JP4695430B2 - 円筒体および円筒体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は円筒体および円筒体の製造方法に関する。更に詳しくは本発明は、細胞を培養する基材として有用な繊維構造体としての円筒体および円筒体の製造方法に関する。
再生医療分野においては、細胞を培養する際に基材として繊維構造体が用いられることがあり、この繊維構造体として、例えば手術用縫合糸などに用いられるポリグリコール酸を用いることが検討されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、これら通常の方法で得られる繊維構造体は繊維径が大きすぎるため、細胞が接着できる有効面積は小さいものであり、表面積を大きくするために、繊維径のより小さい繊維構造体が望まれていた。
一般に、繊維径の小さい繊維構造体を製造する方法として、静電紡糸法は公知である(例えば、特許文献1および2参照。)。静電紡糸法は、液体、例えば繊維形成物質を含有する溶液等を電場内に導入し、これにより液体を電極に向かって曳かせ、繊維構造体を形成させる工程を包含する。通常、繊維形成物質は溶液から曳き出される間に硬化させる。硬化は、例えば冷却(紡糸液体が室温で固体である場合等)、化学的硬化(硬化用蒸気による処理等)、または溶媒の蒸発などにより行われる。また、得られる繊維構造体は、適宜に配置した電極上に捕集され、必要ならばそこから剥離することも出来る。
また、静電紡糸法によって作製した繊維構造体に異方性をもたせる技術の報告はなされている。(特許文献3参照)
しかしながら、これらの方法で作製されるシートを構成する繊維は無機化合物であり、細胞培養用基材として多く用いられている有機ポリマーによるシート作製は報告されていない。また、これらの方法では、水を主体とした溶液が用いられていることから、水溶媒の揮発によって、電極に向かって曳き出された繊維構造体からの電荷消失が大きく、電極上への堆積する力が小さいことから、電極を兼ねたローラーを回転させることによって、電極上に直接堆積されなかった繊維構造体が引き込まれ、ローラー上に堆積し、繊維の配向が生じるものと考えられる。そのため、有機ポリマーを溶解するのに多く用いられている有機溶媒を主体に用いた場合は、電極に向かって曳き出された繊維構造体からの電荷消失が小さく、電極を兼ねたローラーへの堆積する力が大きくなり、ローラーの回転のみにより繊維を配向させることは困難であると考えられる。
生体組織の再生用基材の開発を考えた場合、力学的に異方性を持つ材料の開発は、細胞培養の基材を加工し三次元構造体を作製する際に、前記構造体に求められる力学強度を少ない使用量によって達成できることから重要である。また、力学的に異方性を持つ材料の細胞生育などへの好影響なども考えられ、力学的に異方性を持つ細胞培養用材料の要求は大きく開発が強く求められていた。
特開昭63−145465号公報 特開2002−249966号公報 特開2004−183131号公報 大野典也、相澤益男監訳代表「再生医学」株式会社エヌ・ティー・エス、2002年1月31日、258頁
本発明は、細胞培養に適し、繊維間の空隙が大きく、力学的に異方性のある円筒体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、
力学的に異方性のある不織布からなり、下記要件(a)〜(d)を同時に満足する円筒体によって達成することができる。
要件(a):不織布を構成する繊維の平均径が5μm以下であること。
要件(b):繊維径10μm以上のフィラメントが実質的に含まれないこと。
要件(c):円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの2倍以上であること。
要件(d):不織布を構成する繊維が生分解性を有する有機高分子を含む物質からなること。
更に、本発明の他の目的は、
生分解性を有する有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階と、前記溶液に高電圧を印加させる段階と、前記溶液を噴出させる段階と、前記噴出された溶液から溶媒を蒸発させ繊維構造体を形成させる段階と、前記形成された繊維構造体の電荷を消失させる段階と、前記電荷を消失させた繊維構造体を回転するローラーに絡め取り円筒状の不織布を作製する段階と、前記円筒状不織布をローラーから取り外す段階を含む、円筒体の製造方法によって達成することができる。
本発明の円筒体は、生分解性を有する有機高分子から主としてなり、これらを構成する繊維の平均繊維径が小さく、更に力学的に異方性があることから、血管など、中を液体が流れる管状形状を有する部位の組織の再生に使用される細胞培養用の基材として有効である。
また、得られる円筒体はそのまま使用することも出来るし、取り扱い性やその他の要求事項に合わせて他の部材と組み合わせて用いることもできる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の円筒体は、力学的に異方性のある不織布からなり、下記要件(a)〜(d)を同時に満足する。
要件(a):不織布を構成する繊維の平均径が5μm以下であること。
要件(b):繊維径10μm以上のフィラメントが実質的に含まれないこと。
要件(c):円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの2倍以上であること。
要件(d):不織布を構成する繊維が生分解性を有する有機高分子を含む物質からなること。
ここで、本発明において「不織布」とは、織り編みの施されていない繊維からなる平面状の集合体を表し、構成する繊維同士の絡まりのみで形態を維持している構造や、繊維同士が一部融着した構造も含まれる。
ここで、本発明において「円筒体」とは、中空の円柱構造を表し、一般に言われる「チューブ」も含まれる。
次に、円筒体を構成する繊維の平均繊維径が5μm以下であることについて説明する。本発明の円筒体を構成する繊維の平均繊維径が5μmを越えると、繊維の比表面積が小さくなりすぎ、結果として培養できる細胞の数が少なくなる。また、繊維の平均繊維径は0.1μm以上あれば、得られる円筒体の強度は十分なものとなる。円筒体を構成する繊維の平均繊維径は好ましくは、0.2〜3μmの範囲にあることである。
次いで、繊維径10μm以上の繊維が実質的に含まれないことについて説明する。本発明において「実質的に含まれない。」とは、電子顕微鏡観察において、円筒体の任意の部分を観察したとき、上記の繊維径をもつ繊維が観察されないことを指す。
また、本発明の円筒体を形成する繊維に繊維径10μm以上の繊維が含まれると、繊維の比表面積が小さくなり、培養できる細胞の数が少なくなるため好ましくないだけではなく、撚糸の細胞培養に適した柔軟性が損なわれることからも好ましくない。また、細胞培養に適した柔軟性を得るためには、繊維径8μm以上の繊維が実質的に含まれないことがより好ましい。
次に、本発明の円筒体に関して円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの2倍以上であることについて説明する。本発明の円筒体の使用形態として、血管などの再生用基材または再生用基材の補強材としての使用が挙げられるが、血管などの再生基材を考えた場合、圧力の掛かった液体が流れることによって、軸方向よりも円周方向により大きな力が加わる。そのため、円周方向の引張強さは、軸方向の引張強さよりも大きいことが求められ、その大きさとしては、もちろん用いる部位によっても要求値が異なるが、2.1倍以上であることが好ましく、より好ましくは2.5倍以上である。
本発明の円筒体は細胞培養基材として好ましく用いられ、さらには再生医療分野における細胞培養基材として好ましく用いられる。負荷の高い組織の細胞培養基材として用いられる場合も考慮すると機械強度に優れていることが好ましい。円筒体の円周方向の引張強さは好ましくは0.8Mpa以上である、より好ましくは1.0Mpa以上であり、さらに好ましくは1.5Mpa以上である。円筒体の軸方向の引張強さは好ましくは0.1Mpa以上であり、さらに好ましくは0.5Mpa以上である。
本発明の円筒体を構成する繊維は生分解性を有する有機高分子から主としてなる。有機高分子としては、有機溶媒に可溶性を有するものであることが好ましく、特に、有機溶媒がハロゲン元素含有化合物であるのが好ましい。
このような有機高分子としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、フィブロイン、並びにこれらの共重合体などが挙げられる。
これらのうち好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネート並びにこれらの共重合体などの脂肪族ポリエステルが挙げられ、さらに好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン並びにこれらの共重合体が挙げられる。なかでもポリ乳酸が特に好ましい。
次に、本発明の円筒体を製造するための態様について説明する。本発明の円筒体を製造するには、前述の要件を同時に満足するような円筒体が得られる手法であればいずれも採用することができるが、生分解性を有する有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階と、前記溶液に高電圧を印加させる段階と、前記溶液を噴出させる段階と、前記噴出された溶液から溶媒を蒸発させ繊維構造体を形成させる段階と、前記形成された繊維構造体の電荷を消失させる段階と、前記電荷を消失させた繊維構造体を回転するローラーに絡め取り円筒状不織布を作製する段階と、前記円筒状不織布をローラーから取り外す段階を含む、円筒体の製造方法を好ましい一態様として挙げることができる。
まず、生分解性を有する有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階と、前記溶液に高電圧を印加させる段階と、前記溶液から溶液を噴出させる段階について説明する。
静電紡糸法とは繊維形成性の基質を溶解させた溶液を電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液を電極に向けて曳糸し、形成される繊維状物質を捕集基板上に累積することによって繊維構造体を得る方法であって、繊維状物質とは、繊維形成性の基質を溶解させた溶媒が留去して繊維積層体となっている状態のみならず、前記溶媒が繊維状物質に含まれている状態も示している。
次いで、静電紡糸法で用いる装置について説明する。
前述の電極は、金属、無機物、または有機物のいかなるものでも導電性を示しさえすれば用いることができ、また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物の薄膜を持つものであっても良い。
また、静電場は一対又は複数の電極間で形成されており、いずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば電圧値が異なる高電圧の電極が2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極の合計3つの電極を用いる場合も含み、または3つを越える数の電極を使う場合も含むものとする。
次に静電紡糸法による本発明の円筒体を構成する繊維の製造手法について順を追って説明する。
まず、生分解性を有する有機高分子を溶解させて溶液を製造するが、本発明の製造方法における溶液中の溶媒に対する有機高分子の濃度は1〜30重量%であることが好ましい。有機高分子の濃度が1重量%より小さいと、濃度が低すぎるため繊維構造体を形成することが困難となり好ましくない。また、30重量%より大きいと得られる繊維構造体の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましい溶液中の溶媒に対する有機高分子の濃度は2〜20重量%である。
また、溶媒は一種を単独で用いても良く、複数の溶媒を組み合わせても良い。前記溶媒としては、有機高分子を溶解可能で、かつ静電紡糸法にて紡糸する段階で蒸発し、繊維を形成可能なものであれば特に限定されないが、なかでも揮発性有機溶媒が好ましい。
溶媒として具体的には、アセトン、クロロホルム、エタノール、イソプロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、水、ベンゼン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、プロパノール、塩化メチレン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルモルホリン−N−オキシド、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、上記溶媒の混合溶媒等が挙げられる。
これらのうち、取り扱い性や物性などから、塩化メチレン、メタノール、エタノールとそれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
次に前記溶液を静電紡糸法にて紡糸する段階について説明する。
前記溶液を静電場中に吐出するには、任意の方法を用いることが出来、例えば、溶液をノズルに供給することによって、溶液を静電場中の適切な位置に置き、そのノズルから溶液を電界によって曳糸して繊維化させればよい。
以下、図1を用いて、この静電紡糸法について更に具体的に説明する。
注射器の筒状の溶液保持槽(図1中3)の先端部に適宜の手段、例えば高電圧発生器(図1中5)にて電圧をかけた注射針状の溶液噴出ノズル(図1中1)を設置して、溶液(図1中2)を溶液噴出ノズル先端部まで導く。接地した電極(図1中4)から適切な距離で前記溶液噴出ノズル(図1中1)の先端を配置し、溶液(図1中2)が前記溶液噴出ノズル(図1中1)の先端部から噴出させ、このノズル先端部分と電極(図1中4)との間で繊維構造体を形成させることができる。
前記溶液をノズルから静電場中に供給する場合、数個のノズルを並列的に用いて繊維構造体の生産速度を上げることもできる。また、電極間の距離は、帯電量、ノズル寸法、溶液のノズルからの噴出量、溶液濃度等に依存するが、10kV程度のときには5〜20cmの距離が適当であった。また、印加される静電気電位は、一般に3〜100kV、好ましくは5〜50kV、一層好ましくは5〜30kVである。所望の電位は従来公知の任意の適切な方法で作れば良い。
また、得られた繊維構造体に対して熱処理や化学処理を施してもよく、さらに、紡糸以前の任意の段階で、前記有機高分子に、エマルジョン、有機物もしくは無機物の粉末を混合してもよい。
次に前記噴出された溶液から溶媒を蒸発させ繊維構造体を形成させる段階について説明する。本発明においては、前記溶液を捕集基板に向けて曳糸する間に、溶液の電荷を消失させることで、ノズルと捕集電極との間で繊維構造体が空間中に滞留する。通常の室温であれば繊維構造体が空間中に滞留するまでの間に溶媒は完全に蒸発するが、溶媒蒸発が不十分な場合は減圧条件下で曳糸しても良い。この繊維構造体が空間中に滞留した時点では少なくとも前記繊維平均径を満足する繊維が形成されている。また、曳糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃の範囲である。
次に前記形成された繊維構造体の電荷を消失させる段階について説明する。前記形成された繊維構造体の電荷を消失させる段階は、前記溶液の電荷を消失させ繊維構造体が形成されれば特に限定を受けないが、好ましい方法として、帯電風により電荷を消失させる方法が挙げられる。帯電風は例えばイオナイザーで発生させることができる。イオナイザーとは内蔵のイオン発生装置によりイオンを発生させ、前記イオンを帯電物に放出させることにより前記帯電物の電荷を消失させうる装置である。本発明で用いられるイオナイザーは本発明の繊維構造体が形成されれば特に限定を受けないが、好ましいイオン発生装置として内蔵の放電針に高電圧を印加させることによりイオンを発生する装置が挙げられる。
次に前記電荷を消失させた繊維構造体を回転するローラーに絡め取り円筒状不織布を作製する段階について説明する。本発明では、上記方法によって、空間中に滞留した繊維構造体の一端がローラーに引き込まれ、ローラー上に繊維構造体が絡め取られることによって、円筒状不織布が作製される。ローラー上に円筒状不織布が作製されることから、ローラーの径を制御することにより、円筒体のサイズを制御することが可能である。
次に前記円筒状不織布をローラーから取り外す段階について説明する。円筒状不織布をローラーから取り外す方法については、本発明の円筒体を作製できる方法であれば特に限定はされないが、一例として、ローラーの一端から押し出すことによって、円筒状不織布をローラーから取り外すことが出来る。
また、取り外した円筒状不織布を切り開いたり、先にローラー上に絡め取られた繊維構造体を切り開き、ローラーから外したりすることによって、力学的に異方性のある不織布を作製することも可能である。
また、ローラーを回転軸方向に移動させることによって、本発明の円筒体を連続的に製造することも可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何等限定を受けるものではない。また以下の各実施例、比較例における評価項目は以下のとおりの手法にて実施した。
[平均繊維径]
得られた円筒体の表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍)を撮影し、その写真からn=20にて繊維径を測定し、平均値を算出し平均繊維径とした。
[平均厚さ]
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL-50」)を用いて測定力0.01Nによりn=5にて円筒体の膜厚を測定した平均値を算出した。なお円筒体の膜厚は、円筒体を切り開き平面体にした状態で測定した。また本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
[引張強さ]
定速伸長型引張試験機(株式会社オリエンテック:商品名「テンシロンRTC−1210A」)を用いて、試料幅10mm、チャック間距離10mm、試験速度20mm/minによりn=5にて、円筒体を切り開いた平面体の引張強さ(最大点応力)を測定し、平均値を算出した。
[実施例1]
ポリ乳酸(株式会社島津製作所製:商品名「Lacty9031」)1重量部、エタノール(和光純薬工業株式会社製、特級)3重量部、塩化メチレン(和光純薬工業株式会社製、特級)6重量部を室温(25℃)で混合し溶液を作製した。図1に示す装置の電極4にアースをとり、イオナイザー6に電源を入れた状態で、装置を作動させたところ、ローラー上に繊維が絡め取られ、円筒体を得ることができた。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズル1からローラー7までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、ローラー7からイオナイザー6までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、イオナイザー7から電極4までの距離は5cmであり、ローラー7の直径は8mm、回転数は600rpmであった。得られた円筒体の高さは10cm、内径8mmであった。また、厚みの均一な箇所の厚みを測定したところ0.22mmであった。円筒体表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−2400」)で測定したところ、繊維の平均繊維径は2.1μmであった。繊維径10μm以上のフィラメントは観察されなかった。円筒体の力学強度を測定したところ、円周方向の引張強さが0.84MPa、軸方向の引張強さが0.24MPaであり、円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの3.5倍であった。
[実施例2]
ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業株式会社製:商品名「PLACCEL H7」)1重量部、エタノール(和光純薬工業株式会社製、特級)3.6重量部、塩化メチレン(和光純薬工業株式会社製、特級)5.4重量部を室温(25℃)で混合し溶液を作製した。図1に示す装置の電極4にアースをとり、イオナイザー6に電源を入れた状態で、装置を作動させたところ、ローラー上に繊維が絡め取られ、円筒体を得ることができた。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズル1からローラー7までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、ローラー7からイオナイザー6までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、イオナイザー7から電極4までの距離は5cmであり、ローラー7の直径は8mm、回転数は600rpmであった。得られた円筒体の高さは15cm、内径8mmであった。また、厚みの均一な箇所の厚みを測定したところ0.27mmであった。円筒体表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−2400」)で測定したところ、繊維の平均繊維径は1.4μmであった。繊維径10μm以上のフィラメントは観察されなかった。円筒体の力学強度を測定したところ、円周方向の引張強さが1.68MPa、軸方向の引張強さが0.77MPaであり、円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの2.2倍であった。
[比較例1]
ポリ乳酸(株式会社島津製作所製:商品名「Lacty9031」)1重量部、エタノール(和光純薬工業株式会社製、特級)3重量部、塩化メチレン(和光純薬工業株式会社製、特級)6重量部を室温(25℃)で混合し溶液を作製した。図1に示す装置のローラー7にアースをとり、イオナイザー6の電源を切った状態で、装置を作動させたところ、ローラー上に繊維が積層され、円筒体を得ることができた。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズル1からローラー7までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、ローラー7からイオナイザー6までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、イオナイザー7から電極4までの距離は5cmであり、ローラー7の直径は8mm、回転数は600rpmであった。得られた円筒体の高さは15cm、内径8mmであった。また、厚みの均一な箇所の厚みを測定したところ0.23mmであった。円筒体表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−2400」)で測定したところ、繊維の平均繊維径は1.6μmであった。円筒体の力学強度を測定したところ、円周方向の引張強さが0.11MPa、軸方向の引張強さが0.32MPaであり、円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの0.3倍であった。
[比較例2]
ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業株式会社製:商品名「PLACCEL H7」)1重量部、エタノール(和光純薬工業株式会社製、特級)3.6重量部、塩化メチレン(和光純薬工業株式会社製、特級)5.4重量部を室温(25℃)で混合し溶液を作製した。図1に示す装置のローラー7にアースをとり、イオナイザー6の電源を切った状態で、装置を作動させたところ、ローラー上に繊維が積層され、円筒体を得ることができた。噴出ノズル1の内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズル1からローラー7までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、ローラー7からイオナイザー6までの距離は高さ0cm、水平距離は10cmであり、イオナイザー7から電極4までの距離は5cmであり、ローラー7の直径は8mm、回転数は600rpmであった。得られた円筒体の高さは10cm、内径8mmであった。また、厚みの均一な箇所の厚みを測定したところ0.24mmであった。円筒体表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製「S−2400」)で測定したところ、繊維の平均繊維径は1.2μmであった。円筒体の力学強度を測定したところ、円周方向の引張強さが0.92MPa、軸方向の引張強さが1.13MPaであり、円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの0.8倍であった。
[比較例3]
ポリ乳酸(株式会社島津製作所製:商品名「Lacty9031」)1重量部、エタノール(和光純薬工業株式会社製、特級)3重量部、塩化メチレン(和光純薬工業株式会社製、特級)6重量部を室温(25℃)で混合し溶液を作製した。図1に示す装置の電極4にアースをとり、イオナイザー6の電源を切った状態で、装置を作動させたところ、繊維が電極4上に積層され、円筒体を得ることが出来なかった。
本発明の円筒体を製造するための製造装置を模式的に示した図である。 実施例1の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(400倍)して得られた写真図である。 実施例1の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。 実施例2の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(400倍)して得られた写真図である。 実施例2の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。 比較例1の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(400倍)して得られた写真図である。 比較例1の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。 比較例2の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(400倍)して得られた写真図である。 比較例2の操作で得られた円筒体の表面を、紙面横方向が円周方向になるように走査型電子顕微鏡で撮影(2000倍)して得られた写真図である。
符号の説明
1 溶液噴出ノズル
2 溶液
3 溶液保持槽
4 電極
5 高電圧発生器
6 イオナイザー
7 ローラー
8 スイッチ

Claims (10)

  1. 力学的に異方性のある不織布からなり、下記要件(a)〜(d)を同時に満足する円筒体。
    要件(a):不織布を構成する繊維の平均径が5μm以下であること。
    要件(b):繊維径10μm以上のフィラメントが実質的に含まれないこと。
    要件(c):円周方向の引張強さが軸方向の引張強さの2倍以上であること。
    要件(d):不織布を構成する繊維が生分解性を有する有機高分子を含む物質からなること。
  2. 生分解性を有する有機高分子がハロゲン元素含有化合物に可溶なものである請求項1記載の円筒体。
  3. 生分解性を有する有機高分子が脂肪族ポリエステルである請求項1〜2のいずれか記載の円筒体。
  4. 脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの共重合体から選ばれた少なくとも一種の有機高分子である請求項3記載の円筒体。
  5. 円筒体の円周方向の引張強さが0.8Mpa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の円筒体。
  6. 生分解性を有する有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階と、前記溶液に高電圧を印加させる段階と、前記溶液を噴出させる段階と、前記噴出された溶液から溶媒を蒸発させ繊維構造体を形成させる段階と、前記形成された繊維構造体の電荷を消失させる段階と、前記電荷を消失させた繊維構造体を回転するローラーに絡め取り円筒状不織布を作製する段階と、前記円筒状不織布をローラーから取り外す段階を含む、円筒体の製造方法。
  7. 形成された繊維構造体の電荷の消失を帯電風によって行う、請求項6に記載の製造方法。
  8. 生分解性を有する有機高分子を溶解する溶媒が揮発性有機溶媒である、請求項6に記載の製造方法。
  9. 生分解性を有する有機高分子が脂肪族ポリエステルである、請求項6に記載の製造方法。
  10. 脂肪族ポリエステルがポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの共重合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の有機化合物である、請求項9記載の製造方法。
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