JP2005268484A - ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボンド磁石の製造方法において、磁石粉末の凝集を抑制して、高い磁気特性が得られること。
【解決手段】 磁石粉末と有機物バインダーとを混合してなるボンド磁石の製造方法であって、磁石粉末と有機物バインダー(ゴム材)とを混練処理して混合体とする混練工程S1と、混合体を所定形状に成形する成形工程S4とを有し、混練工程S1時に、溶媒で希釈したカップリング剤を添加する。または、混練工程時S1に、カップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ゴムとフェライト磁石粉末とを混合してなるゴム磁石等のボンド磁石の製造方法に関する。
従来、フェライト系永久磁石は、原材料が安価なことから焼結磁石やプラスチック磁石、或いはゴム磁石として様々な分野に使用されている。具体的には、モータやアクチュエータに組み込まれAV機器やOA機器から自動車分野にわたって汎用されている。現在、モータ等の小型化に伴い永久磁石体には、小径化や薄肉化の要求と寸法精度の向上を求められている。
前記焼結磁石は、焼結工程時に大きく収縮し、寸法精度の高いものが得られず、焼結後に加工工程を必要とするため、成形後の工程で収縮がほとんど見られない寸法精度の高い複合磁石(磁性粉と樹脂とを混合してなる永久磁石体)が用いられる。その中でも、モータ機器等に永久磁石を組み込む際には、圧入時にクラックが生じ難く接着工程を必要としないゴム磁石が好んで用いられている。例えば、特許文献1には、ニトリルゴムと高級脂肪酸系滑剤との配合量を規定した異方性ニトリルゴム磁石が示されている。
従来の異方性ゴム磁石の製造方法について、その一例を以下に示す。この製造方法では、まずフェライト磁石粉末とゴムとを加圧混練して、一定の粘度の組成物を得た後、磁場中にて押出成形を行って異方性成形物を作製する。さらに、この異方性成形物に脱磁処理を行った後、ロール圧延をして均一厚さのシートとなし、必要に応じて架橋処理(熱処理)を行いゴム磁石の前駆体を得る。そして、必要なサイズに切断加工した後、着磁処理を行うことで、ゴム磁石が得られる。なお、取扱の便宜上、ゴム磁石の前駆体の段階で取引されることが多く、前駆体の段階の製品もゴム磁石と呼ばれている。
上記の様な異方性ゴム磁石は、磁石の原料となるフェライトの結晶配向(C軸)がゴム中において一定方向に揃っており、着磁処理により一方向に磁力が形成される性質を有し、そのため強力な磁石となる。また、ゴム磁石は、衝撃に強く且つ薄物製品が容易に得られ、しかも、任意の形状に成形できる。従って、上述したように、異方性ゴム磁石は、電気機械の分野、OA機器の分野などで広く使用されている。
ゴム磁石は、ゴム特有の伸びや屈曲性を持ち合わせていることを特徴としているが、その一方で、保形性を維持するために磁石粉末とゴム材との結合を促進するカップリング剤や架橋処理が重要となっている。例えば、特許文献2には、永久磁石磁性粉体の粉末とシラン系カップリング剤が添加されたバインダーとを混練してなるボンド磁石が開示されている。また、特許文献3には、フェライト磁石粉末をアルカリ処理した後に表面処理剤にて処理するボンド磁石の製法が示されている。この特許文献3の実施例には、γ−アミノプロピルトリエトキシシランと水との混合液を滴下したフェライト磁石粉末とナイロン樹脂とを混合させることが記載されている。
特開昭60−14404号公報(第1−2頁) 特開昭60−163941号公報(第1頁) 特開平5−41314号公報(第2−3頁)
しかしながら、上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来の製法では、磁石粉末とゴム材とを混練する際にカップリング剤を添加混合する場合、カップリング剤によって磁石粉末が凝集し、ゴム材の中に磁石粉末が均一に分散しない不都合があった。このように磁石粉末が均一に分散しないとき、後の工程にある磁場中成形にて磁石粉末の配向が不十分となり磁気特性の劣化を引き起こす。また、カップリング剤をフェライト磁石粉末に混練前に滴下する方法では、フェライト磁石粉末が凝集し易く、特にナイロン樹脂とは粘度に差があるゴム材との混練処理においては、フェライト磁石粉末を均一に分散させることが困難であった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、カップリング剤による磁石粉末の凝集を抑制して、高い磁気特性が得られるボンド磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のボンド磁石の製造方法は、磁石粉末と有機物バインダーとを混合してなるボンド磁石の製造方法であって、磁石粉末と有機物バインダーとを混練処理して混合体とする混練工程と、混合体を所定形状に成形する成形工程とを有し、混練工程時に、溶媒で希釈したカップリング剤を添加することを特徴とする。
このボンド磁石の製造方法では、磁石粉末と有機物バインダーとの混練時に、カップリング剤が溶媒によって分散した状態で投入されるため、混練と同時にカップリング剤が均一に分散添加されることになり、磁石粉末の凝集が抑制され、均一な混練により磁気特性が向上する。
本発明のボンド磁石の製造方法は、カップリング剤の希釈濃度を50wt%以下とすることが好ましい。
このボンド磁石の製造方法は、希釈濃度が50wt%以下と十分に希釈されたカップリング剤により、磁石粉末の凝集を十分に抑制して、混練のより高い均一性が得られる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、溶媒が水であることが好ましい。
このボンド磁石の製造方法では、溶媒に水を利用するので、ゴム材等の有機物バインダーと反応しないと共に、コストや扱い易さの点で優れている。
本発明のボンド磁石の製造方法は、混練工程時に加熱によって混合体の残留水分量を調整することが好ましい。
このボンド磁石の製造方法では、加熱によって残留水分量を調整することにより、水分の揮発量をコントロールして成形後の特性に好適な残留水分量を得ることができる。特に、混合体を成形して得られるボンド磁石の硬度維持及び可撓性の劣化防止を図ることができる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、混練工程後の残留水分量をWrとすると、0<Wr≦0.05wt%の範囲に残留水分量を調整することが好ましい。
このボンド磁石の製造方法では、上記の範囲内に残留水分量を調整することにより、成形後の架橋処理時の膨れや可撓性が劣化して生じるひび割れ等を防ぐことができる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、混練工程時に混合体を100℃以上に加熱しながら加圧混練することが好ましい。
このボンド磁石の製造方法では、100℃以上の加熱状態で加圧混練することにより、水分の揮発が良好に行われると共に、加圧によって磁石粉末を有機物バインダーに均一分散させやすくなる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、混練工程時に、混合体の全体量に対する磁石粉末の混合比率を体積比で60〜80vol%とすることが好ましい。
このボンド磁石の製造方法では、磁石粉末の混合比率を上記の範囲内とすることにより、磁気特性と混合体の成形性とを両立させることができる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、有機物バインダーがニトリルゴムであることを特徴とする。
このボンド磁石の製造方法では、有機物バインダーがニトリルゴムであるので、耐熱性と耐油性に優れたゴム磁石を得ることができる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、磁石粉末と有機物バインダーとを混合してなるボンド磁石の製造方法であって、磁石粉末と有機物バインダーとを混練処理して混合体とする混練工程と、混合体を所定形状に成形する成形工程とを有し、混練工程時に、カップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加することを特徴とする。
このボンド磁石の製造方法では、混練工程時に、カップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加することにより、カップリング剤が磁石粉末全体に均一に添加されて、滴下等の局所的なカップリング剤の投入で生じるフェライト磁石粉末の凝集を抑制することができる。
本発明のボンド磁石の製造方法は、カップリング剤の添加をスプレー法を用いて行うことを特徴とする。
このボンド磁石の製造方法では、スプレー法を用いてカップリング剤を添加するので、磁石粉末全体に対して均一に霧状のカップリング剤を分散添加することができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るボンド磁石の製造方法によれば、磁石粉末と有機物バインダーとの混練時に、溶媒で希釈したカップリング剤を添加するので、混練と同時にカップリング剤が均一に分散添加されることになり、磁石粉末の凝集が抑制され、均一な混練により高い磁気特性のボンド磁石を得ることができる。
本発明に係るボンド磁石の製造方法によれば、混練工程時に、カップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加することにより、カップリング剤が磁石粉末全体に均一に添加されて、磁石粉末の凝集が抑制され、均一な混練が可能になる。
以下、本発明に係るボンド磁石の製造方法の第1実施形態を、図1を参照しながら説明する。
本実施形態のボンド磁石の製造方法は、例えば有機物バインダーであるゴム材とフェライト磁石粉末とを混合してなる異方性ゴム磁石(ボンド磁石)を製造する方法である。この異方性ゴム磁石は、例えば、ハウジング内に配され且つ着磁された円筒状のステーターと該ステーター内に配されたロータとから主に構成される直流モータにおける上記ステーターとして用いられるものである。
まず、図1に示すように、ゴム材と、フェライト磁石粉末と、所定の添加剤と、溶媒で希釈したカップリング剤とを加圧混練処理して混合体(ゴム磁石用成形素体)とする混練工程(ステップS1)を行う。
この混練工程S1では、100℃以上に加熱した加圧混練機(加圧ニーダー)にて上記材料を混合する。
前記ゴム材には、耐熱性と耐油性とに優れたニトリルゴムが選択される。該ニトリルゴムは、十分な可撓性を得るためにムーニー粘度が30〜50のものを用いる。
ニトリルゴム(NBR)は、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合によって得られる共重合ゴムである。斯かるNBRの市販品としては、例えば、日本ゼオン社製の「Nipol」シリーズの「1041」、「1031」、「1001」、バイエル社製の「ペルブナン」シリーズ、日本合成ゴム社製の「JSR N240S」、ポリマー社製の「ポリサークライナック802」、ICI社製の「ブタコンXA−1300」等がある。
前記フェライト磁石粉末は、MO・6Fe(M=Sr、Ba、Pb)で表される強磁性体であり、特にSr・フェライトが好適に使用される。例えば、Sr・フェライトは、酸化鉄(Fe)6モルと炭酸ストロンチウム(SrCO)1モルとを配合した後、ペレット状に製粒し、約1100℃の高温キルンで反応焼成を行い、冷却後、ボールミル等で0.5〜3.0μmに粉砕して得られる。なお、この焼成と粉砕条件とにより、得られるフェライトの特性は異なる。
前記カップリング剤は、シラン系のカップリング剤が多く用いられる。シランカップリング剤は、一般式:X−R−Si(OR)で表され、分子中に2個の異なった官能基(XとOR)を有する。そして、一方の官能基(X)は、有機質材料と化学結合する官能基(例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基など)、他方の官能基(OR)は、無機質材料と化学結合する官能基(メトキシ基、エトキシ基など)であり、これらの組合せにより、各種のシランカップリング剤が市販されている。例えば、その一例としては、GE東芝シリコーン社製の「TSL8331」、信越化学工業社製の「KBM602」、東レダウコーニングシリコーン社製の「SH6062」、味の素社製の「プレンアクト」等が挙げられる。
このカップリング剤を希釈する溶媒としては、水を含むものが好ましい。なお、アルコール類なども溶媒として考えられるが、ゴム材の溶剤となるものやゴム材と過剰な反応する物質は不適であり、水が最も好ましい。また、水としては、コストと扱い易さとの点から、蒸留水、純水、水道水等を使用することが好ましく、酸化物であるフェライト磁石粉末に使用しても問題がない。
カップリング剤の希釈濃度は、20〜50wt%の範囲であることが好ましい。これは、希釈濃度が20wt%未満であると、ゴム材及びフェライト磁石粉末に対して溶媒の量が過多になり、混練設備が過大になってしまうためである。また、希釈濃度が50wt%を超えると、カップリング剤の分散効果が少なくなり、フェライト磁石粉末の十分な凝集抑制効果が得られず、混練の高い均一性が得にくくなるためである。
上記希釈カップリング剤の添加方法は、ゴム材とフェライト磁石粉末との混練中に直接希釈カップリング剤を容器などで添加してもよいが、より全体的に一様に分散させて添加することができるスプレー法を用いて添加する方が好ましい。
また、上記希釈カップリング剤を添加するタイミングは、ゴム材とフェライト磁石粉末に前記希釈カップリング剤を添加してから混練しても、混練中に添加しても良い。
前記所定の添加剤としては、滑剤、架橋剤、架橋助剤(架橋促進剤)、可塑剤が用いられる。
滑剤としては、例えば、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタルワックス等のワックス類;ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム等の金属石鹸類;スレアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリルアルコール、ラウリンアルコール、メリシルアルコール等の高級アルコール類:ステアリン酸ブチル、ステアリン酸メチル等の脂肪酸エステルが挙げられる。なお、これらの中では、金属石鹸類が好ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート類等のフタル酸エステル類が挙げられる。また、各種のトリメリット酸エステルも好適に使用される。
また、架橋剤としては、例えば硫黄や過酸化物(化薬アクゾ社製「カヤメックA」「トリゴノックスTMBH」、日本油脂社製「パークミルD」「パーヘキサ25B」)が用いられる。
架橋助剤としては、例えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ジベンゾチアジルスルフィド等が用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。
本実施形態においては、必要に応じ、上記の成分の他、カーボンブラック等の添加成分を使用することができる。
また、本実施形態においては、前記の各成分の使用割合は、ニトリルゴム100重量部に対し、可塑剤の割合が10〜30wt%、滑剤の割合が8〜30wt%とされる。
この混練工程S1では、加熱によってフェライト磁石粉末とゴム材との混合体の残留水分量Wrを、混練処理後に0<Wr≦0.05wt%の範囲内になるように調整する。
また、混合体の全体量に対するフェライト磁石粉末の混合比率を、体積比で60〜80vol%に設定する。
次に、加圧混練処理され一定の粘度とされた混合体を、粉砕処理(ステップS2)した後、磁場中にて押出成形(ステップS3)して異方性成形物とし、この異方性成形物を、脱磁処理を行い、さらにロール圧延して均一厚さのシートとする成形工程(ステップS4)を行う。次に、必要に応じて架橋処理を行うための熱処理工程(ステップS5)を行い、ゴム磁石の前駆体を得る。そして、この前駆体を必要なサイズに切断加工(ステップS6)した後、着磁処理を行い製品が得られる。
通常、磁場中押出成形には金型周囲に磁場コイルを配置した押出機が使用される。また、ロール圧延にはカレンダーロールが使用され、処理回数は1回または複数回繰り返しても良い。
磁場中押出成形によって得られる異方性成形物における配向度は80%以上とされる。磁場中押出成形の条件は、例えば、磁場強度1100〜1600kA/mとされる。磁場中押出成形によって得られる異方性成形物における配向度は好ましくは85%以上である。また、異方性ゴム磁石シートの場合の厚さは任意であるが、直流モータにおけるステーター用途の場合の厚さは、通常0.5〜3mmである。
なお、ステーター用に円筒体とするには、異方性ゴム磁石シートを円筒状に加工して得ることができる。また、着磁は、通常、ハウジング内に異方性ゴム磁石の円筒体を配置した後に行なわれる。
本実施形態では、フェライト磁石粉末とゴム材との混練時に、カップリング剤が溶媒によって希釈され分散した状態で投入されるため、混練と同時にカップリング剤が均一に分散してフェライト磁石粉末の凝集が抑制され、均一な混練により磁気特性が向上する。また、溶媒に水を用いるので、ゴム材と反応しないと共に、コストや扱い易さの点で優れている。さらに、酸化物であるフェライト磁石粉末に使用しても不都合が生じない。
また、加熱によって0<Wr≦0.05wt%の範囲に残留水分量Wrを調整することにより、成形後の架橋処理時の膨れや可撓性が劣化して生じるひび割れ等を防ぐことができる。これは、残留水分量Wrが0wt%であると、混合体を成形してなるゴム磁石の可撓性が劣化し、ひび割れ等の問題が生じるために、適量の可塑剤が必要となるためである。また、残留水分量Wrが0.05wt%を超えると、混合体を成形した後の架橋処理(熱処理工程S5)時に膨れ等の不具合が発生し、最終的なゴム磁石の硬度が低くなってしまうためである。
さたに、加圧ニーダーにより、100℃以上に加熱しながら加圧混練することにより、水分の揮発が良好に行われると共に、加圧によってフェライト磁石粉末をゴム材に均一分散させやすくなる。
そして、混合体の全体量に対するフェライト磁石粉末の混合比率を体積比で60〜80vol%としているので、磁気特性と成形性とを両立させることができる。すなわち、フェライト磁石粉末の混合比率が60vol%未満であると磁気特性(特に残留磁束密度Br)が不十分となり、混合比率が80vol%を超えると混合体の押出成形が困難になるためである。
次に、本発明に係るボンド磁石の製造方法の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態において説明した同一の工程については、その説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では希釈したカップリング剤を混練時に添加するのに対し、第2実施形態のボンド磁石の製造方法では、混練工程時に、原液のカップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加する点である。すなわち、本実施形態では、カップリング剤を原液の状態で、スプレー法を用いてフェライト磁石粉末とゴム材との混練時に分散投入する。これにより、溶媒による希釈を行わずとも、カップリング剤がフェライト磁石粉末全体に均一に分散添加されて、滴下等の局所的なカップリング剤の投入で生じるフェライト磁石粉末の凝集を抑制することができる。
また、スプレー法を用いてカップリング剤を添加するので、フェライト磁石粉末全体に対して均一に霧状のカップリング剤を分散添加することができる。
次に、本発明に係るボンド磁石の製造方法を、実施例により具体的に説明する。
まず、混練工程S1において、ゴム材(ニトリルゴム(NBR))、可塑剤、滑剤、架橋剤、架橋助剤、フェライト磁石粉末、カップリング剤(シランカップリング剤)を、表1に示す配合割合で混合した。
なお、フェライト磁石粉末の混合割合は、混合体全体量に対する体積百分率で示している。すなわち、フェライト磁石粉末含有率は、以下の式に基づく。
フェライト磁石粉末含有率:[(密度から計算されるフェライト磁石粉末の体積)/(各成分の密度から計算される配合物(混合体)の体積)]×100
但し、フェライト磁石粉末の密度は、5.1Mg/m、有機物(樹脂)成分の密度(カーボンブラックを含む)は、1.0Mg/mとしている。なお、無機成分の密度は文献値とする。
実施例としては、カップリング剤の原液をスプレー法による噴霧添加した場合(実施例A)、水で75wt%に希釈したカップリング剤を通常添加した場合(実施例B)、水で75wt%に希釈したカップリング剤を噴霧添加した場合(実施例C)、水で50wt%に希釈したカップリング剤を通常添加した場合(実施例D)、水で33wt%に希釈したカップリング剤を通常添加した場合(実施例E)、水で25wt%に希釈したカップリング剤を通常添加した場合(実施例F)、水で25wt%に希釈したカップリング剤を噴霧添加した場合(実施例G)、水で10wt%に希釈したカップリング剤を通常添加した場合(実施例H)にそれぞれ分けて設定した。
比較として、カップリング剤を原液のまま通常添加した場合(比較例A)も併せて表1に示す。
なお、カップリング剤の配合割合は、フェライト磁石粉末に対する重量百分率である。また、上記通常添加とは、容器に入ったカップリング剤(溶液)をそのまま加圧ニーダーに流し込んだ場合である。
滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、架橋剤としては、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3級ブチルベルオキシ)ヘキサン、架橋助剤としては、酸化マグネシウムをそれぞれ使用した。
これらの各配向割合で混練工程S1を行ったものを、同条件で最終製品のゴム磁石とし、これらのゴム磁石において、残留磁束密度Br、屈曲性、ショアD硬度、凝集の有無について評価した。なお、屈曲性は、厚み2.2mm、幅30mmの試料を直径φの異なる円柱に巻き付けて目視観察した。その際、クラックが発生しない円柱の最小直径を最小屈曲径として、その値を表1に記載した。また、ショアD硬度は、JIS B 7727に準じて測定した。
Figure 2005268484
この表1からわかるように、原液のカップリング剤を通常添加した場合(比較例A)は、凝集が生じているのに対し、カップリング剤を十分に希釈した場合は、通常添加及び噴霧添加のいずれも凝集が生じなかった(実施例D〜H)。なお、カップリング剤を75wt%に希釈して通常添加した場合(実施例B)は、凝集が少なくなり希釈の効果が見受けられるものの一部に凝集が生じていた。しかしながら、カップリング剤を75wt%に希釈して噴霧添加した場合(実施例C)は、凝集が生じなかった。さらに、原液のカップリング剤を噴霧添加した場合(実施例A)も、凝集が生じなかった。
このように、50wt%以下に十分に希釈されたカップリング剤の場合は、通常添加及び噴霧添加のいずれも十分な凝集抑制効果が得られている。また、原液や70wt%の希釈が少ないカップリング剤の場合は、噴霧添加により、十分な凝集抑制効果が得られている。
そして、希釈カップリング剤を添加した場合は、いずれも原液カップリング剤の通常添加に比べて、残留磁束密度Brが向上し、270mTを超える残留磁束密度Brが得られている。また、これらは、いずれも良好な屈曲性が得られている。なお、ショアD硬度としては、ゴム磁石として30以上が要求される。したがって、この基準からみると、希釈度合いが最も高い実施例Hを除いて、良好なショアD硬度が得られている。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本発明では磁石粉末として上記のフェライト磁石粉末に限らず、希土類磁石粉末について適用することができる。希土類磁石粉末としては、R−TM−B系磁石粉末(Rは希土類元素の1種又は2種以上、TMはFe、又はFe及びCo)、R−Co系磁石粉末に適用することができる。ここで、RはYを含む概念を有しており、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu及びYの1種又は2種以上から選択される。さらに、保磁力を改善するために、Al、Cr、Mn、Mg、Si、Cu、C、Nb、Sn、W、V、Zr、Ti、Mo、Bi、Ag及びGaなどの元素を1種又は2種以上を含有することもできる。また、R−Co系磁石粉末は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、好ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に好ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、好ましくはSmCo17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo系を主体とする副相が存在する。
上記本実施形態では、有機物バインダーとしてゴム材を採用しているが、他の有機物バインダー(例えば、エラストマー、プラスチック等の樹脂)を用いても構わない。
本発明に係るボンド磁石は、通常、シートの形態で得られるが、その形態は任意であり、例えば、棒状体などであってもよい。
本発明の異方性ゴム磁石は、各種の分野、例えば、小型直流モータ、タイマー、発電機、リードスイッチ等の電気機械の分野、複写機、電卓、プリンタ、電話、キーボード等のOA機器の分野、チャック、ステッカー、教材用具などの吸着力利用分野で好適に利用される。
本発明に係る第1実施形態のボンド磁石の製造方法において、製造プロセスを示すフローチャートである。
符号の説明
S1 混練工程、S4 成形工程、S5 熱処理工程、S6 切断加工

Claims (10)

  1. 磁石粉末と有機物バインダーとを混合してなるボンド磁石の製造方法であって、
    前記磁石粉末と前記有機物バインダーとを混練処理して混合体とする混練工程と、
    前記混合体を所定形状に成形する成形工程とを有し、
    前記混練工程時に、溶媒で希釈したカップリング剤を添加することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  2. 前記カップリング剤の希釈濃度を、50wt%以下とすることを特徴とする請求項1に記載のボンド磁石の製造方法。
  3. 前記溶媒が水であることを特徴とする請求項1又は2に記載のボンド磁石の製造方法。
  4. 前記混練工程時に、加熱によって前記混合体の残留水分量を調整することを特徴とする請求項3に記載のボンド磁石の製造方法。
  5. 前記混練工程後の前記残留水分量をWrとすると、0<Wr≦0.05wt%の範囲に前記残留水分量を調整することを特徴とする請求項4に記載のボンド磁石の製造方法。
  6. 前記混練工程時に、前記混合体を100℃以上に加熱しながら加圧混練することを特徴とする請求項4又は5に記載のボンド磁石の製造方法。
  7. 前記混練工程時に、前記混合体の全体量に対する前記磁石粉末の混合比率を体積比で60〜80vol%とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のボンド磁石の製造方法。
  8. 前記有機物バインダーがニトリルゴムであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のボンド磁石の製造方法。
  9. 磁石粉末と有機物バインダーとを混合してなるボンド磁石の製造方法であって、
    前記磁石粉末と前記有機物バインダーとを混練処理して混合体とする混練工程と、
    前記混合体を所定形状に成形する成形工程とを有し、
    前記混練工程時に、カップリング剤を空間的に一様に分散させた状態で添加することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  10. 前記カップリング剤の添加は、スプレー法を用いて行うことを特徴とする請求項9に記載のボンド磁石の製造方法。
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