JP2016039119A - 電子顕微鏡、および電子顕微鏡の調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】エネルギー選択スリットを円滑に移動させて、エネルギー選択スリットの調整を短時間で行うことができる電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】電子顕微鏡100は、電子線EBを放出する電子線源10と、電子線EBの光路に偏向場を発生させて、電子線EBをエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルター22と、エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリット25が形成されたスリットプレート24と、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定する電流測定部50と、電流測定部50の測定結果に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御するエネルギーフィルター制御部60と、を含む。
【選択図】図1
【解決手段】電子顕微鏡100は、電子線EBを放出する電子線源10と、電子線EBの光路に偏向場を発生させて、電子線EBをエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルター22と、エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリット25が形成されたスリットプレート24と、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定する電流測定部50と、電流測定部50の測定結果に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御するエネルギーフィルター制御部60と、を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、電子顕微鏡、および電子顕微鏡の調整方法に関する。
モノクロメーターは、一般的に、電子線の分光部であるエネルギーフィルターと、エネルギー選択スリットと、で構成されている。モノクロメーターに入射した電子線は、エネルギーフィルターの分光によりエネルギー分散面に置かれたエネルギー選択スリット面上で電子線のエネルギー分布に対応するスペクトルとなる。このスペクトルに対してエネルギー選択スリットを用いることで、エネルギー選択スリットのスリット幅に相当した特定のエネルギー幅の電子線のみがスリットを通過し、電子線は単色化される。
モノクロメーターは、エネルギー選択スリットで電子線の一部分を選択する構造を持っているため、試料に照射されるビーム電流量の低下は避けることができない。ビーム電流量の低下は電子線の輝度の低下となり、電子顕微鏡の性能に大きく影響を及ぼす。そのため、モノクロメーターによるビーム電流量の低下は極力抑える必要がある。モノクロメーターの基本性能である高エネルギー分解能を確保し、かつ、電子線の輝度の低下を抑えるためには、エネルギー選択スリットを通過するビーム電流量が最大になるように、電子線のスペクトルに対するエネルギー選択スリットの位置を最適化する必要がある。
従来のモノクロメーターにおけるエネルギー選択スリットの位置調整は、オペレーターに大きく依存していた。オペレーターは、スリット通過後の電子線の電流量の増減を直接観察によるビームの明るさの違いから判断し、スリットを通過する電子線の電流量が最大となるようにスリットの位置を移動させる。
一方、モノクロメーターにおけるエネルギー選択スリットの位置調整として、ファラデーカップ等でエネルギー選択スリットを通過したビームを電流計で計測し、エネルギー選択スリットの位置を調整する方法も考えられる。この場合、スリットを通過したビームはすべてファラデーカップに吸収されており、ビームの形状を直接観察することはできない。モノクロメーターの調整では、ビームの形状を直接観察しながらのエネルギーフィルターの調整と、エネルギー選択スリットの位置調整が必要である。エネルギーフィルターの条件を変えた場合、その都度、ファラデーカップを挿入してのビーム電流量の計測を行うのは煩雑であり、オペレーターに更なる操作の負担を強いることになる。また、モノクロメーターの調整の長時間化を招き、使いやすい装置とは言い難くなる。
そのため、例えば、特許文献1には、エネルギー選択スリットに流れる電流を検出し、検出した電流値が最小となるようにエネルギー選択スリットの位置を制御することで、モノクロメーターの調整を短時間で行うことができるモノクロメーターのスリット位置制御方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1では、エネルギー選択スリットの位置を機械的に移動させて、位置の調整を行っている。そのため、例えば、エネルギー選択スリットの動きだしの領
域において逆転ガタによって意図する方向とは逆の方向へ移動する等、円滑にエネルギー選択スリットを移動させることが難しい。したがって、特許文献1の手法では、エネルギー選択スリットの位置調整の長時間化を招いてしまう場合がある。
域において逆転ガタによって意図する方向とは逆の方向へ移動する等、円滑にエネルギー選択スリットを移動させることが難しい。したがって、特許文献1の手法では、エネルギー選択スリットの位置調整の長時間化を招いてしまう場合がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、エネルギー選択スリットを円滑に移動させて、エネルギー選択スリットの調整を短時間で行うことができる電子顕微鏡、および電子顕微鏡の調整方法を提供することにある。
(1)本発明に係る電子顕微鏡は、
電子線を放出する電子線源と、
前記電子線の光路に偏向場を発生させて、前記電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、
エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部の測定結果に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を制御するエネルギーフィルター制御部と、
を含む。
電子線を放出する電子線源と、
前記電子線の光路に偏向場を発生させて、前記電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、
エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部の測定結果に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を制御するエネルギーフィルター制御部と、
を含む。
このような電子顕微鏡では、電子線を偏向させることでエネルギー選択スリットに対する電子線の分散方向の位置を調整することができるため、例えば、機械的にスリットプレートを移動させて調整を行う場合と比べて、円滑に位置調整を行うことができる。したがって、このような電子顕微鏡では、エネルギー選択スリットの調整を短時間で行うことができる。
(2)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記エネルギーフィルター制御部は、前記電流測定部で測定された前記電子線の電流値が最小となるように、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を制御してもよい。
前記エネルギーフィルター制御部は、前記電流測定部で測定された前記電子線の電流値が最小となるように、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を制御してもよい。
このような電子顕微鏡では、エネルギー選択スリットを通過する電子線の電流値を最大にすることができる。
(3)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射されてもよい。
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射されてもよい。
このような電子顕微鏡では、エネルギーフィルターおよびエネルギー選択スリットによって、電子線を単色化して試料に照射することができる。したがって、このような電子顕微鏡では、電子エネルギー損失分光(EELS)において、エネルギー分解能の向上を図ることができる。
(4)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記エネルギー選択スリットの後段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計であってもよい。
前記エネルギー選択スリットの後段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計であってもよい。
このような電子顕微鏡では、スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計によって、スリットプレートに吸収された電子線の電流を測定することができる。
(5)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記エネルギーフィルターの前段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計であってもよい。
前記エネルギーフィルターの前段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計であってもよい。
このような電子顕微鏡では、スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計によって、スリットプレートに吸収された電子線の電流を測定することができる。
(6)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化されてもよい。
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化されてもよい。
このような電子顕微鏡では、エネルギーフィルターおよびエネルギー選択スリットによって、試料を透過した電子線を単色化して結像させることができる。したがって、このような電子顕微鏡では、例えば、エネルギーフィルターおよびエネルギー選択スリットによって、弾性散乱電子のみを選択して結像させることで、非弾性散乱電子によるバックグラウンドを取り除くことができ、明瞭な透過電子顕微鏡像を得ることができる。
(7)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法は、
電子線源と、電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、エネルギー分散面上に配置され、かつエネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、を備えた電子顕微鏡の調整方法であって、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程を含む。
電子線源と、電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、エネルギー分散面上に配置され、かつエネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、を備えた電子顕微鏡の調整方法であって、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程を含む。
このような電子顕微鏡の調整方法では、電子線を偏向させることで、エネルギー選択スリットに対する電子線の分散方向の位置を調整することができるため、例えば、機械的にスリットプレートを移動させて調整を行う場合と比べて、円滑に位置調整を行うことができる。したがって、このような電子顕微鏡の調整方法では、エネルギー選択スリットの調整を短時間で行うことができる。
(8)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法において、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値が最小となるように、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整してもよい。
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値が最小となるように、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整してもよい。
このような電子顕微鏡の調整方法では、エネルギー選択スリットを通過する電子線の電流値を最大にすることができる。
(9)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射されてもよい。
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射されてもよい。
このような電子顕微鏡の調整方法では、エネルギーフィルターおよびエネルギー選択スリットによって、電子線を単色化して試料に照射することができる。したがって、このような電子顕微鏡では、電子エネルギー損失分光において、エネルギー分解能の向上を図ることができる。
(10)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、加速管に入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレート
に吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計で測定してもよい。
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、加速管に入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレート
に吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計で測定してもよい。
このような電子顕微鏡の調整方法では、スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計によって、スリットプレートに吸収された電子線の電流を測定することができる。
(11)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法において、
加速管で加速された前記電子線は、前記エネルギーフィルターに入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計で測定してもよい。
加速管で加速された前記電子線は、前記エネルギーフィルターに入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計で測定してもよい。
このような電子顕微鏡の調整方法では、スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計によって、スリットプレートに吸収された電子線の電流を測定することができる。
(12)本発明に係る電子顕微鏡の調整方法において、
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化されてもよい。
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化されてもよい。
このような電子顕微鏡の調整方法では、試料を透過した電子線を単色化して結像させることができる。したがって、このような電子顕微鏡の調整方法では、例えば、弾性散乱電子のみを選択して結像させることで、非弾性散乱電子によるバックグラウンドを取り除くことができ、明瞭な透過電子顕微鏡像を得ることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を模式的に示す図である。
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を模式的に示す図である。
電子顕微鏡100は、透過電子顕微鏡(TEM)である。透過電子顕微鏡とは、試料を透過した電子で結像して、透過電子顕微鏡像(TEM像)を得る装置である。なお、透過電子顕微鏡像は、明視野像や、暗視野像、回折図形(diffraction pattern)などを含む。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子線源10と、フィラメント電源12と、
レンズ14と、レンズ電源16と、モノクロメーター20と、加速管30と、集束レンズ32と、試料を保持する試料ステージ34と、対物レンズ36と、中間レンズ38と、投影レンズ40と、撮像部42と、電流測定部50と、エネルギーフィルター制御部60と、操作部62と、を含む。
レンズ14と、レンズ電源16と、モノクロメーター20と、加速管30と、集束レンズ32と、試料を保持する試料ステージ34と、対物レンズ36と、中間レンズ38と、投影レンズ40と、撮像部42と、電流測定部50と、エネルギーフィルター制御部60と、操作部62と、を含む。
電子線源10は、電子線EBを放出する。電子線源10は、陰極(フィラメント)から放出された電子を陽極で加速し電子線EBを放出する。電子線源10として、熱電子放出型電子銃や、電界放出型電子銃、ショットキー型電子銃を用いることができる。電子線源10の陰極(フィラメント)には、フィラメント電源12から動作用の電力が供給される。
レンズ(静電レンズ)14は、モノクロメーター20の前段(電子線EBの上流側)に設けられる。レンズ14は、電子線源10から放出された電子線EBの軌道(すなわち、モノクロメーター20に対する入射電子線の入射角度)を調整する。レンズ電源16は、レンズ14を動作させるための動作用の電力を供給する。
モノクロメーター20は、電子線EBを単色化する。ここで、単色化とは、所定のエネルギー幅の電子線EBを選択することをいう。モノクロメーター20は、エネルギーフィルター22と、エネルギー選択スリット25が形成されたスリットプレート24と、を有する。
エネルギーフィルター22は、入射した電子線EBをエネルギーに応じて分散させる。エネルギーフィルター22は、電子線EBの光路中に偏向場(磁場、電場、または磁場および電場の両方)を発生させ、偏向場中における電子の速度に依存する軌道の違いを利用して電子線EBを分光し、エネルギー分散面上にスペクトルを投影する。また、エネルギーフィルター22では、偏向場を制御することによって、エネルギー分散面上における電子線EBの分散方向の位置を調整することができる。
エネルギーフィルター22は、例えば、光軸に沿って進行する電子線EBに対して互いに直交する電場および磁場を印加するウィーンフィルターで構成されている。なお、エネルギーフィルター22は、電子線EBをエネルギーに応じて分散させることができればその形式は限定されない。例えば、エネルギーフィルター22として、Ωフィルターを用いてもよい。エネルギーフィルター22には、フィルター電源26から動作用の電力が供給される。
スリットプレート24は、エネルギー分散面上に配置される。スリットプレート24には、エネルギー選択スリット25が形成されている。エネルギー選択スリット25を用いて、所望のエネルギー幅の電子線EBを取り出すことができる。
図2は、スリットプレート24を模式的に示す平面図である。
スリットプレート24は、例えば、金属の板である。スリットプレート24には、図2に示すように、エネルギー選択スリット25が形成されている。エネルギー選択スリット25は、電子線EBのエネルギー分散方向(A方向(+A方向または−A方向))に所定の幅(スリット幅)を有している。エネルギー選択スリット25の平面形状は、例えば、四角形である。エネルギー選択スリット25のスリット幅は、例えば、数百nm〜数十μm程度である。
スリットプレート24には、互いにスリット幅が異なる複数のエネルギー選択スリット25が形成されていてもよい。スリットプレート24には、さらに、入射した電子線EB
の全部を通過させるための開放穴27が設けられている。スリットプレート24は、移動機構(図示せず)を介して、エネルギー分散方向(A方向)、または、エネルギー分散方向(A方向)と直交する方向に移動可能に構成されていてもよい。
の全部を通過させるための開放穴27が設けられている。スリットプレート24は、移動機構(図示せず)を介して、エネルギー分散方向(A方向)、または、エネルギー分散方向(A方向)と直交する方向に移動可能に構成されていてもよい。
加速管30は、モノクロメーター20の後段(電子線EBの下流側)に設けられている。加速管30は、複数段の加速電極からなり、当該複数段の加速電極によって、電子線EBを所望の電圧にまで順次加速することができる。加速管30には、エネルギー選択スリット25を通過した電子線EB、すなわち、モノクロメーター20で単色化された電子線EBが入射する。
集束レンズ32は、モノクロメーター20によって単色化された電子線EBを集束して、試料ステージ34に保持された試料に照射する。集束レンズ32は、例えば、複数のコンデンサーレンズで構成されている。電子顕微鏡100では、集束レンズ32によって、試料に電子線EBを照射するための照射レンズ系が構成されている。
対物レンズ36は、試料を透過した電子線EBで結像するための初段のレンズである。対物レンズ36は、図示はしないが、上部磁極(ポールピースの上極)、および下部磁極(ポールピースの下極)を有している。対物レンズ36は、上部磁極と下部磁極との間に磁場を発生させて電子線EBを集束させる。試料ステージ34に保持された試料は、対物レンズ36の上部磁極と下部磁極との間に配置される。
中間レンズ38は、対物レンズ36の後段に配置されている。投影レンズ40は、中間レンズ38の後段に配置されている。中間レンズ38および投影レンズ40は、対物レンズ36によって結像された像をさらに拡大し、撮像部42に結像させる。電子顕微鏡100では、対物レンズ36、中間レンズ38、および投影レンズ40によって、結像レンズ系が構成されている。
撮像部42は、結像レンズ系36,38,40によって結像された透過電子顕微鏡像を撮影する。撮像部42は、例えば、CCDカメラ等のデジタルカメラである。
電流測定部50は、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を測定する。電流測定部50は、スリットプレート24と加速電位との間に接続された電流計52である。ここで、加速電位は、電子線源10から放出され試料に照射される電子を加速するための電位(電圧)である。電流計52によって、エネルギー選択スリット25を通過せずにスリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。電流計52の測定結果は、エネルギーフィルター制御部60に送られる。
エネルギーフィルター制御部60は、電流測定部50(電流計52)の測定結果に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御する。具体的には、エネルギーフィルター制御部60は、電流測定部50(電流計52)で測定される電子線EBの電流値が最小となるように、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御する。この処理により、エネルギー選択スリット25を通過する電子線EBの電流量が最大となる。すなわち、電子線EBのスペクトルの強度の中心と、エネルギー選択スリット25のスリット幅方向の中心と、を一致させることができる。エネルギーフィルター制御部60の機能は、各種プロセッサー(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
操作部62は、オペレーターが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報をエネルギーフィルター制御部60に出力する。操作部62は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。
1.2. 電子顕微鏡の調整方法
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法では、電流測定部50によってスリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定し、エネルギーフィルター制御部60が測定された電子線EBの電流値に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整して、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向(A方向)の位置の調整を行う。図3は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法の一例を示すフローチャートである。
次に、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法について、図面を参照しながら説明する。第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法では、電流測定部50によってスリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定し、エネルギーフィルター制御部60が測定された電子線EBの電流値に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整して、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向(A方向)の位置の調整を行う。図3は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法の一例を示すフローチャートである。
オペレーターが操作部62を介してモノクロメーター20の調整を開始するための開始信号をエネルギーフィルター制御部60に入力すると、エネルギーフィルター制御部60は、エネルギー選択スリット25(モノクロメーター20)の調整を開始する。
まず、エネルギーフィルター制御部60は、電流測定部50で測定された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値Nの情報を取得する(ステップS100)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、エネルギーフィルター22の偏向場を制御するフィルター電源26の出力Iを微小量ΔI増加させて偏向場の強度を変化させ、スリットプレート24上での電子線EBの位置を+A方向に距離Δa移動させる(ステップS102)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、ステップS102で電子線EBの位置を移動させた後に電流測定部50で測定された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値Mの情報を取得する(ステップS104)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、電流値Nが電流値Mよりも小さい(N<M)か否かを判定する(ステップS106)。
N<Mを満たさない場合(ステップS106でNoの場合)、エネルギーフィルター制御部60は、再び、ステップS100、ステップS102、ステップS104、ステップS106の処理を行う。エネルギーフィルター制御部60は、N<Mを満たすまで、ステップS100、ステップS102、ステップS104、ステップS106の処理を繰り返す。
N<Mを満たす場合(ステップS106でYesの場合)、エネルギーフィルター制御部60は、フィルター電源26の出力Iを微小量ΔI減少させて偏向場の強度を変化させ、スリットプレート24上での電子線EBの位置を−A方向に距離Δa移動させる(ステップS108)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、ステップS108で電子線EBの位置を移動させた後に電流測定部50で測定された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値Nの情報を取得する(ステップS110)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、フィルター電源26の出力Iを微小量ΔI減少させて偏向場の強度を変化させ、スリットプレート24上での電子線EBの位置を−A方向に距離Δa移動させる(ステップS112)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、ステップS112で電子線EBの位置を移動させた後に電流測定部50で測定された、スリットプレート24に吸収された電子線E
Bの電流値Mの情報を取得する(ステップS114)。
Bの電流値Mの情報を取得する(ステップS114)。
次に、エネルギーフィルター制御部60は、電流値Nが電流値Mよりも小さい(N<M)か否かを判定する(ステップS116)。
N<Mを満たさない場合(ステップS116でNoの場合)、エネルギーフィルター制御部60は、再び、ステップS110、ステップS112、ステップS114、ステップS116の処理を行う。エネルギーフィルター制御部60は、N<Mを満たすまで、ステップS110、ステップS112、ステップS114、ステップS116の処理を繰り返す。
N<Mを満たす場合(ステップS116でYesの場合)、エネルギーフィルター制御部60は、フィルター電源26の出力Iを微小量ΔI増加させて偏向場の強度を変化させ、スリットプレート24上での電子線EBの位置を+A方向に距離Δa移動させる(ステップS118)。これにより、エネルギー選択スリット25を、電流測定部50で測定された電流値が最小となる位置に配置することができる。エネルギーフィルター制御部60は、ステップS118の後、処理を終了する。
以上の処理により、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向(A方向)の位置を調整することができる。
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100では、電流測定部50はスリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定し、エネルギーフィルター制御部60は電流測定部50の測定結果に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御する。そのため、電子顕微鏡100では、電子線EBを偏向させることで、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置を調整することができるため、例えば、機械的にスリットプレート24を移動させて調整を行う場合と比べて、円滑に位置調整を行うことができる。したがって、電子顕微鏡100では、エネルギー選択スリット25(モノクロメーター20)の調整を短時間で行うことができる。
さらに、電子顕微鏡100では、エネルギーフィルター制御部60によって、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整を行うことができる。したがって、電子顕微鏡100では、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整の自動化を図ることができる。
また、電子顕微鏡100では、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することで、間接的に、エネルギー選択スリット25を通過した電子線EBの電流を測定することができる。そのため、電子顕微鏡100では、例えば投影レンズ40の後段にファラデーカップを配置して電子線EBの電流を直接測定する場合と比べて、より正確にエネルギー選択スリット25を通過した電子線EBの電流を測定することができる。
仮に、投影レンズ40の後段にファラデーカップを配置して電流を測定した場合、エネルギー選択スリット25を通過してからファラデーカップに到達するまでの光学系(レンズや絞り等)により電子線EBがカットされて、エネルギー選択スリット25を通過した電流を正確に測定できない場合がある。これに対して、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値から間接的にエネルギー選択スリット25を通過した電子線EBの電流を測定した場合、このような問題が生じず、より正確にエネルギー選択スリット25を通過した電子線EBの電流を測定することができる。
また、電子顕微鏡100では、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することでエネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整を行うため、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整と、ビームの直接観察と、を同時に行うことができる。
例えば、ファラデーカップ等でエネルギー選択スリット25を通過した電子線EBの電流を測定した場合、ビームはファラデーカップで遮られる。そのため、ビームの直接観察を行うことができず、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整と、ビームの直接観察と、を同時に行うことができない。これに対して、電子顕微鏡100では、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定するため、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置の調整と、ビームの直接観察と、を同時に行うことができる。
また、電子顕微鏡100では、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができるため、オペレーターがモノクロメーター20の操作中に電子線EBを見失った場合に、電流測定部50の測定結果から電子線EBがスリットプレート24で遮断させているのか、それとも電子線EBが電子顕微鏡100のその他の部材で遮断させているのかを判断することができる。そのため、オペレーターは、容易に見失った電子線EBを見つけることができる。
電子顕微鏡100では、エネルギーフィルター制御部60は、電流測定部50で測定された電子線EBの電流が最小となるように、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御する。これにより、電子顕微鏡100では、エネルギー選択スリット25を通過する電子線EBの電流値を最大にすることができる。
電子顕微鏡100では、エネルギー選択スリット25を通過した電子線EBは、試料に照射される。そのため、電子顕微鏡100では、エネルギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25によって、電子線EBを単色化して試料に照射することができる。したがって、電子顕微鏡100では、電子エネルギー損失分光(EELS)において、エネルギー分解能の向上を図ることができる。
電子顕微鏡100では、加速管30はエネルギー選択スリット25の後段に設けられ、電流測定部50はスリットプレート24と加速電位との間に接続された電流計52である。これにより、電子顕微鏡100では、電流計52によって、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。
電子顕微鏡100の調整方法は、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値に基づいて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整する工程を含む。そのため、電子顕微鏡100の調整方法では、電子線EBを偏向させることで、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置を調整することができるため、例えば、機械的にスリットプレート24を移動させて調整を行う場合と比べて、円滑に位置調整を行うことができる。したがって、電子顕微鏡100の調整方法では、エネルギー選択スリット25の調整を短時間で行うことができる。
電子顕微鏡100の調整方法では、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整する工程において、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値が最小となるように、偏向場の強度を調整する。これにより、エネルギー選択スリット25を通過する電子線EBの電流値を最大にすることができる。
電子顕微鏡100の調整方法では、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整する工程において、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を、スリットプレート24と加速電位との間に接続された電流計52で測定する。これにより、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図4は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、図1に示すように、加速管30はモノクロメーター20の後段に配置され、電流測定部50はスリットプレート24と加速電位との間に接続された電流計52であった。
これに対して、電子顕微鏡200では、図4に示すように、加速管30はモノクロメーター20の前段に配置され、電流測定部50はスリットプレート24と接地電位との間に接続された電流計52である。
加速管30は、電子線源10とレンズ14との間に配置されている。加速管30は、電子線源10から放出された電子線EBを加速する。加速管30で加速された電子線EBは、レンズ14を介して、エネルギーフィルター22(モノクロメーター20)に入射する。
電流測定部50は、スリットプレート24と接地電位との間に接続された電流計52である。電子顕微鏡200では、電流計52によって、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。
2.2. 電子顕微鏡の調整方法
第2実施形態に係る電子顕微鏡200の調整方法は、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法と同様であり、その説明を省略する。
第2実施形態に係る電子顕微鏡200の調整方法は、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法と同様であり、その説明を省略する。
電子顕微鏡200は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡200では、加速管30はモノクロメーター20の前段に配置され、電流測定部50はスリットプレート24と接地電位との間に接続された電流計52である。これにより、電子顕微鏡200では、電流計52によって、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。
電子顕微鏡200の調整方法では、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整する工程において、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を、スリットプレート24と接地電位との間に接続された電流計52で測定する。これにより、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流を測定することができる。
3. 第3実施形態
3.1. 電子顕微鏡
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図5は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を模式的に示す図である。以下、第3実施
形態に係る電子顕微鏡300において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
3.1. 電子顕微鏡
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図5は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を模式的に示す図である。以下、第3実施
形態に係る電子顕微鏡300において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
電子顕微鏡300は、図5に示すように、表示部310を含んで構成されている。
表示部310は、電流測定部50で測定された結果、すなわち、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部310には、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値がリアルタイムに表示される。電流測定部50の測定結果(出力信号)は、エネルギーフィルター制御部60を介して、表示部310に送られる。
3.2. 電子顕微鏡の調整方法
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の調整方法について説明する。具体的には、図5に示す電子顕微鏡300において、オペレーターが、表示部310に表示された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を見ながら操作部62を操作して、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整し、エネルギー選択スリット25(モノクロメーター20)の調整を行う場合について説明する。
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の調整方法について説明する。具体的には、図5に示す電子顕微鏡300において、オペレーターが、表示部310に表示された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を見ながら操作部62を操作して、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整し、エネルギー選択スリット25(モノクロメーター20)の調整を行う場合について説明する。
オペレーターは、表示部310に表示された、スリットプレート24に吸収された電子線EBの電流値を見ながら、当該電流値が最小となるように、操作部62を介してエネルギーフィルター制御部60を動作させて、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を調整する。そして、オペレーターは、表示部310に表示された電流値が最小となったら、モノクロメーター20の調整を終了する。
電子顕微鏡300の調整方法では、電子線EBを偏向させることで、エネルギー選択スリット25に対する電子線EBの分散方向の位置を調整することができるため、例えば、機械的にスリットプレート24を移動させて調整を行う場合と比べて、円滑に位置調整を行うことができる。したがって、電子顕微鏡300の調整方法では、エネルギー選択スリット25(モノクロメーター20)の調整を短時間で行うことができる。
なお、ここでは、電子顕微鏡300の調整方法として、電子顕微鏡300が上述した電子顕微鏡100と同様に、加速管30がモノクロメーター20の後段に配置され、電流測定部50はスリットプレート24と加速電位との間に接続された電流計52である例について説明したが、電子顕微鏡200と同様に、加速管30がモノクロメーター20の前段に配置され、電流測定部50がスリットプレート24と接地電位との間に接続された電流計52である場合についても同様に適用できる。
4. 第4実施形態
4.1. 電子顕微鏡
次に、第4実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図6は、第4実施形態に係る電子顕微鏡400の構成を模式的に示す図である。以下、第4実施形態に係る電子顕微鏡400において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
4.1. 電子顕微鏡
次に、第4実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図6は、第4実施形態に係る電子顕微鏡400の構成を模式的に示す図である。以下、第4実施形態に係る電子顕微鏡400において、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100は、図1に示すように、エネルギー選択スリット25を通過した電子線EBは試料に照射された。具体的には、電子顕微鏡100では、電子線源10から放出された電子線EBは、エネルギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25によって単色化されて試料に照射された。すなわち、電子顕微鏡100では、エネル
ギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25は、モノクロメーター20を構成していた。
ギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25は、モノクロメーター20を構成していた。
これに対して、電子顕微鏡400では、図6に示すように、電子線源10から放出され試料を透過した電子線EBは、エネルギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25で単色化される。すなわち、電子顕微鏡400では、エネルギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25はエネルギー分光器(energy analyzer)410を構成している。
エネルギー分光器410は、中間レンズ38と投影レンズ40との間に設けられている。エネルギー分光器410を備えた電子顕微鏡400では、EELS分析の際に、電子エネルギー損失スペクトルの取得とともに、エネルギー分光された電子の中で特定のエネルギーを持つ電子を用いて結像することが可能である。
電子顕微鏡400では、電子線源10から放出された電子線EBは、集束レンズ32によって試料に照射される。試料を透過した電子線EBは、エネルギー分光器410に入射し、エネルギーフィルター22でエネルギー分散され、エネルギー選択スリット25でエネルギー選択がなされた後、投影レンズ40によって撮像部42に結像される。これにより、電子顕微鏡400では、選択されたエネルギーの電子線EBで結像された透過電子顕微鏡像を得ることができる。
4.2. 電子顕微鏡の調整方法
第4施形態に係る電子顕微鏡400の調整方法は、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法と同様であり、その説明を省略する。
第4施形態に係る電子顕微鏡400の調整方法は、上述した第1実施形態に係る電子顕微鏡100の調整方法と同様であり、その説明を省略する。
電子顕微鏡400では、電子線源10から放出され試料を透過した電子線EBは、エネルギーフィルター22およびスリットプレート24で単色化される。そのため、電子顕微鏡400では、試料を透過した電子線EBを単色化して結像させることができる。したがって、電子顕微鏡400では、例えば、エネルギーフィルター22およびエネルギー選択スリット25によって、弾性散乱電子のみを選択して結像させることで、非弾性散乱電子によるバックグラウンドを取り除くことができ、明瞭な透過電子顕微鏡像を得ることができる。
また、電子顕微鏡400では、エネルギーフィルター制御部60は、電流測定部50で測定された電子線EBの電流が最小となるように、エネルギーフィルター22の偏向場の強度を制御する。これにより、電子顕微鏡400では、エネルギー選択スリット25を通過する電子線EBの電流値を最大にすることができる。したがって、電子顕微鏡400では、信号量の多い透過電子顕微鏡像、すなわち、例えば、高コントラストの透過電子顕微鏡像を得ることができる。
さらに、電子顕微鏡400では、上述した電子顕微鏡100と同様の作用効果を奏することができる。また、電子顕微鏡400の調整方法は、上述した電子顕微鏡100の調整方法と同様の作用効果を奏することができる。
また、第4実施形態に係る電子顕微鏡400の調整方法では、上述した第3実施形態に係る電子顕微鏡300の調整方法も同様に適用できる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子線源、12…フィラメント電源、14…レンズ、16…レンズ電源、20…モノクロメーター、22…エネルギーフィルター、24…スリットプレート、25…エネルギー選択スリット、26…フィルター電源、27…開放穴、30…加速管、32…集束レンズ、34…試料ステージ、36…対物レンズ、38…中間レンズ、40…投影レンズ、42…撮像部、50…電流測定部、52…電流計、60…エネルギーフィルター制御部、62…操作部、100,200,300…電子顕微鏡、310…表示部、400…電子顕微鏡、410…エネルギー分光器
Claims (12)
- 電子線を放出する電子線源と、
前記電子線の光路に偏向場を発生させて、前記電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、
エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流を測定する電流測定部と、
前記電流測定部の測定結果に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を制御するエネルギーフィルター制御部と、
を含む、電子顕微鏡。 - 請求項1において、
前記エネルギーフィルター制御部は、前記電流測定部で測定された前記電子線の電流値が最小となるように、前記偏向場の強度を制御する、電子顕微鏡。 - 請求項2において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射される、電子顕微鏡。 - 請求項3において、
前記エネルギー選択スリットの後段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計である、電子顕微鏡。 - 請求項3において、
前記エネルギーフィルターの前段に設けられた加速管をさらに含み、
前記電流測定部は、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計である、電子顕微鏡。 - 請求項2において、
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化される、電子顕微鏡。 - 電子線源と、前記電子線をエネルギーに応じて分散させるエネルギーフィルターと、エネルギー分散面上に配置され、かつ、エネルギー選択スリットが形成されたスリットプレートと、を備えた電子顕微鏡の調整方法であって、
前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値に基づいて、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程を含む、電子顕微鏡の調整方法。 - 請求項7において、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値が最小となるように、前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する、電子顕微鏡の調整方法。 - 請求項8において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、試料に照射される、電子顕微鏡の調整方法。 - 請求項9において、
前記エネルギー選択スリットを通過した前記電子線は、加速管に入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと加速電位との間に接続された電流計で測定する、電子顕微鏡の調整方法。 - 請求項9において、
加速管で加速された前記電子線は、前記エネルギーフィルターに入射し、
前記エネルギーフィルターの偏向場の強度を調整する工程では、前記スリットプレートに吸収された前記電子線の電流値を、前記スリットプレートと接地電位との間に接続された電流計で測定する、電子顕微鏡の調整方法。 - 請求項8において、
前記電子線源から放出され試料を透過した前記電子線は、前記エネルギーフィルターおよび前記スリットプレートで単色化される、電子顕微鏡の調整方法。
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