JP2007287781A - キャパシタ用セパレータおよびキャパシタ用セパレータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナノオーダーサイズの径を有するセラミック繊維によってセパレータを構成する。すなわち、平均繊維径が10nm以上1000nm以下のセラミック繊維を含有する不織布をキャパシタ用セパレータとする。
【選択図】図4
Description
これら要求に対しては、融点または熱分解温度が250℃以上の高分子を含有するキャパシタ用セパレータが提案されている(特許文献3および4参照)。
また、特許文献2に記載された溶剤紡糸セルロースを主成分とする紙においても、200℃以上の高温では炭化や分解してしまうため、いまだ耐熱性に問題がある。
また、耐熱性については、乾燥処理の短時間化を目指して、さらなる向上が求められている。
また別の本発明は、セラミック前駆体と繊維形成性溶質とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して不織布を得る焼成工程と、を含むキャパシタ用セパレータの製造方法である。
<キャパシタ用セパレータ>
本発明のキャパシタ用セパレータは、特定範囲の平均繊維径を有するセラミック繊維を含有する不織布からなるものである。
ここで、「セラミック繊維」とは、熱処理によって製造される無機質固体材料からなる繊維構造体を指す。無機質固体材料には、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等が挙げられるが、これらの中では、耐熱性、加工性等の観点から、酸化物(酸化物系セラミックス)が好ましい。
次に、セラミック繊維の平均繊維径について説明する。本発明のキャパシタ用セパレータとなる不織布を構成するセラミック繊維の平均繊維径は、10nm以上1000nm以下である。より好ましくは30nm以上700nm以下の範囲であり、さらに好ましくは100m以上600nm以下の範囲である。セラミック繊維の平均繊維径が1000nmを超える場合には、セパレータが厚くなり好ましくない。また、一般的にセパレータを構成する平均繊維径が小さくなるほど、電解液保持性は向上するが、一方で、強度は弱くなり、また生産性も低下する。本発明のキャパシタ用セパレータを構成するセラミック繊維の平均繊維径が上記範囲にあると、これらのバランスに優れたセパレータを得ることができる。
本発明のキャパシタ用セパレータとなる不織布を構成するセラミック繊維の繊維長は、100μm以上であることが好ましい。より好ましい繊維長は、1mm以上である。繊維長が100μm未満である場合には、得られるセパレータの強度が低くなり好ましくない。
本発明のキャパシタ用セパレータとなる不織布は、その90質量%以上が上記のセラミック繊維で構成されることが好ましい。90質量%以上が上記のセラミック繊維で構成される不織布をキャパシタ用セパレータに用いた場合には、電解液保持率が高くなる。さらに好ましくは、実質的に上記のセラミック繊維のみから構成された不織布である。
本発明のキャパシタ用セパレータは、1層のみの不織布であってもよいし、多層構造の不織布であってもよい。また、多層構造とする場合には、機能性等を付与する目的で、隣接した不織布との間に粗密の差を持たせてもよい。
本発明のキャパシタ用セパレータの厚みは、特に制限されるものではないが、キャパシタが小型化できること、また、収容できる電極面積を大きくすることができ容量を稼げることから、薄いほうが好ましい。具体的には、キャパシタ組み立て時に破断しない程度の強度を持ち、ピンホールがなく、高い均一性を備える厚みとして、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
次に、本発明のキャパシタ用セパレータを製造するための態様について説明する。
本発明のキャパシタ用セパレータを製造するには、前述の要件を同時に満足するようなセパレータが得られる手法であればいずれも採用することができるが、セラミック前駆体と繊維形成性溶質とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して不織布を得る焼成工程と、を含むキャパシタ用セパレータの製造方法を、好ましい一態様として挙げることができる。
[繊維形成用組成物の構成]
本発明のキャパシタ用セパレータを得るための好ましい製造方法の一態様に用いられる繊維形成用組成物について説明する。好ましい態様として用いられる繊維形成用組成物は、セラミック前駆体と繊維形成性溶質とを必須成分として含む組成物である。繊維形成用組成物の構成について以下に説明する。
まず、セラミック前駆体について説明する。「セラミック前駆体」とは、焼成によってセラミックを形成する化合物のことであり、例えば、塩基性塩化アルミニウム、オルト珪酸テトラエチル、アルミニウムイソプロポキシド、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラターシャリーブトキシド、塩化酸化ジルコニウム、ジルコニウムイソプロポキシド、硫酸亜鉛、硝酸イットリウム、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、および、これらの部分反応物等が挙げられる。
ここで、セラミック前駆体は、繊維形成用組成物中で均一な溶液を形成、あるいは均一に分散していればよく、反応していても、あるいは錯体を形成等していても構わない。また、上記の化合物は、1種単独で用いても、あるいは、セラミック繊維に機能性を付与する目的で、複数種を同時に用いてもよい。
次に、繊維形成性溶質について説明する。
本発明のキャパシタ用セパレータを得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物に曳糸性を持たせることを目的として、繊維形成用組成物に繊維形成性溶質を溶解させる必要がある。用いられる繊維形成性溶質としては、本発明のキャパシタ用セパレータが作製できるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さの観点や、焼成工程においてによって除去される必要があることから、有機高分子を用いることが好ましい。
次に、溶媒について説明する。好ましい態様で用いられる繊維形成用組成物は、溶媒を含むものである。繊維形成用組成物を形成する溶媒としては、静電紡糸の過程で揮発するものであれば特に限定されないが、得られるセラミック繊維の緻密性、あるいは安全性や環境負荷低減の観点から、水を10質量%以上100質量%以下含むものであることが好ましく、20質量%以上100質量%以下含むものであることがより好ましい。
また、繊維形成用組成物溶液の安定性向上の点や、紡糸の安定性を向上させる観点から、他の溶媒、例えばアルコール類、ケトン類、アミン類、アミド類、カルボン酸類等を添加することも可能であるし、塩化アンモニウム等の塩を添加することも可能である。
本発明のキャパシタ用セパレータを得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物から繊維を形成でき、本発明の要旨を超えない範囲であれば、上記の成分以外の成分を繊維形成用組成物の成分として含有させてもよい。
このような任意成分としては、例えば、酸化チタン、アルミナ等の微粒子、フィラー等を挙げることができる。
繊維形成用組成物調製工程においては、必須成分であるセラミック前駆体と繊維形成性溶質、また、溶媒、その他任意成分を含む繊維形成用組成物を調製する。
添加の方法は、セラミック前駆体と繊維形成性溶質とがほぼ均一に混合できれば、特に限定されるものではない。また、セラミック前駆体と繊維形成性溶質の添加順序についても特に限定されるものではなく、逐次添加であっても、同時添加であっても差し支えない。
紡糸工程においては、静電紡糸法にて上記で得られた繊維形成用組成物を噴出することにより、繊維を作製する。以下に、紡糸工程における紡糸方法および紡糸装置について、具体的に説明する。
好ましい態様の紡糸工程においては、静電紡糸法によって繊維を作製する。ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。なお、紡糸により得られる繊維状物質は、後記する累積工程において、捕集基材上に積層される。
なお、曳糸する温度は溶媒の蒸発挙動や繊維形成用組成物(紡糸液)の粘度にあわせて調整すれば良く、通常は、0℃以上100℃以下の範囲である。
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
静電場を形成するための電極は、導電性を示しさえすれば、金属、無機物、または有機物等のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物等の薄膜を設けたものであってもよい。
なお、繊維形成用組成物を噴出するためのノズルの形状は、先端が鋭角を形成していることが好ましい。噴出ノズルの先端が鋭角を形成している場合には、ノズルの先端における液滴形成を制御しやすくなる。
また、繊維形成用組成物をノズルから静電場中に供給する際に、複数個のノズルを並列的に用いることにより、繊維の生産速度を上げることもできる。
累積工程においては、上記の紡糸工程で得られた繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される繊維状物質を、捕集基材上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。
したがって、捕集基材となる電極として平面を用いれば平面状の繊維集合体を得ることができるが、捕集基材の形状を変えることによって、所望の形状の繊維集合体を作製することができる。
なお、繊維集合体は上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒が繊維状物質に含まれたまま残留した状態も含まれる。
焼成工程においては、上記の累積工程において得られた繊維集合体を焼成することにより、不織布である本発明のキャパシタ用セパレータを得る。
焼成にあたっては、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて、焼成雰囲気の気体を置換することが可能な電気炉を用いてもよい。また、焼成温度は、400℃以上1400℃以下の範囲とすることが好ましい。400℃以上で焼成すると、耐熱性に優れたセラミック繊維を作製することが可能となる。一方で、1400℃を超える温度にて焼成すると、セラミック繊維中の粒成長が大きくなったり、低融点物が溶融したりすることから力学的強度が低下し、好ましくない。より好ましい焼成温度は、500℃以上1300℃以下の範囲である。
実施例においては、以下の項目について、以下の方法によって測定・評価を実施した。
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られたチタニア繊維の表面を撮影(倍率:2000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から無作為に20箇所を選択し、フィラメントの径を測定した。繊維径のすべての測定結果(n=20)の平均値を求めて、チタニア繊維の平均繊維径とした。
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られたチタニア繊維の表面を撮影(倍率:400倍)し、写真図を得た。得られた写真図について、繊維長100μm以下の繊維が存在するか否かの確認を行った。
50mm角の大きさに切断したセパレータ試験片を、ステンレス板上に載せ、300℃に設定した恒温乾燥機の中で3時間静置した。3時間経過後、恒温乾燥機より試験片を取り出し、試験片が室温に戻った後に、その寸法を0.1mm単位まで測定した。乾燥前の寸法に対する収縮による寸法変化の割合を求め、これを熱収縮率(%)とした。
電解液として、プロピレンカーボネートに、(C2H5)3(CH3)NBF4を1mol/Lになるように溶解させたもの(キシダ化学株式会社製)を用意した。試験片として、50mm角の大きさに切断したセパレータ試料を用い、その質量(W1)を計測し、引き続き、該試料を電解液に1分間浸漬した。1分後に試験片を電解液から取り出し、その後、試験片をろ紙で1分間はさむことにより余剰液を除去し、余剰液を除去した後の試験片の質量(W2)を計測した。電解液保液率は、下記数式(1)により、キャパシタ用セパレータの自重に対する電解液の含浸量として求めた。
〔式1〕
電解液保液率(%)=(W2−W1)/W1x100 (1)
[繊維形成用組成物調製工程]
オルト珪酸テトラエチル(和光純薬工業株式会社製)1質量部に、pH3に調製した硫酸水溶液を1質量部添加した。硫酸水溶液を添加した直後は、液体は相分離しているが、室温にて10分間激しく攪拌することにより相溶化した。
この相溶化した溶液に、塩基性塩化アルミニウム水溶液(大明化学工業株式会社製、商品名:アルファイン83、Al2O3換算含有量:23.3wt%、塩基度:83.1wt%)と、ポリエチレンオキシド(シグマアルドリッチ社製、数平均分子量:200,000)とを添加混合することにより、珪素とアルミニウムの混合比がSiO2/Al2O3換算で1/1(質量比)であり、ポリエチレンオキシドが1質量%含まれる繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調整した。
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置により繊維形成用組成物を噴出し、連続的に紡糸を行うことにより繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。このときの噴出ノズル1の内径は0.4mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。また、繊維捕集電極(ドラム)の外径は6cm、回転数は600rpm、紡糸時間は15分であった。
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で、電気炉を用いて1150℃まで1.8時間かけて昇温し、その後、1150℃で2時間保持して焼成することにより、セラミック繊維を含有する不織布からなる本発明のキャパシタ用セパレータを得た。
得られたキャパシタ用セパレータにつき、各種の測定・評価を実施した。その結果、セパレータを構成している繊維の平均繊維径は450nmであり、繊維長100μm以下の繊維は観察されなかった。また、セパレータの厚さは41μm、熱収縮率は測定限界(0.2%)以下であり、電解液保液率は863%であった。
2、2’ 繊維形成用組成物
3、3’ 繊維形成用組成物保持槽
4 電極
5、5’ 繊維捕集電極
6、6’ 高電圧発生器
7 マスク
Claims (6)
- 平均繊維径が10nm以上1000nm以下のセラミック繊維を含む不織布からなるキャパシタ用セパレータ。
- 前記不織布は、90質量%以上が前記セラミック繊維を含むものである請求項1記載のキャパシタ用セパレータ。
- 前記セラミック繊維の繊維長は、100μm以上である請求項1または2記載のキャパシタ用セパレータ。
- 前記セラミック繊維は、主として酸化物からなる請求項1から3いずれか記載のキャパシタ用セパレータ。
- セラミック前駆体と繊維形成性溶質とを含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、
静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、
前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、
前記繊維集合体を焼成して不織布を得る焼成工程と、を含むキャパシタ用セパレータの製造方法。 - 前記繊維形成用組成物は、溶媒を含むものであり、
前記溶媒は、溶媒全体に対して水を10質量%以上100質量%含むものである請求項5記載のキャパシタ用セパレータの製造方法。
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