JP2006329784A - 放射線モニタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放射線モニタは、測定対象から放射される放射線を検出してパルス信号を発する放射線検出器、パルス信号の波高に係わるスペクトルに基づき測定対象核種の放射能を測定する測定部を備える放射線モニタにおいて、放射線検出器は、線種によりパルス幅が異なるパルス信号を出力し、測定部は、パルス幅に基づき線種を弁別し、パルス信号の波高を測定し、パルス信号を該波高に対応するチャンネルに割り当てて計数してスペクトルとしてメモリに格納し、所定の時限に亘るパルス信号のスペクトルを分析することにより測定対象核種の放射能を測定する。
【選択図】図1
Description
従来の放射性ダストモニタは、測定対象から放射されるα線とβ線とを同時に検出するαβ検出器、γ線を検出するγ検出器、環境γ線を検出する環境γ検出器、それぞれの検出器に対応する測定部、環境γ線の影響を軽減するための鉛遮蔽体、サンプル空気をサンプリングするポンプと測定対象である粒子状放射性物質を捕集する濾紙を搭載したサンプリング部を備える。
核分裂生成物および放射化生成物のβ線を測定する場合、天然放射性核種であるラドンおよびトロンの娘核種のβ線およびγ線がバックグラウンドとして混入するため、測定対象のβ線を高感度で計測しようとする時には、その影響が無視できなくなり、ラドンおよびトロンの娘核種の影響を補償することが不可欠となる。
また、環境のγ線がバックグラウンドとして混入するため、その影響を補償することも必要となり、放射性ダストモニタは、3台の放射線検出器、それに対応する測定部および鉛遮蔽体を備える(例えば、特許文献1参照)。
また、放射線検出器は鉛遮蔽体を備えるので、重量が重くなるために小型化、機動性、コストに問題がある。
また、指示上昇時には、測定対象を捕集する濾紙を外して分析室に持って行って核種を確認する運用が行われており、核種の確認作業に時間がかかるという問題がある。
また、ラドンおよびトロンの娘核種を濾紙の表面で捕集するために、予め、一定時間、実使用条件で予備ダスト収集したものを使用する方法は、予備ダスト収集にコストがかかる問題がある。
また、1台で3つの線種の放射線を識別して検出する従来の放射線検出器において、α線を検出するZnS(Ag)シンチレータは半透明でエネルギー分解能が良くないため、α線のスペクトルを測定する用途には適さないという問題がある。
また、α線スペクトルとγ線スペクトルを分析することにより、測定領域に混入するラドンおよびトロンの娘核種のバックグラウンド計数値を正確に補償し、測定対象のβ線を高感度で測定できる。
また、測定対象に含まれるα線を放射する放射性核種及びγ線を放射する放射性核種を同時に確認できる。
また、機能を搭載した小型で機動性がある放射線モニタを低コストで実現できる。
図1は、この発明の実施の形態1に係わる放射線モニタのブロック図である。図2は、入力されるパルス信号をパルス幅により線種を弁別する様子を示す図である。図3は、α線として弁別された放射線に係わるパルス信号の計数値がエネルギーを横軸にして表されたスペクトルである。図4は、β線として弁別された放射線に係わるパルス信号の計数値がエネルギーを横軸にして表されたスペクトルである。図5は、γ線として弁別された放射線に係わるパルス信号の計数値がエネルギーを横軸にして表されたスペクトルである。
放射線検出器3は、入射面を薄い反射膜で防湿処理したタリウム活性ヨウ化セシウム(以下、CsI(Tl)と記す。)シンチレータを、その裏側に光学面をガラスで防湿処理したタリウム活性ヨウ化ナトリウム(以下、NaI(Tl)と記す。)シンチレータを配置するCsI(Tl)シンチレータは、自身がα線とβ線で蛍光減衰時間が異なるため、パルス幅が異なるパルスを出力する。
また、CsI(Tl)シンチレータとNaI(Tl)シンチレータがγ線に対してパルス幅が異なる。このような構成の放射線検出器3を用いるので、検出する放射線の線種(α線、β線、γ線)によりパルス幅が異なるパルス信号が出力される。この実施の形態1に係わる放射線検出器3では、出力するパルス信号のパルス幅は、大きい方からα線、β線、γ線の関係にある。
なお、使用する放射線検出器3の選定によっては、線種とパルス幅の関係が異なるので各線種のパルス幅およびパルス幅弁別閾値T1、T2の大小は逆転することがある。
演算器14は、それぞれのパルス信号の波高をチャンネルに対応させ、線種毎に仕分けして、該当するチャンネルの計数値をインクリメントして各エリヤに格納する。なお、演算器14は、図2に示すように、第1波高閾値D1以下の波高のパルス信号をノイズとして取り扱ってメモリ15に格納されている計数値をインクリメントしない。
また、第2波高閾値D2、第3波高閾値D3は、メモリ15に格納されたスペクトルデータから測定領域の積算計数を求めるときの波高閾値の例を示すもので、例えば、β線スペクトルでは第1波高閾値D1から第2波高閾値D2までの計数を積算し、γ線スペクトルでは第1波高閾値D1から第3波高閾値D3までの計数を積算し、α線スペクトルでは第3波高閾値D3以上の計数を積算する。
なお、図3に表されたα線として弁別された放射線に係わるパルス信号の計数値がエネルギーを横軸にして表されたスペクトル(以下、α線スペクトルと称す。)において、b1はラドンおよびトロンの娘核種に起因するα線のバックグラウンドスペクトル、m(α)はα線測定領域、斜線が描かれている領域の面積は、そのα線測定領域のα線バックグラウンド積算計数値である。α線測定対象核種が存在するとそれに起因する正味積算計数値が上積みされてα線積算計数値として測定される。
また、スペクトルによる核種の確認ができ、スペクトル確認のためにサンプルを持ち帰って分析する必要がなくなるため、現場の作業性が向上する。
図6は、この発明の実施の形態2に係わる放射線モニタのブロック図である。図7は、入力されるパルス信号をパルス幅により弁別する様子を示す図である。図8は、αβ線として弁別された放射線に係わるパルス信号の計数値がエネルギーを横軸にして表されたスペクトルである。
実施の形態2に係わる放射線モニタ1Bは、実施の形態1に係わる放射線モニタ1と測定部4Bが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
また、実施の形態2に係わる測定部4Bは、図6に示すように、実施の形態1に係わる測定部4とパルス信号のパルス幅の弁別が異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
メモリ15Bには、αβ線に弁別されたパルス信号が入力されたときパルス信号の波高に対応するチャンネルの計数値がインクリメントされて格納されるαβエリヤ24、γ線に弁別されたパルス信号が入力されたときパルス信号の波高に対応するチャンネルの計数値がインクリメントされて格納されるγエリヤ23の2つのエリヤが設けられている。
なお、図8に表されたスペクトルにおいて、i1はαβ線スペクトル、m(α)はα線測定領域、斜線が描かれた領域の面積は、そのα線測定領域のα線積算計数値を示す。また、m(β)はβ線測定領域、横線が描かれた領域の面積は、そのβ線測定領域のβ線積算計数値を示す。図8に表されたαβ線スペクトルは、図3に表されたα線スペクトルと図4に表されたβ線スペクトルが合わされたスペクトルである。そして、α線測定対象核種またはβ線測定対象核種が存在するとそれに起因する正味積算計数値が上積みされてα線積算計数値またはβ線積算計数値として測定される。
図8から分かるように、β線測定領域m(β)はα線測定領域m(α)よりも低エネルギー側に設定されるので、パルス信号の波高により検出された放射線の線種をα線またはβ線と区別することができる。
図9は、この発明の実施の形態3に係わる放射線モニタのブロック図である。
実施の形態3に係わる放射線モニタ1Cは、実施の形態1に係わる放射線モニタ1と測定対象が異なり、それにともない測定対象を濾紙26上に捕集するサンプリング部25が追加されているが、それ以外は同様であるので同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態3に係わるサンプリング部25は、図9に示すように、測定対象の空気から粒子状放射性物質6を捕集する濾紙26がサクションヘッド27上に載置されている気密ボックス28、気密ボックス28内を減圧して送気管29を通して測定対象の空気を気密ボックス28に吸引し、濾紙26を通し、流量計30を通して排気系に送るポンプ31を備えている。
そして、放射線検出器3は、濾紙26上に捕集された粒子状放射性物質6から放射される放射線を検出して電気信号に変換し、線種によりパルス幅が異なるパルス信号を出力する。また、測定部4Cは、放射線検出器3から出力されるパルス信号から測定対象核種の放射能を測定する。
流量計30は、濾紙26を通過する空気量を計測し、測定対象の空気中のダスト濃度を求めるために使われる。
サクションヘッド27は、網目状に通気孔が空けられており通気中の濾紙26がたわまないように固定する。
濾紙26が粒子状放射性物質6を捕集する深さは、粒子径の大きさに依存する。
図11は、トロンの崩壊系列と放射するα線とβ線のエネルギーを示している。濾紙に捕集されたトロンの娘核種のうちで、α線を放出する短半減期核種はビスマス212(Bi−212)とポロニウム212(Po−212)である。β線とγ線を放出する短半減期核種は鉛212(Pb−212)とビスマス212(Bi−212)である。
また、ラドンおよびトロンの娘核種は、ラドン(Rn−222)から崩壊するものとトロン(Rn−220)から崩壊するもので存在比が異なり、降雨等の気象条件でその存在比が変化する。
Po−214スペクトルピークのテール(スペクトルピークから低エネルギー側に立ち下がる直線部)、Po−212スペクトルピークのテールおよび重なっているPo−218およびBi−212のスペクトルピークのテールの傾きは概ね平行である。なお、実線と点線のα線スペクトルは、異なる時点での測定によるものであり、異なる時点での低エネルギー側のテールの傾きには違いが見られる。
また、ラドンおよびトロンの娘核種が濾紙26の表面で捕集されるとテールの傾きは大きく、濾紙26の内部で捕集されるとテールの傾きは小さい。したがって、ラドンおよびトロンの娘核種が濾紙26の表面で捕集されるか、内部で捕集されるかにより、ラドンおよびトロンα線積算計数値が変化する。そして、このラドンおよびトロンα線積算計数値の変化は、ラドンおよびトロンα線積算計数値に基づきバックグラウンド計数値を推定し、測定対象領域の積算計数からバックグラウンド計数値を引き算して正味計数値を求めるときの誤差になる。この誤差を解消するために、演算器14Cはテールの傾きを求め、それに基づきバックグラウンド計数値を補正する。正味計数値は、測定対象領域の積算計数値から補正されたバックグラウンド計数値を引き算して求められる。
S1で、テール上の2点における計数の対数を求める。すなわち、図13に示す、Po−214のスペクトルピークの低エネルギー側のテールにおいて、所定のチャンネル番号x1、x2に対する計数N1、N2の2点(x1,N1)、(x2,N2)について、N1の対数y1=logN1、N2の対数y2=logN2を求める。チャンネル番号x1とx2は、ピークの近くの計数が大きくて、直線性が良好な範囲から、適切な間隔離間している2点を実験的に選定し設定する。
S2で、テールの2点を結ぶ直線の傾きkを求める。すなわち、(x1,logN1)、(x2,logN2)の2点を結ぶ直線の傾きkを、k=(logN1−logN2)/(x1−x2)に基づいて求める。
S3で、α線ハッククラウンド計数補正値を求める。すなわち、ラドンおよびトロンα線積算計数値ΣN(α)に基づき、α線測定領域に混入するα線バックグラウンド計数値jα1ΣN(α)を推定し、これに傾きkの関数f(k)を掛け算してα線バックグランド計数補正値jα1f(k)ΣN(α)を求める。
なお、ラドンおよびトロンの娘核種の中からPo−214を選択して傾きkを求めたのは、高い検出効率が得られ、統計誤差を小さくできるためである。また、jα1は定数であり、関数f(k)はkの関数として、実験的に求める。
図15は、この発明の実施の形態4に係わる放射線モニタでのバックグラウンド計数値の推定値の補正手順を示すフローチャートである。
実施の形態4に係わる放射線モニタは、実施の形態3に係わる放射線モニタ1Cとα線バックグラウンド計数値の推定値の補正に用いるラドンおよびトロンの娘核種が異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分には同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態3では、ポロニウム214のα線スペクトルピークを用いてバックグランド計数値の推定値の補正を行っているが、実施の形態4では、γ線測定領域よりエネルギーの高いビスマス214(Bi−214)のγ線を用いてα線バックグラウンド計数値の推定値の補正を行う。
S4で、Bi−214γ線積算計数値を求める。すなわち、図5に示すように、γ線測定領域よりエネルギーの高いBi−214のγ線1.764MeVに注目し、そのスペクトルピーク領域について計数を積算してBi−214γ線積算計数値ΣN(γ)を求める。
S5で、ラドンおよびトロンα線積算計数値とBi−214γ線積算計数値との比sを求める。すなわち、ラドンおよびトロンα線積算計数値ΣN(α)が濾紙26の捕集深さに顕著に影響を受けることに対し、Bi−214γ線積算計数値ΣN(γ)は、濾紙26によるγ線の吸収が無視できる程度に小さいため、濾紙26の捕集深さの影響を受けない。したがって、その比sは濾紙26の捕集深さに関係した値になる。
S6で、α線バックグラウンド計数値の推定値の補正値を求める。すなわち、ラドンおよびトロンα線積算計数値ΣN(α)に基づき、α線測定領域に混入するα線バックグラウンド計数値jα2ΣN(α)を推定し、これに比sの関数f(s)を掛け算してα線バックグラウンド計数補正値jα2f(s)ΣN(α)を求める。なお、jα2は定数であり、関数f(s)は比sの関数として、実験的に求める。
図16は、この発明の実施の形態5に係わる放射線モニタのブロック図である。
実施の形態5に係わる放射線モニタ1Dは、実施の形態3に係わる放射線モニタ1Cと気密ボックス28内に装着されている濾紙26に活性炭捕集材が追加されていることが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
このような放射線モニタ1Dは、粒子状放射性物質6と同時に、I−131(ヨウ素131)、I−133(ヨウ素133)等の放射性ヨウ素を測定することができる。
図17は、この発明の実施の形態6に係わる放射線モニタのブロック図である。図18は、実施の形態6に係わるイオントラップの断面図である。
実施の形態6に係わる放射線モニタ1Eは、実施の形態3に係わる放射線モニタ1Cと気密ボックス28内にサンプル空気を取り込む送気管29の途中に粒子径増大手段としてのイオントラップ35が追加されていることが異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
イオントラップ35は、図18に示すように、サンプル空気を通す容器である陰極37、陰極37の中心に配置された陽極38、陽極38を陰極37の容器から電気的に絶縁して固定する陽極絶縁物39、送気管29と気密ボックス28から陰極37としての容器を絶縁する陰極絶縁物40、陰極37と陽極38の間に高電圧を印加する高圧電源41から構成される。
図19は、この発明の実施の形態7に係わる活性炭繊維からなる濾紙の表面付近の拡大断面図である。
実施の形態7に係わる放射線モニタは、実施の形態3に係わる放射線モニタ1Cと濾紙26Bが活性炭繊維からできていることだけが異なり、それ以外は同様であるので、同様な部分の説明は省略する。
実施の形態7に係わる濾紙26Bは、図19に示すように、活性炭繊維44を使用し、活性炭繊維44の表面45に1〜2nm程度の細孔46が形成されている。
そして、この細孔46にラドンおよびトロンの娘核種を捕集するようにしたので、活性炭繊維44がイオントラップ35と同等に粒子径増大手段となる。
このような放射線モニタは、イオントラップ35を設けることなく簡素な構成となるので、効率よく測定できる放射線モニタを低コストで提供できる。
図20は、この発明の実施の形態8に係わる放射線検出器の構成図である。
実施の形態8に係わる放射線モニタは、実施の形態1に係わる放射線モニタ1と放射線検出器3Bの構成が異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
遮光膜51は、放射線の入射側からの光の進入を遮断するとともに、第1のシンチレータ52、第2のシンチレータ53、第3のシンチレータ55で発光した蛍光の内で、光電子増倍管56に向かう方向と反対方向に進む蛍光を反射させる。
第1のシンチレータ52は、測定対象のα線を全て吸収することができ、かつ、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みである。
第2のシンチレータ53は、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以上で、かつ、測定上限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みである。
β線遮蔽体54は、透明であり、第2のシンチレータ53を透過したβ線を完全に遮蔽する。
第3のシンチレータ55は、γ線を検出する。
このようにして、入射する放射線のうち、第1のシンチレータ52で主にα線を検出し、第2のシンチレータ53で主にβ線を検出し、第3のシンチレータ55でγ線を検出する。
光電子増倍管56は、各シンチレータ52、53、55が放射線を検出したときに発生する蛍光を電流パルスに変換し、前置増幅器58でその電流パルスを電圧パルスに変換して出力する。
検出器ハウジング57は、先端の遮光膜51とともに放射線検出器3B全体を遮光する。
第1のシンチレータ52にYAP(Ce)シンチレータを、第2のシンチレータ53にCaF2(Eu)シンチレータを配置した場合は、放射線検出器3Bから出力されるパルス信号のパルス幅は、小さい方からα線、γ線、β線の順になる。NaI(Tl)シンチレータは潮解性があるため密閉した容器に入れられている。また、光学面はガラスのため、β線遮蔽体54は省略できる。
また、第2のシンチレータ53はβ線測定に必要な最小限の厚みとし、γ線に対する感度を極力小さくすることによりβ線スペクトルに混入するγ線のカウントを最小にできるため、線種の識別が確実になり、測定対象核種を高感度に測定できる。
図21は、この発明の実施の形態9に係わる放射線検出器の断面図である。
実施の形態9に係わる放射線モニタは、実施の形態8に係わる放射線モニタと放射線検出器3Cの構成が異なっており、それ以外は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
実施の形態8では、シンチレータを3種類使用した放射線検出器3Bについて述べたが、実施の形態9では、シンチレータを2種類使用した放射線検出器3Cについて図21を参照して説明する。
実施の形態9に係わる放射線検出器3Cには、図21に示すように、放射線の入射方向に向かって手前から順に、遮光膜51、第4のシンチレータ59、β線遮蔽体54、第3のシンチレータ55、光電子増倍管56が検出器ハウジング57内に収納されている。
第4のシンチレータ59は、測定対象のα線が全て吸収されるように、かつ、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以上で、かつ、測定上限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みである。
また、第4のシンチレータ59にCaF2(Eu)シンチレータを、第3のシンチレータ55にYAP(Ce)シンチレータを配置することにより、放射線検出器3Cから出力されるパルス信号のパルス幅は、小さい方からγ線、α線=β線の順になる。
測定部4では、パルス幅の違いによりα線およびβ線とγ線が弁別され、αβ線スペクトル分析時に波高値の違いによりα線とβ線が弁別される。
Claims (10)
- 測定対象から放射される放射線を検出してパルス信号を発する放射線検出器、上記パルス信号の波高に係わるスペクトルに基づき測定対象核種の放射能を測定する測定部を備える放射線モニタにおいて、
上記放射線検出器は、上記放射線の線種によりパルス幅が異なるパルス信号を出力し、
上記測定部は、上記パルス信号のパルス幅に基づき上記パルス信号に係わる放射線の線種を弁別し、上記パルス信号の波高を測定し、上記パルス信号を該波高に対応するチャンネルに割り当てて計数して上記スペクトルとして上記線種に対応したメモリに格納し、所定の時限に亘る上記パルス信号のスペクトルを分析することにより測定対象核種の放射能を測定することを特徴とする放射線モニタ。 - 測定点の空気をサンプリングしてサンプル空気に含まれる粒子状放射性物質を濾紙に捕集するサンプリング部を備え、
上記測定部は、α線スペクトルからラドンおよびトロンの娘核種のα線積算計数値を求め、該α線積算計数値に基づき測定領域に混入するラドンおよびトロンの娘核種によるバックグラウンド計数値を推定し、ラドンの娘核種ポロニウム214のスペクトルピークの低エネルギー側に立ち下がるテールの形状から上記濾紙におけるラドンおよびトロンの娘核種の捕集深さにともなう上記バックグラウンド計数値の推定値の誤差を補償することを特徴とする請求項1に記載する放射線モニタ。 - 上記サンプリング部は、放射性ヨウ素を捕集する活性炭捕集材を備え、
上記測定部は、上記α線スペクトルからラドンおよびトロンの娘核種のα線積算計数値を求め、該α線積算計数値に基づきγ線スペクトルの放射性ヨウ素測定領域に混入するラドンおよびトロンそれぞれの娘核種によるバックグラウンド計数値を推定し、ラドンの娘核種ポロニウム214のスペクトルピークの低エネルギー側に立ち下がるテールの形状から上記濾紙におけるラドンおよびトロンの娘核種の捕集深さに係わる上記バックグラウンド計数値の推定値の誤差を補償することを特徴とする請求項2に記載する放射線モニタ。 - 上記測定部は、ラドンおよびトロンの娘核種のα線積算計数値とγ線積算計数値の比に基づいて、上記濾紙におけるラドンおよびトロンの娘核種の捕集深さに係わるバックグラウンド計数値の推定値の誤差を補償することを特徴とする請求項2または3に記載する放射線モニタ。
- 上記濾紙の上流側に、ラドンおよびトロンのプラスに帯電した娘核種を電気的に集塵して粒子径を増大させる粒子径増大手段を備えたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載する放射線モニタ。
- 上記濾紙は、活性炭繊維を含むことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載する放射線モニタ。
- 上記放射線検出器は、放射線が入射すると蛍光を発し、蛍光減衰時間が異なる複数種のシンチレータを備え、
放射線入射面側から順に、入射されるα線が全て吸収され、かつ、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みの第1のシンチレータ、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以上で、かつ、測定上限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みの第2のシンチレータ、透過したβ線を完全に遮蔽する透明なβ線遮蔽体、第3のシンチレータ、光電子増倍管が配列され、
第1のシンチレータで主にα線を検出し、第2のシンチレータで主にβ線を検出し、第3のシンチレータでγ線を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載する放射線モニタ。 - 第1のシンチレータにCaF2(Eu)シンチレータ、第2のシンチレータにYAP(Ce)シンチレータおよび第3のシンチレータにBGOシンチレータまたはNaI(Tl)シンチレータを配置、または、第1のシンチレータにYAP(Ce)シンチレータ、第2のシンチレータにCaF2(Eu)シンチレータおよび第3のシンチレータにBGOシンチレータまたはNaI(Tl)シンチレータを配置したことを特徴とする請求項7に記載する放射線モニタ。
- 上記放射線検出器は、放射線が入射すると蛍光を発し、蛍光減衰時間が異なる複数種のシンチレータを備え、
放射線入射面側から順に、入射されるα線が全て吸収され、かつ、測定下限のβ線エネルギーに対応する飛程以上で、かつ、測定上限のβ線エネルギーに対応する飛程以下の厚みの第4のシンチレータ、透過したβ線を完全に遮蔽する透明なβ線遮蔽体、第3のシンチレータ、光電子増倍管が配列され、
第4のシンチレータで主にα線とβ線を検出し、第3のシンチレータでγ線を検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載する放射線モニタ。 - 第4のシンチレータにCaF2(Eu)シンチレータおよび第3のシンチレータにYAP(Ce)シンチレータ、または、第4のシンチレータにYAP(Ce)シンチレータおよび第3のシンチレータにCaF2(Eu)シンチレータを配置したことを特徴とする請求項9に記載する放射線モニタ。
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