JP2883282B2 - ダストモニタ - Google Patents

ダストモニタ

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JP2883282B2 JP27369594A JP27369594A JP2883282B2 JP 2883282 B2 JP2883282 B2 JP 2883282B2 JP 27369594 A JP27369594 A JP 27369594A JP 27369594 A JP27369594 A JP 27369594A JP 2883282 B2 JP2883282 B2 JP 2883282B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子力発電所等の放射
性取扱施設において用いる空気中の放射性ダストを監視
するためのダストモニタに関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所等の放射線取扱施設におい
ては、体内被曝等の管理のために、各室内の空気に含有
される放射性ダストの濃度を測定する必要がある。この
ために用いられる装置がダストモニタである。
【0003】一般に、ダストモニタは、外界からの空気
を取り入れ、その空気をサンプリング濾紙で漉すことに
より空気中に含まれるダストを集塵し、そのサンプリン
グ濾紙上に捕集されたダストからの放射線を放射線検出
器により検出する。
【0004】原子力発電所等において問題となるのは、
60Coや58Co等の誘導放射能であり、これら60Coや
58Co等の人工放射性核種の空気中ダスト濃度がモニタ
リング対象となる。60Coや58Co等の誘導放射能は、
崩壊時にβ線やγ線を発するので、ダストモニタは、通
常このβ線あるいはγ線を測定することによりサンプリ
ング濾紙上のダストに含まれる放射能を求め、この放射
能の値とサンプリング濾紙を通過した空気の体積とに基
づいて、空気中の放射性核種の濃度を求める。
【0005】このようなダストモニタとしては、従来、
プラスチックシンチレーション検出器やGM検出器等を
用いて、ダストから発せられるβ線を計数するタイプの
ものがあった。
【0006】しかしながら、サンプリング濾紙上に集塵
されるダストには、人工放射性核種のダストのほかに、
ラドン(222 Rn)やトロン(220 Rn)等の自然放射
性核種が付着したダストやこれらの娘核種のダストも含
まれる。そして、これらラドンやトロンは、それぞれ図
3及び図4に示すような崩壊系列で崩壊し、各段階にお
いてそれぞれ固有のエネルギーを有するα線、β線、γ
線を放出する。図から分かるようにラドンやトロンの娘
核種には214 Biのようにβ線をよく発するものがある
ので、上述のようなβ線計数タイプのダストモニタの場
合、人工放射性核種のみを正確に測定するためには何ら
かの工夫が必要であった。
【0007】そこで、従来このようなタイプのダストモ
ニタを用いる場合には、ラドン、トロンやそれらの娘核
種の濃度を下げるために、ダストを捕集したサンプリン
グ濾紙をサンプリング後1日〜数日程度放置して、それ
ら自然放射性核種を減衰させてから、β線の測定を行っ
ていた。従って、このタイプのダストモニタは、リアル
タイムのモニタリングに用いることができなかった。
【0008】これに対して、リアルタイムの測定をする
ための手法としては、従来、ダストから発せられるα線
とβ線とを計数し、α線の計数率を用いてβ線の計数率
を補正するという方法がとられていた。原子力発電所等
の施設では、核燃料処理施設とは異なり、α線を発する
のは自然放射性核種であるラドン、トロン及びそれらの
娘核種(以下、「ラドン等」と略する)のみに限られる
ので、α線計数率がラドン等の量を表すことになる。ラ
ドン等はα線の他にβ線も発するが、α線とβ線の比率
は実験等により求めることができるので、ダストモニタ
のα線計数率にこの比率を乗じることにより、β線計数
率に対するラドン等の寄与分を求めることができる。す
なわち、この比率は、β線計数率に対するラドン等の寄
与分を求めるための換算定数として用いられる。このラ
ドン等の寄与分をβ線計数率から減算することにより、
人工放射性核種のみについてのβ線計数率を得ることが
でき、この値から、空気中の人工放射性核種の濃度を求
めることができる。
【0009】このような手法を用いたダストモニタとし
ては、例えば半導体検出器を用いて放射線を検出し、パ
ルス波高値によってα線とβ線を弁別してそれぞれの計
数率を求めるという構成のものがある。すなわち、α線
とβ線とではエネルギーに大きな差があるので、図5に
示すように、それらはエネルギースペクトルにおいて異
なったピークとして現れる。従って、このタイプのダス
トモニタは、α線とβ線のエネルギーのしきい値、すな
わち検出器の出力パルスの波高のしきい値を設定し、こ
のしきい値によってα線とβ線を弁別して各個に計数を
行う。
【0010】また、この他にも、ZnS(Ag)シンチ
レータとプラスチックシンチレータをサンドイッチ構造
としたいわゆるフォスウィッチ型検出器を用い、パルス
の立上がり時間の違いでα線とβ線を分離計数するタイ
プのものもある。
【0011】いずれにしても、これらのタイプのダスト
モニタでは、前述したようにβ線の計数率をα線の計数
率で補正することにより、人工放射性核種のみについて
のβ線計数率を求め、更にこの値から空気中ダスト濃度
を求める。このとき、人工放射性核種のβ線計数率及び
空気中ダスト濃度は、以下の算出式に基づいて求める。
【0012】
【数1】 nβ = nβall − nβBG − a(nα − nαBG)…(1) nβ :人工放射性核種についての正味のβ線計数率
[cps] nβall :β線の総計数率[cps] nβBG :β線のバックグラウンド計数率[cps] nα :α線の総計数率[cps] nαBG :α線のバックグラウンド計数率[cps] a :換算定数
【数2】 C = nβ/(ηβ×L×T) …(2) C :空気中ダスト濃度[Bq/m3 ] ηβ:検出器のβ線計数効率[cps/Bq] L :ダストモニタの吸引流量[m3 /min] T :測定時における吸引時間[min] なお、上式においては、バックグラウンドの影響を取り
除いているが、このときバックグラウンド計数率はダス
ト濃度測定時又はその前に測定される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たα線・β線計数タイプのダストモニタは、空気中のラ
ドン等の濃度が高くなると、60Coや58Co等の人工放
射性核種の検出限界が著しく悪くなるという問題があっ
た。この理由を以下に説明する。
【0014】本出願人は、上式(1)における換算定数
aを実験により求め、約5という値を得たが、これは、
ダストモニタでラドン等からのα線が1個検出されるご
とに、ラドン等からのβ線が約5個検出されることを示
している。周知のように放射線測定における測定値は統
計的な誤差を含むので、α線計数率とβ線計数率は各々
統計的誤差を含んだ値となっている。従来のα線・β線
計数タイプのダストモニタでは、α線計数率に換算定数
a(約5)を乗じることによりβ線計数率に対するラド
ン等の寄与分を求めるので、求められた寄与分はα線計
数率の約5倍の誤差を有することになる。従って、ラド
ン等の自然放射性核種の濃度が高くなると、α線計数率
の増大に伴ってβ線計数率への寄与分の誤差が大幅に増
大するため、全β線計数率からラドン等の寄与分を差し
引いて得られる人工放射性核種のみについてのβ線計数
率も極めて大きな誤差を含むことになる。極端な場合、
人工放射性核種の濃度が小さい(すなわち、人工放射性
核種のみについてのβ線計数率が小さい)と、その人工
放射性核種についてのβ線計数率がラドン等の寄与分の
誤差の中に埋もれてしまうこともある。従って、逆にい
えば、信頼性の高い測定値を得るためには、人工放射性
核種のβ線計数率がラドン等の寄与分の誤差に比べてあ
る程度以上大きくないといけないということになる。
【0015】すなわち、空気中のラドン等の濃度が上昇
すると、人工放射性核種の検出限界(すなわち、信頼性
の高い測定値が得られるのに必要な、その核種の濃度の
下限)の値が大幅に上昇することになる。この様子を示
したのが図2のグラフ(b)である。なお、このグラフ
では、ラドン、トロンやそれらの娘核種の空気中濃度を
ラドンの空気中濃度で代表させて横軸とし、60Coの検
出限界を縦軸としている。グラフ(b)からわかるよう
に、このタイプのダストモニタでは、空気中のラドン濃
度が10Bq/m3 を超えると検出限界が著しく悪化す
る。
【0016】なお、図2には、最初に説明したβ線単独
計数タイプのダストモニタを、リアルタイムのダスト濃
度測定に用いた場合の検出限界の変化のグラフも示され
ている(グラフ(a))が、これからも単純なβ線計数
タイプをリアルタイムの測定に用いることが不適当であ
ることがわかる。
【0017】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、ラドン等の自然放射性核種の空気中
の濃度が大きくなった場合でも、空気中の人工放射性核
種の濃度を、リアルタイムで、しかも検出限界を低い値
に保ちながら測定することができるダストモニタ、すな
わち人工放射性核種の濃度が低くても高い精度でその濃
度を測定することができるダストモニタを提供すること
を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明に係るダストモニタは、サンプリング濾紙
上に集塵されたダストから発せられたα線を検出するα
線検出部と、前記α線検出部の出力パルス信号の計数を
行うα線計数部と、前記サンプリング濾紙上に集塵され
たダストから発せられたγ線を検出するγ線検出部と、
前記γ線検出部の出力パルス信号の波高分析を行い、ダ
ストから発せられるγ線の各エネルギーレベルごとの計
数率をエネルギースペクトルの形で求めるマルチチャネ
ル波高分析器と、モニタリング対象の各人工放射性核種
ごとに、その人工放射性核種が発するγ線のエネルギー
に対応するウインドウを前記エネルギースペクトル内に
設定し、これら各ウインドウにおけるγ線計数率を求め
るγ線ウインドウ計数部と、前記α線計数部で求められ
たα線計数率に対して、前記γ線ウインドウ計数部の各
ウインドウごとに定まる所定の換算定数を乗じて、前記
各ウインドウのγ線計数率に対するラドン、トロン及び
それらの娘核種の寄与分を求める寄与分演算部と、前記
γ線ウインドウ計数部で求められた各ウインドウにおけ
るγ線計数率から前記寄与分演算部で求められた寄与分
を減算することにより、モニタリング対象の各人工放射
性核種のγ線計数率を求める計数率演算部とを有するこ
とを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明に係るダストモニタでは、まずサンプリ
ング濾紙上のダストから発せられたα線及びγ線が、そ
れぞれα線検出部とγ線検出部によって検出される。α
線検出部の出力パルス信号は、α線計数部でカウントさ
れる。このようにして求められたα線計数率は、ダスト
中に含まれるラドン、トロン及びそれらの娘核種の量を
示している。また、γ線検出部の出力パルス信号はマル
チチャネル波高分析器で波高分析され、これによりダス
トからのγ線のエネルギースペクトルが求められる。原
子力発電所等ではモニタリング対象の人工放射性核種
(以下、対象核種と略す)が定まっているので、これら
対象核種が発するγ線のエネルギーは予め分かってい
る。従って、本構成では、γ線ウインドウ計数部によっ
て、対象核種の発するγ線のエネルギーに対応するウイ
ンドウをγ線エネルギースペクトル内に設定し、そのウ
インドウ内のγ線計数率の総和を求める。対象核種が複
数ある場合は、各対象核種ごとにウインドウを設定し、
各ウインドウごとに計数率の総和を求める。
【0020】このようにして求められたウインドウ内の
総計数率には、対象核種からのγ線とラドン等からのγ
線が共に含まれている。そこで、寄与分演算部において
ウインドウ内のγ線計数率に対するラドン等の寄与分を
求め、計数率演算部においてこの寄与分をウインドウ内
のγ線計数率から減算することにより、対象核種のみに
ついてのγ線計数率が求められる。このとき、ラドン等
の寄与分は、α線計数率に所定の換算定数を乗じること
によって求められる。
【0021】そして、このようにして求められた対象核
種のみについてのγ線計数率から、その対象核種のダス
トの空気中濃度が求められる。
【0022】なお、対象核種が複数ある場合は、各対象
核種についてのウインドウごとに寄与分を求め、補正を
行うことにより、各対象核種ごとにダスト濃度を求める
ことができる。
【0023】ここで、本発明におけるγ線計数率に対す
るラドン等(すなわち、α線計数率)の寄与分を求める
ための換算定数は、従来のα線・β線計数タイプのダス
トモニタにおけるβ線計数率に対するラドン等の寄与分
を求めるための換算定数に比して著しく小さい値となる
ため、α線計数率の誤差がγ線計数率への寄与分に与え
る影響は極めて小さくなる。従って、本発明によれば、
ラドン等の寄与分の誤差が極めて小さくなるので、ラド
ン等の自然放射性核種の濃度が高くなっても、人工放射
性核種のみについてのγ線計数率を高い精度で求めるこ
とができる。従って、本発明によれば、ラドン等の濃度
が高い環境においても、検出限界の低いダストモニタ、
すなわちより低濃度の人工放射性核種を検出可能なダス
トモニタ、を得ることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明に係るダストモニタの一実施例
を図面に基づいて説明する。なお、本実施例は、例えば
原子力発電所のようなα線核種を生成しない環境を対象
としたものである。以下、原子力発電所等で問題となる
60Coや58Coのモニタリングを例にとって説明する。
【0025】図1は、本発明に係るダストモニタの全体
構成を示す模式図である。図において、ダストモニタの
筐体10の内部には空気の流れる流路11が形成されて
おり、この流路11の一方側にはポンプ14が接続され
ている。このポンプ14を作動させることによって、流
路11の他方側に設けられた吸入口11aから、外界の
空気が流路11内に導入される。外界から吸入された空
気は、流路11に張り渡されたサンプリング濾紙12を
通過し、ポンプ14を通って排気される。この時サンプ
リング濾紙12には、吸入された空気中に含まれるダス
トが捕集される。なお、本実施例は、このサンプリング
濾紙12がリール13によって連続給紙される構成とな
っている。
【0026】筐体10内には、サンプリング濾紙12に
捕集されたダストからの放射線を検出するためのシンチ
レーション検出器20及び30が設置されている。検出
器20は、シンチレータとしてZnS(Ag)を用いた
検出器であり、ダストからのα線を検出する。一方、検
出器30は、シンチレータとしてNaI(Tl)を用い
た検出器であり、ダストからのγ線を検出する。また、
筐体10の外部には、バックグラウンド(以下、BGと
略す)γ線を検出するためのシンチレーション検出器4
0が設けられている。このシンチレーション検出器40
は、外界の空気中に含まれるラドン等の影響を排除する
ため、筐体46によって遮蔽されている。
【0027】α線検出器20の出力パルス信号は、プリ
アンプ22で増幅された後、α線測定部24に入力され
る。α線測定部24は、α線検出器20の出力パルス信
号の計数を行い、α線の計数率を算出する。算出された
α線計数率は、演算処理部50に入力される。
【0028】また、γ線検出器30の出力パルス信号
は、プリアンプ32で増幅された後、ダストγ線測定部
34に入力される。ダストγ線測定部34は、マルチチ
ャネル波高分析器を有しており、γ線検出器30の出力
パルス信号の波高分析を行い、各チャネルごとに計数率
を求め、ダストから発せられるγ線のエネルギースペク
トルを求める。そして、このエネルギースペクトルは演
算処理部50に入力される。
【0029】同様に、BGγ線検出器40の出力パルス
信号は、プリアンプ42で増幅された後、BGγ線測定
部44に入力される。BGγ線測定部44は、マルチチ
ャネル波高分析器を有しており、BGγ線検出器40の
出力パルス信号の波高分析を行い、各チャネルごとに計
数率を求め、BGγ線のエネルギースペクトルを求め
る。そして、このBGγ線のエネルギースペクトルも演
算処理部50に入力される。
【0030】演算処理部50は、前述した各測定部から
データを受けとり、それらデータに基づき空気中の人工
放射性核種ダストの濃度を求める。求められた濃度は、
表示部52に表示されるとともに、記録装置56に順次
記録される。なお、設定部54は、測定時の様々なパラ
メータを設定するためのものであり、後述するウインド
ウの設定や換算定数の設定の際に用いる。
【0031】以下、演算処理部50におけるダスト濃度
の算出処理について詳述する。
【0032】γ線検出器30によって検出されたγ線に
は、モニタリング対象の人工放射性核種である60Co及
58Coのダストからのものと、ラドン等の自然放射性
核種のダストからものの両方が含まれている。従って、
ダストγ線測定部34で求められたγ線エネルギースペ
クトルが示す計数率は、それら両方の量の和となってい
る。
【0033】一方、本実施例のダストモニタが対象とす
る環境では、α線を発する人工放射性核種は生成されな
いので、検出されたα線はすべてラドン等の自然放射性
核種に由来するものである。従って、α線測定部24で
測定されたα線計数率は、ラドン等の量を表したものと
みることができる。
【0034】従って、α線計数率のある換算定数を乗じ
ることによって、ダストγ線測定部34で求められるγ
線計数率に対するラドン等の寄与分が求められる。よっ
て、演算処理部50では、測定されたγ線計数率からこ
の寄与分を減算することにより、人工放射性核種のみに
ついてのγ線計数率を求める。
【0035】ここで、本実施例においては、γ線のエネ
ルギースペクトルを求めているので、エネルギー値(す
なわち波高値)により核種の判別を行い、各核種ごとの
計数率を求めることができる。すなわち、例えば60Co
の場合、1.17MeVと1.33MeVのγ線を放出
するので、これら両方のエネルギー値を含むようなウイ
ンドウ(例えば1.05〜1.46MeV)をエネルギ
ースペクトル内に設定し、このウインドウ内の総計数率
を求め、このウインドウ内総計数率からラドン等の寄与
分を減算することにより、60Coのみについてのγ線計
数率を求めることができる。
【0036】このような原理に基づき、演算処理部50
では、次式(3)を用いて人工放射性核種のみについて
のγ線計数率を求める。
【0037】
【数3】 nγ = nγall − nγBG − k(nα − nαBG)…(3) nγ :人工放射性核種についての正味のγ線計数率
[cps] nγall :ウインドウ内のγ線の総計数率[cps] nγBG :ウインドウ内のγ線のBG計数率[cps] nα :α線の総計数率[cps] nαBG :α線のBG計数率[cps] k :換算定数 ここで、60Coについて測定する場合を例にとって説明
すれば、nγall は、ダストγ線測定部34から得られ
たエネルギースペクトルにおける60Coウインドウ内の
総計数率であり、nαはα線測定部24で得られたα線
の総計数率である。また、nγBGは、BGγ線測定部4
4で得られたBGγ線のエネルギースペクトルから求め
られる60Coウインドウ内のBGγ線の計数率である。
このように本実施例では、BGの影響を除去することに
より、より正確な60Coのγ線計数率を求めている。ま
た、換算定数kは、60Coウインドウに対するラドン等
の寄与分を求めるための係数であり、実験により求める
ことができる。本出願人は、換算定数kとして約0.0
7という値を得た。
【0038】なお、放射性ダストのモニタリングにおい
てラドン・トロンの影響が問題となるような環境では、
ラドン・トロンからのα線の方がバックグラウンドのα
線よりもはるかに量が多い(計数率がほぼ2桁異なる)
ので、上式(3)の計算においてnαBGはnαに対して
無視できる。従って、本実施例では、ダストモニタの構
成にBGα線を検出する手段を特に設けておらず、上式
(3)の計算においてもnαBGの項を無視してnγを求
めている。
【0039】なお、以上においては、60Coを例にとっ
て説明したが、58Coについても同様にしてγ線計数率
を求めることができる。ただし、この場合はウインドウ
58Coの発するγ線(810keV)のエネルギーに
合わせて設定する(例えば、730〜890keV)。
この場合、上式(3)における換算定数kは約0.08
となる。
【0040】このようにして、上式(3)に基づいて各
人工放射性核種(60Co、58Co)についてのγ線計数
率が算出されると、次に演算処理部50は、このγ線計
数率から次式(4)に従って各人工放射性核種それぞれ
の空気中ダスト濃度を算出する。
【0041】
【数4】 C = nγ/(ηγ×L×T) …(4) C :空気中ダスト濃度[Bq/m3 ] ηγ:検出器のγ線計数効率[cps/Bq] L :ダストモニタの吸引流量[m3 /min] T :測定時における吸引時間[min] 上式(4)において、nγは、前述の(3)によって求
められた各人工放射性核種それぞれのγ線計数率であ
る。そして、式(4)に基づき演算を行うことにより、
空気中ダスト濃度を各人工放射性核種ごとに求めること
ができる。
【0042】このようにして求められた各人工放射性核
種ごとの空気中ダスト濃度は、表示部52に表示される
と共に、記録装置56に記録される。
【0043】以上説明したように、本実施例は、ダスト
からのγ線の計数率に対するラドン等の自然放射性核種
の寄与分をα線計数率を用いてリアルタイムで求め、こ
の寄与分をダストからのγ線の計数率より減算する構成
となっているので、モニタリング対象である人工放射性
核種についての空気中ダスト濃度をリアルタイムで求め
ることができる。
【0044】しかも、本実施例では、α線計数とγ線計
数を組み合わせを採用したことにより、ラドン等の寄与
分を求める際の換算定数が極めて小さい値となるので、
α線計数の誤差が人工放射性核種のγ線計数率を求める
際に及ぼす影響が極めて小さくなり、この結果、図2の
グラフ(c)に示すように人工放射性核種の検出限界が
向上し、図2のグラフ(c)に示すようにラドン等の自
然放射性核種の濃度が高くなった場合でも、人工放射性
核種を低い濃度まで正確に計測できるようになる。
【0045】また、本実施例では、γ線のエネルギース
ペクトルを用いているので、γ線計数率及びダスト濃度
を核種ごとに求めることができる。
【0046】なお、以上では、60Co及び58Coのモニ
タリングを例にとって説明したが、本実施例はα線を発
しない核種一般のモニタリングに適用可能である。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ラドン等の自然放射性核種の濃度が高い環境においても
人工放射性核種の濃度を低い濃度まで正確にリアルタイ
ムで検出可能な、検出限界性能の良いダストモニタを得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダストモニタの実施例の構成を示
す模式図である。
【図2】実施例及び従来例のダストモニタにおける、空
気中のラドン濃度の変化に対する検出限界の変化の様子
を示すグラフである。
【図3】ラドン(222 Rn)の崩壊系列を示す説明図で
ある。
【図4】トロン(220 Rn)の崩壊系列を示す説明図で
ある。
【図5】ダストから検出されるα線とβ線のエネルギー
スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
10 筐体 11 流路 11a 吸入口 12 サンプリング濾紙 13 リール 14 ポンプ 20 α線検出器 24 α線測定部 30 γ線検出器 34 ダストγ線測定部 40 バックグラウンドγ線検出器 44 バックグラウンドγ線測定部 50 演算処理部 52 表示部 54 設定部 56 記録装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−194485(JP,A) 特開 平5−2079(JP,A) 特開 平5−100036(JP,A) 特開 平6−214034(JP,A) 特開 昭38−14700(JP,A) 特開 昭47−8248(JP,A) 特開 昭51−127775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01T 1/00 - 7/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サンプリング濾紙上に集塵されたダスト
    から発せられたα線を検出するα線検出部と、 前記α線検出部の出力パルス信号の計数を行うα線計数
    部と、 前記サンプリング濾紙上に集塵されたダストから発せら
    れたγ線を検出するγ線検出部と、 前記γ線検出部の出力パルス信号の波高分析を行い、ダ
    ストから発せられるγ線の各エネルギーレベルごとの計
    数率をエネルギースペクトルの形で求めるマルチチャネ
    ル波高分析器と、 モニタリング対象の各人工放射性核種ごとに、その人工
    放射性核種が発するγ線のエネルギーに対応するウイン
    ドウを前記エネルギースペクトル内に設定し、これら各
    ウインドウにおけるγ線計数率を求めるγ線ウインドウ
    計数部と、 前記α線計数部で求められたα線計数率に対して、前記
    γ線ウインドウ計数部の各ウインドウごとに定まる所定
    の換算定数を乗じて、前記各ウインドウのγ線計数率に
    対するラドン、トロン及びそれらの娘核種の寄与分を求
    める寄与分演算部と、 前記γ線ウインドウ計数部で求められた各ウインドウに
    おけるγ線計数率から前記寄与分演算部で求められた寄
    与分を減算することにより、モニタリング対象の各人工
    放射性核種のγ線計数率を求める計数率演算部と、 を有することを特徴とするダストモニタ。
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