが好ましい。
老化防止剤としては、アルデヒド、ケトン、アミン反応性生物及びその誘導体、アミン及びその誘導体、イミダゾール類、フェノール類及びその誘導体等を用いることができる。老化防止剤の添加量は、ゴム材100重量部に対して0.5〜3重量部とするのが好ましい。
カップリング剤は必要に応じて使っても良く、シラン系のものが好適である。シランカップリング剤は、一般式:X−R−Si(OR)3で表され、分子中に2個の異なった官能基(XとOR)を有する。そして、一方の官能基(X)は、有機質材料と化学結合する官能基(例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基など)、他方の官能基(OR)は、無機質材料と化学結合する官能基(メトキシ基、エトキシ基など)である。カップリング剤は、磁石粉末に対して3重量%以下とすることが好ましい。
本発明のゴム磁石は、混練工程、粉砕工程、成形工程、圧延工程、架橋処理工程及び切断工程からなる一連の工程を経ることにより製造することができる。なおこの工程は必ずしも必須ではなく、状況によって省略しても本発明の主旨を損なうものではない。以下、各工程について順次説明する。本発明により得られるゴム磁石は、例えば、ケーシング内に配され且つ着磁された円筒状のステーターと該ステーター内に配されたロータとから主に構成される直流モータにおける上記ステーターとして用いることができる。
<混練工程>
磁石粉末、ゴム材、マグネシウム成分、架橋剤等の必要とする成分を所定の割合で配合した後、加圧ニーダやミキシングロール等の混練機で混練する。混練時間は0.5〜2時間程度とすればよい。
磁石粉末、ゴム材、マグネシウム成分、架橋剤等の必要とする成分を所定の割合で配合した後、加圧ニーダやミキシングロール等の混練機で混練する。混練時間は0.5〜2時間程度とすればよい。
<粉砕、成形工程>
混練工程で得られた組成物(混錬物)を粉砕し、この粉砕粉末を用いて例えば押出法により成形し、シート状等の任意の形状に成形された成形体を得る。
なお、成形は磁場中又は無磁場中で行うことができる。磁場中にて押出成形を行うには、金型周囲に磁場コイルを配置した押出機を使用し、例えば、磁場強度500〜1600kA/mの条件下で成形を行えばよい。磁場中で成形を行うことにより磁石粉末を配向して、ゴム磁石に異方性を付与することができる。
混練工程で得られた組成物(混錬物)を粉砕し、この粉砕粉末を用いて例えば押出法により成形し、シート状等の任意の形状に成形された成形体を得る。
なお、成形は磁場中又は無磁場中で行うことができる。磁場中にて押出成形を行うには、金型周囲に磁場コイルを配置した押出機を使用し、例えば、磁場強度500〜1600kA/mの条件下で成形を行えばよい。磁場中で成形を行うことにより磁石粉末を配向して、ゴム磁石に異方性を付与することができる。
<圧延工程>
成形体をロール圧延し、所望の厚さの磁性シートを得る。ロール圧延には例えばカレンダーロールを使用することができる。
圧延時の圧下率は特に限定されないが、圧下率が小さすぎると圧延回数が増える。逆に圧下率が大きすぎると残留磁束密度(Br)が低下する。したがって、圧下率は5〜60%、好ましくは 5〜30%とすればよい。例えば、磁石粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用し、押出直後の成形体の厚さが2.4mmである場合、圧延で成形体の厚さを1〜2mmとする。
磁場中で成形を行わない場合であっても、板状性に優れた磁石粉末を用い、カレンダーロールを通すことにより、成形によってゴム磁石の異方性化を行うことができる。
成形体をロール圧延し、所望の厚さの磁性シートを得る。ロール圧延には例えばカレンダーロールを使用することができる。
圧延時の圧下率は特に限定されないが、圧下率が小さすぎると圧延回数が増える。逆に圧下率が大きすぎると残留磁束密度(Br)が低下する。したがって、圧下率は5〜60%、好ましくは 5〜30%とすればよい。例えば、磁石粉末としてフェライト粉末、ゴム材としてNBRを使用し、押出直後の成形体の厚さが2.4mmである場合、圧延で成形体の厚さを1〜2mmとする。
磁場中で成形を行わない場合であっても、板状性に優れた磁石粉末を用い、カレンダーロールを通すことにより、成形によってゴム磁石の異方性化を行うことができる。
<架橋処理工程>
架橋処理工程では、圧延された磁性シートを150〜200℃で5〜60分保持する。架橋処理の温度が150℃未満に低くなると、架橋処理に要する時間が長くなるばかりか架橋が不十分となって硬度がとれなくなるので、好ましくない。一方、200℃を超える高温下の架橋処理によっては、熱によるゴムの老化が著しくなり、所望の強度、可撓性を有するゴム磁石を安定して得ることが困難である。
架橋処理工程では、圧延された磁性シートを150〜200℃で5〜60分保持する。架橋処理の温度が150℃未満に低くなると、架橋処理に要する時間が長くなるばかりか架橋が不十分となって硬度がとれなくなるので、好ましくない。一方、200℃を超える高温下の架橋処理によっては、熱によるゴムの老化が著しくなり、所望の強度、可撓性を有するゴム磁石を安定して得ることが困難である。
<切断工程>
切断工程では、架橋により硬化した磁性シートを所望のサイズに切断する。切断後の磁性シートは着磁処理され、ゴム磁石として使用される。本発明のゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のオフィスオートメーション機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に用いられる。
本発明により得られるゴム磁石を小型モータに適用する場合には、例えば直径20〜30mmのモータ用ケースにシート状のゴム磁石を丸めて挿入すればよい。
切断工程では、架橋により硬化した磁性シートを所望のサイズに切断する。切断後の磁性シートは着磁処理され、ゴム磁石として使用される。本発明のゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のオフィスオートメーション機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に用いられる。
本発明により得られるゴム磁石を小型モータに適用する場合には、例えば直径20〜30mmのモータ用ケースにシート状のゴム磁石を丸めて挿入すればよい。
以下の原料を配合した後、加圧ニーダで1時間、混練して組成物を得た。
<フェライト粉末>
Sr・フェライト(平均粒径:1.3μm、圧粉密度:3.5g/cm3):810g
<ゴム材>
ニトリルゴム(NBR):90g(日本ゼオン社製DN3335、ニトリルゴム中のアクリロニトリル含量:34wt%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):31)
<架橋剤>
硫黄:0.7g
<架橋助剤>
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド:0.6g
<老化防止剤>
N,N'−ジ−β−ナフチル−パラフェニレンジアミン:1.0g
<その他>
表1に示す通り。なお、表1中の酸化マグネシウム(MgO)は以下の通り。
B148:比表面積(BET値)が148m2/g
B75:比表面積(BET値)が75m2/g
B30:比表面積(BET値)が30m2/g
<フェライト粉末>
Sr・フェライト(平均粒径:1.3μm、圧粉密度:3.5g/cm3):810g
<ゴム材>
ニトリルゴム(NBR):90g(日本ゼオン社製DN3335、ニトリルゴム中のアクリロニトリル含量:34wt%、ムーニー粘度ML1+4(100℃):31)
<架橋剤>
硫黄:0.7g
<架橋助剤>
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド:0.6g
<老化防止剤>
N,N'−ジ−β−ナフチル−パラフェニレンジアミン:1.0g
<その他>
表1に示す通り。なお、表1中の酸化マグネシウム(MgO)は以下の通り。
B148:比表面積(BET値)が148m2/g
B75:比表面積(BET値)が75m2/g
B30:比表面積(BET値)が30m2/g
得られた組成物を粉砕し、この粉砕粉末を用いて金型周囲に磁場コイルを配置した押出機により磁場中押出成形して幅15mm、厚さ3mmの成形体を得た。なお、磁場中押出成形は磁場強度630kA/mの条件で行なった。次いで、170℃で20分保持する架橋処理を行った後に、長さ10cmに切断し、その後着磁した。
これらのゴム磁石について、ショアD硬度の測定を行った。ショアD硬度は、JIS K 6253に準じて測定した。
また、これらのゴム磁石について、耐屈曲性を評価した。耐屈曲性の評価は、φ35mm、φ30mm、φ25mm、φ20mmの丸棒Bに図1に示すようにゴム磁石RMを90°の角度をつけて巻き付け、クラック、破断の有無を目視で観察した。
以上の評価結果を表1に示す。なお、表1において、耐屈曲性は以下のように定義される。
○:クラック及び破断無し、△:クラック発生、破断無し、×:破断
これらのゴム磁石について、ショアD硬度の測定を行った。ショアD硬度は、JIS K 6253に準じて測定した。
また、これらのゴム磁石について、耐屈曲性を評価した。耐屈曲性の評価は、φ35mm、φ30mm、φ25mm、φ20mmの丸棒Bに図1に示すようにゴム磁石RMを90°の角度をつけて巻き付け、クラック、破断の有無を目視で観察した。
以上の評価結果を表1に示す。なお、表1において、耐屈曲性は以下のように定義される。
○:クラック及び破断無し、△:クラック発生、破断無し、×:破断
表1に示すように、No.1〜13とNo.14を比較すると、酸化マグネシウム(MgO)、ステアリン酸マグネシウム(Mg)を添加することにより、硬度を維持したまま又は低下したとしても僅かでありながら、耐屈曲性を向上できることがわかる。
No.7〜9又はNo.10〜12の比較より、この耐屈曲性は、酸化マグネシウム(MgO)及びステアリン酸マグネシウム(Mg)の量が多いほど向上する傾向にある。
また、No.2とNo.3〜6の比較より、酸化マグネシウムの比表面積が大きいほど耐屈曲性向上に有効であることがわかる。
さらに、No.9とNo.14を比較すれば、潤滑剤として添加されていたステアリン酸亜鉛に対して本発明が推奨するステアリン酸マグネシウムの耐屈曲性向上の効果が顕著である。また、No.10、11とNo.14の比較から、ZnOに対するMgOの耐屈曲性向上の効果が著しい。以上の結果より、Mg含有化合物の耐屈曲性向上に対する効果が明らかとなった。
No.7〜9又はNo.10〜12の比較より、この耐屈曲性は、酸化マグネシウム(MgO)及びステアリン酸マグネシウム(Mg)の量が多いほど向上する傾向にある。
また、No.2とNo.3〜6の比較より、酸化マグネシウムの比表面積が大きいほど耐屈曲性向上に有効であることがわかる。
さらに、No.9とNo.14を比較すれば、潤滑剤として添加されていたステアリン酸亜鉛に対して本発明が推奨するステアリン酸マグネシウムの耐屈曲性向上の効果が顕著である。また、No.10、11とNo.14の比較から、ZnOに対するMgOの耐屈曲性向上の効果が著しい。以上の結果より、Mg含有化合物の耐屈曲性向上に対する効果が明らかとなった。
Claims (7)
- 磁石粉末と、
前記磁石粉末を結着するゴム材と、
前記ゴム材中に含まれるマグネシウム成分と、
を含み、前記磁石粉末の重量が全重量に対し85〜95%であることを特徴とするゴム磁石。 - 前記マグネシウム成分は、マグネシウム含有化合物に由来することを特徴とする請求項1に記載のゴム磁石。
- 前記マグネシウム含有化合物は、酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムであることを特徴とする請求項2に記載のゴム磁石。
- 前記マグネシウム含有化合物は、ゴム材100重量部に対して0.3〜6重量部含有することを特徴とする請求項2に記載のゴム磁石。
- 前記酸化マグネシウムは、30m2/g以上の比表面積を有することを特徴とする請求項3に記載のゴム磁石。
- 前記磁石粉末は、フェライト磁石粉末であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム磁石。
- 前記ゴム材は、ニトリルゴムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゴム磁石。
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