JP2006333201A - ドハティ型増幅器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のドハティ型増幅器においては、高効率特性と低歪み特性との両立が困難であった。
【解決手段】 ドハティ型増幅器1は、入力端子72と出力端子74との間の経路P1(第1の経路)中に設けられ、第1の級にバイアスされるメインアンプ10(第1の増幅器)と、経路P1と並列する経路P2(第2の経路)中に設けられ、第1の級とは異なる第2の級にバイアスされるピークアンプ20(第2の増幅器)と、経路P1におけるメインアンプ10の出力側に設けられた波長線路32と、を備えている。ここで、AB級バイアス時のFET12(第1のトランジスタ)のアイソレーションは、C級バイアス時のFET22(第2のトランジスタ)のアイソレーションよりも大きい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドハティ型増幅器に関する。
第3世代移動体通信方式であるW−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)等、ピークファクタの高い変調波信号を用いるシステムにおいては、歪み規格を満足するため、増幅器に充分なバックオフが必要となる。しかしながら、一般に、バックオフが大きくなると、アンプ効率が低くなってしまう。そこで、バックオフの大きい領域での増幅器の高効率化を実現するための有効な手段として、ドハティ(Doherty)構成が提案されている(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1)。
図10は、特許文献1,2に開示されているマイクロ波ドハティ型増幅器を示す回路構成図である。ドハティ型増幅器100は、AB級にバイアスされたメインアンプ101、C級にバイアスされたピークアンプ102、および1/4波長線路103,104を備えている。1/4波長線路103は、ドハティネットワークを構成しており、メインアンプ101およびピークアンプ102の出力を電力合成する。また、1/4波長線路104は、メインアンプ101とピークアンプ102とが同相で出力合成されるように、これらに入力される信号の位相差を調整する。
ドハティ型増幅器100においては、1/4波長線路103のインピーダンス逆変換作用により、メインアンプ101の負荷RLを変化させることができる。図11は、ドハティ型増幅器100の負荷線の変化の様子を説明するためのグラフである。同図において横軸および縦軸は、それぞれドレイン電圧およびドレイン電流を表す。また、線L1は、入力レベルが低く、ピークアンプがオフ状態にあるときに対応する。このとき、メインアンプ101のみが高負荷状態(=2RL)となる。それにより、メインアンプ101は、バックオフが小さくなるため、高効率で動作する。
一方、線L2は、入力レベルが高く、ピークアンプがオン状態にあるときに対応する。このとき、メインアンプ101の負荷は低下(2RLからRLに変化)する。また、ピークアンプ102も、増幅器全体のピークパワーを稼ぐため、高いピークパワーを維持しながらバックオフの大きい領域において高効率で動作することができる。なお、線L3は、ドハティ型増幅器100全体の負荷(RL/2)を示している。
図12は、ドハティ型増幅器およびB級増幅器それぞれにおける出力バックオフと効率特性との関係を示すグラフである。同図において横軸および縦軸は、それぞれ出力バックオフ[dB]および効率[%]を表す。また、曲線C1および曲線C2は、それぞれドハティ型増幅器およびB級増幅器に対応する。理論的には、ドハティ型増幅器は、飽和出力からのバックオフが6dBとなる出力領域において、B級増幅器よりも高い効率を有する。
特開平7−22852号公報 特許第2945833号公報 特開2002−124840号公報 J. Cha et al., "High Efficiency Power Amplifier for CDMA Base Stations Using Doherty Configuration", IEEE MTT-S Int. Microwave Symp. Dig., June 2004, pp. 533-536 福田,平地、"GaAs電界効果トランジスタの基礎"、電子情報通信学会、1992、p54
しかしながら、従来のドハティ型増幅器においては、C級増幅器で構成されるピークアンプが大きな振幅・位相歪みを有している。そのため、一般に、高効率特性と引き換えに、歪み特性が悪化してしまうという課題がある。したがって、通信システム全体での高効率化を図るためには、低歪みと高効率とを両立する増幅器が求められる。
ところで、非特許文献1には、トランジスタにMotorola社製(現Freescale社製)のLDMOS(Lateral Diffusion MOSFET)を用いたドハティ型増幅器が開示されている。図13は、同文献に記載のドハティ型増幅器を示す回路構成図である。ドハティ型増幅器110は、メインアンプ111、ピークアンプ112、および1/4波長線路113,114を備えている。これらの各構成要素の機能は、図10のドハティ型増幅器100におけるものと同様である。
ドハティ型増幅器110においては、メインアンプ111およびピークアンプ112を構成するトランジスタとして、LDMOSが用いられている。このLDMOSは、ファラデーシールド構造を採用することにより、高いアイソレーション特性を実現し、それにより高利得・高効率化を図っている。
ファラデーシールド構造とは、接地されるソース電極と接続されたファラデーシールド電極がゲート電極とドレイン電極との間に層間誘電体膜を介して配置された構造である。かかる構造によれば、ファラデーシールド電極の電磁遮蔽効果によって、ゲート−ドレイン間容量Cgdを低減させ、入出力間で高いアイソレーション特性を獲得できる。一般に、非特許文献2に記載のとおり、AB級バイアスのトランジスタの利得は、Cgdが低減すると向上する。したがって、ドハティ型増幅器においても、高いアイソレーション特性をもつトランジスタを用いることで、高利得・高効率化を図ることができると考えられる。
しかしながら、図13のドハティ型増幅器においては、入力レベルの増大に伴ってオフ状態からオン状態に移行する際のピークアンプ112側での利得変化が非常に大きくなり、ピークアンプ112で歪みが発生する。この歪み成分は、ドハティ型増幅器全体の歪み特性の劣化につながってしまう。そのため、従来のドハティ型増幅器においては、高効率特性と低歪み特性との両立が困難であった。
本発明によるドハティ型増幅器は、入力端子と出力端子との間の第1の経路中に設けられ、第1の級(class)にバイアスされる第1の増幅器と、上記第1の経路と並列する第2の経路中に設けられ、上記第1の級とは異なる第2の級にバイアスされる第2の増幅器と、上記第1の経路における上記第1の増幅器の出力側、または上記第2の経路における上記第2の増幅器の出力側に設けられた波長線路と、を備え、上記第1の級は、A級、AB級またはB級であり、上記第2の級は、B級またはC級であり、上記第1の級にバイアスされた上記第1の増幅器を構成する第1のトランジスタのアイソレーションは、上記第2の級にバイアスされた上記第2の増幅器を構成する第2のトランジスタのアイソレーションよりも大きいことを特徴とする。
このドハティ型増幅器においては、第1および第2の増幅器がそれぞれメインアンプおよびピークアンプとして機能する。そして、第1の増幅器を構成するトランジスタとしてアイソレーション特性の高いものを用いることにより、利得が改善され、高効率な特性を得ることができる。一方で、第2の増幅器を構成するトランジスタとしては、アイソレーション特性の低いものを用いている。これにより、第2の増幅器での入力レベル増大に伴う利得変化を小さく抑えることができるため、このドハティ型増幅器全体の歪み特性の劣化を抑制することができる。よって、高効率特性と低歪み特性とが両立される。
なお、トランジスタのアイソレーションは、当該トランジスタが電界効果トランジスタで構成される場合、その出力端子(ドレイン端子)から入力端子(ゲート端子)への通過損失として定義される。
本発明によれば、効率が高く、且つ歪みが小さいドハティ型増幅器が実現される。
以下、図面を参照しつつ、本発明によるドハティ型増幅器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明によるドハティ型増幅器の第1実施形態を示す回路構成図である。ドハティ型増幅器1は、入力端子72と出力端子74との間の経路P1(第1の経路)中に設けられ、第1の級にバイアスされるメインアンプ10(第1の増幅器)と、経路P1と並列する経路P2(第2の経路)中に設けられ、第1の級とは異なる第2の級にバイアスされるピークアンプ20(第2の増幅器)と、経路P1におけるメインアンプ10の出力側に設けられた波長線路32と、を備えている。このドハティ型増幅器1は、マイクロ波帯およびミリ波帯において使用される高出力増幅器である。
第1の級は、A級、AB級またはB級である。また、第2の級は、B級またはC級である。ただし、第1および第2の級は、相異なる。したがって、第1の級がA級またはAB級のときは、第2の級はB級またはC級である。また、第1の級がB級のときは、第2の級はC級である。本実施形態においては、第1および第2の級がそれぞれAB級およびC級であるとして説明する。
メインアンプ10は、FET(電界効果トランジスタ)12、内部入力整合回路14、および内部出力整合回路16を有して構成されている。また、ピークアンプ20は、FET22、内部入力整合回路24、および内部出力整合回路26を有して構成されている。ここで、AB級バイアス時のFET12(第1のトランジスタ)のアイソレーションは、C級バイアス時のFET22(第2のトランジスタ)のアイソレーションよりも大きい。なお、FETのアイソレーションは、その出力端子(ドレイン端子)から入力端子(ゲート端子)への通過損失として定義される。
波長線路32は、1/4波長線路であり、波長線路34と共にドハティネットワーク30を構成している。この波長線路34も1/4波長線路である。また、波長線路32および波長線路34の特性インピーダンスは、それぞれ50Ωおよび35Ωである。波長線路34は、経路P1および経路P2の分岐点と出力端子74との間に設けられている。
さらに、ドハティ型増幅器1は、位相差調整回路40、外部入力整合回路52,54、および外部出力整合回路62,64を備えている。位相差調整回路40は、メインアンプ10とピークアンプ20とが同相で出力合成されるように、これらに入力される信号の位相差を調整する。この位相差調整回路40は、波長線路42,44を有している。これらの波長線路42および波長線路44は、共に1/4波長線路であり、特性インピーダンスはそれぞれ35Ωおよび50Ωである。波長線路42は、入力端子72と経路P1および経路P2の分岐点との間に設けられている。一方の波長線路44は、経路P2におけるピークアンプ20の入力側に設けられている。
外部入力整合回路52は、経路P1におけるメインアンプ10の入力側に設けられている。外部入力整合回路54は、経路P2におけるピークアンプ20と波長線路44との間に設けられている。また、外部出力整合回路62は、経路P1におけるメインアンプ10と波長線路32との間に設けられている。外部出力整合回路64は、経路P2におけるピークアンプ20の出力側に設けられている。
なお、内部入力整合回路14,24、内部出力整合回路16,26、外部入力整合回路52,54および外部出力整合回路62,64は、入力レベルの増加に伴い、メインアンプ10側のFET12の負荷が、効率マッチからパワーマッチに変化し、ピークアンプ20側のFET22の負荷が、C級バイアス時の最大利得点からパワーマッチに変化するよう設定される。これにより、高効率なメインアンプ10の負荷変動と、低歪みなピークアンプ20の負荷変動とを実現する。
図2は、FET12の構造を示す断面図である。FET12は、GaAs基板121、チャネル層122、コンタクト層123、層間誘電体膜124a,124b、ソース電極125、ゲート電極126、ドレイン電極127、フィールドプレート電極128、ファラデーシールド電極129、ゲート端子131、およびドレイン端子132を有している。
ファラデーシールド電極129は、チャネル層122上のゲート電極126とドレイン電極127との間の領域に、層間誘電体膜124a,124bを介して設けられている。このファラデーシールド電極129は、ソース電極125と電気的に接続されるとともに、ゲート電極126およびドレイン電極127と電気的に絶縁されている。ドハティ型増幅器1の動作時、ソース電極125は接地される。したがって、ソース電極125に接続されたファラデーシールド電極129も接地されることになる。ゲート端子131およびドレイン端子132は、それぞれゲート電極126およびドレイン電極127に接続されている。
図3は、FET22の構造を示す断面図である。FET22は、GaAs基板221、チャネル層222、コンタクト層223、層間誘電体膜224a,224b、ソース電極225、ゲート電極226、ドレイン電極227、フィールドプレート電極228、ゲート端子231、およびドレイン端子232を有している。
フィールドプレート電極228は、ゲート電極226におけるドレイン電極227側の側面に接して設けられている。本実施形態においてゲート電極226とフィールドプレート電極228とは、同一の導電材料によって一体に形成されている。なお、図2に示したようにFET12にもフィールドプレート電極128が設けられているが、FET12においてフィールドプレート電極128を設けることは必須ではない。
なお、これらのFET12,22は、図4に示すように、内部入力整合回路14,24および内部出力整合回路16,26と共に1つのパッケージ(PKG)80内に収納されて、高出力トランジスタモジュールの形態をとってもよい。すなわち、メインアンプ10およびピークアンプ20は、1つのパッケージ内に設けられてもよい。同図において、端子T1〜T4は、それぞれ上述の外部入力整合回路52、外部入力整合回路54、外部出力整合回路62および外部出力整合回路64に接続される端子である。あるいは、メインアンプ10およびピークアンプ20は、1つのチップ上に設けられて、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit)の形態をとってもよい。
次に、ドハティ型増幅器1の動作および効果を説明する。ドハティ型増幅器1においては、AB級にバイアスされたメインアンプ10と、C級にバイアスされたピークアンプ20が、基本波周波数の1/4波長のインピーダンス線路(波長線路32,34)で構成されるドハティネットワーク30により電力合成される。この1/4波長線路32,34のインピーダンス逆変換作用によって、入力レベルが低くピークアンプ20がオフの状態ではメインアンプ10のみが高負荷状態で高効率動作する。
一方、入力レベルが高くピークアンプ20がオン状態になると、メインアンプ10の負荷が低下するとともに、ピークアンプ20も、ピークパワーを稼ぐため、高いピークパワーを維持しながらバックオフの大きい領域で高効率動作をすることができる。ここで、ピークアンプ20側のFET22として、低アイソレーション特性をもつFETを用いているため、ピークアンプ20での入力レベル増大に伴う利得変化を小さく抑えることができ、ドハティ型増幅器1全体の歪み劣化を抑制することができる。
図5は、C級バイアス時のFETの等価回路を示す回路構成図である。同図を見てわかるように、C級バイアス時では、ゲート−ドレイン間容量Cgdを大きくして低アイソレーション特性にした方が、Cgdを小さくして高アイソレーション特性にした場合より、通過利得は高くなる。したがって、低アイソレーション特性をもつFETの方が、入力レベルの変化に伴うC級バイアス時の利得変化が小さい。よって、ドハティ型増幅器1においては、高効率特性と低歪み特性とが両立される。
上述のとおり、ドハティ型増幅器において、メインアンプ側に、高アイソレーション特性をもつトランジスタを適用すると、低入力レベル時のバックオフの大きい領域で、利得が改善され、効率特性も改善できる。一方で、ピークアンプ側には、メインアンプ側と異なり、低アイソレーション特性をもつトランジスタを適用すると、ピークアンプ側で発生する歪みを抑制でき、低歪みな動作が可能となる。
図6(a)、図6(b)および図6(c)は、ピークアンプ側に低アイソレーション特性のトランジスタを用いたドハティ型増幅器1について、C級バイアス時の等利得円、メインアンプとピークアンプの振幅・位相特性、および相互変調歪み特性をそれぞれ示すグラフである。一方、図7(a)、図7(b)および図7(c)は、ピークアンプ側にもメインアンプ側と同じく高アイソレーション特性をもつトランジスタ用いた従来のドハティ型増幅器について、C級バイアス時の等利得円、メインアンプとピークアンプの振幅・位相特性、および相互変調歪み特性をそれぞれ示すグラフである。
図6(a)に示すように、低アイソレーション特性をもつトランジスタのC級バイアス時の利得特性は、高い最大利得を示し、入力レベル増大に伴う負荷インピーダンスの変化に対し特性変化が小さい。一方、図7(a)に示すように、高アイソレーション特性をもつトランジスタのC級バイアス時の利得特性は、低い最大利得を示し、入力レベル増大に伴う負荷インピーダンスの変化に対し特性変化が非常に大きい。
つまり、ピークアンプ側にも、メインアンプと同じ高アイソレーションのトランジスタを用いると、入力レベルの増大に伴ってオフからオン状態に変化するときの利得変化が非常に大きく、ドハティ型増幅器全体の歪み特性が劣化してしまう。これに対し、ドハティ型増幅器1のように、ピークアンプ側のトランジスタにメインアンプ側と異なり低アイソレーション特性をもつトランジスタを適用することにより、入力レベルの増大に伴ってオフからオン状態に変化するときのピークアンプの利得変化を小さく抑えることができ、ドハティ型増幅器全体の歪み劣化を抑止できる。したがって、上記実施形態のような構成をとることにより、高効率で、且つ、低歪みなドハティ型増幅器が実現されるのである。
また、メインアンプ10のFET12は、ファラデーシールド電極129(図2参照)を有して構成されている。FET12においては、ファラデーシールド電極129の電磁遮蔽効果により、ゲート−ドレイン間容量が低減され、入出力間で高いアイソレーションが得られる。このように、ファラデーシールド電極129を設けることにより、簡略な構成で高アイソレーション特性をもつFETを実現することができる。
ピークアンプ20のFET22は、フィールドプレート電極228(図3参照)を有して構成されている。FET22においては、ゲート電極226からドレイン電極227側へ張り出したフィールドプレート電極228の長さを調整することにより、ゲート−ドレイン間容量を適当な値に設定し、それによりC級バイアス時に低アイソレーション特性を得ることができる。このように、フィールドプレート電極228を設けることにより、簡略な構成で低アイソレーション特性をもつFETを実現することができる。
メインアンプ10およびピークアンプ20を1つのパッケージ内に設けた場合、ドハティ型増幅器1の構成を簡略化することができる。また、メインアンプ10およびピークアンプ20を1つのチップ上に設けた場合、ドハティ型増幅器1の製造工程を簡略化することができる。
なお、本実施形態においては、波長線路32が経路P1におけるメインアンプ10の出力側に設けられた例を示したが、波長線路32は、図14に示すように、経路P2におけるピークアンプ20の出力側に設けられていてもよい。この場合、波長線路44は、経路P1におけるメインアンプ10の入力側に設けられている。同図に示すドハティ型増幅器においても、図1に示すドハティ型増幅器と同様の動作および効果を得ることができる。
(第2実施形態)
図8は、本発明によるドハティ型増幅器の第2実施形態を示す回路構成図である。ドハティ型増幅器2は、入力端子72と出力端子74との間の経路P1中に設けられ、第1の級にバイアスされるメインアンプ92(第1の増幅器)と、経路P1と並列する経路P2中に設けられ、第1の級とは異なる第2の級にバイアスされるピークアンプ94(第2の増幅器)と、経路P1におけるメインアンプ92の出力側に設けられた波長線路32と、を備えている。
また、ドハティ型増幅器2は、バイアス制御ネットワーク93,95、および波長線路34,42,44を備えている。これらのうち、波長線路32,34,42,44、入力端子72および出力端子74それぞれの構成は、ドハティ型増幅器1におけるものと同様である。本実施形態においても、第1の級にバイアス時のメインアンプ92を構成するFETのアイソレーションは、第2の級にバイアス時のピークアンプ94を構成するFETのアイソレーションよりも大きい。
図9は、メインアンプ92およびピークアンプ94を構成するFETの構造を示す断面図である。本実施形態においては、メインアンプ92を構成するFETとピークアンプ94を構成するFETとは、互いに等しい構造を有している。このFETは、GaAs基板901、チャネル層902、コンタクト層903、層間誘電体膜904a,904b、ソース電極905、ゲート電極906、ドレイン電極907、フィールドプレート電極908、制御電極909、ゲート端子911、ドレイン端子912、および制御端子913を有している。
制御電極909は、チャネル層902上のゲート電極906とドレイン電極907との間の領域に、層間誘電体膜904a,904bを介して設けられている。この制御電極909は、ゲート電極906およびドレイン電極907と電気的に絶縁されている。制御電極909には、制御端子913が接続されている。この制御端子913は、制御電極909に制御電圧を印加するための端子である。
ドハティ型増幅器2においては、制御電極909に印加する制御電圧(Vcp)によりゲート空乏層DL(図9参照)を変化させることで、ゲート−ドレイン間容量Cgdを変化させてアイソレーション特性をコントロールできる。これにより、高効率・低歪み特性が得られるよう、メインアンプ92およびピークアンプ94のアイソレーション特性を最適化できる。
メインアンプ92を構成するFETの制御端子913には、バイアス制御ネットワーク93が接続されている。また、ピークアンプ94を構成するFETの制御端子913には、バイアス制御ネットワーク95が接続されている。これらのバイアス制御ネットワーク93,95は、それぞれメインアンプ92およびピークアンプ94に与える制御電圧(Vcp_main、Vcp_peak)をシステム信号の包絡線(エンベロープ)に合わせて、効率・歪み特性が最適化できるよう制御する。
かかる構成のドハティ型増幅器2は、上述のドハティ型増幅器1が奏する効果に加えて、以下の効果を奏することができる。ドハティ型増幅器2においては、図9に示すFETをメインアンプ92およびピークアンプ94の双方に適用することにより、同一の構造のFETを用いつつも、メインアンプ92側のFETのアイソレーションを比較的高くし、ピークアンプ94側のFETのアイソレーションを比較的低くすることができる。この点に関し、基地局アンプ等で使用される高出力トランジスタは、複数のチップが整合回路とともに1つのPKGに収納された高周波モジュールの形態をとることが多い。このような高周波モジュール形態では、収量などのチップ製造コストを鑑みると、同一のトランジスタ構造のチップを使用した方が、低コスト化が図れる。
なお、本実施形態においては、波長線路32が経路P1におけるメインアンプ92の出力側に設けられた例を示したが、波長線路32は、図15に示すように、経路P2におけるピークアンプ94の出力側に設けられていてもよい。この場合、波長線路44は、経路P1におけるメインアンプ92の入力側に設けられている。同図に示すドハティ型増幅器においても、図8に示すドハティ型増幅器と同様の動作および効果を得ることができる。
上述した本発明によるドハティ型増幅器は、例えば、W−CDMA等、ピークファクタの高い変調波信号を用いるシステムに好適に適用することができる。
本発明によるドハティ型増幅器の第1実施形態を示す回路構成図である。 メインアンプを構成するFETの構造を示す断面図である。 ピークアンプを構成するFETの構造を示す断面図である。 実施形態の変形例を説明するための図である。 C級バイアス時のFETの等価回路を示す回路構成図である。 (a)、(b)および(c)は、実施形態に係るドハティ型増幅器について、C級バイアス時の等利得円、メインアンプとピークアンプの振幅・位相特性、および相互変調歪み特性をそれぞれ示すグラフである。 (a)、(b)および(c)は、従来のドハティ型増幅器について、C級バイアス時の等利得円、メインアンプとピークアンプの振幅・位相特性、および相互変調歪み特性をそれぞれ示すグラフである。 本発明によるドハティ型増幅器の第2実施形態を示す回路構成図である。 メインアンプおよびピークアンプを構成するFETの構造を示す断面図である。 特許文献1,2に開示されているマイクロ波ドハティ型増幅器を示す回路構成図である。 図10のドハティ型増幅器の負荷線の変化の様子を説明するためのグラフである。 ドハティ型増幅器およびB級増幅器それぞれにおける出力バックオフと効率特性との関係を示すグラフである。 非特許文献1に記載のドハティ型増幅器を示す回路構成図である。 図1に示すドハティ型増幅器の変形例を示す回路構成図である。 図8に示すドハティ型増幅器の変形例を示す回路構成図である。
符号の説明
1 ドハティ型増幅器
2 ドハティ型増幅器
10 メインアンプ
14,24 内部入力整合回路
16,26 内部出力整合回路
20 ピークアンプ
30 ドハティネットワーク
32,34,42,44 波長線路
40 位相差調整回路
52,54 外部入力整合回路
62,64 外部出力整合回路
72 入力端子
74 出力端子
92 メインアンプ
93,95 バイアス制御ネットワーク
94 ピークアンプ
121 GaAs基板
122 チャネル層
123 コンタクト層
124a,124b 層間誘電体膜
125 ソース電極
126 ゲート電極
127 ドレイン電極
128 フィールドプレート電極
129 ファラデーシールド電極
131 ゲート端子
132 ドレイン端子
221 GaAs基板
222 チャネル層
223 コンタクト層
224a,224b 層間誘電体膜
225 ソース電極
226 ゲート電極
227 ドレイン電極
228 フィールドプレート電極
231 ゲート端子
232 ドレイン端子
901 GaAs基板
902 チャネル層
903 コンタクト層
904a,904b 層間誘電体膜
905 ソース電極
906 ゲート電極
907 ドレイン電極
908 フィールドプレート電極
909 制御電極
911 ゲート端子
912 ドレイン端子
913 制御端子

Claims (6)

  1. 入力端子と出力端子との間の第1の経路中に設けられ、第1の級にバイアスされる第1の増幅器と、
    前記第1の経路と並列する第2の経路中に設けられ、前記第1の級とは異なる第2の級にバイアスされる第2の増幅器と、
    前記第1の経路における前記第1の増幅器の出力側、または前記第2の経路における前記第2の増幅器の出力側に設けられた波長線路と、を備え、
    前記第1の級は、A級、AB級またはB級であり、
    前記第2の級は、B級またはC級であり、
    前記第1の級にバイアスされた前記第1の増幅器を構成する第1のトランジスタのアイソレーションは、前記第2の級にバイアスされた前記第2の増幅器を構成する第2のトランジスタのアイソレーションよりも大きいことを特徴とするドハティ型増幅器。
  2. 請求項1に記載のドハティ型増幅器において、
    前記第1のトランジスタは、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極、および前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に設けられたファラデーシールド電極を有する電界効果トランジスタであり、
    前記ファラデーシールド電極は、前記ソース電極と電気的に接続されるとともに、前記ゲート電極および前記ドレイン電極と電気的に絶縁されているドハティ型増幅器。
  3. 請求項1または2に記載のドハティ型増幅器において、
    前記第2のトランジスタは、ソース電極、ゲート電極、ドレイン電極、および前記ゲート電極における前記ドレイン電極側の側面に接して設けられたフィールドプレート電極を有する電界効果トランジスタであるドハティ型増幅器。
  4. 請求項1に記載のドハティ型増幅器において、
    前記第1および第2のトランジスタは共に、
    ソース電極、ゲート電極、およびドレイン電極を有する電界効果トランジスタであり、
    前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に設けられ、当該ゲート電極および当該ドレイン電極と電気的に絶縁された制御電極と、
    前記制御電極に電圧を印加するための制御端子と、を更に有しているドハティ型増幅器。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載のドハティ型増幅器において、
    前記第1および第2の増幅器は、1つのパッケージ内に設けられているドハティ型増幅器。
  6. 請求項1乃至4いずれかに記載のドハティ型増幅器において、
    前記第1および第2の増幅器は、1つのチップ上に設けられているドハティ型増幅器。
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