JP2015082380A - 画像取得方法および透過電子顕微鏡 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅広い周波数帯の情報を得ることができる画像取得方法を提供する。【解決手段】 本発明に係る画像取得方法は、透過電子顕微鏡の画像取得方法であって、透過電子顕微鏡の結像系の球面収差係数および色収差係数の少なくとも一方を設定して、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する工程と、デフォーカス条件の前記結像系によって、画像の取得を行う工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、画像取得方法および透過電子顕微鏡に関する。
透過電子顕微鏡(TEM,Transmission Electron Microscope)では、一般的に、点分解能向上のために小さな球面収差係数C、および格子分解能向上のために小さな色収差係数Cを有する結像系が要求される(例えば特許文献1参照)。
対物レンズの点分解能は、シェルツァー・フォーカス(Scherzer focus)におけるコントラスト伝達関数(CTF,contrast transfer function)のファーストゼロにより定義され、球面収差係数Cが小さいほど点分解能は向上する。ここで、ファーストゼロとは、シェルツァー・フォーカスでの位相コントラスト伝達関数が、最初に位相ゼロの軸と交わる波数をいい、この波数の逆数が点分解能である。
シェルツァー・フォーカスにおけるコントラスト伝達関数は、点分解能の向上には有利であり、1nm未満の小さな構造や、1Å以下の原子分解能が要求される材料科学分野における透過電子顕微鏡の利用方法として重要である。
これに対して、生命科学分野においては、観察対象となる構造は数十nm程度の大きな構造から、0.2nm程度の小さな構造まで、幅広い大きさの構造の情報が必要とされる。しかしながら、従来の透過電子顕微鏡の光学系では、低空間周波数の情報と高空間周波数の情報を同時に伝達することができず、幅広い大きさの構造の情報を得ることはできなかった。以下、その理由について説明する。
図10は、シェルツァー・フォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフである。図10に示すコントラスト伝達関数は、C=1.0mm、C=2.0mm、加速電圧V=200kV、照射角α=0.1mrad、エネルギー幅ΔE=0.8eVにおける計算結果である。
図11は、−2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフである。図11に示すコントラスト伝達関数は、C=1.0mm、C=2.0mm、加速電圧V=200kV、照射角α=0.1mrad、エネルギー幅ΔE=0.8eVにおける計算結果である。ここで、「−2μmデフォーカス」の「−」は、アンダーフォーカスを意味している。
図10に示すように、シェルツァー・フォーカスでは、低空間周波数の情報がほとんど伝達されない。そのため、1nm以上の大きな構造を透過電子顕微鏡による位相コントラストで観察する場合、シェルツァー・フォーカスでは必要な情報が伝達されない。
したがって、大きな構造を観察する場合には、例えば図11に示すように、シェルツァー・フォーカスよりもデフォーカス量を大きくしてコントラスト伝達関数を圧縮し、低空間周波数の情報を得る手法が用いられている。
しかしながら、デフォーカス量を大きくすると、図11に示すように、空間エンベローブ包絡関数(spatial envelope function)の減衰により、高
空間周波数の情報は損なわれてしまう。このように、従来の透過電子顕微鏡の光学系では、低空間周波数の情報と高空間周波数の情報を同時に得ることはできなかった。
特開平11−135047号公報
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、幅広い周波数帯の情報を得ることができる画像取得方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を有する透過電子顕微鏡を提供することにある。
(1)本発明に係る画像取得方法は、
透過電子顕微鏡における画像取得方法であって、
前記透過電子顕微鏡の結像系の球面収差係数および色収差係数の少なくとも一方を設定して、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する工程と、
デフォーカス条件の前記結像系によって、画像の取得を行う工程と、
を含む。
このような画像取得方法によれば、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を得ることができる。
(2)本発明に係る画像取得方法において、
前記結像系の球面収差係数は、球面収差補正器を用いて設定されてもよい。
このような画像取得方法によれば、容易に結像系の球面収差係数を設定することができる。したがって、観察対象の構造の大きさに適した結像系となるようにコントラスト伝達関数を容易に変更することができる。
(3)本発明に係る画像取得方法において、
前記結像系の色収差係数は、色収差補正器を用いて設定されてもよい。
このような画像取得方法によれば、容易に結像系の色収差係数を設定することができる。したがって、観察対象の構造の大きさに適した結像系となるようにコントラスト伝達関数を容易に変更することができる。
(4)本発明に係る画像取得方法において、
前記結像系の球面収差係数は10mm以上に設定され、前記結像系の色収差係数は2mm以下に設定されてもよい。
このような画像取得方法によれば、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を得ることができる。
(5)本発明に係る透過電子顕微鏡は、
電子線を発生させる電子線源と、
前記電子線源から放出された電子線を試料に照射するための照射系と、
前記試料を透過した電子線で結像するための結像系と、
前記結像系の球面収差係数を変更するための球面収差補正器と、
前記結像系および前記球面収差補正器を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記球面収差補正器を制御して前記結像系の球面収差係数を設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、
前記結像系を制御して、前記結像系をデフォーカス条件にする処理と、
を行う。
このような透過電子顕微鏡によれば、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現することができる。
(6)本発明に係る透過電子顕微鏡は、
電子線を発生させる電子線源と、
前記電子線源から放出された電子線を試料に照射するための照射系と、
前記試料を透過した電子線で結像するための結像系と、
前記結像系の色収差係数を変更するための色収差補正器と、
前記結像系および前記色収差補正器を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記色収差補正器を制御して前記結像系の色収差係数を設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、
前記結像系を制御して、前記結像系をデフォーカス条件にする処理と、
を行う。
このような透過電子顕微鏡によれば、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現することができる。
第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を示す図。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=15mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=15mm、C=10mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=10mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=20mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=30mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の構成を示す図。 第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の処理部の処理の一例を示すフローチャート。 シェルツァー・フォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=1.0mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。 −2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数を示すグラフ(C=1.0mm、C=2.0mm、V=200kV、α=0.1mrad、ΔE=0.8eV)。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 透過電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成を示す図である。
透過電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子線源10と、照射系(照射レンズ系、照射部)2と、試料ステージ30と、結像系(結像レンズ系、結像部)4と、球面収差補正器50と、撮像装置60と、処理部70と、表示部80と、操作部82と、記憶部84と、を含んで構成されている。なお、図1では、試料ホルダー32が試料室1に挿入されている状態を図示している。
照射系2および結像系4を含む透過電子顕微鏡100の光学系は、鏡筒6の内部に収容されている。鏡筒6の内部は、排気装置(図示せず)によって真空排気されている。
電子線源10は、電子線EBを発生させる。電子線源10は、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子線源10として、公知の電子銃を用いることができる。電子線源10として用いられる電子銃は特に限定されず、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
透過電子顕微鏡100の照射系2は、電子線源10から放出された電子線EBを試料Sに照射するためのレンズ系である。照射系2は、図示の例では、照射レンズ(コンデンサーレンズ)20を含んで構成されている。照射系2は、さらに、コンデンサーミニレンズ(図示しない)を含んで構成されていてもよい。
照射レンズ20は、電子線源10の後段(電子線EBの下流側)に配置されている。照射レンズ20は、電子線源10で発生した電子線EBを試料Sに照射するためのレンズである。照射レンズ20は、図示はしないが、多段に構成されていてもよい。
試料ステージ30は、試料室1における試料Sの位置決めを行う。試料ステージ30は、試料室1において、試料ホルダー32に保持された試料Sを移動させることができる。試料ホルダー32に保持された試料Sには、試料室1において、電子線EBが照射される。
試料ステージ30は、例えば、試料Sの水平移動、上下移動、回転、傾斜などの動作を行うことができる。試料ステージ30は、図示の例では、対物レンズ40の横から試料ホルダー32を挿入するサイドエントリーステージを構成している。
透過電子顕微鏡100の結像系4は、試料Sを透過した電子線EBで結像するためのレンズ系である。結像系4は、対物レンズ40と、中間レンズ42と、投影レンズ44と、を含んで構成されている。
対物レンズ40は、照射レンズ20の後段に配置されている。対物レンズ40は、試料Sを透過した電子線EBで結像するための初段のレンズである。透過電子顕微鏡100において、対物レンズ40の球面収差係数Cは、例えば1.0mm程度である。また、透過電子顕微鏡100において、対物レンズ40の色収差係数Cは、例えば2.0mm程度である。なお、対物レンズ40の球面収差係数Cの値は特に限定されない。また、対物レンズ40の色収差係数Cの値も特に限定されないが、色収差係数Cは、0mm以上2.0mm以下の小さな値であることが望ましい。その理由については後述する。
中間レンズ42は、対物レンズ40の後段に配置されている。投影レンズ44は、中間レンズ42の後段に配置されている。中間レンズ42および投影レンズ44は、対物レンズ40によって結像された像(電子顕微鏡像)をさらに拡大し、撮像装置60上に結像させる。
球面収差補正器(Cコレクター)50は、対物レンズ40の後段に配置されている。球面収差補正器50は、図示の例では、対物レンズ40と中間レンズ42との間に配置されている。球面収差補正器50は、透過電子顕微鏡100の結像系4に組み込まれている。
球面収差補正器50は、透過電子顕微鏡100の結像系4の球面収差係数Cを変更する。球面収差補正器50は、図示の例では、対物レンズ40の球面収差係数Cを変更する。球面収差補正器50は、例えば多極子レンズを含んで構成されている。球面収差補正器50は、この多極子レンズによって球面収差を発生させ、対物レンズ40の球面収差係数Cを減少、または増大させることができる。具体的には、球面収差補正器50は、負の球面収差を発生させて、対物レンズ40の球面収差係数Cを減少させる。また、球面収差補正器50は、正の球面収差を発生させて、対物レンズ40の球面収差係数Cを増大させる。
撮像装置60は、結像系4によって結像された透過電子顕微鏡像を撮像する。撮像装置60は、電子線EBを検出するための検出器を有している。検出器は、例えば、2次元的に配置された固体撮像素子を有するCCDカメラである。撮像装置60は、撮像した透過電子顕微鏡像の情報を処理部70に出力する。
表示部80は、処理部70から入力される表示信号に基づいて、処理部70の処理結果等を画像やグラフその他の情報として表示する。表示部80は、例えば、画像取得部74で取得された画像(透過電子顕微鏡像)を表示する。表示部80は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイなどである。
操作部82は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部70に送る処理を行う。操作部82は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
記憶部84は、処理部70が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部84は、処理部70の作業領域として用いられ、操作部82から入力された操作信号、処理部70が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部84の機能はRAM(Random Access Memory)などのハードウェアにより実現できる。
処理部(CPU)70は、記憶部84に記憶されているプログラムに従って、各種の計算処理を行う。処理部70は、記憶部84に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、制御部72、画像取得部74としてとして機能する。ただし、処理部70の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
制御部72は、透過電子顕微鏡100の結像系4(対物レンズ40)および球面収差補正器50を制御する。具体的には、制御部72は、球面収差補正器50を制御して結像系4(対物レンズ40)の球面収差係数Cを設定し、エンベローブ包絡関数(envelope function)によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理を行う。また、制御部72は、透過電子顕微鏡100の結像系4(対物レンズ40)をデフォーカス条件に設定する処理を行う。これらの処理の詳細については、後述する。
制御部72は、さらに、照射レンズ20、試料ステージ30、中間レンズ42、投影レンズ44、撮像装置60等を制御してもよい。
画像取得部74は、透過電子顕微鏡像の情報を取得する。透過電子顕微鏡像の情報は、撮像装置60から出力される。画像取得部74は、取得した透過電子顕微鏡像の情報に基づいて、画像(透過電子顕微鏡像)を生成する。画像取得部74は、生成した画像から表示信号を生成し、表示部80に透過電子顕微鏡像を表示させる。
透過電子顕微鏡100は、図示の例では、除振機90を介して架台92上に設置されている。
1.2. 画像取得方法
次に、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡における画像取得方法について説明する。まず、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡における画像取得方法の原理について説明する。
透過電子顕微鏡において、弱位相物体のコントラスト伝達関数CTFは、以下のように記述される。
・・・(1)

・・・(2)
・・・(3)
・・・(4)
ここで、γ(k)は収差関数、E(k)は空間エンベローブ包絡関数(spatial envelope function)、E(k)は時間エンベローブ包絡関数(temporal envelope function)である。また、式(1)〜(4)に含まれる変数はそれぞれ以下の物理量に対応する。
完全に過干渉な光学系であれば、コントラスト伝達関数CTFは下記式のようになり、無限大の空間周波数の情報が伝達される。
しかしながら、コントラスト伝達関数CTFは、空間的な非干渉性を表わすE(k)および時間的な非干渉性を表わすE(k)により、有限の空間周波数の情報しか伝達できない。
デフォーカス量をアンダーフォーカス側に大きくすることは、式(3)において空間エンベローブ包絡関数E(k)に含まれるデフォーカス量Δfを負の方向に大きくすることに相当する。ここで、一般的な透過電子顕微鏡では、球面収差係数Cは1.0mm程度であり、色収差係数Cは2.0mm程度である。そのため、デフォーカス量が大きくなると、図11に示すように、空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰のため、高空間周波数の情報が損なわれる。
本実施形態では、球面収差補正器50を用いて、球面収差係数Cのみが大きな結像系4、すなわち、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4(例えばC≧10mm、C≦2.0mm)を作ることにより、例えばデフォーカス量をシェルツァー・フォーカスよりも大きくしても、高空間周波数の情報が損なわれずに、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで伝達可能な結像系4を実現する。
上述したように、式(3)おいてデフォーカス量Δfが負の方向に大きくなると、図11に示すように空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの高空間周波数における減衰が大きくなる。しかしながら、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4の場合、デフォーカス量とのバランスがとれ、高空間周波数においても情報の損失が生じない。
図2は、−2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数CTFを示すグラフである。図2に示すコントラスト伝達関数CTFは、C=15mm、C=2.0mm、加速電圧V=200kV、照射角α=0.1mrad、エネルギー幅ΔE=0.8eVにおける計算結果である。
図2に示すように、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4の場合、図11にみられる空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰がなく、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで伝達できることがわかる。
このように、結像系4の球面収差係数Cのみを大きくすれば、大きなデフォーカス量において空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰を抑制できる。しかしながら、例えば透過電子顕微鏡の対物レンズを設計する場合、球面収差係数Cが大きく(例えばC≧10mm)色収差係数Cが小さい(例えばC≦2.0mm)対物レンズを設計することは困難である。対物レンズでは、通常、球面収差係数Cを大きくすれば、色収差係数Cの値も同程度の大きさになるためである。
ここで、例えば球面収差係数Cおよび色収差係数Cの両方が大きくなると、大きなデフォーカス量において、時間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰により、高空間周波数の情報が損なわれる。
図3は、−2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数CTFを示すグラフである。図3に示すコントラスト伝達関数CTFは、C=15mm、C=10mm、加速電圧V=200kV、照射角α=0.1mrad、エネルギー幅ΔE=0.8eVにおける計算結果である。
図3に示すように、球面収差係数Cおよび色収差係数Cの両方を大きくすると、空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰は生じないが時間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰が生じてしまうことがわかる。これにより、高空間周波数の情報が損なわれてしまう。
また、時間エンベローブ包絡関数は、式(4)から分かるように、色収差係数Cが大きくなると単調に減少する関数のため、色収差係数Cはできる限り小さい値であることが望ましい。具体的には、色収差係数Cは、0mm以上2.0mm以下であることが望ましい。これにより、高空間周波数において、時間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰を抑制することができる。したがって、高空間周波数の情報が損なわれることを防ぐことができる。
このように、高空間周波数の情報が損なわれることを防ぐためには、球面収差係数C
が大きく色収差係数Cが小さい結像系4が要求される。しかしながら、上述したように、透過電子顕微鏡の対物レンズを設計では、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい対物レンズを設計することは困難である。そこで、本実施形態では、球面収差補正器50を用いることにより、対物レンズ40の球面収差係数Cを大きくして、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現している。
球面収差補正器50は、通常、対物レンズ40の球面収差係数Cを小さくすることがその使用の目的である。しかしながら、透過電子顕微鏡100では、球面収差補正器50は、結像系4(対物レンズ40)の球面収差係数Cを大きくするために用いられている。
図4〜図6は、−2μmデフォーカスにおけるコントラスト伝達関数CTFを示すグラフである。図4に示すコントラスト伝達関数CTFは、C=10mmにおける計算結果である。図5に示すコントラスト伝達関数CTFは、C=20mmにおける計算結果である。図6に示すコントラスト伝達関数CTFは、C=30mmにおける計算結果である。なお、図4〜図6に示すコントラスト伝達関数CTFのその他の計算条件は同じであり、C=2.0mm、加速電圧V=200kV、照射角α=0.1mrad、エネルギー幅ΔE=0.8eVである。
図4〜図6に示すように、球面収差係数Cが10mm以上30mm以下の範囲では、大きなデフォーカス量において空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰が抑制されていることがわかる。
また、図4〜図6に示すように、球面収差係数Cの値が変わると空間エンベローブ包絡関数が描く形状も変わってくる。すなわち、同じ空間周波数であっても、球面収差係数Cの値が変わると、空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数CTFの減衰の程度が異なってくる。したがって、観察対象の構造の大きさに適した結像系4となるように、球面収差係数Cの値を変更できることが望ましい。
本実施形態では、球面収差補正器50によって容易に対物レンズ40の球面収差係数Cを変更(調整)できる。そのため、本実施形態意では、観察対象の構造の大きさに適した結像系となるようにコントラスト伝達関数CTFを容易に変更することができる。
次に、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の画像取得方法について図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の処理部70の処理(画像取得処理)の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部72は、球面収差補正器50を制御して対物レンズ40の球面収差係数Cを設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する(S10)。具体的には、制御部72は、球面収差補正器50に正の球面収差を発生させて、対物レンズ40の元(球面収差補正器50で補正前)の球面収差係数C(例えばC=1.0mm)を増大させて所定の値(例えばC≧10mm)とする。これにより、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現できる。
次に、制御部72は、対物レンズ40を制御して、透過電子顕微鏡100の結像系4(対物レンズ40)をデフォーカス条件にする(S12)。制御部72は、例えば、対物レンズ40のデフォーカス量をシェルツァー・フォーカスよりも大きくする。これにより、図2に示すように、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで伝達可能な結像系4を実現することができる。デフォーカス量は観察対象となる構造の大きさ等によって、適宜設定することができる。
なお、ステップS10における球面収差係数Cの値およびステップS12におけるデフォーカス量は、例えば予め記憶部84に記憶されていてもよい。また、ステップS10における球面収差係数Cの値およびステップS12におけるデフォーカス量は、例えばユーザーによって任意に設定されてもよい。ユーザーは、例えば操作部82を介して、球面収差係数Cの値およびデフォーカス量の値を設定してもよい。
また、ここではステップS10の後にステップS12の処理を行う場合について説明したが、その順序は限定されず、ステップS12の処理を行った後に、ステップS10の処理を行ってもよい。
次に、画像取得部74は、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さく、かつ、デフォーカス条件の結像系4で結像された透過電子顕微鏡像の情報を取得する(S14)。この透過電子顕微鏡像の情報は、撮像装置60から出力される。画像取得部74は、取得した透過電子顕微鏡像の情報に基づいて、画像(透過電子顕微鏡像)を生成する。画像取得部74は、例えば生成した画像から表示信号を生成し、表示部80に透過電子顕微鏡像を表示させる。そして、処理部70は処理を終了する。
本実施形態に係る画像取得方法および透過電子顕微鏡は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る画像取得方法では、透過電子顕微鏡100の結像系4の球面収差係数Cを設定して、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する工程と、デフォーカス条件の結像系4によって、画像を取得する工程と、を含む。これにより、上述したように、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4(例えばC≧10mm、C≦2.0mm)を作ることができ、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を得ることができる。
本実施形態に係る画像取得方法では、球面収差係数Cは、球面収差補正器50を用いて設定される。これにより、容易に結像系4(対物レンズ40)の球面収差係数Cを設定することができる。したがって、観察対象の構造の大きさに適した結像系となるようにコントラスト伝達関数を容易に変更することができる。
本実施形態に係る画像取得方法では、球面収差係数Cは10mm以上に設定され、色収差係数Cは2mm以下に設定される。これにより、図4〜図6に示すように、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を得ることができる。
本実施形態に係る透過電子顕微鏡100では、制御部72は、球面収差補正器50を制御して結像系4の球面収差係数Cを設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、結像系4を制御して、結像系4をデフォーカス条件にする処理と、を行う。これにより、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現することができる。
このように、本実施形態に係る透過電子顕微鏡100の結像系4は、大きなデフォーカス量にした際の高空間周波数の情報の損失を解消することができるため、大きなデフォーカス量および位相コントラストによる観察が要求される試料に有効である。すなわち、例えば、氷包埋の生物試料観察、特に単粒子解析による生体試料の三次元再構成の分解能向上において極めて有効である。
2. 第2実施形態
2.1. 透過電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200において、上述した第1実施形態に係る透過電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
上述した透過電子顕微鏡100は、図1に示すように、球面収差補正器50を有しており、結像系4の球面収差係数Cを球面収差補正器50を用いて設定することにより、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を作り、幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現していた。
これに対して、透過電子顕微鏡200は、図8に示すように、色収差補正器210を有しており、結像系4の色収差係数Cを色収差補正器210を用いて設定することにより、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を作り、幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現している。
透過電子顕微鏡200の対物レンズ40の球面収差係数Cおよび色収差係数Cは、いずれも大きな値を有している。具体的には、透過電子顕微鏡200において対物レンズ40の球面収差係数Cおよび色収差係数Cは、例えば、10mm以上30mm以下の値である。
色収差補正器(Cコレクター)210は、対物レンズ40の後段に配置されている。色収差補正器210は、図示の例では、対物レンズ40と中間レンズ42との間に配置されている。色収差補正器210は、透過電子顕微鏡100の結像系4に組み込まれている。
色収差補正器210は、透過電子顕微鏡200の結像系4の色収差係数Cを変更する。色収差補正器210は、例えば、対物レンズ40の色収差係数Cを変更する。色収差補正器210は、例えば多極子レンズを含んで構成されている。色収差補正器210は、この多極子レンズによって色収差を発生させて、対物レンズ40の色収差係数Cを減少させることができる。具体的には、色収差補正器210は、負の球面収差を発生させて、対物レンズ40の色収差係数Cを減少させる。
2.2. 画像取得方法
次に、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡の画像取得方法について説明する。なお、上述した第1実施形態に係る透過電子顕微鏡の画像取得方法の例と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。
まず、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡における画像取得方法の原理について説明する。
本実施形態では、色収差補正器210を用いて、球面収差係数Cが大きく色収差係数
が小さい結像系4(例えばC≧10mm、C≦2.0mm)を作ることにより、例えばデフォーカス量をシェルツァー・フォーカスよりも大きくしても高空間周波数の情報が損なわれずに、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで伝達可能な結像系を実現する。
透過電子顕微鏡の対物レンズを設計では、第1実施形態で述べたように、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい対物レンズを設計することは困難である。しかし、本実施形態では、対物レンズ40の球面収差係数Cおよび色収差係数Cをあらかじめ大きな値にし(例えばC≧10mm、C≧10mm)、色収差補正器210を用いて色収差係数Cを小さな値(例えば0≦C≦2.0mm)にすることにより、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現している。
次に、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200の画像取得方法について図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る透過電子顕微鏡200の処理部70の処理(画像取得処理)の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部72は、色収差補正器210を制御して対物レンズ40の色収差係数Cを設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する(S20)。具体的には、制御部72は、色収差補正器210に負の色収差を発生させて対物レンズ40の元(色収差補正器210で補正前)の色収差係数C(例えばC≧10mm)を減少させて、所定の値(例えば0≦C≦2.0mm)とする。これにより、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現できる。
次に、制御部72は、対物レンズ40を制御して、透過電子顕微鏡200の結像系4(対物レンズ40)をデフォーカス条件にする(S22)。制御部72は、例えば、対物レンズ40のデフォーカス量をシェルツァー・フォーカスよりも大きくする。これにより、図2に示すように、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで伝達可能な結像系4を実現することができる。デフォーカス量は観察対象となる構造の大きさ等によって、適宜設定することができる。
なお、ステップS20における色収差係数Cの値およびステップS22におけるデフォーカス量は、例えば予め記憶部84に記憶されていてもよい。また、ステップS20における色収差係数Cの値およびステップS22におけるデフォーカス量は、例えばユーザーによって設定されてもよい。ユーザーは、例えば操作部82を介して、色収差係数Cの値およびデフォーカス量の値を設定してもよい。
また、ここではステップS20の後にステップS22の処理を行う場合について説明したが、その順序は限定されず、ステップS22の処理を行った後に、ステップS20の処理を行ってもよい。
次に、画像取得部74は、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さく、かつ、デフォーカス条件の結像系4で結像された透過電子顕微鏡像の情報を取得する(S24)。この透過電子顕微鏡像の情報は、撮像装置60から出力される。画像取得部74は、取得した透過電子顕微鏡像の情報に基づいて、画像(透過電子顕微鏡像)を生成する。画像取得部74は、例えば生成した画像から表示信号を生成し、表示部80に透過電子顕微鏡像を表示させる。そして、処理部70は処理を終了する。
本実施形態に係る画像取得方法および透過電子顕微鏡は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る画像取得方法では、透過電子顕微鏡200の結像系4の色収差係数Cを設定して、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する工程と、デフォーカス条件の結像系4によって、画像を取得する工程と、を含む。これにより、上述したように、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4(例えばC≧10mm、C≦2.0mm)を作ることができ、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を得ることができる。
本実施形態に係る画像取得方法では、色収差係数Cは、色収差係数Cを変更するための色収差補正器210を用いて設定される。これにより、容易に結像系4(対物レンズ40)の色収差係数Cを設定することができる。したがって、観察対象の構造の大きさに適した結像系となるようにコントラスト伝達関数を容易に変更することができる。
本実施形態に係る透過電子顕微鏡200では、制御部72は、色収差補正器210を制御して結像系の色収差係数Cを設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、結像系4を制御して、結像系4をデフォーカス条件にする処理と、を行う。これにより、デフォーカス量を大きくしても空間エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制することができる。したがって、デフォーカス量を大きくしても高空間周波数の情報が損なわれず、低空間周波数の情報から高空間周波数の情報まで幅広い周波数帯の情報を伝達可能な光学系を実現することができる。
また、本実施形態に係る透過電子顕微鏡200では、対物レンズ40の球面収差係数Cおよび対物レンズ40の元の色収差係数C(色収差補正器210で補正前の色収差係数C)の値を大きくすることができるため(例えばC≧10mm、C≧10mm)、例えば対物レンズ40のポールピースギャップを大きくすることができる。これにより、試料S周辺に空間的な余裕が生じ、EDS(energy−dispersive X−ray spectroscopy)検出器等の検出器や光学系等を装着することが容易になる。
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した図1に示す透過電子顕微鏡100は球面収差補正器50を用いて、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現し、上述した図8に示す透過電子顕微鏡200は色収差補正器210を用いて、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現していた。これに対して、透過電子顕微鏡が球面収差補正器50および球面収差補正器210の両方を含んで構成されていてもよい。これにより、透過電子顕微鏡の結像系4の球面収差係数Cおよび色収差係数Cの両方を設定して、球面収差係数Cが大きく色収差係数Cが小さい結像系4を実現してもよい。
また、例えば、上述した図1に示す透過電子顕微鏡において、球面収差係数Cの異なる透過電子顕微鏡の光学系で、シェルツァー・フォーカス条件で複数の画像(透過電子顕微鏡像)を取得し、各画像を重ね合わせて1枚の画像とする。
具体的には、例えば、球面収差補正器50を用いて結像系4の球面収差係数Cを小さくした状態(例えばC=0.5mm)、球面収差補正器50を用いて結像系4の球面収差係数Cを大きくした状態(例えばC=30mm)、対物レンズ40をオフにして対物ミニレンズ(図示せず)のみを用いた状態(例えばC=3000mm)、の3条件でそれぞれシェルツァー・フォーカス条件で電子顕微鏡像を取得する。そして、これらの電
子顕微鏡像を重ね合わせる。これにより、低空間周波数から高空間周波数まで幅広い周波数帯で振動しないコントラスト伝達関数で得られた像を実現することができる。これは、球面収差係数Cを大きくすると、シェルツァー・フォーカス条件において、低空間周波数領域で振動しないコントラスト伝達関数が得られるためである。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…試料室、2…照射系、4…結像系、6…鏡筒、10…電子線源、20…照射レンズ、30…試料ステージ、32…試料ホルダー、40…対物レンズ、42…中間レンズ、44…投影レンズ、50…球面収差補正器、60…撮像装置、70…処理部、72…制御部、74…画像取得部、80…表示部、82…操作部、84…記憶部、90…除振機、92…架台、100…透過電子顕微鏡、200…透過電子顕微鏡、210…色収差補正器

Claims (6)

  1. 透過電子顕微鏡における画像取得方法であって、
    前記透過電子顕微鏡の結像系の球面収差係数および色収差係数の少なくとも一方を設定して、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する工程と、
    デフォーカス条件の前記結像系によって、画像の取得を行う工程と、
    を含む、画像取得方法。
  2. 請求項1において、
    前記結像系の球面収差係数は、球面収差補正器を用いて設定される、画像取得方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記結像系の色収差係数は、色収差補正器を用いて設定される、画像取得方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記結像系の球面収差係数は10mm以上に設定され、前記結像系の色収差係数は2mm以下に設定される、画像取得方法。
  5. 電子線を発生させる電子線源と、
    前記電子線源から放出された電子線を試料に照射するための照射系と、
    前記試料を透過した電子線で結像するための結像系と、
    前記結像系の球面収差係数を変更するための球面収差補正器と、
    前記結像系および前記球面収差補正器を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記球面収差補正器を制御して前記結像系の球面収差係数を設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、
    前記結像系を制御して、前記結像系をデフォーカス条件にする処理と、
    を行う、透過電子顕微鏡。
  6. 電子線を発生させる電子線源と、
    前記電子線源から放出された電子線を試料に照射するための照射系と、
    前記試料を透過した電子線で結像するための結像系と、
    前記結像系の色収差係数を変更するための色収差補正器と、
    前記結像系および前記色収差補正器を制御する制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記色収差補正器を制御して前記結像系の色収差係数を設定し、エンベローブ包絡関数によるコントラスト伝達関数の減衰を抑制する処理と、
    前記結像系を制御して、前記結像系をデフォーカス条件にする処理と、
    を行う、透過電子顕微鏡。
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