JP2004183132A - 無機系短繊維及びその製造方法 - Google Patents

無機系短繊維及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維の長さが均一である無機系短繊維を提供すること、繊維の太さも均一である無機系短繊維を提供すること、及びこれら無機系短繊維を製造できる方法を提供すること。
【解決手段】本発明の無機系短繊維は、無機成分を主体とする無機系短繊維であり、この無機系短繊維の平均繊維長Laの、繊維長の標準偏差Ldに対する比(Ld/La)が0.3以下である。また、本発明の無機系短繊維の製造方法は、(1)ゾル溶液調製工程、(2)ゾル溶液をノズルから押し、ゾル溶液に電界を作用させて無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程、(3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程、(4)前記無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程、(5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を所望長さに切断して無機系乾燥ゲル状短繊維を形成する切断工程、とを含む。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無機系短繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、無機系短繊維(例えば、ガラス短繊維)からなる無機系短繊維シートは、濾過性能や分離性能等に優れているため、濾過材や鉛蓄電池用のセパレータなどとして好適に使用されている。
【0003】
このような無機系短繊維シートを構成する無機系短繊維は、ブロー法や遠心法により製造されていた。つまり、前者のブロー法は、押し出された溶融物に対してガスを噴射して前記溶融物を細くして無機系短繊維を製造する方法(例えば、特公昭37−7925号公報)であり、後者の遠心法は、高速回転板へ溶融セラミック組成物を供給し、前記高速回転板の高速回転による遠心力により前記溶融セラミック組成物を短繊維化する方法(例えば、特開昭53−38719号公報)である。しかしながら、これらいずれの方法を用いても、得られる短繊維の長さが不均一であるため、均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造するのが困難な場合があった。また、前記方法によって得られる無機系短繊維は太さが不均一であり、またフレーク状の膜や粒など、繊維化していないもの(いわゆるショット)が発生しやすい方法であった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭37−7925号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭53−38719号公報(特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は繊維の長さが均一である無機系短繊維を提供することであり、第2の目的は繊維の太さも均一である無機系短繊維を提供することであり、第3の目的はこれら無機系短繊維を製造できる方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1にかかる発明は、「無機成分を主体とする無機系短繊維であり、この無機系短繊維の平均繊維長Laの、繊維長の標準偏差Ldに対する比(Ld/La)が0.3以下であることを特徴とする無機系短繊維」である。このように、本発明の無機系短繊維は繊維長が揃っているため、均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できるものである。
【0007】
本発明の請求項2にかかる発明は、「前記無機系短繊維の平均繊維径が2μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の無機系短繊維」である。このように、本発明の無機系短繊維は繊維径が小さいため、更に均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できるものである。
【0008】
本発明の請求項3にかかる発明は、「前記無機系短繊維の平均繊維径Daの、繊維径の標準偏差Ddに対する比(Dd/Da)が0.8以下であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の無機系短繊維」である。このように、本発明の無機系短繊維は繊維径も揃っているため、更に均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できるものである。
【0009】
本発明の請求項4にかかる発明は、「前記無機系短繊維の平均繊維長が20mm以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の無機系短繊維」である。このように、本発明の無機系短繊維は繊維長が短いため、更に均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できるものである。
【0010】
本発明の請求項5にかかる発明は、「(1)無機成分を主体とするゾル溶液を形成するゾル溶液調製工程、(2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化して、無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程、(3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、前記無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程、(4)前記集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程、(5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を所望長さに切断して無機系乾燥ゲル状短繊維を形成する切断工程、とを含むことを特徴とする、無機系短繊維の製造方法。」である。このような製造方法によると、前記のような繊維長及び繊維径の揃った無機系短繊維を製造することができる。また、この製造方法によればショットもほとんど発生しない。
【0011】
本発明の請求項6にかかる発明は、「(1)無機成分を主体とするゾル溶液を形成するゾル溶液調製工程、(2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化して、無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程、(3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、前記無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程、(4)前記集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程、(5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を焼結して無機系焼結長繊維を形成する焼結工程、(6)前記無機系焼結長繊維を所望長さに切断して無機系焼結短繊維を形成する切断工程、とを含むことを特徴とする、無機系短繊維の製造方法」である。このような製造方法によると、強度及び耐熱性に優れ、しかも繊維長及び繊維径の揃った無機系短繊維を製造することができる。また、この製造方法によればショットもほとんど発生しない。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の無機系短繊維は、平均繊維長Laの、繊維長の標準偏差Ldに対する比(Ld/La)が0.3以下の繊維長の揃った短繊維である。この比(Ld/La)が小さければ小さい程、繊維長が揃っていることを意味するため、比(Ld/La)は0.2以下であるのが好ましく、0.15以下であるのが更に好ましい。なお、比(Ld/La)の下限は理想的には0である。
【0013】
また、無機系短繊維の平均繊維長は20mm以下であるのが好ましい。このように平均繊維長が短いと分散性に優れているため、均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造しやすいためである。この平均繊維長が短ければ短い程、分散性に優れているため、平均繊維長は10mm以下であるのが好ましく、5mm以下であるのが更に好ましく、2mm以下であるのが更に好ましく、1mm以下であるのが更に好ましく、0.5mm以下であるのが更に好ましい。なお、平均繊維長の下限は切断できる長さである限り特に限定するものではないが、0.1mmが適当である。
【0014】
この「平均繊維長」は1000倍の電子顕微鏡写真をもとに、50本の無機系短繊維の繊維長を測定し、その測定値の算術平均値をいう。また、繊維長の標準偏差値は次の式から得られる値をいう。
標準偏差値={(nΣL−(ΣL))/n(n−1)}1/2
ここで、Lは個々の無機系短繊維の繊維長(mm)を意味し、nは測定本数である50である。
【0015】
本発明の無機系短繊維は均一な性能を有する無機系短繊維シートを形成できるように、平均繊維径が2μm以下であるのが好ましい。この平均繊維径が小さければ小さい程、均一に分散することができ、均一な性能を有する無機系短繊維シートを形成でき、また柔軟性に優れる無機系短繊維シートとすることができ、更には表面積が広いことによって各種機能(例えば、濾過性能、機能性物質による機能発揮性能など)を無機系短繊維シートに付与できるため、平均繊維径は1μm以下であるのが好ましく、平均繊維径は0.6μm以下であるのが更に好ましい。他方、無機系短繊維の平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、0.01μm程度が適当である。
【0016】
本発明における「繊維径」は、繊維横断面形状が円形である場合は、その直径をいい、繊維横断面形状が非円形である場合は、その断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、「平均繊維径」は短繊維100本の繊維径の算術平均値をいう。
【0017】
なお、無機系短繊維はどの点においても繊維径が2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましく、0.6μm以下であるのが更に好ましい。
【0018】
また、無機系短繊維の平均繊維径Daの、繊維径の標準偏差Ddに対する比(Dd/Da)が0.8以下であるのが好ましい。このように、比(Dd/Da)の値が小さいと、繊維径が揃っており、濾過性能や分離性能等の各種性能にバラツキのない無機系短繊維シートを製造できるためである。この比(Dd/Da)の値が小さければ小さい程、前記性能に優れているため、好ましい比(Dd/Da)は0.6以下であり、更に好ましい比(Dd/Da)は0.4以下である。他方、比(Dd/Da)の下限は特に限定するものではないが、理論上全部同じ繊維径の場合の0である。なお、繊維径の標準偏差値Ddは次の式から得られる値をいう。
Dd={(nΣD−(ΣD))/n(n−1)}1/2
ここで、Dは個々の無機系短繊維の繊維径(μm)を意味し、nは測定本数である100を意味する。
【0019】
本発明の無機系短繊維は無機成分を主体としている。つまり、無機系成分が50mass%以上を占めており、好ましくは60mass%以上、より好ましくは75mass%以上を占めている。
【0020】
この無機成分を構成する元素は特に限定するものではないが、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、ハフニウム、タンタル、タングステン、水銀、タリウム、鉛、ビスマス、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、又はルテチウムなどを挙げることができる。
【0021】
また、前記元素を含む化合物として前記元素の酸化物を挙げることができ、具体的には、SiO、Al、B、TiO、ZrO、CeO、FeO、Fe、Fe、VO、V、SnO、CdO、LiO、WO、Nb、Ta、In、GeO、PbTi、LiNbO、 BaTiO、PbZrO、KTaO、Li、NiFe、SrTiOなどを挙げることができる。前記の無機成分は、一成分の酸化物から構成されていても、二成分以上の酸化物から構成されていても良い。例えば、SiO−Alのニ成分から構成することができる。
【0022】
本発明の無機系短繊維は上述のような無機成分以外に、有機成分を含んでいることができる。この有機成分として、例えば、シランカップリング剤、染料などの有機低分子化合物、ポリメチルメタクリレートなどの有機高分子化合物、などを挙げることができる。
【0023】
また、本発明の無機系短繊維は繊維内に、無機系又は有機系の微粒子を含んでいても良い。この無機系微粒子としては、例えば、酸化チタン、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化珪素、活性炭、金属(白金など)を挙げることができ、有機系微粒子として、色素又は顔料などを挙げることができる。また、微粒子の平均粒径は特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.002〜0.1μmである。このような微粒子を含んでいることによって、光学機能、多孔性、触媒機能、吸着機能、或いはイオン交換機能などを発揮することができる。
【0024】
本発明の無機系短繊維は、例えば、ゲルを乾燥した状態にあっても、ゲルを不完全に焼結した状態にあっても、或いはゲルを完全に焼結した状態にあっても良い。
【0025】
更に、本発明の無機系短繊維は機能性粉体を含んでいることができる。機能性粉体を含んでいることによって機能性粉体の機能を発揮することができる。この機能性粉体として、例えば、酸化チタン、二酸化マンガン、酸化銅、二酸化珪素、活性炭、金属(白金など)の無機系粉体や、イオン交換樹脂、色素、顔料、薬剤などの有機系粉体を挙げることができる。この機能性粉体の平均粒径は特に限定するものではないが、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.05〜10μmである。このような機能性粉体を含んでいることによって、触媒機能、研磨機能、吸着機能、或いはイオン交換機能などを発揮することができる。
【0026】
本発明の無機系短繊維は均一な性能を有する無機系短繊維シートを形成できるため、各種用途に適用できる無機系短繊維シートを構成する一部又は全部の無機系短繊維として使用することができる。例えば、HEPAフィルタ用濾過材、ULPAフィルタ用濾過材、クリーンルームフィルタ用濾過材、純水フィルタ用濾過材、耐熱フィルター用濾過材、排気ガスフィルタ用濾過材、液体フィルタ用濾過材、光触媒担持用基材、電池用セパレータ、プリント基板用基材、触媒シート、電気機械変換素子、微細気泡発生シート、触媒燃焼シート、太陽電池用カバー材、断熱材、又は液晶用スペーサー材などの用途に使用できる無機系短繊維シートを構成する一部又は全部の無機系短繊維として使用することができる。
【0027】
このような本発明の無機系短繊維は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0028】
まず、(1)無機成分を主体とするゾル溶液を形成するゾル溶液調製工程を実施する。このゾル溶液は、本発明の製造方法で最終的に得られる無機系短繊維(無機系乾燥ゲル状短繊維又は無機系焼結短繊維)を構成する元素を含む化合物を含む溶液(原料溶液)を、約100℃以下程度の温度で加水分解させ、縮重合させることによって得ることができる。前記原料溶液の溶媒は、例えば、有機溶媒(例えばアルコール)又は水である。
【0029】
この化合物を構成する元素は特に限定するものではないが、前述の無機系短繊維を構成することのできる元素として列挙した元素を挙げることができ、この元素を含む化合物(特には酸化物)としても、前述の無機系短繊維を構成することのできる化合物として列挙した化合物(特に酸化物)を挙げることができる。
【0030】
前記のゾル溶液は、前記原料溶液に対して、前記化合物を縮重合させる処理を行うことにより得られ、主として無機成分からなる。すなわち、無機成分が50mass%以上を占めており、好ましくは60mass%以上、より好ましくは75mass%以上を占めている。
【0031】
前記のゾル溶液は、後述する繊維化工程においてノズルからの紡糸が可能となる粘度を有していることが必要である。その粘度は、紡糸可能な粘度である限り特に限定されるものではないが、好ましくは0.1〜100ポイズ、より好ましくは0.5〜20ポイズ、特に好ましくは1〜10ポイズ、最も好ましくは1〜5ポイズである。粘度が100ポイズを超えると細繊維化が困難となり、0.1ポイズ未満になると繊維形状が得られなくなる傾向があるためである。なお、ノズル先端部分における雰囲気を原料溶液と同様の溶媒ガス雰囲気とする場合には、100ポイズを超えるゾル溶液であっても紡糸可能な場合がある。
【0032】
本発明で用いるゾル溶液は、上述のような無機成分以外に、有機成分を含んでいることができ、この有機成分として、例えば、シランカップリング剤、染料などの有機低分子化合物、ポリメチルメタクリレートなどの有機高分子化合物、などを挙げることができる。より具体的には、前記原料溶液に含まれる化合物がシラン系化合物である場合には、メチル基やエポキシ基で有機修飾されたシラン系化合物が縮重合したものを含んでいることができる。
【0033】
前記原料溶液は、前記原料溶液に含まれる化合物を安定化する溶媒(例えば、有機溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド)又は水)、前記原料溶液に含まれる化合物を加水分解するための水、及び加水分解反応を円滑に進行させる触媒(例えば、塩酸、硝酸など)を含んでいることができる。また、前記原料溶液に含まれる、例えば、化合物を安定化させるキレート剤、前記化合物の安定化のためのシランカップリング剤、圧電性などの各種機能を付与することができる化合物、接着性改善、柔軟性、硬度(もろさ)調整のための有機化合物(例えば、ポリメチルメタクリレート)、あるいは染料などの添加剤を含んでいることができる。なお、これらの添加剤は、加水分解を行う前、加水分解を行う際、或いは加水分解後に添加することができる。更に、前記原料溶液は、前述のような無機系又は有機系の微粒子を含んでいることができる。
【0034】
テトラエトキシシランの場合、水の量がアルコキシドの4倍(モル比)を超えると曳糸性のゾル溶液を得ることが困難になるため、アルコキシドの4倍以下であるのが好ましい。
【0035】
触媒として塩基を使用すると、曳糸性のゾル溶液を得ることが困難になるため、塩基を使用しないのが好ましい。
【0036】
反応温度は使用溶媒の沸点以下であれば良いが、低い方が適度に反応速度が遅く、曳糸性のゾル溶液を形成しやすい。あまり低すぎても反応が進行しにくいため、10℃以上であるのが好ましい。
【0037】
次いで、(2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化して、無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程を実施する。
【0038】
このゾル溶液の押し出し方向は特に限定するものではないが、ゾル溶液の滴下が生じにくいように、ノズルからの押し出し方向と重力の作用方向とが一致しないのが好ましい。特には、重力の作用方向と反対方向又は重力の作用方向と直角方向にゾル溶液を押し出すのが好ましい。
【0039】
このゾル溶液を押し出すノズルの直径は、無機系短繊維(無機系乾燥ゲル状短繊維又は無機系焼結短繊維)の繊維径によって変化する。例えば、無機系短繊維の繊維径が2μm以下の場合には、ノズルの直径が0.1〜3mm程度であるのが好ましい。
【0040】
また、ノズルは金属製であっても、非金属製であっても良い。ノズルが金属製であればノズルを1つの電極として使用することができ、ノズルが非金属製である場合には、ノズル内に電極を設置することにより、押し出したゾル溶液に電界を作用させることができる。
【0041】
このようなノズルからゾル溶液を押し出した後、押出物に電界を作用させることにより延伸して繊維化し、無機系ゲル状長繊維を形成する。この電界は、目的とする無機系短繊維(無機系乾燥ゲル状短繊維又は無機系焼結短繊維)の繊維径、ノズルと支持体との距離、原料溶液の溶媒、ゾル溶液の粘度などによって変化するため、特に限定するものではないが、例えば、無機系短繊維の繊維径を3μm以下程度とする場合には、0.5〜5kV/cmであるのが好ましい。印加する電界が大きければ、その電界値の増加に応じて無機系ゲル状長繊維の繊維径が細くなるが、5kV/cmを超えると、空気の絶縁破壊が生じやすいので好ましくない。また、0.5kV/cm未満になると、繊維形状となりにくい。
【0042】
電界を印加することにより、ゾル溶液に静電荷が蓄積され、支持体側の電極によって電気的に引張られ、引き伸ばされて繊維化する。特に電気的に引き伸ばしているため、無機系ゲル状長繊維が支持体に近づくにしたがって、繊維の速度が加速され、より細い繊維となる。また、溶媒の蒸発によって細くなり、静電気密度が高まり、その電気的反発力によって分裂し、更に細径の無機系ゲル状長繊維になると考えている。
【0043】
このような電界は、例えば、ノズル(金属製ノズルの場合にはノズル自体、非金属製ノズルの場合にはノズル内の電極)と支持体との間に電位差を設けることによって、作用させることができる。例えば、ノズルに電圧を印加するとともに支持体をアースすることによって電位差を設けることができるし、逆に、支持体に電圧を印加するとともにノズルをアースすることによって電位差を設けることもできる。
【0044】
なお、ノズルから押し出され、電界の作用により繊維化された無機系ゲル状長繊維が集積される前に、その無機系ゲル状長繊維に対して、機能性粉体をエアガン等によって吹き付けることができ、この方法によれば、これら吹き付けた機能性粉体と無機系ゲル状長繊維とが混合した状態とすることができる。このような機能性粉体の吹き付けは無機系ゲル状長繊維が支持体へ向かう方向に対して任意の方向から実施することができ、例えば、無機系ゲル状長繊維が支持体へ向かう方向に対して直角方向や斜め方向から吹き付けることができる。
【0045】
なお、この繊維化工程は、無機系ゲル状長繊維同士が接着せず、分散性良く、安定して実施できるように、温度及び湿度が調節された雰囲気下で実施するのが好ましい。より具体的には、温度が25℃前後で、相対湿度が60%以下(より好ましくは50%以下)の雰囲気下で実施するのが好ましい。このような雰囲気は、例えば、ノズル周囲を覆う紡糸室を設け、紡糸室内の温度及び相対湿度を調節して作り出すことができる。
【0046】
次いで、(3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、前述の無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程を実施する。
【0047】
本発明においては、無機系ゲル状長繊維を支持体で集積させる際に、支持体を200m/min.以上の速さで移動させることによって、無機系ゲル状長繊維の配向方向を支持体の移動方向と近似させることによって、後述のような切断工程により繊維長の揃った無機系短繊維(無機系乾燥ゲル状短繊維又は無機系焼結短繊維)の製造を可能としている。
【0048】
支持体の移動速度が200m/min.以上であれば、比(Ld/La)が0.3以下である無機系短繊維を製造しやすいが、支持体の移動速度が速ければ速いほど、比(Ld/La)が更に小さい繊維長の揃った無機系短繊維を製造できるため、支持体の移動速度は300m/min.以上であるのが好ましく、400m/min.以上であるのが更に好ましい。なお、支持体の移動速度の上限は特に限定するものではない。
【0049】
このように繊維化した無機系ゲル状長繊維を集積する支持体は、特に限定されるものではないが、例えば、円筒状ドラム、長尺状ベルトなどを挙げることができる。なお、これら支持体は集積した無機系ゲル状長繊維を剥がして切断工程を実施しやすいように、支持体の集積側表面が凹凸構造を有するのが好ましい。
【0050】
前述のように支持体を電極の1つとして使用する場合には、支持体は体積抵抗が10Ω以下の導電性材料(例えば、金属製)からなるのが好ましい。一方、ノズル側から見て、支持体よりも後方に対向電極として導電性材料を配置する場合には、支持体は必ずしも導電性材料である必要はない。後者のように、支持体よりも後方に対向電極を配置する場合、支持体と対向電極とは直接接触していても良いし、離間していても良い。
【0051】
なお、支持体上に機能性粉体を配置しておき、機能性粉体上に無機系ゲル状長繊維を集積させて複合することもできる。
【0052】
また、支持体とノズルとの距離は特に限定するものではないが、支持体とノズルとの距離が短すぎると、無機系ゲル状長繊維同士の接着が生じやすく、比(Dd/Da)が大きくなるため、支持体とノズルとの距離は10cm以上であるのが好ましい。
【0053】
次いで、(4)前記集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程を実施する。この乾燥工程によって、無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する。
【0054】
この乾燥温度は無機系ゲル状長繊維の構成成分によって変化するため特に限定するものではないが、有機成分の分解温度未満の温度、例えば、200℃以下程度の温度で実施するのが好ましい。この乾燥はオーブンなどで加熱することによって実施することができるし、凍結乾燥或いは超臨界乾燥によっても実施することができる。
【0055】
この乾燥工程においては、各種用途に適用するのに必要な取り扱い強度を有するまで乾燥する。
【0056】
次いで、(5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を所望長さに切断して無機系乾燥ゲル状短繊維を形成する切断工程を実施して、本発明の無機系乾燥ゲル状短繊維(無機系短繊維)を製造する。
【0057】
この切断工程は所望長さで切断することができ、前述のように無機系短繊維の平均繊維長は20mm以下であるのが好ましいため、平均繊維長が20mm以下となるように適宜調整して切断するのが好ましい。つまり、この集積した状態の無機系乾燥ゲル状長繊維はある程度支持体の移動方向に配向しているものの、支持体の移動方向と完全に一致して配向しているわけではないため、平均繊維長が20mm以下とするために20mmよりもやや短い長さで切断する。この長さは無機系乾燥ゲル状長繊維の配向度合いによって異なるため、適宜実験により設定する。
【0058】
この切断工程において使用できる切断装置としては、従来から繊維を切断するために使用されている装置を使用することができ、例えば、ギロチン式切断装置やロータリーカッター式切断装置などを挙げることができる。本発明の製造方法においては、平均繊維径が2μm以下の非常に細い繊維径の無機系乾燥ゲル状長繊維を切断する場合もあるが、この場合であっても、無機系乾燥ゲル状長繊維はある程度束になった状態にあるため、切断しやすく、特に支障は生じない。
【0059】
以上は、無機系乾燥ゲル状短繊維(無機系短繊維)を製造する方法であるが、無機系焼結短繊維を製造するには、上述の無機系乾燥ゲル状短繊維の製造方法と同様にして、(1)のゾル溶液調製工程から(4)の乾燥工程を実施して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成した後、(5)無機系乾燥ゲル状長繊維を焼結して無機系焼結長繊維を形成する焼結工程を実施した後に、上述の無機系乾燥ゲル状短繊維の製造方法の(5)の切断工程と全く同様にして切断工程を実施して、無機系焼結短繊維を製造することができる。このように焼結後に切断工程を実施すると、無機系焼結長繊維の強度が優れており、取り扱いやすいという効果を奏する。
【0060】
このように、無機系乾燥ゲル状短繊維の製造方法と無機系焼結短繊維の製造方法では、(5)の焼結工程のみが相違するため、焼結工程についてのみ説明する。
【0061】
この焼結温度は無機系乾燥ゲル状長繊維を構成する無機成分によって変化するため、特に限定されるものではないが、例えば、無機成分と有機成分とを含む無機系乾燥ゲル状長繊維を、温度約200℃以上、有機成分の分解温度未満で焼結すれば、有機成分が残留した無機系焼結長繊維を得ることができ、この無機系焼結長繊維を切断した無機系焼結短繊維は残留した有機成分の機能(例えば、接着性改善、柔軟性、硬さ(もろさ)調整、色素などの光学機能、撥水性)を発揮することができる。また、有機成分の分解温度以上で焼結すれば、無機成分のみからなり、強度及び耐熱性の優れる無機系焼結長繊維、結果として強度及び耐熱性の優れる無機系焼結短繊維を得ることができる。
【0062】
より具体的には、無機系乾燥ゲル状長繊維が有機成分を含むシリカ成分からなる場合、200〜400℃程度の温度で焼結すれば、有機成分の残留したシリカ焼結長繊維を得ることができ、このシリカ焼結長繊維を切断したシリカ焼結短繊維は接着性改善、柔軟性、硬さ(もろさ)調整、色素などの光学機能、撥水性の機能を有するものである。また、800℃以上の温度で焼結すれば、有機成分を含まないシリカ焼結長繊維を形成でき、切断によりシリカ焼結短繊維を製造することができる。
【0063】
以上は集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して、無機系乾燥ゲル状長繊維を形成した後に、焼結して、無機系焼結長繊維を形成し、次いで切断して無機系焼結短繊維を製造する方法であるが、本発明においては、乾燥工程を経ることなく、集積させた無機系ゲル状長繊維を直接焼結して、無機系焼結長繊維を形成した後に切断して、無機系焼結短繊維を製造しても良い。なお、この場合には、いきなり焼結温度で焼結すると、無機系ゲル状長繊維が急激に収縮して損傷する場合があるため、焼結温度まで徐々に昇温して焼結するのが好ましい。
【0064】
更に、本発明においては、この工程順序に限定されず、例えば、(1)無機系ゲル状長繊維の切断工程−焼結工程、(2)無機系ゲル状長繊維の乾燥工程−切断工程−焼結工程、(3)無機系ゲル状長繊維の切断工程−乾燥工程−焼結工程、(4)無機系ゲル状長繊維の切断工程−焼結工程、によっても本発明の無機系焼結短繊維を製造することができる。
【0065】
なお、平均繊維径が2μm以下の無機系短繊維は、電界強度、ノズルからのゾル溶液の吐出量、ゾル溶液中における溶媒量、及び吐出部における雰囲気(ゾル溶液と同様の溶媒ガス雰囲気となっているかどうか)を調節することによって製造することができる。
【0066】
無機系短繊維の平均繊維径Daの、繊維径の標準偏差Ddに対する比(Dd/Da)が0.8以下である無機系短繊維は、ゾル溶液の吐出と電界の釣り合いのバランスを保たせることにより製造することができる。なお、このようにゾル溶液の吐出と電界の釣り合いのバランスを保たせることにより、ショットの発生を防止できる。
【0067】
本発明の無機系短繊維の製造方法を、集積工程までを実施できる装置の概念図である図1をもとに説明する。
【0068】
まず、前述のようにして調製されたゾル溶液は、ゾル溶液貯留部(図示せず)から定量ポンプ等(図示せず)によって、金属製のノズル1へと供給される。このノズル1への供給量は特に限定されるものではないが、ノズル1本あたり0.01mL/時間〜100mL/時間で変化させることができる。なお、図1においては、1本のノズルを備えているが、無機系ゲル状長繊維の集積量を増やすために、2本以上であっても良い。
【0069】
このようにノズル1へ供給されたゾル溶液は、ノズル1から押し出される。一方、前記ノズル1に対して電圧が印加され、支持体である円筒状ドラム2はアースされているため、ノズル1と円筒状ドラム2との間には電界が形成され、この電界によって押し出されたゾル溶液は延伸されて繊維化し、無機系ゲル状長繊維が形成される。なお、電界強度を0.5〜5kV/cmに調整できるように、また、無機系ゲル状長繊維同士が接着しにくいように、ノズル1と円筒状ドラム2との距離を50〜500mm程度、好ましくは100〜300mm程度に設定できるように、ノズル1の位置を変えることができるのが好ましい。また、前記方法とは逆に、ノズル1をアースし、円筒状ドラム2に電圧を印加しても良い。
【0070】
なお、円筒状ドラム2はワイヤー等を介して駆動モーター3と接続されており、駆動モーター3の設定を調節することにより、円筒状ドラム2の表面速度を200m/min.以上に設定できるようになっている。そのため、無機系ゲル状長繊維を円筒状ドラム2の回転方向(a方向)へ配向させることができる。なお、円筒状ドラムに替えて、長尺状ベルトを使用することができる。
【0071】
また、図示していないが、ノズル1の先端部分が乾燥すると、ゾル溶液が硬化しやすいため、ノズル1の先端部分における雰囲気を原料溶液と同様の溶媒ガス雰囲気としたり、ゾル溶液中に沸点が100℃以上の高沸点溶媒(例えば、ブタノールなど)を添加して、ノズル1の先端部分における乾燥を防止するのが好ましい。
【0072】
ノズル1から押し出されたゾル溶液を延伸して繊維化した無機系ゲル状長繊維は、円筒状ドラム2上に集積される。この円筒状ドラム2は矢印aの方向へ200m/min.以上の表面速度で回転するため、無機系ゲル状長繊維は円筒状ドラム2の回転方向(a方向)へ配向しながら集積する。この集積量は円筒状ドラム2の表面速度、ノズルからの押し出し量、ノズル数などによって、調節することができる。
【0073】
なお、繊維化工程実施の際に、ゾル溶液を押し出すノズル1からは原料溶液中の溶媒が揮発するため、ノズル1及び円筒状ドラム2を含む紡糸室4は前記溶媒による影響を受けない材料から構成されているのが好ましい。また、紡糸室4は揮発した溶剤を排気しやすいように、気体供給部6と排気部5を備えているのが好ましい。
【0074】
次いで、円筒状ドラム2上に集積した無機系ゲル状長繊維は、所望集積量となった後に円筒状ドラムから剥がされ、ヒーター(図示せず)へと供給され、ヒーターの熱によって乾燥され、個々の無機系乾燥ゲル状長繊維が独立した(接着していない)集積体となる。又は、円筒状ドラムから剥がされ、焼結炉(例えば、電気炉)へと供給され、焼結炉の熱によって焼結され、個々の無機系焼結長繊維が独立した(接着していない)集積体となる。
【0075】
次いで、この無機系乾燥ゲル状長繊維集積体又は無機系焼結長繊維集積体を、ギロチン式切断装置やロータリーカッター式切断装置などの切断装置へ供給し、切断して、本発明の無機系短繊維(無機系乾燥ゲル状短繊維又は無機系焼結短繊維)を製造することができる。
【0076】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
【実施例】
(実施例1)
(1)ゾル溶液調製工程
金属化合物としてテトラエトキシシラン、溶媒としてエタノール、加水分解のための水、及び触媒として1規定の塩酸を、1:5:2:0.003のモル比で混合し、温度78℃で、10時間の還流操作を行い、次いで、溶媒をロータリーエバポレーターにより除去して濃縮した後、温度60℃に加温して、粘度が2ポイズのゾル溶液を形成した。
【0078】
(2)(3)繊維化工程及び集積工程
次いで、1本のステンレス製ノズル(内径:0.6mm)から1mL/時間の割合でゾル溶液を、重力の作用方向と反対方向へ押し出すとともに、ノズルに電圧(−20kV)を印加し、支持体であるステンレス製円筒状ドラム(集積表面に凹凸構造を有する)をアースして、前記押し出したゾル溶液に電界(2kV/cm)を作用させることによって繊維化し、無機系ゲル状長繊維を形成して、回転するステンレス製円筒状ドラム上に集積させた。なお、ノズルとステンレス製円筒状ドラムとの距離は10cmとし、ステンレス製円筒状ドラムの表面速度を210m/min.とした。また、この繊維化工程及び集積工程は温度23℃、相対湿度45%に設定された紡糸室内で実施した。更に、これら工程において、フレークやショットのような不純物は観察されなかった。
【0079】
(4)乾燥工程
次いで、集積させた無機系ゲル状長繊維を、温度150℃に設定されたヒーターにより乾燥して、無機系乾燥ゲル状長繊維(SiOからなる)の集積体を製造した。
【0080】
(5)焼結工程
次いで、この無機系乾燥ゲル状長繊維集積体を温度800℃で1時間焼成し、完全にガラス化させて、石英ガラス焼結長繊維集積体を製造した。
【0081】
(6)切断工程
次いで、前記石英ガラス焼結長繊維集積体を、ギロチン方式切断装置を用い、切断長さ200μmに設定し、石英ガラス焼結長繊維集積体の円筒状ドラムの回転方向に相当する方向に対して直角方向に切断して、本発明の石英ガラス焼結短繊維を製造した。
【0082】
(実施例2)
実施例1の(2)(3)繊維化工程及び集積工程におけるステンレス製円筒状ドラムの表面速度を420m/min.としたこと以外は実施例1と全く同様にして、本発明の石英ガラス焼結短繊維を製造した。なお、(2)(3)繊維化工程及び集積工程において、フレークやショットのような不純物は観察されなかった。
【0083】
(比較例1)
実施例1の(2)(3)繊維化工程及び集積工程におけるステンレス製円筒状ドラムの表面速度を60m/min.としたこと以外は実施例1と全く同様にして、比較用の石英ガラス焼結短繊維を製造した。なお、(2)(3)繊維化工程及び集積工程において、フレークやショットのような不純物は観察されなかった。
【0084】
(各種物性の測定)
実施例1〜2及び比較例1の石英ガラス焼結短繊維の「平均繊維長」、「比(Ld/La)」、「平均繊維径」及び「比(Dd/Da)」を前述の方法により測定した。これらの結果は表1に示す通りであった。
【0085】
【表1】
Figure 2004183132
【0086】
この表1から明らかなように、本発明の石英ガラス焼結短繊維は細く、短く、しかも繊維長及び繊維径が揃っているため、均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できることを予測できるものであった。
【0087】
【発明の効果】
本発明の無機系短繊維は繊維長が揃っているため、均一な性能を有する無機系短繊維シートを製造できるものである。
【0088】
本発明の無機系短繊維の製造方法によれば、繊維長及び繊維径の揃った無機系短繊維を製造することができる。また、ショットもほとんど発生しない。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機系短繊維の製造方法における集積工程までを実施できる装置の概念図
【符号の説明】
1 ノズル
2 円筒状ドラム
3 駆動モーター
4 紡糸室
5 排気部
6 気体供給部

Claims (6)

  1. 無機成分を主体とする無機系短繊維であり、この無機系短繊維の平均繊維長Laの、繊維長の標準偏差Ldに対する比(Ld/La)が0.3以下であることを特徴とする無機系短繊維。
  2. 前記無機系短繊維の平均繊維径が2μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の無機系短繊維。
  3. 前記無機系短繊維の平均繊維径Daの、繊維径の標準偏差Ddに対する比(Dd/Da)が0.8以下であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の無機系短繊維。
  4. 前記無機系短繊維の平均繊維長が20mm以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の無機系短繊維。
  5. (1)無機成分を主体とするゾル溶液を形成するゾル溶液調製工程、
    (2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化して、無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程、
    (3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、前記無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程、
    (4)前記集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程、
    (5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を所望長さに切断して無機系乾燥ゲル状短繊維を形成する切断工程、
    とを含むことを特徴とする、無機系短繊維の製造方法。
  6. (1)無機成分を主体とするゾル溶液を形成するゾル溶液調製工程、
    (2)前記ゾル溶液をノズルから押し出すとともに、押し出したゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化して、無機系ゲル状長繊維を形成する繊維化工程、
    (3)200m/min.以上の速さで移動する支持体上に、前記無機系ゲル状長繊維を集積させる集積工程、
    (4)前記集積させた無機系ゲル状長繊維を乾燥して無機系乾燥ゲル状長繊維を形成する乾燥工程、
    (5)前記無機系乾燥ゲル状長繊維を焼結して無機系焼結長繊維を形成する焼結工程、
    (6)前記無機系焼結長繊維を所望長さに切断して無機系焼結短繊維を形成する切断工程、
    とを含むことを特徴とする、無機系短繊維の製造方法。
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