JP2006318651A - 透過型電子顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過型電子顕微鏡観察における対物レンズのデフォーカス量及び対物絞りの選定といった条件選定を、計算を利用することで作業を軽減し、得られた電子顕微鏡像の解釈を容易にする。
【解決手段】操作者が観測を希望する空間的な大きさまたは距離dを入力する手段と、この値に基づく像が高いコントラスト、且つ重畳する偽像の影響を低減せしめる観察条件を算出し、それに基づき電子顕微鏡の加速電圧等に所望の変調をかける。
【選択図】図11
【解決手段】操作者が観測を希望する空間的な大きさまたは距離dを入力する手段と、この値に基づく像が高いコントラスト、且つ重畳する偽像の影響を低減せしめる観察条件を算出し、それに基づき電子顕微鏡の加速電圧等に所望の変調をかける。
【選択図】図11
Description
本発明は透過型電子顕微鏡に関し、特に透過型電子顕微鏡及びそれを用いた像観察方法に係るものであり、更に詳しくは高輝度電子源を有し、高い干渉性をもつ透過型電子顕微鏡から得られた電子顕微鏡像の像質を向上させる観察手法に関するものである。
透過型電子顕微鏡は、試料に電子線を照射し試料の透過電子線を電子レンズによって画像化し、試料内部の微細構造を直接観察可能にする装置である。その分解能は今や原子レベルオーダーに達しており、ナノテクノロジー発展における基盤計測装置にもなりつつある。また、高い分解能を利用して金属、半導体と言った材料開発の分野だけではなく、医学、生物の研究分野においても微細構造を解析する手段として欠かせない装置にもなっている。近年では、高輝度、高干渉性の優れた性能を併せ持つ電界放出型電子銃が開発され、この電子銃を搭載した電子顕微鏡により、より微細な領域の分析、評価に対する手段としての期待も高まっている。
図1は一般的な透過型電子顕微鏡の光学系を模式的に示したものである。電子源1から出射した電子線は照射レンズ2にて所望の条件(明るさ、開き角)に調整され、試料3を照射する。試料3から透過、散乱した電子線4は対物レンズ5に入射し、対物レンズ5の後焦点面6の位置におかれた対物絞り7によって情報が取捨選択され、対物レンズ像面8において結像する。この像は後段に置かれた拡大レンズ9により最終的にはスクリーン10にて数万から百万倍程度まで拡大され操作者に観察される。
図2は高分解能観察に用いられるような試料の厚さが十分薄く、試料透過後の散乱波の受ける影響が位相変化のみと近似できる場合(弱位相物体近似)の対物レンズ5の周辺を拡大したものである。入射電子線11の波長をλとし、試料3内部の操作者が観測を希望する試料の任意の2点間の距離または空間的な大きさをd(このような場合、選択した空間周波数が1/dであるという)としたとき、散乱波4は光軸とのなす角α(=λ/d;散乱角12)をもって試料下面から出射し対物レンズ5に入射する。球面収差の影響を受けない場合には、対物レンズ5の後方では実線13で示された経路をとり、像面8内の位置14に結像する。一方、球面収差の影響を受けた場合には対物レンズ5に入射する散乱波4は球面収差により余分なレンズ効果を受ける。その結果、電子線経路としては実線15で示されたようになり像面8内の位置16に結像する。この場合、試料内の本来あるべき位置ではないところに結像することになり、像面8での空間的位置ズレ量17を試料面に換算した位置ズレ量18は、装置で得られた像の位置情報の曖昧さを与えるとともに、重畳した像を作るため像の解釈を煩雑にする。
実線15で示す球面収差の影響を受けた電子線は、対物レンズの球面収差係数Csとデフォーカス量Δf(不足焦点状態を正とする)を用いて数9で表される光路差19(=χ(d))を生じる。
光路差19を電子線の波長λで除し2πを乗じて位相量に変換し、これをパラメータとして正弦関数で表した数10及び図3は対物レンズの収差関数と呼ばれる。
この関数は、レンズ中心を通る光軸平行の透過電子線と散乱波とが像面で結像(干渉)したときのバックグラウンドに対する相対コントラストを示し、正値を示すときには明るく、負値では暗い像となることを表している。
実際には収差関数数11に数12及び図4で示される対物レンズの焦点変位量Δに依存する包絡関数Ed(Δ,d)と、数13及び図5で示される試料に照射する電子線の開き角βと対物レンズのデフォーカス量Δfに依存する包絡関数Ej(β,Δf,d)を乗じた、位相コントラスト伝達関数(Phase Contrast Transfer Function;PCTF)が空間周波数1/dに対する電子顕微鏡の解像性能を示すものとして一般に取り扱われる(数14及び図6)。
なお、前記焦点変位量Δは電子顕微鏡の色収差係数Ccと加速電圧及び対物レンズの励磁電流の安定度ΔV/V、ΔI/Iと加速電圧Vに対する放出電子の放出電子のエネルギ幅ΔEとを用いて数15で表されるものとする。
また電子顕微鏡の理論的分解能(非特許文献1参照、シェルツァー分解能とも言う)dlimは、電子線の波長λと球面収差係数Csを用いて数16で定義される。
この値を実現する対物レンズのデフォーカス量Δfshはシェルツァーフォーカスと呼ばれ、一般に装置の最高性能をもたらすデフォーカス量とされている。
熱電子源を用いた電子顕微鏡に代表される対物レンズの焦点変位量Δが比較的大きく干渉性の低い場合、シェルツァーフォーカス時におけるPCTFは図7に示したようなグラフとなる。この場合、空間周波数1/dの増加に伴って包絡関数Ed(Δ,d)、Ej(β,Δf,d)の双方が減衰し、PCTFも減衰していくため、PCTFの値が最初に±0と交わる空間周波数1/d0以降の情報を得ることは困難である。
一方、電界放出型の電子源のような、高い干渉性を有する電子顕微鏡の場合には、同じくシェルツァーフォーカス時におけるPCTFは図8のようになり、減衰がより高い空間周波数側にシフトする。このため、高い空間周波数成分の情報が像に反映されることになり、その結果高い分解能を発揮する。
しかしながら、空間周波数1/d0以降の領域では、僅かな空間周波数の変化に対しコントラスト値が正負の間を大きく振動するようになる。特に空間周波数1/dinvで示した十分に減衰されずに残った極大正値成分は位相反転成分として像に重畳する。この成分は空間周波数が高いため、球面収差も大きく作用し、試料内の本来の位置とは異なるところに結像する。これが所謂偽像効果であり、従来は対物絞りを用いて空間周波数1/d0以降の成分を遮断し、意図的に分解能をd0に抑えることで対応していた。
図9は電子顕微鏡観察における一連の作業をフロー図として示したものである。観察対象が決定した場合、従来は像を見ながら対物レンズのデフォーカス量の設定や対物絞りの選定作業(ループ(1))を行っており、写真撮影に至るまでの最終的な判断も操作者が行うことが多い。更に、これらの作業は試料の形状、材質や注目したいものの大きさ(空間周波数)によって臨機応変に対処する必要があり、像質や像解釈に要する時間といった面でも操作者の技術的な習熟度に依存することが多い。
近年では電子顕微鏡を構成する電子源や付随する各電源の性能進歩に伴う、分解能や電子線の質、特に干渉性の向上がめざましく、これに伴う偽像効果に対する考慮が必要になっていることは前述の通りである。また、一般的な電子顕微鏡に用いられる回転対称磁場を利用した磁界型電子レンズでは、球面収差の影響を原理的に除去することができないため、これらの問題点は実験、装置の両面において、性能や使い勝手を制約する重要な因子となっている。
これらの解決策、特に偽像効果を防ぐ対策として従来から対物絞りが用いられてきたが、電子顕微鏡の対物絞りは金属板に精密機械加工や電解研磨などによって複数の孔を設けたものを用いているため、離散的な直径にならざるを得ない。そのため、常に任意の位相反転成分を遮断可能な孔径があるとは限らず、有効な情報までも遮断する、あるいは不要な情報を取り込まざるを得ないといった状況に陥る問題があった。
偽像効果を低減する手段の公知例としては、より多くの絞り孔を設ける(特許文献1参照。)、入射電子線の干渉性を消失または低下させる手法(特許文献2参照。)が挙げられる。しかしながら、前者では個々の孔径、孔の形状に高い精度が要求され、また対物絞りの挿入される場所の空間的制約といった問題が、後者では手段としては加える改造が簡単で電界放出型電子銃の長所も残すことが可能であるが、具体的にどの程度干渉性を低下させるべきかの判断が電子顕微鏡操作者に依存してしまうといった問題が残っていた。
これらの問題に加えて、僅かな対物レンズのデフォーカス量Δfの変化で、像コントラストが大きく変化するという電子顕微鏡像独特の性質も重なり、電子顕微鏡は要求される分野が広いにもかかわらず、像解釈の困難さから必ずしも研究者にとって身近な装置には至っていないのが現状である。
本発明の目的は、電子顕微鏡を操作する初心者から熟練者に至る範囲に対して、操作上の観察条件設定に要する時間を短縮し、且つ像解釈が簡単で正確な電子顕微鏡像が得られる、使い勝手のよい電子顕微鏡を提供するものである。
全体の構成として、電子顕微鏡本体に加えて操作者が観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdを入力するための入力装置と、dに対応する像のコントラストが高くなる対物レンズのデフォーカス量Δfc及び、偽像効果を低減せしめるPCTFを算出するための計算装置を有し、更には算出した複数の候補としてのPCTFを操作者に提示する機能と、これらの中から位相反転成分の強度が相対的に小さなものを自動もしくは手動で選択する手段を設ける。提示したものの中から、一つのPCTFが選択された場合には、位相反転成分に起因する偽像効果の低減を実現するための変調信号(ΔV、ΔI、ΔId)の算出と、電子顕微鏡本体とは別に設けた変調器によって、計算結果に基づく変調信号を生成する。制御装置は電子顕微鏡全体の制御をする一方で、変調状態を実現させるため、これらの生成された変調信号を高圧電源、対物レンズ電源、もしくは偏向コイル電源の出力に重畳させる機能を併せ持つ。これらのシステムを構築し活用することで前記問題点の解決を図る。
本発明の実施例によれば、操作者が観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdのみが既知であれば、この値に基づく電子顕微鏡像を高いコントラストで実現する対物レンズのデフォーカス量を自動的に計算し、対物レンズの球面収差に起因した偽像効果を低減もしくは除去する観察条件を半自動的に設定することが可能となる。これにより従来の電子顕微鏡観察実験の問題点であった像解釈、もしくは注目を希望する特定の空間周波数に応じた対物絞り孔の選定作業に費やす時間を大幅に短縮することが可能となる。また対物絞り孔が離散的孔径を持つ従来の方式では、観察対象も孔径に対応した離散的な特定の大きさ近傍のものに限定されるが、本発明の実施例ではこの点においても限定される必要がなくなるため、1台の電子顕微鏡で広範囲の観察対象に対応することが可能になる。
図10には本発明を実施した装置の概観を示している。電子銃20は先端を先鋭化した針状タングステン単結晶から構成される電子源1と、それと対抗する位置に置かれる引き出し電極21、引き出された電子を加速するための加速管22から構成される。引き出し電極21は外部に設けた引き出し電源23により高電圧が印加可能であり、電子源1との間に-3.0〜-2.5kV程度の電圧を印加することで電子を引き出すことができる。
加速管22には引き出された電子を加速するための加速電圧が加速電圧電源24より供給される。電子銃20から出射した電子線は照射レンズ電源25から励磁電流の供給を受けた照射レンズ2にて所望の照射条件に設定され、更に偏向コイル26に対して電流を供給する偏向コイル電源27の出力を調整することにより、入射電子線の光軸と対物レンズ5のレンズ軸(光軸)が一致するよう調整され試料に入射する。
試料ホルダ28の先端には観察するための試料が保持され、対物レンズ5の直上に置かれるがここでは図示していない。試料に入射し透過、散乱された電子線は対物レンズ電源29から励磁電流の供給を受けた対物レンズ5によって結像する。この像を対物レンズ5後方に置かれた拡大レンズ電源30から励磁電流の供給を受けた拡大レンズ9によって大きく拡大する。電子顕微鏡を構成する各部の電源は全て制御部31と接続し、常時出力を監視、制御されている。
最終的には前記光学系によって拡大された像を、観察窓32から直接あるいはテレビカメラ33にて撮影された像をテレビモニタ34を介して操作者が観察する。これらの像は写真フィルム35を用いて記録することも可能である。以上が基本となる電子顕微鏡本体36となる。本発明では前記基本構成に加えて、操作者が観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdを入力するための入力装置と、装置側のパラメータと入力値dとを用いて各関数の計算を担う計算装置とを一つに纏めた入力兼計算装置37、伝達された計算結果に基づく変調電圧もしくは変調電流を生成する変調器38及び、変調器38と制御部31とを電気的に隔て、変調器38によって生成された信号のオン、オフのためのスイッチ39を設ける。
本発明の実施例の実施に則した作業の流れを図11のフロー図に示す。観察対象とする試料を決定し、操作者が観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさd(もしくは空間周波数1/dでも良い)が入力兼計算装置37を介して入力された場合には、入力兼計算装置37において、数17に基づく対物レンズ5のデフォーカス量Δfcを計算する。
このとき注意すべき点は、入力するdの値は装置の理論的分解能dlimより大きな値(d>dlim)であることが前提である。また、入力されるdとしては、結晶試料の場合には原子間あるいは格子面間隔の距離が、生物切片試料の場合には組織の断面の大きさ、赤血球に含まれるヘモグロビンといった粒状物質の大きさなどが例として挙げられる。
算出されたデフォーカス量Δfcは収差関数、数18の不足焦点側において空間周波数1/dに対応する値が最初に “-1”をとる対物レンズのデフォーカス量である。この値は言い換えると、空間周波数1/dに対応するPCTF(d)が極大値を持つデフォーカス量という事になる。
入力兼計算装置37から計算結果を転送された制御部31では、対物レンズ電源29を操作して対物レンズ5のデフォーカス量Δfcが上述の数17で求めた値となるように対物レンズ電流値を調整する。
こうすることで、観察像を見ながら対物レンズのデフォーカス量を網羅、選択すると言った作業を簡略化することができる。
ここまでの流れで、対物レンズのデフォーカス量Δfcが既知となり、球面収差係数Csも同じく既知であるため、焦点変位量Δあるいは入射電子線βをパラメータとしたPCTFが計算可能となる。ここではまず、変調を加える前の状態でのPCTFを計算によって求め、このPCTFにおける位相反転成分の強度が十分に小さく低減するよう包絡関数Ed(Δ,d)、Ej(β,Δf,d)を操作し、その結果求められた複数の新規PCTFを観察推奨条件の候補として操作者に提示する。具体的には変調前のPCTFにおける、位相反転成分のコントラスト強度PCTF(dinv)と、この値に対応する空間周波数1/dinvを求め、前記コントラスト強度PCTF(dinv)を0.1倍から0.2倍に減衰させるような包絡関数Ed(Δ,d)の焦点変位量ΔあるいはEj(β,Δf,d)の入射電子線の開き角βを逆算して求め、その結果得られた複数の新規PCTFを候補として提示する。この0.1倍から0.2倍という値は本願発明者らが結像シミュレーションや実験結果から得た経験値である。なお、この複数のPCTFの候補は、位相反転成分が電子顕微鏡に与える影響が実質的に無視しうる範囲のものが好ましいが、それに限定されない。その影響が十分に小さい方が好ましいし、位相反転成分が小さい方が好ましいということはできる。
操作者は提示された中から、手動で特定のPCTFを選択する。(図11の符号6)この作業は入力兼計算装置37によって位相反転成分のコントラスト強度PCTF(dinv)の相対的に小さなものを自動的に選択させることも可能である。選択された特定のPCTFの決定を受けて、装置側では以下の3つの動作のうちのいずれかを実施する。
包絡関数Ed(Δ,d)の減衰作用を選択した場合(図11の符号7から右側に分岐する場合。)には対物レンズ5の焦点変位量Δをパラメータにとることになるが、焦点変位量Δは加速電圧安定度ΔV/Vと、対物レンズ電流安定度ΔI/Iの双方に連動して変化するため、操作者は更に変調される対象として加速電圧電源24、対物レンズ電源29の出力のいずれかを選択する。もちろん、このΔV/VおよびΔI/Iの両方を変化させるようにしてもよい。
変調対象として加速電圧電源24の出力が選択された場合(図11の符号8から右側に分岐する場合。)には、選択したPCTFにおけるコントラスト強度PCTF(dinv)と空間周波数dinv及び比例定数数19を用いて数20に基づく値を入力兼計算装置37において計算し、この値を制御部31及び変調器38へ転送する。
変調器38では、この値に基づき図12に図示する変調信号40を生成し、閉じたスイッチ39を介し制御部31へ転送する。制御部31では加速電圧電源24を操作し、加速電圧出力がΔVだけ変調された状態にする。
図12はこの場合の実施例を示しており、変調器38によって生成された変調信号40が加速電圧電源24に転送され、加速電圧電源24の出力が変調されている状態を示している。
変調対象として対物レンズ電源29の出力が選択された場合(図11の符号8から下側に分岐する場合。)には、選択したPCTFにおけるコントラスト強度PCTF(dinv)と空間周波数dinv及び比例定数数21を用いて数22に基づく値を入力兼計算装置37において計算し、この値を制御部31及び変調器38へ転送する。
変調器38では、この値に基づき変調信号41を生成し、閉じたスイッチ39を介し制御部31へ転送する。制御部31では対物レンズ電源29の出力を操作し、対物レンズ電流がΔIだけ変調された状態にする。
図13はこの場合の実施例を示しており、変調器38によって生成された変調信号41が対物レンズ電源29に転送され、対物レンズ電源29の出力が変調されている状態を示している。
包絡関数Ej(β,Δf,d)の減衰作用を選択した場合(図11の符号7から下側に分岐する場合。)には、試料に照射する電子線の開き角βをパラメータとすることになるが、実際には偏向コイル電源27の出力に加える変調電流(ΔId)がパラメータになる(図11の符号9)。
この場合には、選択したPCTFにおけるコントラスト強度PCTF(dinv)と空間周波数dinv及び比例定数数23を用いて数24に基づく値ΔIdを入力兼計算装置37において計算し、この値を制御部31及び変調器38へ転送する。
変調器38では、この値に基づき変調信号42を生成し、閉じたスイッチ39を介し制御部31へ転送する。制御部31では偏向コイル電源27の出力を操作し、偏向コイル電流が変調された状態にする。
図14はこの場合の実施例を示しており、変調器38によって生成された変調信号42が偏向コイル電源27に転送され、偏向コイル電源27の出力が変調されていることを示している。これらの状態が実現された後、像観察、写真撮影といった作業に取り掛かる。
なお前記3種類の変調信号については、何れも変調信号の出力(振幅)そのものが高い精度(〜10-6)で安定化されている必要がある。出力波形は望ましくは三角波、鋸歯状波、正弦波であるが、波形が負荷によってオーバーシュートを発生し振幅を乱すことがなければ特に制限されない。複数のスペクトルを持つようなホワイトノイズ状の変調信号でも良い。周期は写真フィルム35に対する露光時間内もしくは、テレビモニタ34の1フレーム時間内(1/30秒)に少なくとも1周期の変調を与えることが可能であれば特に制限しないが、対物レンズ電流もしくは偏向コイル電流に変調を加える場合には内部のコイルのインダクタンスによって応答周波数の上限が決まるので注意を要する。
これら一連の過程により従来は操作者の習熟度に依存していた対物レンズのデフォーカス量の設定、対物絞りの選択といった観察条件の設定作業を半自動化することが可能となる。
図15は本発明の実施例の効果を結像シミュレーションを用いて検証した例を示す。計算モデルは加速電圧を300kV、加速電圧安定度ΔV/Vを2×10−6、球面収差係数Csを1.2mm、色収差係数Ccを1.7mm、放出電子のエネルギ幅を0.3eV、試料膜厚を1nm、照射電子線の開き角(半角)を0.1mradとし、特に注目したい空間的大きさdを0.24nmとしている。対物レンズのデフォーカス量は数25から求めた値(Δfc=55nm)とした。
また、操作する包絡関数としてEd(Δ,d)、変調対象としては対物レンズ電源の出力を選択している。
(a)は○印で原子位置を示しており、近接する2つの原子間距離(=0.24nm)はdと等しい。(b)は変調前の状態でのシミュレーション像を示しており、原子位置以外のコントラスト(偽像)が顕著である。(c)は比例定数kを0.15とし数26を用いて変調電流ΔIを求め、対物レンズ電流に対して電流安定度ΔI/Iが5×10−6となるような変調を加えた場合のシミュレーション像である。
厳密には数26の計算結果ではΔI=4.89×10−6となるが、実際に製作される電源の安定度を考慮しΔI/I=5×10−6としている。(a)で示した原子位置に黒いコントラストが存在し、近接した個々の原子像を区別することができる。また、(b)と比較すると偽像の影響が少なく、像の解釈が容易になっていることがわかる。
1…電子源、2…照射レンズ、3…試料、4…散乱波、5…対物レンズ、6…対物レンズの後焦点面、7…対物絞り、8…対物レンズ像面、9…拡大レンズ、10…スクリーン、11…入射電子線、12…散乱角、13…球面収差の影響を受けない場合の経路、14…球面収差の影響を受けない場合の像の位置、15…球面収差の影響を受けた場合の経路、16…球面収差の影響を受けた場合の像の位置、、17…像のズレ量、18…資料面に換算した像ズレ量、19…光路差、20…電子銃、21…引き出し電極、22…加速管、23…引き出し電源、24…加速電圧電源、25…照射レンズ電源、26…偏向コイル、27…偏向コイル電源、28…試料ホルダ、29…対物レンズ電源、30…拡大レンズ電源、31…制御部、32…観察窓、33…テレビカメラ、34…テレビモニタ、35…写真フィルム、36…電子顕微鏡本体、37…入力兼計算装置、38…変調器、39…スイッチ、40…変調信号、41…変調信号、42…変調信号。
Claims (3)
- 電子源と、電子の引き出し電極と、引き出した電子を加速するための加速管と、
前記加速管から出射した電子線を所望に調整するための照射レンズと、前記照射レンズからの電子線をそこに載置された試料に照射するための試料ホルダと、前記試料に入射する前の電子を偏向するための偏向コイルと、前記試料を透過、散乱した電子線が入射する対物レンズと、
前記加速管の加速電圧を制御するための加速電圧源と、前記対物レンズの対物レンズ電流を制御するための対物レンズ電源と、前記偏向コイルの偏向コイル電流を制御するための偏向コイル電源と、
前記試料の観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdを入力する入力手段とを有し、
数1に基づく前記対物レンズのデフォーカス量Δfcを計算し、且つ数2で表される前記対物レンズの焦点変位量Δもしくは、前記試料への入射電子線の開き角βをパラメータとし、位相反転成分が電子顕微鏡像に与える影響が実質的に無視しうる範囲となる複数個の位相コントラスト伝達関数(Phase Contrast Transfer Function;PCTF)を求め、
選択した一の前記関数PCTFの状態を前記焦点変位量Δをパラメータに取り、且つ前記加速電圧に変調を加えることにより電子顕微鏡上で実現するものであり、
数3による計算によって前記加速電圧源に加える変調値ΔVを求め、
- 電子源と、電子の引き出し電極と、引き出した電子を加速するための加速管と、
前記加速管から出射した電子線を所望に調整するための照射レンズと、前記照射レンズからの電子線をそこに載置された試料に照射するための試料ホルダと、前記試料に入射する前の電子を偏向するための偏向コイルと、前記試料を透過、散乱した電子線が入射する対物レンズと、
前記加速管の加速電圧を制御するための加速電圧源と、前記対物レンズの対物レンズ電流を制御するための対物レンズ電源と、前記偏向コイルの偏向コイル電流を制御するための偏向コイル電源と、
前記試料の観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdを入力する入力手段とを有し、
数1に基づく前記対物レンズのデフォーカス量Δfcを計算し、且つ数2で表される前記対物レンズの焦点変位量Δもしくは、前記試料への入射電子線の開き角βをパラメータとし、位相反転成分が電子顕微鏡像に与える影響が実質的に無視しうる範囲となる複数個の位相コントラスト伝達関数(Phase Contrast Transfer Function;PCTF)を求め、
選択した一の前記関数PCTFの状態を前記焦点変位量Δをパラメータに取り、且つ前記対物レンズ電流に変調を加えることにより電子顕微鏡上で実現するものであり、
数5による計算によって前記対物レンズ電源に加える変調値ΔIを求め、
- 電子源と、電子の引き出し電極と、引き出した電子を加速するための加速管と、
前記加速管から出射した電子線を所望に調整するための照射レンズと、前記照射レンズからの電子線をそこに載置された試料に照射するための試料ホルダと、前記試料に入射する前の電子を偏向するための偏向コイルと、前記試料を透過、散乱した電子線が入射する対物レンズと、
前記加速管の加速電圧を制御するための加速電圧源と、前記対物レンズの対物レンズ電流を制御するための対物レンズ電源と、前記偏向コイルの偏向コイル電流を制御するための偏向コイル電源と、
前記試料の観測を希望する任意の2点間の距離または空間的な大きさdを入力する入力手段とを有し、
数1に基づく前記対物レンズのデフォーカス量Δfcを計算し、且つ数2で表される前記対物レンズの焦点変位量Δもしくは、前記試料への入射電子線の開き角βをパラメータとし、位相反転成分が電子顕微鏡像に与える影響が実質的に無視しうる範囲となる複数個の位相コントラスト伝達関数(Phase Contrast Transfer Function;PCTF)を求め、
選択した一の前記関数PCTFの状態を入射電子線の開き角βをパラメータに取ることにより電子顕微鏡上で実現するものであり、
数7による計算によって前記偏向コイル電源に加える偏向コイル電流の変調値ΔIdを求め、
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