JP2006336120A - 無機繊維紙およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極めて小さな繊維径を有しながら優れた耐熱性を示す繊維を含む無機繊維紙を提供すること。
【解決手段】耐熱温度が1000℃以上である無機化合物からなり、繊維径が1μm以下である繊維が、全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなる、無機繊維紙。
【選択図】なし

Description

本発明は無機繊維紙およびその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は平均繊維径1μm以下の耐熱性繊維から構成される無機繊維紙およびその製造方法に関する。
無機繊維紙とは、ガラス繊維や炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維など無機化合物よりなる繊維を主な素材として、紙的性質を与える加工をしたもので耐熱性や電気特性、機械特性を始めとした様々な特性を付与することが出来、幅広い用途へ展開されている。
特にシリカ・アルミナ繊維よりなるセラミック系無機繊維紙は、優れた耐熱性や断熱性、機械特性を活かして、フィルターや摩擦剤、断熱材などへの応用が検討されている。
シリカ・アルミナ繊維は、従来、シリカとアルミナ系原料を約半々の割合で千数百度の炉で溶融し、圧縮空気やスピナーで吹き飛ばして繊維化しており、製法上非繊維状粒子が50%位含まれており、無機繊維紙として使用するためには該非繊維状粒子を除去しなければならなかった。
また、従来得られている無機繊維紙は、それを構成する繊維の直径が比較的大きいため、薄膜化が困難であるという問題があった。
これらを解決する手段として、主体繊維である繊維径5μm以下のガラスチョップドストランドを全繊維重量の50%以上含み湿式抄紙法によってつくられたプリント配線板用ガラス繊維不織布(例えば、特許文献1)や平均繊維径7μm以上のガラスチョップドストランドを50mass%以上と平均繊維径が1μm以下のシリカ極細繊維を3〜20mass%とを含む不織布(例えば、特許文献2)などが提案されている。
しかしながら、上記手段においてはいずれもガラスチョップドストランドを含むため耐熱性が不十分であるという問題があった。
特開平11−189957号公報 特開2004−183178号公報
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、極めて小さな繊維径を有しながら優れた耐熱性を示す繊維を含む無機繊維紙を提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、極めて簡便な方法で上記無機繊維紙を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、
耐熱温度が1000℃以上である無機化合物からなり、繊維径が1μm以下である繊維が、全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなる、無機繊維紙によって達成することができる。
さらに、本発明の他の目的は、
水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液に繊維形成性の溶質を溶解させる段階と、前記繊維形成性の溶質を含む水溶液から静電紡糸法にて紡糸する段階と、前記紡糸によって捕集基板に累積される繊維構造体を得る段階と、前記累積された繊維構造体を焼成する段階と、前記焼成によって得られる繊維を開繊する段階と、開繊された繊維を抄紙する段階とを含む、繊維径1μm以下の無機化合物からなる繊維が全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなる無機繊維紙の製造方法によって達成される。
本発明の無機繊維紙は、非常に小さな繊維径を有する繊維から形成されることにより、繊維自体の特性は維持しつつ薄型化することが可能であり、例えば、透過性の良い耐熱フィルターや電子回路板用積層物の基材などに良好に用いることができる。また、非常に大きな表面積を有する無機繊維紙を得ることが出来る。
また、得られる無機繊維紙はそのまま使用することもできるし、また取り扱い性やその他の要求事項に合わせて他の部材と組み合わせて用いることもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の無機繊維紙は、耐熱温度が1000℃以上である無機化合物からなり、繊維径が1μm以下である繊維が全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなることを特徴とする。
該無機化合物の耐熱温度が1000℃以下だと、耐熱性が不十分であり好ましくない。耐熱温度が1000℃以上であるとは、無機化合物を空気雰囲気下、1000℃で1時間保持した場合に、溶融、膨張などにより繊維形状が破壊されず、繊維形状を保持していることを指している。より好ましくは1100℃以上である。
該無機化合物としては、セラミックスであることが、断熱性や耐腐食性等の観点から好ましく、特に酸化物系セラミックスがより好ましい。
酸化物には、具体的にAl、SiO、TiO、LiO、NaO、MgO、CaO、SrO、BaO、B、P、SnO、ZrO、KO、CsO、ZnO、Sb、As、CeO、V、Cr、MnO、Fe、CoO、NiO、Y、Lu、Yb、HfOなどが挙げられ、また前記化合物を複数含むものも含まれる。
該無機化合物としては、アルミニウム元素を含むものが、その入手容易性や熱特性、機械特性などの観点から好ましく、アルミニウム元素とケイ素元素を含むものがより好ましい。
該無機化合物からなる繊維の繊維径が1μmより大きいと、無機繊維紙の薄型化が困難となり、また無機繊維紙の表面積も小さくなるため好ましくない。好ましい繊維径は10nm〜700nmであり、より好ましくは20nm〜500nmである。
該無機化合物からなる繊維の、繊維集合体中に占める割合が40重量%より小さいと、得られる無機繊維紙の表面積が小さくなり好ましくない。好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。
繊維集合体には、繊維径1μmを越える合成繊維、天然繊維、無機繊維が含まれていてもよく、繊維形状以外の成分(例えば無機粒子、接着剤など。)が含まれていてもよい。
なお、本発明において繊維集合体とは、短繊維及び/又は長繊維が交絡して、または交絡することなく集合した状態のものをいう。
該繊維集合体としては、その繊維長が5μm以下の繊維を実質的に含まないことが、好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、走査型電子顕微鏡によって任意の場所を観察しても5μm以下の繊維長を有する繊維が観察されないことを意味し、5μm以下の繊維長を有する繊維が含まれると、得られる無機繊維紙の力学強度が不十分となる。好ましくは、10μm以下の繊維長を有する繊維を実質的に含まないことであり、更に好ましくは100μm以下の繊維長を有する繊維を含まないことである。
また、繊維集合体に更にバインダー成分を混合することで、無機繊維紙の力学特性を改善することも可能である。
本発明の無機繊維紙を製造するには、前述の無機繊維紙が得られる手法であればいずれも採用することができるが、水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液に繊維形成性の溶質を溶解させる段階と、前記繊維形成性の溶質を含む水溶液から静電紡糸法にて紡糸する段階と、前記紡糸によって捕集基板に累積される繊維構造体を得る段階と、前記累積された繊維構造体を焼成する段階と、前記焼成によって得られる繊維を開繊する段階と、開繊された繊維を抄紙する段階とを含む、無機繊維紙の製造方法を好ましい一態様として挙げることができる。
ここで、静電紡糸法とは繊維形成性の化合物を溶解させた溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曳糸し、形成される繊維状物質を捕集基板上に累積することによって繊維を得る方法であって、繊維状物質とは、繊維形成性化合物を溶解させた溶媒が留去して繊維を形成している状態のみならず、該溶媒が繊維状物質に含まれている状態も示している。
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
前述の電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示しさえすれば用いることができ、また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。
また、静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3つを越える数の電極を使う場合も含むものとする。
次に静電紡糸法による本発明の繊維構造体を構成する繊維の製造手法について順を追って説明する。
まず、水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液について説明する。ここで、水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液に含まれる化合物には、水への溶解性を示し、続く焼成工程によって酸化物系セラミックスが形成されるものであれば用いることが出来きるが、例えば、水酸化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、過硫酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、ホウ酸塩、スルファミン酸塩、過ヨウ素酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩などが代表的な化合物として挙げられる。
アルミニウム塩化物としては、溶解度が水100重量部に対して50〜500重量部であるアルミニウム塩化物が好ましく、例えば塩基性塩化アルミニウムが挙げられる。塩基性塩化アルミニウムとは、Al(OH)3−XClの一般式で表される化合物であり、必要に応じてXの値を調整することができるが、水との溶解性などからXの値は0.3〜1.5が好ましい。
次に、水溶性の珪素化合物について説明する。ここでの水溶性の珪素化合物を含む水溶液とは、珪酸アルキルを水中で加水分解反応させることにより作製される水溶液である。ここで用いる珪酸アルキルとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられるが、加水分解反応によって生成するアルコール量が少ないことが紡糸の安定性などから好ましく、アルコールの生成量の少ないテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランがより好ましい。
珪酸アルキルを加水分解反応させる水のpHは、珪酸アルキルを加水分解し水溶性の珪素化合物に変化させることができれば限定されないが、加水分解以外の縮合反応を抑える必要があることから、縮合反応の穏やかな酸性が好ましく、より好ましくは2〜4である。
珪酸アルキルと反応させる水の量は、加水分解物の安定性や、続く紡糸工程の安定性などから、珪酸アルキルに対する水の重量比は0.5〜2倍が好ましい。
次に珪酸アルキルと水との反応を行う温度について説明する。珪酸アルキルと水との反応を行う温度には、珪酸アルキルの加水分解反応により水溶性の化合物に変化できれば特に限定はされないが、縮合反応の促進を抑えるためにも加熱しないことが好ましい。より好ましくは室温で反応を行うことである。
次に、繊維形成性の溶質を溶解させる段階について説明する。本発明の繊維構造体を作製するには、溶液に曳糸を持たせるために繊維形成性の溶質を溶解させる必要がある。繊維形成性の溶質としては、本発明の繊維構造体が作製されれば特に限定されないが、取り扱いの点や焼成によって除去される必要があることから有機高分子が好ましい。
例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ペクチン、澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルイソシアネート、ポリブチルイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリノルマルプロピルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド−3,4′―オキシジフェニレンテレフタラミド共重合体、ポリメタフェニレンイソフタラミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、天然ゴム、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルノルマルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルノルマルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルターシャリーブチルエーテル、ポリビニリデンクロリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカルバゾル)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリビニルメチルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリプロピレンオキシド、ポリシクロペンテンオキシド、ポリスチレンサルホン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、並びにこれらの共重合体などが挙げられる。
中でも水に対する溶解性の点から、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、ペクチン、澱粉およびこれらの共重合体が好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
有機高分子の分子量も、本発明の繊維構造体が作製されれば特に限定されないが、分子量が低い場合は、有機高分子の添加量が大きくなり、焼成によって発生する気体が多くなることから、焼成後の繊維の構造に欠陥が発生する可能性が高くなり好ましくない。好ましい分子量は、ポリエチレングリコールの場合、100,000〜8,000,000の範囲であり、より好ましくは、100,000〜600,000である。
次に、繊維形成性の溶質の添加量としては、繊維の形成される濃度範囲で可能な限り少ないほうが焼成後の繊維の緻密性向上の点から好ましいが、0.01〜5重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.01〜2重量%である。
次に本発明の繊維構造体を作製するための溶液に用いる溶媒について説明する。本発明では、塩基性塩化アルミニウムを溶解する溶液が水であることから、水を溶媒として用いるが、溶液の安定性向上の点や、紡糸の安定性の向上から、溶液に水以外の溶媒、例えばアルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、カルボン酸類などを添加することも可能であるし、塩化アンモニウムなどの有機塩の添加も可能である。
次いで、前記溶液を静電紡糸法にて紡糸する段階について説明する。該溶液を静電場中に吐出するには、任意の方法を用いることが出来、例えば、溶液をノズルに供給することによって、溶液を静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから溶液を電界によって曳糸して繊維化させればよい。
以下、図1を用いて更に具体的に説明する。
注射器の筒状の溶液保持槽(図1中3)の先端部に適宜の手段、例えば高電圧発生器(図1中6)にて電圧をかけた注射針状の溶液噴出ノズル(図1中1)を設置して、溶液(図1中2)を溶液噴出ノズル先端部まで導く。接地した繊維状物質捕集電極(図1中5)から適切な距離で該溶液噴出ノズル(図1中1)の先端を配置し、溶液(図1中2)が該溶液噴出ノズル(図1中1)の先端部から噴出させ、このノズル先端部分と繊維状物質捕集電極(図1中5)との間で繊維状物質を形成させることができる。
このとき、繊維状物質捕集電極(図1中5)上にマスク(図1中7)を置くと、所望の形状に繊維状物質を高効率で製造できより好ましい。マスクとしては誘電率が2.4以上の有機高分子からなるマスクが有効である。
また他の態様として、図2を以って説明すると、該溶液の微細滴(図示せず。)を静電場中に導入することもでき、その際の唯一の要件は溶液(図2中2)を静電場中に置いて、繊維化が起こりうるような距離に繊維状物質捕集電極(図2中5)から離して保持することである。例えば、溶液噴出ノズル(図2中1)を有する溶液保持槽(図2中3)中の溶液(図2中2)に直接、繊維状物質捕集電極に対抗する電極(図2中4)を挿入することもできる。
該溶液をノズルから静電場中に供給する場合、数個のノズルを並列的に用いて繊維状物質の生産速度を上げることもできる。また、電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、溶液のノズルからの噴出量、溶液濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当であった。また、印加される静電気電位は、一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、一層好ましくは5〜30kVである。所望の電位は従来公知の任意の適切な方法で作れば良い。
上記二つの態様は、電極が捕集部材を兼ねる場合であるが、電極間に捕集部材となりうる物を設置することで、電極と別に捕集部材を設け、そこに繊維を捕集することも出来る。この場合、例えばベルト状物質を電極間に設置して、これを捕集部材とすることで、連続的な生産も可能となる。
また、繊維構造体が基板上の一箇所に集中して積層されるなど、均一性が低い場合には、基板を揺動させたり、回転させたりすることも可能である。
次に捕集部材に累積される繊維を得る段階について説明する。本発明においては、該溶液を捕集部材に向けて曳糸する間に、条件に応じて溶媒が蒸発して繊維状物質が形成される。通常の室温であれば捕集部材上に捕集されるまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、もし溶媒蒸発が不十分な場合は減圧条件下で曳糸しても良い。この捕集部材上に捕集された時点では少なくとも前記繊維平均径と繊維長とを満足する繊維が形成されている。また、曳糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度にあわせて調整すれば良く、通常は、0〜100℃の範囲である。
次に繊維構造体を焼成する段階について説明する。本発明の無機化合物からなる繊維を作製するには、紡糸によって作製された繊維構造体を焼成する必要がある。焼成には、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて、焼成雰囲気の気体を置換することが可能な電気炉を用いてもよい。また、その焼成温度は、耐熱性に優れたセラミック繊維を作製するために、800℃以上で焼成することが好ましく、1400℃以上で焼成すると、セラミック繊維中の粒成長が大きくなったり、低融点物が溶融したりすることから力学強度の低下し、好ましくない。より好ましい焼成温度は、900℃〜1300℃である。
次に得られた繊維を抄紙する段階について説明する。本発明においては、得られた繊維を水などに分散させて水性スラリーを作成した後、湿紙を作成し、この湿紙を脱水、乾燥する湿式抄紙法を用いることが出来る。このとき、繊維とともにバインダー成分などを同時に分散させることでバインダー成分を均一に塗布することが出来る。
また、その他の繊維や添加剤を同時に分散させ、湿紙を作成することにより各種機能を付与した無機繊維紙を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何等限定を受けるものではない。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)繊維の平均径:
得られた繊維構造体の表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)により撮影(倍率20000倍)して得た写真から無作為に20箇所を選んで繊維の径を測定し、すべての繊維径(n=20)の平均値を求めて、繊維の平均径とした。
(2)繊維長5μm以下の繊維の存在確認:
得られた繊維構造体の表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)により撮影(倍率20000倍)して得た写真を観察し、繊維長5μm以下の繊維が存在するかどうか確認した。
[実施例1]
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業株式会社製)1重量部にpH3に調製した硫酸水溶液を1重量部添加した。硫酸水溶液を添加した溶液は、添加直後は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。この相溶化した溶液に、塩基性塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業株式会社製、商品名:アルファイン83、Al換算含有量:23.3wt%、塩基度:83.1wt%)、ポリエチレンオキシド(シグマアルドリッチ社製、平均分子量200,000)を混合し、珪素とアルミニウムの混合比がSiO2/Al換算で1/1(重量比)であり、ポリエチレンオキシドが1wt%含まれる紡糸溶液を調整した。この紡糸溶液から図1に示す装置を用いて、繊維構造体を作製した。噴出ノズル1の内径は0.4mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。得られた繊維構造体を空気雰囲気下で電気炉を用いて1150℃まで1.8時間で昇温し、その後1150℃で2時間保持することにより焼成した。得られた繊維構造体0.5gとイオン交換水300gをミキサー(株式会社東芝製、MX−L20GA)にて1分間攪拌することで繊維を水に分散させた。この分散液を吸引ろ過により捕集することで、目付0.5g/mの無機繊維紙を作成した。
得られた無機繊維紙を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製S−2400)で測定したところ、平均繊維径は330nmであり、繊維長5μm以下の繊維は観察されなかった。得られた無機繊維紙表面の走査型電子顕微鏡写真図を図3、4に示す。
本発明の製造方法によって得られる無機繊維紙は、単独で用いても良いが、取り扱い性やその他の要求事項に合わせて、他の部材と組み合わせて使用しても良い。例えば、不織布や織布、フィルム等と積層したり、樹脂を含浸させたりしてプリプレグを得ることも可能である。
また、得られた無機繊維紙に対して熱処理や化学処理を施しても良く、さらに、エマルジョン、有機物もしくは無機物の粉末、フィラー等を混合しても良く、例えば本発明の無機繊維紙に各種触媒を担持させることにより、触媒担持基材として用いることもできる。
更に、各種電子基板材料や支持体として用いることが出来る。また、本発明の無機繊維紙は目が細かいことから、各種フィルターに用いることも出来る。
本発明に用いる静電紡糸を行うための装置構成の一態様を模式的に示した図である。 本発明に用いる静電紡糸を行うための装置構成の一態様を模式的に示した図である。 実施例1で得られた繊維構造体の表面を走査型電子顕微鏡で撮影(20000倍)して得られた写真図である。 実施例1で得られた繊維構造体の表面を走査型電子顕微鏡で撮影(50000倍)して得られた写真図である。
符号の説明
1 溶液噴出ノズル
2 溶液
3 溶液保持槽
4 電極
5 繊維状物質捕集電極
6 高電圧発生器
7 マスク

Claims (10)

  1. 耐熱温度が1000℃以上である無機化合物からなり、繊維径が1μm以下である繊維が、全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなる、無機繊維紙。
  2. 繊維集合体が、繊維長5μm以下の繊維を実質的に含まない、請求項1記載の無機繊維紙。
  3. 無機化合物が、セラミックスである、請求項1記載の無機繊維紙。
  4. セラミックスが酸化物系セラミックスである、請求項3記載の無機繊維紙。
  5. 無機化合物が、アルミニウム元素を含む、請求項1記載の無機繊維紙。
  6. 無機化合物が、アルミニウム元素とケイ素元素を含む、請求項1記載の無機繊維紙。
  7. 水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液に繊維形成性の溶質を溶解させる段階と、前記繊維形成性の溶質を含む水溶液から静電紡糸法にて紡糸する段階と、前記紡糸によって捕集基板に累積される繊維構造体を得る段階と、前記累積された繊維構造体を焼成する段階と、前記焼成によって得られる繊維を開繊する段階と、開繊された繊維を抄紙する段階とを含む、繊維径1μm以下の無機化合物からなる繊維が全構成成分を基準として40重量%以上を占める繊維集合体からなる無機繊維紙の製造方法。
  8. 繊維形成性の溶質が分子量10,000〜10,000,000の有機高分子である、請求項7記載の無機繊維紙の製造方法。
  9. 有機高分子がポリエチレングリコールである、請求項8記載の無機繊維紙の製造方法。
  10. 水溶性のアルミニウム塩化物を含む水溶液が、水溶性のアルミニウム塩化物または、水溶性のアルミニウム塩化物と水溶性の珪素化合物を含む水溶液である、請求項7記載の無機繊維紙の製造方法。
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